JP2019168591A - クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリーニングブレードはそのエッジ部が感光体ドラムの表面に接触する。このクリーニングブレードのエッジ部を形成する接触層を動的粘弾性特性における損失正接のピーク温度が摂氏−20度より高い第一材料で構成した場合に比較して、クリーニングブレードのエッジ部に欠けが発生するのを抑制するクリーニングブレードを提供する。【解決手段】動的粘弾性における損失正接のピーク温度が摂氏−20度以下の第一材料で構成され、感光体ドラムに接触する少なくともエッジ部161eを形成する接触層161aを備える。【選択図】図7
Description
この発明は、クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置においては、感光体ドラム等の被清掃手段のクリーニング性を向上させる技術として、例えば、特許文献1及び特許文献2などに開示されたものが既に提案されている。
特許文献1は、互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材と、ブレード部材の一端を保持する保持部材とを有し、ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部を表面移動する被清掃体の表面に当接させて、被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置において、ブレード部材を被清掃体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であるように構成したものである。
特許文献2は、損失正接のピーク温度が摂氏0度未満の第1材料で構成された基材と、第1材料よりも硬度が高く、引裂強さが49キロニュートン毎メートル以上である第2材料で構成され、移動する像保持体に接触して像保持体を清掃する接触部と、を有するように構成した清掃部材である。
この発明の目的は、被清掃手段に接触する少なくとも接触部を形成する接触層を動的粘弾性特性における損失正接のピーク温度が摂氏−20度より高い第一材料で構成した場合に比較して、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することにある。
請求項1に記載された発明は、動的粘弾性における損失正接のピーク温度が摂氏−20度以下の第一材料で構成され、被清掃手段に接触する少なくとも接触部を形成する接触層を備えるクリーニングブレードである。
請求項2に記載された発明は、100%永久伸びが1%以下の第二材料で構成され、前記接触層を支持する支持層を備える請求項1に記載のクリーニングブレードである。
請求項3に記載された発明は、前記クリーニングブレードを前記被清掃手段に対して予め定められた食い込み量となるよう接触させた状態で、高温高湿環境下に予め定められた時間だけ放置した後、前記クリーニングブレードの食い込み量の低下が0.15mm以下である請求項1に記載のクリーニングブレードである。
請求項4に記載された発明は、前記クリーニングブレードの食い込み量の低下が0.10mm以下である請求項3に記載のクリーニングブレードである。
請求項5に記載された発明は、被清掃手段を清掃するクリーニングブレードを備え、
前記クリーニングブレードとして、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたクリーニングブレードを用いたクリーニング装置である。
前記クリーニングブレードとして、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたクリーニングブレードを用いたクリーニング装置である。
請求項6に記載された発明は、像保持手段と、
前記像保持手段を清掃するクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段として請求項5に記載されたクリーニング装置を用いたプロセスカートリッジである。
前記像保持手段を清掃するクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段として請求項5に記載されたクリーニング装置を用いたプロセスカートリッジである。
請求項7に記載された発明は、静電潜像を保持する像保持手段と、
前記像保持手段に保持された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持手段を清掃するクリーニング手段と、
を備え、
前記クリーニング手段として請求項5に記載されたクリーニング装置を用いた画像形成装置である。
前記像保持手段に保持された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持手段を清掃するクリーニング手段と、
を備え、
前記クリーニング手段として請求項5に記載されたクリーニング装置を用いた画像形成装置である。
請求項8に記載された発明は、前記像保持手段は、表面に無機保護層を備えた請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載された発明は、前記無機保護層は、酸化ガリウムを含有する請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載された発明は、前記クリーニング手段のクリーニングブレードの接触層は、動的粘弾性特性における損失正接のピーク温度が摂氏−25度以下である請求項8又は9に記載の画像形成装置である。
請求項11に記載された発明は、前記現像手段は、脂肪酸金属塩を含むトナーを用いた請求項7乃至10のいずれかに記載の画像形成装置である。
請求項1に記載された発明によれば、被清掃手段に接触する少なくとも接触部を形成する接触層を動的粘弾性特性における損失正接のピーク温度が摂氏−20度より高い第一材料で構成した場合に比較して、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することができる。
請求項2に記載された発明によれば、前記接触層を支持する支持層を100%永久伸びが1%より大きい第二材料で構成した場合に比較して、クリーニングブレードにへたりが発生するのを抑制することができる。
請求項3に記載された発明によれば、前記クリーニングブレードの食い込み量の低下が0.15mmより大きい場合に比較して、クリーニングブレードにへたりが発生するのを抑制することができる。
請求項4に記載された発明によれば、前記クリーニングブレードの食い込み量の低下が0.10mmより大きい場合に比較して、クリーニングブレードにへたりが発生するのをより一層抑制することができる。
請求項5に記載された発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたクリーニングブレードを用いない場合に比較して、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することができる。
請求項6に記載された発明によれば、請求項5に記載されたクリーニング装置を用いない場合に比較して、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することができる。
請求項7に記載された発明によれば、前記クリーニング手段として請求項4に記載されたクリーニング装置を用いない場合に比較して、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することができる。
請求項8に記載された発明によれば、前記像保持手段は、表面に無機保護層を備えない場合に比較して、像保持手段の長寿命化が可能となる。
請求項9に記載された発明によれば、前記無機保護層は、酸化ガリウムを含有しない場合に比較して、像保持手段の長寿命化が可能となる。
