JP2019162141A - 植物体、植物体の製造方法、抵抗性付与方法、トマト、及びトマトの製造方法 - Google Patents

植物体、植物体の製造方法、抵抗性付与方法、トマト、及びトマトの製造方法 Download PDF

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Motohiro Sakakibara
基弘 榊原
東儀 彰子
Akiko Tougi
彰子 東儀
世吾 小野
Seigo Ono
世吾 小野
西口 直樹
Naoki Nishiguchi
直樹 西口
後藤 宏明
Hiroaki Goto
宏明 後藤
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Abstract

【課題】従来の同種の植物体と比較し、日持ちの向上された植物体、及び当該植物体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、植物体に対する優れた病害虫への抵抗性付与方法を提供することを目的とする。また、本発明は、安定的に収穫でき、より風味の改善が図られたトマト、及び当該トマトの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、特定の量であることよりなる。また、耐塩性が付与された植物体を、特定の条件で水耕栽培する工程を有することよりなる。また、可食部に含まれる特定のアミノ酸が特定量であることよりなる。【選択図】なし

Description

本発明は、ナトリウムを多く含む植物体、当該植物体の製造方法、植物体に病害虫への抵抗性を付与する抵抗性付与方法、トマト及びトマトの製造方法に関する。
本願は、2016年9月29日に、日本に出願された特願2016−192096号、2016年9月29日に、日本に出願された特願2016−191983号、及び2016年9月29日に、日本に出願された特願2016−191962号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
農業作物の日持ちを向上させることを目的として、保存料を使用して植物を処理することが広く行われている。保存料としては、例えば、亜塩素酸ナトリウム水溶液、フマル酸塩、酢酸、ミョウバンなどが知られている(例えば、特許文献1−4参照。)。しかし、過度の保存料の使用は健康面での影響等も懸念され、保存料の使用の抑制が望まれている。
植物の生育に害を及ぼすおそれのある病気及び害虫は病害虫と呼ばれ、これらの蔓延は農業作物の収穫量を減少させ、経済的損失も大きい。農業作物の病害虫防除を目的として、農薬を使用して植物を栽培することが広く行われている。しかし、過度の農薬の使用は、生態への影響やそれ自体の安全性などが懸念されており、農薬の使用の抑制が望まれている。
植物に病害虫への抵抗性を付与する方法として、遺伝子組換え技術を用いる方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。しかし、遺伝子改変植物は、安全性への懸念の問題もあるため、遺伝子組換え技術を使用せずに、植物に抵抗性を付与することが好ましい。
トマトは、生食用や加工用に広く利用されている。トマトは、生で食される機会が多いこともあり、栄養価が高く、味や風味の良いものが好まれている。
近年、従来のトマトよりも高い糖度を有する、いわゆるフルーツトマトの人気が高まっている。また、熊本県の塩分濃度が高い土壌で栽培されたトマトは、塩トマトと呼ばれ、高い糖度を有する高級トマトとして販売されている。しかし、塩トマトは収穫できる量が限られており、また収穫量が非常に不安定となりやすいとされる(例えば、非特許文献1参照。)。
特開2005−13069号公報 特開2000−342170号公報 特開平9−140365号公報 特開平11−137171号公報 特開2014−076052号公報
森田、「トマト産地における生産の動向と生産者の技術開発へのニーズ」、野菜茶業研究集報、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構野菜茶業研究所、2006年3月、第3号、p85−90
上記のような問題に鑑み、本発明は、従来の同種の植物体と比較し、日持ちの向上された植物体、及び当該植物体の製造方法を提供することを目的とする。
上記のような問題に鑑み、本発明は、植物体に対する優れた病害虫への抵抗性付与方法を提供することを目的とする。
上記のような問題に鑑み、本発明は、安定的に収穫でき、より風味の改善が図られたトマト、及び当該トマトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る植物体、及び植物体の製造方法は、下記[1]〜[6]である。
[1] 日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、
可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の50倍以上である植物体。
[2] 果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上である、前記[1]に記載の植物体。
[3] 果実の可食部の水分含量が90質量%以下である、前記[1]又は[2]に記載の植物体。
[4] 果実の可食部における糖度(Brix)が8以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の植物体。
[5] 前記植物体がトマトである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の植物体。
[6] 植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
を有する、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の植物体の製造方法。
本発明に係る抵抗性付与方法は、下記[1]〜[10]である。
[1] 植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
を有することによって前記植物体に病害虫への抵抗性を付与する、抵抗性付与方法。
[2] 前記耐塩性付与工程の前に、前記植物体の種子又は球根を、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満である環境下で、発芽及び発根させる初期生育工程を有する、前記[1]の抵抗性付与方法。
[3] 前記初期生育工程において、種子又は球根の発芽及び発根を、塩化ナトリウム濃度が0.5質量%以下である環境下で行う、前記[2]の抵抗性付与方法。
[4] 前記耐塩性付与処理が、耐塩性付与剤を含有し、かつ塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である処理用溶液に、前記植物体の根の少なくとも一部を浸漬させる処理である、前記[1]〜[3]のいずれかの抵抗性付与方法。
[5] 前記植物体の根の少なくとも一部を前記処理用溶液に、1時間以上浸漬させる、前記[4]の抵抗性付与方法。
[6] 前記耐塩性付与剤が、根に付着することによって植物体に耐塩性を付与する微生物であり、
前記処理用溶液における前記微生物の濃度が10CFU/mL以上である、前記[4]又は[5]の抵抗性付与方法。
[7] 前記栽培用溶液が、さらに、0.5質量%以下の塩化マグネシウムを含有する、前記[1]〜[6]のいずれかの抵抗性付与方法。
[8] 前記耐塩性付与剤が、1種類又は2種類以上の微生物である、前記[1]〜[7]のいずれかの抵抗性付与方法。
[9] 前記植物体がナス科の植物である、前記[1]〜[8]のいずれかの抵抗性付与方法。
[10] 前記抵抗性が、ウイルス病抵抗性である、前記[1]〜[9]のいずれかの抵抗性付与方法。
[11] 前記抵抗性が、真菌病抵抗性である、前記[1]〜[9]のいずれかの抵抗性付与方法。
本発明に係るトマト及びトマトの製造方法は、下記[1]〜[7]である。
[1] 果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(20)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
(9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
(10)遊離チロシンの量が4mg以上である
(11)遊離ロイシンの量が4mg以上である
(12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
(13)遊離バリンの量が3.5mg以上である
(14)遊離グリシンの量が2mg以上である
(15)遊離プロリンの量が50mg以下である
(16)遊離スレオニンの量が10mg以上である
(17)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
(18)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
(19)遊離β−アラニンの量が2mg以上である
(20)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上である
[2] 前記(1)、(2)、(4)〜(6)、(8)、(13)、(14)及び(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たす、前記[1]のトマト。
[3] 前記(1)、(5)、(6)、(14)及び(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たす、前記[2]のトマト。
[4] 前記(1)〜(6)から選ばれる1又は2つ以上を満たし、前記(1)〜(6)の果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の値である前記[1]のトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が100mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が10mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が10mg以上である
(5)遊離アラニンの量が10mg以上である
(6)遊離セリンの量が70mg以上である
[5] 前記(1)〜(2)から選ばれる1又は2つを満たす前記[4]のトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が100mg以上である
[6] 果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上である、前記[1]〜[5]のいずれかのトマト。
[7] 果実の可食部の水分含量が90質量%以下である、前記[1]〜[6]のいずれかのトマト。
[8] 果実の可食部における糖度(Brix)が8以上である、前記[1]〜[7]のいずれかのトマト。
[9] トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
を有する、前記[1]〜[7]のいずれかのトマトの製造方法。
本発明により、従来の同種の植物体と比べ日持ちが向上した植物体を提供できる。
本発明に係る抵抗性付与方法により、植物体に対し、病害虫への抵抗性を付与することができる。
本発明に係るトマトの果実は、従来のトマトと比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有する。
本発明に係るトマトの製造方法により、従来のトマトの果実と比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有するトマトの果実を得ることができる。
比較例1Bで水耕栽培されたトマトの写真である。 実施例1Bで水耕栽培されたトマトの写真である。 実施例2Bで水耕栽培されたトマトの写真である。 実施例3B及び比較例2Bで水耕栽培されたトマトの写真である。
≪植物体≫
本発明に係る植物体は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の50倍以上であることを特徴とする。
本発明に係る植物体は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の55〜100倍上であることが好ましく、60〜90倍であることがより好ましく、70〜80倍であることがさらに好ましい。
本発明に係る植物体は、果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上であることが好ましく、0.15〜0.5質量%であることが好ましく、0.18〜0.4質量%であることがより好ましく、0.2〜0.3質量%以上であることがさらに好ましい。ナトリウム量は公知の方法により測定できる。
本発明に係る植物体は、切断を除く加工がされていない生の植物体であり、果実であることが好ましい。
本発明に係る植物体が果実である場合、果実の可食部の水分含量が90質量%以下であることが好ましく、80〜90質量%であることが好ましく、83〜89質量%であることがより好ましく、85〜88質量%であることがさらに好ましい。水分含量は、公知の方法により測定できる。例えば、市販の乾燥器を用いた加熱乾燥法により求めることができる。
本発明に係る植物体が果実である場合、果実の可食部における糖度(Brix)が8以上であることが好ましく、8〜20であることが好ましく、10〜15であることがより好ましく、12〜14であることがさらに好ましい。糖度は、公知の方法により測定できる。例えば、市販の糖度屈折計を用いて測定することができる。
前記果実の可食部とは、収穫された果実から、ヘタ(咢)、果柄、及び場合により種等の部分を除いた部分のことを指す。果実は加工されていない生の果実である。
本発明に係る前記果実の、前記ナトリウムの含有率、前記水分含量、及び前記糖度は、果実の可食部全体における量を測定して、求めることができる。
本発明に係る植物体としては、被子植物であってもよく、裸子植物であってもよく、シダ類やコケ類であってもよい。
また、単子葉植物であってもよく、双子葉植物であってもよい。具体的には、イネ、トウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ヒエ、アワ等のイネ科の植物;トマト、ナス、パプリカ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科の植物;シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ、ナズナ、ダイコン、キャベツ、紫キャベツ、メキャベツ(プチヴェール)、ハクサイ、チンゲンサイ、ケール、クレソン、小松菜、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、ワサビ、マスタード等のアブラナ科の植物;キュウリ、ニガウリ、カボチャ、メロン、スイカ、等のウリ科の植物;ブドウ等のブドウ科の植物;レモン、オレンジ、ネーブルオレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ライム、スダチ、ユズ、シイクワシャー、タンカン等のミカン科の植物;リンゴ、サクラ、ウメ、モモ、ビワ、アンズ、プラム(スモモ)、プルーン、アーモンド、ナシ、洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、カシス、クランベリー、ブルーベリー等のバラ科の植物;ダイズ、インゲンマメ、エンドウマメ、ソラマメ、エダマメ、リョクトウ、ヒヨコマメ等のマメ科の植物;ハス(レンコン)等のハス科の植物;ゴマ等のゴマ科の植物;ホウレンソウ、ビート、テンサイ、キヌア、ヒユ、アマランサス、ケイトウ等のアカザ科の植物;ナツメヤシ、アブラヤシ、ココヤシ、アサイー等のヤシ科の植物;バナナ、バショウ、マニラアサ等のバショウ科の植物;ワタ、オクラ等のアオイ科の植物;ユーカリ等のフトモモ科の植物;フウチョウソウ、セイヨウフウチョウソウ等のフウチョウソウ科の植物等が挙げられる。
これらのなかでは、ナス科の植物が好ましく、トマト(Solanum lycopersicum)がより好ましい。
トマトの果熟の程度は、果実表面の赤色又は桃色の着色の程度(面積%)で分類でき、例えば、緑熟期(着色なし)、催色期(〜70%着色)、成熟期(71〜90%着色)、完熟期(91〜100%着色)を経て、過熟期となる。本発明に係る前記トマトの果実の、前記ナトリウムの含有率、前記水分含量、及び前記糖度の値に関し、成熟期又は完熟期において前記規定を満たすことが好ましい。
