JP2019165551A - モータ装置及びモータの駆動制御方法 - Google Patents

モータ装置及びモータの駆動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】主に用いられる駆動回路が故障した場合においてもモータが反対の方向に回転することを防止することができるモータ装置を提供する。【解決手段】モータ装置1は、3相のコイルLu,Lv,Lw及び単相のコイルLu2,Lv2,Lw2を有するモータ20と、3相のコイルLu,Lv,Lwに駆動電流を供給可能な第1駆動回路2と、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に駆動電流を供給可能な、第1駆動回路2とは異なる第2駆動回路52とを備える。第1駆動回路2は、3相のコイルLu,Lv,Lwのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路2aを有する。第2駆動回路52は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の両端に接続された単相インバータ回路52aを有する。【選択図】図1

Description

この発明は、モータ装置及びモータの駆動制御方法に関し、特に、3相のモータを駆動するモータ駆動制御装置を有するモータ装置及びモータの駆動制御方法に関する。
モータ駆動制御装置により3相のモータを駆動するモータ装置において、モータ駆動制御装置の駆動回路に故障が発生し、モータを駆動させることができなくなる場合がある。所定の回転方向にモータを駆動させる用途において、上記のようにモータを駆動させることができなくなったとき、外力が作用してモータが所定の回転方向とは反対の方向に強制的に回転すると、問題が生じる場合がある。
例えば、モータ駆動制御装置によりファンモータを駆動する場合において、モータ駆動制御装置の駆動回路が故障し、大電流が流れることで電源ラインのヒューズが切れ、モータ駆動制御装置が動作不能になることがある。このようにモータ駆動制御装置が動作不能となり、ファンモータの駆動が停止した場合において、例えば、当該ファンモータと併用されている他のファンモータの動作に伴って当該ファンモータに風が流入すると、当該ファンモータが逆回転する可能性がある。例えば、複数のファンモータがハウジングで囲まれた装置の冷却用途に用いられている場合において、上記のようにして1つのファンモータが逆回転すると、装置の冷却機能が低下する。
このようなモータ駆動制御装置の駆動回路が故障したときに発生する問題に関連して、下記特許文献1には、2系統の駆動回路を設ける構成が開示されている。
特開2014−91455号公報
上記の特許文献1に記載の装置は、同等な機能を持つ2系統の駆動回路を備えている。そのため、例えば一方の系統の駆動回路が故障した場合であっても、他方の系統の駆動回路を用いて同等にモータを駆動することができる。しかしながら、同等の2系統の駆動回路を用いるため、回路の規模が大きくなり、モータ駆動制御装置の製造コストが高くなるという問題がある。
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、主に用いられる駆動回路が故障した場合においてもモータが反対の方向に回転することを防止することができるモータ装置及びモータの駆動制御方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、モータ装置は、3相のコイル及び単相のコイルを有するモータに駆動電流を供給してモータを駆動するモータ駆動制御装置であって、3相のコイルに駆動電流を供給可能な第1系統の駆動回路と、単相のコイルに駆動電流を供給可能な、第1系統の駆動回路とは異なる第2系統の駆動回路とを備え、第1系統の駆動回路は、3相のコイルのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路を有し、第2系統の駆動回路は、単相のコイルの両端に接続された単相インバータ回路を有する。
好ましくは、単相のコイルは、3相のコイルが巻回される複数のティースのうち少なくとも1つに巻回されている。
好ましくは、単相のコイルは、3相のコイルの第1の相のコイルが巻回される少なくとも1つのティース、3相のコイルの第2の相のコイルが巻回される少なくとも1つのティース、及び3相のコイルの第3の相のコイルが巻回される少なくとも1つのティースのそれぞれに巻回されている。
好ましくは、3相のコイルのいずれか1相のコイルが巻回されるティースへの単相のコイルの巻回方向は、他の2相のコイルが巻回されるティースへの単相のコイルの巻回方向とは異なっている。
好ましくは、第1系統の駆動回路の動作を制御して第1系統の駆動回路によりモータを駆動する駆動制御手段と、第1系統の駆動回路が異常状態であることを検出する検出手段と、検出手段により第1系統の駆動回路が異常状態であることが検出されたとき、モータに駆動電流を供給する駆動回路を第1系統の駆動回路から第2系統の駆動回路に切り替える切替手段とをさらに備える。
好ましくは、電源から第1系統の駆動回路への電力の供給状況を監視する監視手段をさらに備え、検出手段は、監視手段による監視結果に応じて第1系統の駆動回路が異常状態であることを検出する。
好ましくは、モータのロータの位置に応じて位置信号を出力する1つの位置検出器をさらに備え、駆動制御手段は、位置信号に基づいて第1系統の駆動回路の動作を制御し、第2系統の駆動回路は、単相インバータ回路の動作を制御する単相駆動手段を有し、単相駆動手段は、位置信号に基づいて単相インバータ回路の動作を制御する。
好ましくは、位置検出器は、磁気センサであり、位置検出器は、単相のコイルの逆起電圧のゼロクロス点に対して電気角で所定の角度範囲内において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるように配置されている。
好ましくは、所定の角度範囲は、電気角でプラスマイナス30度の範囲である。
好ましくは、位置検出器は、第2系統の駆動回路に内蔵されている。
好ましくは、切替手段は、第2系統の駆動回路に制御電圧を印加することによりモータに駆動電流を供給する駆動回路の切り替えを行い、第2系統の駆動回路は、制御電圧が基準電圧であるときに駆動電流の供給動作を行わず、制御電圧が所定の駆動電圧であるときに駆動電流の供給動作を行う。
好ましくは、第2系統の駆動回路の制御電圧が印加される端子は、所定の駆動電圧を出力する電圧源に接続されており、駆動制御手段による動作と切替手段による動作とが共に行われない場合に、電圧源により所定の駆動電圧が印加されることにより、第2系統の駆動回路によりモータに駆動電流が供給される。
この発明の他の局面に従うと、モータの駆動制御方法は、モータ駆動制御装置を用いて3相のコイル及び単相のコイルを有するモータに駆動電流を供給してモータを駆動するモータの駆動制御方法であって、モータ駆動制御装置は、3相のコイルに駆動電流を供給可能な第1系統の駆動回路と、単相のコイルに駆動電流を供給可能な、第1系統の駆動回路とは異なる第2系統の駆動回路とを備え、第1系統の駆動回路は、3相のコイルのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路を有し、第2系統の駆動回路は、単相のコイルの両端に接続された単相インバータ回路を有し、モータの駆動制御方法は、第1系統の駆動回路の動作を制御して第1系統の駆動回路によりモータを駆動する駆動制御ステップと、第1系統の駆動回路によりモータを駆動している場合において、第1系統の駆動回路が異常状態であることを検出する検出ステップと、検出ステップにより第1系統の駆動回路が異常状態であることが検出されたとき、モータに駆動電流を供給する駆動回路を第1系統の駆動回路から第2系統の駆動回路に切り替える切替ステップとを備える。
