JP6535421B2 - トマト、トマトの製造方法及び抵抗性付与方法 - Google Patents
トマト、トマトの製造方法及び抵抗性付与方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6535421B2 JP6535421B2 JP2018532804A JP2018532804A JP6535421B2 JP 6535421 B2 JP6535421 B2 JP 6535421B2 JP 2018532804 A JP2018532804 A JP 2018532804A JP 2018532804 A JP2018532804 A JP 2018532804A JP 6535421 B2 JP6535421 B2 JP 6535421B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cultivation
- tomato
- salt
- solution
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01H—NEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
- A01H6/00—Angiosperms, i.e. flowering plants, characterised by their botanic taxonomy
- A01H6/82—Solanaceae, e.g. pepper, tobacco, potato, tomato or eggplant
- A01H6/825—Solanum lycopersicum [tomato]
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01G—HORTICULTURE; CULTIVATION OF VEGETABLES, FLOWERS, RICE, FRUIT, VINES, HOPS OR SEAWEED; FORESTRY; WATERING
- A01G31/00—Soilless cultivation, e.g. hydroponics
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01G—HORTICULTURE; CULTIVATION OF VEGETABLES, FLOWERS, RICE, FRUIT, VINES, HOPS OR SEAWEED; FORESTRY; WATERING
- A01G7/00—Botany in general
- A01G7/06—Treatment of growing trees or plants, e.g. for preventing decay of wood, for tingeing flowers or wood, for prolonging the life of plants
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01H—NEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
- A01H3/00—Processes for modifying phenotypes, e.g. symbiosis with bacteria
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01H—NEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
- A01H3/00—Processes for modifying phenotypes, e.g. symbiosis with bacteria
- A01H3/04—Processes for modifying phenotypes, e.g. symbiosis with bacteria by treatment with chemicals
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01N—PRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
- A01N63/00—Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing microorganisms, viruses, microbial fungi, animals or substances produced by, or obtained from, microorganisms, viruses, microbial fungi or animals, e.g. enzymes or fermentates
- A01N63/20—Bacteria; Substances produced thereby or obtained therefrom
- A01N63/25—Paenibacillus
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/10—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
- Y02A40/13—Abiotic stress
- Y02A40/135—Plants tolerant to salinity
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Environmental Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Botany (AREA)
- Developmental Biology & Embryology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biodiversity & Conservation Biology (AREA)
- Physiology (AREA)
- Ecology (AREA)
- Forests & Forestry (AREA)
- Natural Medicines & Medicinal Plants (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Zoology (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Dentistry (AREA)
- Virology (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Pest Control & Pesticides (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Agronomy & Crop Science (AREA)
- Cultivation Of Plants (AREA)
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
- Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
Description