本発明に係る植物体は、上記の値でナトリウムを含有するので、特有の風味を有する。
また、質量あたりのナトリウム含有量が高く、長期間にわたり良好な風味を維持可能であり、日持ち性に優れる。
本発明に係る植物体によれば、収穫した植物体を保存料で処理せずとも、優れた日持ち性が発揮される。
≪植物体の製造方法≫
本発明に係る植物体の製造方法は、植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、を有する。耐塩性付与工程は、本来耐塩性の低い植物体に、耐塩性付与剤で処理することによって耐塩性を付与し、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上という非常に塩濃度の高い環境下で栽培可能とするための工程である。耐塩性が付与された植物体は、続く栽培工程によって、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培できる。
耐塩性付与工程および栽培工程を行うことにより、栽培用溶液に含まれる塩化ナトリウムに由来するナトリウムが植物体に移行し、ナトリウムが多く含有された本発明に係る植物体を製造することができる。
生育の初期段階の植物体は、充分に生育した植物体よりもストレスに対する耐性が低く、環境ストレスの影響を受けやすい。特に、発根や発芽の工程は、塩濃度に非常に敏感である。このため、種子や球根の段階から高塩濃度環境下で生育させた場合には、高い塩ストレスにより、耐塩性付与処理を施しても耐塩性を獲得できずに枯死してしまう植物体が多い。本発明に係る植物体の製造方法では、生育の初期段階では低塩濃度環境下で生育させ、ある程度生育させた後に耐塩性付与処理を行うことが好ましい。これにより、耐塩性付与処理によって耐塩性が付与される植物体の割合を顕著に増大させることができ、高塩濃度環境下で栽培することが可能な苗を効率よく育成することができる。
本発明に係る植物体の製造方法では、初期生育工程として、植物体を、少なくとも発根及び発芽が完了するまでは、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満である環境下で生育させる工程を有することが好ましい。初期生育工程において種子等を生育させる環境の塩化ナトリウム濃度は、1質量%未満であればよく、好ましくは、苗を育成する植物体と同じ品種の植物が正常に生育可能な塩濃度以下であることが好ましい。なお、「正常に生育可能な環境」とは、複数の植物体を生育させた場合の生育率が80%以上である環境を意味する。本発明に係る育成方法において初期生育工程を行う環境の塩化ナトリウム濃度としては、0〜0.5質量%であることが好ましく、0〜0.3質量%であることがより好ましく、0〜0.1質量%であることがさらに好ましい。
初期生育工程は、種子又は球根に給水させる水(初期生育用溶液)として、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満の水溶液を用いる以外は、種子等を発芽及び発根させるための一般的な方法により行うことができる。具体的には、種子又は球根を、発芽・発根が可能な温度環境下で、初期生育用溶液に接する状態に置くことにより、発芽及び発根させる。例えば、適切な温度環境下に置いた種子等に、定期的に初期生育用溶液を散布させてもよく、種子等を、適切な温度環境下で、表面の少なくとも一部は空気に触れており、その他の部分が初期生育用溶液に接触している状態に置いてもよい。例えば、初期生育用溶液を含む支持用担体の表面に置くことにより、種子等を初期生育用溶液に部分的に接触させることができる。また、水深が種子等の高さより低くなるように容器に溜めた初期生育用溶液に、種子等を置くことによっても、種子等を初期生育用溶液に部分的に接触させることができる。
支持用担体としては、内部に含有する初期生育用溶液が担体表面に置かれた種子等に給水可能な程度の多孔質性を有するものであればよいが、発根した後、幼苗の根が支持用担体を貫通可能な程度の多孔質性を有するものが好ましい。種子等から発芽・発根させた植物体を、茎や葉が支持用担体の上方に伸び、根が支持用担体の下方に伸びるように生育させることにより、支持用担体に支持させた状態で生育させることができる。例えば、栽培工程で行う水耕栽培に使用される栽培用槽に設置可能な栽培用ポットの内部に保持させた支持用担体の表面に種子等を置いて発芽・発根させ、支持用担体の下方に根を伸ばし、支持用担体を貫通するように植物体を生育させた場合には、当該栽培用ポット内に保持された状態で植物体が支持されているため、当該栽培用ポットをそのまま栽培用槽に設置することによって、幼苗期以降も生育させることができる。
このような多孔質性を有する支持用担体としては、例えば、ゲル状物質であってもよく、繊維状物質であってもよく、粒状又は礫状の物質であってもよい。ゲル状物質としては、寒天、アガロース、ゲランガム、アルギン酸等の高分子多糖類、アクリル樹脂等の吸水性樹脂等が挙げられる。繊維状物質としては、不繊布、綿、紙、ロックウール、グラスウール等が挙げられる。粒状又は礫状の物質としては、木材チップ、バーク、軽石、バーミキュライト、砂等が挙げられる。
初期生育工程の後、耐塩性付与工程として、生育させた苗の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行うことができる。発芽・発根後に直ちに耐塩性付与処理を行ってもよいが、生育するほど塩ストレスに対する耐性も高くなる。このため、幼苗を、発芽後少なくとも1週間、好ましくは3週間程度生育させた後に耐塩性付与工程を行うことが好ましい。
耐塩性付与処理は、耐塩性付与剤を含有する水溶液(処理用溶液)に、苗の根の少なくとも一部を浸漬させることにより行うことができる。処理用溶液の塩化ナトリウム濃度は、特に限定されるものではなく、耐塩性付与効率が充分となるように、使用する耐塩性付与剤の種類や植物体の種類に応じて適宜調節することができる。例えば、初期生育用溶液に耐塩性付与剤を混合させたものを処理用溶液としてもよく、栽培工程で用いる栽培用溶液に耐塩性付与剤を混合させたものを処理用溶液としてもよく、塩類組成が初期生育用溶液と栽培用溶液のいずれとも異なる溶液を処理用溶液としてもよい。本発明において用いられる処理用溶液の塩化ナトリウム濃度としては、1質量%以上が好ましく、栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度と同じ濃度がより好ましい。
本発明において用いられる耐塩性付与剤は、薬剤であってもよく、微生物であってもよく、微生物の培養上清であってもよい。当該薬剤としては、例えば、ピロロキノリンキノン(特許5013326号公報参照。)やストリゴラクトン等が挙げられる。また、微生物としては、例えば、パエニバチルス・フクイネンシス(特開2013−75881号公報参照。)等が挙げられる。耐塩性付与剤としては、1種類の微生物からなるものであってもよく、2種類以上の微生物の混合物であってもよい。
処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度は、耐塩性付与剤の種類、植物体の種類や生育段階等を考慮して適宜調整される。処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度が低すぎる場合には、処理用溶液で耐塩性付与剤が植物体の根に接触する機会が少なくなり、耐塩性付与効果が不充分となるおそれがある。一方で、耐塩性付与剤の種類によっては、過剰摂取により植物体の生育に却って悪影響を及ぼすおそれもある。そこで、充分な耐塩性付与効果を得るための処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度は、実験的に求めることができる。例えば、耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度を10CFU/mL以上とすることにより、充分な耐塩性付与効果を得ることができる。耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度は、10CFU/mL以上とすることが好ましく、10CFU/mL以上とすることがより好ましい。耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度の上限は、特に限定されないが、例えば、1013CFU/mL以下とすることにより、処理用溶液の水質を良好に維持することができる。処理用溶液における当該微生物の濃度の上限は、1012CFU/mL以下とすることが好ましく、1011CFU/mL以下とすることがより好ましく、1010CFU/mL以下とすることがさらに好ましく、10CFU/mL以下とすることが特に好ましい。処理用溶液における当該微生物の濃度の範囲としては、10〜1013CFU/mL等とすることができ、10〜1012CFU/mLとすることが好ましく、10〜1011CFU/mLとすることがより好ましく、10〜1010CFU/mLとすることがさらに好ましく、10〜10CFU/mLとすることが特に好ましい。
1回の耐塩性付与処理時間、すなわち、植物体の根の少なくとも一部を処理用溶液に浸漬させる時間は、植物体の種類や用いられる耐塩性付与剤の種類によって適宜調節される。例えば、耐塩性付与処理時間としては、1時間以上が好ましく、18時間以上がより好ましく、1日間以上がさらに好ましく、1〜7日間がよりさらに好ましい。植物体の根を処理用溶液に浸漬させた状態で1時間以上栽培することにより、処理用溶液中の耐塩性付与剤が植物体の根に接触する機会が充分となり、耐塩性が付与されやすくなる。
初期生育工程において、苗を、栽培用ポットの内部に保持された支持用担体に支持された状態で生育させた場合には、支持用担体の下方から伸びた根が処理用溶液に接するように、処理用溶液が収容された処理用槽に当該栽培用ポットを設置することによって、耐塩性付与処理を行うこともできる。例えば、栽培用ポットをはめ込む貫通孔が1又は2以上あり、かつ処理用溶液の水面上に浮かべたフロートを利用し、当該フロートに栽培用ポットをはめ込むことによって、根を処理用溶液に接触させることができる。なお、栽培用ポットはフロートの貫通孔に脱着可能にはめ込まれていてもよく、フロートの貫通孔から外れないように固定されていてもよく、フロートと栽培用ポットが一体成型されたものであってもよい。処理用溶液の水面上に浮かべるフロートの素材としては、後記の栽培用溶液の水面上に浮かべるフロートと同様のものが用いられる。
耐塩性付与処理に用いる処理用溶液の量が多くなるほど、多量の耐塩性付与剤が必要になる。そこで、処理用溶液の量を、栽培用ポットの底面から伸びた植物体の根が接触するために必要充分な量にまで低減させることにより、1回の耐塩性付与処理に必要な耐塩性付与剤の量を抑えることができる。ただし、処理用溶液の量が少なすぎる場合には、植物体の根に充分な量の耐塩性付与剤が接触できないおそれがあるため、処理用槽1個当たり、1個の栽培用ポットをはめ込むプレートのみが設置されている場合、当該処理用槽に収容された処理用溶液は、少なくとも5mLであることが好ましい。
耐塩性付与工程により耐塩性が付与された苗は、その後、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する。
本発明において、栽培工程における栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度は、1質量%以上であればよく、栽培する植物体の耐塩性に応じて適宜調節することができる。本発明において用いられる栽培用溶液としては、塩化ナトリウム濃度が、1〜4質量%であることが好ましく、1.5〜3.8質量%であることがより好ましく、2〜3.5質量%であることがさらに好ましく、2.5〜3.3質量%であることが特に好ましい。
本発明において用いられる栽培用溶液としては、塩化ナトリウムに加えて塩化マグネシウムを含むことが好ましく、0.5質量%以下の塩化マグネシウムを含有することがより好ましく、0.1〜0.5質量%の塩化マグネシウムを含有することがさらに好ましい。
本発明において用いられる栽培用溶液は、塩化ナトリウムや塩化マグネシウム以外にも、植物体の生育に必要な各種栄養成分を含有していることが好ましい。当該栄養成分は、栽培する植物体の種類に応じて適宜調整することができる。特に、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガン、銅、モリブデン、ホウ素等の植物体の生育に必要な元素を塩類として含有していることが好ましい。その他、植物体の種類によっては、アルミニウムや珪素等の元素を塩類として含有する場合もある。また、植物体の生育段階に応じて栽培用溶液の組成を変更してもよい。
本発明において用いられる栽培用溶液としては、例えば、市販されている液肥に塩化ナトリウムをはじめとする不足の塩類を添加した溶液や、市販されている濃縮された液肥を、水に代えて海水で希釈した溶液を用いることができる。また、海水に、リン等の不足の塩類を適宜添加した溶液を用いることもできる。
本発明において、栽培工程における水耕栽培は、栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度を1質量%以上にする以外は、一般的な水耕栽培方法によって行うことができる。当該栽培工程は、比較的多量の栽培用溶液を栽培用槽にためる湛液型水耕法で行ってもよく、緩やかな傾斜を持つ平面上に培養液を少量ずつ流下させる薄膜水耕法で行ってもよい。
湛液型水耕法の場合、栽培用槽内の栽培用溶液の交換方法は、循環して利用する循環式であってもよく、栽培用槽内で一定期間利用した後にそのまま排液にする非循環式であってもよい。循環式の場合、栽培用溶液は栽培用溶液調製槽内で調製された後、ポンプ等により栽培用槽へ投入され、栽培用槽から再び栽培用溶液調製槽へと回収され、栄養成分等が調製される。
湛液型水耕法は、例えば、栽培用溶液を収容する栽培用槽と、植物体を収容する栽培用ポットと、栽培用ポットをはめ込む貫通孔が1又は2以上あり、かつ栽培用溶液の水面上に浮かべるフロートと、を備える水耕栽培装置を用いて行うことができる。栽培用ポットはフロートの貫通孔に脱着可能にはめ込まれていてもよく、フロートの貫通孔から外れないように固定されていてもよく、フロートと栽培用ポットが一体成型されたものであってもよい。栽培用槽は、室内に設置されていてもよく、屋外に設置されていてもよい。
循環式水耕栽培装置の場合には、栽培用槽は、栽培用溶液を注入する給水孔と、栽培用溶液を排水する排水孔を備えている。非循環式水耕栽培装置の場合には、栽培用槽は、給水孔と排水孔の両方を備えていてもよく、給水と排水の両方を行う給排水孔を備えていてもよい。栽培用槽への栽培用溶液の給排水は、ポンプとバルブで制御される。
栽培用ポットは、少なくとも上面と下面に開口部を備えており、支持用担体を保持可能な容器であり、一般的には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂素材のものが使用される。栽培用ポットに保持させる支持用担体としては、前述のものが利用できる。
フロートは、植物体を栽培している状態の栽培用ポットを貫通孔にはめ込んだ状態で栽培用溶液の水面に浮かぶ素材で形成されている。当該素材としては、例えば、発泡スチロール、発泡ポリプロピレン等の発泡性樹脂が挙げられる。栽培用ポットをフロートにはめ込むことにより、栽培用溶液の量の多寡にかかわらず、栽培用ポットは必ず栽培用溶液の水面に位置し、栽培用溶液が少量の場合でも植物体の根が栽培用溶液に必ず接することができる。
栽培用槽に浮かべるフロートは、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。栽培用槽が屋外に設置されている場合には、栽培用溶液の水面からの蒸散を抑制するために、栽培用溶液の水面の大部分を覆うようにフロートを設置することが好ましい。
湛液型水耕法の場合、使用する水耕栽培装置は、栽培用溶液の溶存酸素量を一定量以上に保つための酸素供給手段を備えていることが好ましい。当該酸素供給手段としては、例えば、エアーポンプやエアーサッカー等が挙げられる。栽培用槽内にエアーポンプを設置することにより、酸素を含む空気を栽培用槽内の栽培用溶液に直接供給することができる。エアーサッカーを用いる場合には、栽培用溶液を予めエアーサッカー等に通過させて空気を混入させた後に栽培用槽に投入することができる。
また、水耕栽培に適したpHは植物の種類ごとに違うものの、一般的にpH5.5〜6.5程度であるが、栽培期間が長くなるにつれ、栽培用溶液のpHは高くなる傾向にある。このため、長期間安定して水耕栽培を行うために、使用する水耕栽培装置は、栽培用溶液のpHを経時的に測定し、必要に応じてpHを所定の範囲内に調整するために酸物質を投与するpH制御手段を備えていることが好ましい。pH調整に用いられる酸物質としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
