JP2019163856A - プーリーの固定構造 - Google Patents

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明男 北野
Akio Kitano
明男 北野
宏幸 小寺
Hiroyuki Kodera
宏幸 小寺
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Abstract

【課題】 プーリーが軸部材に対して従来より確実に固定されるプーリーの固定構造を提供する。【解決手段】 トルク伝達面2gを有する車両のトルク伝達用のプーリー2と、プーリーの穴2bに嵌合される軸部材1とを備え、軸部材の外周面には、トルク伝達面側に位置した第1凸部11と、第1凸部に対して、軸部材の軸方向でかつトルク伝達面側からトルク伝達面とは反対面側に向かう方向沿いに隣接配置され、第1凸部よりも径方向に突出した第2凸部12と、第1凸部と第2凸部との間に配置されかつ軸方向と交差する係止面13とを有するとともに、プーリーの穴の内周面には、第1凸部と嵌合する第1嵌合穴部21と、第1嵌合穴部の内径よりも大きな内径を有して第2凸部と嵌合する第2嵌合穴部22と、第1嵌合穴部と第2嵌合穴部との間に軸方向と交差して配置され、係止面と当接する当接面23とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、固定側プーリー又は可動側プーリーと軸部材とが連結されたプーリーの固定構造に関する。
従来、ベルト式CVT用のプーリーとボスとは、プーリーの筒状部を円柱状のボスと嵌合して、境界部分を全周に渡って溶接工法を用いて接合固定している(例えば、特許文献1参照。)。
特開2015−64014号公報
しかしながら、前記方法では、薄板溶接での歪み又はプーリーの振れ防止のための条件の管理が非常に困難であるという観点、さらに、電力、シールドガス、及びその他の溶接工法に纏わる消耗品費の削減の観点、及び、溶接による溶接対象物の温度上昇及びヒュームに対する作業者への安全対応の必要性の軽減の観点から、溶接部の廃止や削減が望まれている。しかしながら、溶接以外の方法では、大きなトルクや応力がかかるプーリーと軸部材との間を確実に固定することは難しかった。
従って、本発明の目的は、プーリーが軸部材に確実に固定されるプーリーの固定構造を提供することにある。
本発明の1つの態様によれば、
トルク伝達面を有する、車両のトルク伝達用のプーリーと、
前記プーリーの穴に嵌合される軸部材とを備え、
前記軸部材の外周面には、
第1凸部と、
前記第1凸部に対して、前記軸部材の軸方向でかつトルク伝達面側から前記トルク伝達面とは反対面側に向かう方向沿いに隣接配置され、前記第1凸部よりも径方向に突出した第2凸部と、
前記第1凸部と前記第2凸部との間に配置されかつ軸方向と交差する係止面とを有するとともに、
前記プーリーの前記穴の内周面には、
前記第1凸部と嵌合する第1嵌合穴部と、
前記第1嵌合穴部の内径よりも大きな内径を有して前記第2凸部と嵌合する第2嵌合穴部と、
前記第1嵌合穴部と前記第2嵌合穴部との間に前記軸方向と交差して配置され、前記係止面と当接する当接面とを有するプーリーの固定構造を提供する。
本発明の前記態様によれば、当接面に係止面が当接して係止することにより、プーリーがトルク伝達面を押される際に軸部材から外れようとする方向にストッパー機能を確実に働かせることができ、プーリーの抜け止め保持を確実に行うことができる。
本発明の第1実施形態にかかるプーリーの固定構造を含むベルト式CVT用の二輪用の一対のプーリー付近の縦断面図 第1実施形態にかかる一方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第1実施形態にかかる一方のプーリーと軸部材との縦断面図 図2Bの一方のプーリーの固定構造部分の拡大右側面図 第1変形例にかかる一方のプーリーの固定構造部分の拡大右側面図 第2変形例及び第7変形例にかかる一対のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第3変形例及び第8変形例にかかる一方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第4変形例にかかる一対のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第5変形例にかかる一方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第2実施形態にかかる他方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第2実施形態にかかる他方のプーリーと軸部材との縦断面図 図5Bの他方のプーリーの固定構造部分の拡大右側面図 第6変形例にかかる他方のプーリーの固定構造部分の拡大右側面図 第9変形例にかかる他方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第10変形例にかかる他方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第3実施形態にかかる他方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第3実施形態にかかる他方のプーリーと軸部材との縦断面図 図8Bの他方のプーリーの固定構造部分の拡大右側面図 第11変形例にかかる他方のプーリーの固定構造部分の拡大右側面図 第12変形例にかかる他方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図 第13変形例にかかる他方のプーリーの筒状部付近の部分拡大縦断面図