これらの発明に従うと、主に用いられる駆動回路が故障した場合においてもモータが反対の方向に回転することを防止することができるモータ装置及びモータの駆動制御方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の1つにおけるモータ装置の構成を示す図である。 モータ装置のモータのステータの一例を示す図である。 モータに対する単相駆動時の駆動電流の供給動作を説明する図である。 制御回路部による制御動作を説明するフローチャートである。 状態確認処理の一例を示すフローチャートである。 切替処理の一例を示すフローチャートである。 ファンモータの3相のコイルを駆動させる駆動回路が動作不能となり、ファンモータの駆動が停止した場合において、ファンモータとして用いられるモータに外力が加わった場合のモータの状態の具体例を説明するグラフである。 本実施の形態のモータ装置に用いることが可能なモータの一変形例を示す図である。 モータ20bに対する単相駆動時の駆動電流の供給動作を説明する図である。 本実施の形態のモータ装置に用いることが可能なモータの一変形例を示す図である。 モータ20cに対する単相駆動時の駆動電流の供給動作を説明する図である。 本実施の形態の別の変形例に係るモータ装置を示す図である。 本実施の形態の別の変形例に係るモータ装置を示す図である。 状態確認処理の一変形例を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態におけるモータ装置について説明する。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるモータ装置1の構成を示す図である。図2は、モータ装置1のモータ20のステータの一例を示す図である。
図1に示されるように、モータ装置1は、モータ20と、モータ20に駆動電流を供給しモータ20を駆動するモータ駆動制御装置とを有している。モータ20は、U相、V相、W相(第1の相、第2の相、第3の相の一例)の3相のコイルLu,Lv,Lwを有する3相モータである。本実施の形態において、モータ20は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2を有している。モータ20の種類は、同期モータ、ブラシレスモータなど、いずれであってもよい。
なお、図1及び図2において、3相のコイルLu,Lv,Lwや単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、模式的に示されている。
図2に示されるように、3相のコイルLu,Lv,Lwは、鉄心22に設けられている複数のティース23のそれぞれに巻回されている。例えば、9つのティース23が設けられている場合において、3相のコイルLu,Lv,Lwのそれぞれは、3つのティース23に巻回されている。図1に示されるように、U相のコイルLu、V相のコイルLv、及びW相のコイルLwのそれぞれの一端は、モータ駆動制御装置に接続され、それぞれの他端は、互いに接続されている。
図2に示されるように、本実施の形態において、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、複数のティース23のそれぞれに巻回されている。すなわち、9つのティース23が設けられている場合において、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、3相のコイルLu,Lv,LwのU相のコイルLuが巻回される3つのティース23、V相のコイルが巻回される3つのティース23、及びW相のコイルが巻回される少なくとも3つのティース23のそれぞれに巻回されている。具体的には、U相のコイルLuが巻回されるティース23にはコイルLu2が巻回されており、V相のコイルLvが巻回されるティース23にはコイルLv2が巻回されており、W相のコイルLwが巻回されるティース23にはコイルLw2が巻回されている。コイルLu2と、コイルLv2と、コイルLw2とは、互いに直列に接続されている。すなわち、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、2つの端部を有している。なお、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、U相のコイルLuが巻回される少なくとも1つのティース23、V相のコイルが巻回される少なくとも1つのティース23、及びW相のコイルが巻回される少なくとも1つのティース23のそれぞれに巻回されていてもよい。
3相のコイルLu,Lv,Lwのいずれか1相のコイルが巻回されるティース23への単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の巻回方向は、他の2相のコイルが巻回されるティース23への単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の巻回方向とは異なっている。図2に示される例では、U相のコイルLuが巻回されるティース23へのコイルLu2の巻回方向は、V相のコイルLvが巻回されるティース23へのコイルLv2の巻回方向及びW相のコイルLwが巻回されるティース23へのコイルLw2の巻回方向とは異なっている。例えば、コイルLu2の巻回方向がCW(時計回り方向)であるとき、他のコイルLv2,Lw2の巻回方向は、CCW(反時計回り方向)である。換言すると、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に電流が流れるとき、コイルLu2に流れる電流の向きと、他のコイルLv2,Lw2に流れる電流の向きとは、異なっている。
図1に示されるように、モータ装置1は、モータ20のほか、制御回路部(駆動制御手段の一例、検出手段の一例、切替手段の一例、監視手段の一例)3と、位置検出器5とを備える。また、モータ装置1は、モータ20の3相のコイルLu,Lv,Lwに駆動電流を供給可能な第1駆動回路(第1系統の駆動回路の一例)2と、モータ20の単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に駆動電流を供給可能な、第1駆動回路2とは異なる第2駆動回路(第2系統の駆動回路の一例)52とを備える。制御回路部3、位置検出器5、第1駆動回路2、及び第2駆動回路52などで、モータ駆動制御装置が構成される。
