JP2019162619A - タール含有ガス改質用触媒、タール含有ガス改質用触媒の製造方法、及び、タール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法 - Google Patents

タール含有ガス改質用触媒、タール含有ガス改質用触媒の製造方法、及び、タール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法 Download PDF

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Abstract

【課題】石炭などの炭素質原料を熱分解した時に発生するタールを含むと共に硫化水素を高濃度で含むタール含有ガスを、触媒存在下で、高価な白金族を使わずに高性能且つ安定的に、炭素析出をより抑えながら、メタン、一酸化炭素、水素等の軽質化学物質に変換するタール含有ガス改質用触媒を提供する。【解決手段】aNi・bY・cMg・dAl・eO で表されるタール含有ガス改質用触媒であって、a、b、c、d、及び、eはモル比を表し、a+b+c+d=1、0.01≦a≦0.5、0.01≦b≦0.09、0.35≦c≦0.47かつ、0.35≦d≦0.55を満たし、eは、酸素と陽性元素が電気的に中性となる値であり、且つ、NiMgO、NiAl2O4、及び、MgAl2O4の結晶相と、Y2O3の結晶相とを有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素質原料を熱分解した際に発生し、硫化水素を含む高温のタール含有ガスを改質し、タール含有ガス中のタールを軽質化して、水素、一酸化炭素、メタン等のガスへ変換するためのタール含有ガス改質用触媒、及び、そのタール含有ガス改質用触媒の製造方法、並びに、そのタール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法に関する。
鉄鋼業はエネルギー多消費産業であるが、高炉法一貫製鉄プロセスにおける廃熱のうち約4割が未利用廃熱である。そのうち、回収されやすいが、従来は利用されていない熱源としてコークス炉から発生する高温のコークス炉ガス(粗COG)の顕熱がある。
従来、高温のコークス炉ガスの顕熱は間接的に回収され(又は全く利用されず)、冷却後のガスを処理して利用するケースが殆どであった。粗COGは顕熱を有しているが、2000ppmを越える硫黄化合物を含有している。従って、タールのような重質炭化水素の分解反応に関する触媒反応を設計する観点からは難易度が高いと考えられる。
特許文献1に記載されているように、NixMg1-xO−SiO2噴霧乾燥固溶体触媒、活性Al23触媒、Ni/Al23触媒やFe/Al23触媒などの担持法による触媒が検討されていたが、これらの触媒は改質活性の点で依然として改善の余地があった。また、エネルギー変換触媒は、硫黄被毒や炭素析出を受けやすい。このため、上述のような高濃度硫黄化合物を含んだ雰囲気下、炭素析出を起こしやすい縮合多環芳香族主体のタールの分解反応に適する触媒を見出すことが困難であった。
また、上述の担持法以外にも、シリカやアルミナをバインダーとしてニッケルマグネシア化合物に混合して噴霧乾燥法により炭化水素改質用触媒を製造する方法や、ニッケルマグネシア系化合物にシリカ粉末やアルミナ粉末を物理混合して炭化水素改質用触媒を製造する方法も知られている。しかしながら、ニッケルマグネシア化合物粉末に対してシリカ粉末又はアルミナ粉末を物理的に添加して混合した後、成形及び焼成を行う方法では、高い触媒活性や最終製品強度を得られない場合がある。
特許文献2には、粗COG中に含まれる不純物(H2S、COS、芳香族炭化水素、タール、ダスト等)を除去することにより、都市ガス等の燃料や化学合成用の原料として使用される精製COGを得る方法が開示されている。COGを用いてメタノール合成プラントを建設する際には、常法により得られる精製COGには低級炭化水素や芳香族炭化水素が残留しているため、それらが改質装置の触媒の被毒を起こす恐れがある。
そこで、例えば特許文献3には、市販の触媒を用いたプレリフォーミングを行った後、改質装置で合成ガスを製造する製造システムが開示されている。しかしながら、後段の合成ガスを製造する改質装置に用いる触媒については言及されていない。
一方、炭化水素の改質用原料として一般に用いられるメタン改質用触媒は古くから数多くの研究がなされている。
例えば非特許文献1においては、メタンの部分酸化触媒として、ニッケルと、マグネシウムと、アルミニウムとを含む溶液からの沈殿物を用いて製造される触媒が提案されている。
特許文献4には、ニッケルと、マグネシウムと、カルシウムとにより構成される酸化物に第3B族元素、第4A族元素、第6B族元素、第7B族元素、第1A族元素およびランタノイド元素の少なくとも一種を混合した触媒が開示されている。
特許文献5には、マグネシウムと、アルミニウムと、ニッケルとを構成元素とし、且つアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Co、Ce、Cr、Fe、Laから選ばれる1種以上の元素を含有する触媒が開示されている。
非特許文献2においては、メタンから二酸化炭素、スチーム及び酸素へのトリフォーミング反応用として、セリア、ジルコニア、及びセリアジルコニア化合物へのニッケル担持触媒と共に、セリアジルコニア化合物へのマグネシア及びニッケル担持触媒が提案されている。
また、プロパン、ブタン、都市ガス等の低級炭化水素からの水素製造触媒としては、特許文献6に開示されているように、マグネシウムとアルミニウムとニッケルとを構成元素とし、且つ珪素を含有する触媒などが提案されている。
しかし、これらの触媒の対象となる炭化水素は低級且つ鎖式の炭化水素に分解しやすいものに限られる。また、原料中に含まれる触媒毒となり得る硫黄分は、特許文献7に示されているような50ppm以下のものに限られている。即ち、これら公知の触媒に関しては、タール含有ガスにおいて硫黄分が高濃度に含まれるガス雰囲気下、タール等重質炭化水素を改質することへの検討は全く行われていなかった。
さらに、近年の地球温暖化問題により、二酸化炭素排出量削減の有効手段として炭素質原料の一つであるバイオマス利用が注目されており、バイオマスの高効率エネルギー変換に関する研究が行われている。また、昨今のエネルギー資源確保の観点から、過去精力的に行われてきた石炭の有効活用に関する研究も実用化に向けて見直されてきている。その中で、バイオマスの乾留で生成するタールをガス化して、粗ガス(未精製ガス)を生成し、その顕熱を利用する方法については、特に触媒を用いたタールの触媒改質を中心に、特許文献8や特許文献9などに開示される技術のように種々検討されている。しかしながら、高価な貴金属を使用する場合には不経済であること等の課題を有していた。
一方、本発明者らは、ニッケル及びマグネシウムに、第3成分として様々な金属成分やアルミナ等を混合した成分からなるタール含有ガス改質用触媒を用いて、硫黄を高濃度含んだタールを含有したコークス炉ガス等を改質する方法を開示している。
特許文献10には、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物からなるタール含有ガス改質用触媒を開示している。
特許文献11には、ニッケル及びマグネシウムに、鉄、銅、クロム、ランタン、プラセオジム、ネオジムから選ばれるいずれか1種類を含む複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加えてなるタール含有ガスの改質用触媒を開示している。
特許文献12には、ニッケル及びマグネシウムに、リチウム、ナトリウムのいずれか1種類を含む複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加えてなるタール含有ガスの改質用触媒を開示している。
特許文献13には、ニッケル及びマグネシウムに、コバルト、モリブデン、レニウムのいずれか1種類を含む複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加えてなるタール含有ガスの改質用触媒を開示している。
特許文献14には、ニッケル及びマグネシウムに、チタン、ジルコニウム、タングステン、マンガン、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、タンタルから選ばれるいずれか1種類を含む複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加えてなるタール含有ガスの改質用触媒を開示している。いずれの触媒も、活性を向上でき、炭素析出も抑えられてはいるが、炭素析出に関しては依然として改善の余地があった。
特許文献15には、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びガリウムを含む触媒体であって、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム及びニッケルの一部を含む複合酸化物とニッケルの金属微粒子から成る、燃料電池向けの水蒸気改質反応で使用される耐熱性及び耐久性に優れた炭化水素分解用触媒体を開示している。
特開2003−55671号公報 特開2008−239443号公報 特開2000−248286号公報 特開2000−469号公報 特開2006−61760号公報 特開2008−18414号公報 特開2007−313496号公報 特開2008−132458号公報 特開2007−229548号公報 国際公開第2010/134326号 特開2011−212551号公報 特開2011−212552号公報 特開2011−212553号公報 特開2011−212535号公報 国際公開第2014/021224号
F.Basile et al., Stud. Surf. Sci. Catal., Vol.119(1998) C.Song et al., Catalysis Today, Vol.98(2004)
特許文献10〜14に記載されたニッケル及びマグネシウムに第3成分を添加し、アルミナ等を混合した触媒は、活性は向上し、炭素析出も減少していたが、長期稼働のためには更なる炭素析出の減少が望まれていた。また、特許文献15に記載されたマグネシウム、アルミニウム、ニッケル及びガリウムを含む触媒は、耐熱性を向上させていたが、燃料電池向けの改質触媒であるため、都市ガス、天然ガス、LPG等の炭化水素を対象としており、本発明で取り扱う、重質鎖式炭化水素や縮合多環芳香族炭化水素などを主成分とするタールに対しては、適用が難しかった。
本発明は、石炭やバイオマスなどの炭素質原料を熱分解した時に発生し、重質鎖式炭化水素や縮合多環芳香族炭化水素などを主成分とするタールを含むと共に、硫化水素を高濃度で含むタール含有ガスを、触媒存在下で、高価な白金族を使わずに、高性能且つ安定的に、炭素析出をより抑えながら、メタン、一酸化炭素、水素等の軽質化学物質に変換するタール含有ガス改質用触媒、タール含有ガス改質用触媒の製造方法、及び、タール含有ガス改質用触媒を用いたタール改質方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生する、硫化水素を高濃度で含むタール含有ガス(粗ガス)を、硫化水素を高濃度で含む粗ガスの状態のままで触媒と接触させて、粗ガス中のタールを、一酸化炭素、水素等の軽質化学物質に安定して変換する方法について鋭意検討した。
その結果、タール含有ガス改質用触媒として、
(1)ニッケル、マグネシウム、イットリウム、アルミニウムを構成元素とし、
(2)少なくとも1種の複合酸化物を含み、NiMgO、NiAl24、MgAl24の結晶相、及び、Y23の結晶相を主に含有する金属酸化物を触媒として用い、改質中はガス中の硫黄成分と反応してY22Sの結晶相を生じる金属酸化物を触媒として用いることにより、硫化水素を高濃度で含み、且つ縮合多環芳香族炭化水素等を主成分とするタールを多く含む粗ガスや精製ガスを改質しても、触媒に硫黄被毒による活性低下や炭素析出が生じ難いことを見出した。