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかるプーリーの固定構造を説明するにあたり、図1では、一対のプーリー2,102間にベルト3が掛けられている。プーリー2,102において、ベルト3に接触する円錐面2g,102gがトルク伝達面である。第1実施形態では、一方のプーリー、例えば図1の右側の固定側のプーリー2と固定側の軸部材1との固定構造について説明する。他方のプーリー、例えば図1の左側の可動側のプーリー102と円筒状の可動部材すなわち可動側の軸部材101との固定構造については、同様な固定構造ではあるが、第2実施形態及び第3実施形態として後述する。
本発明の第1実施形態にかかるプーリー2の固定構造は、図1〜図2Cに示すように、車両のトルク伝達用のプーリーに軸部材1を嵌合している。車両は、例えば二輪車である。プーリーは、例えばベルト式CVT用の小型のプーリーである。なお、車両は、自動車などであってもよい。また、プーリーは、エンジン始動装置などの補機用のプーリーであってもよい。
軸部材1は、一例として円筒部材であり、端部(図1及び図2Aでは右端部を参照。)に、他の部分よりも厚肉の円環部1aを有し、この円環部1aの外周面に、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とを有している。
第1凸部11は、軸部材1の端部の円環部1aの外周面の端縁から離れた側に、径方向に突出した円環状の凸部である。
第2凸部12は、第1凸部11に対して、軸部材1の軸方向でかつトルク伝達面2g側からトルク伝達面2gとは反対面側に向かう方向(例えば図1では右方向)沿いに隣接配置されている。すなわち、第2凸部12は、軸部材1の端部の円環部1aの外周面の端縁に近い側に、軸方向の端縁側に第1凸部11に隣接配置されて、第1凸部11よりも径方向に突出した円環状の凸部である。
係止面13は、軸部材1の端部の円環部1aの外周面に、軸方向の第1凸部11と第2凸部12との間に配置されかつ軸方向と交差する(例えば軸方向と直交する)面である。
一方、プーリー2の筒状部2aの穴2bの内周面には、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とを有している。
第1嵌合穴部21は、筒状部2aの穴2bの内周面の端縁から離れた側に、径方向の外向きにくぼんで形成されて、第1凸部11と嵌合する。
第2嵌合穴部22は、筒状部2aの穴2bの内周面の端縁に近い側に、軸方向の端縁側に第1嵌合穴部21に隣接配置されて、第1嵌合穴部21の内径よりも大きな内径を有するようにくぼんで形成されて、第2凸部12と嵌合する。
当接面23は、筒状部2aの穴2bの内周面に、軸方向の第1嵌合穴部21と第2嵌合穴部22との間に配置されかつ軸方向と交差する(例えば軸方向と直交する)面であり、係止面13と当接して、軸部材1に対してプーリー2が第1凸部側から第2凸部側に向けての移動を係止すなわち規制する。ここで、第1凸部11と第2凸部12との軸方向と直交する方向の寸法差、言い換えれば、係止面13の軸直交方向の高さH1は、0.4mmから3.0mmの範囲であると好適である。同様に、第1嵌合穴部21と第2嵌合穴部22との軸方向と直交する方向の寸法差、言い換えれば、当接面23の軸直交方向の高さH2も、0.4mmから3.0mmの範囲とすると好適である。高さH1及び高さH2のそれぞれにおいて、0.4mm未満では移動規制の効果が少なすぎる一方、3.0mmを越えると、嵌合側のプーリー2の筒状部2aの強度が小さくなる可能性があるためである。
係止面13の軸方向に対する角度と、当接面23の軸方向に対する角度とは一致させるのが好ましく、それぞれの角度は、一例として、90度とすることができる。
前記の円環部1aは、軸部材1の円環部1aを除く部分(以下、軸部)の外径よりも外周側に突出する。このため、第1凸部11および第2凸部12を軸部材1の軸部近傍に設ける場合よりも、第1凸部11および第2凸部12の外周面面積が大きくなる。これにより、軸部材1とプーリー2との嵌合部における接触面積を大きくでき、嵌合部におけるトルクに対するスリップ耐性が高まる。
また、ベルト3からプーリー2に作用する力によって軸部材1とプーリー2との嵌合部には、軸部材1を軸方向に垂直な方向にたわませようとするようなモーメントが作用する。前記のように円環部1aを軸部よりも外周側に突出させることで、円環部1aの剛性が高まり、また、ベルト3による力の作用点との距離が縮まることでモーメントが低減する。したがって、軸部材1のたわみを抑制できる。
前記を言い換えると、図2Aに示すように、軸部材1の円環部1aの軸方向と直交する方向の厚み寸法H3を、円環部1aの軸方向沿いの長さW3よりも大きくすれば、円環部1aの剛性が高まり、軸部材1およびプーリー2を倒れにくく固定支持することができる。前記の円環部1aの軸方向の厚さは、少なくとも4.0mm〜15.0mmの範囲であると好適である。上限値の理由は、軸方向の両側に配置される他の部材との干渉を防ぐためである。下限値の理由は、軸部材1とプーリー2との接触面積を確保するため、および、軸部材1のたわみに対する剛性を高めるためである。
また、前記モーメントにより、軸部材1の第2凸部12とプーリー2の第2嵌合穴部22との間には、主として圧縮方向の力が作用することになる。一方、軸部材1の第1凸部11とプーリー2の第1嵌合穴部21との間には、主として拡開方向の力が作用することになる。そこで、第2凸部12の高さH1が第2凸部12の幅W1よりも小さくなるようにする、すなわち、第2凸部12の高さH1を小さく、第2凸部12の幅W1を大きくすると、第1凸部11と第1嵌合穴部21との間の拡開方向の力を低減できる。このことによっても、軸部材1とプーリー2との嵌合部におけるトルクに対するスリップ耐性を高められる。また、第2凸部12の剛性が高まり、軸部材1のたわみを抑制できる。