本発明に係る育成方法において、耐塩性付与工程と栽培工程は、同じ栽培用槽で行ってもよく、耐塩性付与工程は処理用溶液を収容した処理用槽で行い、処理後の苗を、栽培用溶液を収容した栽培用槽に移設してもよい。
初期生育工程において、苗を、栽培用ポットの内部に保持された支持用担体に支持された状態で生育させた後、耐塩性付与処理を処理用槽内で行う場合には、栽培用ポットを処理用槽のフロートから外し、栽培用槽内に収容された栽培用溶液の水面に浮かべられたフロートの貫通孔にはめ込んでもよく、栽培用ポットが埋め込まれたフロートを、処理用槽から栽培用槽内の栽培用溶液の水面上に浮かべてもよい。栽培用ポット又はフロートを処理用槽から栽培用槽へ移動させる移動手段は、特に限定されず、例えば、水流を利用した移動手段やコンベアでの移動等で行うことができる。処理用槽1個当たり、複数の栽培用ポットが設置される場合には、処理用溶液のよどみを防止し、かつ酸欠を防止するために、エアーポンプによるバブリング処理を行うことが好ましい。
耐塩性付与処理を栽培用槽内で行う場合には、まず、栽培用槽に処理用溶液を収容して、フロートにはめ込まれた栽培用ポットの下方に伸びた根を処理用溶液に接触させて耐塩性付与処理を行う。耐塩性付与剤の濃度勾配を防止するために、処理用溶液は給排水量を少なくする又は給排水処理を行わない条件で、植物体の根と接触させることが好ましい。ただし、給排水量が少ない場合や給排水を行わない場合には、栽培用槽内によどみが生じてしまい、植物体自体に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、エアーポンプによるバブリング処理によって処理用溶液を適宜撹拌することが好ましい。
耐塩性付与処理後、栽培用槽内の処理用溶液を排水し、次いで予め別の槽において調製した栽培用溶液を栽培用槽内に給水した後、通常の給排水条件で給排水を行うことにより、栽培工程を開始する。耐塩性付与剤が微生物等のようにそれ自身を過剰摂取させたとしても植物体にさほど悪影響を与えない物質の場合には、処理用溶液を排水することなくそのまま栽培用溶液を給水し、通常の給排水条件で給排水を開始してもよい。
塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液(以下、「高塩濃度環境下」ということがある。)での栽培は、必ずしも、耐塩性付与処理後の栽培期間の全期間にわたって行う必要はない。例えば、耐塩性付与処理後の任意の期間のみ、高塩濃度環境下での栽培を行うようにしてもよい。この場合、高塩濃度環境下での栽培は、耐塩性付与処理の直後の一定期間に行うことが好ましい。耐塩性付与処理の直後の任意の期間に、高塩濃度環境下で栽培することにより、耐塩性付与処理で付与された耐塩性が維持され、植物体の日持ちが向上すると考えられる。高塩濃度環境下での栽培の期間は、特に限定されないが、例えば、耐塩性付与処理の直後から、栽培期間の全期間の3分の1程度の期間まで、2分の1程度の期間まで、3分の2程度の期間まで等とすることができる。植物体の日持ちを向上させる観点からは、耐塩性付与処理の直後から、栽培期間の全期間にわたって、高塩濃度環境下での栽培を行うことが好ましい。
耐塩性の付与が不充分であった苗は、栽培工程において一定期間、高塩濃度環境下で栽培すると、枯死する。枯死した植物は腐敗の原因になり、栽培用溶液において雑菌等が繁殖する原因となる。栽培用溶液の汚染によってせっかく耐塩性が付与された苗も病害等により枯死してしまうおそれもある。このため、耐塩性付与工程後又は栽培工程中においては、枯死した苗を除去する除去工程を有することが好ましい。特に、耐塩性付与工程を塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である処理用溶液を用いて行った場合には、耐塩性付与工程後、栽培工程開始前に行うことが好ましい。農作物の栽培においては、枯死した苗を栽培用槽から除去することによって、実際の栽培地における歩留りを向上させることができる。
また、耐塩性付与処理開始後、高塩濃度環境下で一定期間生育させた場合に枯死せず生育している苗は、耐塩性付与剤によって確実に耐塩性が改善された植物体であると確認できる。そして、枯死した苗を除去することにより、本発明において育成された耐塩性苗について、耐塩性苗としての品質保証を得ることもできる。
栽培工程は、栽培用槽が室内に設置された室内型で行われてもよく、栽培用槽が屋外に設置された屋外開放型であってもよい。
前記植物体が果実である場合、果実の収穫期まで栽培された植物体から、果実を収穫する。本発明に係る植物体の製造方法は、収穫された果実から、前記果実の可食部に係るナトリウム含有率、水分含量、又は糖度に関する前記値を満たす果実を選抜する選抜工程を、更に有してもよい。
本発明に係る植物体の製造方法によれば、塩水又は海水を用いて、本発明に係る植物体を製造することができる。
≪抵抗性付与方法≫
本発明に係る抵抗性付与方法は、植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、を有する。耐塩性付与工程は、本来耐塩性の低い植物体に、耐塩性付与剤で処理することによって耐塩性を付与し、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上という非常に塩濃度の高い環境下で栽培可能とするための工程である。耐塩性が付与された植物体は、続く栽培工程によって、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培できる。
耐塩性付与工程および栽培工程を行うことにより、植物体に病害虫への抵抗性を付与することができる。
生育の初期段階の植物体は、充分に生育した植物体よりもストレスに対する耐性が低く、環境ストレスの影響を受けやすい。特に、発根や発芽の工程は、塩濃度に非常に敏感である。このため、種子や球根の段階から高塩濃度環境下で生育させた場合には、高い塩ストレスにより、耐塩性付与処理を施しても耐塩性を獲得できずに枯死してしまう植物体が多い。本発明に係る抵抗性付与方法では、生育の初期段階では低塩濃度環境下で生育させ、ある程度生育させた後に耐塩性付与処理を行うことが好ましい。これにより、耐塩性付与処理によって耐塩性が付与される植物体の割合を顕著に増大させることができ、高塩濃度環境下で栽培することが可能な苗を効率よく育成することができる。
本発明に係る抵抗性付与方法では、初期生育工程として、植物体を、少なくとも発根及び発芽が完了するまでは、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満である環境下で生育させる工程を有することが好ましい。初期生育工程において種子等を生育させる環境の塩化ナトリウム濃度は、1質量%未満であればよく、好ましくは、苗を育成する植物体と同じ品種の植物が正常に生育可能な塩濃度以下であることが好ましい。なお、「正常に生育可能な環境」とは、複数の植物体を生育させた場合の生育率が80%以上である環境を意味する。本発明に係る抵抗性付与方法において初期生育工程を行う環境の塩化ナトリウム濃度としては、0〜0.5質量%であることが好ましく、0〜0.3質量%であることがより好ましく、0〜0.1質量%であることがさらに好ましい。
初期生育工程は、種子又は球根に給水させる水(初期生育用溶液)として、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満の水溶液を用いる以外は、種子等を発芽及び発根させるための一般的な方法により行うことができる。具体的には、種子又は球根を、発芽・発根が可能な温度環境下で、初期生育用溶液に接する状態に置くことにより、発芽及び発根させる。例えば、適切な温度環境下に置いた種子等に、定期的に初期生育用溶液を散布させてもよく、種子等を、適切な温度環境下で、表面の少なくとも一部は空気に触れており、その他の部分が初期生育用溶液に接触している状態に置いてもよい。例えば、初期生育用溶液を含む支持用担体の表面に置くことにより、種子等を初期生育用溶液に部分的に接触させることができる。また、水深が種子等の高さより低くなるように容器に溜めた初期生育用溶液に、種子等を置くことによっても、種子等を初期生育用溶液に部分的に接触させることができる。
支持用担体としては、内部に含有する初期生育用溶液が担体表面に置かれた種子等に給水可能な程度の多孔質性を有するものであればよいが、発根した後、幼苗の根が支持用担体を貫通可能な程度の多孔質性を有するものが好ましい。種子等から発芽・発根させた植物体を、茎や葉が支持用担体の上方に伸び、根が支持用担体の下方に伸びるように生育させることにより、支持用担体に支持させた状態で生育させることができる。例えば、栽培工程で行う水耕栽培に使用される栽培用槽に設置可能な栽培用ポットの内部に保持させた支持用担体の表面に種子等を置いて発芽・発根させ、支持用担体の下方に根を伸ばし、支持用担体を貫通するように植物体を生育させた場合には、当該栽培用ポット内に保持された状態で植物体が支持されているため、当該栽培用ポットをそのまま栽培用槽に設置することによって、幼苗期以降も生育させることができる。
このような多孔質性を有する支持用担体としては、例えば、ゲル状物質であってもよく、繊維状物質であってもよく、粒状又は礫状の物質であってもよい。ゲル状物質としては、寒天、アガロース、ゲランガム、アルギン酸等の高分子多糖類、アクリル樹脂等の吸水性樹脂等が挙げられる。繊維状物質としては、不繊布、綿、紙、ロックウール、グラスウール等が挙げられる。粒状又は礫状の物質としては、木材チップ、バーク、軽石、バーミキュライト、砂等が挙げられる。
初期生育工程の後、耐塩性付与工程として、生育させた苗の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行うことができる。発芽・発根後に直ちに耐塩性付与処理を行ってもよいが、生育するほど塩ストレスに対する耐性も高くなる。このため、幼苗を、発芽後少なくとも1週間、好ましくは3週間程度生育させた後に耐塩性付与工程を行うことが好ましい。
耐塩性付与処理は、耐塩性付与剤を含有する水溶液(処理用溶液)に、苗の根の少なくとも一部を浸漬させることにより行うことができる。処理用溶液の塩化ナトリウム濃度は、特に限定されるものではなく、耐塩性付与効率が充分となるように、使用する耐塩性付与剤の種類や植物体の種類に応じて適宜調節することができる。例えば、初期生育用溶液に耐塩性付与剤を混合させたものを処理用溶液としてもよく、栽培工程で用いる栽培用溶液に耐塩性付与剤を混合させたものを処理用溶液としてもよく、塩類組成が初期生育用溶液と栽培用溶液のいずれとも異なる溶液を処理用溶液としてもよい。本発明において用いられる処理用溶液の塩化ナトリウム濃度としては、1質量%以上が好ましく、栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度と同じ濃度がより好ましい。
本発明において用いられる耐塩性付与剤は、薬剤であってもよく、微生物であってもよく、微生物の培養上清であってもよい。当該薬剤としては、例えば、ピロロキノリンキノン(特許5013326号公報参照。)やストリゴラクトン等が挙げられる。また、微生物としては、例えば、パエニバチルス・フクイネンシス(特開2013−75881号公報参照。)等が挙げられる。耐塩性付与剤としては、1種類の微生物からなるものであってもよく、2種類以上の微生物の混合物であってもよい。
処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度は、耐塩性付与剤の種類、植物体の種類や生育段階等を考慮して適宜調整される。処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度が低すぎる場合には、処理用溶液で耐塩性付与剤が植物体の根に接触する機会が少なくなり、耐塩性付与効果が不充分となるおそれがある。一方で、耐塩性付与剤の種類によっては、過剰摂取により植物体の生育に却って悪影響を及ぼすおそれもある。そこで、充分な耐塩性付与効果を得るための処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度は、実験的に求めることができる。例えば、耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度を10CFU/mL以上とすることにより、充分な耐塩性付与効果を得ることができる。。耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度は、10CFU/mL以上とすることが好ましく、10CFU/mL以上とすることがより好ましい。耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度の上限は、特に限定されないが、例えば、1013CFU/mL以下とすることにより、処理用溶液の水質を良好に維持することができる。処理用溶液における当該微生物の濃度の上限は、1012CFU/mL以下とすることが好ましく、1011CFU/mL以下とすることがより好ましく、1010CFU/mL以下とすることがさらに好ましく、10CFU/mL以下とすることが特に好ましい。処理用溶液における当該微生物の濃度の範囲としては、10〜1013CFU/mL等とすることができ、10〜1012CFU/mLとすることが好ましく、10〜1011CFU/mLとすることがより好ましく、10〜1010CFU/mLとすることがさらに好ましく、10〜10CFU/mLとすることが特に好ましい。
1回の耐塩性付与処理時間、すなわち、植物体の根の少なくとも一部を処理用溶液に浸漬させる時間は、植物体の種類や用いられる耐塩性付与剤の種類によって適宜調節される。例えば、耐塩性付与処理時間としては、1時間以上が好ましく、18時間以上がより好ましく、1日間以上がさらに好ましく、1〜7日間がよりさらに好ましい。植物体の根を処理用溶液に浸漬させた状態で1時間以上栽培することにより、処理用溶液中の耐塩性付与剤が植物体の根に接触する機会が充分となり、耐塩性が付与されやすくなる。
初期生育工程において、苗を、栽培用ポットの内部に保持された支持用担体に支持された状態で生育させた場合には、支持用担体の下方から伸びた根が処理用溶液に接するように、処理用溶液が収容された処理用槽に当該栽培用ポットを設置することによって、耐塩性付与処理を行うこともできる。例えば、栽培用ポットをはめ込む貫通孔が1又は2以上あり、かつ処理用溶液の水面上に浮かべたフロートを利用し、当該フロートに栽培用ポットをはめ込むことによって、根を処理用溶液に接触させることができる。なお、栽培用ポットはフロートの貫通孔に脱着可能にはめ込まれていてもよく、フロートの貫通孔から外れないように固定されていてもよく、フロートと栽培用ポットが一体成型されたものであってもよい。処理用溶液の水面上に浮かべるフロートの素材としては、後記の栽培用溶液の水面上に浮かべるフロートと同様のものが用いられる。
耐塩性付与処理に用いる処理用溶液の量が多くなるほど、多量の耐塩性付与剤が必要になる。そこで、処理用溶液の量を、栽培用ポットの底面から伸びた植物体の根が接触するために必要充分な量にまで低減させることにより、1回の耐塩性付与処理に必要な耐塩性付与剤の量を抑えることができる。ただし、処理用溶液の量が少なすぎる場合には、植物体の根に充分な量の耐塩性付与剤が接触できないおそれがあるため、処理用槽1個当たり、1個の栽培用ポットをはめ込むプレートのみが設置されている場合、当該処理用槽に収容された処理用溶液は、少なくとも5mLであることが好ましい。
耐塩性付与工程により耐塩性が付与された苗は、その後、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する。
本発明において、栽培工程における栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度は、1質量%以上であればよく、栽培する植物体の耐塩性に応じて適宜調節することができる。本発明において用いられる栽培用溶液としては、塩化ナトリウム濃度が、1〜4質量%であることが好ましく、1.5〜3.8質量%であることがより好ましく、2〜3.5質量%であることがさらに好ましく、2.5〜3.3質量%であることが特に好ましい。
本発明において用いられる栽培用溶液としては、塩化ナトリウムに加えて塩化マグネシウムを含むことが好ましく、0.5質量%以下の塩化マグネシウムを含有することがより好ましく、0.1〜0.5質量%の塩化マグネシウムを含有することがさらに好ましい。