この触媒は、硫黄被毒による活性低下や炭素析出が生じ難いため、経時劣化が少なく安定的に粗ガス中のタールを改質することができ、一酸化炭素や水素等の軽質化学物質へ変換できることが判った。
上記触媒を製造するに当たって、本発明者らは、従来の含浸担持法による触媒の製造方法とは異なり、ニッケル化合物、マグネシウム化合物、及び、イットリウム化合物を含む混合溶液から共沈により沈殿物を生成し、前記沈殿物と、あるいは、前記沈殿物のか焼後に、アルミニウム成分を加えて乾燥及び焼成すること(固相晶析法)で、上記能力を有するタール含有ガス改質用触媒を製造できることを見出した。
また、固相晶析法を用いると、
(1)活性種金属の微細析出が可能で高速反応が可能である、
(2)析出した活性金属がマトリクス(母相)と強固に結合するため、シンタリング(粗大化)しにくく、活性低下を抑制可能である、
(3)析出した活性種金属を焼成によりマトリクスへ再度吸蔵できるので、再生が可能である、などの種々の長所を発揮する。
そこで本発明者らは、この固相晶析法を利用し、予め活性種であるニッケル元素をマトリクスとなるマグネシアなどと化合物化し、そこへさらにイットリウムを共存させるため、ニッケル化合物、マグネシウム化合物、及び、イットリウム化合物を含む混合溶液から共沈により沈殿物を生成し、共沈時又は前記沈殿物の生成後に、アルミニウム成分を加えて焼成すること、あるいは、焼成前に乾燥及び粉砕、または乾燥、か焼、粉砕、及び成形することにより、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、及び、アルミニウムを含んだ酸化物によるタール含有ガス改質用触媒を製造する方法を見出した。
また、本発明者らは、ニッケル化合物、マグネシウム化合物、及び、イットリウム化合物を含む溶液から共沈により沈殿物を生成し、沈殿物をか焼後に、か焼した沈殿物とアルミニウム成分を加えて、乾燥及び粉砕、または、乾燥、か焼、粉砕及び成形したものを、焼成することによっても、上述の触媒を得ることができることを見出した。
この触媒をタール含有ガス中の還元性ガス又は反応前の還元性ガスに接触させると、酸化物マトリクスからニッケル金属が酸化物表面にクラスター状に微細析出する。この現象を利用して、硫黄被毒となり得る硫黄成分の高濃度の雰囲気下、タール等重質炭化水素などの炭素析出を起こしやすい成分を多量に含んだ過酷な状況においても、活性金属の表面積が大きく、且つ硫黄被毒を受けても新たに活性金属が析出可能であり、重質炭化水素を高い効率で軽質炭化水素へ変換できるものと考えられる。
このような製造方法による触媒は、タール含有ガスの改質活性が高く、且つ長時間に亘って改質することができる。これは、改質中にイットリウム酸化物(Y23)の一部が、ガス中の硫化物と反応して、硫化酸化イットリウム(Y22S)となり、活性を発現しているからであることを見出した。
本発明者らは、このようにして、本発明を為すに至った。
本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)aNi・bY・cMg・dAl・eO で表されるタール含有ガス改質用触媒であって、
a、b、c、d及び、eはモル比を表し、a+b+c+d=1、0.01≦a≦0.5、0.01≦b≦0.09、0.35≦c≦0.47かつ、0.35≦d≦0.55を満たし、
eは、酸素と陽性元素が電気的に中性となる値であり、
且つ、NiMgO、NiAl24、及び、MgAl24の結晶相と、Y23の結晶相とを有することを特徴とするタール含有ガス改質用触媒。
(2)(1)に記載のタール含有ガス改質用触媒の製造方法であって、
ニッケル化合物と、マグネシウム化合物と、イットリウム化合物とを含む混合溶液から共沈により沈殿物を生成する工程と;
前記沈殿物にアルミナ粉末と水、又はアルミナゾルを添加することにより、混合物を生成する工程と;
前記混合物を乾燥、焼成する工程と;
を備えることを特徴とするタール含有ガス改質用触媒の製造方法。
(3)(1)に記載のタール含有ガス改質用触媒の製造方法であって、
ニッケル化合物と、マグネシウム化合物と、イットリウム化合物とを含む混合溶液から共沈により沈殿物を生成する工程と;
前記沈殿物を乾燥、か焼する工程と;
か焼された前記沈殿物にアルミナ粉末と水、又はアルミナゾルを添加することにより混合物を生成する工程と;
前記混合物を焼成する工程と;
を備えることを特徴とするタール含有ガス改質用触媒の製造方法。
(4)前記混合物を焼成する工程の前に、前記混合物を乾燥及び粉砕する工程、又は、前記混合物を乾燥、か焼、粉砕、及び成形する工程を更に備えることを特徴とする(2)又は(3)に記載のタール含有ガス改質用触媒の製造方法。
(5)(1)に記載のタール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法であって、炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスを、前記タール含有ガス改質用触媒に接触させて、前記タール含有ガス中の二酸化炭素、水蒸気の少なくともいずれかにより、前記タール含有ガス中のタールを改質して、水素及び一酸化炭素に変換することを特徴とするタール含有ガスの改質方法。
(6)(1)に記載のタール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法であって、炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスと、外部から添加する水蒸気、二酸化炭素の少なくともいずれかを導入して混合ガス化し、前記混合ガスを前記タール含有ガス改質用触媒に接触させて、前記混合ガス中の二酸化炭素、水蒸気の少なくともいずれかにより、前記タール含有ガスを改質して、水素及び一酸化炭素に変換することを特徴とするタール含有ガスの改質方法。
(7)前記炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスに、外部から添加する水蒸気又は二酸化炭素の少なくともいずれかの導入量を調整して、前記タール含有ガス改質後のガス中の水素/一酸化炭素比を制御することを特徴とする、(6)に記載のタール含有ガスの改質方法。
(8)前記タール含有ガスが、コークス炉から排出されるコークス炉ガスであることを特徴とする(5)〜(7)のいずれか1項に記載のタール含有ガスの改質方法。
(9)前記タール含有ガスが、木質系バイオマス、食品廃棄物系バイオマスの少なくともいずれかを乾留したときに発生する乾留ガスであることを特徴とする(5)〜(7)のいずれか1項に記載のタール含有ガスの改質方法。
本発明によれば、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生するタール含有ガスを、安定的に炭素析出を抑えて、一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ変換することができる。特に、タール含有ガスが硫化水素を高濃度で含んでいても、脱硫処理せずにそのまま触媒と接触させて、ガス中のタールを改質して、タール含有ガスを一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ安定的に変換することができる。
以下、具体例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の第一の実施形態に係るタール含有ガス改質用触媒は、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、及びアルミニウムを含む酸化物である。このタール含有ガス改質用触媒は、NiMgO、NiAl24、MgAl24の複合酸化物の結晶相とY23の結晶相を含む。
ニッケルはタール等の重質炭化水素や軽質炭化水素をガス中に存在又は外部より導入される水蒸気、水素、二酸化炭素との間で改質反応を進行させる主活性成分として機能する。タール含有ガス中に高濃度の硫化水素が共存した場合でも、上記ニッケル金属が触媒表面上でクラスター状に微細分散して表面積が大きくなっているため、そして、還元雰囲気下では反応中に活性金属粒子が被毒を受けても新たな活性金属粒子(ニッケル)が、マトリクス(母相)である、NiMgO相やNiAl24相から微細析出するため、硫黄被毒による活性低下の影響を受け難い。
このマトリクスの化合物から、還元雰囲気下、活性金属粒子を微細クラスター状に析出させることができる。また、縮合多環芳香族主体のタールも乾留直後の高温状態で反応性に富む状態であり、且つ微細分散して高比表面積を持った高活性なニッケル金属と接触することにより、高効率に軽質化学物質へ変換・分解する。また、析出したニッケルがマトリクスの化合物と強固に結合しているために、ニッケル粒子間での凝集(シンタリング)を抑制し、長時間の反応中でも触媒活性が低下し難いという効果がある。
マグネシアは、ニッケル元素と化合物化した成分中の塩基性酸化物であり、二酸化炭素を吸着する機能を保有することにより、主活性成分元素上での炭化水素由来の析出炭素と反応して、一酸化炭素として酸化除去する役割を発揮するために、触媒表面を清浄に保ち、触媒性能を長期間安定に保持できる。
イットリウムは、ニッケル−マグネシウム固溶体酸化物には固溶せずに、酸化イットリウム(Y23)としてニッケル−マグネシウム酸化物(NiMgO)表面近傍に存在し、タール含有ガス雰囲気下であっても酸素吸放出機能を発揮して、ニッケル−マグネシウム固溶体酸化物からニッケルを還元し、より多くのニッケル金属粒子を析出させる役割を果たす。また、Y23の格子酸素と析出炭素との間で一酸化炭素や二酸化炭素等に変換して、触媒上に堆積する析出炭素量を減らす機能を発揮する。さらに、改質中に硫化され、Y22Sとなることで、改質活性を発現する。
アルミナは、反応場としての担体の役割を果たすだけでなく、ニッケルマグネシウム化合物と反応して、NiAl24やMgAl24を形成し、NiMgO結晶相を細かく分断すること等により、NiMgOやNiAl24の各結晶相から表面に析出する活性種のニッケルが高度な分散状態になり、特に炭素析出の起点となり易いニッケルの偏在部分等が形成され難く、高い耐炭素析出性を発揮するような機能も果たす。
本発明でいう炭素質原料とは、熱分解してタールを生成する炭素を含む原料のことで、石炭並びにバイオマスやプラスチックの容器包装類等の構成元素に炭素を含む広範囲なものを指すが、中でもバイオマスとは、林地残材、間伐材、未利用樹、製材残材、建設廃材、稲わら等の木質系廃棄物、又はそれらを原料とした木質チップ、ペレット等の二次製品や、再生紙として再利用できなくなった古紙等の製紙系廃棄物、農業残渣、厨芥類等の食品廃棄物、活性汚泥等を指す。
また、炭素質原料を熱分解した際に発生するタールとは、熱分解される原料により性状が異なるが、炭素が5個以上含まれた常温で液体の有機化合物であって、鎖式炭化水素や芳香族炭化水素等からなる混合物を指し、石炭の熱分解であれば、例えば、ナフタレン、フェナンスレン、ピレン、アントラセン等の縮合多環芳香族等が主成分であり、バイオマス、特に木質系廃棄物の熱分解であれば、例えば、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、インデン、アントラセン、フェノール等、食品廃棄物系バイオマスの熱分解であれば、例えば、上記以外にインドール、ピロール等の六員環又は五員環に窒素等の異種元素を含むヘテロ化合物も含まれるが、特にそれらに限定されるものではない。熱分解タールは、熱分解直後の高温状態ではガス状で存在する。また、ほぼ室温に冷却された精製COG中ではミスト状で存在する。
なお、炭素質原料の熱分解方法としては、石炭を原料とする場合には一般にコークス炉が用いられ、バイオマスを原料とする場合には外熱式ロータリーキルンや移動床炉、流動床炉等を用いることができるが、特にこれらのみに限定するものではない。