詳細は後述するが、第1駆動回路2は、3相のコイルLu,Lv,Lwのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路2aを有し、第2駆動回路52は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の両端に接続された単相インバータ回路52aを有する。モータ装置1は、第1駆動回路2の動作を制御して第1駆動回路2によりモータ20を駆動する駆動制御手段と、第1駆動回路2が異常状態であることを検出する検出手段と、検出手段により第1駆動回路2が異常状態であることが検出されたとき、モータ20に駆動電流を供給する駆動回路を第1駆動回路2から第2駆動回路52に切り替える切替手段とを備えている。また、モータ装置1は、電源から第1駆動回路2への電力の供給状況を監視する監視手段を備え、検出手段は、監視手段による監視結果に応じて第1駆動回路2が異常状態であることを検出する。なお、本実施の形態では、制御回路部3が駆動制御手段、検出手段、切替手段、監視手段の機能を含んでいる。さらに、モータ装置1の制御回路部3は、駆動制御手段として、位置検出器5が出力する位置信号に基づいて第1駆動回路2の動作を制御し、第2駆動回路52は、単相インバータ回路52aの動作を制御する単相駆動部(単相駆動手段の一例)52bを有し、単相駆動部52bは、位置信号に基づいて単相インバータ回路52aの動作を制御する。
位置検出器5は、モータ20の3相のうちいずれか1相に対応し、モータ20のロータの位置に対応して位相が変化する位置信号を出力する。具体的には、位置検出器5は、例えば、ホール素子やホールICなどの磁気センサである。本実施の形態では、位置検出器5は、具体例として、ホールICであり、位置信号はホール信号Shである。位置検出器5から出力されるホール信号Shは、制御回路部3と第2駆動回路52とに入力される。位置検出器5は、モータ20の1箇所においてロータの位置を検出し、ホール信号Shを出力する。なお、プリドライブ回路に位置信号を入力して信号処理する機能を有する場合、位置信号は、制御回路部3に入力する代わりに、プリドライブ回路に入力するように構成してもよい。
ホール信号Shは、ロータが1回転する間に、所定の位置をロータが通過したとき(ロータが第1の回転位置になったとき)にローからハイになり(立ち上がり;立ち上がりエッジ)、それとは別の所定の位置をロータが通過したとき(ロータが第2の回転位置になったとき)にハイからローに戻る(立ち下がり;立ち下がりエッジ)。ホール信号Shは、ロータの回転に応じて周期的にハイ、ローとなる信号である。ホール信号Shは、ロータの位置に応じて、すなわちモータ20の各相とロータとの位置関係に応じて、位相が変化する信号である。
本実施の形態において、1つの位置検出器5のみが設けられており、モータ20のうち1箇所のみで検出されたホール信号Shが制御回路部3と第2駆動回路52とに入力される。モータ装置1は、制御回路部3を用いて、ロータの位置を検出するための位置検出器5を1つのみ使用する1センサ方式で、モータ20を駆動する。位置検出器5は、巻回方向が他のコイルLu2,Lw2とは異なるコイルLv2に対応する位置(例えばモータ20のU相とV相の間)に、配置されている。
なお、位置検出器5は、モータ20の他のいずれかの相に対応するものであってもよい。また、3相のそれぞれに対応する2つ又は3つの位置検出器5が設けられており、そのうち1箇所の位置検出器5のみから出力されたホール信号Shが制御回路部3及び第2駆動回路52に入力されて用いられるようにしてもよい。
第1駆動回路2は、モータ20の3相のコイルLu,Lv,Lwを選択的に通電する。すなわち、第1駆動回路2は、モータ20に駆動電流を供給可能である。第1駆動回路2は、3相のコイルLu,Lv,Lwのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路2aと、プリドライブ回路2bとを有している。第1駆動回路2には、制御回路部3から出力される駆動制御信号Sd1が入力される。
3相インバータ回路2aは、プリドライブ回路2bから出力される6種類の駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlに基づいてモータ20の3相のコイルLu,Lv,Lwを選択的に通電し、モータ20を駆動する。
本実施の形態において、3相インバータ回路2aは、モータ20のコイルLu,Lv,Lwのそれぞれに駆動電流を供給するための6個のスイッチング素子Q1−Q6を備えている。スイッチング素子Q1,Q3,Q5は、直流電源の正極側にメインヒューズ7を介して接続されたPチャンネルのMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)からなるハイサイドスイッチング素子である。スイッチング素子Q2,Q4,Q6は、直流電源の負極(本実施の形態において、グランド)側に配置されたNチャンネルのMOSFETからなるローサイドスイッチング素子である。スイッチング素子Q2,Q4,Q6のソース端子は、直流電源の負極に、センス抵抗R0を介して接続されている。スイッチング素子Q1,Q2の組み合わせ、スイッチング素子Q3,Q4の組み合わせ、及びスイッチング素子Q5,Q6の組み合わせのそれぞれにおいて、2つのスイッチング素子が直列に接続されている。そして、これらの3組の直列回路が並列に接続されて、ブリッジ回路が構成されている。スイッチング素子Q1,Q2の接続点が、U相のコイルLuの一端に接続される出力端子Tuに接続されている。スイッチング素子Q3,Q4の接続点が、V相のコイルLvの一端に接続される出力端子Tvに接続されている。スイッチング素子Q5,Q6の接続点が、W相のコイルLwの一端に接続される出力端子Twに接続されている。上述のように、3相インバータ回路2aに接続されていないコイルLu,Lv,Lwの他端は、モータ20において互いに接続されている。
プリドライブ回路2bは、3相インバータ回路2aの6個のスイッチング素子Q1−Q6のそれぞれのゲート端子に接続される複数の出力端子を備えている。各出力端子から駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlを出力して、スイッチング素子Q1−Q6のオン/オフ動作を制御する。制御回路部3から出力される駆動制御信号Sd1は、プリドライブ回路2bに入力される。プリドライブ回路2bは、駆動制御信号Sd1に基づいて、駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlを出力することにより、3相インバータ回路2aを動作させる。すなわち、3相インバータ回路2aは、駆動制御信号Sd1に基づいて、モータ20の各相のコイルLu,Lv,Lwに選択的に通電する。
第2駆動回路52は、モータ20に駆動電流を供給可能である。第2駆動回路52は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の両端に接続された単相インバータ回路52aを有する。また、第2駆動回路52は、単相インバータ回路52aに駆動信号V1u,V1l,V2u,V2lを出力して単相インバータ回路52aを動作させる単相駆動部(単相駆動手段の一例)52bを有する。第2駆動回路52は、例えば、1チップの単相駆動ドライバICである。