請求項10に記載された発明によれば、クリーニングブレードの接触層は、動的粘弾性特性における損失正接のピーク温度が摂氏−25度より高い場合に比較して、像保持手段が表面に無機保護層を備える場合であっても、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することができる。
請求項11に記載された発明によれば、前記現像手段は、脂肪酸金属塩を含むトナーを用いた場合であっても、クリーニングブレードに欠けが発生するのを抑制することができる。
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係るクリーニングブレード、クリーニング装置及びプロセスカートリッジを適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
図1及び図2は、実施の形態1に係るクリーニングブレード、クリーニング装置及びプロセスカートリッジを適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の画像形成手段の一例としての作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置T2まで搬送する転写手段の一例としての中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置T2に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、図1中、符号1aは、画像形成装置1の装置本体を示すものである。装置本体1aは、支持構造部材や外装カバー等で形成されている。また、図中の破線は、装置本体1aの内部において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の画像形成手段の一例としての作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置T2まで搬送する転写手段の一例としての中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置T2に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、図1中、符号1aは、画像形成装置1の装置本体を示すものである。装置本体1aは、支持構造部材や外装カバー等で形成されている。また、図中の破線は、装置本体1aの内部において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
作像装置10は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において水平方向に沿って1列に並べた状態で配置されている。
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1や図2に示されるように、回転する像保持手段(被清掃手段)の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃する実施の形態1に係るクリーニング装置の一例としてのドラムクリーニング装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から駆動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。感光体ドラム11は、表面に無機保護層を備えている。無機保護層は、無機材料を含み、保護層としての機械的強度及び透光性を有するものである。無機保護層を形成する無機材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。無機材料としては、機械的強度及び透光性に優れ、n型導電性を有する酸化ガリウムが望ましい。
帯電装置12は、図2に示されるように、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール121で構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。帯電ロール121の背面側には、帯電ロール121の表面を清掃するクリーニングロール122が接触した状態で配置されている。
露光装置13は、図1に示されるように、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成されるレーザ光LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると、画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。なお、露光装置13としては、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLEDにより感光体ドラム11に光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものを用いても良い。
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を撹拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤4の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や撹拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置からの駆動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナーT(Y,M,C,K)としては、例えば、図3に示されるように、内部に粒状の色材301や低融点の合成樹脂302、あるいは潤滑剤などを分散させた通常の熱溶融性樹脂303を有し、その外周を通常の熱溶融性樹脂304で被覆し、外周面に帯電性や清掃性などを調整する機能性微粒子からなる外添剤305を添加したEA(Emulsion Aggregation:乳化重合)トナーが用いられる。EAトナーTは、数平均粒子径が約3〜5μm程度であり、略球形状に形成されている。潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛などの金属との化合物である脂肪酸金属塩が用いられる。この実施の形態では、トナーTに含有させる潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いている。
一次転写装置15は、図1及び図2に示されるように、一次転写位置T1において感光体ドラム11の周面に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