また、タール含有ガスを接触してガス化するタール含有ガスの改質反応は、重質炭化水素であるタールや軽質炭化水素からメタン、一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ変換する反応であり、反応経路が複雑で必ずしも明らかではないが、タール含有ガス中の水素や水蒸気、二酸化炭素等との間で起こり得る水素化反応やスチームリフォーミング反応、ドライリフォーミング反応等が考えられる。さらに、外部から水蒸気、二酸化炭素を導入するとより高効率に反応が進行する。これら一連の反応は吸熱反応のため、実機に適用した場合、反応器に入る高温の顕熱を有するガスが触媒層内で改質されて出口では温度が低下するが、より高効率にタール等の重質炭化水素成分を改質する場合には、必要に応じて空気若しくは酸素を触媒層内に導入することで、一部水素や炭化水素成分を燃焼させた燃焼熱で触媒層の温度をある程度保ちながら、さらに改質反応を進めることも可能である。
本発明のタール含有ガスの改質方法で用いるタール含有ガス改質用触媒は、aNi・bY・cMg・dAl・eO で表される。主活性成分であるニッケル含有量が、触媒全体の金属元素に対し1〜50モル%(0.01≦a≦0.5)である。ニッケル含有量が1モル%未満では、ニッケルの改質性能が十分発揮されない。ニッケル含有量が50モル%を超えると、マトリクスを形成するマグネシウムの含有量が少ないので、触媒上に析出するニッケル金属の濃度が高く、且つ粗大化しやすくなり、本反応条件下では性能の経時劣化のおそれがある。また、製造コストも高価になる。aは0.02以上、0.03以上、0.04以上若しくは0.05以上であってもよく、及び/又は0.4以下、0.3以下、0.2以下若しくは0.1以下であってもよい。
イットリウムの含有量は、触媒全体の金属元素に対し1〜9モル%(0.01≦b≦0.09)である。イットリウムの含有量が1モル%未満では、改質活性、炭素析出抑制効果が発揮しにくくなる。また、イットリウムの含有量が9モル%を超えると、改質活性、炭素析出抑制効果が発揮しにくくなること、高価であることから、使用量を抑えることが必要である。bは0.02以上若しくは0.025以上であってもよく、及び/又は0.08以下、0.06以下若しくは0.05以下であってもよい。
マグネシウム含有量は、触媒全体の金属元素に対し35〜47モル%(0.35≦c≦0.47)である。マグネシウム含有量が35モル%未満では、マグネシアの有する塩基性酸化物の性質を活かせないため、炭化水素の炭素析出を抑制し難く、触媒性能を長期間安定に保持し難くなる傾向がある。さらに、マグネシウムとニッケルの固溶体中のニッケル濃度が高くなるため、固溶相から析出するニッケル粒が粗大化しやすく、タール含有ガスの改質反応後での触媒上の炭素析出量が多くなるおそれがある。マグネシウム含有量47モル%を超えると、他のニッケル、又はアルミニウムの含有量が少なくなるので、触媒の改質活性を十分発揮できなくなるおそれがある。cは0.38以上若しくは0.40以上であってもよく、及び/又は0.45以下であってもよい。
さらに、アルミニウムの含有量は、触媒全体の金属元素に対して、35〜55モル%(0.35≦d≦0.55)とする必要がある。この量が35モル%未満では、ニッケルマグネシア(NiMgO)相主体のセラミックスとなり、NiAl24相やMgAl24相の割合が少ないためにNiMgO相が微細化せずに、そこから析出するNi粒が大きくなって活性が低くなったり、成形した際、強度が著しく低くなる傾向がある。55モル%を超える場合には、主活性成分であるニッケルや助触媒となるイットリウムの割合が低くなるため、触媒の改質活性を十分発揮できなくなる恐れがある。より好ましくは、39〜55又は50モル%(0.39≦d≦0.55又は0.50)である。
また、上記方法で製造された触媒は、粉末であってもよいし、成形体であっても良い。粉末であれば粒径や表面積を、また、成形体であれば表面積と強度との兼ね合いで細孔容積、細孔径、形状等を適宜調整することが好ましい。成形体は、球状、シリンダー状、リング状、ホイール状、粒状等いずれでもよく、さらに、金属又はセラミックスのハニカム状基材へ触媒成分をコーティングしたもの等いずれでもよい。また、各金属種の含有量を上記範囲になるように調製するためには、各出発原料を予め計算の上、準備しておくことが好ましい。尚、一度触媒が狙いの成分組成となれば、それ以降はその時の配合で調製すればよい。
また、上記の元素以外に触媒製造工程等で混入する不可避的不純物や触媒性能が変わらない他成分を含んでも構わないが、できるだけ不純物が混入しないようにするのが望ましい。
なお、上記改質触媒を構成する各金属種の含有量の測定方法は、高周波誘導結合プラズマ法(ICP)を用いて測定できる。具体的には、試料を粉砕後、アルカリ融解剤(例えば、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、等)を加えて白金坩堝内で加熱融解し、冷却後に塩酸溶液に加温下で全量溶解させる。その溶液をICP分析装置へインジェクションすると、装置内の高温プラズマ状態の中で試料溶液が原子化・熱励起し、これが基底状態に戻る際に元素固有の波長の発光スペクトルを生じるため、その発光波長及び強度から含有元素種、量を定性・定量することができる。また、改質触媒に含まれる酸素の量は、酸素測定装置を用いた、融解抽出−赤外線吸収法により測定する。具体的には、試料を黒鉛ルツボに入れ、不活性ガス雰囲気下で、3000℃程度まで加熱して、試料を融解し、黒鉛と試料中の酸素が反応して、COやCO2が発生する。発生したCOやCO2を赤外線検出器により分析、定量する。
また、調製した触媒がNiMgO、NiAl24及びMgAl24の複合酸化物やY23の酸化物の結晶相を有しているかを確認するために、触媒の広角X線回折法(XRD)による結晶構造解析が行える。具体的には、粉末状態の試料をホルダーにセットし、Rigaku製RINT1500を用い、40kV、150mAの出力でCuKα線を発生させ、黒鉛のモノクロメーター、発散スリット及び散乱スリットを1°、受光スリットを0.15mm、モノクロ受光スリットを0.8mmとして、サンプリング幅0.02deg、スキャン速度を2deg/minの条件で測定し、ピーク位置、強度により結晶構造を評価できる。上記装置がない場合は、Rigaku製SmartLabを用いてもよく、その場合、40kV、30mAの出力でCuKα線を発生させ、発散スリットを0.2mm、長手制限スリットを0.5mmとして、サンプリング幅0.02deg、スキャン速度を2deg/minの条件で測定し、ピーク位置、強度により結晶構造を評価できる。
さらに、上記成形触媒の強度の測定には、木屋式硬度計を用いた。具体的には成形体を前記硬度計の台上に置き、上からプレスし、成形体が潰れた時点の強度をN(ニュートン)単位で計測することで、強度(圧壊強度)を評価することができる。
次に、本発明のタール含有ガス改質用触媒の製造方法について説明する。
本発明のタール含有ガス改質用触媒は、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、アルミニウムを含有した酸化物であり、ニッケル化合物、マグネシウム化合物、及び、イットリウム化合物の溶液から共沈により沈殿物を生成する。この沈殿物と、アルミニウム成分を加えて、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、及び、アルミニウムを含有した混合物を生成する。この混合物を焼成して、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、及び、アルミニウムの酸化物(酸化物及び/又は複合酸化物)を含有した混合物からなる触媒を製造することもできる。一方、ニッケル化合物、マグネシウム化合物、及び、イットリウム化合物の溶液から共沈により沈殿物を生成する。この沈殿物を乾燥、か焼した後に、アルミニウム成分を加えて、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、及び、アルミニウムを含有した混合物を生成する。この混合物を焼成して、ニッケル、マグネシウム、イットリウム、及び、アルミニウムの酸化物(酸化物及び/又は複合酸化物)を含有した混合物からなる触媒を製造する。いずれの製造方法でも、混合物の焼成前に、混合物を乾燥及び粉砕、または、混合物を乾燥、か焼、粉砕、及び成形することで成形触媒を製造できる。
上述の製造方法で製造された触媒は、従来の含浸担持法で製造された触媒と比較して、触媒材料中の各成分の均質性を高くすることができる。従って、活性成分のニッケルを微細析出させることができる。また、助触媒のイットリウム化合物も均質に分散して存在し、その機能を効率的に発揮できる。従って、タール含有ガスの改質活性が高く、且つ長期間に亘り、安定した活性を維持することができる。
以下に、具体的な製造方法1を説明する。
まず、ニッケル化合物とマグネシウム化合物とイットリウム化合物との混合溶液に沈殿剤を添加して、ニッケルとマグネシウムとイットリウムとを共沈させて沈殿物を生成する。次に、その沈殿物に、アルミナ粉末と水とを、又はアルミナゾルを添加する。そして、これらを混合して混合物(中間混合物)を生成する。そして、その混合物を焼成することで触媒が製造される。また、混合物の焼成前に、混合物を乾燥及び粉砕、または、混合物を乾燥、か焼、粉砕、及び成形することで成形触媒が製造される。
次に、以下に、具体的な製造方法2を説明する。
まず、ニッケル化合物とマグネシウム化合物とイットリウム化合物との混合溶液に沈殿剤を添加する。そして、ニッケルとマグネシウムとイットリウムとを共沈させて沈殿物を生成する。次に、その沈殿物を乾燥し、更にか焼する。このか焼により、ニッケルとマグネシウムとイットリウムとの酸化物が生成される。この酸化物に、アルミナ粉末と水とを、又はアルミナゾルを添加する。そして、これらを混合して混合物を生成する。この混合物を乾燥し、更に焼成することで触媒が製造される。また、混合物の乾燥、焼成前に、混合物を乾燥及び粉砕、または、混合物を乾燥、か焼、粉砕、及び成形することで成形触媒が製造される。特に、この方法で調製した成形触媒は、高い強度を保有する。
ここで、各製法における沈殿物や混合物の乾燥は、特に温度や乾燥方法を問わず、一般的な乾燥方法であればよい。乾燥後の共沈殿物は必要に応じて粗粉砕を行った後、焼成(か焼)してもよい。なお、流動層等の乾燥により乾燥後の沈殿物が粉状を保っている場合は、粗粉砕は不要である。
沈殿物や混合物の乾燥の前には、ろ過をしておくことが、乾燥の手間を少なくすることができ、好ましい。更に、ろ過後の沈殿物は、純水等で洗浄しておくことが、不純物量を低減できることからより好ましい。
また、上記混合物の焼成は、空気中で行うことができ、温度は600〜1300℃の範囲であれば良い。焼成温度が高いと混合物の焼結が進行し、強度は上昇するが、一方で比表面積が小さくなるために触媒活性は低下するため、そのバランスを考慮して決定するのが望ましい。焼成後は、そのまま触媒として使用することもできるが、プレス成形等で成形して成形物して使用してもよい。なお、乾燥と焼成の間に、か焼や成形工程も加えることができ、その場合、か焼は空気中で400〜800℃程度で行えば良く、成形は、プレス成形等で行えば良い。
このような製造方法で製造される触媒を用いることにより、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こしやすい縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換することができる。また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させることができる。従って、長期間安定した運転が可能になる。