単相インバータ回路52aは、単相駆動部52bから出力される4種類の駆動信号V1u,V1l,V2u,V2lに基づいて、モータ20の単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に通電する。本実施の形態において、単相インバータ回路52aは、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に駆動電流を供給するための4個のスイッチング素子Q7−Q10を備えている。スイッチング素子Q7,Q9は、直流電源の正極側に配置されたPチャンネルのMOSFETからなるハイサイドスイッチング素子である。スイッチング素子Q8,Q10のソース端子は、直流電源の負極側に配置されたNチャンネルのMOSFETからなるローサイドスイッチング素子である。スイッチング素子Q8,Q10は、直流電源の負極に、センス抵抗R0を介して接続されている。スイッチング素子Q7,Q8の組み合わせとスイッチング素子Q9,Q10の組み合わせとのそれぞれにおいて、2つのスイッチング素子が直列に接続されている。そして、これらの2組の直列回路が並列に接続されている。スイッチング素子Q7,Q8の接続点が、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の一端(図に示される例では、コイルLu2の一端)に接続される出力端子T1に接続されている。また、スイッチング素子Q9,Q10の接続点が、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の他端(図に示される例では、コイルLw2の一端)に接続されている。
単相駆動部52bには、位置検出器5から出力されたホール信号Shが入力される。単相駆動部52bは、ホール信号Shに基づいて、単相インバータ回路52aの動作を制御する。すなわち、単相駆動部52bは、単相インバータ回路52aの4個のスイッチング素子Q7−Q10のそれぞれのゲート端子に接続される複数の出力端子を備えている。単相駆動部52bは、ホール信号Shに基づいて、各出力端子から駆動信号V1u,V1l,V2u,V2lを出力して、スイッチング素子Q7−Q10のオン/オフ動作を制御する。
以下に詳述するように、制御回路部3は、切替手段として、第2駆動回路52に制御電圧を印加することによりモータ20に駆動電流を供給する駆動回路の切り替えを行い、第2駆動回路52は、制御電圧が基準電圧であるときに駆動電流の供給動作を行わず、制御電圧が所定の駆動電圧であるときに駆動電流の供給動作を行う。
本実施の形態において、第2駆動回路52は、制御端子の電位に応じて、駆動電流の供給動作を行う。具体的には、第2駆動回路52は、制御電圧が基準電圧であるとき(例えば、グランドに接続されているとき)に駆動電流の供給動作を行わず、制御電圧が所定の駆動電圧(例えば、5ボルトであるが、これに限られない。また、駆動電圧の値に幅があってもよい。)であるときに駆動電流の供給動作を行う。すなわち、第2駆動回路52は、制御端子に基準電圧が印加されているときには、単相駆動部52bが駆動信号V1u,V1l,V2u,V2lを出力せず、単相インバータ回路52aがオン/オフ動作を行わないため、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に駆動電流が供給されない。他方、第2駆動回路52は、制御端子に所定の駆動電圧が印加されているときには、単相駆動部52b及び単相インバータ回路52aが動作することにより、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に駆動電流が供給される。
第2駆動回路52の制御端子には、制御回路部3から出力される制御信号(制御電圧の一例)Sd2が入力される。制御信号Sd2は、例えば、基準電圧と所定の駆動電圧とのいずれかの電圧値をとる制御電圧であり、ロー(基準電圧)かハイ(所定の駆動電圧)のいずれかの水準の電圧値をとる信号である。制御回路部3は、ローまたはハイのいずれかの水準の電圧値の制御信号Sd2を出力することで、第2駆動回路52の制御端子に制御電圧を印加する。これにより、制御回路部3により、第2駆動回路52によるモータ20に対する駆動電流の供給動作が行われるか否かが切り替えられる。
制御回路部3は、例えば、マイクロコンピュータ(MCU)で構成されている。制御回路部3は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロコンピュータなどのプログラマブルデバイスを用いて構成することができるが、これに限られるものではない。制御回路部3は、例えば、デジタル回路等であってもよい。
制御回路部3には、電源電圧Vccに基づいてレギュレータ(電圧源の一例)8によって生成された駆動電圧Vdが印加されている。
制御回路部3は、モータ20を駆動させるための駆動制御信号Sd1を第1駆動回路2に出力し、モータ20の制御を行う。制御回路部3は、複数のスイッチング素子Q1−Q6を動作させる駆動制御信号Sd1を第1駆動回路2に出力することで、モータ20の制御を行い、モータ20を回転させる。制御回路部3は、位置検出器5から出力されるホール信号Shに基づいて、駆動制御信号Sd1をプリドライブ回路2bに出力する。
制御回路部3は、第1駆動回路2により3相のコイルLu,Lv,Lwに通電する6通りの通電パターンを、所定の順序で、ホール信号Shの位相の変化に応じて切り替える。
すなわち、モータ20は3相のコイルLu,Lv,Lwを有しているので、6つの通電パターンがある。すなわち、(1)ハイサイドU相UH及びローサイドV相VLの組合せの第1通電パターン、(2)ハイサイドU相UH及びローサイドW相WLの組合せの第2通電パターン、(3)ハイサイドV相VH及びローサイドW相WLの組合せの第3通電パターン、(4)ハイサイドV相VH及びローサイドU相ULの組合せの第4通電パターン、(5)ハイサイドW相WH及びローサイドU相ULの組合せの第5通電パターン、及び(6)ハイサイドW相WH及びローサイドV相VLの組合せの第6通電パターンがある。
また、制御回路部3は、上述のように、ローまたはハイのいずれかの水準の電圧値の制御信号Sd2を出力することで、第2駆動回路52の制御端子に制御電圧を印加する。これにより、制御回路部3により、第2駆動回路52による駆動電流の供給動作が行われるか否かが切り替えられる。
ここで、監視手段として機能する制御回路部3は、直流電源から第1駆動回路2への電力の供給状況を監視する。制御回路部3は、メインヒューズ7の3相インバータ回路2a側の端部に、抵抗R5を介して接続されている。すなわち、制御回路部3には、抵抗R5を介してメインヒューズ7の3相インバータ回路2a側の端部の電圧に対応する監視電圧Vsが入力される。制御回路部3は、監視電圧Vsの値を監視することで、直流電源の状況を監視する。
図3は、モータ20に対する単相駆動時の駆動電流の供給動作を説明する図である。
図3においては、位置検出器5により出力されるV相についてのホール信号Svの波形の例と、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2のそれぞれの逆起電圧Vu,Vv,Vwの波形の例と、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2全体としての逆起電圧Vu−v−w(逆起電圧Vuと、正負反転した逆起電圧Vvと、正負反転した逆起電圧Vwとを合成した電圧)の波形の例とが示されている。図に示されているように、V相についてのホール信号Svの位相の変化タイミングに応じて単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に駆動電流を流すことで、3相のモータ20を単相駆動させることができる。