この実施の形態1に係るドラムクリーニング装置16は、図2に示されるように、容器状の本体160の内部に配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃するクリーニングブレード161と、クリーニングブレード161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162などで構成されている。なお、ドラムクリーニング装置16の構成については、後に詳述する。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置T1を通過しながら矢印Bで示す方向に循環移動する中間転写体の一例としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内周から所望の状態に保持して循環移動可能に支持する複数のベルト支持ロール22〜27と、ベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルトクリーニング装置28とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の走行位置を保持する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は中間転写ベルト21を保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール26は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール27はベルトクリーニング装置28の支持ロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置T2において回転する二次転写ロール31を備えている。二次転写ロール31又は中間転写装置20のベルト支持ロール26には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。なお、図1中符号29はベルト支持ロール26に二次転写バイアス電圧を印加するバイアス印加ロールを示している。
定着装置40は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段(熱源)によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
給紙装置50は、中間転写装置20の下方の位置に存在するよう配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるよう取り付けられている。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいは合成樹脂(PETなど)製の透明なフィルム状の媒体からなるOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置T2まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対53〜56や図示しない搬送ガイド材で構成される給紙搬送路57が設けられている。給紙搬送路57において二次転写位置T2の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対56は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。
また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30から送り出される記録用紙5を定着装置40まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ベルト58〜60で構成される用紙搬送路61が設けられている。
定着装置40の下流側には、定着装置40によりトナー像が定着された記録用紙5を、装置本体1aの側面に配置された図示しない用紙排出部に排出するための用紙排出ロール(図示せず)を備えた排出搬送路62が設けられている。
図1中、符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御手段の一例としての制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えて構成されている。
<プロセスカートリッジ>
この実施の形態では、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において、感光体ドラム11と、感光体ドラム11の周囲に配置される少なくとも1つ以上の装置がプロセスカートリッジ70として一体的に構成されている。プロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)は、図4に示されるように、感光体ドラム11と、帯電装置12と、ドラムクリーニング装置16を備えている。感光体ドラム11は、軸方向に沿った両端部がカートリッジ本体71に回転可能に支持されている。また、カートリッジ本体71には、感光体ドラム11の周面に帯電装置12の帯電ロール121が接触するとともに、ドラムクリーニング装置16のクリーニングブレード161が当接するよう一体的に取り付けられている。イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)を構成する各プロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)は、画像形成装置1の装置本体1aに対して個別に着脱可能に構成されている。なお、各プロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)は、現像装置14を有していないため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)で共通に構成されている。
この実施の形態では、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)において、感光体ドラム11と、感光体ドラム11の周囲に配置される少なくとも1つ以上の装置がプロセスカートリッジ70として一体的に構成されている。プロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)は、図4に示されるように、感光体ドラム11と、帯電装置12と、ドラムクリーニング装置16を備えている。感光体ドラム11は、軸方向に沿った両端部がカートリッジ本体71に回転可能に支持されている。また、カートリッジ本体71には、感光体ドラム11の周面に帯電装置12の帯電ロール121が接触するとともに、ドラムクリーニング装置16のクリーニングブレード161が当接するよう一体的に取り付けられている。イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)を構成する各プロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)は、画像形成装置1の装置本体1aに対して個別に着脱可能に構成されている。なお、各プロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)は、現像装置14を有していないため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)で共通に構成されている。
プロセスカートリッジ70には、感光体ドラム11が自然光により露光するのを防止するため、感光体ドラム11の外周面を覆う図示しない遮蔽部材が開閉可能に設けられている。図示しない遮蔽部材は、プロセスカートリッジ70を画像形成装置1の装置本体1aに着脱する操作に連動して開閉される。
なお、プロセスカートリッジ70は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、ドラムクリーニング装置16を備えたものに限定されるものではなく、感光体ドラム11と、ドラムクリーニング装置16から構成しても良く、あるいは感光体ドラム11と、帯電装置12と、現像装置14と、ドラムクリーニング装置16などから構成しても良い。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。なお、4つの作像装置10(Y,M,C,K)のうち、いずれか1つ以上の作像装置10を使用して単色又は複数色のトナー像を組み合わせた画像を形成するときの画像形成動作も基本的には同様である。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御装置100の制御によって、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置T1まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K)では、ドラムクリーニング装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置T2まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路57に送り出す。給紙搬送路57では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対56が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置T2に送り出して供給する。