本発明において用いられる栽培用溶液は、塩化ナトリウムや塩化マグネシウム以外にも、植物体の生育に必要な各種栄養成分を含有していることが好ましい。当該栄養成分は、栽培する植物体の種類に応じて適宜調整することができる。特に、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガン、銅、モリブデン、ホウ素等の植物体の生育に必要な元素を塩類として含有していることが好ましい。その他、植物体の種類によっては、アルミニウムや珪素等の元素を塩類として含有する場合もある。また、植物体の生育段階に応じて栽培用溶液の組成を変更してもよい。
本発明において用いられる栽培用溶液としては、例えば、市販されている液肥に塩化ナトリウムをはじめとする不足の塩類を添加した溶液や、市販されている濃縮された液肥を、水に代えて海水で希釈した溶液を用いることができる。また、海水に、リン等の不足の塩類を適宜添加した溶液を用いることもできる。
本発明において、栽培工程における水耕栽培は、栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度を1質量%以上にする以外は、一般的な水耕栽培方法によって行うことができる。当該栽培工程は、比較的多量の栽培用溶液を栽培用槽にためる湛液型水耕法で行ってもよく、緩やかな傾斜を持つ平面上に培養液を少量ずつ流下させる薄膜水耕法で行ってもよい。
湛液型水耕法の場合、栽培用槽内の栽培用溶液の交換方法は、循環して利用する循環式であってもよく、栽培用槽内で一定期間利用した後にそのまま排液にする非循環式であってもよい。循環式の場合、栽培用溶液は栽培用溶液調製槽内で調製された後、ポンプ等により栽培用槽へ投入され、栽培用槽から再び栽培用溶液調製槽へと回収され、栄養成分等が調製される。
湛液型水耕法は、例えば、栽培用溶液を収容する栽培用槽と、植物体を収容する栽培用ポットと、栽培用ポットをはめ込む貫通孔が1又は2以上あり、かつ栽培用溶液の水面上に浮かべるフロートと、を備える水耕栽培装置を用いて行うことができる。栽培用ポットはフロートの貫通孔に脱着可能にはめ込まれていてもよく、フロートの貫通孔から外れないように固定されていてもよく、フロートと栽培用ポットが一体成型されたものであってもよい。栽培用槽は、室内に設置されていてもよく、屋外に設置されていてもよい。
循環式水耕栽培装置の場合には、栽培用槽は、栽培用溶液を注入する給水孔と、栽培用溶液を排水する排水孔を備えている。非循環式水耕栽培装置の場合には、栽培用槽は、給水孔と排水孔の両方を備えていてもよく、給水と排水の両方を行う給排水孔を備えていてもよい。栽培用槽への栽培用溶液の給排水は、ポンプとバルブで制御される。
栽培用ポットは、少なくとも上面と下面に開口部を備えており、支持用担体を保持可能な容器であり、一般的には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂素材のものが使用される。栽培用ポットに保持させる支持用担体としては、前述のものが利用できる。
フロートは、植物体を栽培している状態の栽培用ポットを貫通孔にはめ込んだ状態で栽培用溶液の水面に浮かぶ素材で形成されている。当該素材としては、例えば、発泡スチロール、発泡ポリプロピレン等の発泡性樹脂が挙げられる。栽培用ポットをフロートにはめ込むことにより、栽培用溶液の量の多寡にかかわらず、栽培用ポットは必ず栽培用溶液の水面に位置し、栽培用溶液が少量の場合でも植物体の根が栽培用溶液に必ず接することができる。
栽培用槽に浮かべるフロートは、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。栽培用槽が屋外に設置されている場合には、栽培用溶液の水面からの蒸散を抑制するために、栽培用溶液の水面の大部分を覆うようにフロートを設置することが好ましい。
湛液型水耕法の場合、使用する水耕栽培装置は、栽培用溶液の溶存酸素量を一定量以上に保つための酸素供給手段を備えていることが好ましい。当該酸素供給手段としては、例えば、エアーポンプやエアーサッカー等が挙げられる。栽培用槽内にエアーポンプを設置することにより、酸素を含む空気を栽培用槽内の栽培用溶液に直接供給することができる。エアーサッカーを用いる場合には、栽培用溶液を予めエアーサッカー等に通過させて空気を混入させた後に栽培用槽に投入することができる。
また、水耕栽培に適したpHは植物の種類ごとに違うものの、一般的にpH5.5〜6.5程度であるが、栽培期間が長くなるにつれ、栽培用溶液のpHは高くなる傾向にある。このため、長期間安定して水耕栽培を行うために、使用する水耕栽培装置は、栽培用溶液のpHを経時的に測定し、必要に応じてpHを所定の範囲内に調整するために酸物質を投与するpH制御手段を備えていることが好ましい。pH調整に用いられる酸物質としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
本発明に係る抵抗性付与方法において、耐塩性付与工程と栽培工程は、同じ栽培用槽で行ってもよく、耐塩性付与工程は処理用溶液を収容した処理用槽で行い、処理後の苗を、栽培用溶液を収容した栽培用槽に移設してもよい。
初期生育工程において、苗を、栽培用ポットの内部に保持された支持用担体に支持された状態で生育させた後、耐塩性付与処理を処理用槽内で行う場合には、栽培用ポットを処理用槽のフロートから外し、栽培用槽内に収容された栽培用溶液の水面に浮かべられたフロートの貫通孔にはめ込んでもよく、栽培用ポットが埋め込まれたフロートを、処理用槽から栽培用槽内の栽培用溶液の水面上に浮かべてもよい。栽培用ポット又はフロートを処理用槽から栽培用槽へ移動させる移動手段は、特に限定されず、例えば、水流を利用した移動手段やコンベアでの移動等で行うことができる。処理用槽1個当たり、複数の栽培用ポットが設置される場合には、処理用溶液のよどみを防止し、かつ酸欠を防止するために、エアーポンプによるバブリング処理を行うことが好ましい。
耐塩性付与処理を栽培用槽内で行う場合には、まず、栽培用槽に処理用溶液を収容して、フロートにはめ込まれた栽培用ポットの下方に伸びた根を処理用溶液に接触させて耐塩性付与処理を行う。耐塩性付与剤の濃度勾配を防止するために、処理用溶液は給排水量を少なくする又は給排水処理を行わない条件で、植物体の根と接触させることが好ましい。
ただし、給排水量が少ない場合や給排水を行わない場合には、栽培用槽内によどみが生じてしまい、植物体自体に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、エアーポンプによるバブリング処理によって処理用溶液を適宜撹拌することが好ましい。
耐塩性付与処理後、栽培用槽内の処理用溶液を排水し、次いで予め別の槽において調製した栽培用溶液を栽培用槽内に給水した後、通常の給排水条件で給排水を行うことにより、栽培工程を開始する。耐塩性付与剤が微生物等のようにそれ自身を過剰摂取させたとしても植物体にさほど悪影響を与えない物質の場合には、処理用溶液を排水することなくそのまま栽培用溶液を給水し、通常の給排水条件で給排水を開始してもよい。
塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液(以下、「高塩濃度環境下」ということがある。)での栽培は、必ずしも、耐塩性付与処理後の栽培期間の全期間にわたって行う必要はない。例えば、耐塩性付与処理後の任意の期間のみ、高塩濃度環境下での栽培を行うようにしてもよい。この場合、高塩濃度環境下での栽培は、耐塩性付与処理の直後の一定期間に行うことが好ましい。耐塩性付与処理の直後の任意の期間に、高塩濃度環境下で栽培することにより、耐塩性付与処理で付与された耐塩性が維持され、病害虫への抵抗性が向上すると考えられる。高塩濃度環境下での栽培の期間は、特に限定されないが、例えば、耐塩性付与処理の直後から、栽培期間の全期間の3分の1程度の期間まで、2分の1程度の期間まで、3分の2程度の期間まで、等とすることができる。病害虫への抵抗性を維持する観点からは、耐塩性付与処理の直後から、栽培期間の全期間にわたって、高塩濃度環境下での栽培を行うことが好ましい。
耐塩性の付与が不充分であった苗は、栽培工程において一定期間、高塩濃度環境下で栽培すると、枯死する。枯死した植物は腐敗の原因になり、栽培用溶液において雑菌等が繁殖する原因となる。栽培用溶液の汚染によってせっかく耐塩性が付与された苗も病害等により枯死してしまうおそれもある。このため、耐塩性付与工程後又は栽培工程中においては、枯死した苗を除去する除去工程を有することが好ましい。特に、耐塩性付与工程を塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である処理用溶液を用いて行った場合には、耐塩性付与工程後、栽培工程開始前に行うことが好ましい。農作物の栽培においては、枯死した苗を栽培用槽から除去することによって、実際の栽培地における歩留りを向上させることができる。
また、耐塩性付与処理開始後、高塩濃度環境下で一定期間生育させた場合に枯死せず生育している苗は、耐塩性付与剤によって確実に耐塩性が改善された植物体であると確認できる。そして、枯死した苗を除去することにより、本発明において育成された耐塩性苗について、耐塩性苗としての品質保証を得ることもできる。
栽培工程は、栽培用槽が室内に設置された室内型で行われてもよく、栽培用槽が屋外に設置された屋外開放型であってもよい。本発明に係る栽培工程で栽培されている植物体は病害虫に対する抵抗性が付与されているので、屋外開放型での栽培にも適している。
本発明に係る抵抗性付与方法によれば、病害虫への抵抗性を植物に付与することができ、害虫及び/又は病害に対する、予防、治療、又は駆除の効果が得られる。このことは、高塩濃度環境下にさらされることで、塩に対するストレスへの抵抗性とともに、病害虫への抵抗性も向上するためと考えられる。
本発明において病害虫への抵抗性を付与させる植物体としては、被子植物であってもよく、裸子植物であってもよく、シダ類やコケ類であってもよい。
また、単子葉植物であってもよく、双子葉植物であってもよい。具体的には、イネ、トウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ヒエ、アワ等のイネ科の植物;トマト、ナス、パプリカ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科の植物;シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ、ナズナ、ダイコン、キャベツ、紫キャベツ、メキャベツ(プチヴェール)、ハクサイ、チンゲンサイ、ケール、クレソン、小松菜、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、ワサビ、マスタード等のアブラナ科の植物;キュウリ、ニガウリ、カボチャ、メロン、スイカ、等のウリ科の植物;ブドウ等のブドウ科の植物;レモン、オレンジ、ネーブルオレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ライム、スダチ、ユズ、シイクワシャー、タンカン等のミカン科の植物;リンゴ、サクラ、ウメ、モモ、ビワ、アンズ、プラム(スモモ)、プルーン、アーモンド、ナシ、洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、カシス、クランベリー、ブルーベリー等のバラ科の植物;ダイズ、インゲンマメ、エンドウマメ、ソラマメ、エダマメ、リョクトウ、ヒヨコマメ等のマメ科の植物;ハス(レンコン)等のハス科の植物;ゴマ等のゴマ科の植物;ホウレンソウ、ビート、テンサイ、キヌア、ヒユ、アマランサス、ケイトウ等のアカザ科の植物;ナツメヤシ、アブラヤシ、ココヤシ、アサイー等のヤシ科の植物;バナナ、バショウ、マニラアサ等のバショウ科の植物;ワタ、オクラ等のアオイ科の植物;ユーカリ等のフトモモ科の植物;フウチョウソウ、セイヨウフウチョウソウ等のフウチョウソウ科の植物等が挙げられる。
これらのなかでは、ナス科の植物が好ましく、トマト(Solanum lycopersicum)がより好ましい。
本発明において、抵抗性が付与された植物体が、抵抗性を発揮する対象の害虫としては、植物の生育に害を及ぼす全ての生物を指し、例えば、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)等のアブラムシ類、ナスハモグリバエ(Liriomyza bryoniae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、トマトハモグリバエ(Liriomyza sativae)等のハモグリバエ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、ミナミキイロアザミウマ(Thrips parmi)、ダイズウスイロアザミウマ(Thrips setosus)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)等のアザミウマ類、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)等のサビダニ類等が挙げられる。
本発明において、抵抗性が付与された植物体が、抵抗性を発揮する対象の病原体としては、植物の病害をひき起こす全ての生物を指し、例えば、真菌、卵菌、細菌、ウイルス等が挙げられる。
これら病原体のなかでも、ウイルス又は真菌が病原となるウイルス病又は真菌病に対する、ウイルス病抵抗性又は真菌病抵抗性が付与されることが好ましい。ウイルス病又は真菌病は、有効な農薬に乏しく、防除が難しいものが多いが、本発明に係る抵抗性付与方法によれば、容易に植物体にウイルス病又は真菌病に対する抵抗性を付与することができる。
トマトのウイルス病としては、トマト黄化葉巻病[トマト黄化葉巻ウイルス(Tomato yellow leaf curl virus;TYLCV)]トマトモザイク病[トマトモザイクウイルス(Tomato mosaic virus;ToMV)]、トマト黄化えそ病[トマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus;TSWV)]等が挙げられる。 トマトの真菌病としては、トマトうどんこ病等が挙げられる。
本発明に係る抵抗性付与方法によれば、塩水又は海水を用いて、植物に抵抗性を付与することができる。そのため、これまで病害虫防除のために使用されてきた農薬の使用量を低減でき、自然環境に配慮した栽培方法とすることができる。
≪トマト≫
本発明に係るトマトは、果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(20)から選ばれる1又は2つ以上を満たすことを特徴とする。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
(9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
(10)遊離チロシンの量が4mg以上である
(11)遊離ロイシンの量が4mg以上である
(12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
(13)遊離バリンの量が3.5mg以上である
(14)遊離グリシンの量が2mg以上である
(15)遊離プロリンの量が50mg以下である
(16)遊離スレオニンの量が10mg以上である
(17)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
(18)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
(19)遊離β−アラニンの量が2mg以上である
(20)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上である
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アミノ酸の量は、前記(1)、(2)、(4)〜(6)、(8)、(13)、(14)及び(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たすことが好ましく、前記(1)、(5)、(6)、(14)及び(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たすことがより好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アミノ酸の量は、前記(1)、(5)、(6)、(14)及び(16)の全てを満たすことがさらに好ましく、前記(1)、(2)、(4)〜(6)、(8)、(13)、(14)及び(16)をすべて満たすことが特に好ましい。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離グルタミン酸の量は、200mg以上であることが好ましく、300mg以上であることがより好ましく、500mg以上であることがより好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離グルタミン酸の量の上限は特に限定されないが、例えば、2000mg以下、800mg以下、700mg以下、又は600mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離グルタミン酸の量は、例えば、200〜2000mgであることが好ましく、300〜800mgであることがより好ましく、400〜700mgであることがさらに好ましく、500〜600mgであることが特に好ましい。