図3に示されるように、ホール信号Svの波形の立ち上がり点及び立ち下がり点は、逆起電圧Vu−v−wのゼロクロス点に対応する位置となっている。換言すると、本実施の形態において、位置検出器5は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の逆起電圧Vu−v−wのゼロクロス点において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置されている。これにより、モータ20の単相駆動時において、位置検出器5から出力されるホール信号Svの立ち上がり及び立ち下がりに応じたタイミングで単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の通電方向を切り替える単純な制御によりモータ20を回転させることができる。なお、位置検出器5は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の逆起電圧Vu−v−wのゼロクロス点に対して電気角で所定の角度範囲内において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置されていればよい。所定の角度範囲は、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の逆起電圧Vu−v−wのゼロクロス点に対して電気角でプラスマイナス30度の範囲であり、これにより、ホール信号Svの立ち上がり及び立ち下がりに応じたタイミングで単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の通電方向を切り替える単純な制御により、モータ20を回転させることができる。また、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2のそれぞれの、ティース23に巻回するターン数が同じである場合、逆起電圧Vu−v−wの波高値は、逆起電圧Vuの波高値よりも大きくすることができる。その結果、大きなトルクを得ることができる。
[モータ装置1の動作の説明]
本実施の形態において、3相のコイルLu,Lv,Lw及び単相のコイルLu2,Lv2,Lw2を有するモータ20を駆動するモータ20の駆動制御方法は、通常時においては、駆動制御手段として機能する制御回路部3により第1駆動回路2の動作を制御して、第1駆動回路2によりモータ20を駆動する(駆動制御ステップ)。このとき、第2駆動回路52を用いたモータ20への駆動電流を供給しない。また、第1駆動回路2によりモータ20を駆動している場合において、検出手段として機能する制御回路部3は、第1駆動回路2が異常状態であることを検出する(検出ステップ)。そして、第1駆動回路2が異常状態であることが検出されたとき、切替手段として機能する制御回路部3は、モータ20に駆動電流を供給する駆動回路を第1駆動回路2から第2駆動回路52に切り替える(切替ステップ)。
図4は、制御回路部3による制御動作を説明するフローチャートである。
図4に示される一連の処理は、モータ装置1の動作時に繰り返し実行されるものである。
ステップS11において、制御回路部3は、モータ装置1の状態確認処理を行う。
図5は、状態確認処理の一例を示すフローチャートである。
制御回路部3は、状態確認処理を行うことで、第1駆動回路2が異常状態であることを検出する。
図5に示されるように、ステップS21において、制御回路部3は、監視電圧Vsが所定の電圧閾値V1よりも低いか否かを判断する。監視電圧Vsが電圧閾値V1以上であるとき(NO)、制御回路部3は、異常状態であるとは判定せず、状態確認処理を終了する。
監視電圧Vsが電圧閾値V1より低いとき(YES)、ステップS22において、制御回路部3は、異常状態であることを検出する。異常状態であることが検出されると、状態確認処理が終了する。
例えば以下のような場合において、制御回路部3は、検出手段として機能し、第1駆動回路2が異常状態であることを検出する。すなわち、例えば3相インバータ回路2aのいずれかのスイッチング素子Q1−Q6が故障するなどして、ショートが発生する場合がある(異常状態の一例)。このような故障が発生すると、第1駆動回路2に大きな電流が流れ、メインヒューズ7に流れる電流が大きくなり、メインヒューズ7が切れる。そうすると、監視電圧Vsが低くなり、電圧閾値V1未満になるため、制御回路部3が異常状態であることを検出する。
図4に戻って、ステップS12において、制御回路部3は、状態確認処理で異常状態であることが検出されたか否かを判断する。状態確認処理で異常状態であることが検出されていないと判断されれば(NO)、ステップS13に進む。状態確認処理で異常状態であることが検出されたと判断されれば(YES)、ステップS14に進む。
ステップS13において、制御回路部3は、第1駆動回路2によるモータ20の駆動を継続させる。すなわち、制御回路部3は、モータ20を駆動させるための駆動制御信号Sd1を第1駆動回路2に出力し、第1駆動回路2によりモータ20に駆動電流を供給する。これにより、モータ装置1は、モータ20の3相駆動を行う。ステップS13の処理が終了すると、ステップS11に戻る。
他方、ステップS14において、制御回路部3は、切替処理を行う。本実施の形態において、制御回路部3は、ハイ(所定の駆動電圧)の水準の電圧値の制御信号Sd2を出力することで、第2駆動回路52の制御端子に制御電圧を印加することにより、モータ20に駆動電流を供給する駆動回路を第1駆動回路2から第2駆動回路52に切り替える。
図6は、切替処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS51において、制御回路部3は、第1駆動回路2を停止させるように、駆動制御信号Sd1を出力する。これにより、第1駆動回路2によるモータ20への駆動電流の供給が停止される。
ステップS52において、制御回路部3は、制御信号Sd2をロー(基準電圧)からハイ(所定の駆動電圧)に切り替える。これにより、第2駆動回路52による駆動電流の供給動作が開始される。
ステップS53の処理が終了すると、切替処理が終了する。そうすると、図4に戻って、ステップS11に戻る。
以上説明したように、本実施の形態では、通常の駆動時においては、3相インバータ回路2aを含む第1駆動回路2でモータ20が3相駆動される。そして、第1駆動回路2に異常が発生すると、単相インバータ回路52aを含む第2駆動回路52に駆動回路が切り替えられ、第2駆動回路52によってモータ20が単相駆動される。すなわち、モータ装置1は、モータ20の3相のコイルLu,Lv,Lwに通電されるメイン駆動回路として用いられる第1駆動回路2と、モータ20の単相のコイルLu2,Lv2,Lw2に通電するバックアップ回路として用いられる、第1駆動回路2とは別個の駆動回路である第2駆動回路52とを含んでいる。バックアップ回路として用いられる第2駆動回路52は、モータ20を単相駆動する、単純な構成の回路である。したがって、モータ装置1の回路規模を比較的小さくすることができ、製造コストを低く抑えることができる。
モータ装置1に第1駆動回路2のみが設けられている場合には、第1駆動回路2が故障し、モータ20を駆動することができなくなると、モータ20が外力により逆回転することを止めることができなくなる。ショートブレーキを作用させたとしても、逆回転の回転速度を低減させることができるが、モータ20を停止させることはできない。
これに対し、本実施の形態では、第1駆動回路2の故障などでモータ装置1が異常状態になっても、簡素な構成の第2駆動回路52で、単相駆動によるトルクをモータ20に加えることができる。したがって、少なくともモータ20が逆回転することを防止することができる。そのうえ、モータ20を逆回転させようとする外力が小さければ、単相駆動によるトルクによりモータ20を正回転させることができる。したがって、本実施の形態では、モータ装置1の製造コストを低く抑え、かつ、モータ装置1に異常状態が発生してモータ20を通常のように駆動することができなくなってもその影響を小さく抑えることができる。