このような構成を組み立てるには、まず、軸部材1の左端から右方向にプーリー2の筒状部2aを挿入して、プーリー2の筒状部2aを軸部材1の右端の円環部1aに接近させる。
次いで、プーリー2の筒状部2aの第2嵌合穴部22に軸部材1の円環部1aの第2凸部12を挿入するとともに、プーリー2の筒状部2aの第1嵌合穴部21に軸部材1の円環部1aの第1凸部11を挿入して、それぞれ嵌合させるとともに、プーリー2の筒状部2aの当接面23に軸部材1の円環部1aの係止面13を当接して係止させる。
これにより、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合することになる。さらに、当接面23に係止面13が当接して係止する。締り嵌めにより嵌合をそれぞれ行うため、第2凸部12の外径は第2嵌合穴部22の内径よりも若干大きくなっており、第1凸部11の外径は第1嵌合穴部21の内径よりも若干大きくなっている。このように、締り嵌めの嵌合とすることにより、ガタ付き無く、位置精度良く、組み付けることができる。
軸部材1とプーリー2との嵌合において、係止面13と当接面23よりも外側(すなわち、脱落側)の第2凸部12と第2嵌合穴部22との嵌合部分は、第2凸部12の外径が第1凸部11の外径よりも大きくして厚肉となっているので、ベルト3からプーリー2が受けた力により発生したモーメントを十分に受けることができる。
前記したように嵌合構造で構成することにより、溶接無しで、軸部材1に対してプーリー2が第1凸部側から第2凸部側に向けての軸方向の移動を確実に規制して抜け止め固定することができる。すなわち、当接面23に係止面13が当接して係止することにより、プーリー2がトルク伝達面2gを押される際に軸部材1から外れようとする方向にストッパー機能を確実に働かせることができ、溶接のような強固な接合工法を利用しなくとも、プーリー2の抜け止め保持を確実に行うことができる。この結果、薄板溶接の際の入熱によるプーリー2の歪み、及び、プーリー2の振れがなくなるといった効果を奏することができる。さらに、電力、シールドガス、及びその他の溶接工法に纏わる消耗品費が不要となるとともに、溶接による溶接対象物の温度上昇、及び、ヒュームに対する作業者への安全対応が不要となる。
また、プーリー2の円筒状の筒状部2aに軸部材1の円環部1aを嵌合固定することにより、プーリー2の振れ止めを達成することができる。
また、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とは軸部材1の端部の円環部1aの外周面の全周に配置されており、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とは、プーリー2の筒状部2aの穴2bの内周面の全周に配置されているため、プーリー2の筒状部2aの穴2b内に軸部材1の端部の円環部1aを嵌合すれば、軸部材1に対してプーリー2が第1凸部側から第2凸部側に向けての移動を軸周りで安定して均等に規制することができる。
さらに、軸部材1に対してプーリー2が第1凸部側から第2凸部側に向けて移動しようとしても、プーリー2の外周端縁から筒状部2aの端部の、モーメントがかかる側の部分、すなわち、第2凸部12と第2嵌合穴部22とが嵌合する部分が締り嵌めで嵌合するため、位置精度が出しやすく、軸部材1に対してプーリー2を精度良く組み付けることができる。
(第1変形例)
前記第1実施形態では、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とは軸部材1の端部の外周面の全周に配置されており、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とは、プーリー2の筒状部2aの穴2bの内周面の全周に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図2Dに示すように、軸部材1の軸方向周りに複数個所、例えば、120度間隔毎に3か所に、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とを軸部材1の端部の外周面に配置するとともに、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とを、プーリー2の筒状部2aの穴2bの内周面に配置するようにしてもよい。
この第1変形例によれば、軸部材1の3か所の第1凸部11および第2凸部12それぞれの円周方向の端面14が、プーリー2の3か所の第1嵌合穴部21および第2嵌合穴部22それぞれの円周方向の端面24に当接するので、軸部材1とプーリー2とをより強固に固定することができ、円周方向のトルクに対するスリップ耐性を極めて高くできる。
(第2変形例)
前記第1実施形態では、係止面13及び当接面23は軸方向と直交する方向に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2Eに示すように、係止面13a及び当接面23aは軸方向に対して45度程度の傾斜した傾斜面としてもよい。
この第2変形例によれば、ベルト3から作用する力により、係止面13と当接面23とが互いに食込むように嵌合することになり、軸部材1とプーリー2とをより強固に固定させられる。係止面13の軸方向に対する立ち上がり角度と、当接面23の軸方向に対する立ち上がり角度とは、それぞれ、30度以上、90度未満であることが好ましい。それぞれの立ち上がり角度が30度未満であると、プーリー2の軸方向の位置バラツキが過剰になる恐れがあり、それぞれの立ち上がり角度が30度以上であれば、良好な製造良品率を実現できる。また、それぞれの立ち上がり角度が90度未満であることにより、多少であっても係止面13と当接面23とを互いに食込むように嵌合させられる。