二次転写位置T2においては、二次転写ロール30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置20では、ベルト清掃装置28が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール30から剥離された後に3連の搬送ベルト58〜60によって定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、排出搬送路62を介して図示しない用紙排出ロールにより、例えば画像形成装置1の側面に設けられた排出収容部(図示せず)に排出される。
以上の動作により、4色のトナーT(Y,M,C,K)からなるトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が出力される。
<ドラムクリーニング装置の構成>
図5は、実施の形態1に係るクリーニングブレードを適用したクリーニング装置の一例としてのドラムクリーニング装置を示すものである。
図5は、実施の形態1に係るクリーニングブレードを適用したクリーニング装置の一例としてのドラムクリーニング装置を示すものである。
ドラムクリーニング装置16は、図5に示されるように、容器状の本体160を備えている。ドラムクリーニング装置16の本体160は、感光体ドラム11の略全長にわたる長さを有する長尺な断面略直方体状の箱体として構成されている。本体160は、感光体ドラム11と対向する面に開口部163を有している。なお、本体160は、図4に示されるように、プロセスカートリッジ70のカートリッジ本体71に一体的に取り付けられている。
本体160には、感光体ドラム11側の側面に、開口部163の上端部から鉛直方向に沿った下方に向けてクリーニングブレード161が配置されている。クリーニングブレード161は、金属等からなる保持部材164に取り付けられている。保持部材164は、水平方向に配置された第1板部165と、第1板部165の先端(右端)から鉛直方向に沿った下方に向けて略90度の角度をなして交差するよう屈曲された第2板部166とから断面略L字形状に形成されている。保持部材164の第1板部165は、本体160の上端面167にスペーサ部材168を介してネジ止め等の手段により固定されている。クリーニングブレード161は、保持部材164の第2板部166の外側面に両面テープを介した貼付けや接着剤を用いた接着等の手段により固定した状態で設けられている。クリーニングブレード161の感光体ドラム11に対する位置関係は、カートリッジ本体71に装着された本体160に対する保持部材164の位置で規定される。
本体160の内部には、開口部163に連通して底部に略半円筒形状に湾曲した凹部169を有する空所170aが設けられている。空所170aは、保持部材164の第2板部166における裏面から本体160の内部に向けて傾斜した内側面160a及び凹部169から形成されている。空所170aの凹部169には、クリーニングブレード161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162が回転可能に配置されている。送出部材162は、回収された付着物を軸方向(図面に垂直な方向)に沿って搬送し、画像形成装置1の装置本体1aの前面又は背面側の端部に配置された図示しない回収システムを介して回収容器へ収容する。
本体160の開口部163の下端部には、感光体ドラム11の周面との間隙を封止するフィルム状の封止部材171aが装着されている。
なお、ドラムクリーニング装置16は、クリーニングブレード161の感光体ドラム11の回転方向Aに沿った上流側に図示しないブラシ状のクリーニング部材を備えていても良い。
<クリーニングブレードの構成>
クリーニングブレード161は、図6に示されるように、所要の厚さTを有し、所要の自由長L及び感光体ドラム11の軸方向に沿った長尺な幅を有する細長い平面矩形の平板状に形成されている。クリーニングブレード161は、ゴム材料によって形成されている。クリーニングブレード161は、感光体ドラム11の周面の接線に対して所要の接触角θ(Contact Angle)を成すよう保持部材164の垂直板部166に取り付けられている。クリーニングブレード161は、その先端が感光体ドラム11の表面に対して所要の接触圧NF(Normal Force)で当接するよう感光体ドラム11の表面に対して所要の食い込み量tだけ食い込んだ状態で固定されている。なお、図中破線は、感光体ドラム11を取り除いた自由状態のクリーニングブレード161を示している。クリーニングブレード161の接触角θは、例えば、5〜30°程度に設定される。また、クリーニングブレード161の接触圧NFは、例えば、1.0〜3.0gf/mm程度に設定される。クリーニングブレード161の食い込み量tは、例えば、0.5〜2.0mm程度に設定される。
クリーニングブレード161は、図6に示されるように、所要の厚さTを有し、所要の自由長L及び感光体ドラム11の軸方向に沿った長尺な幅を有する細長い平面矩形の平板状に形成されている。クリーニングブレード161は、ゴム材料によって形成されている。クリーニングブレード161は、感光体ドラム11の周面の接線に対して所要の接触角θ(Contact Angle)を成すよう保持部材164の垂直板部166に取り付けられている。クリーニングブレード161は、その先端が感光体ドラム11の表面に対して所要の接触圧NF(Normal Force)で当接するよう感光体ドラム11の表面に対して所要の食い込み量tだけ食い込んだ状態で固定されている。なお、図中破線は、感光体ドラム11を取り除いた自由状態のクリーニングブレード161を示している。クリーニングブレード161の接触角θは、例えば、5〜30°程度に設定される。また、クリーニングブレード161の接触圧NFは、例えば、1.0〜3.0gf/mm程度に設定される。クリーニングブレード161の食い込み量tは、例えば、0.5〜2.0mm程度に設定される。
クリーニングブレード161は、図7(a)(b)に示されるように、被清掃手段の一例としての感光体ドラム11の周面に接触する少なくともエッジ部(接触部)161eを形成する接触層161aと、接触層161aを支持する支持層161bを備えている。接触層161aは、例えば、図7(a)に示されるように、感光体ドラム11の周面と接触するエッジ部161eを含む角部にのみ設けられる。この場合、クリーニングブレード161の支持層161bは、エッジ部161eを除くクリーニングブレード161の略全体を構成する。
また、接触層161aは、図7(b)に示されるように、感光体ドラム11の周面側の全面にわたり位置するよう相対的に厚さが薄い層として形成しても良い。この場合、クリーニングブレード161の支持層161bは、接触層161aを含めて所要の厚さTとなるよう接触層161aの全面にわたり厚く積層される。接触層161aは、例えば、0.05〜0.50mm程度の厚さに設けられる。ただし、接触層161aは、当該数値よりも厚くても薄くても良い。接触層161aは、感光体ドラム11に接触する少なくとも接触部を形成するものであれば、クリーニングブレード161に設ける位置は、感光体ドラム11の周面側に限定されることなく、感光体ドラム11の表面と対向する厚さ方向の側面などに設けても良く任意である。接触層161aと支持層161bは、接着したものであっても勿論良い。