グルタミン酸は、うまみ成分であり、トマトの果実にうまみを与える。また、グルタミン酸は、興奮性の神経伝達物質であり、疲労回復に効果がある。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アスパラギン酸の量は、40mg以上であることが好ましく、50mg以上であることが好ましく、70mg以上であることがより好ましく、85mg以上であることがさらに好ましく、100mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アスパラギン酸の量の上限は特に限定されないが、例えば、300mg以下、200mg以下、180mg以下、又は150mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アスパラギン酸の量は、例えば、40〜300mgであることが好ましく、50〜300mgであることが好ましく、70〜200mgであることがより好ましく、85〜180mgであることがさらに好ましく、100〜150mgであることが特に好ましい。
アスパラギン酸は、疲労回復に効果があり、即効性のエネルギー源でもある。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アルギニンの量は、6mg以上であることが好ましく、10mg以上であることが好ましく、15mg以上であることがより好ましく、20mg以上であることがさらに好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アルギニンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、50mg以下、又は30mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アルギニンの量は、例えば、6〜150mgであることが好ましく、10〜150mgであることが好ましく、10〜100mgであることがより好ましく、15〜100mgであることがさらに好ましく、20〜50mgであることが特に好ましい。
アルギニンは、免疫機能向上、血管拡張作用等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離イソロイシンの量は、6mg以上であることが好ましく、7mg以上であることが好ましく、8mg以上であることがより好ましく、10mg以上であることがさらに好ましく、15mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離イソロイシンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、80mg以下、50mg以下、又は30mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離イソロイシンの量は、例えば、6〜100mgであることが好ましく、7〜100mgであることが好ましく、10〜80mgであることがより好ましく、13〜50mgであることがさらに好ましく、15〜30mgであることが特に好ましい。
イソロイシンは、必須アミノ酸であり、エネルギー源となる。また、イソロイシンは、血管拡張、成長促進、筋力強化、疲労回復等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アラニンの量は、8mg以上であることが好ましく、9mg以上であることが好ましく、10mg以上であることが好ましく、20mg以上であることがより好ましく、40mg以上であることがさらに好ましく、50mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アラニンの量の上限は特に限定されないが、例えば、200mg以下、150mg以下、100mg以下、又は80mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離アラニンの量は、例えば、8〜200mgであることが好ましく、10〜150mgであることが好ましく、20〜150mgであることがより好ましく、40〜100mgであることがさらに好ましく、50〜80mgであることが特に好ましい。
アラニンは、エネルギー源となり、免疫機能向上、肝臓の活性向上(アルコール分解)等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離セリンの量は、15mg以上であることが好ましく、30mg以上であることが好ましく、40mg以上であることが好ましく、50mg以上であることがより好ましく、70mg以上であることがさらに好ましく、90mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離セリンの量の上限は特に限定されないが、例えば、300mg以下、250mg以下、200mg以下、又は150mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離セリンの量は、例えば、15〜300mgであることが好ましく、30〜250mgであることが好ましく、40〜250mgであることがより好ましく、50〜200mgであることがより好ましく、70〜200mgであることがさらに好ましく、90〜150mgであることが特に好ましい。
セリンは、睡眠の質改善、脳機能補助等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離リジンの量は、7mg以上であることが好ましく、10mg以上であることがより好ましく、15mg以上であることがさらに好ましく、20mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離リジンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、50mg以下、又は30mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離リジンの量は、例えば、7〜100mgであることが好ましく、10〜100mgであることが好ましく、15〜50mgであることがより好ましく、20〜30mgであることがさらに好ましい。
リジンは、必須アミノ酸であり、体組織修復作用を有し、不足すると成長障害を生じる。また、ウイルス抑制効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ヒスチジンの量は、7mg以上であることが好ましく、10mg以上であることがより好ましく、15mg以上であることがさらに好ましく、20mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ヒスチジンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、80mg以下、又は60mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ヒスチジンの量は、例えば、7〜100mgであることが好ましく、10〜100mgであることが好ましく、15〜80mgであることがより好ましく、20〜60mgであることがさらに好ましい。
ヒスチジンは、必須アミノ酸であり、白血球・赤血球形成作用を有する。また、ヒスチジンは、食欲抑制効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離フェニルアラニンの量は、12mg以上であることが好ましく、20mg以上であることがより好ましく、23mg以上であることがさらに好ましく、25mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離フェニルアラニンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、80mg以下、又は60mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離フェニルアラニンの量は、例えば、12〜100mgであることが好ましく、20〜100mgであることが好ましく、23〜80mgであることがより好ましく、25〜60mgであることがさらに好ましい。
フェニルアラニンは、必須アミノ酸であり、鎮痛作用、抗うつ作用、記憶力向上効果等を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離チロシンの量は、4mg以上であることが好ましく、7mg以上であることがより好ましく、9mg以上であることがさらに好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離チロシンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、又は50mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離チロシンの量は、例えば、4〜100mgであることが好ましく、7〜100mgであることがより好ましく、9〜50mgであることがさらに好ましい。
チロシンは、神経伝達物質等の前駆体であり、集中力向上等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ロイシンの量は、4mg以上であることが好ましく、6mg以上であることがより好ましく、7mg以上であることがさらに好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ロイシンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、又は50mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ロイシンの量は、例えば、4〜100mgであることが好ましく、7〜100mgであることがより好ましく、7〜50mgであることがさらに好ましい。
ロイシンは、必須アミノ酸であり、エネルギー源となる。また、ロイシンは、筋力強化、肝機能向上等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離メチオニンの量は、2mg以上であることが好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離メチオニンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、又は50mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離メチオニンの量は、例えば、2〜100mgであることがより好ましく、2〜50mgであることがさらに好ましい。
メチオニンは、必須アミノ酸であり、アレルギー反応抑制効果、抑うつ効果、肝臓・腎臓機能改善効果等を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離バリンの量は、3.5mg以上であることが好ましく、7mg以上であることがより好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離バリンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、又は50mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離バリンの量は、例えば、3.5〜100mgであることが好ましく、7〜100mgであることがより好ましく、7〜50mgであることがさらに好ましい。
バリンは、必須アミノ酸であり、エネルギー源となる。また、バリンは、成長促進、肝機能向上等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離グリシンの量は、2mg以上であることが好ましく、3mg以上であることがより好ましく、5mg以上であることがさらに好ましく、7mg以上であることが特に好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離グリシンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、50mg以下、又は30mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離グリシンの量は、例えば、2〜100mgであることが好ましく、5〜50mgであることがより好ましく、7〜30mgであることがさらに好ましい。
グリシンは、睡眠の質向上等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離プロリンの量は、50mg以下であることが好ましく、1〜50mgであることが好ましく、5〜40mgであることがより好ましく、10〜30mgであることがさらに好ましい。
プロリンは、関節痛改善、美肌等の効果を有し、天然保湿成分でもある。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離スレオニンの量は、10mg以上であることが好ましく、15mg以上であることがより好ましく、23mg以上であることがさらに好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離スレオニンの量の上限は特に限定されないが、例えば、100mg以下、80mg以下、又は50mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離スレオニンの量は、例えば、10〜100mgであることが好ましく、15〜80mgであることがより好ましく、23〜50mgであることがさらに好ましい。
スレオニンは、必須アミノ酸であり、成長促進、肝機能改善等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離トリプトファンの量は、2mg以上であることが好ましく、2〜50mgであることがより好ましい。
トリプトファンは、必須アミノ酸であり、セロトニン前駆体として精神安定作用を有する。また、トリプトファンは、鎮静作用、安眠効果等を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ホスホセリンの量は、1.2mg以上であることが好ましく、1.5mg以上であることがより好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ホスホセリンの量の上限は特に限定されないが、例えば、20mg以下、10mg以下、又は5mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離ホスホセリンの量は、例えば、1.2〜20mgであることが好ましく、1.2〜10mgであることがより好ましく、1.5〜5mgであることがさらに好ましい。
ホスホセリンは、セリンの前駆体であり、セリンと同様に、睡眠の質改善、脳機能補助等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離β−アラニンの量は、2mg以上であることが好ましく、3mg以上であることがより好ましく、4mg以上であることがさらに好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離β−アラニンの量の上限は特に限定されないが、例えば、20mg以下、10mg以下、又は8mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離β−アラニンの量は、例えば、2〜20mgであることが好ましく、2〜10mgであることがより好ましく、3〜10mgであることがさらに好ましく、4〜8mgであることが特に好ましい。
β−アラニンは、疲労抑制、認知機能改善等の効果を有する。
果実の可食部100gあたりに含まれる遊離γ−アミノ酪酸の量は、80mg以上であることが好ましく、100mg以上であることがより好ましく、150mg以上であることがさらに好ましい。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離γ−アミノ酪酸の量の上限は特に限定されないが、例えば、500mg以下、300mg以下、又は250mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれる遊離γ−アミノ酪酸の量は、例えば、80〜500mgであることが好ましく、100〜300mgであることがより好ましく、100〜250mgであることがさらに好ましく、150〜250mgであることが特に好ましい。