(第3変形例)
前記第1実施形態及び第2変形例では、係止面13及び当接面23は他の部分と明確に区別できるように区分けされているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2Fに示すように、第1凸部11と係止面13と第2凸部12とを1つの傾斜平面41で構成し、第1嵌合穴部21と当接面23と第2嵌合穴部22とを1つの傾斜平面42で構成するようにしてもよい。
この第3変形例によれば、係止面13及び当接面23の加工が容易である。この場合も、係止面13の軸方向に対する立ち上がり角度と、当接面23の軸方向に対する立ち上がり角度とは、それぞれ、30度以上、90度未満であることが好ましい。それぞれの立ち上がり角度が30度未満であると、プーリー2の軸方向の位置バラツキが過剰になる恐れがあり、それぞれの立ち上がり角度が30度以上であれば、良好な製造良品率を実現できる。また、それぞれの立ち上がり角度が90度未満であることにより、多少であっても係止面13と当接面23とを互いに食込むように嵌合させられる。
(第4変形例)
前記第1実施形態では、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、第1嵌合穴部21に第1凸部11が第1隙間31を介して隙間嵌めにより嵌合し、第1隙間31に第1接着層32を配置するようにしてもよい。
第1接着層32の一例としては、180℃以上の耐熱性及び所定の耐久性を満足する接着剤で構成することが好ましく、例えばアクリル系接着剤などが使用できる。接着剤としては、自然硬化する一液タイプが利便性が高い。
より具体的には、プーリー2は、プレス成形した板金プーリーで構成することができる。この板金プーリーの筒状部2aに、径方向で1mm程度の段差として第1嵌合穴部21と第2嵌合穴部22と当接面23とを旋削加工で作る。ここでの段差とは、当接面23の軸方向と直交する方向の高さを意味する。軸部材1の一例としてのボス側の端部にも、同様に、径方向で1mm程度の段差として第1凸部11と第2凸部12と係止面13とを旋削で作り、プーリー側と嵌め合い形状とする。ここでの段差とは、係止面13の軸方向と直交する方向の高さを意味する。第1嵌合穴部21と第1凸部11との嵌め合いは0.05mmの隙間嵌め公差とし、第2嵌合穴部22と第2凸部12との嵌め合いは0.05mmの締り嵌め公差とする。第1嵌合穴部21と第1凸部11との嵌め合い部分の第1隙間31には、軸方向周りの回転方向の強度を補強するために、アクリル系接着剤を塗布などにより第1接着層32の一例を形成し、例えば回転方向の破壊強度150N・m MINを確保する。プーリー2には一例としてアルミキルド鋼(SPCC)を用い、軸部材1側は一例として機械構造用炭素鋼(S35C)を用いる。
この第4変形例によれば、第2凸部12と第2嵌合穴部22との締り嵌めにより、軸部材1の軸方向に直交する方向のたわみを効果的に防ぐことができる。また、モーメントにより第1凸部11と第1嵌合穴部21とに拡開する方向の力が働いても、第1接着層32による接着力が働くので、第1凸部11と第1嵌合穴部21との間でのスリップ耐性が大きく低下することがなく、軸部材1に対するプーリー2の回り止めを確実に行うことができる。
(第5変形例)
前記第1実施形態では、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、第1嵌合穴部21に第1凸部11が第1隙間31を介して隙間嵌めにより嵌合し、第1隙間31に第1接着層32を配置するとともに、さらに、第2嵌合穴部22に第2凸部12が第2隙間33を介して隙間嵌めにより嵌合し、第2隙間33に、第1接着層32と同様な第2接着層34を配置するようにしてもよい。
この第5変形例によれば、軸部材1とプーリー2との組み付けが極めて容易でありながら、第1接着層32と第2接着層34とにより、軸部材1に対するプーリー2の軸方向回りの回転方向に対する回り止めを行うことができる。
(第2実施形態)
次に、図1の左側のプーリー102と円筒状の可動部材101との固定構造について、図5A〜図5Cに基づいて説明する。他方のプーリーである、例えば図1の左側のプーリー102(すなわち、以下、第2プーリー102と称する。)と円筒状の可動部材101(すなわち、以下、第2軸部材101と称する。)との固定構造については、プーリー2(すなわち、以下、第1プーリー2と称する。)と軸部材1(すなわち、以下、第1軸部材1と称する。)と同様な構造ではあるが、第2実施形態及び第3実施形態として以下に説明する。なお、同じ構成部分については、同じ参照符号を付して説明を省略することもある。
第2軸部材101は、第1軸部材1の外周に軸方向に摺動自在かつ軸方向周りに回転自在に嵌合された円筒部材である。第2軸部材101は、端部(図5A及び図5Bでは右端部を参照。)に、薄肉の円環部101aと厚肉の円環部101cとを有している。薄肉の円環部101aに対して円環部101cを厚肉とするのは、ベルト3からプーリー2が受けた力により発生したモーメントを十分に受けることができるようにするためである。これらの円環部101aと円環部101cとに、第1凸部11と、係止面13と、第2凸部12とを有している。ただし、第2軸部材101に対して第2プーリー102の抜け止め方向が、第1軸部材1に対する第1プーリー2とは逆である。このため、第2軸部材101の端部に対する第1凸部11と第2凸部12との配置順が逆になっている。これ以外の構成は、第1実施形態と同様である。
第1凸部11は、第2軸部材101の端部の円環部101aの外周面の端縁に近い側に、径方向に突出した円環状の凸部である。