クリーニングブレード161の接触層161aを構成する第1材料としては、例えば、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロピレンゴム、ブタジエンゴム等のゴム材料が用いられる。また、クリーニングブレード161の支持層161bを構成する第2材料としては、例えば、同じくポリウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロピレンゴム、ブタジエンゴム等のゴム材料が用いられる。
クリーニングブレード161の接触層161a及び支持層161bを構成する第1及び第2材料は、例えば、同じポリウレタンゴムからなるものであっても、ポリウレタンゴムを構成する各重合成分の種類や量、あるいは製造条件や改質処理の条件などを変化させることにより、機械的特性が異なるものとして使用することができる。
接触層161aをクリーニングブレード161のエッジ部161eにのみ設ける場合には、例えば、図8に示されるように、2つのクリーニングブレード161を感光体ドラム11側の側面を接触させた状態で同時に成形する2種類の金型を用いて製造される。第1の金型は、2つのクリーニングブレード161の接触層161a同士を合せた断面半円形状の空所を有する形状に構成される。また、第2の金型は、2つのクリーニングブレード161に対応した空所を有する形状に構成される。そして、第1の金型を用いて2つのクリーニングブレード161の接触層161aに対応した空所に、2つの接触層161aを一体的に形成する第1材料を充填して硬化させる。その後、断面半円形状に形成された2つの接触層161aを第2の金型の所要位置にセットし、2つの接触層161a以外の2つのクリーニングブレード161の支持層161bに対応した空所に支持層161bを構成する第2材料を充填して、図8に示されるように、2つの接触層161aと一体的に硬化させる。そして、最後に、2つのクリーニングブレード161の合わせ面をカットすることにより、2つのクリーニングブレード161が同時に製造される。
ところで、上記の如く構成されるクリーニングブレード161は、図6に実線で示されるように、回転する感光体ドラム11の周面に所要の接触圧NFで当接することにより、その感光体ドラム11側の先端に位置するエッジ部161eが感光体ドラム11の回転に伴って、当該感光体ドラム11の回転方向Aの下流側に向けて巻き込まれた状態となっている。なお、図6では、便宜上、感光体ドラム11の周面を平面として図示しているが、感光体ドラム11の周面は、所要の曲率半径を有する円弧状の曲面からなることは勿論である。クリーニングブレード161は、弾性変形したエッジ部161eによって感光体ドラム11の周面に付着したトナーやトナーの外添剤等の付着物を掻き取ることで除去する。
感光体ドラム11の周面に固着した付着物などがなく、しかも感光体ドラム11表面の摩擦係数が全域にわたり略一様であれば、クリーニングブレード161の弾性変形したエッジ部161eが感光体ドラム11の周面に付着したトナーやトナーの外添剤等の付着物を掻き取ることにより除去し、クリーニング機能を維持することが可能となる。
しかしながら、画像形成装置1及びプロセスカートリッジ70(Y,M,C,K)を様々な環境下において継続して使用した場合には、図9に示されるように、感光体ドラム11の周面に異物170が付着することがある。また、感光体ドラム11の周面の摩擦係数μが局所的に高くなる領域171が生じることがある。
このように、感光体ドラム11の周面に異物170が付着したり、感光体ドラム11の周面の摩擦係数μが局所的に高くなる領域171が生じる原因としては、本発明者の検討によれば、次のような理由が挙げられる。
感光体ドラム11は、帯電装置12による放電作用によって所要の電位に帯電される。 感光体ドラム11の表面に形成される酸化ガリウム等からなる無機保護層は、帯電装置12の放電作用に伴って放電生成物が付着すると摩擦係数μが高くなる傾向がある。また、感光体ドラム11の表面には、トナー中のステアリン酸亜鉛などの潤滑剤が部分的に付着する。この感光体ドラム11の表面に付着したステアリン酸亜鉛などの潤滑剤は、帯電装置12による放電作用を受けると、やはり摩擦係数μを上昇させる傾向がある。そのため、感光体ドラム11として表面に無機保護層を有し、トナーとしてステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を含有するものを用いた場合には、無機保護層と潤滑剤の相乗効果により、感光体ドラム11表面の摩擦係数μが局所的に高くなり易い。
このように、感光体ドラム11の表面に摩擦係数μが局所的に高い領域が存在すると、トナーやトナーの帯電性や清掃性などを調整する機能性微粒子からなる外添剤等の異物が堆積し易くなり、図9(a)に示されるように、感光体ドラム11の周面に異物170が固着する場合がある。感光体ドラム11の周面に異物が固着すると、図10に示されるように、クリーニングブレード161が感光体ドラム11上の異物170を通過する際に、クリーニングブレード161のエッジ部161eが異物170によって大きく下流側に巻き込まれる。感光体ドラム11上に異物170が存在しても、クリーニングブレード161のエッジ部161eがゴム材料としての特性である弾性が大きく十分に弾性変形可能な状態であれば、エッジ部161eに欠け等が生じることがない。
しかしながら、クリーニングブレード161のエッジ部161eの弾性変形量が不十分であると、感光体ドラム11上の異物170を通過するときに、クリーニングブレード161のエッジ部161eが弾性変形の限界を超えて塑性変形し、エッジ部161eが局所的に引きちぎられた状態となり、図11に示されるような欠けが発生すると考えられる。
同様に、感光体ドラム11の表面には、図9(b)に示されるように、局所的に摩擦係数μが高い領域171が存在すると、クリーニングブレード161が感光体ドラム11上の摩擦係数μが局所的に高い領域171を通過する際に、クリーニングブレード161のエッジ部161eが感光体ドラム11表面との高い摩擦係数μによって局所的に弾性変形する。クリーニングブレード161のエッジ部161eが十分に弾性変形可能であれば、エッジ部161eに欠け等が生じることがない。
しかしながら、クリーニングブレード161のエッジ部161eの弾性変形量が不十分であると、感光体ドラム11上の局所的に摩擦係数μが高い領域171を通過するときに、クリーニングブレード161のエッジ部161eが弾性変形の限界を超えて塑性変形し、やはり局所的に引きちぎられた状態となり、図11に示されるような欠けが発生する。
クリーニングブレード161のエッジ部161eに欠けが発生すると、感光体ドラム11の表面に付着したトナーや外添剤等の異物がクリーニングブレード161のエッジ部161eの欠けが発生した部分を摺り抜けて、帯電ロール121の表面に移動して付着する。帯電ロール121の表面には、クリーニングロール122が設けられているが、クリーニングロール122によって除去しきれなかったりクリーニングロール122の同一箇所が汚れたりして、帯電ロール121による帯電不良の原因となり、記録用紙5上に形成される画像に筋状の濃度ムラとなって最終的に画質に現れる。また、クリーニングブレード161のエッジ部161eの欠けから摺り抜けたトナーや外添剤が感光体ドラム11の表面に付着並びに固着し、光を透過しない状態になると、画像露光時に露光不良を起こし画像に筋状の濃度ムラとなって画質に現れる。
本発明者は、上述したようなクリーニングブレード161のエッジ部161eに欠けが発生するメカニズムに基づいて、クリーニングブレード161のエッジ部161eが感光体ドラム11の表面に付着した異物170や局所的に高い摩擦係数μが高い領域171を通過する際に、エッジ部161eが弾性体としての性質を維持し、弾性変形の限界を超えることがなく塑性変形しなければ、エッジ部161eに欠けが発生するのを防止乃至抑制することができることを見出した。