本願は、2016年9月29日に、日本に出願された特願2016−192096号、2016年9月29日に、日本に出願された特願2016−191983号、及び2016年9月29日に、日本に出願された特願2016−191962号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
植物に病害虫への抵抗性を付与する方法として、遺伝子組換え技術を用いる方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。しかし、遺伝子改変植物は、安全性への懸念の問題もあるため、遺伝子組換え技術を使用せずに、植物に抵抗性を付与することが好ましい。
近年、従来のトマトよりも高い糖度を有する、いわゆるフルーツトマトの人気が高まっている。また、熊本県の塩分濃度が高い土壌で栽培されたトマトは、塩トマトと呼ばれ、高い糖度を有する高級トマトとして販売されている。しかし、塩トマトは収穫できる量が限られており、また収穫量が非常に不安定となりやすいとされる(例えば、非特許文献1参照。)。
上記のような問題に鑑み、本発明は、植物体に対する優れた病害虫への抵抗性付与方法を提供することを目的とする。
上記のような問題に鑑み、本発明は、安定的に収穫でき、より風味の改善が図られたトマト、及び当該トマトの製造方法を提供することを目的とする。
[1] 日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、
可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の50倍以上である植物体。
[2] 果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上である、前記[1]に記載の植物体。
[3] 果実の可食部の水分含量が90質量%以下である、前記[1]又は[2]に記載の植物体。
[4] 果実の可食部における糖度(Brix)が8以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の植物体。
[5] 前記植物体がトマトである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の植物体。
[6] 植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
を有する、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の植物体の製造方法。
[1] 植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
を有することによって前記植物体に病害虫への抵抗性を付与する、抵抗性付与方法。
[2] 前記耐塩性付与工程の前に、前記植物体の種子又は球根を、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満である環境下で、発芽及び発根させる初期生育工程を有する、前記[1]の抵抗性付与方法。
[3] 前記初期生育工程において、種子又は球根の発芽及び発根を、塩化ナトリウム濃度が0.5質量%以下である環境下で行う、前記[2]の抵抗性付与方法。
[4] 前記耐塩性付与処理が、耐塩性付与剤を含有し、かつ塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である処理用溶液に、前記植物体の根の少なくとも一部を浸漬させる処理である、前記[1]〜[3]のいずれかの抵抗性付与方法。
[5] 前記植物体の根の少なくとも一部を前記処理用溶液に、1時間以上浸漬させる、前記[4]の抵抗性付与方法。
[6] 前記耐塩性付与剤が、根に付着することによって植物体に耐塩性を付与する微生物であり、
前記処理用溶液における前記微生物の濃度が103CFU/mL以上である、前記[4]又は[5]の抵抗性付与方法。
[7] 前記栽培用溶液が、さらに、0.5質量%以下の塩化マグネシウムを含有する、前記[1]〜[6]のいずれかの抵抗性付与方法。
[8] 前記耐塩性付与剤が、1種類又は2種類以上の微生物である、前記[1]〜[7]のいずれかの抵抗性付与方法。
[9] 前記植物体がナス科の植物である、前記[1]〜[8]のいずれかの抵抗性付与方法。
[10] 前記抵抗性が、ウイルス病抵抗性である、前記[1]〜[9]のいずれかの抵抗性付与方法。
[11] 前記抵抗性が、真菌病抵抗性である、前記[1]〜[9]のいずれかの抵抗性付与方法。
[1] 果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(20)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
(9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
(10)遊離チロシンの量が4mg以上である
(11)遊離ロイシンの量が4mg以上である
(12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
(13)遊離バリンの量が3.5mg以上である
(14)遊離グリシンの量が2mg以上である
(15)遊離プロリンの量が50mg以下である
(16)遊離スレオニンの量が10mg以上である
(17)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
(18)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
(19)遊離β−アラニンの量が2mg以上である
(20)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上である
[2] 前記(1)、(2)、(4)〜(6)、(8)、(13)、(14)及び(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たす、前記[1]のトマト。
[3] 前記(1)、(5)、(6)、(14)及び(16)から選ばれる1又は2つ以上を満たす、前記[2]のトマト。
[4] 前記(1)〜(6)から選ばれる1又は2つ以上を満たし、前記(1)〜(6)の果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の値である前記[1]のトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が100mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が10mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が10mg以上である
(5)遊離アラニンの量が10mg以上である
(6)遊離セリンの量が70mg以上である
[5] 前記(1)〜(2)から選ばれる1又は2つを満たす前記[4]のトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が100mg以上である
[6] 果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上である、前記[1]〜[5]のいずれかのトマト。
[7] 果実の可食部の水分含量が90質量%以下である、前記[1]〜[6]のいずれかのトマト。
[8] 果実の可食部における糖度(Brix)が8以上である、前記[1]〜[7]のいずれかのトマト。