γ−アミノ酪酸は、脳機能改善効果、血圧改善効果等を有する。
また、果実の可食部100gあたりに含まれるアスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、300mg以上であることが好ましく、400mg以上であることがより好ましく、500mg以上であることがさらに好ましい。前記アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量の上限は特に限定されないが、例えば、3000mg以下、又は2000mg以下である。果実の可食部100gあたりに含まれるアスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、例えば、300〜3000mgであることが好ましく、400〜3000mgであることがより好ましく、400〜2000mgであることがさらに好ましい。
例えば、後述するトマトの製造方法において、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培されたトマトである場合、果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(12)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマトであることが好ましい。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上、好ましくは300mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
(3)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
(4)遊離アラニンの量が8mg以上である
(5)遊離セリンの量が15mg以上、好ましくは30mg以上である
(6)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
(7)遊離バリンの量が3.5mg以上、好ましくは4mg以上である
(8)遊離グリシンの量が2mg以上である
(9)遊離スレオニンの量が10mg以上である
(10)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
(11)遊離β−アラニンの量が2mg以上、好ましくは3mg以上である
(12)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上、好ましくは100mg以上、より好ましくは150mg以上である
上記(1)〜(12)から選ばれる5以上を満たすことが好ましく、10以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
また、アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、300mg以上であることが好ましく、400mg以上であることがより好ましい。
例えば、後述するトマトの製造方法において、塩化ナトリウム濃度が2質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培されたトマトである場合、果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(15)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマトであることが好ましい。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上、好ましくは300mg以上、より好ましくは500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上、好ましくは50mg以上、より好ましくは70mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上、好ましくは7mg以上、より好ましくは8mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上、好ましくは9mg以上、より好ましくは10mg以上、さらに好ましくは20mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上、好ましくは30mg以上、より好ましくは、さらに好ましくは40mg以上、特に好ましくは50mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上、より好ましくは10mg以上である
(9)遊離ロイシンの量が4mg以上である
(10)遊離バリンの量が3.5mg以上である
(11)遊離グリシンの量が2mg以上である
(12)遊離スレオニンの量が10mg以上、好ましくは15mg以上である
(13)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上、好ましくは1.5mg以上である
(14)遊離β−アラニンの量が2mg以上、好ましくは3mg以上、より好ましくは4mg以上である
(15)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上、好ましくは100mg以上、より好ましくは150mg以上である
上記(1)〜(15)から選ばれる5以上を満たすことが好ましく、10以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
また、アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、500mg以上であることが好ましく、600mg以上であることがより好ましく、800mg以上であることがさらに好ましく、900mg以上であることが特に好ましい。
例えば、後述するトマトの製造方法において、塩化ナトリウム濃度が3質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培されたトマトである場合、果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマトであることが好ましい。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上、好ましくは300mg以上、より好ましくは500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上、好ましくは50mg以上、より好ましくは70mg以上、さらに好ましくは85mg以上、特に好ましくは100mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上、好ましくは10mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上、好ましくは7mg以上、より好ましくは8mg以上、さらに好ましくは10mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上、好ましくは9mg以上、より好ましくは10mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上、好ましくは30mg以上、好ましくは、より好ましくは40mg以上、さらに好ましくは50mg以上、特に好ましくは70mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上、好ましくは10mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上、より好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上、特にに好ましくは20mg以上である
(9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
(10)遊離チロシンの量が4mg以上である
(11)遊離ロイシンの量が4mg以上、好ましくは6mg以上である
(12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
(13)遊離バリンの量が3.5mg以上、好ましくは7mg以上である
(14)遊離グリシンの量が2mg以上、好ましくは3mg以上である
(15)遊離スレオニンの量が10mg以上、好ましくは15mg以上、より好ましくは23mg以上である
(16)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
上記(1)〜(16)から選ばれる5以上を満たすことが好ましく、10以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
また、アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、500mg以上であることが好ましく、600mg以上であることがより好ましく、800mg以上であることがさらに好ましく、900mg以上であることが特に好ましい。
果実の可食部に含まれる、遊離グルタミン酸の質量/遊離プロリンの質量比は、1以上であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、5〜27であることがより好ましく、10〜25であることがさらに好ましい。
果実の可食部に含まれる、遊離アスパラギン酸の質量/遊離プロリンの質量比は、0.5以上であることが好ましく、0.5〜10であることが好ましく、0.7〜7であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。
アミノ酸量は公知の方法により測定できる。例えば、市販のアミノ酸自動分析機を用いることができ、アミノ酸自動分析法又は高速液体クロマトグラフ法により求めることができる。
本発明に係るトマトの果実は、上記の値又は比率でアミノ酸を含有するので、特有の風味を有する。
本発明に係るトマトは、果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上であることが好ましく、0.15〜0.5質量%であることが好ましく、0.18〜0.4質量%であることがより好ましく、0.2〜0.3質量%であることがさらに好ましい。ナトリウム量は公知の方法により測定できる。
本発明に係るトマトは、果実の可食部の水分含量が90質量%以下であることが好ましく、80〜90質量%であることが好ましく、83〜89質量%であることがより好ましく、85〜88質量%であることがさらに好ましい。水分含量は、公知の方法により測定できる。例えば、市販の乾燥器を用いた加熱乾燥法により求めることができる。
本発明に係るトマトは、果実の可食部における糖度(Brix)が8以上であることが好ましく、8〜20であることが好ましく、10〜15であることがより好ましく、12〜14であることがさらに好ましい。糖度は、公知の方法により測定できる。例えば、市販の糖度屈折計を用いて測定することができる。
前記果実の可食部とは、収穫された果実から、ヘタ(咢)及び果柄の部分を除いた部分のことを指す。果実は加工されていない生の果実である。
本発明に係る前記トマトの果実の、前記遊離アミノ酸量、前記ナトリウムの含有率、前記水分含量、及び前記糖度は、果実の可食部全体における量を測定して、求めることができる。
本発明に係るトマトとしては、トマト(Solanum lycopersicum)が好ましい。
トマトの果熟の程度は、果実表面の赤色又は桃色の着色の程度(面積%)で分類でき、例えば、緑熟期(着色なし)、催色期(〜70%着色)、成熟期(71〜90%着色)、完熟期(91〜100%着色)を経て、過熟期となる。本発明に係る前記トマトの果実の、前記遊離アミノ酸量、前記ナトリウムの含有率、前記水分含量、及び前記糖度の値に関し、成熟期又は完熟期において前記規定を満たすことが好ましい。
≪トマトの製造方法≫
本発明に係るトマトの製造方法は、トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、を有する。耐塩性付与工程は、本来耐塩性の低い植物体に、耐塩性付与剤で処理することによって耐塩性を付与し、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上という非常に塩濃度の高い環境下で栽培可能とするための工程である。耐塩性が付与された植物体は、続く栽培工程によって、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培できる。
耐塩性付与工程および栽培工程を行うことにより、本発明に係るトマトを製造することができる。
生育の初期段階の植物体は、充分に生育した植物体よりもストレスに対する耐性が低く、環境ストレスの影響を受けやすい。特に、発根や発芽の工程は、塩濃度に非常に敏感である。このため、種子や球根の段階から高塩濃度環境下で生育させた場合には、高い塩ストレスにより、耐塩性付与処理を施しても耐塩性を獲得できずに枯死してしまう植物体が多い。本発明に係るトマトの製造方法では、生育の初期段階では低塩濃度環境下で生育させ、ある程度生育させた後に耐塩性付与処理を行うことが好ましい。これにより、耐塩性付与処理によって耐塩性が付与される植物体の割合を顕著に増大させることができ、高塩濃度環境下で栽培することが可能な苗を効率よく育成することができる。
本発明に係るトマトの製造方法では、初期生育工程として、植物体を、少なくとも発根及び発芽が完了するまでは、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満である環境下で生育させる工程を有することが好ましい。初期生育工程において種子等を生育させる環境の塩化ナトリウム濃度は、1質量%未満であればよく、好ましくは、苗を育成する植物体と同じ品種の植物が正常に生育可能な塩濃度以下であることが好ましい。なお、「正常に生育可能な環境」とは、複数の植物体を生育させた場合の生育率が80%以上である環境を意味する。本発明に係る育成方法において初期生育工程を行う環境の塩化ナトリウム濃度としては、0〜0.5質量%であることが好ましく、0〜0.3質量%であることがより好ましく、0〜0.1質量%であることがさらに好ましいい。
初期生育工程は、種子又は球根に給水させる水(初期生育用溶液)として、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満の水溶液を用いる以外は、種子等を発芽及び発根させるための一般的な方法により行うことができる。具体的には、種子又は球根を、発芽・発根が可能な温度環境下で、初期生育用溶液に接する状態に置くことにより、発芽及び発根させる。例えば、適切な温度環境下に置いた種子等に、定期的に初期生育用溶液を散布させてもよく、種子等を、適切な温度環境下で、表面の少なくとも一部は空気に触れており、その他の部分が初期生育用溶液に接触している状態に置いてもよい。例えば、初期生育用溶液を含む支持用担体の表面に置くことにより、種子等を初期生育用溶液に部分的に接触させることができる。また、水深が種子等の高さより低くなるように容器に溜めた初期生育用溶液に、種子等を置くことによっても、種子等を初期生育用溶液に部分的に接触させることができる。
支持用担体としては、内部に含有する初期生育用溶液が担体表面に置かれた種子等に給水可能な程度の多孔質性を有するものであればよいが、発根した後、幼苗の根が支持用担体を貫通可能な程度の多孔質性を有するものが好ましい。種子等から発芽・発根させた植物体を、茎や葉が支持用担体の上方に伸び、根が支持用担体の下方に伸びるように生育させることにより、支持用担体に支持させた状態で生育させることができる。例えば、栽培工程で行う水耕栽培に使用される栽培用槽に設置可能な栽培用ポットの内部に保持させた支持用担体の表面に種子等を置いて発芽・発根させ、支持用担体の下方に根を伸ばし、支持用担体を貫通するように植物体を生育させた場合には、当該栽培用ポット内に保持された状態で植物体が支持されているため、当該栽培用ポットをそのまま栽培用槽に設置することによって、幼苗期以降も生育させることができる。
このような多孔質性を有する支持用担体としては、例えば、ゲル状物質であってもよく、繊維状物質であってもよく、粒状又は礫状の物質であってもよい。ゲル状物質としては、寒天、アガロース、ゲランガム、アルギン酸等の高分子多糖類、アクリル樹脂等の吸水性樹脂等が挙げられる。繊維状物質としては、不繊布、綿、紙、ロックウール、グラスウール等が挙げられる。粒状又は礫状の物質としては、木材チップ、バーク、軽石、バーミキュライト、砂等が挙げられる。