第2凸部12は、第1凸部11に対して、第2軸部材101の軸方向でかつトルク伝達面102g側からトルク伝達面102gとは反対面側に向かう方向(例えば図5Bでは左方向)沿いに隣接配置されている。すなわち、第2凸部12は、第2軸部材101の端部の円環部101cの外周面の端縁から離れた側に、軸方向の端縁側に第1凸部11に隣接配置されて、第1凸部11よりも径方向に突出した円環状の凸部である。
係止面13は、第2軸部材101の端部の円環部101cの外周面に、軸方向の第1凸部11と第2凸部12との間に配置されかつ軸方向と交差する(例えば軸方向と直交する)面である。
一方、第2プーリー102の筒状部102aの穴102bの内周面には、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とを有している。
第1嵌合穴部21は、筒状部102aの穴102bの内周面の端縁に近い側に、径方向の外向きにくぼんで形成されて、第1凸部11と嵌合する。
第2嵌合穴部22は、筒状部102aの穴102bの内周面の端縁から離れた側に、軸方向の端縁側に第1嵌合穴部21に隣接配置されて、第1嵌合穴部21の内径よりも大きな内径を有するようにくぼんで形成されて、第2凸部12と嵌合する。
当接面23は、筒状部102aの穴102bの内周面に、軸方向の第1嵌合穴部21と第2嵌合穴部22との間に配置されかつ軸方向と交差する(例えば軸方向と直交する)面であり、係止面13と当接して、第2軸部材101に対して第2プーリー102が第1凸部側から第2凸部側に向けての移動を係止すなわち規制する。ここで、第1凸部11と第2凸部12との軸方向と直交する方向の寸法差、言い換えれば、係止面13の軸直交方向の高さH1は、0.4mmから3.0mmの範囲であると好適である。同様に、第1嵌合穴部21と第2嵌合穴部22との軸方向と直交する方向の寸法差、言い換えれば、当接面23の軸直交方向の高さH2も、0.4mmから3.0mmの範囲とすると好適である。高さH1及び高さH2のそれぞれにおいて、0.4mm未満では移動規制の効果が少なすぎる一方、3.0mmを越えると、嵌合側のプーリー102の筒状部102aの強度が小さくなる可能性があるためである。
係止面13の軸方向に対する角度と、当接面23の軸方向に対する角度とは一致させるのが好ましく、それぞれの角度は、一例として、90度とすることができる。
このような構成を組み立てるには、まず、第2軸部材101の右端から左方向に第2プーリー102の筒状部102aを挿入する。
この挿入時に、第2プーリー102の第2嵌合穴部22に第2軸部材101の第2凸部12を挿入するとともに、第2プーリー102の第1嵌合穴部21に第2軸部材101の第1凸部11を挿入して、それぞれ嵌合させるとともに、第2プーリー102の当接面23に第2軸部材101の係止面13を当接して係止させる。
これにより、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合することになる。さらに、当接面23に係止面13が当接して係止する。締り嵌めにより嵌合をそれぞれ行うため、第2凸部12の外径は第2嵌合穴部22の内径よりも若干大きくなっており、第1凸部11の外径は第1嵌合穴部21の内径よりも若干大きくなっている。このように、締り嵌めの嵌合とすることにより、ガタ付き無く、位置精度良く、組み付けることができる。
よって、特に、第2プーリー102がCVT用のプーリーの場合には、第2プーリー102は可動側のプーリーであって筒状軸102aが第2軸部材101とこじれる関係になり、隙間がある嵌合よりも位置精度を高くすることができ、変速機の所定の変速特性をより安定して確保することができる。
第2軸部材101と第2プーリー102との嵌合において、係止面13と当接面23よりも外側(すなわち、脱落側)の第2凸部12と第2嵌合穴部22との嵌合部分は、第2凸部12の外径が第1凸部11の外径よりも大きくして厚肉となっているので、ベルト3から第2プーリー102が受けた力により発生したモーメントを十分に受けることができる。
前記したように嵌合構造で構成することにより、溶接無しで、第2軸部材101に対して第2プーリー102が第1凸部側から第2凸部側に向けての軸方向の移動を確実に規制して抜け止め固定することができる。
前記したように嵌合構造で構成することにより、溶接無しで、第2軸部材101に対して第2プーリー102が第1凸部側から第2凸部側に向けての軸方向の移動を確実に規制して抜け止め固定することができる。すなわち、当接面23に係止面13が当接して係止することにより、第2プーリー102がトルク伝達面102gを押される際に第2軸部材101から外れようとする方向にストッパー機能を確実に働かせることができ、溶接のような強固な接合工法を利用しなくとも、第2プーリー102の抜け止め保持を確実に行うことができる。この結果、薄板溶接の際の入熱による第2プーリー102の歪み、及び、第2プーリー102の振れがなくなるといった効果を奏することができる。さらに、電力、シールドガス、及びその他の溶接工法に纏わる消耗品費が不要となるとともに、溶接による溶接対象物の温度上昇、及び、ヒュームに対する作業者への安全対応が不要となる。
また、第2プーリー102の円筒状の筒状部102aに第2軸部材101の円環部101a,101cを嵌合固定することにより、第2プーリー102の振れ止めを達成することができる。
また、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とは第2軸部材101の端部の円環部101a,101cの外周面の全周に配置されており、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とは、第2プーリー102の筒状部102aの穴102bの内周面の全周に配置されているため、第2プーリー102の筒状部102aの穴102b内に第2軸部材101の端部の円環部101a,101cを嵌合すれば、第2軸部材101に対して第2プーリー102が第1凸部側から第2凸部側に向けての移動を軸周りで安定して均等に規制することができる。