[9] トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、
を有する、前記[1]〜[7]のいずれかのトマトの製造方法。
本発明に係る抵抗性付与方法により、植物体に対し、病害虫への抵抗性を付与することができる。
本発明に係るトマトの果実は、従来のトマトと比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有する。
本発明に係るトマトの製造方法により、従来のトマトの果実と比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有するトマトの果実を得ることができる。
本発明に係る植物体は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の50倍以上であることを特徴とする。
本発明に係る植物体は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載された品目に該当し、可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の55〜100倍上であることが好ましく、60〜90倍であることがより好ましく、70〜80倍であることがさらに好ましい。
本発明に係る植物体が果実である場合、果実の可食部の水分含量が90質量%以下であることが好ましく、80〜90質量%であることが好ましく、83〜89質量%であることがより好ましく、85〜88質量%であることがさらに好ましい。水分含量は、公知の方法により測定できる。例えば、市販の乾燥器を用いた加熱乾燥法により求めることができる。
本発明に係る前記果実の、前記ナトリウムの含有率、前記水分含量、及び前記糖度は、果実の可食部全体における量を測定して、求めることができる。
また、単子葉植物であってもよく、双子葉植物であってもよい。具体的には、イネ、トウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ヒエ、アワ等のイネ科の植物;トマト、ナス、パプリカ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科の植物;シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ、ナズナ、ダイコン、キャベツ、紫キャベツ、メキャベツ(プチヴェール)、ハクサイ、チンゲンサイ、ケール、クレソン、小松菜、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、ワサビ、マスタード等のアブラナ科の植物;キュウリ、ニガウリ、カボチャ、メロン、スイカ、等のウリ科の植物;ブドウ等のブドウ科の植物;レモン、オレンジ、ネーブルオレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ライム、スダチ、ユズ、シイクワシャー、タンカン等のミカン科の植物;リンゴ、サクラ、ウメ、モモ、ビワ、アンズ、プラム(スモモ)、プルーン、アーモンド、ナシ、洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、カシス、クランベリー、ブルーベリー等のバラ科の植物;ダイズ、インゲンマメ、エンドウマメ、ソラマメ、エダマメ、リョクトウ、ヒヨコマメ等のマメ科の植物;ハス(レンコン)等のハス科の植物;ゴマ等のゴマ科の植物;ホウレンソウ、ビート、テンサイ、キヌア、ヒユ、アマランサス、ケイトウ等のアカザ科の植物;ナツメヤシ、アブラヤシ、ココヤシ、アサイー等のヤシ科の植物;バナナ、バショウ、マニラアサ等のバショウ科の植物;ワタ、オクラ等のアオイ科の植物;ユーカリ等のフトモモ科の植物;フウチョウソウ、セイヨウフウチョウソウ等のフウチョウソウ科の植物等が挙げられる。
これらのなかでは、ナス科の植物が好ましく、トマト(Solanum lycopersicum)がより好ましい。
また、質量あたりのナトリウム含有量が高く、長期間にわたり良好な風味を維持可能であり、日持ち性に優れる。
本発明に係る植物体によれば、収穫した植物体を保存料で処理せずとも、優れた日持ち性が発揮される。
本発明に係る植物体の製造方法は、植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、を有する。耐塩性付与工程は、本来耐塩性の低い植物体に、耐塩性付与剤で処理することによって耐塩性を付与し、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上という非常に塩濃度の高い環境下で栽培可能とするための工程である。耐塩性が付与された植物体は、続く栽培工程によって、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培できる。
耐塩性付与工程および栽培工程を行うことにより、栽培用溶液に含まれる塩化ナトリウムに由来するナトリウムが植物体に移行し、ナトリウムが多く含有された本発明に係る植物体を製造することができる。
ただし、給排水量が少ない場合や給排水を行わない場合には、栽培用槽内によどみが生じてしまい、植物体自体に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、エアーポンプによるバブリング処理によって処理用溶液を適宜撹拌することが好ましい。
本発明に係る抵抗性付与方法は、植物体の根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記植物体を、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、を有する。耐塩性付与工程は、本来耐塩性の低い植物体に、耐塩性付与剤で処理することによって耐塩性を付与し、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上という非常に塩濃度の高い環境下で栽培可能とするための工程である。耐塩性が付与された植物体は、続く栽培工程によって、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培できる。
耐塩性付与工程および栽培工程を行うことにより、植物体に病害虫への抵抗性を付与することができる。
ただし、給排水量が少ない場合や給排水を行わない場合には、栽培用槽内によどみが生じてしまい、植物体自体に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、エアーポンプによるバブリング処理によって処理用溶液を適宜撹拌することが好ましい。
