JP2019163401A - コバルト化合物およびタイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い引張り破断伸びを有し、金属部材との接着性に優れるタイヤ用ゴム組成物と、それに配合されるコバルト化合物を提供する。【解決手段】天然ゴム50質量部以上を含むジエン系ゴム100質量部に対し、沃素吸着量が70g/kg〜130g/kgであるカーボンブラックを40質量部〜70質量部、硫黄を4質量部〜10質量部、下記一般式(1)で表されるコバルト化合物をコバルト換算で0.05質量部〜0.5質量部配合する。(式中、R1はヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基であり、R2は炭素数7〜19の脂肪族基であり、nは2〜4の整数である。)【選択図】なし
Description
本発明は、スチールコードやビードワイヤ等の金属部材に隣接して使用されるタイヤ用ゴム組成物と、それに配合されるコバルト化合物に関する。
金属からなるタイヤ構成部材(例えば、ベルト層やカーカス層に用いられるスチールコード、ビードコアに用いられるビードワイヤなど)を備えた空気入りタイヤでは、これら金属部材と周囲のゴム部材との接着性を確保することが求められる。そのため、金属部材に接するゴム部材(例えば、スチールコードを被覆するコートゴムや、金属部材に隣接する位置に配されるゴム層など)を構成するゴム組成物に接着助剤として有機酸コバルト塩等のコバルト化合物を添加することがある。また、特に、ベルト層やカーカス層を構成するスチールコードを被覆するコートゴムでは、各層のエッジ部のセパレーションを防止するために高い引張り破断伸びを有することが求められる。
例えば、特許文献1は、金属との接着性に優れるゴム組成物を得るために、有機酸コバルト塩として、ネオデカン酸ホウ酸コバルト塩やステアリン酸コバルト塩を配合することを提案している。しかしながら、いずれの場合も、引張り破断伸びの面で必ずしも充分な効果が得られるとは言えなかった。このように、有機酸コバルト塩を配合して金属との接着性を高めるにあたって、高い引張り破断伸びを確保して、これら性能を両立することは難しく、これら性能をバランスよく高度に両立するための対策が求められている。
本発明の目的は、高い引張り破断伸びを有し、金属部材との接着性に優れるタイヤ用ゴム組成物と、それに配合されるコバルト化合物を提供することにある。
本発明のコバルト化合物は、上記一般式(1)の構造を有するため、接着助剤として優れた特性を発揮し、ゴム組成物に配合した際に、得られたゴム組成物の金属部材に対する接着性を高め、且つ、引張り破断伸びを向上することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム50質量部以上を含むジエン系ゴム100質量部に対し、沃素吸着量が40g/kg〜130g/kgであるカーボンブラックが30質量部〜80質量部、硫黄が5質量部〜10質量部、上述のコバルト化合物がコバルト換算で0.05質量部〜0.5質量部配合されることが好ましい。このような配合にし、特に上述のコバルト化合物を適量含むことで、金属部材に対する優れた接着性と、高い引張り破断伸びとをバランスよく高度に両立することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのスチールコードに接する部位に用いることが好ましく、本発明のタイヤ用ゴム組成物を当該部位に用いた空気入りタイヤでは、スチールコードとそれに接するゴムとの接着性が高まり、且つ、高い引張り破断伸びによってエッジセパレーションを防止されるので、優れた走行性能を発揮することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、天然ゴムを必ず含む。天然ゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。天然ゴムの配合量は、ジエン系ゴム100質量部中に50質量部以上、好ましくは80質量部〜100質量部である。天然ゴムの配合量が50質量部未満であると、本発明の所望の効果が充分に得られない虞がある。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム以外の他のジエン系ゴムを含有してもよい。他のジエン系ゴムとしては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン‐ブタジエンゴム、等が挙げられる。これら他のジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを30質量部〜80質量部、好ましくは40質量部〜70質量部配合する。このようにカーボンブラックを配合することで、ゴム組成物の強度を向上することができる。カーボンブラックの配合量が40質量部よりも少ないと、加硫後のゴム組成物の硬度が充分に得られない。カーボンブラックの配合量が70質量部よりも多いと、ゴム組成物の60℃におけるtanδが大きくなり発熱性に影響が出る虞がある。
本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラックは、沃素吸着量が40g/kg〜130g/kg、好ましくは70g/kg〜100g/kgである。このように特定の沃素吸着量を有するカーボンブラックを用いることで、硬さと発熱のバランスを良好にすることができる。カーボンブラックの沃素吸着量が40g/kg未満であると、十分な硬さを得ることができない。カーボンブラックの沃素窒素量が130g/kgを超えると、発熱が悪化する。尚、本発明において、カーボンブラックの沃素吸着量は、JIS K6217‐1に準拠して測定するものとする。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、硫黄を5質量部〜10質量部、好ましくは6質量部〜8質量部配合する。このように硫黄を配合することで、加硫後のゴム物性を良好にすることができる。硫黄の配合量が4質量部よりも少ないと、所望の硬さが得られず、また金属への接着性能が悪化する。硫黄の配合量が10質量部よりも多いと、湿熱接着性が悪化する。
本発明のゴム組成物は、下記一般式(1)で表されるコバルト化合物が必ず配合される。本発明者は、ゴム組成物に配合される接着助剤としてのコバルト化合物について鋭意研究した結果、下記一般式(1)で表されるコバルト化合物が、ゴム組成物に配合された際に、得られたゴム組成物の金属部材に対する接着性を効果的に高め、且つ、引張り破断伸びを向上し、これら性能をバランスよく両立することを発見した。