クリーニングブレード161のエッジ部161eを含む接触層161aを構成するゴム材料は、粘弾性体である。完全な弾性体であれば、入力としての歪εに対して時間的な遅れを生じることなく応力σ=Eεが変化する。ここで、Eは弾性率である。一方、粘弾性体は、捩じり振動や周期的な伸張などの変形を加えると、入力としての歪εに対して時間的な遅れを以て応力σ*=E*ε*が変化する。
このような粘弾性率E*を複素式で表すと、次のようになる。
貯蔵弾性率 E’=(σ0/ε0)cosδ
損失弾性率 E”=(σ0/ε0)sinδ
ここで、得られた実数項E’が貯蔵弾性率と呼ばれて弾性成分に対応し,虚数項E”が損失弾性率と呼ばれて粘性成分に相当する。そして、両者の比tanδ=E”/E’は損失正接と呼ばれる。tanδが小さいと、貯蔵弾性率E’の影響が大きく、クリーニングブレード161は、弾性体としての性質を強く示すようになる。一方、tanδの値が大きいと、クリーニングブレード161は、粘性体としての性質を示すようになる。tanδの値がピークとなる温度は、ガラス転移温度とも呼ばれる。
貯蔵弾性率 E’=(σ0/ε0)cosδ
損失弾性率 E”=(σ0/ε0)sinδ
ここで、得られた実数項E’が貯蔵弾性率と呼ばれて弾性成分に対応し,虚数項E”が損失弾性率と呼ばれて粘性成分に相当する。そして、両者の比tanδ=E”/E’は損失正接と呼ばれる。tanδが小さいと、貯蔵弾性率E’の影響が大きく、クリーニングブレード161は、弾性体としての性質を強く示すようになる。一方、tanδの値が大きいと、クリーニングブレード161は、粘性体としての性質を示すようになる。tanδの値がピークとなる温度は、ガラス転移温度とも呼ばれる。
クリーニングブレード161は、tanδがピークとなる温度が低い程、貯蔵弾性率E’の影響が大きく、弾性体としての性質を維持していることになる。
従来、クリーニングブレード161のエッジ部161eを構成する材料としては、特許文献1(請求項5)によれば、エッジ層を形成する材料のtanδのピーク温度が10℃未満と規定されており、実施形態にはtanδのピーク温度が低ければ低いほど望ましいとの記載がある(段落[0063])。また、特許文献2(請求項1)によれば、tanδのピーク温度が摂氏0℃未満と規定されているが、実施形態(段落[0037])には、「tanδピーク温度のみを指標にした場合、第2材料の種類にかかわらず、耐欠け性指数が0.2以上になる条件は見出されないことがわかる。」と記載されている。
このように、クリーニングブレード161のエッジ部161eを構成する材料としては、tanδのピーク温度が低い方が望ましいとの記載が存在するものの、エッジ部161eに発生する欠けを効果的に防止乃至抑制するためには、tanδのピーク温度がどの程度低いものであれば良いかを示す明確な基準が存在しなかった。
その要因としては、クリーニングブレード161のエッジ部161eに欠けが発生するメカニズムが明らかでなかったこと、及びクリーニングブレード161のエッジ部161eに発生する欠けを適正に評価する基準が存在しなかったことが挙げられる。
そこで、本発明者は、上述したように、クリーニングブレード161のエッジ部161eに欠けが発生するメカニズムが明らかにし、しかもクリーニングブレード161のエッジ部161eに発生する欠けを適正に評価する基準を採用することにより、クリーニングブレード161のエッジ部161eを構成する材料のtanδのピーク温度とエッジ部161eに発生する欠けとの間に、欠け性が改善する最適な範囲が存在することを明らかにした。
更に説明すると、本発明者は、クリーニングブレード161のtanδのピーク温度とエッジ部161eに発生する欠けの関係が、tanδのピーク温度に応じて線形に変化するものではなく、tanδのピーク温度によってエッジ部161eに発生する欠けが急激に改善する特性を有しており、クリーニングブレード161の接触層161aを構成する材料のtanδのピーク温度が摂氏−20度以下であれば良いことを見出した。
<欠け評価指標の選択>
まず、本発明者は、クリーニングブレード161のエッジ部161eに生じる欠けを適正に評価するため、欠け発生の指標を設定した。この欠け発生の指標は、実機において耐欠け性を試験して良好な結果が得られたクリーニングブレード161を比較対象とし、当該比較対象のクリーニングブレード161を基準として、欠け性を評価することとした。
まず、本発明者は、クリーニングブレード161のエッジ部161eに生じる欠けを適正に評価するため、欠け発生の指標を設定した。この欠け発生の指標は、実機において耐欠け性を試験して良好な結果が得られたクリーニングブレード161を比較対象とし、当該比較対象のクリーニングブレード161を基準として、欠け性を評価することとした。
まず、欠け評価指標の決定に先立って、材質の異なる複数のクリーニングブレード161を画像形成装置1として富士ゼロックス社製のDocuCentre−IV C5575に搭載した。その際、クリーニングブレード161の接触角θは26度に、接触圧NFは2.0gf/mmにそれぞれ設定した。
なお、この画像形成装置1では、感光体ドラム11として酸化ガリウムを含有する無機保護層を備えており、現像装置14で使用されるトナーが脂肪酸金属塩を含んでいる。
画像形成装置1を用いて、A4サイズの普通紙からなる記録用紙5(富士ゼロックス社製、P紙)に濃度5%の一様な画像を常温常湿環境(22℃、55%)下で150kcycle(15万枚)にわたり画像を形成した後、高温高湿環境(28℃、85%)下で同じく150kcycle(15万枚)に画像を形成し、その後更に低温低湿環境(15℃、10%)下で150kcycle(15万枚)に画像を形成するサイクルを1セットとし、2セットの画像形成動作を実行した。そして、900kcycleの画像形成動作を実行した後にクリーニングブレード161のエッジ部161eに発生した欠け及び局所的ダメージの個数を計数するとともに、記録用紙5の画像に発生した筋の程度を評価する実験を行った。
クリーニングブレード161のエッジ部161eに発生した欠け及び局所的ダメージの個数は、感光体ドラム11の軸方向に沿った両端部において、クリーニングブレード161の各50mm幅の領域において、軸方向に沿った長さが20μm以上の欠落部を計数することにより求めた。
プリント筋の発生グレードは、グレードG0が未発生、グレードG1が筋の発生をわずかに認めたが実使用上まったく問題とならないレベル、グレードG2は筋が発生していることが認められるが実使用上問題とならないレベル、グレードG3は筋が発生しているが実使用上許容できるレベル、グレードG4は筋が発生しており実使用上問題となるレベル、グレードG5は筋が顕著に発生しており実使用上許容できないレベルとした。なお、グレードG0とグレードG1の間をグレードG0.5と評価した。
図12は上記欠け評価指標を選択するための実験の結果を示すグラフである。
この欠け評価指標の選択実験により、欠け及び局所的ダメージの個数が最も少なく、筋状のグレードがG0である二層構成のクリーニングブレードS1を、欠け指標となるクリーニングブレードとして選択した。この欠け指標となるクリーニングブレードS1は、tanδのピーク温度が約−18℃であった。
tanδのピーク温度は、JISK6394(1998年)に準じて、tanδ曲線から観測されるピーク温度を測定することにより求めた。なお、tanδの値の測定には、レオバイブロン(オリエンテック社製)を使用した。材料のtanδの値は、測定周波数10Hzで低温側(−60℃)から0.1℃/分の昇温速度で高温側(+60℃)まで昇温させることにより測定した。
<クリーニングブレードの準備>
次に、実験に使用するクリーニングブレード161としては、次のものを準備した。クリーニングブレード161は、図9(b)に示されるように、接触層161aと支持層161bからなる2層構成とした。ここで、接触層161aの厚さは、0.5mm、支持層161bの厚さは、1.4mmにそれぞれ設定した。