また、単子葉植物であってもよく、双子葉植物であってもよい。具体的には、イネ、トウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ヒエ、アワ等のイネ科の植物;トマト、ナス、パプリカ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ等のナス科の植物;シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ、ナズナ、ダイコン、キャベツ、紫キャベツ、メキャベツ(プチヴェール)、ハクサイ、チンゲンサイ、ケール、クレソン、小松菜、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、ワサビ、マスタード等のアブラナ科の植物;キュウリ、ニガウリ、カボチャ、メロン、スイカ、等のウリ科の植物;ブドウ等のブドウ科の植物;レモン、オレンジ、ネーブルオレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ライム、スダチ、ユズ、シイクワシャー、タンカン等のミカン科の植物;リンゴ、サクラ、ウメ、モモ、ビワ、アンズ、プラム(スモモ)、プルーン、アーモンド、ナシ、洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、カシス、クランベリー、ブルーベリー等のバラ科の植物;ダイズ、インゲンマメ、エンドウマメ、ソラマメ、エダマメ、リョクトウ、ヒヨコマメ等のマメ科の植物;ハス(レンコン)等のハス科の植物;ゴマ等のゴマ科の植物;ホウレンソウ、ビート、テンサイ、キヌア、ヒユ、アマランサス、ケイトウ等のアカザ科の植物;ナツメヤシ、アブラヤシ、ココヤシ、アサイー等のヤシ科の植物;バナナ、バショウ、マニラアサ等のバショウ科の植物;ワタ、オクラ等のアオイ科の植物;ユーカリ等のフトモモ科の植物;フウチョウソウ、セイヨウフウチョウソウ等のフウチョウソウ科の植物等が挙げられる。
これらのなかでは、ナス科の植物が好ましく、トマト(Solanum lycopersicum)がより好ましい。
これら病原体のなかでも、ウイルス又は真菌が病原となるウイルス病又は真菌病に対する、ウイルス病抵抗性又は真菌病抵抗性が付与されることが好ましい。ウイルス病又は真菌病は、有効な農薬に乏しく、防除が難しいものが多いが、本発明に係る抵抗性付与方法によれば、容易に植物体にウイルス病又は真菌病に対する抵抗性を付与することができる。
本発明に係るトマトは、果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(20)から選ばれる1又は2つ以上を満たすことを特徴とする。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
(9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
(10)遊離チロシンの量が4mg以上である
(11)遊離ロイシンの量が4mg以上である
(12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
(13)遊離バリンの量が3.5mg以上である
(14)遊離グリシンの量が2mg以上である
(15)遊離プロリンの量が50mg以下である
(16)遊離スレオニンの量が10mg以上である
(17)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
(18)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
(19)遊離β−アラニンの量が2mg以上である
(20)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上である
グルタミン酸は、うまみ成分であり、トマトの果実にうまみを与える。また、グルタミン酸は、興奮性の神経伝達物質であり、疲労回復に効果がある。
アスパラギン酸は、疲労回復に効果があり、即効性のエネルギー源でもある。
アルギニンは、免疫機能向上、血管拡張作用等の効果を有する。
イソロイシンは、必須アミノ酸であり、エネルギー源となる。また、イソロイシンは、血管拡張、成長促進、筋力強化、疲労回復等の効果を有する。
アラニンは、エネルギー源となり、免疫機能向上、肝臓の活性向上(アルコール分解)等の効果を有する。
セリンは、睡眠の質改善、脳機能補助等の効果を有する。
リジンは、必須アミノ酸であり、体組織修復作用を有し、不足すると成長障害を生じる。また、ウイルス抑制効果を有する。
ヒスチジンは、必須アミノ酸であり、白血球・赤血球形成作用を有する。また、ヒスチジンは、食欲抑制効果を有する。
フェニルアラニンは、必須アミノ酸であり、鎮痛作用、抗うつ作用、記憶力向上効果等を有する。
チロシンは、神経伝達物質等の前駆体であり、集中力向上等の効果を有する。
ロイシンは、必須アミノ酸であり、エネルギー源となる。また、ロイシンは、筋力強化、肝機能向上等の効果を有する。
メチオニンは、必須アミノ酸であり、アレルギー反応抑制効果、抑うつ効果、肝臓・腎臓機能改善効果等を有する。
バリンは、必須アミノ酸であり、エネルギー源となる。また、バリンは、成長促進、肝機能向上等の効果を有する。
グリシンは、睡眠の質向上等の効果を有する。
プロリンは、関節痛改善、美肌等の効果を有し、天然保湿成分でもある。
スレオニンは、必須アミノ酸であり、成長促進、肝機能改善等の効果を有する。
トリプトファンは、必須アミノ酸であり、セロトニン前駆体として精神安定作用を有する。また、トリプトファンは、鎮静作用、安眠効果等を有する。
ホスホセリンは、セリンの前駆体であり、セリンと同様に、睡眠の質改善、脳機能補助等の効果を有する。
β−アラニンは、疲労抑制、認知機能改善等の効果を有する。
γ−アミノ酪酸は、脳機能改善効果、血圧改善効果等を有する。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上、好ましくは300mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上である
(3)遊離イソロイシンの量が6mg以上である
(4)遊離アラニンの量が8mg以上である
(5)遊離セリンの量が15mg以上、好ましくは30mg以上である
(6)遊離ヒスチジンの量が7mg以上である
(7)遊離バリンの量が3.5mg以上、好ましくは4mg以上である
(8)遊離グリシンの量が2mg以上である
(9)遊離スレオニンの量が10mg以上である
(10)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上である
(11)遊離β−アラニンの量が2mg以上、好ましくは3mg以上である
(12)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上、好ましくは100mg以上、より好ましくは150mg以上である
上記(1)〜(12)から選ばれる5以上を満たすことが好ましく、10以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
また、アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、300mg以上であることが好ましく、400mg以上であることがより好ましい。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上、好ましくは300mg以上、より好ましくは500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上、好ましくは50mg以上、より好ましくは70mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上、好ましくは7mg以上、より好ましくは8mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上、好ましくは9mg以上、より好ましくは10mg以上、さらに好ましくは20mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上、好ましくは30mg以上、より好ましくは、さらに好ましくは40mg以上、特に好ましくは50mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上、より好ましくは10mg以上である