初期生育工程の後、耐塩性付与工程として、生育させた苗の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行うことができる。発芽・発根後に直ちに耐塩性付与処理を行ってもよいが、生育するほど塩ストレスに対する耐性も高くなる。このため、幼苗を、発芽後少なくとも1週間、好ましくは3週間程度生育させた後に耐塩性付与工程を行うことが好ましい。
耐塩性付与処理は、耐塩性付与剤を含有する水溶液(処理用溶液)に、苗の根の少なくとも一部を浸漬させることにより行うことができる。処理用溶液の塩化ナトリウム濃度は、特に限定されるものではなく、耐塩性付与効率が充分となるように、使用する耐塩性付与剤の種類や植物体の種類に応じて適宜調節することができる。例えば、初期生育用溶液に耐塩性付与剤を混合させたものを処理用溶液としてもよく、栽培工程で用いる栽培用溶液に耐塩性付与剤を混合させたものを処理用溶液としてもよく、塩類組成が初期生育用溶液と栽培用溶液のいずれとも異なる溶液を処理用溶液としてもよい。本発明において用いられる処理用溶液の塩化ナトリウム濃度としては、1質量%以上が好ましく、栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度と同じ濃度がより好ましい。
本発明において用いられる耐塩性付与剤は、薬剤であってもよく、微生物であってもよく、微生物の培養上清であってもよい。当該薬剤としては、例えば、ピロロキノリンキノン(特許5013326号公報参照。)やストリゴラクトン等が挙げられる。また、微生物としては、例えば、パエニバチルス・フクイネンシス(特開2013−75881号公報参照。)等が挙げられる。耐塩性付与剤としては、1種類の微生物からなるものであってもよく、2種類以上の微生物の混合物であってもよい。
処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度は、耐塩性付与剤の種類、植物体の種類や生育段階等を考慮して適宜調整される。処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度が低すぎる場合には、処理用溶液で耐塩性付与剤が植物体の根に接触する機会が少なくなり、耐塩性付与効果が不充分となるおそれがある。一方で、耐塩性付与剤の種類によっては、過剰摂取により植物体の生育に却って悪影響を及ぼすおそれもある。そこで、充分な耐塩性付与効果を得るための処理用溶液中の耐塩性付与剤の濃度は、実験的に求めることができる。例えば、耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度を10CFU/mL以上とすることにより、充分な耐塩性付与効果を得ることができる。耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度は、10CFU/mL以上とすることが好ましく、10CFU/mL以上とすることがより好ましい。耐塩性付与剤が微生物の場合、処理用溶液における当該微生物の濃度の上限は、特に限定されないが、例えば、1013CFU/mL以下とすることにより、処理用溶液の水質を良好に維持することができる。処理用溶液における当該微生物の濃度の上限は、1012CFU/mL以下とすることが好ましく、1011CFU/mL以下とすることがより好ましく、1010CFU/mL以下とすることがさらに好ましく、10CFU/mL以下とすることが特に好ましい。処理用溶液における当該微生物の濃度の範囲としては、10〜1013CFU/mL等とすることができ、10〜1012CFU/mLとすることが好ましく、10〜1011CFU/mLとすることがより好ましく、10〜1010CFU/mLとすることがさらに好ましく、10〜10CFU/mLとすることが特に好ましい。
1回の耐塩性付与処理時間、すなわち、植物体の根の少なくとも一部を処理用溶液に浸漬させる時間は、植物体の種類や用いられる耐塩性付与剤の種類によって適宜調節される。例えば、耐塩性付与処理時間としては、1時間以上が好ましく、18時間以上がより好ましく、1日間以上がさらに好ましく、1〜7日間がよりさらに好ましい。植物体の根を処理用溶液に浸漬させた状態で1時間以上栽培することにより、処理用溶液中の耐塩性付与剤が植物体の根に接触する機会が充分となり、耐塩性が付与されやすくなる。
初期生育工程において、苗を、栽培用ポットの内部に保持された支持用担体に支持された状態で生育させた場合には、支持用担体の下方から伸びた根が処理用溶液に接するように、処理用溶液が収容された処理用槽に当該栽培用ポットを設置することによって、耐塩性付与処理を行うこともできる。例えば、栽培用ポットをはめ込む貫通孔が1又は2以上あり、かつ処理用溶液の水面上に浮かべたフロートを利用し、当該フロートに栽培用ポットをはめ込むことによって、根を処理用溶液に接触させることができる。なお、栽培用ポットはフロートの貫通孔に脱着可能にはめ込まれていてもよく、フロートの貫通孔から外れないように固定されていてもよく、フロートと栽培用ポットが一体成型されたものであってもよい。処理用溶液の水面上に浮かべるフロートの素材としては、後記の栽培用溶液の水面上に浮かべるフロートと同様のものが用いられる。
耐塩性付与処理に用いる処理用溶液の量が多くなるほど、多量の耐塩性付与剤が必要になる。そこで、処理用溶液の量を、栽培用ポットの底面から伸びた植物体の根が接触するために必要充分な量にまで低減させることにより、1回の耐塩性付与処理に必要な耐塩性付与剤の量を抑えることができる。ただし、処理用溶液の量が少なすぎる場合には、植物体の根に充分な量の耐塩性付与剤が接触できないおそれがあるため、処理用槽1個当たり、1個の栽培用ポットをはめ込むプレートのみが設置されている場合、当該処理用槽に収容された処理用溶液は、少なくとも5mLであることが好ましい。
耐塩性付与工程により耐塩性が付与された苗は、その後、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する。
本発明において、栽培工程における栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度は、1質量%以上であればよく、栽培する植物体の耐塩性に応じて適宜調節することができる。本発明において用いられる栽培用溶液としては、塩化ナトリウム濃度が、1〜4質量%であることが好ましく、1.5〜3.8質量%であることがより好ましく、2〜3.5質量%であることがさらに好ましく、2.5〜3.3質量%であることが特に好ましい。
本発明において用いられる栽培用溶液としては、塩化ナトリウムに加えて塩化マグネシウムを含むことが好ましく、0.5質量%以下の塩化マグネシウムを含有することがより好ましく、0.1〜0.5質量%の塩化マグネシウムを含有することがさらに好ましい。
本発明において用いられる栽培用溶液は、塩化ナトリウムや塩化マグネシウム以外にも、植物体の生育に必要な各種栄養成分を含有していることが好ましい。当該栄養成分は、栽培する植物体の種類に応じて適宜調整することができる。特に、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガン、銅、モリブデン、ホウ素等の植物体の生育に必要な元素を塩類として含有していることが好ましい。その他、植物体の種類によっては、アルミニウムや珪素等の元素を塩類として含有する場合もある。また、植物体の生育段階に応じて栽培用溶液の組成を変更してもよい。
本発明において用いられる栽培用溶液としては、例えば、市販されている液肥に塩化ナトリウムをはじめとする不足の塩類を添加した溶液や、市販されている濃縮された液肥を、水に代えて海水で希釈した溶液を用いることができる。また、海水に、リン等の不足の塩類を適宜添加した溶液を用いることもできる。
本発明において、栽培工程における水耕栽培は、栽培用溶液の塩化ナトリウム濃度を1質量%以上にする以外は、一般的な水耕栽培方法によって行うことができる。当該栽培工程は、比較的多量の栽培用溶液を栽培用槽にためる湛液型水耕法で行ってもよく、緩やかな傾斜を持つ平面上に培養液を少量ずつ流下させる薄膜水耕法で行ってもよい。
湛液型水耕法の場合、栽培用槽内の栽培用溶液の交換方法は、循環して利用する循環式であってもよく、栽培用槽内で一定期間利用した後にそのまま排液にする非循環式であってもよい。循環式の場合、栽培用溶液は栽培用溶液調製槽内で調製された後、ポンプ等により栽培用槽へ投入され、栽培用槽から再び栽培用溶液調製槽へと回収され、栄養成分等が調製される。
湛液型水耕法は、例えば、栽培用溶液を収容する栽培用槽と、植物体を収容する栽培用ポットと、栽培用ポットをはめ込む貫通孔が1又は2以上あり、かつ栽培用溶液の水面上に浮かべるフロートと、を備える水耕栽培装置を用いて行うことができる。栽培用ポットはフロートの貫通孔に脱着可能にはめ込まれていてもよく、フロートの貫通孔から外れないように固定されていてもよく、フロートと栽培用ポットが一体成型されたものであってもよい。栽培用槽は、室内に設置されていてもよく、屋外に設置されていてもよい。
循環式水耕栽培装置の場合には、栽培用槽は、栽培用溶液を注入する給水孔と、栽培用溶液を排水する排水孔を備えている。非循環式水耕栽培装置の場合には、栽培用槽は、給水孔と排水孔の両方を備えていてもよく、給水と排水の両方を行う給排水孔を備えていてもよい。栽培用槽への栽培用溶液の給排水は、ポンプとバルブで制御される。
栽培用ポットは、少なくとも上面と下面に開口部を備えており、支持用担体を保持可能な容器であり、一般的には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂素材のものが使用される。栽培用ポットに保持させる支持用担体としては、前述のものが利用できる。
フロートは、植物体を栽培している状態の栽培用ポットを貫通孔にはめ込んだ状態で栽培用溶液の水面に浮かぶ素材で形成されている。当該素材としては、例えば、発泡スチロール、発泡ポリプロピレン等の発泡性樹脂が挙げられる。栽培用ポットをフロートにはめ込むことにより、栽培用溶液の量の多寡にかかわらず、栽培用ポットは必ず栽培用溶液の水面に位置し、栽培用溶液が少量の場合でも植物体の根が栽培用溶液に必ず接することができる。
栽培用槽に浮かべるフロートは、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。栽培用槽が屋外に設置されている場合には、栽培用溶液の水面からの蒸散を抑制するために、栽培用溶液の水面の大部分を覆うようにフロートを設置することが好ましい。
湛液型水耕法の場合、使用する水耕栽培装置は、栽培用溶液の溶存酸素量を一定量以上に保つための酸素供給手段を備えていることが好ましい。当該酸素供給手段としては、例えば、エアーポンプやエアーサッカー等が挙げられる。栽培用槽内にエアーポンプを設置することにより、酸素を含む空気を栽培用槽内の栽培用溶液に直接供給することができる。エアーサッカーを用いる場合には、栽培用溶液を予めエアーサッカー等に通過させて空気を混入させた後に栽培用槽に投入することができる。
また、水耕栽培に適したpHは植物の種類ごとに違うものの、一般的にpH5.5〜6.5程度であるが、栽培期間が長くなるにつれ、栽培用溶液のpHは高くなる傾向にある。このため、長期間安定して水耕栽培を行うために、使用する水耕栽培装置は、栽培用溶液のpHを経時的に測定し、必要に応じてpHを所定の範囲内に調整するために酸物質を投与するpH制御手段を備えていることが好ましい。pH調整に用いられる酸物質としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
本発明に係る育成方法において、耐塩性付与工程と栽培工程は、同じ栽培用槽で行ってもよく、耐塩性付与工程は処理用溶液を収容した処理用槽で行い、処理後の苗を、栽培用溶液を収容した栽培用槽に移設してもよい。
初期生育工程において、苗を、栽培用ポットの内部に保持された支持用担体に支持された状態で生育させた後、耐塩性付与処理を処理用槽内で行う場合には、栽培用ポットを処理用槽のフロートから外し、栽培用槽内に収容された栽培用溶液の水面に浮かべられたフロートの貫通孔にはめ込んでもよく、栽培用ポットが埋め込まれたフロートを、処理用槽から栽培用槽内の栽培用溶液の水面上に浮かべてもよい。栽培用ポット又はフロートを処理用槽から栽培用槽へ移動させる移動手段は、特に限定されず、例えば、水流を利用した移動手段やコンベアでの移動等で行うことができる。処理用槽1個当たり、複数の栽培用ポットが設置される場合には、処理用溶液のよどみを防止し、かつ酸欠を防止するために、エアーポンプによるバブリング処理を行うことが好ましい。
耐塩性付与処理を栽培用槽内で行う場合には、まず、栽培用槽に処理用溶液を収容して、フロートにはめ込まれた栽培用ポットの下方に伸びた根を処理用溶液に接触させて耐塩性付与処理を行う。耐塩性付与剤の濃度勾配を防止するために、処理用溶液は給排水量を少なくする又は給排水処理を行わない条件で、植物体の根と接触させることが好ましい。ただし、給排水量が少ない場合や給排水を行わない場合には、栽培用槽内によどみが生じてしまい、植物体自体に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、エアーポンプによるバブリング処理によって処理用溶液を適宜撹拌することが好ましい。
耐塩性付与処理後、栽培用槽内の処理用溶液を排水し、次いで予め別の槽において調製した栽培用溶液を栽培用槽内に給水した後、通常の給排水条件で給排水を行うことにより、栽培工程を開始する。耐塩性付与剤が微生物等のようにそれ自身を過剰摂取させたとしても植物体にさほど悪影響を与えない物質の場合には、処理用溶液を排水することなくそのまま栽培用溶液を給水し、通常の給排水条件で給排水を開始してもよい。
塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液(以下、「高塩濃度環境下」ということがある。)での栽培は、必ずしも、耐塩性付与処理後の栽培期間の全期間にわたって行う必要はない。例えば、耐塩性付与処理後の任意の期間のみ、高塩濃度環境下での栽培を行うようにしてもよい。この場合、高塩濃度環境下での栽培は、耐塩性付与処理の直後の一定期間に行うことが好ましい。耐塩性付与処理の直後の任意の期間に、高塩濃度環境下で栽培することにより、耐塩性付与処理で付与された耐塩性が維持され、トマトのアミノ酸含量が向上すると考えられる。高塩濃度環境下での栽培の期間は、特に限定されないが、例えば、耐塩性付与処理の直後から、栽培期間の全期間の3分の1程度の期間まで、2分の1程度の期間まで、3分の2程度の期間まで、等とすることができる。トマトのアミノ酸含量が向上する観点からは、耐塩性付与処理の直後から、栽培期間の全期間にわたって、高塩濃度環境下での栽培を行うことが好ましい。
耐塩性の付与が不充分であった苗は、栽培工程において一定期間、高塩濃度環境下で栽培すると、枯死する。枯死した植物は腐敗の原因になり、栽培用溶液において雑菌等が繁殖する原因となる。栽培用溶液の汚染によってせっかく耐塩性が付与された苗も病害等により枯死してしまうおそれもある。このため、耐塩性付与工程後又は栽培工程中においては、枯死した苗を除去する除去工程を有することが好ましい。特に、耐塩性付与工程を塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である処理用溶液を用いて行った場合には、耐塩性付与工程後、栽培工程開始前に行うことが好ましい。農作物の栽培においては、枯死した苗を栽培用槽から除去することによって、実際の栽培地における歩留りを向上させることができる。
また、耐塩性付与処理開始後、高塩濃度環境下で一定期間生育させた場合に枯死せず生育している苗は、耐塩性付与剤によって確実に耐塩性が改善された植物体であると確認できる。そして、枯死した苗を除去することにより、本発明において育成された耐塩性苗について、耐塩性苗としての品質保証を得ることもできる。
栽培工程は、栽培用槽が室内に設置された室内型で行われてもよく、栽培用槽が屋外に設置された屋外開放型であってもよい。
トマトの果実の収穫期まで栽培された植物体から、トマトを収穫する。本発明に係るトマトの製造方法は、収穫されたトマトの果実から、本発明のトマトの果実の可食部に係る遊離アミノ酸量、ナトリウム含有率、水分含量、又は糖度に関する前記値を満たすトマトを選抜する選抜工程を、更に有してもよい。
本発明に係るトマトの製造方法によれば、塩水又は海水を用いて、本発明に係るトマトを製造することができる。
以下、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1A]