さらに、第2軸部材101に対して第2プーリー102が第1凸部側から第2凸部側に向けて移動しようとしても、第2プーリー102の外周端縁から筒状部102aの端部の、モーメントがかかる側の部分、すなわち、第2凸部12と第2嵌合穴部22とが嵌合する部分が締り嵌めで嵌合するため、位置精度が出しやすく、第2軸部材101に対して第2プーリー102を精度良く組み付けることができる。
(第6変形例)
前記第2実施形態では、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とは第2軸部材101の端部の外周面の全周に配置されており、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とは、第2プーリー102の筒状部102aの穴102bの内周面の全周に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図5Dに示すように、第2軸部材101の軸方向周りに複数個所、例えば、120度間隔毎に3か所に、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とを第2軸部材101の端部の外周面に配置するとともに、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とを、第2プーリー102の筒状部102aの穴102bの内周面に配置するようにしてもよい。
この第6変形例によれば、軸部材101の3か所の第1凸部11および第2凸部12それぞれの円周方向の端面14が、プーリー102の3か所の第1嵌合穴部21および第2嵌合穴部22それぞれの円周方向の端面24に当接するので、軸部材101とプーリー102とをより強固に固定することができ、円周方向のトルクに対するスリップ耐性を極めて高くできる。
(第7変形例)
前記第2実施形態では、係止面13及び当接面23は軸方向と直交する方向に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2Eに示すように、係止面13a及び当接面23aは軸方向に対して45度程度の傾斜した傾斜面としてもよい。
この第2変形例によれば、ベルト3から作用する力により、係止面13と当接面23とが互いに食込むように嵌合することになり、軸部材101とプーリー102とをより強固に固定させられる。係止面13の軸方向に対する立ち上がり角度と、当接面23の軸方向に対する立ち上がり角度とは、それぞれ、30度以上、90度未満であることが好ましい。それぞれの立ち上がり角度が30度未満であると、プーリー102の軸方向の位置バラツキが過剰になる恐れがあり、それぞれの立ち上がり角度が30度以上であれば、良好な製造良品率を実現できる。また、それぞれの立ち上がり角度が90度未満であることにより、多少であっても係止面13と当接面23とを互いに食込むように嵌合させられる。
(第8変形例)
前記第2実施形態及び第7変形例では、係止面13及び当接面23は他の部分と明確に区別できるように区分けされているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2Fに示すように、第1凸部11と係止面13と第2凸部12とを1つの傾斜平面41で構成し、第1嵌合穴部21と当接面23と第2嵌合穴部22とを1つの傾斜平面42で構成するようにしてもよい。
この第3変形例によれば、係止面13及び当接面23の加工が容易である。この場合も、係止面13の軸方向に対する立ち上がり角度と、当接面23の軸方向に対する立ち上がり角度とは、それぞれ、30度以上、90度未満であることが好ましい。それぞれの立ち上がり角度が30度未満であると、プーリー102の軸方向の位置バラツキが過剰になる恐れがあり、それぞれの立ち上がり角度が30度以上であれば、良好な製造良品率を実現できる。また、それぞれの立ち上がり角度が90度未満であることにより、多少であっても係止面13と当接面23とを互いに食込むように嵌合させられる。
(第9変形例)
前記第2実施形態では、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、第1嵌合穴部21に第1凸部11が第1隙間31を介して隙間嵌めにより嵌合し、第1隙間31に第1接着層32を配置するようにしてもよい。
第1接着層32の一例としては、180℃以上の耐熱性及び所定の耐久性を満足する接着剤で構成することが好ましく、例えばアクリル系接着剤などが使用できる。接着剤としては、自然硬化する一液タイプが好ましい。
より具体的には、第2プーリー102は、プレス成形した板金第2プーリー10で構成することができる。この板金第2プーリー10の筒状部2aに、径方向で1mm程度の段差として第1嵌合穴部21と第2嵌合穴部22と当接面23とを旋削加工で作る。ここでの段差とは、当接面23の軸方向と直交する方向の高さを意味する。第2軸部材101の一例としてのボス側の端部にも、同様に、径方向で1mm程度の段差として第1凸部11と第2凸部12と係止面13とを旋削で作り、第2プーリー側と嵌め合い形状とする。ここでの段差とは、係止面13の軸方向と直交する方向の高さを意味する。第1嵌合穴部21と第1凸部11との嵌め合いは0.05mmの隙間嵌め公差とし、第2嵌合穴部22と第2凸部12との嵌め合いは0.05mmの締り嵌め公差とする。第1嵌合穴部21と第1凸部11との嵌め合い部分の第1隙間31には、軸方向周りの回転方向の強度を補強するために、アクリル系接着剤を塗布などにより第1接着層32の一例を形成し、例えば回転方向の破壊強度150N・m MINを確保する。第2プーリー102には一例としてアルミキルド鋼(SPCC)を用い、第2軸部材側は一例として機械構造用炭素鋼(S35C)を用いる。