次に、実験に使用するクリーニングブレード161としては、次のものを準備した。クリーニングブレード161は、図9(b)に示されるように、接触層161aと支持層161bからなる2層構成とした。ここで、接触層161aの厚さは、0.5mm、支持層161bの厚さは、1.4mmにそれぞれ設定した。
接触層(Contact Layer)を構成する第1材料としては、いずれもポリウレタンゴムからなる材料COL−Aと、材料COL−Bと、材料COL−Cの3種類を準備した。支持層(Support Layer)を構成する第2材料としては、いずれもポリウレタンゴムからなる材料SUL−Aと、材料SUL−Bと、材料SUL−C、材料SUL−Dの4種類を準備した。
クリーニングブレード161としては、接触層161aを構成する第1材料COL−Aのみからなる単層のブレードCOL−A(比較例1)と、接触層161aを構成する第1材料COL−Aと支持層161bを構成する第2材料SUL−AからなるブレードCOL−A/SUL−A(実施例1)と、接触層161aを構成する第1材料COL−Aと支持層161bを構成する第2材料SUL−BからなるブレードCOL−A/SUL−B(実施例2)と、接触層161aを構成する第1材料COL−Bと支持層161bを構成する第2材料SUL−BからなるブレードCOL−B/SUL−B(比較例2)と、接触層161aを構成する第1材料COL−Bと支持層161bを構成する第2材料SUL−AからなるブレードCOL−B/SUL−A(比較例3)と、支持層161bを構成する第2材料SUL−Cのみからなる単層のブレードSUL−C(比較例4)と、接触層161aを構成する第1材料COL−Cと支持層161bを構成する第2材料SUL−AからなるブレードCOL−C/SUL−A(比較例5)と、支持層161bを構成する第2材料SUL−Aのみからなる単層のブレードSUL−A(比較例6)とを準備した。なお、接触層161aを構成する第1材料COL−Bと支持層161bを構成する第2材料SUL−BからなるブレードCOL−B/SUL−B(比較例2)は、前述したクリーニングブレードS1である。
<欠け性の評価>
欠け評価指標とは、移動する像保持体に接触してこの像保持体を清掃する清掃部材の欠け易さを示した指標であり以下の方法で測定した。
欠け評価指標とは、移動する像保持体に接触してこの像保持体を清掃する清掃部材の欠け易さを示した指標であり以下の方法で測定した。
クリーニングブレード161を富士ゼロックス社製DocuCentre−IVC5575に搭載し、接触圧を2.0gf/mm、接触角度を26°に合わせ、温度10℃、相対湿度15%で評価を行った。感光体ドラム11の表面に円錐形の突起を設け、感光体ドラム11が25回転する度にブレード先端、すなわち、クリーニングブレード161のエッジ部161eが感光体ドラム11と接触する部分を観察し、欠けの発生が観察された回転数を欠けサイクル数とした。そして、得られた欠けサイクル数を250で除算した値を耐欠け性指数とした。
突起の材質にはサファイアを用いた。また、突起の先端の角度は60度、曲率半径は0.05ミリメートルとし、高さは0.05ミリメートルとした。
そして、欠け性の評価指標となるクリーニングブレードS1のエッジ部に欠けが発生した感光体ドラムの回転数を基準値「1」として、他のクリーニングブレード161のエッジ部161eに欠けが発生する回転数を欠けの評価指標とした。
図13は上記実験例の結果を示すグラフである。なお、tanδのピーク温度としては、二層構成のクリーニングブレード161の場合は接触層161aを構成する材料のピーク温度を採用した。
図13から明らかなように、実施例1は欠け評価指標が6.5と非常に高い値を示し、又実施例2は欠け評価指標が4.5と高い値を示し、いずれも欠け性に対して大変良好な結果が得られた。なお、実施例1及び2と同一の接触層161aを構成する第1材料COL−Aのみからなる比較例1は、欠け評価指標が8と非常に高い値を示すことが判った。
一方、図13から明らかなように、比較例2は欠け評価指標が1であり、比較例3は欠け評価指標が約0.5程度と大幅に低い値を示した。同様に、比較例5〜7は欠け評価指標が略「0」に近い値を示し、エッジ部に欠けが発生し易いことが判明した。
実施例1及び2のクリーニングブレード161は、接触層161aを構成する材料COL−Aのtanδのピーク温度が−27℃であった。
この図13から明らかなように、動的粘弾性におけるtanδのピーク温度が摂氏−20度以下になると、欠け評価指標の値が図中に破線に示されるように急激に改善する傾向が見られることが判った。したがって、クリーニングブレード161の接触層161aを構成する第1材料のtanδのピーク温度は、摂氏−20度以下であることが望ましい。さらに、クリーニングブレード161の接触層161aを構成する第1材料のtanδのピーク温度は、摂氏−25度以下であることがより望ましい。
ただし、クリーニングブレード161の接触層161aを構成する第1材料は、tanδのピーク温度が−30℃より低いと、接触層161aのゴム性が高くなり、クリーニングブレード161のエッジ部161eが感光体ドラム11の表面に接触する際に振動が発生し易く、所謂ブレード鳴きと呼ばれる異音が発生する虞れがある。そのため、クリーニングブレード161の接触層161aを構成する第1材料は、tanδのピーク温度が−30℃以上であることが望ましい。
<100%モジュラス>
クリーニングブレード161の接触層161aを構成する材料として動的粘弾性におけるtanδのピーク温度が低いゴム材料を選択した場合には、上述したように、エッジ部161eに欠けが発生するのを抑制することができる反面、クリーニングブレード161の100%モジュラスが低下し、ブレード摩耗が増加する傾向がある。
クリーニングブレード161の接触層161aを構成する材料として動的粘弾性におけるtanδのピーク温度が低いゴム材料を選択した場合には、上述したように、エッジ部161eに欠けが発生するのを抑制することができる反面、クリーニングブレード161の100%モジュラスが低下し、ブレード摩耗が増加する傾向がある。
そこで、この実施の形態では、クリーニングブレード161の接触層161a及び支持層161bを構成する第1及び第2材料の100%モジュラスを測定して評価を行った。なお、クリーニングブレード161としては、tanδのピーク温度と欠け性の評価に用いたものと同じクリーニングブレードを使用した。
100%モジュラスは、JIS−K6251に準拠して、ダンベル状号試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力より求めた。なお、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
図14はクリーニングブレード161の100%モジュラスを測定した結果を示すグラフである。
図から明らかなように、実施例1及び2のクリーニングブレード161は、いずれも100%モジュラスの値が4MPaであった。
一方、比較例のクリーニングブレード161は、いずれも100%モジュラスの値が7MPa以上であり、欠け評価指標は、1以下であった。
その結果、クリーニングブレード161の100%モジュラスは、3〜6MPaであることが望ましい。
<100%永久伸び及びへたり>
クリーニングブレード161の接触層161aを構成する材料として動的粘弾性におけるtanδのピーク温度が低いゴム材料を選択した場合には、上述したように、エッジ部161eに欠けが発生するのを抑制することができる反面、クリーニングブレード161のゴム性が高くへたりが大きいと、経時的にクリーニングブレード161の当接圧NFや接触角θが変化し、長期にわたり良好なクリーニング性を維持することが困難となる虞れがある。