なお、単相駆動に用いるコイルを3相駆動に用いるコイルの一部と共有する方法が考えられるが、本実施の形態では、単相駆動に用いられる単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、3相駆動に用いられる3相のコイルLu,Lv,Lwとは独立したコイルとしているため、もし、3相のコイルLu,Lv,Lwのいずれかに異常状態(例えば、断線、短絡など)が発生したとしても、その影響を受けずに、単相駆動を行うことができる。また、駆動用コイルを共有する場合、一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動電流が流入しないように駆動経路を遮断するスイッチを必要とすることが考えられるが、本実施の形態では、3相駆動系と単相駆動系のそれぞれが独立しているため、そのようなスイッチは不要となり、モータ装置1の回路構成を簡素化でき、また、部品実装面積を小さくできる。さらには、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2は、3相のコイルLu,Lv,Lwとは独立しているため、3相駆動を考慮せずに、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の構成について自由に設計できる。
例えばファンモータとして用いられるモータ20を用いたモータ装置1において、第1駆動回路2が故障すると、内外の圧力差があったりファンに風が当たったりして、ファンが逆回転する可能性がある。このような場合においても、本実施の形態においては、第2駆動回路52によりモータ20を単相駆動させることができるので、ファンが逆回転しないように、モータ20を停止状態に維持したり、モータ20を正回転させることができる。したがって、第1駆動回路2が故障した場合であっても、ファンモータによる冷却機能が低下することを防止することができる。
図7は、ファンモータの3相のコイルを駆動させる駆動回路が動作不能となり、ファンモータの駆動が停止した場合において、ファンモータとして用いられるモータ20に外力が加わった場合のモータ20の状態の具体例を説明するグラフである。
図7においては、本実施の形態として、モータ20が第2駆動回路52により単相駆動される場合(「単相駆動」)、従来例として、モータにショートブレーキが掛けられている場合(「SB」)、従来例として、モータがモータ駆動制御装置による制動制御が行われない場合(「駆動なし」)の3つの場合について、それぞれ、バックフローを発生させる圧力差が比較的大きい場合(「圧力差:大」)と小さい場合(「圧力差:小」)とにおけるモータ20の回転数が示されている。
図7の「駆動なし」に示されるように、従来例として、モータがモータ駆動制御装置による制動制御が行われない場合には、「圧力差:大」の場合及び「圧力差:小」の場合とも、モータは、外力によって、正回転方向とは反対方向(逆回転方向)に逆回転(バックフローと呼ばれる)をしてしまう。
また、図7の「SB」に示されるように、従来例として、モータ駆動制御装置による制動制御として、モータにショートブレーキが掛けられている場合には、外力に抗して、モータの回転数が小さくなる。しかしながら、それぞれ、モータは、外力によって、低い回転数でも逆回転(バックフロー)をしてしまう。
他方、図7の「単相駆動」に示されるように、本実施の形態のモータ装置1では、モータ20が第2駆動回路52により単相駆動されるため、モータ20は、いずれも、正方向に回転する。「圧力差:小」の場合のようにモータ20を逆回転させるような比較的小さい外力がモータ20に加わっているときには、例えば、正方向に比較的高い回転数で回転させることができる。「圧力差:大」の場合のようにモータ20を逆回転させるような比較的大きい外力がモータ20に加わっているときであっても、回転数は低いものの、モータ20を正方向に回転させることができる。したがって、本実施の形態のモータ装置1は、バックフローを回避することができる。
また、本実施の形態においては、第1駆動回路2からモータ20に駆動電流を供給する場合と、第2駆動回路52からモータ20に駆動電流を供給する場合とで、1つの位置検出器5を共用する。したがって、モータ装置1の回路構成を簡素化し、モータ装置1の製造コストを低減させることができる。
[変形例の説明]
モータ装置1に用いられるモータ20において、単相のコイルは、3相のコイルLu,Lv,Lwが巻回される複数のティース23のうち少なくとも1つに巻回されていればよい。
例えば、U相のコイルLuが巻回される複数のティース23の全てに巻回されたコイルLu2と、V相のコイルLvが巻回される複数のティース23の全てに巻回されたコイルLv2とで、単相のコイルLu2,Lv2が構成されていてもよい。また、U相のコイルLuが巻回される複数のティース23の全てに巻回されたコイルLu2で単相のコイルLu2が構成されていてもよい。
また、例えば、U相のコイルLuが巻回される複数のティース23のうち一部のティースのみに巻回されたコイルLu2と、W相のコイルLwが巻回される複数のティース23のうち一部のティース23のみに巻回されたコイルLu2とで、単相のコイルLu2,Lu2が構成されていてもよい。また、U相のコイルLuが巻回される複数のティース23のうち一部のティース23のみに巻回されたコイルLu2で単相のコイルLu2が構成されていてもよい。
図8は、本実施の形態のモータ装置1に用いることが可能なモータ20bの一変形例を示す図である。
図8に示されるように、モータ20bは、単相のコイルLu2,Lv2を有している。単相のコイルLu2,Lv2は、それぞれ、3相のコイルLu,Lv,LwのうちのコイルLu,Lvが巻回される複数のティース23のうち少なくとも1つに巻回されている。すなわち、単相のコイルLu2,Lv2は、U相のコイルLuが巻回されるティース23に巻回されたコイルLu2と、V相のコイルLvが巻回されるティース23に巻回されたコイルLv2とが接続されて構成されている。単相のコイルLu2,Lv2は、2つの端部を有している。単相のコイルLu2,Lv2の両端は、第2駆動回路52の2つの出力端子T1,T2に接続されている。
図9は、モータ20bに対する単相駆動時の駆動電流の供給動作を説明する図である。
図9においては、位置検出器5により出力されるV相についてのホール信号Svの波形の例と、単相のコイルLu2,Lv2のそれぞれの逆起電圧Vu,Vvの波形の例と、単相のコイルLu2,Lv2全体としての逆起電圧Vu−v(逆起電圧Vuと、正負反転した逆起電圧Vvとを合成した電圧)の波形の例とが示されている。図に示されているように、V相についてのホール信号Svの位相の変化タイミングに応じて単相のコイルLu2,Lv2に駆動電流を流すことで、3相のモータ20bを単相駆動させることができる。