(式中、R1はヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基であり、R2は炭素数7〜19の脂肪族基であり、nは2〜4の整数である。)
このコバルト化合物において、R1は前述のようにヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基であるが、具体的には、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基を例示することができる。また、R2は前述のように炭素数7〜19の脂肪族基であるが、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよく、不飽和二重結合を有していてもよい。具体的には、例えば、ネオデカン酸(炭素数:10)、パルミチン酸(炭素数:16)、ステアリン酸(炭素数:18)およびそれらの誘導体に由来する脂肪族基、即ち、ジメチルヘプチル基(炭素数:9)、ペンタデシル基(炭素数:15)、ヘプタデシル基(炭素数:17)を例示することができる。R1やR2として上述の各種官能基を採用することで、ゴム組成物の接着性を高める効果と、引張り破断伸びを向上する効果とを共に良好に発揮することができ、これら性能をバランスよく両立するには有利になる
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、上述のコバルト化合物をコバルト換算で0.05質量部〜0.5質量部、好ましくは0.1質量部〜0.3質量部配合する。このように上述の特定のコバルト化合物を所定量配合することで、ゴム組成物の金属に対する接着性を高め、且つ、引張り破断伸びを高める効果を良好に発揮することができる。コバルト化合物の配合量がコバルト換算で0.05質量部未満であると、接着性を高める効果が充分に得られない。コバルト化合物の配合量がコバルト換算で0.5質量部を超えると、湿熱条件下での接着性が悪化する。
本発明のゴム組成物には、上記以外の他の配合剤を添加することができる。他の配合剤としては、加硫または架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など、一般的に空気入りタイヤに使用される各種配合剤を例示することができる。これら配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量にすることができる。また混練機としは、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述の特定のコバルト化合物が配合されているため、高い引張り破断伸びを有すると共に、金属に対する接着性に優れるので、タイヤに用いられる金属部材(例えば、ベルト層やカーカス層に用いられるスチールコード、ビードコアに用いられるビードワイヤなど)に隣接する部位に好適に用いることができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物を当該部位に用いた空気入りタイヤでは、上述のゴム組成物の特性によって、金属部材と周囲のゴムとの接着性が高まり、且つ、高い引張り破断伸びによってエッジセパレーションの発生を抑制することができるので、優れた走行性能を発揮することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示すコバルト化合物1〜4(Co化合物1〜4)、ステアリン酸コバルト(Co化合物5)、またはネオデカン酸ホウ酸コバルト(Co化合物6)を用いて、表2〜4に示す配合からなる24種類のタイヤ用ゴム組成物(従来例1〜2、比較例1〜10、実施例1〜12)を、それぞれ加硫促進剤および硫黄を除く配合成分を秤量し、1.8Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度150℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。その後、このマスターバッチを1.8Lの密閉式バンバリーミキサーに供し、加硫促進剤及び硫黄を加え2分間混合してタイヤ用ゴム組成物を調製した。次に、得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を作製した。
尚、コバルト化合物1〜4は、以下の方法で製造した。
コバルト化合物1
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、ネオデカン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、o‐ケイ酸テトラエチル(以下、TEOSとする)を先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.25モルを緩やかに加温しつつ投入し、さらに反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物1)を得た。コバルト化合物1は、一般式(1)において、nが4、R2が6,6−ジメチルヘプチルで表されるコバルト化合物である。
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、ネオデカン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、o‐ケイ酸テトラエチル(以下、TEOSとする)を先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.25モルを緩やかに加温しつつ投入し、さらに反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物1)を得た。コバルト化合物1は、一般式(1)において、nが4、R2が6,6−ジメチルヘプチルで表されるコバルト化合物である。
コバルト化合物2
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、ネオデカン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、TEOSを先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.33のモル比で投入し、さらに加温と反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物2)を得た。コバルト化合物2は、一般式(1)において、nが3、R1がメチル、R2が6,6−ジメチルヘプチルで表されるコバルト化合物である。