上述の製造方法で製造されたタール含有ガス改質用触媒は、単にニッケルとマグネシウムとイットリウムとの各成分をアルミナの担体に担持させて乾燥及び焼成した触媒とは異なり、イットリウム成分とアルミニウム成分とが、ニッケルとマグネシウムとの共沈物との間で高度に均質な混合物を形成することが可能となる。即ち、その混合物に乾燥−粉砕−焼成工程、又は乾燥−か焼−粉砕−成形−焼成工程を経させることで、ニッケル及びマグネシウムに対し、イットリウム、アルミニウムが均質に分布した焼結体を形成することができる。この焼結体は、ニッケルマグネシア結晶相がより一層微細化され、そこから析出するニッケル粒が高度に微細分散することから、高活性で炭素析出量の少ない成形物を得ることができる。
より具体的には、まず、ニッケル化合物とマグネシウム化合物、又はイットリウム化合物との混合溶液を作成する際、水に対して溶解度の高い各金属化合物を用いることが適当である。例えば、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物等の無機塩のみならず、酢酸塩等の有機塩も好適に用いられる。特に好ましくは、焼成後に触媒被毒になり得る不純物が残り難いと考えられる硝酸塩又は炭酸塩又は酢酸塩、あるいは製造過程で廃液処理を行いやすい硫酸塩である。また、それらの溶液から沈殿物を形成する際に用いる沈殿剤は、上記溶液のpHをニッケル、マグネシウム、又はイットリウムが、主に水酸化物として沈殿する中性〜塩基性へ変化させるものであれば何でも用いることができるが、例えば、炭酸カリウム水溶液や炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液や尿素溶液等が好適に用いられる。
上記の方法で製造されたタール含有ガス改質用触媒を用いることにより、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、高い耐炭素析出性を示し、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質化学物質に経時劣化が少なく安定に変換することができる。
次に、本発明の触媒を用いたタール含有ガスの改質方法について説明する。この改質方法では、上述した触媒の存在下、炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスと、水素・二酸化炭素・水蒸気とを接触させて、タール含有ガスを改質する。
上述した水素・二酸化炭素・水蒸気に関しては、タール含有ガスに含まれる水素・二酸化炭素・水蒸気であってもよいし、外部から適宜に加えられる水素・二酸化炭素・水蒸気であってもよい。
外部から添加する二酸化炭素は、製鉄所内の高炉ガス、熱風炉排ガス、加熱炉排ガスや、火力発電所の排ガス等から、化学吸収法、物理吸着法、分離膜法等で分離回収した二酸化炭素を利用することができる。
ここで、タール含有ガス中のタールや軽質炭化水素を接触改質してガス化する反応は、反応経路が複雑で必ずしも明らかではないが、タール含有ガス中、若しくは外部より導入する水素との間では、例えば、(式2)で表されるような、タール中の縮合多環芳香族の水素化分解によるメタンを始めとする軽質炭化水素への転化反応が進行すると考えられる((式2)ではメタンのみが生成される場合を記す)。また、タール含有ガス中、若しくは外部より導入する二酸化炭素との間では、(式3)で表されるような、タール中の縮合多環芳香族の二酸化炭素によるドライリフォーミングによる水素と一酸化炭素への転化反応が進行する。さらに、タール含有ガス中、若しくは外部より導入する水蒸気との間では、(式4)で表されるような、スチームリフォーミング及び水性ガスシフト反応が進行する。また、タール含有ガス中のタール以外のメタン、エタン、エチレン等の軽質炭化水素成分についても、同様にして反応が進行する。
nm+(2n−m/2)H2 → nCH4 (式2)
nm+n/2CO2 → nCO+m/2H2 (式3)
nm+2nH2O → nCO2+(m/2+n)H2 (式4)
従って、メタン等の高カロリーガスを製造する場合には、外部から水素を加えることが望ましい。また、水素と一酸化炭素からなる合成ガスを製造する場合には、外部から二酸化炭素又は水蒸気を加えることが望ましい。合成ガスはC1化学体系において、様々な化成品の原料となるガスで、一般的に、目標生成物に対して、水素と一酸化炭素の組成比(H/CO比)が制御される。例えば、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成やメタノール合成ではH/CO=2程度、エチレングリコール合成ではH/CO=1.5程度、ジメチルエーテル合成ではH/CO=1程度の組成比となる。上記のような組成に制御するために、二酸化炭素又は水蒸気の導入量を制御する。例えば、H/CO比は1〜20又は1〜15であってもよい。さらに、水素をより多く製造する場合には、外部から水蒸気を加えることが望ましい。尚、タール以外の炭化水素成分も、上記の(式2)〜(式4)に従って、反応が進行する。
ここで、タール含有ガス改質用触媒は還元することが好ましいが、反応中に還元が進行するため、還元しなくても良い。しかしながら、特にタール含有ガス改質触媒が反応前に還元処理を必要とする場合、還元条件としては、本発明の触媒から活性金属であるニッケル粒子が微細クラスター状に析出するために、比較的高温で且つ還元性雰囲気にするのであれば、特に制限されるものではない。しかしながら、例えば、水素、一酸化炭素、メタンの少なくともいずれかを含むガス雰囲気下、又はそれら還元性ガスに水蒸気を混合したガス雰囲気下、又はそれらのガスに窒素等の不活性ガスを混合した雰囲気下であっても良い。また、還元温度は、例えば500℃〜1000℃、又は600℃〜900℃が好適であり、還元時間は充填する触媒量にも依存し、例えば、30分〜2時間が好適であるが、充填した触媒全体が還元するのに必要な時間であればよく、特にこの条件に制限されるものではない。
触媒反応器としては、触媒が粉末の場合には流動床形式や移動床形式等が、触媒が成形体であれば固定床形式や移動床形式等が好適に用いられる。また、その触媒層の入口温度としては、500〜900℃であることが好ましい。触媒層の入口温度が500℃未満の場合は、タール及び炭化水素が水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素へ改質する際の触媒活性がほとんど発揮されないため、好ましくない。一方、触媒層の入口温度が900℃を超える場合は、耐熱構造化が必要になる等、改質装置が高価になるため経済的に不利となる。また、触媒層の入口温度は、550〜900℃であることがより好ましい。尚、炭素質原料が石炭の場合には比較的高温で、バイオマスの場合には比較的低温で反応を進めることも可能である。
ここで、炭素質原料を熱分解又は部分酸化して生成されるタール含有ガスが、コークス炉から排出される粗COGのような硫化水素濃度が非常に高いタール含有ガスでも、ガス中のタールや炭化水素を改質してガス化することができる。ここで、熱分解又は部分酸化とは、具体的には、乾留、又は炭素質原料をガス化のために一部のみ酸化させてタール含有ガスを製造することを言う。現在のコークス炉では、炉内に原料の石炭を充填後、加熱・乾留してコークスを製造するが、付随して発生するコークス炉ガスは炉頂部の上昇管と呼ばれる部分から安水(アンモニア水)を噴霧して冷却後、集気管であるドライメーンに集められる。しかしながら、ガス成分はコークス炉の上昇管で800℃程度の顕熱を保有しているにもかかわらず、安水の噴霧後には100℃以下まで急冷されてしまい、その顕熱を有効に利用できていない。このため、このガス顕熱を有効に利用し、且つタール等重質炭化水素成分を水素、メタン等軽質炭化水素などの燃料成分に変換できれば、エネルギー増幅に繋がるばかりでなく、そこで生成される還元性ガス体積が大幅に増幅される。すなわち、例えば、鉄鉱石に適用して還元鉄を製造するプロセスが可能となれば、現在鉄鉱石をコークスにより還元する高炉プロセスで発生する二酸化炭素排出量を大幅に削減できる可能性がある。
また、それを従来の燃料用途のみに用いるのでなく、有用物に変換可能であり、また、鉄鉱石の直接還元にも適する合成ガスに変換することにより、より高度なエネルギー利用に繋がる可能性がある。因みに、粗COG中に含まれるタールは、コークス炉装炭から窯出しまでの間で経時的に変化し、おおよそ0.1〜150g/Nm3の範囲で変動する。
また、同様に、上記粗COGをコークス炉の上昇管で安水を噴霧して冷却し、ドライメーンで集められた後、常法で精製した精製COGは、プライマリークーラー、タール抽出器、電気集塵機等の処理を行って精製しているとはいえ、おおよそ0.01〜0.02g/Nm3程度のタールが存在し、その後のファイナルクーラーで精製してもナフタレンを約0.2〜0.4g/Nm3、スクラバー処理をした後でも軽油分を5〜10g/Nm3程度含んでいる。そのタール含有ガスである精製COGを水素、一酸化炭素等軽質炭化水素等の燃料成分に変換できれば、粗COGの変換と同様、二酸化炭素排出量の削減や、燃料以外の有用物への変換等の可能性が期待できる。
コークス炉ガスのような石炭を乾留した場合、高濃度の硫化水素を含んでいるが、硫化水素を含んでいない天然ガスや、あるいは低濃度の硫黄分を含む都市ガスやLPGのようなガスでも、同様に、炭素析出を抑えて、炭化水素を水素や一酸化炭素に効率よく変換できる。
反応後の生成ガスは、そのまま利用することも可能であるが、分離工程等を経て、精製した合成ガスとして利用することも可能である。未反応のタール分やメタン等の炭化水素、水分は、活性炭、モレキュラーシーブ、活性アルミナのような吸着材を充填する物理吸着法(圧力スイング式、熱スイング式、または、熱-圧力スイング式)によって分離が可能である。ガス中の二酸化炭素や硫化水素は、アミン溶液等を使用する化学吸収法によって分離が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
省CO2の観点では、外部からの水蒸気添加が少ない低水蒸気/炭素比(S/C)の条件が、水蒸気生成のエネルギーが少ないことから好ましい。例えば、コークス炉ガスには水蒸気が含まれており、外部から水蒸気を添加しなければS/C=0.8となる。低S/C(例えば0.8)の条件では、H2増幅率が高く、炭素析出量がより少なければ、目的を達成できると考えられる。また、S/Cを高くすると(例えば2や3)、H2増幅率は必然的に高くなるが、炭素析出量をさらに低く(なるべくゼロに)できれば、触媒寿命をさらに延ばすことが可能である。
しかしながら、高S/Cの条件では、外部から水蒸気を添加するため、水蒸気生成のエネルギーが必要で、プロセス全体でCO2増加に繋がる短所もある。従来のニッケル、マグネシウム、アルミニウムを含む触媒では、空間速度(SV)=500h−1、S/C=0.8の場合、H増幅率=1.52、炭素析出量=7質量%であった。また、従来のニッケル、セリウム、マグネシウム、アルミニウムを含む触媒では、S/C=0.8の場合、H増幅率=1.64、炭素析出量=11.3質量%であった。そのため、従来の触媒と比較して良好となる条件は、H増幅率が向上し、かつ、炭素析出量を抑制できることが必要であり、以下の実施例においては、SV=500h−1とした場合の各S/C条件での良否判断の基準を、以下のように考えた。S/C=0.8のとき:H2増幅率>1.6、且つ、炭素析出量<5質量%、S/C=2のとき:H2増幅率>1.8、且つ、炭素析出量<1質量%、S/C=3のとき:H2増幅率>2.0、且つ、炭素析出量<0.5質量%。
また、外部からCOを導入する場合、従来のニッケル、マグネシウム、アルミニウムを含む触媒では、SV=500h−1、二酸化炭素/炭素比(CO/C)=0.5、且つ、S/C=0.8の場合、合成ガス増幅率=1.49、且つ、CO転化率=45%、炭素析出量=10質量%であった。さらに、従来のニッケル、セリウム、マグネシウム、アルミニウムを含む触媒では、CO/C=0.5、且つ、S/C=0.8の場合、合成ガス増幅率=1.58、且つ、CO転化率=48%、炭素析出量=6質量%であった。そのため、従来の触媒と比較しての良否判断の基準を以下のように考えた。すなわち、SV=500h−1とした場合、CO/C=0.5且つS/C=0.8の場合、合成ガス増幅率>1.6、且つ、CO転化率>45%、炭素析出量<5質量%、CO/C=1且つS/C=0.8の場合、合成ガス増幅率>1.8、且つ、CO転化率>40%、炭素析出量<3質量%を基準と考えた。