図9に示されるように、ホール信号Svの波形の立ち上がり点及び立ち下がり点は、逆起電圧Vu−vのゼロクロス点に対応する位置となっている。換言すると、本変形例において、位置検出器5は、単相のコイルLu2,Lv2の逆起電圧Vu−vのゼロクロス点において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置されている。これにより、モータ20bの単相駆動時において、位置検出器5から出力されるホール信号Svの立ち上がり及び立ち下がりに応じたタイミングで単相のコイルLu2,Lv2の通電方向を切り替える単純な制御によりモータ20bを回転させることができる。なお、位置検出器5は、単相のコイルLu2,Lv2の逆起電圧Vu−vのゼロクロス点に対して電気角で所定の角度範囲内において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置されていればよい。所定の角度範囲は、単相のコイルLu2,Lv2の逆起電圧Vu−vのゼロクロス点に対して電気角でプラスマイナス30度の範囲であり、これにより、ホール信号Svの立ち上がり及び立ち下がりに応じたタイミングで単相のコイルLu2,Lv2の通電方向を切り替える単純な制御により、モータ20bを回転させることができる。
なお、単相のコイルLu2,Lv2のそれぞれの、ティース23に巻回するターン数が同じである場合、モータ20bの単相のコイルLu2,Lv2の逆起電圧Vu−vの波高値は、逆起電圧Vu,Vvの波高値よりも大きくすることができる。その結果、大きなトルクを得ることができる。
図10は、本実施の形態のモータ装置1に用いることが可能なモータ20cの一変形例を示す図である。
図10に示されるように、モータ20cは、単相のコイルLu2を有している。単相のコイルLu2は、3相のコイルLu,Lv,LwのうちのコイルLuが巻回される複数のティース23のうち少なくとも1つに巻回されている。すなわち、単相のコイルLu2は、U相のコイルLuが巻回されるティース23に巻回されたコイルLu2である。単相のコイルLu2は、2つの端部を有している。単相のコイルLu2の両端は、第2駆動回路52の2つの出力端子T1,T2に接続されている。
図11は、モータ20cに対する単相駆動時の駆動電流の供給動作を説明する図である。
図11においては、位置検出器5により出力されるV相についてのホール信号Svの波形の例と、単相のコイルLu2の逆起電圧Vuの波形の例とが示されている。図に示されているように、V相についてのホール信号Svの位相の変化タイミングに応じて単相のコイルLu2に駆動電流を流すことで、3相のモータ20cを単相駆動させることができる。
図11に示されるように、ホール信号Svの波形の立ち上がり点及び立ち下がり点は、逆起電圧Vuのゼロクロス点に対応する位置となっている。換言すると、本変形例において、位置検出器5は、単相のコイルLu2の逆起電圧Vuのゼロクロス点において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置されている。これにより、モータ20cの単相駆動時において、位置検出器5から出力されるホール信号Svの立ち上がり及び立ち下がりに応じたタイミングで単相のコイルLu2の通電方向を切り替える単純な制御によりモータ20cを回転させることができる。なお、位置検出器5は、単相のコイルLu2の逆起電圧Vuのゼロクロス点に対して電気角で所定の角度範囲内において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置されていればよい。所定の角度範囲は、単相のコイルLu2の逆起電圧Vuのゼロクロス点に対して電気角でプラスマイナス30度の範囲であり、これにより、ホール信号Svの立ち上がり及び立ち下がりに応じたタイミングで単相のコイルLu2の通電方向を切り替える単純な制御により、モータ20cを回転させることができる。
なお、モータ20cの単相のコイルLu2の逆起電圧Vuの波高値は、モータ20bの単相のコイルLu2,Lv2の逆起電圧Vu−vの波高値よりも小さくなる。
以上のようなモータ20b,20cを用いた場合であっても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図12は、本実施の形態の別の変形例に係るモータ装置101を示す図である。
図12に示されるように、モータ装置101は、位置検出器5を内蔵した第2駆動回路152を有している。単相駆動を行う第2駆動回路152は、比較的回路規模が小さいものであり、位置検出器5を内蔵することもできる。このように位置検出器5を内蔵した第2駆動回路152を用いることにより、回路基板上へのモータ駆動制御装置の実装面積が削減できるとともに、製造コストを低減することができる。この場合においても、位置検出器5を、単相のコイルLu2,Lv2,Lw2の逆起電圧Vu−v−wのゼロクロス点に対して電気角で所定の角度範囲内において位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるような位置に配置すればよい。このような構成のモータ装置101においても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図13は、本実施の形態の別の変形例に係るモータ装置201を示す図である。
以下に記述するように、モータ装置201において、第2駆動回路52の制御電圧が印加される端子は、所定の駆動電圧の電圧源に接続されている。制御回路部3による駆動制御手段としての動作と切替手段としての動作とが共に行われない場合に、電圧源により所定の駆動電圧が印加されることにより、第2駆動回路52によりモータ20に駆動電流が供給される。
図13に示されるように、モータ装置201は、上記の実施の形態におけるモータ装置1の構成において、レギュレータ(電圧源の一例)8の出力端と第2駆動回路52の制御信号Sd2が入力される制御端子とを抵抗R8を介して繋ぐバイパス210が設けられている構成を有している。すなわち、制御信号Sd2が入力される第2駆動回路52の制御端子には、バイパス210によって、レギュレータ8によって生成された駆動電圧Vdが印加される。
本変形例において、モータ装置201は、このような構成を有することにより、制御回路部3が故障するなどして制御回路部3による駆動制御手段としての動作や切替手段としての動作が共に行われない場合であっても、第2駆動回路52を駆動させて、モータ20を単相駆動させることができる。すなわち、通常時には、制御回路部3により出力される制御信号Sd2がグランドの制御電圧であるため、第2駆動回路52は駆動電流の供給動作を行わない。ここで、制御回路部3に故障が発生するなどし、制御回路部3から制御信号Sd2が出力されなくなり、制御回路部3の制御信号Sd2の出力端子がオープンになると、レギュレータ8により、第2駆動回路52の制御端子に、駆動電圧(所定の駆動電圧の一例)Vdが印加される。したがって、第2駆動回路52によりモータ20に駆動電流が供給されるようになる。上述の実施の形態と同様に、主に用いられる駆動回路が故障した場合においてもモータ20が反対の方向に回転することを防止することができる。
[その他]
第1駆動回路2で発生する異常状態の種類は、上記のような電源供給が遮断されている状態に限定されない。制御回路部3は、異常状態として、3相インバータ回路2aのスイッチング素子Q1−Q6が故障した異常状態や、第1駆動回路2に過電流が流れる異常状態を検出してもよい。例えばセンス抵抗R0により得られる電圧値に基づいて第1駆動回路2の駆動電流の増加を監視することにより、異常状態を検出することができる。また、電源電圧Vccに対応する監視電圧Vsを監視することにより、過電圧である異常状態を検出してもよい。また、第1駆動回路2に設けた温度センサの温度の検出値やマイコン内部に設けられた温度センサの温度の検出値等に基づいて、高温である異常状態を検出することができる。