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、ネオデカン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、TEOSを先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.33のモル比で投入し、さらに加温と反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物2)を得た。コバルト化合物2は、一般式(1)において、nが3、R1がメチル、R2が6,6−ジメチルヘプチルで表されるコバルト化合物である。
コバルト化合物3
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、パルミチン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、TEOSを先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.25のモル比で投入し、さらに加温と反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物3)を得た。コバルト化合物3は、一般式(1)において、nが4、R2がペンタデシルで表されるコバルト化合物である。
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、パルミチン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、TEOSを先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.25のモル比で投入し、さらに加温と反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物3)を得た。コバルト化合物3は、一般式(1)において、nが4、R2がペンタデシルで表されるコバルト化合物である。
コバルト化合物4
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、ステアリン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、TEOSを先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.25のモル比で投入し、さらに加温と反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物4)を得た。コバルト化合物4は、一般式(1)において、nが4、R2がヘプタデシルで表されるコバルト化合物である。
適宜容量の丸底フラスコに凝縮器と攪拌機を取り付け、ステアリン酸とプロピオン酸及び水酸化コバルトを1:1:1のモル比で投入し、加温により反応を行うと同時に、反応副生成物の水を系外に除去した。水を除去した後、TEOSを先に投入した水酸化コバルトに対して1:0.25のモル比で投入し、さらに加温と反応を行った。副生成物のプロピオン酸エチルエステルを系外に除去し、最終反応物(コバルト化合物4)を得た。コバルト化合物4は、一般式(1)において、nが4、R2がヘプタデシルで表されるコバルト化合物である。
得られたタイヤ用ゴム組成物について、下記に示す方法により、破断伸長率、初期接着性、湿熱接着性、および引張応力の評価を行った。
破断伸長率・引張応力
得られたゴム組成物を用いて、JIS K6251に準拠して、ダンベルJIS3号形試験片を作製し、室温(20℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、100%伸長時の引張応力及び破断したときの破断伸長率を測定した。得られた結果は、従来例1の値を100とする指数として表2の「破断伸長率」および「引張応力」の欄にそれぞれ示した。これら指数値が大きいほど破断伸長率および引張応力が大きいことを意味する。尚、引張応力については指数値が「95」以上の場合に、破断伸長率については指数値が「105」以上の場合に、金属部材に隣接して使用されるゴム組成物として良好な値が得られたことを意味する。
得られたゴム組成物を用いて、JIS K6251に準拠して、ダンベルJIS3号形試験片を作製し、室温(20℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、100%伸長時の引張応力及び破断したときの破断伸長率を測定した。得られた結果は、従来例1の値を100とする指数として表2の「破断伸長率」および「引張応力」の欄にそれぞれ示した。これら指数値が大きいほど破断伸長率および引張応力が大きいことを意味する。尚、引張応力については指数値が「95」以上の場合に、破断伸長率については指数値が「105」以上の場合に、金属部材に隣接して使用されるゴム組成物として良好な値が得られたことを意味する。
接着性
得られたゴム組成物中に、13mm間隔で互いに平行に並べた複数本のスチールコードを埋め込み、170℃で15分間加硫して、試験サンプルを調製した。試験サンプルを2群に分け、一方の群を使用して初期接着性を評価し、他方の群は温度70℃、湿度96%の条件で21日間湿熱劣化させて湿熱劣化後の試験サンプルとし、湿熱接着性を評価した。初期接着性および湿熱接着性は、それぞれの試験サンプルを使用して、ASTM‐D‐2に準拠してスチールコードの引抜き試験を行い、引き抜いたワイヤに対するゴムの被覆率を目視で判定した。得られた結果は、従来例1の値を100とする指数として表2の「初期接着性」および「湿熱接着性」の欄に示した。この指数が大きいほどスチールコードに対する「初期接着性」および「湿熱接着性」が優れることを意味する。尚、「初期接着性」については、指数値が「130」以上の場合に、「湿熱接着性」については、指数値が「200」以上の場合に、金属部材に隣接して使用されるゴム組成物として良好な接着性が得られたことを意味する。
得られたゴム組成物中に、13mm間隔で互いに平行に並べた複数本のスチールコードを埋め込み、170℃で15分間加硫して、試験サンプルを調製した。試験サンプルを2群に分け、一方の群を使用して初期接着性を評価し、他方の群は温度70℃、湿度96%の条件で21日間湿熱劣化させて湿熱劣化後の試験サンプルとし、湿熱接着性を評価した。初期接着性および湿熱接着性は、それぞれの試験サンプルを使用して、ASTM‐D‐2に準拠してスチールコードの引抜き試験を行い、引き抜いたワイヤに対するゴムの被覆率を目視で判定した。得られた結果は、従来例1の値を100とする指数として表2の「初期接着性」および「湿熱接着性」の欄に示した。この指数が大きいほどスチールコードに対する「初期接着性」および「湿熱接着性」が優れることを意味する。尚、「初期接着性」については、指数値が「130」以上の場合に、「湿熱接着性」については、指数値が「200」以上の場合に、金属部材に隣接して使用されるゴム組成物として良好な接着性が得られたことを意味する。