(9)遊離ロイシンの量が4mg以上である
(10)遊離バリンの量が3.5mg以上である
(11)遊離グリシンの量が2mg以上である
(12)遊離スレオニンの量が10mg以上、好ましくは15mg以上である
(13)遊離ホスホセリンの量が1.2mg以上、好ましくは1.5mg以上である
(14)遊離β−アラニンの量が2mg以上、好ましくは3mg以上、より好ましくは4mg以上である
(15)遊離γ−アミノ酪酸の量が80mg以上、好ましくは100mg以上、より好ましくは150mg以上である
上記(1)〜(15)から選ばれる5以上を満たすことが好ましく、10以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
また、アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、500mg以上であることが好ましく、600mg以上であることがより好ましく、800mg以上であることがさらに好ましく、900mg以上であることが特に好ましい。
(1)遊離グルタミン酸の量が200mg以上、好ましくは300mg以上、より好ましくは500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が40mg以上、好ましくは50mg以上、より好ましくは70mg以上、さらに好ましくは85mg以上、特に好ましくは100mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が6mg以上、好ましくは10mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が6mg以上、好ましくは7mg以上、より好ましくは8mg以上、さらに好ましくは10mg以上である
(5)遊離アラニンの量が8mg以上、好ましくは9mg以上、より好ましくは10mg以上である
(6)遊離セリンの量が15mg以上、好ましくは30mg以上、好ましくは、より好ましくは40mg以上、さらに好ましくは50mg以上、特に好ましくは70mg以上である
(7)遊離リジンの量が7mg以上、好ましくは10mg以上である
(8)遊離ヒスチジンの量が7mg以上、より好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上、特にに好ましくは20mg以上である
(9)遊離フェニルアラニンの量が12mg以上である
(10)遊離チロシンの量が4mg以上である
(11)遊離ロイシンの量が4mg以上、好ましくは6mg以上である
(12)遊離メチオニンの量が2mg以上である
(13)遊離バリンの量が3.5mg以上、好ましくは7mg以上である
(14)遊離グリシンの量が2mg以上、好ましくは3mg以上である
(15)遊離スレオニンの量が10mg以上、好ましくは15mg以上、より好ましくは23mg以上である
(16)遊離トリプトファンの量が2mg以上である
上記(1)〜(16)から選ばれる5以上を満たすことが好ましく、10以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
また、アスパラギン及びグルタミンを除く遊離の標準アミノ酸の総量は、500mg以上であることが好ましく、600mg以上であることがより好ましく、800mg以上であることがさらに好ましく、900mg以上であることが特に好ましい。
本発明に係る前記トマトの果実の、前記遊離アミノ酸量、前記ナトリウムの含有率、前記水分含量、及び前記糖度は、果実の可食部全体における量を測定して、求めることができる。
本発明に係るトマトの製造方法は、トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培する栽培工程と、を有する。耐塩性付与工程は、本来耐塩性の低い植物体に、耐塩性付与剤で処理することによって耐塩性を付与し、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上という非常に塩濃度の高い環境下で栽培可能とするための工程である。耐塩性が付与された植物体は、続く栽培工程によって、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で水耕栽培できる。
耐塩性付与工程および栽培工程を行うことにより、本発明に係るトマトを製造することができる。
ただし、給排水量が少ない場合や給排水を行わない場合には、栽培用槽内によどみが生じてしまい、植物体自体に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、エアーポンプによるバブリング処理によって処理用溶液を適宜撹拌することが好ましい。
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、更に数日間生育させた。
Plant, Cell and Environment, (2009) 32, 1682−1694に記載されている微生物を培養し、遠心分離することで微生物のペレットを得た。
上記の水耕栽培ベットの水槽の淡水を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)に交換し、水槽中の塩水に、上記で得たペレット状の微生物を緩衝液に再懸濁したものを添加して処理用溶液とし、植物の根と微生物が接触する時間を3時間以上設けることで耐塩化を行った。
次いで、水耕栽培ベットの水槽の前記処理用溶液を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)へと交換し、温室内で水耕栽培を行った。なお、実施例で使用した塩水は、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加したものを用いた。
上記で栽培した植物体に実った果実を収穫し、トマトの果実の可食部に含まれるナトリウムの質量%を計測した(実施例1A−1〜1A−3)。結果を表1に示す。
「塩トマト」の商品名で市販されているトマトの果実を入手し、トマトの果実の可食部に含まれるナトリウムの質量%を計測した(比較例1A−1〜1A−4)。結果を表1に示す。
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、温室内で水耕栽培を行った。なお、水耕栽培は、水耕栽培用の栄養素を含む水耕栽培用溶液を用いた。
実施例1Aと比較例2Aのトマトの果実を収穫後、室温で放置して、時間経過後の果実の傷み具合(腐敗の程度)を観察した。比較例2Aで得られたトマトの果実に比べて、実施例1Aで得られたトマトの果実のほうが、腐敗し難く日持ちに優れていた。
上記実施例1Aと同様の栽培方法でトマト(甘福)を水耕栽培し、植物体に実った果実を収穫した。収穫後、果実を室温で放置して、時間経過後の果実の傷み具合(腐敗の程度)を観察した(実施例2A−1、2A−2)。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%((実施例2A−1)又は海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)(実施例2A−2)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。結果を表2に示す。