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、更に数日間生育させた。
Plant, Cell and Environment, (2009) 32, 1682−1694に記載されている微生物を培養し、遠心分離することで微生物のペレットを得た。
上記の水耕栽培ベットの水槽の淡水を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)に交換し、水槽中の塩水に、上記で得たペレット状の微生物を緩衝液に再懸濁したものを添加して処理用溶液とし、植物の根と微生物が接触する時間を3時間以上設けることで耐塩化を行った。
次いで、水耕栽培ベットの水槽の前記処理用溶液を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)へと交換し、温室内で水耕栽培を行った。なお、実施例で使用した塩水は、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加したものを用いた。
上記で栽培した植物体に実った果実を収穫し、トマトの果実の可食部に含まれるナトリウムの質量%を計測した(実施例1A−1〜1A−3)。結果を表1に示す。
[比較例1A]
「塩トマト」の商品名で市販されているトマトの果実を入手し、トマトの果実の可食部に含まれるナトリウムの質量%を計測した(比較例1A−1〜1A−4)。結果を表1に示す。
また、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の、トマトの果実の可食部に含まれるナトリウムの質量%を表1に併記する。
[比較例2A]
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、温室内で水耕栽培を行った。なお、水耕栽培は、水耕栽培用の栄養素を含む水耕栽培用溶液を用いた。
実施例1Aのトマトの果実では、日本食品標準成分表の記載のトマトの果実、及び比較例1Aのトマトの果実に比べ、ナトリウムの濃度が高く、水分含量が少ないことが明らかとなった。
上記でナトリウムの量及び水分含量を計測したものとは別の果実について、水耕栽培を海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)で行った以外は、上記実施例1Aと同様の栽培方法で得られたトマトの、果実の可食部における糖度(Brix)を計測した。果実の可食部における糖度(Brix)は、12.9であった。尚、実施例及び比較例において、糖度(Brix)はトマト果汁の糖度を糖度屈折計で測定した値である。
(日持ち)
実施例1Aと比較例2Aのトマトの果実を収穫後、室温で放置して、時間経過後の果実の傷み具合(腐敗の程度)を観察した。比較例2Aで得られたトマトの果実に比べて、実施例1Aで得られたトマトの果実のほうが、腐敗し難く日持ちに優れていた。
[実施例2A]
上記実施例1Aと同様の栽培方法でトマト(甘福)を水耕栽培し、植物体に実った果実を収穫した。収穫後、果実を室温で放置して、時間経過後の果実の傷み具合(腐敗の程度)を観察した(実施例2A−1、2A−2)。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%((実施例2A−1)又は海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)(実施例2A−2)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。結果を表2に示す。
[比較例3A]
上記比較例2Aと同様の方法でトマト(甘福)を水耕栽培し、植物体に実った果実を収穫した。収穫後、果実を室温で放置して、時間経過後の果実の傷み具合(腐敗の程度)を観察した(比較例3A−1)。結果を表2に示す。
比較例3Aで得られたトマトの果実は、収穫後6日目から変形が始まり、収穫後14日目には腐敗が始まった。収穫後20目には腐敗が進み果汁の漏出が観察された。
一方、実施例2Aで得られたトマトの果実は、実施例2−1及び実施例2−2のいずれも、収穫後14日目で過熟状態となったが、収穫後20日目でも腐敗は始まらなかった。
[実施例1B]
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、更に数日間生育させた。
Plant, Cell and Environment, (2009) 32, 1682−1694に記載されている微生物を培養し、遠心分離することで微生物のペレットを得た。
上記の水耕栽培ベットの水槽の淡水を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)に交換し、水槽中の塩水に、上記で得たペレット状の微生物を緩衝液に再懸濁したものを添加して処理用溶液とし、植物の根と微生物が接触する時間を3時間以上設けることで耐塩化を行った。
次いで、水耕栽培ベットの水槽の前記処理用溶液を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)へと交換し、温室内で水耕栽培を行った。なお、実施例で使用した塩水又は海水は、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加したものを用いた。
[比較例1B]
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、温室内で水耕栽培を行った。なお、水耕栽培は、水耕栽培用の栄養素を含む水耕栽培用溶液を用いた。
図1Aは、比較例1Bで水耕栽培されたトマトの写真である。図1Bは、実施例1Bで水耕栽培されたトマトの写真である。
比較例1Bで栽培されたトマトでは、生長点付近の葉が黄色くまだらになった個体がみられ、10株中5株で、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)への罹患が確認された。
一方、実施例1Bで栽培されたトマトでは、10株とも、黄化葉巻ウイルスへの罹患は確認されなかった。
トマト黄化葉巻病は、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を病原とするウイルス病害である。トマト黄化葉巻ウイルスはコナジラミにより媒介され、蔓延力も強いとされる。実施例1Bで栽培されたトマトと、比較例1Bで栽培されたトマトは、同一の温室内で同時に栽培されたものであるが、実施例1Bで栽培されたトマトでは、黄化葉巻ウイルスの罹患は認められなかった。以上のことから、本発明に係る抵抗性付与方法により、トマトにウイルス病への抵抗性が付与されたことが示された。
[実施例2B]
上記実施例1Bと同様の栽培方法でトマト(甘福)の水耕栽培を行った。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。
図2は、実施例2Bで水耕栽培されたトマトの写真である。実施例1Bで栽培されたトマトでは、黄化葉巻ウイルスへの罹患は確認されなかった。
[実施例3B]
上記実施例1Bと同様の栽培方法でトマト(甘福)の水耕栽培を行った。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、塩水(塩化ナトリウム濃度1.5質量%)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。
[比較例2B]
上記比較例1Bと同様の方法でトマト(甘福)の水耕栽培を行った。
図3は、実施例3B及び比較例2Bで水耕栽培されたトマトの写真である。比較例2Bで栽培されたトマト(淡水栽培区)では、8株中8株でうどんこ病への感染が確認された。
一方、実施例3Bで栽培されたトマト(塩水栽培区)では、24株とも、うどんこ病への感染は確認されなかった。
うどんこ病は、ウドンコカビ科に属する子嚢菌を病原とする真菌性の植物病害である。うどんこ病は空気感染するため、通常、同一室内で栽培した植物体には感染が広がると考えられる。しかし、実施例3Bで栽培されたトマトと、比較例2Bで栽培されたトマトは、同一の温室内で同時に栽培されたものであるが、うどんこ病への感染は比較例2Bで栽培されたトマトでのみ認められ、実施例3Bで栽培されたトマトでは、うどんこ病への感染は認められなかった。以上のことから、本発明に係る抵抗性付与方法により、トマトにうどんこ病への抵抗性が付与されたことが示された。
[実施例1C]
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、更に数日間生育させた。
Plant, Cell and Environment, (2009) 32, 1682−1694に記載されている微生物を培養し、遠心分離することで微生物のペレットを得た。
上記の水耕栽培ベットの水槽の淡水を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)に交換し、水槽中の塩水又は海水に、上記で得たペレット状の微生物を緩衝液に再懸濁したものを添加して処理用溶液とし、植物の根と微生物が接触する時間を3時間以上設けることで耐塩化を行った。
次いで、水耕栽培ベットの水槽の前記処理用溶液を、海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)へと交換し、温室内で水耕栽培を行った。なお、実施例で使用した塩水又は海水は、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加したものを用いた。
上記実施例1Cで栽培したトマトから収穫されたトマトの果実の可食部に含まれる遊離アミノ酸の量及び糖度を計測した。結果を表3に示す。また、日本食品標準成分表2015年版(七訂)のアミノ酸成分表に記載の値から算出したトマトの果実の可食部に含まれる遊離アミノ酸の量を、表3に併記する。
実施例1Cで栽培されたトマトの果実は、日本食品標準成分表に示される一般的なトマトの果実と比べて、グラムあたりに含まれる遊離アミノ酸量が多いことが示された。特に、アルギニン、イソロイシン、アラニン、グルタミン酸、セリン、アスパラギン酸では、グラムあたりの遊離アミノ酸量が、日本食品標準成分表に示される一般的なトマトの果実と比べて、5倍以上であった。特に、うまみ成分として知られるグルタミン酸とアスパラギン酸の含有量が高かった。
上記で遊離アミノ酸の量及び糖度を計測したものとは別の果実について、水耕栽培を塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)で行った以外は、上記実施例1Cと同様の栽培方法で得られたトマトの、果実の可食部に含まれるナトリウムの量及び水分含量を計測した。果実の可食部に含まれるナトリウムの量は、3個の果実について、0.22質量%、0.28質量%、0.21質量%であった。水分含量は、1個の果実について、87.2質量%であった。
[実施例2C]
上記実施例1Cと同様の栽培方法でトマト(甘福)を水耕栽培し、植物体に実った果実を収穫した。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%(実施例2C−1)若しくは塩化ナトリウム濃度2質量%(実施例2C−2))、又は海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)(実施例2C−3)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。
得られたトマトの果実の可食部に含まれる遊離アミノ酸の量及び糖度を計測した(実施例2C−1〜2C−3)。結果を表4及び表5に示す。
[比較例1C]
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、温室内で水耕栽培を行った。なお、水耕栽培は、水耕栽培用の栄養素を含む水耕栽培用溶液を用いた。
上記で栽培した植物体に実った果実を収穫し、トマトの果実の可食部に含まれる遊離アミノ酸の量及び糖度を計測した(比較例1C−1)。結果を表4及び表5に示す。
実施例2Cで栽培されたトマトの果実は、比較例1Cで栽培されたトマトの果実と比べて、グラムあたりに含まれる標準アミノ酸量が多いことが示された。また、実施例2Cで栽培されたトマトの果実は、比較例1Cで栽培されたトマトの果実と比べて、ホスホセリン、β−アラニン、γ−アミノ酸などの非標準アミノ酸量も多いことが示された。塩化ナトリウム濃度が高い栽培用溶液で栽培されたトマトの果実ほど、標準アミノ酸総量が多く、また各アミノ酸量も多い傾向にあった。
本発明により、従来の同種の植物体と比べ日持ちが向上した植物体を提供できる。
本発明に係る抵抗性付与方法により、植物体に対し、病害虫への抵抗性を付与することができる。
本発明に係るトマトの果実は、従来のトマトと比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有する。
本発明に係るトマトの製造方法により、従来のトマトの果実と比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有するトマトの果実を得ることができる。

Claims (5)

  1. 日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、
    可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の50倍以上である植物体。
  2. 植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
    前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
    を有する、請求項1に記載の植物体の製造方法。
  3. 植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
    前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
    を有することによって前記植物体に病害虫への抵抗性を付与する、抵抗性付与方法。
  4. 果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(20)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマト。
    (1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上である
    (2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
    (3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
    (4)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
    (5)遊離アラニンの量が8mg以上である
    (6)遊離セリンの量が15mg以上である
    (7)遊離リジンの量が7mg以上である
    (8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
    (9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
    (10)遊離チロシンの量が4mg以上である
    (11)遊離ロイシンの量が4mg以上である
    (12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
    (13)遊離バリンの量が3.5mg以上である
    (14)遊離グリシンの量が2mg以上である
    (15)遊離プロリンの量が50mg以下である
    (16)遊離スレオニンの量が10mg以上である
    (17)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
    (18)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
    (19)遊離β−アラニンの量が2mg以上である
    (20)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上である
  5. トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
    前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
    を有する、請求項4に記載のトマトの製造方法。
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