図14は、状態確認処理の一変形例を説明するフローチャートである。
図14に示されるように、例えば、状態確認処理は、種々の条件のいずれかが満たされたときに異常状態であることを検出する処理であってもよい。すなわち、制御回路部3は、監視電圧Vsが閾値V1より小さいか(S121)、駆動電流が所定の過電流閾値より大きいか(S122)、監視電圧Vsが所定の過電圧閾値より大きいか(S123)、温度の検出値が所定の温度閾値より大きいか(S124)をこの順に判断する。いずれかの判断において条件が満たされていると判断すると(S121からS124のいずれかでYES)、ステップS125において、制御回路部3が、異常状態であることを検出する。これにより、モータ20に駆動電流を供給する駆動回路が第2駆動回路52に切り替えられる。なお、判断の順番は、図14に示されるものに限られない。
位置検出器5が3相に対応して設けられており、第1駆動回路2によりモータ20に駆動電流を供給する場合においては、3相それぞれの位置信号に基づいてモータ20の駆動制御が行われるようにしてもよい。
また、位置検出器5が設けられず、いわゆるセンサレス駆動方式によりモータ20が駆動されるように構成されていてもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートにおいて文章により説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,101,201 モータ装置、2 第1駆動回路(第1系統の駆動回路の一例)、2a 3相インバータ回路、3 制御回路部(駆動制御手段の一例、検出手段の一例、切替手段の一例、監視手段の一例)、5 位置検出器、7 メインヒューズ、8 レギュレータ(電圧源の一例)、20,20b,20c モータ、23 ティース、52,152 第2駆動回路(第2系統の駆動回路の一例)、52a 単相インバータ回路、52b 単相駆動部(単相駆動手段の一例)、210 バイパス、Lu,Lv,Lw (3相のコイルの)コイル、Lu2,Lv2,Lw2 (単相のコイルの)コイル、Sd1 駆動制御信号、Sd2 制御信号(制御電圧の一例)、Sh,Sv ホール信号(位置信号の一例)、Vcc 電源電圧、Vd 駆動電圧(所定の駆動電圧の一例)、Vs 監視電圧、Vu−v−w,Vu−v,Vu 逆起電圧

Claims (13)

  1. 3相のコイル及び単相のコイルを有するモータと、
    前記3相のコイルに駆動電流を供給可能な第1系統の駆動回路と、
    前記単相のコイルに駆動電流を供給可能な、前記第1系統の駆動回路とは異なる第2系統の駆動回路とを備え、
    前記第1系統の駆動回路は、前記3相のコイルのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路を有し、
    前記第2系統の駆動回路は、前記単相のコイルの両端に接続された単相インバータ回路を有する、モータ装置。
  2. 前記単相のコイルは、前記3相のコイルが巻回される複数のティースのうち少なくとも1つに巻回されている、請求項1に記載のモータ装置。
  3. 前記単相のコイルは、前記3相のコイルの第1の相のコイルが巻回される少なくとも1つのティース、前記3相のコイルの第2の相のコイルが巻回される少なくとも1つのティース、及び前記3相のコイルの第3の相のコイルが巻回される少なくとも1つのティースのそれぞれに巻回されている、請求項1又は2に記載のモータ装置。
  4. 前記3相のコイルのいずれか1相のコイルが巻回されるティースへの前記単相のコイルの巻回方向は、他の2相のコイルが巻回されるティースへの前記単相のコイルの巻回方向とは異なっている、請求項3に記載のモータ装置。
  5. 前記第1系統の駆動回路の動作を制御して前記第1系統の駆動回路により前記モータを駆動する駆動制御手段と、
    前記第1系統の駆動回路が異常状態であることを検出する検出手段と、
    前記検出手段により前記第1系統の駆動回路が異常状態であることが検出されたとき、前記モータに駆動電流を供給する駆動回路を前記第1系統の駆動回路から前記第2系統の駆動回路に切り替える切替手段とをさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載のモータ装置。
  6. 電源から前記第1系統の駆動回路への電力の供給状況を監視する監視手段をさらに備え、
    前記検出手段は、前記監視手段による監視結果に応じて前記第1系統の駆動回路が異常状態であることを検出する、請求項5に記載のモータ装置。
  7. 前記モータのロータの位置に応じて位置信号を出力する1つの位置検出器をさらに備え、
    前記駆動制御手段は、前記位置信号に基づいて前記第1系統の駆動回路の動作を制御し、
    前記第2系統の駆動回路は、前記単相インバータ回路の動作を制御する単相駆動手段を有し、
    前記単相駆動手段は、前記位置信号に基づいて前記単相インバータ回路の動作を制御する、請求項5又は6に記載のモータ装置。
  8. 前記位置検出器は、磁気センサであり、
    前記位置検出器は、前記単相のコイルの逆起電圧のゼロクロス点に対して電気角で所定の角度範囲内において前記位置信号の立ち上がり又は立ち下がりが生じるように配置されている、請求項7に記載のモータ装置。
  9. 前記所定の角度範囲は、電気角でプラスマイナス30度の範囲である、請求項8に記載のモータ装置。
  10. 前記位置検出器は、前記第2系統の駆動回路に内蔵されている、請求項7から9のいずれかに記載のモータ装置。
  11. 前記切替手段は、前記第2系統の駆動回路に制御電圧を印加することにより前記モータに駆動電流を供給する駆動回路の切り替えを行い、
    前記第2系統の駆動回路は、前記制御電圧が基準電圧であるときに前記駆動電流の供給動作を行わず、前記制御電圧が所定の駆動電圧であるときに前記駆動電流の供給動作を行う、請求項5から10のいずれかに記載のモータ装置。
  12. 前記第2系統の駆動回路の前記制御電圧が印加される端子は、前記所定の駆動電圧を出力する電圧源に接続されており、
    前記駆動制御手段による動作と前記切替手段による動作とが共に行われない場合に、前記電圧源により前記所定の駆動電圧が印加されることにより、前記第2系統の駆動回路により前記モータに駆動電流が供給される、請求項11に記載のモータ装置。
  13. 3相のコイル及び単相のコイルを有するモータを駆動するモータの駆動制御方法であって、
    前記3相のコイルのそれぞれの一端に接続された3相インバータ回路を有し前記3相のコイルに駆動電流を供給可能な第1系統の駆動回路と、
    前記単相のコイルの両端に接続された単相インバータ回路を有し前記単相のコイルに駆動電流を供給可能な前記第1系統の駆動回路とは異なる第2系統の駆動回路とを用いて行われ、
    前記第1系統の駆動回路の動作を制御して前記第1系統の駆動回路により前記モータを駆動する駆動制御ステップと、
    前記第1系統の駆動回路により前記モータを駆動している場合において、前記第1系統の駆動回路が異常状態であることを検出する検出ステップと、
    前記検出ステップにより前記第1系統の駆動回路が異常状態であることが検出されたとき、前記モータに駆動電流を供給する駆動回路を前記第1系統の駆動回路から前記第2系統の駆動回路に切り替える切替ステップとを備える、モータの駆動制御方法。
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