表1〜4において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、RSS#3
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol1502
・CB1:カーボンブラック、東海カーボン社製シースト300(沃素吸着量:86g/kg)
・CB2:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストKH(沃素吸着量:90g/kg)
・CB3:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストV(沃素吸着量:26g/kg)
・Co化合物1:ネオデカン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:20.8質量%)
・Co化合物2:ネオデカン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:20.4質量%)
・Co化合物3:パルミチン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:15.0質量%)
・Co化合物4:ステアリン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:13.6質量%)
・Co化合物5:ステアリン酸コバルト、アイレック社製ステアリン酸コバルト(コバルト含有量:10.0質量%)
・Co化合物6:ネオデカン酸ホウ酸コバルト、アイレック社製ネオデカン酸ホウ素コバルト(コバルト含有量:22.5質量%)
・酸化亜鉛:正同化学社製三種酸化亜鉛
・老化防止剤:Lanxess社製VULKANOX4020
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロンOT−20
・加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーDZ−G
・NR:天然ゴム、RSS#3
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol1502
・CB1:カーボンブラック、東海カーボン社製シースト300(沃素吸着量:86g/kg)
・CB2:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストKH(沃素吸着量:90g/kg)
・CB3:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストV(沃素吸着量:26g/kg)
・Co化合物1:ネオデカン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:20.8質量%)
・Co化合物2:ネオデカン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:20.4質量%)
・Co化合物3:パルミチン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:15.0質量%)
・Co化合物4:ステアリン酸ケイ酸コバルト、アイレック社製(コバルト含有量:13.6質量%)
・Co化合物5:ステアリン酸コバルト、アイレック社製ステアリン酸コバルト(コバルト含有量:10.0質量%)
・Co化合物6:ネオデカン酸ホウ酸コバルト、アイレック社製ネオデカン酸ホウ素コバルト(コバルト含有量:22.5質量%)
・酸化亜鉛:正同化学社製三種酸化亜鉛
・老化防止剤:Lanxess社製VULKANOX4020
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロンOT−20
・加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーDZ−G
表2〜4から明らかなように、実施例1〜10のタイヤ用ゴム組成物は、従来例1に対して引張り破断伸びを向上し、且つ、初期接着性および湿熱接着性を向上し、これら性能をバランスよく両立した。
一方、比較例1のタイヤ用ゴム組成物は、コバルト化合物として上述の一般式(1)の構造を有さないステアリン酸コバルトが配合されているため、引張り破断伸びが悪化した。比較例2のタイヤ用ゴム組成物は、コバルト化合物として上述の一般式(1)の構造を有さないネオデカン酸ホウ酸コバルトが配合されているため、引張り破断伸びを向上する効果が得られなかった。比較例3のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴムの配合量が過少であるため、所望の引っ張り応力が得られなかった。比較例4のタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックの配合量が過多であるため、破断伸長率が悪化した。比較例5のタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックの沃素吸着量が本発明の条件から外れるため、所望の引張応力が得られず、且つ破断伸長率が悪化した。比較例6のタイヤ用ゴム組成物は、硫黄の配合量が過多であるため、破断伸長率が悪化した。比較例7のタイヤ用ゴム組成物は、コバルト化合物の配合量が過少であるため、引張応力、初期接着性および湿熱接着性が悪化した。比較例8のタイヤ用ゴム組成物は、コバルト化合物の配合量が過多であるため、湿熱接着性が悪化した。比較例9のタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックの配合量が過少であるため、引張応力が悪化した。比較例10のタイヤ用ゴム組成物は、硫黄の配合量が過少であるため、引張応力および湿熱接着性が悪化した。
Claims (3)
- 天然ゴム50質量部以上を含むジエン系ゴム100質量部に対し、沃素吸着量が70g/kg〜130g/kgであるカーボンブラックが40質量部〜70質量部、硫黄が4質量部〜10質量部、請求項1に記載のコバルト化合物がコバルト換算で0.05質量部〜0.5質量部配合されたことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項2に記載のゴム組成物をスチールコードまたはビードワイヤに接する部位に用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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