上記比較例2Aと同様の方法でトマト(甘福)を水耕栽培し、植物体に実った果実を収穫した。収穫後、果実を室温で放置して、時間経過後の果実の傷み具合(腐敗の程度)を観察した(比較例3A−1)。結果を表2に示す。
一方、実施例2Aで得られたトマトの果実は、実施例2−1及び実施例2−2のいずれも、収穫後14日目で過熟状態となったが、収穫後20日目でも腐敗は始まらなかった。
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、更に数日間生育させた。
Plant, Cell and Environment, (2009) 32, 1682−1694に記載されている微生物を培養し、遠心分離することで微生物のペレットを得た。
上記の水耕栽培ベットの水槽の淡水を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)に交換し、水槽中の塩水に、上記で得たペレット状の微生物を緩衝液に再懸濁したものを添加して処理用溶液とし、植物の根と微生物が接触する時間を3時間以上設けることで耐塩化を行った。
次いで、水耕栽培ベットの水槽の前記処理用溶液を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)へと交換し、温室内で水耕栽培を行った。なお、実施例で使用した塩水又は海水は、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加したものを用いた。
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、温室内で水耕栽培を行った。なお、水耕栽培は、水耕栽培用の栄養素を含む水耕栽培用溶液を用いた。
比較例1Bで栽培されたトマトでは、生長点付近の葉が黄色くまだらになった個体がみられ、10株中5株で、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)への罹患が確認された。
一方、実施例1Bで栽培されたトマトでは、10株とも、黄化葉巻ウイルスへの罹患は確認されなかった。
上記実施例1Bと同様の栽培方法でトマト(甘福)の水耕栽培を行った。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。
上記実施例1Bと同様の栽培方法でトマト(甘福)の水耕栽培を行った。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、塩水(塩化ナトリウム濃度1.5質量%)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。
上記比較例1Bと同様の方法でトマト(甘福)の水耕栽培を行った。
一方、実施例3Bで栽培されたトマト(塩水栽培区)では、24株とも、うどんこ病への感染は確認されなかった。
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、更に数日間生育させた。
Plant, Cell and Environment, (2009) 32, 1682−1694に記載されている微生物を培養し、遠心分離することで微生物のペレットを得た。
上記の水耕栽培ベットの水槽の淡水を、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%)に交換し、水槽中の塩水又は海水に、上記で得たペレット状の微生物を緩衝液に再懸濁したものを添加して処理用溶液とし、植物の根と微生物が接触する時間を3時間以上設けることで耐塩化を行った。
次いで、水耕栽培ベットの水槽の前記処理用溶液を、海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)へと交換し、温室内で水耕栽培を行った。なお、実施例で使用した塩水又は海水は、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加したものを用いた。
上記実施例1Cと同様の栽培方法でトマト(甘福)を水耕栽培し、植物体に実った果実を収穫した。なお、水耕栽培用の栽培用溶液には、塩水(塩化ナトリウム濃度1質量%(実施例2C−1)若しくは塩化ナトリウム濃度2質量%(実施例2C−2))、又は海水(塩化ナトリウム濃度3質量%)(実施例2C−3)を用いた。栽培用溶液には、水耕栽培に必要な各種栄養素を添加した。
得られたトマトの果実の可食部に含まれる遊離アミノ酸の量及び糖度を計測した(実施例2C−1〜2C−3)。結果を表4及び表5に示す。
トマト(甘福)の種の表面を、次亜塩素酸にて滅菌した後、十分に水(淡水)を含ませたスポンジ上に播種した。発芽後、2週間生育させた苗に対して、環境に慣らすために徐々に湿度を下げて自然環境で1週間生育させた。この苗を水耕栽培ベットに定植し、温室内で水耕栽培を行った。なお、水耕栽培は、水耕栽培用の栄養素を含む水耕栽培用溶液を用いた。
上記で栽培した植物体に実った果実を収穫し、トマトの果実の可食部に含まれる遊離アミノ酸の量及び糖度を計測した(比較例1C−1)。結果を表4及び表5に示す。
本発明に係る抵抗性付与方法により、植物体に対し、病害虫への抵抗性を付与することができる。
本発明に係るトマトの果実は、従来のトマトと比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有する。
本発明に係るトマトの製造方法により、従来のトマトの果実と比べ遊離アミノ酸含有量が異なり、特有の風味を有するトマトの果実を得ることができる。
Claims (20)
- 可食部の単位質量あたりに含まれるナトリウムの質量が、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の記載に基づく値の50倍以上であるトマト。
- 果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上である、請求項1に記載のトマト。
- 果実の可食部の水分含量が90質量%以下である、請求項1又は2に記載のトマト。
- 果実の可食部における糖度(Brix)が8以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトマト。
- トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で、前記耐塩性付与処理の直後から、前記耐塩性付与処理後の栽培期間の全期間の2分の1〜全期間まで水耕栽培する栽培工程と、を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトマトの製造方法。 - トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で、前記耐塩性付与処理の直後から、前記耐塩性付与処理後の栽培期間の全期間の2分の1〜全期間まで水耕栽培する栽培工程と、
を有することによって前記トマトに病害虫への抵抗性を付与する、抵抗性付与方法。 - 前記耐塩性付与工程の前に、前記トマトの種子又は球根を、塩化ナトリウム濃度が1質量%未満である環境下で、発芽及び発根させる初期生育工程を有する、請求項6に記載の抵抗性付与方法。
- 前記初期生育工程において、種子又は球根の発芽及び発根を、塩化ナトリウム濃度が0.5質量%以下である環境下で行う、請求項7に記載の抵抗性付与方法。