(比較例1)
硝酸ニッケル、硝酸イットリウム、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.053:0.005:0.477になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えた。これにより、ニッケル、マグネシウム、及び、イットリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した。そして、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えた。次に、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとイットリウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いて直径20mmの錠剤状にプレス成形後粉砕して、1.0〜2.8mmの篩にかけて、粒度調整した触媒を得た。その触媒を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.0530.005Mg0.477Al0.465O触媒を調製した。その成形体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、XRD測定の結果から、NiMgO、NiAl24、MgAl24、Y23の各結晶構造が触媒中に含まれることを確認した。
この触媒を9.5mL用い、SUS製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガスの模擬ガスとして水素:窒素=1:1、H2Sを2,000ppm、水蒸気/炭素比(S/C)=0.8となるよう、純水を精密ポンプで0.014g/minの流量で反応管へ導入した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれ、且つ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として用い、精密ポンプで0.0125g/minの流量で反応管へ導入した。すなわち、ガス基準での流量が表1に示すように、流量(mL/min)比で、H:N:HS:タール:水蒸気=28.9:28.8:0.116:2.2:19.2となり、トータルで79.2mL/minになるよう各ガス及びポンプを調整して導入し、空間速度(SV)=500h-1、常圧下、800℃で8h反応評価した。出口から排出された生成ガスを室温トラップ、氷温トラップを経由させて、各々ナフタレン、水分を除去した後、ガスクロマトグラフ(Agilent製7890A)に注入してTCD、FID分析を行った。改質反応の活性(メチルナフタレンの分解率)は、水素増幅率、メタン選択率、CO選択率、CO2選択率、触媒上に析出した炭素析出率で判断し、水素増幅率、メタン選択率、CO選択率、CO2選択率は、8h平均値を用いた。それらは出口ガス中の各成分濃度より、以下の(式5)〜(式8)で算出した。また、炭素析出率(質量%)は、8h反応後触媒を空気流通下で昇温する熱重量分析法により、触媒の重量変化から(式9)により算出した。
水素増幅率=(出口水素ガス体積)/(入口水素ガス体積) (式5)
CH4選択率(%)=(CH4の体積量)/(供給された1−メチルナフタレンのC供給量)×100 (式6)
CO選択率(%)=(COの体積量)/(供給された1−メチルナフタレンのC供給量)×100 (式7)
CO2選択率(%)=(CO2の体積量)/(供給された1−メチルナフタレンのC供給量)×100 (式8)
炭素析出率(質量%)=(分析後触媒重量減少分)/(分析前触媒重量)×100 (式9)
Figure 2019162619
表2の結果より、Yが0.5モル%では、触媒活性は、水素増幅率は1.5程度で、炭素析出率は6%となることが判明した。
(実施例1)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.053:0.013:0.463:0.471になるようにして調製した、Ni0.0530.013Mg0.463Al0.471O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表2の結果より、Yを1.3モル%に少量増やすだけで、水素増幅率が大幅に向上し、かつ、炭素析出率も大きく抑制できることがわかった。
(実施例2)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.052:0.026:0.442:0.48になるようにして調製した、Ni0.0520.026Mg0.442Al0.48O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表2の結果より、Yが2.6モル%では水素増幅率を更に向上できることがわかった。
(実施例3)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.052:0.038:0.422:0.488になるようにして調製した、Ni0.0520.038Mg0.422Al0.488O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表2の結果より、Yが3.8モル%でも、水素増幅率を向上でき、炭素析出率も抑えられることがわかった。
(実施例4)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.05:0.05:0.404:0.496になるようにして調製した、Ni0.050.05Mg0.404Al0.496O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表2の結果より、Yが5モル%では、炭素析出率は多くなるものの、水素増幅率は向上できることがわかった。
(比較例2)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.048:0.095:0.331:0.526になるようにして調製した、Ni0.0480.095Mg0.331Al0.526O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表2の結果より、Yを9.5モル%まで増加させると、比較例1と同程度の水素増幅率となり、炭素析出率も多くなることがわかった。これは、触媒表面にイットリウム酸化物が点在し、還元時において、活性元素であるニッケルが、金属として触媒表面に析出しにくいからであると推察された。
Figure 2019162619
(比較例3)
比較例1において、イットリウムを含まない触媒を調製した。即ち、硝酸ニッケル、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.054:0.485になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えた。これにより、ニッケル、及び、マグネシウムの水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した。そして、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えた。次に、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、得られた粉末を、圧縮成形器を用いて直径20mmの錠剤状にプレス成形後粉砕して、1.0〜2.8mmの篩にかけて、粒度調整した触媒を得た。その触媒を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.054Mg0.485Al0.461O触媒を調製した。この触媒を用いて、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表3の結果より、イットリウムを含まない触媒では、比較例1のYが0.5モル%とほぼ同じ活性となることがわかった。
(比較例4)
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.051:0.025:0.431になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えた。これにより、ニッケル、マグネシウム、及び、セリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した。そして、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えた。次に、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いて直径20mmの錠剤状にプレス成形後粉砕して、1.0〜2.8mmの篩にかけて、粒度調整した触媒を得た。その触媒を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.051Ce0.025Mg0.431Al0.493O触媒を調製した。この触媒を用いて、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表3の結果より、イットリウムの代わりにセリウムである場合、水素増幅率は向上するが、炭素析出は大きいことがわかった。
(比較例5)
比較例4において、ニッケル、セリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.048:0.048:0.384:0.52になるようにして調製した、Ni0.048Ce0.048Mg0.384Al0.52O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表3の結果より、比較例4のCeが2.5モル%のものと同等の活性と炭素析出量となることがわかった。
本発明のイットリウムを添加した触媒は、従来のセリウムを添加した触媒と比較して、少量の添加量で、高活性、低炭素析出性を発現することがわかった。
Figure 2019162619
(比較例6)
比較例1と同様にして、原料に硝酸ニッケル、硝酸イットリウム、硝酸マグネシウムを用い、硝酸ニッケル、硝酸イットリウム、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.053:0.005:0.477になるように、ニッケル、マグネシウム、及び、イットリウムを水酸化物として共沈させた。次に、この沈殿物にアルミナゾルを加えた。そして、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとイットリウムとマグネシウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、乳鉢で粉砕後、粉末を圧縮成形器を用いて直径20mmの錠剤状にプレス成形後粉砕して、1.0〜2.8mmの篩にかけて、粒度調整した触媒を得た。その成形体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.0530.005Mg0.477Al0.465O触媒を調製した。その成形体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表4の結果より、Yが0.5モル%では、触媒活性は、水素増幅率は1.5程度で、炭素析出率は6.5%となることが判明した。
(実施例5)