この第9変形例によれば、第2凸部12と第2嵌合穴部22との締り嵌めにより、軸部材101の軸方向に直交する方向のたわみを効果的に防ぐことができる。また、モーメントにより第1凸部11と第1嵌合穴部21とに拡開する方向の力が働いても、第1接着層32による接着力が働くので、第1凸部11と第1嵌合穴部21との間でのスリップ耐性が大きく低下することがなく、軸部材101に対するプーリー102の回り止めを確実に行うことができる。
(第10変形例)
前記第2実施形態では、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、第1嵌合穴部21に第1凸部11が第1隙間31を介して隙間嵌めにより嵌合するとともに、第1隙間31に第1接着層32を配置し、さらに、第2嵌合穴部22に第2凸部12が第2隙間33を介して隙間嵌めにより嵌合し、第2隙間33に、第1接着層32と同様な第2接着層34を配置するようにしてもよい。
この第10変形例によれば、軸部材101とプーリー102との組み付けが極めて容易でありながら、第1接着層32と第2接着層34とにより、第2軸部材101に対する第2プーリー102の軸方向回りの回転方向に対する回り止めを行うことができる。
(第3実施形態)
次に、図8A〜図8Cに示すように、第2実施形態と同じ位置にある第2プーリー102ではあるが、円盤部102dに対する筒状部102aの配置が異なる例について説明する。すなわち、図5A〜図5Cの第2プーリー102では、円盤部102dに対して第1プーリー2とは反対側(図5Aでは左向き)に向けて突出するように配置されている。これに対して、図8A〜図8Cの第2プーリー102Aでは、円盤部102dに対して第1プーリー2側(図8Aでは右向き)に向けて突出するように配置されている。これ以外の構成は同一であるため、同じ部分には同じ参照番号を付して説明を省略する。
ここでは、第2凸部12は、第1凸部11に対して、第2軸部材101の軸方向でかつトルク伝達面102g側からトルク伝達面102gとは反対面側に向かう方向(例えば図8Bでは左方向)沿いに隣接配置されている。
この第3実施形態においては、第2プーリー102Aの製造時に円盤部102dと筒状部102aとの間の外周側の隅部分に圧縮の残留応力が発生し、逆に、円盤部102dと筒状部102aとの間の内周側の角部分に引っ張りの残留応力が発生する。しかしながら、使用時には逆に、円盤部102dと筒状部102aとの間の外周側の隅部分に引っ張り応力が発生し、逆に、円盤部102dと筒状部102aとの間の内周側の角部分に圧縮応力が発生する。したがって、円盤部102dと筒状部102aとの間の外周側の隅部分に発生する引っ張り応力が、圧縮の残留応力に打ち消される。したがって、第2プーリー102Aがより破損しにくくなる。また、第1実施形態や第2実施形態と比べて、モーメントにより第2凸部12と第2嵌合穴部22との間に作用する圧縮方向の力が大きくなり、第1凸部11と第1嵌合穴部21との間に作用する拡開方向の力が小さくなる。このため、第1凸部11と第1嵌合穴部21との間でのスリップ耐性が大きく低下することがなく、第2軸部材101に対する第2プーリー102Aの回り止めを確実に行うことができる。
(第11変形例)
前記第3実施形態では、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とは第2軸部材101の端部の外周面の全周に配置されており、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とは、第2プーリー102の筒状部102aの穴102bの内周面の全周に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図8Dに示すように、第2軸部材101の軸方向周りに複数個所、例えば、120度間隔毎に3か所に、第1凸部11と、第2凸部12と、係止面13とを第2軸部材101の端部の外周面に配置するとともに、第1嵌合穴部21と、第2嵌合穴部22と、当接面23とを、第2プーリー102Aの筒状部102aの穴102bの内周面に配置するようにしてもよい。
この第11変形例によれば、第2軸部材101Aの3か所の第1凸部11および第2凸部12それぞれの円周方向の端面14が、第2プーリー102Aの3か所の第1嵌合穴部21および第2嵌合穴部22それぞれの円周方向の端面24に当接するので、第2軸部材101と第2プーリー102Aとをより強固に固定することができ、円周方向のトルクに対するスリップ耐性を極めて高くできる。
(第12変形例)
前記第3実施形態では、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、第1嵌合穴部21に第1凸部11が第1隙間31を介して隙間嵌めにより嵌合し、第1隙間31に第1接着層32を配置するようにしてもよい。
第1接着層32の一例としては、180℃以上の耐熱性及び所定の耐久性を満足する接着剤で構成することが好ましく、例えばアクリル系接着剤などが使用できる。接着剤としては、自然硬化する一液タイプが利便性が高い。
この第9変形例によれば、第2凸部12と第2嵌合穴部22との締り嵌めにより、第2軸部材101の軸方向に直交する方向のたわみを効果的に防ぐことができる。また、モーメントにより第1凸部11と第1嵌合穴部21とに拡開する方向の力が働いても、第1接着層32による接着力が働くので、第1凸部11と第1嵌合穴部21との間でのスリップ耐性が大きく低下することがなく、第2軸部材101に対する第2プーリー102Aの回り止めを確実に行うことができる。
(第13変形例)