クリーニングブレード161の接触層161aを構成する材料として動的粘弾性におけるtanδのピーク温度が低いゴム材料を選択した場合には、上述したように、エッジ部161eに欠けが発生するのを抑制することができる反面、クリーニングブレード161のゴム性が高くへたりが大きいと、経時的にクリーニングブレード161の当接圧NFや接触角θが変化し、長期にわたり良好なクリーニング性を維持することが困難となる虞れがある。
そこで、この実施の形態では、クリーニングブレード161の接触層161a及び支持層161bを構成する第1及び第2材料の100%永久伸び及びへたり量を測定して評価を行った。
100%永久伸び(%)は、JIS K6262(引っ張り永久ひずみ試験)に準拠して、短冊状の試験片を用い、100%引張りひずみを与えて24時間放置し、下記の式に基づいて標線間距離より求めた。
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
Ts=(L2−L0)/(L1−L0)×100
Ts:永久伸び
L0:引張り前の標線間距離
L1:引張り時の標線間距離
L2:引張り後の標線間距離
クリーニングブレード161の支持層161bを構成する第2材料における100%永久伸びの物性値は、例えば、ポリウレタンゴムである場合であればポリオールの分子量を調整することで小さくなる傾向にある。
クリーニングブレード161のへたり量は、次のようにして測定した。
クリーニングブレード161に対して食い込み量1mm、接触角25度で直径30mmの感光体ドラム11を当接させ、高温高湿環境(45℃、45%)で72時間保管後、常温常湿環境で感光体ドラム11の当接を開放し、さらに30分間放置した後に初期の位置からの変化量を測定した。
クリーニングブレード161に対して食い込み量1mm、接触角25度で直径30mmの感光体ドラム11を当接させ、高温高湿環境(45℃、45%)で72時間保管後、常温常湿環境で感光体ドラム11の当接を開放し、さらに30分間放置した後に初期の位置からの変化量を測定した。
図15は100%永久伸びとへたり量との関係を示すグラフである。
図15から明らかなように、クリーニングブレード161を構成する第1及び第2材料の100%永久伸びが増加すると、クリーニングブレード161のへたり量が比例して増加する傾向にあることが判る。
クリーニングブレード161の当接圧は、図16に示されるように、初期的及び経時的にクリーニング性を確保するため、設置値に下限と上限とが設けられている。クリーニングブレード161のへたり量が大きいと、クリーニングブレード161の当接圧が減少して設置値下限値を下回ることとなる。そのため、クリーニングブレード161の当接圧は、へたりによる減少分を考慮して、予め高めに設定する必要がある。一方、クリーニングブレード161の当接圧は、初期的に上限値を超えることができない。そのため、へたり量が大きいクリーニングブレード161は、ブレード当接圧のバラツキを考慮した設定範囲が狭くなる。その結果、クリーニングブレード161は、製造されたクリーニングブレード161のうち当接圧が設定範囲を満たすものが減少して製造コストの上昇を招くため、へたり量は小さいことが望ましい。クリーニングブレード161の100%永久伸びは、1%以下であることが望ましい。
図17はクリーニングブレード161の接触層及び支持層を構成する種々の第1及び第2材料におけるへたり量を示すグラフである。
クリーニングブレード161のへたり量は、図17に示されるように、接触層161aを構成する第1材料COL−Aと、支持層161bを構成する第2材料SUL−A又はSUL−Bと組み合わせることで、0.07〜0.8(mm)程度と良好な値を示すことが判る。
ただし、接触層161aを構成する第1材料COL−Aは、単独ではへたり量が約0.14と比較的大きいことが判る。一方、支持層161bを構成する第2材料SUL−A、SUL−Cは、へたり量が約0.10と比較的値が小さく望ましい。また、接触層161aを構成する第1材料COL−A、COL−B、COL−Cと、支持層161bを構成する第2材料SUL−A、SUL−Bと組み合わせた2層構成のクリーニングブレード161は、いずれもへたり量が0.10未満と小さく望ましいことが判る。
そこで、この実施の形態では、100%永久伸びが1%以下の第二材料で構成され、接触層161aを支持する支持層161bを備えるように構成されている。
また、クリーニングブレード161のへたり量は、0.15mm以下であることが望ましく、更に0.10mm以下であることが望ましい。
なお、前記実施の形態では、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)を有するフルカラーの画像形成装置について説明したが、ブラック(K)の作像装置10Kのみからなるモノクロの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。
また、前記実施の形態では、被清掃手段として感光体ドラムに適用した場合について説明したが、被清掃手段としては、中間転写ベルトや各種ロールなど種々のものに同様に適用することができることは勿論である。
1…画像形成装置
1a…装置本体
10Y〜10K…フルカラーの作像装置
11…感光体ドラム
16…ドラムクリーニング装置
161…クリーニングブレード
161a…接触層
161b…支持層
1a…装置本体
10Y〜10K…フルカラーの作像装置
11…感光体ドラム
16…ドラムクリーニング装置
161…クリーニングブレード
161a…接触層
161b…支持層
Claims (11)
- 動的粘弾性における損失正接のピーク温度が摂氏−20度以下の第一材料で構成され、被清掃手段に接触する少なくとも接触部を形成する接触層を備えるクリーニングブレード。
- 100%永久伸びが1%以下の第二材料で構成され、前記接触層を支持する支持層を備える請求項1に記載のクリーニングブレード。
- 前記クリーニングブレードを前記被清掃手段に対して予め定められた食い込み量となるよう接触させた状態で、高温高湿環境下に予め定められた時間だけ放置した後、前記クリーニングブレードの食い込み量の低下が0.15mm以下である請求項1に記載のクリーニングブレード。
- 前記クリーニングブレードの食い込み量の低下が0.10mm以下である請求項3に記載のクリーニングブレード。
- 被清掃手段を清掃するクリーニングブレードを備え、
前記クリーニングブレードとして、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたクリーニングブレードを用いたクリーニング装置。 - 像保持手段と、
前記像保持手段を清掃するクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段として請求項5に記載されたクリーニング装置を用いたプロセスカートリッジ。 - 静電潜像を保持する像保持手段と、
前記像保持手段に保持された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持手段を清掃するクリーニング手段と、
を備え、
前記クリーニング手段として請求項5に記載されたクリーニング装置を用いた画像形成装置。 - 前記像保持手段は、表面に無機保護層を備えた請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記無機保護層は、酸化ガリウムを含有する請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記クリーニング手段のクリーニングブレードの接触層は、動的粘弾性特性における損失正接のピーク温度が摂氏−25度以下である請求項8又は9に記載の画像形成装置。
- 前記現像手段は、脂肪酸金属塩を含むトナーを用いた請求項7乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
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