比較例6において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.053:0.013:0.463:0.471になるようにして調製した、Ni0.0530.013Mg0.463Al0.471O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表4の結果より、Yを1.3モル%に少量増やすだけで、水素増幅率が大幅に向上し、かつ、炭素析出率も大きく抑制できることがわかった。
(実施例6)
比較例6において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.052:0.026:0.442:0.48になるようにして調製した、Ni0.0520.026Mg0.442Al0.48O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表4の結果より、Yが2.6モル%では水素増幅率を更に向上できることがわかった。
(実施例7)
比較例6において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、マグネシウムの各金属元素のモル比が0.052:0.038:0.422:0.488になるようにして調製した、Ni0.0520.038Mg0.422Al0.488O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表4の結果より、Yが3.8モル%でも、水素増幅率を向上でき、炭素析出率も抑えられることがわかった。
(実施例8)
比較例6において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.05:0.05:0.404:0.496になるようにして調製した、Ni0.050.05Mg0.404Al0.496O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表4の結果より、Yが5モル%では、炭素析出率は多くなるものの、水素増幅率は向上できることがわかった。
ニッケル、マグネシウム、及び、イットリウムを水酸化物として共沈させた沈殿物にアルミナゾルを混合させた方が、より均一性の高い触媒が得られ、触媒活性の向上、炭素析出率の抑制が可能になると考えられる。また、本発明のイットリウムを添加した触媒は、従来のセリウムを添加した触媒と比較して、少量の添加量で、高活性、低炭素析出性を発現することがわかった。
Figure 2019162619
(比較例7)
比較例6において、イットリウムを含まない触媒を調製した。即ち、硝酸ニッケル、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.054:0.485になるように、ニッケル、及び、マグネシウムを水酸化物として共沈させた。次に、この沈殿物にアルミナゾルを加えた。そして、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、乳鉢で粉砕後、粉末を圧縮成形器を用いて直径20mmの錠剤状にプレス成形後粉砕して、1.0〜2.8mmの篩にかけて、粒度調整した触媒を得た。その成形体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.054Mg0.485Al0.461O触媒を調製した。この触媒を用いて、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表5の結果より、イットリウムを含まない触媒では、比較例6のYが0.5モル%のものとほぼ同じ活性となることがわかった。
(比較例8)
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.051:0.025:0.431になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えた。これにより、ニッケル、マグネシウム、及び、セリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。次に、この沈殿物にアルミナゾルを加えた。そして、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、乳鉢で粉砕後、粉末を圧縮成形器を用いて直径20mmの錠剤状にプレス成形後粉砕して、1.0〜2.8mmの篩にかけて、粒度調整した触媒を得た。その触媒を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.051Ce0.025Mg0.431Al0.493O触媒を調製した。この触媒を用いて、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表5の結果より、イットリウムの代わりにセリウムを用いた場合、水素増幅率は向上するが、炭素析出は大きいことがわかった。
(比較例9)
比較例8において、ニッケル、セリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.048:0.048:0.384:0.52なるようにして調製した、Ni0.048Ce0.048Mg0.384Al0.52O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表5の結果より、比較例8のCeが2.5モル%のものと同等の活性と炭素析出量となることがわかった。
本発明のイットリウムを添加した触媒は、従来のセリウムを添加した触媒と比較して、少量の添加量で、高活性、低炭素析出性を発現することがわかった。
Figure 2019162619
(実施例9)
実施例5において調製した触媒を用いて、改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガスの模擬ガスとして水素:窒素=1:1、H2Sを2,000ppm、水蒸気/炭素比(S/C)=2となるよう、純水を精密ポンプで0.026g/minの流量で反応管へ導入した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれ、且つ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として用い、精密ポンプで0.0095g/minの流量で反応管へ導入した。すなわち、ガス基準での流量が表6に示すように、流量(mL/min)比で、H:N:HS:タール:水蒸気=21.4:21.3:0.086:1.6:34.8となり、トータルで79.2mL/minになるように各ガス及びポンプを調整して導入し、空間速度(SV)=500h-1、常圧下、800℃で8h反応評価した。表7の結果より、実施例5よりもS/Cを大きくした方が、水素増幅率が向上し、炭素析出を抑えられることがわかった。
Figure 2019162619
(実施例10)
実施例9において、実施例6において調製した触媒を用いる以外は、実施例9と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表7の結果より、Yが2.6モル%ではさらに水素増幅率が向上し、炭素析出もゼロのままであった。
(実施例11)
実施例9において、実施例8において調製した触媒を用いる以外は、実施例9と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表7の結果より、Yが5モル%では実施例9のYが1.3モル%のものと同等レベルとなることがわった。
Figure 2019162619
(比較例10)
実施例9において、比較例7で調製した触媒を用いる以外は、実施例9と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表8の結果より、イットリウムを含まない触媒では、水素増幅率は比較的高いものの、炭素析出率が大きくなることがわかった。
(比較例11)
実施例9において、比較例9で調製した触媒を用いる以外は、実施例9と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表8の結果より、Ceを4.8モル%含む触媒では、比較例10のYやCeを含む触媒と比べ、水素増幅率が向上し、炭素析出率は抑えられるが、実施例9〜11のようにYが含まれる場合よりも、低活性で炭素析出率も大きくなることがわかった。
Figure 2019162619
(実施例12)
実施例5において調製した触媒を用いて、改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガスの模擬ガスとして水素:窒素=1:1、H2Sを2,000ppm、水蒸気/炭素比(S/C)=3となるよう、純水を精密ポンプで0.033g/minの流量で反応管へ導入した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれ且つ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として用い、精密ポンプで0.008g/minの流量で反応管へ導入した。すなわち、ガス基準での流量が表9に示すように、流量(mL/min)比で、H:N:HS:タール:水蒸気=16.2:16.1:0.065:1.4:45.5となり、トータルで79.2mL/minになるよう各ガス及びポンプを調整して導入し、空間速度(SV)=500h-1、常圧下、800℃で8h反応評価した。表10の結果より、実施例5や実施例9よりもS/Cを大きくした方が、さらに水素増幅率が向上し、炭素析出もゼロであることがわかった。
Figure 2019162619
(実施例13)
実施例12において、実施例6において調製した触媒を用いる以外は、実施例12と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表10の結果より、Yが2.6モル%ではさらに水素増幅率が向上し、炭素析出もゼロのままであった。
(実施例14)
実施例12において、実施例8において調製した触媒を用いる以外は、実施例12と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表10の結果より、Yが5モル%では実施例12のYが1.3モル%のものと同等レベルとなることがわった。
Figure 2019162619
(比較例12)
実施例12において、比較例7で調製した触媒を用いる以外は、実施例12と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表11の結果より、イットリウムを含まない触媒では、実施例12〜14と比べ、水素増幅率は低く、炭素も析出することがわかった。
(比較例13)
実施例12において、比較例9で調製した触媒を用いる以外は、実施例12と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表11の結果より、Ceを4.8モル%含む触媒では、実施例12〜14と比べ、水素増幅率は低く、炭素も析出することがわかった。
Figure 2019162619
以上の結果から、イットリウムを含む触媒は、従来のセリウムを含む触媒よりも、高活性かつ炭素析出を抑えられ、さらに、従来のセリウム含有量よりも少量で効果を発揮することがわかった。
(実施例15)
ニッケル、イットリウム、マグネシウム及びアルミナのモル%を表12に示すように、各元素の割合を変える他は、比較例6と同様の調製法により触媒を調製した。この触媒を用いて、実施例12と同様の条件にて、還元及び改質反応を行った。
Figure 2019162619
表12の結果、主活性成分であるニッケルが少ないものほど、水素増幅率は低くなり、ニッケルが多いものは水素増幅率が大きくなるが、炭素析出量も増えることがわかった。
(実施例16)