前記第3実施形態では、第1嵌合穴部21に第1凸部11が隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、第2嵌合穴部22に第2凸部12が隙間無しに締り嵌めにより嵌合しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、第12変形例のように、第1嵌合穴部21に第1凸部11が第1隙間31を介して隙間嵌めにより嵌合するとともに、第1隙間31に第1接着層32を配置し、さらに、第2嵌合穴部22に第2凸部12が第2隙間33を介して隙間嵌めにより嵌合し、第2隙間33に、第1接着層32と同様な第2接着層34を配置するようにしてもよい。
この第13変形例によれば、第2軸部材101と第2プーリー102Aとの組み付けが極めて容易でありながら、第1接着層32と第2接着層34とにより、第2軸部材101に対する第2プーリー102Aの軸方向回りの回転方向に対する回り止めを行うことができる。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明にかかるプーリーの固定構造は、当接面に係止面が当接して係止することによりプーリーが軸部材に確実に固定することができ、例えば2輪車用部品等への適用として有用である。
1 (第1)軸部材
1a 円環部
2 (第1)プーリー
2a 筒状部
2b 筒状部の穴
2g トルク伝達面
3 ベルト
11 第1凸部
12 第2凸部
13 係止面
14 円周方向の端面
21 第1嵌合穴部
22 第2嵌合穴部
23 当接面
24 円周方向の端面
31 第1隙間
32 第1接着層
33 第2隙間
34 第2接着層
41 傾斜平面
42 傾斜平面
101 第2軸部材
101a 薄肉の円環部
101c 厚肉の円環部
102,102A 第2プーリー
102a 筒状部
102b 筒状部の穴
102g トルク伝達面
H1 係止面の高さ(凸部の高さ)
H2 当接面の高さ
H3 円環部の厚み寸法
W1 凸部の幅(軸方向長さ)
W3 円環部の幅(軸方向長さ)

Claims (11)

  1. トルク伝達面を有する車両のトルク伝達用のプーリーと、
    前記プーリーの穴に嵌合される軸部材とを備え、
    前記軸部材の外周面には、
    第1凸部と、
    前記第1凸部に対して、前記軸部材の軸方向でかつトルク伝達面側から前記トルク伝達面とは反対面側に向かう方向沿いに隣接配置され、前記第1凸部よりも径方向に突出した第2凸部と、
    前記第1凸部と前記第2凸部との間に配置されかつ軸方向と交差する係止面とを有するとともに、
    前記プーリーの前記穴の内周面には、
    前記第1凸部と嵌合する第1嵌合穴部と、
    前記第1嵌合穴部の内径よりも大きな内径を有して前記第2凸部と嵌合する第2嵌合穴部と、
    前記第1嵌合穴部と前記第2嵌合穴部との間に前記軸方向と交差して配置され、前記係止面と当接する当接面とを有する、プーリーの固定構造。
  2. 前記軸部材の前記第1凸部と前記プーリーの前記第1嵌合穴部とが隙間無しに締り嵌めにより嵌合し、
    前記軸部材の前記第2凸部と前記プーリーの前記第2嵌合穴部とが隙間無しに締り嵌めにより嵌合する、
    請求項1に記載のプーリーの固定構造。
  3. 前記軸部材の前記第1凸部と前記プーリーの前記第1嵌合穴部とが接着層を介して隙間嵌めにより嵌合し、
    前記軸部材の前記第2凸部と前記プーリーの前記第2嵌合穴部とが隙間無しに締り嵌めにより嵌合する、
    請求項1に記載のプーリーの固定構造。
  4. 前記軸部材の前記第1凸部と前記プーリーの前記第1嵌合穴部とが接着層を介した隙間嵌めにより嵌合し、
    前記軸部材の前記第2凸部と前記プーリーの前記第2嵌合穴部とが接着層を介した隙間嵌めにより嵌合する、
    請求項1に記載のプーリーの固定構造。
  5. 前記第1凸部の幅は前記第1凸部の高さよりも大きい、
    請求項1〜4のいずれか1つに記載のプーリーの固定構造。
  6. 前記プーリーは、前記軸部材が嵌合される前記穴を有する筒状部を有し、
    前記筒状部の前記軸方向と直交する方向の寸法は、前記筒状部の前記軸方向沿いの長さよりも大きい、
    請求項1〜5のいずれか1つに記載のプーリーの固定構造。
  7. 前記当接面及び前記係止面は前記軸方向に対して直交する面である、
    請求項1〜6のいずれか1つに記載のプーリーの固定構造。
  8. 前記プーリーは、前記軸部材が嵌合される前記穴を有する筒状部を有し、
    前記プーリーの前記筒状部よりも、前記筒状部から起立した円盤部が、前記軸部材の前記軸方向でかつ第1凸部側から第2凸部側に向けた方向に張り出している、
    請求項1〜5のいずれか1つに記載のプーリーの固定構造。
  9. 前記軸部材の前記第1凸部と前記プーリーの前記第1嵌合穴部とは前記軸方向回りの全周に配置され、
    前記軸部材の前記第2凸部と前記プーリーの前記第2嵌合穴部とは前記軸方向回りの全周に配置される、
    請求項1〜8のいずれか1つに記載のプーリーの固定構造。
  10. 前記軸部材の前記第1凸部と前記プーリーの前記第1嵌合穴部とは前記軸方向回りに部分的に配置され、
    前記軸部材の前記第2凸部と前記プーリーの前記第2嵌合穴部とは前記軸方向回りに部分的に配置される、
    請求項1〜8のいずれか1つに記載のプーリーの固定構造。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載の前記プーリーを第1のプーリーとするとともに前記軸部材を第1の軸部材とし、
    前記第1のプーリーに対向して配置され、かつ、前記第1の軸部材に対して相対的に移動可能な第2の軸部材に固定される第2のプーリーは、前記第1のプーリーと同じ固定構造を有する、
    プーリーの固定構造。
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