- 前記耐塩性付与処理が、耐塩性付与剤を含有し、かつ塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である処理用溶液に、前記トマトの根の少なくとも一部を浸漬させる処理である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の抵抗性付与方法。
- 前記トマトの根の少なくとも一部を前記処理用溶液に、1時間以上浸漬させる、請求項9に記載の抵抗性付与方法。
- 前記耐塩性付与剤が、根に付着することによってトマトに耐塩性を付与する微生物であり、
前記処理用溶液における前記微生物の濃度が103CFU/mL以上である、請求項9又は10に記載の抵抗性付与方法。 - 前記栽培用溶液が、さらに、0.5質量%以下の塩化マグネシウムを含有する、請求項6〜11のいずれか一項に記載の抵抗性付与方法。
- 前記耐塩性付与剤が、1種類又は2種類以上の微生物である、請求項6〜12のいずれか一項に記載の抵抗性付与方法。
- 前記抵抗性が、ウイルス病抵抗性である、請求項6〜13のいずれか一項に記載の抵抗性付与方法。
- 前記抵抗性が、真菌病抵抗性である、請求項6〜13のいずれか一項に記載の抵抗性付与方法。
- 果実の可食部100gあたりに含まれる下記遊離アミノ酸の量が、以下の(1)〜(6)から選ばれる1又は2つ以上を満たすトマト。
(1)遊離グルタミン酸の量が500mg以上である
(2)遊離アスパラギン酸の量が100mg以上である
(3)遊離アルギニンの量が10mg以上である
(4)遊離イソロイシンの量が10mg以上である
(5)遊離アラニンの量が10mg以上である
(6)遊離セリンの量が70mg以上である - 果実の可食部に含まれるナトリウムが0.15質量%以上である、請求項16に記載のトマト。
- 果実の可食部の水分含量が90質量%以下である、請求項16又は17に記載のトマト。
- 果実の可食部における糖度(Brix)が8以上である、請求項16〜18のいずれか一項に記載のトマト。
- トマトの根の少なくとも一部に耐塩性付与剤を接触させる耐塩性付与処理を行う耐塩性付与工程と、
前記耐塩性付与工程により耐塩性が付与された前記トマトを、塩化ナトリウム濃度が1質量%以上である栽培用溶液で、前記耐塩性付与処理の直後から、前記耐塩性付与処理後の栽培期間の全期間の2分の1〜全期間まで水耕栽培する栽培工程と、
を有する、請求項16〜19のいずれか一項に記載のトマトの製造方法。
Applications Claiming Priority (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016192096 | 2016-09-29 | ||
JP2016191983 | 2016-09-29 | ||
JP2016191983 | 2016-09-29 | ||
JP2016191962 | 2016-09-29 | ||
JP2016192096 | 2016-09-29 | ||
JP2016191962 | 2016-09-29 | ||
PCT/JP2017/033726 WO2018061870A1 (ja) | 2016-09-29 | 2017-09-19 | 植物体、植物体の製造方法、抵抗性付与方法、トマト、及びトマトの製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019100427A Division JP2019162141A (ja) | 2016-09-29 | 2019-05-29 | 植物体、植物体の製造方法、抵抗性付与方法、トマト、及びトマトの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2018061870A1 JPWO2018061870A1 (ja) | 2018-09-27 |
JP6535421B2 true JP6535421B2 (ja) | 2019-06-26 |
Family
ID=61759673
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018532804A Active JP6535421B2 (ja) | 2016-09-29 | 2017-09-19 | トマト、トマトの製造方法及び抵抗性付与方法 |
JP2019100427A Pending JP2019162141A (ja) | 2016-09-29 | 2019-05-29 | 植物体、植物体の製造方法、抵抗性付与方法、トマト、及びトマトの製造方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019100427A Pending JP2019162141A (ja) | 2016-09-29 | 2019-05-29 | 植物体、植物体の製造方法、抵抗性付与方法、トマト、及びトマトの製造方法 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20190223401A1 (ja) |
EP (1) | EP3520604A4 (ja) |
JP (2) | JP6535421B2 (ja) |
CN (1) | CN109640633A (ja) |
AU (1) | AU2017334966A1 (ja) |
SG (2) | SG10201913533RA (ja) |
WO (1) | WO2018061870A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20200359577A1 (en) * | 2017-09-29 | 2020-11-19 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | Method for controlling serine content of solanaceous plant, solanaceous plant, and method for identifying solanaceous plant cultivation method |
CN113692960B (zh) * | 2020-05-21 | 2023-05-02 | 江苏省农业科学院 | 一种γ-氨基丁酸联合氯化钠胁迫高效富集西兰花芽苗中叶黄素的方法 |
CN116686599A (zh) * | 2023-07-28 | 2023-09-05 | 三亚中国农业科学院国家南繁研究院 | 一种野生稻耐盐鉴定田间装置 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10262457A (ja) * | 1997-03-27 | 1998-10-06 | Kubota Corp | 塩条件下における幼植物体の栽培方法 |
CN101828510A (zh) * | 2010-05-18 | 2010-09-15 | 新昌县来益生态农业发展有限公司 | 高营养物质含量的番茄水培方法 |
JP5794689B2 (ja) * | 2011-09-30 | 2015-10-14 | 公立大学法人福井県立大学 | 植物の生長促進及び耐塩性向上剤 |
KR102095850B1 (ko) * | 2011-11-02 | 2020-04-02 | 리즈크 즈완 자드틸트 엔 자드한델 비.브이. | 페피노 모자이크 바이러스 저항성 토마토 식물 |