硝酸ニッケル、硝酸イットリウム、硝酸マグネシウムの各金属元素のモル比が0.052:0.026:0.442になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えた。これにより、ニッケル、マグネシウム、及び、イットリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物にアルミナゾルを加えた。次に、攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、ナス型フラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。ナス型フラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとイットリウムとアルミニウムの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を打錠成形器を用いて直径15mm、内径5mm、高さ15mmのリング状に成形し、成形体を得た。その成形体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.0520.026Mg0.442Al0.48Oリング触媒を調製した。
この触媒60Lを用いて、SUS310製の固定床反応器に充填して、触媒層の入口付近、中心付近、出口付近の3ヶ所にK型熱電対を挿入した状態で、電気炉内に設置した。
改質反応を始める前に、まず反応器内を窒素雰囲気下で触媒層の各温度を800℃まで昇温した後、水素ガスを15Nm3/h流しながら30分間還元処理を行った。
その後、コークス炉から発生したCOGを未精製のまま30Nm/h導入した。この時、COG中のタール濃度は約60g/m3の濃度で、硫化水素は約3000ppm含有されていた。COGに含まれる水分のみで、水蒸気/炭素比(S/C)=0.8となる条件で、空間速度(SV)が500h-1として、改質反応を6時間行った。
反応前後のガス分析は、触媒層の入口と出口から分析装置に悪影響を及ぼすタールを除去するための糸巻きフィルター及び水を充填した三連式のガス洗浄瓶を通して、ガス前処理装置(島津製作所製CFP−8000)のポンプで抜き出し、冷却器で水分を除去した後、TCD及びFIDガスクロマトグラフ(ラウンドサイエンス製AG−1)によりH2、N2、CO、CO2、CH4、C24、C26、H2Sを12分間ごとに連続的に分析した。また、触媒反応器前後のガスサンプリングを行い、オフラインにてガス中のタール濃度、水分濃度、H2、CO、CO2、CH4、C24、C26、H2S、ベンゼン、トルエン、キシレンの分析を行った。ガス中のタール濃度は、触媒層の入口と出口からガスを一定時間吸引して、ジクロロメタンを充填した三連式ガス洗浄瓶を通してガス中のタール成分を捕集した後、ジクロロメタンを除去後の成分を定量することにより評価した。そして、タール分解率は、前記手法で捕集した触媒層入口ガス中タール成分の質量に対する触媒層出口ガス中タール成分の質量の割合から求めた。
Figure 2019162619
実施例15までの模擬タールである1−メチルナフタレンでの反応と異なり、COG中には多環芳香族が多数含まれて、炭素析出しやすい厳しい条件となる。表13に示すように、6時間平均でタール分解率69.2%、水素増幅率2.0倍、炭素析出率は6.5質量%となった。
(比較例14)
比較例7で調製したイットリウムを含まない触媒を用いて、実施例16と同じ条件で反応させた。その結果、表13に示すように、タール分解率、水素増幅率が低く、炭素析出率も大きな値となった。
(比較例15)
比較例9で調製したセリウムを添加した触媒を用いて、実施例16と同じ条件で反応させた。その結果、表13に示すように、タール分解率、水素増幅率は、実施例16よりも低く、炭素析出率も大きな値となった。
(実施例17)
ロータリーキルンを乾留炉として、木質バイオマスとして建築廃材チップ(5cm以下に分級)を原料として、10kg/hの速度で供給して、炉内温度を800℃に保持したロータリーキルンで乾留することにより、バイオマスタール含有ガスを発生させた。実施例16と同じ触媒を触媒反応器に20L充填し、触媒層の入口付近、中心付近、出口付近の3ヶ所にK型熱電対を挿入した状態で、電気炉に内に設置した。触媒層の各温度を800℃に保持した反応器に、タール含有ガスを10Nm3/hになるように供給し、8時間継続して改質反応を行い評価した。なお、原料投入前に水素5Nm3/hで30分間の還元処理を行った。また、触媒反応器入口と出口からタール及びガスをサンプリングし、ガスはオンラインのTCDガスクロマトグラフで定量分析し、タールはオフラインで定量分析を行った。タール分解率及び水素増幅率は、実施例1と同様の手法で求めた。なお、触媒入口ガス組成はコークス炉ガスに近く、水素、CO、CO2、CH4が主成分であった。また、被毒物質である硫化水素は、約25ppm含まれていることを確認した。さらに、原料の建築廃材中に約16%の水分が含まれており、その水分が揮発して水蒸気となって含まれていた。その結果、表14に示すように、タール分解率は95.6%、水素増幅率は6.7倍、炭素析出率は5.4%であった。
Figure 2019162619
(比較例16)
比較例7で調製したイットリウムを含まない触媒を用いて、実施例17と同じ条件で反応させた。その結果、表14に示すように、タール分解率、水素増幅率が低く、炭素析出率も大きな値となった。
(比較例17)
比較例9で調製したセリウムを添加した触媒を用いて、実施例17と同じ条件で反応させた。その結果、表14に示すように、タール分解率、水素増幅率は、実施例17よりも低く、炭素析出率も大きな値となった。
(比較例18)
比較例6において調製したNi0.0530.005Mg0.477Al0.465O触媒を、比較例1と同様に固定床反応管にセットし、改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。
コークス炉ガスの模擬ガスとして水素:窒素=1:1、H2Sを2,000ppm、水蒸気/炭素比(S/C)=0.8となるよう、純水を精密ポンプで0.011g/minの流量で反応管へ導入した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、1−メチルナフタレンを精密ポンプで0.0095g/minの流量で反応管へ導入した。さらに、CO/C=1となるようにCOを導入した。すなわち、ガス基準での流量が表15に示すように、流量(mL/min)比で、H:N:HS:タール:水蒸気:CO=22.3:22.1:0.089:1.7:14.6:18.3となり、トータルで79.2mL/minになるよう各ガス及びポンプを調整して導入し、空間速度(SV)=500h-1、常圧下、800℃で6h反応評価した。出口から排出された生成ガスを室温トラップ、氷温トラップを経由させて、各々ナフタレン、水分を除去した後、ガスクロマトグラフ(Agilent製7890A)に注入してTCD、FID分析を行った。
改質反応の活性は、合成ガス(水素+CO)増幅率、H/CO、CO2転化率、触媒上に析出した炭素析出率で判断し、合成ガス(水素+CO)増幅率、H/CO、CO2転化率は、6h平均値を用いた。それらは出口ガス中の各成分濃度より、以下の(式10)〜(式12)で算出した。また、炭素析出率(質量%)は、6h反応後触媒を空気流通下で昇温する熱重量分析法により、触媒の重量変化から(式9)により算出した。
合成ガス増幅率=(出口水素ガス体積+出口COガス体積)/(入口水素ガス体積) (式10)
/CO比(−)=(出口水素ガス体積)/(出口COガス体積) (式11)
CO2転化率(%)=(1−(出口CO2の体積量)/(入口COの体積量))×100 (式12)
表16の結果より、Yが0.5モル%では、触媒活性は、合成ガス増幅率は1.75程度、CO転化率は44%、炭素析出率は4%となることが判明した。
(実施例18)
実施例5で調製したNi0.0530.013Mg0.463Al0.471O触媒を用いること以外は、比較例18と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表16の結果より、Yを1.3モル%に増やすことで、合成ガス増幅率及びCO転化率が向上し、炭素析出率を抑制できることがわかった。
(実施例19)
実施例6で調製したNi0.0520.026Mg0.442Al0.48O触媒を用いること以外は、比較例18と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表16の結果より、Yを2.6モル%に増やすことで、合成ガス増幅率及びCO転化率がさらに向上し、炭素析出率もさらに抑制できることがわかった。
(実施例20)
実施例7で調製したNi0.0520.038Mg0.432Al0.488O触媒を用いること以外は、比較例18と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表16の結果より、Yを3.8モル%でも、合成ガス増幅率及びCO転化率が向上し、炭素析出率も抑制できることがわかった。
(実施例21)
実施例8で調製したNi0.0520.05Mg0.404Al0.496O触媒を用いること以外は、比較例18と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表16の結果より、Yを5モル%では、炭素析出率は多くなるものの、合成ガス増幅率及びCO転化率を向上できることがわかった。
Figure 2019162619
Figure 2019162619
(比較例20)
比較例7において調製したイットリウムを含まない、Ni0.054Mg0.485Al0.461O触媒を用いること以外は、比較例18と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表17の結果より、比較例18のYが0.5モル%のものよりも、合成ガス増幅率及びCO2転化率が低くなり、炭素析出率も大きくなることがわかった。
(比較例20)
比較例9において調製したイットリウムの代わりにセリウムを含む、Ni0.048Ce0.048Mg0.384Al0.52O触媒を用いること以外は、比較例18と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表17の結果より、合成ガス増幅率は向上するものの、CO2転化率は向上せず、炭素析出率も高いままとなることがわかった。
本発明のイットリウムを添加した触媒は、従来のイットリウム無添加触媒やセリウムを添加した触媒と比較して、高活性、低炭素析出性を発現することがわかった。
Figure 2019162619
(比較例22)
比較例6において調製したNi0.0530.005Mg0.477Al0.465O触媒を、比較例1と同様に固定床反応管にセットし、改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。
コークス炉ガスの模擬ガスとして水素:窒素=1:1、H2Sを2,000ppm、水蒸気/炭素比(S/C)=0.8となるよう、純水を精密ポンプで0.012g/minの流量で反応管へ導入した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、1−メチルナフタレンを精密ポンプで0.0108g/minの流量で反応管へ導入した。さらに、CO/C=0.5となるようにCOを導入した。すなわち、ガス基準での流量が表18に示すように、流量(mL/min)比で、H:N:HS:タール:水蒸気:CO=25.2:25.1:0.101:1.9:16.6:10.4となり、トータルで79.2mL/minになるよう各ガス及びポンプを調整して導入し、空間速度(SV)=500h-1、常圧下、800℃で6h反応評価した。出口から排出された生成ガスを室温トラップ、氷温トラップを経由させて、各々ナフタレン、水分を除去した後、ガスクロマトグラフ(Agilent製7890A)に注入してTCD、FID分析を行った。
表19の結果より、Yが0.5モル%では、触媒活性は、合成ガス増幅率は1.55程度、CO転化率は46%、炭素析出率は7%となることが判明した。
(実施例22)
実施例5で調製したNi0.0530.013Mg0.463Al0.471O触媒を用いること以外は、比較例22と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表19の結果より、Yを1.3モル%に増やすことで、合成ガス増幅率及びCO転化率が向上し、炭素析出率を抑制できることがわかった。
(実施例23)
実施例6で調製したNi0.0520.026Mg0.442Al0.48O触媒を用いること以外は、比較例22と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表19の結果より、Yを2.6モル%に増やすことで、合成ガス増幅率及びCO転化率がさらに向上し、炭素析出率もさらに抑制できることがわかった。
(実施例24)
実施例7で調製したNi0.0520.038Mg0.432Al0.488O触媒を用いること以外は、比較例22と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表19の結果より、Yを3.8モル%でも、合成ガス増幅率及びCO転化率が向上し、炭素析出率も抑制できることがわかった。
(実施例25)
実施例8で調製したNi0.0520.05Mg0.404Al0.496O触媒を用いること以外は、比較例22と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表19の結果より、Yを5モル%では、炭素析出率は多くなるものの、合成ガス増幅率及びCO転化率を向上できることがわかった。
Figure 2019162619
Figure 2019162619
(比較例24)
比較例7において調製したイットリウムを含まない、Ni0.054Mg0.485Al0.461O触媒を用いること以外は、比較例22と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表20の結果より、比較例22のYが0.5モル%のものよりも、合成ガス増幅率及びCO転化率が低くなり、炭素析出率も大きくなることがわかった。
(比較例25)
比較例9において調製したイットリウムの代わりにセリウムを含む、Ni0.048Ce0.048Mg0.384Al0.52O触媒を用いること以外は、比較例22と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表20の結果より、合成ガス増幅率は向上するものの、CO転化率は向上せず、炭素析出率も高いままとなることがわかった。
本発明のイットリウムを添加した触媒は、従来のイットリウム無添加触媒やセリウムを添加した触媒と比較して、高活性、低炭素析出性を発現することがわかった。
Figure 2019162619
(実施例26)
実施例6で調製したNi0.0520.026Mg0.442Al0.48O触媒を用い、比較例1と同様に固定床反応管にセットし、改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。
よりコークス炉ガスを模擬したガス組成とするために、水素:メタン:窒素=2.5:1.5:1、H2Sを2,000ppm、水蒸気/炭素比(S/C)=0.8となるよう、純水を精密ポンプで0.015g/minの流量で反応管へ導入した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、1−メチルナフタレンを精密ポンプで0.0086g/minの流量で反応管へ導入した。さらに、CO/C=1となるようにCOを導入した。すなわち、ガス基準での流量が表21に示すように、流量(mL/min)比で、H:N:HS:CH:タール:水蒸気:CO=15.4:6.2:0.062:9.3:1.5:20.7:25.8となり、トータルで79.0mL/minになるよう各ガス及びポンプを調整して導入し、空間速度(SV)=500h-1、常圧下、800℃で6h反応評価した。出口から排出された生成ガスを室温トラップ、氷温トラップを経由させて、各々ナフタレン、水分を除去した後、ガスクロマトグラフ(Agilent製7890A)に注入してTCD、FID分析を行った。
改質反応の結果、表22の結果より、メタンを含んだ条件でも、Yを2.6モル%に増やすことで、合成ガス増幅率及びCO転化率がさらに向上し、炭素析出率もさらに抑制できることがわかった。
(実施例27)
実施例8で調製したNi0.0520.05Mg0.404Al0.496O触媒を用いること以外は、実施例26と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表22の結果より、Yが5モル%では、炭素析出率は多くなるものの、合成ガス増幅率及びCO転化率を向上できることがわかった。
(比較例26)
比較例7において調製したイットリウムを含まない、Ni0.054Mg0.485Al0.461O触媒を用いること以外は、実施例26と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表22の結果より、実施例26のYが2.6モル%のものよりも、合成ガス増幅率及びCO転化率が低くなり、炭素析出率も大きくなることがわかった。
(比較例27)
比較例9において調製したイットリウムの代わりにセリウムを含む、Ni0.048Ce0.048Mg0.384Al0.52O触媒を用いること以外は、実施例26と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表22の結果より、合成ガス増幅率は向上するものの、CO転化率は向上せず、炭素析出率も高いままとなることがわかった。
本発明のイットリウムを添加した触媒は、従来のイットリウム無添加触媒やセリウムを添加した触媒と比較して、高活性、低炭素析出性を発現することがわかった。
Figure 2019162619
Figure 2019162619
(比較例28)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.084:0.042:0.718:0.156になるようにして調製した、Ni0.0840.042Mg0.718Al0.156O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。表23の結果より、Al量が少ないと、炭素析出量が大きくなることがわかった。これは、相対的に活性金属であるNi量が増えるので、一定のH増幅率が得られるものの、NiMgO層が微細化せず、還元後のNi粒子が大きくなるためと推察された。
(比較例29)
比較例1において、ニッケル、イットリウム、マグネシウム、アルミニウムの各金属元素のモル比が0.04:0.02:0.344:0.596になるようにして調製した、Ni0.040.02Mg0.344Al0.596O触媒を用いること以外は、比較例1と同様にして、同一の還元、改質反応を行った。また、調製後触媒をXRD測定した結果から、NiMgO、NiAl24、MgAl24、Y23の各結晶構造に加え、Alの結晶が触媒中に含まれることを確認した。表23の結果より、Al量が多すぎると、H増幅率が大きく低下することがわかった。これは、相対的に活性金属であるNi量が減ることと、好ましくないAl単独の結晶構造が存在するからであると推察された。
Figure 2019162619
本発明によれば、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生するタール含有ガスを、安定的に一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ変換することができる。特に鉄鋼業においては、従来は利用されていなかった熱源が利用できるようにもなることから、本発明は産業上の利用可能性を十分に有する。

Claims (9)

  1. aNi・bY・cMg・dAl・eO で表されるタール含有ガス改質用触媒であって、
    a、b、c、d、及び、eはモル比を表し、a+b+c+d=1、0.01≦a≦0.5、0.01≦b≦0.09、0.35≦c≦0.47かつ、0.35≦d≦0.55を満たし、eは、酸素と陽性元素が電気的に中性となる値であり、
    且つ、NiMgO、NiAl24、及び、MgAl24の結晶相と、Y23の結晶相とを有することを特徴とするタール含有ガス改質用触媒。
  2. 請求項1に記載のタール含有ガス改質用触媒の製造方法であって、
    ニッケル化合物と、マグネシウム化合物と、イットリウム化合物とを含む混合溶液から共沈により沈殿物を生成する工程と;
    前記沈殿物にアルミナ粉末と水、又はアルミナゾルを添加することにより、混合物を生成する工程と;
    前記混合物を焼成する工程と;
    を備えることを特徴とするタール含有ガス改質用触媒の製造方法。
  3. 請求項1に記載のタール含有ガス改質用触媒の製造方法であって、
    ニッケル化合物と、マグネシウム化合物と、イットリウム化合物とを含む混合溶液から共沈により沈殿物を生成する工程と;
    前記沈殿物を乾燥、か焼する工程と;
    か焼された前記沈殿物にアルミナ粉末と水、又はアルミナゾルを添加することにより混合物を生成する工程と;
    前記混合物を焼成する工程と;
    を備えることを特徴とするタール含有ガス改質用触媒の製造方法。
  4. 前記混合物を焼成する工程の前に、前記混合物を乾燥及び粉砕する工程、又は、前記混合物を乾燥、か焼、粉砕、及び成形する工程を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のタール含有ガス改質用触媒の製造方法。
  5. 請求項1に記載のタール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法であって、炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスを、前記タール含有ガス改質用触媒に接触させて、前記タール含有ガス中の二酸化炭素、水蒸気の少なくともいずれかにより、前記タール含有ガスを改質して、水素及び一酸化炭素に変換することを特徴とするタール含有ガスの改質方法。
  6. 請求項1に記載のタール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガスの改質方法であって、炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスに、外部から添加する水蒸気、二酸化炭素の少なくともいずれかを導入して混合ガス化し、前記混合ガスを前記タール含有ガス改質用触媒に接触させて、前記混合ガス中の二酸化炭素、水蒸気の少なくともいずれかにより、前記タール含有ガスを改質して、水素及び一酸化炭素に変換することを特徴とするタール含有ガスの改質方法。
  7. 前記炭素質原料を熱分解した際に発生するタール含有ガスに、外部から添加する水蒸気又は二酸化炭素の少なくともいずれかの導入量を調整して、前記タール含有ガス改質後のガス中の水素/一酸化炭素比を制御することを特徴とする、請求項6に記載のタール含有ガスの改質方法。
  8. 前記タール含有ガスが、コークス炉から排出されるコークス炉ガスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のタール含有ガスの改質方法。
  9. 前記タール含有ガスが、木質系バイオマス、食品廃棄物系バイオマスの少なくともいずれかを乾留したときに発生する乾留ガスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のタール含有ガスの改質方法。
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