JPWO2017135236A1 (ja) * | 2016-02-05 | 2018-11-29 | 積水化学工業株式会社 | 耐塩性苗の育成方法及び植物の水耕栽培方法 |
-
2017
- 2017-09-19 WO PCT/JP2017/033726 patent/WO2018061870A1/ja active Application Filing
- 2017-09-19 US US16/324,989 patent/US20190223401A1/en not_active Abandoned
- 2017-09-19 CN CN201780049570.1A patent/CN109640633A/zh active Pending
- 2017-09-19 EP EP17855825.0A patent/EP3520604A4/en not_active Withdrawn
- 2017-09-19 JP JP2018532804A patent/JP6535421B2/ja active Active
- 2017-09-19 SG SG10201913533RA patent/SG10201913533RA/en unknown
- 2017-09-19 SG SG11201901114TA patent/SG11201901114TA/en unknown
- 2017-09-19 AU AU2017334966A patent/AU2017334966A1/en not_active Abandoned
-
2019
- 2019-05-29 JP JP2019100427A patent/JP2019162141A/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP3520604A1 (en) | 2019-08-07 |
SG10201913533RA (en) | 2020-03-30 |
WO2018061870A1 (ja) | 2018-04-05 |
US20190223401A1 (en) | 2019-07-25 |
JPWO2018061870A1 (ja) | 2018-09-27 |
EP3520604A4 (en) | 2020-04-22 |
CN109640633A (zh) | 2019-04-16 |
SG11201901114TA (en) | 2019-04-29 |
JP2019162141A (ja) | 2019-09-26 |
AU2017334966A1 (en) | 2019-02-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6535421B2 (ja) | トマト、トマトの製造方法及び抵抗性付与方法 | |
CN105746329A (zh) | 花生芽的制备方法及装置 | |
CN104938286B (zh) | 一种梨杂交播种育苗方法 | |
JP6487304B2 (ja) | 水耕栽培方法、葉菜類の製造方法、培養液、及び培養液製造方法。 | |
CN106171985A (zh) | 一种生姜的液体浅层快繁方法 | |
CN106688801A (zh) | 一种多叶高产辣木苗木的培育栽培方法 | |
CN105431397B (zh) | 使用芽孢杆菌属细菌栽培作物的方法 | |
CN107311719A (zh) | 一种羊肚菌的大棚种植方法 | |
JP2005533118A (ja) | 環境安全性農業サプリメント | |
KR100665666B1 (ko) | 동해 심층수를 이용한 기능성 과채류 및 방울토마토 | |
CN107494226A (zh) | 营养豌豆苗及其温控生产工艺 | |
Mišković et al. | Effect of different rootstock type on quality and yield of tomato fruits | |
KR101179190B1 (ko) | 유황함유 온천수를 이용한 콩나물 재배방법 및 이를 이용하여 재배된 콩나물 | |
Villocino, Jr et al. | Effects of biochar on physicochemical and sensory quality of watermelon (Citrullus lanatus Thunb.) fruit from grafted and non-grafted plants | |
WO2019066067A1 (ja) | ナス科植物中のセリン含有量の制御方法、ナス科植物、及びナス科植物の栽培方法の判別方法 | |
JP4974213B2 (ja) | 植物活力剤 | |
KR101539009B1 (ko) | 생물반응기를 이용한 복주머니란의 유묘 형성 방법 | |
Bekusarova et al. | On the effect of PABA on germination | |
CN113439761B (zh) | 一种芽苗菜种植菌膏及应用 | |
CN114402984B (zh) | 一种澳洲坚果果树育苗方法 | |
JP7430960B2 (ja) | 植物の培土、培土を含む栽培セット、培土を用いた栽培方法、及び、培土付き植物の苗 | |
TWI714499B (zh) | 具經濟價值之塊菌接種至Castanea屬植物形成菌根苗的方法 | |
Okon et al. | Influence of furolan-treated seeds on sowing characteristics of winter wheat cultivars | |
TWI492705B (zh) | 可用於栽種植物之載體之製作方法 | |
CN107439190A (zh) | 一种富硅玉米的种植方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180620 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20180620 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20180713 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180828 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181029 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20181029 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190108 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190219 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190507 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190531 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6535421 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |