本発明は、車両に配索されるワイヤハーネスを収納して保護するハーネスプロテクタおよびワイヤハーネスの配索構造に関する。
従来から、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスは、他部材との干渉や周辺雰囲気からの保護が必要な箇所において、ハーネスプロテクタに収納されて保護された状態で、車両の適所に突設されたブラケット等の支持体に対して固定的に取り付けられて、保持されている。
ところで、ハーネスプロテクタがエンジン回りなど高温に晒される場所に取り付けられる際には、例えば、特開2017−4886号公報(特許文献1)に記載されているように、ハーネスプロテクタの壁部に発泡ウレタン材を別途被着して、断熱性の向上を図り、ハーネスプロテクタ内部に挿通配置されたワイヤハーネスへの伝熱を低減する対策が図られている。
ところが、ハーネスプロテクタの壁部に別途形成した発泡ウレタン材を被着する作業は煩雑であり、組み立て工数や部品点数の増加に伴いコストが高くなることが避けられなかった。
また、発熱体であるエンジンとハーネスプロテクタとの間にインシュレータ板を突設してエンジンからの電熱を妨げる対策もされるが、ハーネスプロテクタの装着性やスペース確保の観点から、インシュレータ板を十分な高さで突設できない場合もあり、ハーネスプロテクタが直接エンジンからの熱風に晒されることが回避できない場合もあった。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、別体の断熱材を必要とすることなく断熱性の向上を図ることができる、新規な構造のハーネスプロテクタを提供することにある。さらに、本発明は、かかるハーネスプロテクタが装着されたワイヤハーネスのインシュレータ板近傍への有利な配設構造を提供することもその目的とする。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第一の態様は、ワイヤハーネスが挿通配置されるプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の開口部を蓋覆する蓋体とを備え、前記プロテクタ本体の壁部の少なくとも一部が、外壁と該外壁から隙間を隔てて対向配置された内壁からなる二重壁部によって構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、プロテクタ本体の壁部の少なくとも一部が二重壁部とされていることから、エンジン等の発熱体側に配設される部位を二重壁部にすることで、二重壁部によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ内部のワイヤハーネスに伝達されることを低減乃至は阻止することができる。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記プロテクタ本体が、前記ワイヤハーネスの延出方向に沿って延びると共に、底壁と、該底壁の両側縁部から突出する一対の側壁を備える樋形状を有している一方、前記一対の側壁の一方が、前記底壁から突出する前記外壁と、該外壁よりも前記プロテクタ本体の幅方向内方に離隔した位置において前記底壁から突出する前記内壁を有する前記二重壁部を含んで構成されており、該二重壁部の上方開口部が前記蓋体によって蓋覆されているものである。
本態様によれば、長手状に延びるプロテクタ本体の一方の側壁が二重壁部を含んで構成されている。それゆえ、例えば、かかる二重壁部を発熱体側に配向してハーネスプロテクタを配設することにより、プロテクタ本体の内部に挿通されるワイヤハーネスへの伝熱を、二重壁部によって画成される空気層によって、安定して低減乃至は遮断することができる。しかも、二重壁部の上方開口部が蓋体によって蓋覆されていることから、外壁と内壁の間の空間が外部から区画され、かかる空間に熱風が流入することが阻止乃至は低減されている。それゆえ、二重壁部による断熱性を有利に維持することができる。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記二重壁部における前記外壁と内壁の間には、該外壁と該内壁の対向方向に延出して前記外壁と前記内壁を連結する連結リブが、前記底壁から突出して設けられているものである。
本態様によれば、二重壁部の外壁と内壁が、それらの対向方向に延出して底壁から突出する連結リブによって相互に連結されている。これにより、外壁と内壁の対向隙間を安定して維持することができ、プロテクタ本体を挿通するワイヤハーネスに押されて内壁が外壁側に変形して対向隙間が消失してしまう等の不具合を未然に防止することができる。その結果、二重壁部の空気層による断熱効果を安定して保持できる。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第四の態様は、前記第二または第三の態様に記載のものにおいて、前記プロテクタ本体における前記二重壁部の前記外壁が、前記プロテクタ本体の前記底壁よりも下方に延び出す下方延出部を有しているものである。
本態様によれば、プロテクタ本体における二重壁部の外壁が、プロテクタ本体の底壁よりも下方に延び出す下方延出部を有している。これにより、例えば、二重壁部を発熱体側に配向してハーネスプロテクタを配設した場合に、発熱体側の熱がプロテクタ本体の二重壁部による側壁から底壁側に回り込むことを、側壁に設けられた下方延出部により有利に阻止することができる。
ワイヤハーネスの配索構造に関する本発明の第一の態様は、ハーネスプロテクタが装着されたワイヤハーネスを、発熱体の近傍にインシュレータ板を隔てて配索する、ワイヤハーネスの配索構造であって、前記ハーネスプロテクタとして前記第一乃至第四の何れか一つの態様に記載のものを用い、前記ハーネスプロテクタの前記二重壁部を前記発熱体側に配向して該ハーネスプロテクタを配設すると共に、前記インシュレータ板の突出先端部よりも前記ハーネスプロテクタの下端部が下方に位置するように配設したことを特徴とする。
本態様によれば、本発明のハーネスプロテクタをワイヤハーネスに装着する一方、ハーネスプロテクタの二重壁部を発熱体側に配向してハーネスプロテクタを配設していることから、二重壁部によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ内部のワイヤハーネスに伝達されることを低減乃至は阻止することができる。
さらに、インシュレータ板の突出先端部よりもハーネスプロテクタの下端部が下方に位置するように配設したことから、ハーネスプロテクタを車両における所定の設置位置に設置固定した際に、発熱体側からの水平方向の投影において、インシュレータ板の突出先端部とハーネスプロテクタの下端部がオーバラップしている。これにより、発熱体から上昇する熱風がインシュレータ板の突出先端部に当接して、ハーネスプロテクタの底壁側に回り込むことが有利に低減乃至は阻止されている。その結果、例えば、ハーネスプロテクタの下端部(例えばプロテクタ本体の底壁)を二重壁部にしなくとも、インシュレータ板の突出先端部よりも下方に位置させることで、有利に熱対策を施すことができ、構造の簡素化やコストの削減を図ることができる。
なお、ハーネスプロテクタの下端部とは、ハーネスプロテクタを車両における所定の設置位置に設置固定した際に、鉛直方向で下方に位置している部分を言う。
本発明によれば、プロテクタ本体の壁部の少なくとも一部が二重壁部とされていることから、エンジン等の発熱体側に配設される部位を二重壁部にすることで、二重壁部によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ内部のワイヤハーネスに伝達されることを低減乃至は阻止することができる。
本発明の一実施形態としてのハーネスプロテクタを示す側面図。
図1におけるII−II断面の一部を示す拡大図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタのプロテクタ本体を示す平面図。
図3に示す本実施形態のハーネスプロテクタのプロテクタ本体を示す斜視図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタの蓋体を示す側面図。
図5に示す本実施形態のハーネスプロテクタの蓋体を示す底面図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタが車両のエンジン室内に設けられたインシュレータ板に取り付けられた状態を示す斜視図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタが車両のエンジン室内に設けられたインシュレータ板に取り付けられた状態を別の方向から見た時の斜視図。
図8に示す本実施形態のハーネスプロテクタが車両のエンジン室内に設けられたインシュレータ板に取り付けられた状態を示す平面図。
図9におけるX−X断面の一部を示す拡大図。
図9におけるXI−XI断面の一部を示す拡大図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜11には、本発明の一実施形態としてのハーネスプロテクタ10が、示されている。図1〜6に示されているように、ハーネスプロテクタ10は、図3〜4に示す樋状に延びるプロテクタ本体12と、プロテクタ本体12の上方開口部14を覆蓋する図5〜6に示す蓋体16を備えて構成されている。かかるハーネスプロテクタ10は、プロテクタ本体12内にワイヤハーネス18を挿通状態で収容して用いられる。以下の説明において、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方、また前方とは、図1中の左方、後方とは、図1中の右方を言うものとする。なお、理解を容易とするため、図3のみ、仮想線でワイヤハーネス18を記載している。
図3〜4に示されているように、プロテクタ本体12は、ワイヤハーネス18の延出方向(図3中、左右方向)に沿って延びる底壁20と底壁20の幅方向(図3中、上下方向)両側縁部から立ち上がる一対の側壁22a,22b、を含んで樋状に延びる構成とされている。すなわち、プロテクタ本体12は、ワイヤハーネス18の延出方向に沿って延びて延出方向に直交する幅方向で対向配置された一対の側壁22a,22bを有しているのである。かかるプロテクタ本体12は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。また、図4に示されているように、プロテクタ本体12は、全体として、プロテクタ本体12の長手方向(図4中、左右方向)両端部分が下方傾斜された下方傾斜部24a,24bとされている。
より詳細には、ワイヤハーネス18は、プロテクタ本体12の前端部側(図3中、左側)において2本の分岐線18a,18aに分岐されている。また、プロテクタ本体12の後端部側(図3中、右側)には、底壁20および一対の側壁22a,22bの内周の略全周に亘って突出する周状突起26a(本実施形態では4本)が設けられている。一方、プロテクタ本体12の前端部側(図3中、左側)の底壁20には、2本の分岐線18a,18aを分離するために上方に向かって略矩形断面形状で突出する離隔壁28が設けられており、離隔壁28と底壁20と側壁22aおよび離隔壁28と底壁20と側壁22bの内周の略全周に亘って突出する周状突起26a(本実施形態では2本)が設けられている。これにより、プロテクタ本体12の前端部および後端部から外方に向かって延び出す分岐線18a,18aおよびワイヤハーネス18をそれぞれ保護する図示しないコルゲートチューブを、プロテクタ本体12に対して固定可能となっている。しかも、プロテクタ本体12の一方の側壁22bの前端部側と後端部側の内面および離隔壁28の側壁22a側の外面において内方に向かって略矩形断面形状で突出する押えリブ30が設けられている。かかる押えリブ30に図示しないコルゲートチューブの端面が当接することにより、コルゲートチューブのプロテクタ本体12内への入り込み量が制限されるようになっている。加えて、プロテクタ本体12の前端部側および後端部側の底壁20には、板厚方向に貫通する略矩形断面形状の貫通孔32が形成されており、コルゲートチューブがプロテクタ本体12に対して所定の入り込み量で挿入されていることを、ハーネスプロテクタ10の組付け後であっても容易に確認できるようになっている。
また、図3,8に示されているように、プロテクタ本体12の一対の側壁22a,22bのうち、側壁22bの中央部よりも前方側(図3中、左側)の下端部の外面には、後述する車体側の支持体を構成するインシュレータ板78に突設された取付金具84bへ固定される平面視で略矩形平板状(図3参照)の1つの取付部36aが突設されている。側壁22bの延出方向における取付部36aの両側には、正面視で略三角形状(図8参照)で側壁22bの外面と取付部36aの両側を連結する連結部37が設けられている。また、側壁22bの後端部(図3中、右端部)の外面には、後述する車体側の支持体を構成するインシュレータ板78に突設された取付金具84aへ固定される略角筒状(図8参照)のもう1つの取付部36bが突設されている。かかる取付部36bには、図8に示されているように、手前側の壁部の上部が略矩形状に切り欠かれることにより、後述する係合突起92に係合する被係合部38が設けられている。
加えて、図3に示されているように、一対の側壁22a,22bのうち側壁22aが、底壁20から突出する外壁40aと、外壁40aよりもプロテクタ本体12の幅方向(図3中、上下方向)内方に離隔して位置において底壁20から突出する内壁40bを有する二重壁部40を含んで構成されている。すなわち、内壁40bは、外壁40aから隙間を隔てて対向配置されている。かかる二重壁部40は、プロテクタ本体12の後端部(図3中、右端部)から前端部(図3中、左端部)に至らないプロテクタ本体12の略全長に亘って設けられている。さらに、二重壁部40を構成する外壁40aと内壁40bの間には、外壁40aと内壁40bの対向方向に延出して外壁40aと内壁40bを連結する連結リブ42が、底壁20から略矩形平板状に突出して設けられている。これにより、外壁40aと内壁40bの対向隙間を安定して維持することができることから、プロテクタ本体12を挿通するワイヤハーネス18に押されて内壁40bが外壁40a側に変形して対向隙間が消失してしまう等の不具合を未然に防止できる。それゆえ、二重壁部40を構成する外壁40aと内壁40b間の空気層による断熱効果を安定して保持できる。加えて、図10に示されているように、プロテクタ本体12における二重壁部40の外壁40aには、プロテクタ本体12の底壁20よりも下方に延び出す略矩形平板状の下方延出部44が形成されている。一方、図8,11に示されているように、二重壁部40が設けられていないプロテクタ本体12の前端部の底壁20の下面46には、側壁22b側に開口する略矩形断面形状の凹部48が設けられており、かかる凹部48の外壁50とプロテクタ本体12の前端部の底壁20により二重壁部49が構成されている。これにより、インシュレータ板78による遮蔽の充分でないプロテクタ本体12の前端部の底壁20も、二重壁部49による断熱効果を得ることができる。なお、かかる外壁50と底壁20の間にもそれらの間を連結する略矩形平板状の連結リブ52が設けられている。
また、図3〜4に示されているように、プロテクタ本体12の側壁22a,22bの外面の上方には、外方に向かって突出する平面視で略角括弧形状の係合枠体54が設けられている。かかる係合枠体54が後述する蓋体16に設けられた係合片76と係合することにより、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16により覆蓋された状態が安定して保持されるようになっている。なお、図3に示されているように、本実施形態では、係合枠体54は、側壁22a,22bに対してそれぞれ7,8個設けられているが、長手方向に離隔して、必要に応じてそれぞれ任意の数を設けてもよい。
図5〜6に示されているように、蓋体16は、ワイヤハーネス18の延出方向(図5〜6中、左右方向)に沿って延びる天壁56と天壁56の幅方向(図6中、上下方向)両側縁部から下方(図5中、下方)に向かって突出する一対の側壁58a,58b、を含んで略樋状に延びる構成とされている。すなわち、蓋体16は、ワイヤハーネス18の延出方向に沿って延びて延出方向に直交する幅方向で対向配置された一対の側壁58a,58bを有しているのである。かかる蓋体16は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。
図7〜8に示されているように、蓋体16の長手方向の前端部側(図7の左側および図8の右側)および後端部側(図7の右側および図8の左側)には、側壁58aと側壁58bの間において側壁58aと側壁58bを含んで蓋体16の中央部の側壁58a,58bよりも下方に向かって大きな突出寸法で突設された略ブロック状の持ち手部60a,60bが形成されている。持ち手部60aには、略平行四辺形断面形状を有すると共に側壁58aの外面に開口し、図示しない作業者の手指を収容できる凹状持ち手部62aが設けられている。より詳細には、図5〜8に示されているように、かかる凹状持ち手部62aは、底壁64aと底壁64aから突出する周壁66aで囲われた幅方向(図5中、紙面に垂直な方向)に貫通しない非貫通形状とされている。また、凹状持ち手部62aの内周面を構成する周壁66aの内面の天壁56側には、幅方向(図5中、紙面に垂直な方向)の略全長に亘って延出すると共に内方に向かって略半円断面形状で突出する(図1参照)係止リブ68aが設けられている。かかる係止リブ68aは、図示しない作業者の親指を除く4本の指の間に配置されるように3本設けられていることから、作業者が安定して凹状持ち手部62aを把持できるようになっている。さらに、図8に示されているように、持ち手部60aの側壁58b側には、略矩形断面形状の肉抜き穴69aが、天壁56に沿って略全長に亘って設けられている。肉抜き穴69aは、側壁58bの外面に開口すると共に天壁56の延出方向に向かって略一定距離を隔てて離隔配置されている。かかる肉抜き穴69aによって肉抜き穴69a間に略格子状の補強リブ70aが形成されている。かかる補強リブ70aによって持ち手部60aの強度を維持しつつ、部材の削減が可能となっている。
一方、持ち手部60bには、略矩形断面形状を有すると共に側壁58aの外面および前方(図5中、右斜め下方)に開口し、図示しない作業者の手指を収容できる凹状持ち手部62bが設けられている。より詳細には、かかる凹状持ち手部62bは、底壁64b(図1〜2参照)と底壁64bから突出する周壁66bで3方が囲われた幅方向(図5中、紙面に垂直な方向)に貫通しない非貫通形状とされている。また、凹状持ち手部62bの内周面を構成する周壁66bの内面の天壁56側には、側壁58aへの開口縁部において長手方向の略全長に亘って延出する(図1参照)と共に内方に向かって略半円断面形状で突出する(図2参照)係止リブ68bが設けられている。かかる係止リブ68bは、凹状持ち手部62bに収容された図示しない作業者の親指を除く4本の指の先端部が係止リブ68bに係止することにより、作業者の手指が凹状持ち手部62bから抜け出ることを有利に阻止できる。さらに、図8に示されているように、持ち手部60bの側壁58b側には、略全面に亘って略矩形断面形状の肉抜き穴69bが側壁58bの外面に開口すると共に縦横方向に略一定距離を隔てて離隔配置されている。かかる肉抜き穴69bによって肉抜き穴69b間に略格子状の補強リブ70bが形成されている。かかる補強リブ70bによって持ち手部60bの強度を維持しつつ、部材の削減が可能となっている。
加えて、図6に示されているように、蓋体16の天壁56の下面71における後端部(図6中、右端部)および前端部(図6中、左端部)には、プロテクタ本体12に設けられた周状突起26a,26bに対応する位置に周状突起72a,72bが突設されている。かかる周状突起72a,72bと周状突起26a,26bにより、ワイヤハーネス18をそれぞれ保護する図示しないコルゲートチューブを、ハーネスプロテクタ10の後端部(図1中、右端部)および前端部(図1中、左端部)において固定可能となっている。また、図6に示されているように、蓋体16の天壁56の下面71における前端部(図6中、左端部)には、天壁56の下面71に開口すると共に略台形断面形状を有する肉抜き凹所73が形成されている。
また、図5〜8に示されているように、蓋体16の側壁58a,58bの外面の下端部には、下方に向かって突出する側面視で略矩形状の複数の係合片76が板厚方向に撓み変形可能に形成されている。かかる係合片76がプロテクタ本体12に設けられた係合枠体54と係合することにより、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16により覆蓋された状態が安定して保持されるようになっている。また、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16で覆蓋されることにより、二重壁部40の上方開口部も蓋体16によって覆蓋されるようになっている(図10参照)。なお、図6に示されているように、本実施形態では、係合片76は、側壁58a,58bに対してそれぞれ7,8個設けられているが、長手方向に離隔して、必要に応じてそれぞれ任意の数を設けてもよい。さらに、図10に示されているように、蓋体16の側壁58a,58bの下端部は、下方に向かって開口する略逆U字断面形状を有していることから、蓋体16の側壁58a,58bとプロテクタ本体12の側壁22a,22bの当接部分から水等がハーネスプロテクタ10の内部に侵入することが有利に防止されている。
以上の結果、図1に示すように、プロテクタ本体12の下方傾斜部24a,24bの上方開口部14を蓋覆する蓋体16の長手方向両端部分である後端部側と先端部側の側壁58aに対して、凹状持ち手部62a,62bがそれぞれ設けられているのである。また、取付部36a,36bが設けられたプロテクタ本体12の側壁22bに対して、ワイヤハーネス18を挟んで反対側に設けられた蓋体16の側壁58aには、凹状持ち手部62a,62bが設けられているのである。
次に、図7〜10を用いて、図示しないワイヤハーネスが内挿されたハーネスプロテクタ10を、図示しない発熱体であるエンジンの近傍に車体側の支持体を構成するインシュレータ板78を隔てて配索する、ワイヤハーネスの配索構造80について説明する。ここで、図示しない発熱体であるエンジンは、図7の手前側,図8の奥方側,図9の下方側や図10のインシュレータ板78の右側のエンジン室82内に配設されている。なお、理解を容易とするため、図10において、インシュレータ板78を仮想線で記載している。
より詳細には、本実施形態では、図7〜10に示されているように、ハーネスプロテクタ10は、図示しない発熱体であるエンジンの近傍にあってインシュレータ板78を隔てて配置されるように、2種類の金属製の取付金具84a,84bを用いてインシュレータ板78に取り付けられている。2種類の取付金具84a,84bはいずれも、例えば平板状の金属部材をプレス打ち抜き屈曲加工等を行うことにより形成されている。取付金具84aは、略矩形平板状の金属平板の基端側(図2中、左側)が奥方(図8中、紙面に垂直方向奥方)に向かって略クランク状に屈曲されて形成されている。取付金具84aの基端側の上端側には、略平板形状で上方に向かって突出する取付板部86aと、略平板形状で上方斜め前方(図8中、右斜め上方)に向かって突出する取付板部86b、が設けられている。かかる取付板部86aと取付板部86bは、例えば溶接等の公知の技術を用いて取付金具84aの基端側の上端側に取り付けられている。そして、図示しないボルトを用いて、取付金具84aの取付板部86bの先端部に設けられた略円形断面形状を有する貫通孔88を挿通してインシュレータ板78に設けられたねじ穴90a(図7参照)に螺合することにより、取付板部86aをインシュレータ板78に対してボルト締結できるようになっている。また、取付金具84aの取付板部86aの先端部には外方(図8中、紙面に垂直方向手前側)に向かって係合突起92が突設されている。かかる取付板部86aの先端部を、プロテクタ本体12の一対の側壁22a,22bの一方の側壁22bに突設された取付部36aに嵌合することにより、本実施形態のハーネスプロテクタ10が取付金具84aを介して車体側の支持体を構成するインシュレータ板78へ固定されるようになっている。
一方、取付金具84bは、略矩形平板状の金属平板の上端部が奥方(図8中、紙面に垂直方向奥方)に向かって略L字状に屈曲されて形成されている。取付金具84bの上下方向の中央部には。略平板形状で奥方に向かって延出すると共に先端部94が下方に向かって屈曲形成された取付板部96、が設けられている。かかる取付板部96は、例えば溶接等の公知の技術を用いて取付金具84bの中央部に取り付けられている。そして、図示しないボルトを用いて、取付金具84bの取付板部96の先端部94に設けられた図示しない貫通孔を挿通してインシュレータ板78に設けられたねじ穴90b(図8参照)に螺合することにより、取付板部96をインシュレータ板78に対してボルト締結できるようになっている。また、取付金具84bの上端部には上方に向かって突出するスタッドボルト98が設けられている。かかるスタッドボルト98を、プロテクタ本体12の一対の側壁22a,22bの一方の側壁22bに突設されている取付部36aに嵌合することにより、本実施形態のハーネスプロテクタ10が取付金具84aに加えて取付金具84bを介して車体側の支持体を構成するインシュレータ板78へ固定されるようになっている。
以上の結果、図10に示されているように、本実施形態のハーネスプロテクタ10の二重壁部40が発熱体であるエンジンが配設されたエンジン室82側に配向するように、ハーネスプロテクタ10が配設されている。しかも、インシュレータ板78の突出先端部100よりもハーネスプロテクタ10の下端部を構成する下方延出部44が下方に位置するように配設されている。
このような構造とされた本実施形態のハーネスプロテクタ10によれば、長手状に延びるプロテクタ本体12の一方の側壁22aが二重壁部40を含んで構成されている。それゆえ、例えば図7〜10に示す本実施形態のワイヤハーネスの配索構造80のように、かかる二重壁部40を発熱体である図示しないエンジンが配設されているエンジン室82側に配向するようにハーネスプロテクタ10を配設する(図10参照)ことにより、二重壁部40によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ10に内挿されるワイヤハーネス18に伝達されることを低減乃至は阻止することができる。しかも、二重壁部40の上方開口部が蓋体16によって蓋覆されていることから、外壁40aと内壁40b間の空間が外部から区画され遮断され、かかる空間に熱風が流入することが阻止乃至は低減されている。それゆえ、二重壁部40によってハーネスプロテクタ10に内の断熱性を有利に維持することができる。
加えて、図10に示されているように、インシュレータ板78の突出先端部100よりもハーネスプロテクタ10の下端部に相当するプロテクタ本体12の下方延出部44および底壁20が下方に位置するように配設されている。これにより、ハーネスプロテクタ10を車両の所定の設置位置に設置固定した際に、発熱体側からの水平方向(図10中、左右方向)の投影において、インシュレータ板78の突出先端部100とハーネスプロテクタ10の下端部である下方延出部44および底壁20がオーバラップしている。これにより、発熱体から上昇する熱風がインシュレータ板78の突出先端部100を超えて、ハーネスプロテクタ10の底壁20側に回り込むことが有利に低減乃至は阻止されている。それゆえ、例えば、ハーネスプロテクタ10の下端部である底壁20を二重壁部構造にしなくとも、インシュレータ板78の突出先端部100よりも下方に位置させるだけで、有利に熱対策を施すことができ、構造の簡素化やコストの削減を図ることができるのである。しかも、本実施形態によれば、ハーネスプロテクタ10の底壁20において、二重壁部40の外壁40aが底壁20よりも下方に延び出す下方延出部44を有していることから、発熱体から上昇する熱風がインシュレータ板78の突出先端部100を超えてハーネスプロテクタ10の底壁20側に回り込むことが、一層有利に阻止することができるようになっている。
以上、本発明の複数の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、上記実施形態では、二重壁部40は、プロテクタ本体12の後端部から前端部に至らないプロテクタ本体12の側壁22aの略全長に亘って設けられ、二重壁部49はプロテクタ本体12の前端部の底壁20に設けられていた。しかしながら、二重壁部は必要に応じて任意の場所に設ければよく、側壁22aの一部に設けられていてもよいし、側壁22bに設けられていてもよい。さらに、両側壁22a,22bに設けられていてもよいし、底壁20の他の一部または全長に亘って設けられていてもよい。また、上記実施形態では、二重壁部40,49に連結リブ42,52が設けられる一方、プロテクタ本体12における二重壁部40の外壁40aには底壁20よりも下方に延び出す下方延出部44が形成されていたが、必要に応じて任意の場所に設定すればよく、設けない場合があってもよい。
10:ハーネスプロテクタ、12:プロテクタ本体、14:上方開口部(開口部)、16:蓋体、18:ワイヤハーネス、20:底壁、22a,b:側壁(壁部)、24a,b:下方傾斜部、40:二重壁部、40a:外壁、40b:内壁、42:連結リブ、44:下方延出部、49:二重壁部、78:インシュレータ板、80:ワイヤハーネスの配索構造、100:突出先端部
本発明は、車両に配索されるワイヤハーネスを収納して保護するハーネスプロテクタおよびワイヤハーネスの配索構造に関する。
従来から、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスは、他部材との干渉や周辺雰囲気からの保護が必要な箇所において、ハーネスプロテクタに収納されて保護された状態で、車両の適所に突設されたブラケット等の支持体に対して固定的に取り付けられて、保持されている。
ところで、ハーネスプロテクタがエンジン回りなど高温に晒される場所に取り付けられる際には、例えば、特開2017−4886号公報(特許文献1)に記載されているように、ハーネスプロテクタの壁部に発泡ウレタン材を別途被着して、断熱性の向上を図り、ハーネスプロテクタ内部に挿通配置されたワイヤハーネスへの伝熱を低減する対策が図られている。
ところが、ハーネスプロテクタの壁部に別途形成した発泡ウレタン材を被着する作業は煩雑であり、組み立て工数や部品点数の増加に伴いコストが高くなることが避けられなかった。
また、発熱体であるエンジンとハーネスプロテクタとの間にインシュレータ板を突設してエンジンからの伝熱を妨げる対策もされるが、ハーネスプロテクタの装着性やスペース確保の観点から、インシュレータ板を十分な高さで突設できない場合もあり、ハーネスプロテクタが直接エンジンからの熱風に晒されることが回避できない場合もあった。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、別体の断熱材を必要とすることなく断熱性の向上を図ることができる、新規な構造のハーネスプロテクタを提供することにある。さらに、本発明は、かかるハーネスプロテクタが装着されたワイヤハーネスのインシュレータ板近傍への有利な配設構造を提供することもその目的とする。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第一の態様は、ワイヤハーネスが挿通配置されるプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の開口部を蓋覆する蓋体とを備え、前記プロテクタ本体の壁部の少なくとも一部が、外壁と該外壁から隙間を隔てて対向配置された内壁からなる二重壁部によって構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、プロテクタ本体の壁部の少なくとも一部が二重壁部とされていることから、エンジン等の発熱体側に配設される部位を二重壁部にすることで、二重壁部によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ内部のワイヤハーネスに伝達されることを低減乃至は阻止することができる。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記プロテクタ本体が、前記ワイヤハーネスの延出方向に沿って延びると共に、底壁と、該底壁の両側縁部から突出する一対の側壁を備える樋形状を有している一方、前記一対の側壁の一方が、前記底壁から突出する前記外壁と、該外壁よりも前記プロテクタ本体の幅方向内方に離隔した位置において前記底壁から突出する前記内壁を有する前記二重壁部を含んで構成されており、該二重壁部の上方開口部が前記蓋体によって蓋覆されているものである。
本態様によれば、長手状に延びるプロテクタ本体の一方の側壁が二重壁部を含んで構成されている。それゆえ、例えば、かかる二重壁部を発熱体側に配向してハーネスプロテクタを配設することにより、プロテクタ本体の内部に挿通されるワイヤハーネスへの伝熱を、二重壁部によって画成される空気層によって、安定して低減乃至は遮断することができる。しかも、二重壁部の上方開口部が蓋体によって蓋覆されていることから、外壁と内壁の間の空間が外部から区画され、かかる空間に熱風が流入することが阻止乃至は低減されている。それゆえ、二重壁部による断熱性を有利に維持することができる。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記二重壁部における前記外壁と前記内壁の間には、該外壁と該内壁の対向方向に延出して前記外壁と前記内壁を連結する連結リブが、前記底壁から突出して設けられているものである。
本態様によれば、二重壁部の外壁と内壁が、それらの対向方向に延出して底壁から突出する連結リブによって相互に連結されている。これにより、外壁と内壁の対向隙間を安定して維持することができ、プロテクタ本体を挿通するワイヤハーネスに押されて内壁が外壁側に変形して対向隙間が消失してしまう等の不具合を未然に防止することができる。その結果、二重壁部の空気層による断熱効果を安定して保持できる。
ハーネスプロテクタに関する本発明の第四の態様は、前記第二または第三の態様に記載のものにおいて、前記プロテクタ本体における前記二重壁部の前記外壁が、前記プロテクタ本体の前記底壁よりも下方に延び出す下方延出部を有しているものである。
本態様によれば、プロテクタ本体における二重壁部の外壁が、プロテクタ本体の底壁よりも下方に延び出す下方延出部を有している。これにより、例えば、二重壁部を発熱体側に配向してハーネスプロテクタを配設した場合に、発熱体側の熱がプロテクタ本体の二重壁部による側壁から底壁側に回り込むことを、側壁に設けられた下方延出部により有利に阻止することができる。
ワイヤハーネスの配索構造に関する本発明の第一の態様は、ハーネスプロテクタが装着されたワイヤハーネスを、発熱体の近傍にインシュレータ板を隔てて配索する、ワイヤハーネスの配索構造であって、前記ハーネスプロテクタとして前記第一乃至第四の何れか一つの態様に記載のものを用い、前記ハーネスプロテクタの前記二重壁部を前記発熱体側に配向して該ハーネスプロテクタを配設すると共に、前記インシュレータ板の突出先端部よりも前記ハーネスプロテクタの下端部が下方に位置するように配設したことを特徴とする。
本態様によれば、本発明のハーネスプロテクタをワイヤハーネスに装着する一方、ハーネスプロテクタの二重壁部を発熱体側に配向してハーネスプロテクタを配設していることから、二重壁部によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ内部のワイヤハーネスに伝達されることを低減乃至は阻止することができる。
さらに、インシュレータ板の突出先端部よりもハーネスプロテクタの下端部が下方に位置するように配設したことから、ハーネスプロテクタを車両における所定の設置位置に設置固定した際に、発熱体側からの水平方向の投影において、インシュレータ板の突出先端部とハーネスプロテクタの下端部がオーバラップしている。これにより、発熱体から上昇する熱風がインシュレータ板の突出先端部に当接して、ハーネスプロテクタの底壁側に回り込むことが有利に低減乃至は阻止されている。その結果、例えば、ハーネスプロテクタの下端部(例えばプロテクタ本体の底壁)を二重壁部にしなくとも、インシュレータ板の突出先端部よりも下方に位置させることで、有利に熱対策を施すことができ、構造の簡素化やコストの削減を図ることができる。
なお、ハーネスプロテクタの下端部とは、ハーネスプロテクタを車両における所定の設置位置に設置固定した際に、鉛直方向で下方に位置している部分を言う。
本発明によれば、プロテクタ本体の壁部の少なくとも一部が二重壁部とされていることから、エンジン等の発熱体側に配設される部位を二重壁部にすることで、二重壁部によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ内部のワイヤハーネスに伝達されることを低減乃至は阻止することができる。
本発明の一実施形態としてのハーネスプロテクタを示す側面図。
図1におけるII−II断面の一部を示す拡大図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタのプロテクタ本体を示す平面図。
図3に示す本実施形態のハーネスプロテクタのプロテクタ本体を示す斜視図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタの蓋体を示す側面図。
図5に示す本実施形態のハーネスプロテクタの蓋体を示す底面図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタが車両のエンジン室内に設けられたインシュレータ板に取り付けられた状態を示す斜視図。
図1に示す本実施形態のハーネスプロテクタが車両のエンジン室内に設けられたインシュレータ板に取り付けられた状態を別の方向から見た時の斜視図。
図8に示す本実施形態のハーネスプロテクタが車両のエンジン室内に設けられたインシュレータ板に取り付けられた状態を示す平面図。
図9におけるX−X断面の一部を示す拡大図。
図9におけるXI−XI断面の一部を示す拡大図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜11には、本発明の一実施形態としてのハーネスプロテクタ10が、示されている。図1〜6に示されているように、ハーネスプロテクタ10は、図3〜4に示す樋状に延びるプロテクタ本体12と、プロテクタ本体12の上方開口部14を覆蓋する図5〜6に示す蓋体16を備えて構成されている。かかるハーネスプロテクタ10は、プロテクタ本体12内にワイヤハーネス18を挿通状態で収容して用いられる。以下の説明において、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方、また前方とは、図1中の左方、後方とは、図1中の右方を言うものとする。なお、理解を容易とするため、図3のみ、仮想線でワイヤハーネス18を記載している。
図3〜4に示されているように、プロテクタ本体12は、ワイヤハーネス18の延出方向(図3中、左右方向)に沿って延びる底壁20と底壁20の幅方向(図3中、上下方向)両側縁部から立ち上がる壁部としての一対の側壁22a,22bを含んで樋状に延びる構成とされている。すなわち、プロテクタ本体12は、ワイヤハーネス18の延出方向に沿って延びて延出方向に直交する幅方向で対向配置された一対の側壁22a,22bを有しているのである。かかるプロテクタ本体12は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。また、図4に示されているように、プロテクタ本体12は、全体として、プロテクタ本体12の長手方向(図4中、左右方向)両端部分が下方傾斜された下方傾斜部24a,24bとされている。
より詳細には、ワイヤハーネス18は、プロテクタ本体12の前端部側(図3中、左側)において2本の分岐線18a,18aに分岐されている。また、プロテクタ本体12の後端部側(図3中、右側)には、底壁20および一対の側壁22a,22bの内周の略全周に亘って突出する周状突起26a(本実施形態では4本)が設けられている。一方、プロテクタ本体12の前端部側(図3中、左側)の底壁20には、2本の分岐線18a,18aを分離するために上方に向かって略矩形断面形状で突出する離隔壁28が設けられており、離隔壁28と底壁20と側壁22aおよび離隔壁28と底壁20と側壁22bの内周の略全周に亘って突出する周状突起26b(本実施形態では2本)が設けられている。これにより、プロテクタ本体12の前端部および後端部から外方に向かって延び出す分岐線18a,18aおよびワイヤハーネス18をそれぞれ保護する図示しないコルゲートチューブを、プロテクタ本体12に対して固定可能となっている。しかも、プロテクタ本体12の一方の側壁22bの前端部側と後端部側の内面および離隔壁28の側壁22a側の外面において内方に向かって略矩形断面形状で突出する押えリブ30が設けられている。かかる押えリブ30に図示しないコルゲートチューブの端面が当接することにより、コルゲートチューブのプロテクタ本体12内への入り込み量が制限されるようになっている。加えて、プロテクタ本体12の前端部側および後端部側の底壁20には、板厚方向に貫通する略矩形断面形状の貫通孔32が形成されており、コルゲートチューブがプロテクタ本体12に対して所定の入り込み量で挿入されていることを、ハーネスプロテクタ10の組付け後であっても容易に確認できるようになっている。
また、図3,8に示されているように、プロテクタ本体12の一対の側壁22a,22bのうち、側壁22bの中央部よりも前方側(図3中、左側)の下端部の外面には、後述する車体側の支持体を構成するインシュレータ板78に突設された取付金具84bへ固定される平面視で略矩形平板状(図3参照)の1つの取付部36aが突設されている。側壁22bの延出方向における取付部36aの両側には、正面視で略三角形状(図8参照)で側壁22bの外面と取付部36aの両側を連結する連結部37が設けられている。また、側壁22bの後端部(図3中、右端部)の外面には、後述する車体側の支持体を構成するインシュレータ板78に突設された取付金具84aへ固定される略角筒状(図8参照)のもう1つの取付部36bが突設されている。かかる取付部36bには、図8に示されているように、手前側の壁部の上部が略矩形状に切り欠かれることにより、後述する係合突起92に係合する被係合部38が設けられている。
加えて、図3に示されているように、一対の側壁22a,22bのうち側壁22aが、底壁20から突出する外壁40aと、外壁40aよりもプロテクタ本体12の幅方向(図3中、上下方向)内方に離隔して位置において底壁20から突出する内壁40bを有する二重壁部40を含んで構成されている。すなわち、内壁40bは、外壁40aから隙間を隔てて対向配置されている。かかる二重壁部40は、プロテクタ本体12の後端部(図3中、右端部)から前端部(図3中、左端部)に至らないプロテクタ本体12の略全長に亘って設けられている。さらに、二重壁部40を構成する外壁40aと内壁40bの間には、外壁40aと内壁40bの対向方向に延出して外壁40aと内壁40bを連結する連結リブ42が、底壁20から略矩形平板状に突出して設けられている。これにより、外壁40aと内壁40bの対向隙間を安定して維持することができることから、プロテクタ本体12を挿通するワイヤハーネス18に押されて内壁40bが外壁40a側に変形して対向隙間が消失してしまう等の不具合を未然に防止できる。それゆえ、二重壁部40を構成する外壁40aと内壁40b間の空気層による断熱効果を安定して保持できる。加えて、図10に示されているように、プロテクタ本体12における二重壁部40の外壁40aには、プロテクタ本体12の底壁20よりも下方に延び出す略矩形平板状の下方延出部44が形成されている。一方、図8,11に示されているように、二重壁部40が設けられていないプロテクタ本体12の前端部の底壁20の下面46には、側壁22b側に開口する略矩形断面形状の凹部48が設けられており、かかる凹部48の外壁50とプロテクタ本体12の前端部の底壁20により二重壁部49が構成されている。これにより、インシュレータ板78による遮蔽の充分でないプロテクタ本体12の前端部の底壁20も、二重壁部49による断熱効果を得ることができる。なお、かかる外壁50と底壁20の間にもそれらの間を連結する略矩形平板状の連結リブ52が設けられている。
また、図3〜4に示されているように、プロテクタ本体12の側壁22a,22bの外面の上方には、外方に向かって突出する平面視で略角括弧形状の係合枠体54が設けられている。かかる係合枠体54が後述する蓋体16に設けられた係合片76と係合することにより、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16により覆蓋された状態が安定して保持されるようになっている。なお、図3に示されているように、本実施形態では、係合枠体54は、側壁22a,22bに対してそれぞれ7,8個設けられているが、長手方向に離隔して、必要に応じてそれぞれ任意の数を設けてもよい。
図5〜6に示されているように、蓋体16は、ワイヤハーネス18の延出方向(図5〜6中、左右方向)に沿って延びる天壁56と天壁56の幅方向(図6中、上下方向)両側縁部から下方(図5中、下方)に向かって突出する一対の側壁58a,58bを含んで略樋状に延びる構成とされている。すなわち、蓋体16は、ワイヤハーネス18の延出方向に沿って延びて延出方向に直交する幅方向で対向配置された一対の側壁58a,58bを有しているのである。かかる蓋体16は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。
図7〜8に示されているように、蓋体16の長手方向の前端部側(図7の左側および図8の右側)および後端部側(図7の右側および図8の左側)には、側壁58aと側壁58bの間において側壁58aと側壁58bを含んで蓋体16の中央部の側壁58a,58bよりも下方に向かって大きな突出寸法で突設された略ブロック状の持ち手部60a,60bが形成されている。持ち手部60aには、略平行四辺形断面形状を有すると共に側壁58aの外面に開口し、図示しない作業者の手指を収容できる凹状持ち手部62aが設けられている。より詳細には、図5,7に示されているように、かかる凹状持ち手部62aは、底壁64aと底壁64aから突出する周壁66aで囲われた幅方向(図5中、紙面に垂直な方向)に貫通しない非貫通形状とされている。また、凹状持ち手部62aの内周面を構成する周壁66aの内面の天壁56側には、幅方向(図5中、紙面に垂直な方向)の略全長に亘って延出すると共に内方に向かって略半円断面形状で突出する(図1参照)係止リブ68aが設けられている。かかる係止リブ68aは、図示しない作業者の親指を除く4本の指の間に配置されるように3本設けられていることから、作業者が安定して凹状持ち手部62aを把持できるようになっている。さらに、図8に示されているように、持ち手部60aの側壁58b側には、略矩形断面形状の肉抜き穴69aが、天壁56に沿って略全長に亘って設けられている。肉抜き穴69aは、側壁58bの外面に開口すると共に天壁56の延出方向に向かって略一定距離を隔てて離隔配置されている。かかる肉抜き穴69aによって肉抜き穴69a間に略格子状の補強リブ70aが形成されている。かかる補強リブ70aによって持ち手部60aの強度を維持しつつ、部材の削減が可能となっている。
一方、持ち手部60bには、略矩形断面形状を有すると共に側壁58aの外面および後方(図5中、右斜め下方)に開口し、図示しない作業者の手指を収容できる凹状持ち手部62bが設けられている。より詳細には、かかる凹状持ち手部62bは、底壁64b(図1〜2参照)と底壁64bから突出する周壁66bで3方が囲われた幅方向(図5中、紙面に垂直な方向)に貫通しない非貫通形状とされている。また、凹状持ち手部62bの内周面を構成する周壁66bの内面の天壁56側には、側壁58aへの開口縁部において長手方向の略全長に亘って延出する(図1参照)と共に内方に向かって略半円断面形状で突出する(図2参照)係止リブ68bが設けられている。かかる係止リブ68bは、凹状持ち手部62bに収容された図示しない作業者の親指を除く4本の指の先端部が係止リブ68bに係止することにより、作業者の手指が凹状持ち手部62bから抜け出ることを有利に阻止できる。さらに、図8に示されているように、持ち手部60bの側壁58b側には、略全面に亘って略矩形断面形状の肉抜き穴69bが側壁58bの外面に開口すると共に縦横方向に略一定距離を隔てて離隔配置されている。かかる肉抜き穴69bによって肉抜き穴69b間に略格子状の補強リブ70bが形成されている。かかる補強リブ70bによって持ち手部60bの強度を維持しつつ、部材の削減が可能となっている。
加えて、図6に示されているように、蓋体16の天壁56の下面71における後端部(図6中、右端部)および前端部(図6中、左端部)には、プロテクタ本体12に設けられた周状突起26a,26bに対応する位置に周状突起72a,72bが突設されている。かかる周状突起72a,72bと周状突起26a,26bにより、ワイヤハーネス18をそれぞれ保護する図示しないコルゲートチューブを、ハーネスプロテクタ10の後端部(図1中、右端部)および前端部(図1中、左端部)において固定可能となっている。また、図6に示されているように、蓋体16の天壁56の下面71における前端部(図6中、左端部)には、天壁56の下面71に開口すると共に略台形断面形状を有する肉抜き凹所73が形成されている。
また、図5〜8に示されているように、蓋体16の側壁58a,58bの外面の下端部には、下方に向かって突出する側面視で略矩形状の複数の係合片76が板厚方向に撓み変形可能に形成されている。かかる係合片76がプロテクタ本体12に設けられた係合枠体54と係合することにより、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16により覆蓋された状態が安定して保持されるようになっている。また、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16で覆蓋されることにより、二重壁部40の上方開口部も蓋体16によって覆蓋されるようになっている(図10参照)。なお、図6に示されているように、本実施形態では、係合片76は、側壁58a,58bに対してそれぞれ7,8個設けられているが、長手方向に離隔して、必要に応じてそれぞれ任意の数を設けてもよい。さらに、図10に示されているように、蓋体16の側壁58a,58bの下端部は、下方に向かって開口する略逆U字断面形状を有していることから、蓋体16の側壁58a,58bとプロテクタ本体12の側壁22a,22bの当接部分から水等がハーネスプロテクタ10の内部に侵入することが有利に防止されている。
以上の結果、図1に示すように、プロテクタ本体12の下方傾斜部24a,24bの上方開口部14を蓋覆する蓋体16の長手方向両端部分である前端部側と後端部側の側壁58aに対して、凹状持ち手部62a,62bがそれぞれ設けられているのである。また、取付部36a,36bが設けられたプロテクタ本体12の側壁22bに対して、ワイヤハーネス18を挟んで反対側に設けられた蓋体16の側壁58aには、凹状持ち手部62a,62bが設けられているのである。
次に、図7〜10を用いて、図示しないワイヤハーネスが内挿されたハーネスプロテクタ10を、図示しない発熱体であるエンジンの近傍に車体側の支持体を構成するインシュレータ板78を隔てて配索する、ワイヤハーネスの配索構造80について説明する。ここで、図示しない発熱体であるエンジンは、図7の手前側,図8の奥方側,図9の下方側や図10のインシュレータ板78の右側のエンジン室82内に配設されている。なお、理解を容易とするため、図10において、インシュレータ板78を仮想線で記載している。
より詳細には、本実施形態では、図7〜10に示されているように、ハーネスプロテクタ10は、図示しない発熱体であるエンジンの近傍にあってインシュレータ板78を隔てて配置されるように、2種類の金属製の取付金具84a,84bを用いてインシュレータ板78に取り付けられている。2種類の取付金具84a,84bはいずれも、例えば平板状の金属部材をプレス打ち抜き屈曲加工等を行うことにより形成されている。取付金具84aは、略矩形平板状の金属平板の基端側(図2中、左側)が奥方(図8中、紙面に垂直方向奥方)に向かって略クランク状に屈曲されて形成されている。取付金具84aの基端側の上端側には、略平板形状で上方に向かって突出する取付板部86aと、略平板形状で上方斜め前方(図8中、右斜め上方)に向かって突出する取付板部86bが設けられている。かかる取付板部86aと取付板部86bは、例えば溶接等の公知の技術を用いて取付金具84aの基端側の上端側に取り付けられている。そして、図示しないボルトを用いて、取付金具84aの取付板部86bの先端部に設けられた略円形断面形状を有する貫通孔88を挿通してインシュレータ板78に設けられたねじ穴90a(図7参照)に螺合することにより、取付板部86aをインシュレータ板78に対してボルト締結できるようになっている。また、取付金具84aの取付板部86aの先端部には外方(図8中、紙面に垂直方向手前側)に向かって係合突起92が突設されている。かかる取付板部86aの先端部を、プロテクタ本体12の一対の側壁22a,22bの一方の側壁22bに突設された取付部36bに嵌合することにより、本実施形態のハーネスプロテクタ10が取付金具84aを介して車体側の支持体を構成するインシュレータ板78へ固定されるようになっている。
一方、取付金具84bは、略矩形平板状の金属平板の上端部が奥方(図8中、紙面に垂直方向奥方)に向かって略L字状に屈曲されて形成されている。取付金具84bの上下方向の中央部には、略平板形状で奥方に向かって延出すると共に先端部94が下方に向かって屈曲形成された取付板部96が設けられている。かかる取付板部96は、例えば溶接等の公知の技術を用いて取付金具84bの中央部に取り付けられている。そして、図示しないボルトを用いて、取付金具84bの取付板部96の先端部94に設けられた図示しない貫通孔を挿通してインシュレータ板78に設けられたねじ穴90b(図7参照)に螺合することにより、取付板部96をインシュレータ板78に対してボルト締結できるようになっている。また、取付金具84bの上端部には上方に向かって突出するスタッドボルト98が設けられている。かかるスタッドボルト98を、プロテクタ本体12の一対の側壁22a,22bの一方の側壁22bに突設されている取付部36aに嵌合することにより、本実施形態のハーネスプロテクタ10が取付金具84aに加えて取付金具84bを介して車体側の支持体を構成するインシュレータ板78へ固定されるようになっている。
以上の結果、図10に示されているように、本実施形態のハーネスプロテクタ10の二重壁部40が発熱体であるエンジンが配設されたエンジン室82側に配向するように、ハーネスプロテクタ10が配設されている。しかも、インシュレータ板78の突出先端部100よりもハーネスプロテクタ10の下端部を構成する下方延出部44が下方に位置するように配設されている。
このような構造とされた本実施形態のハーネスプロテクタ10によれば、長手状に延びるプロテクタ本体12の一方の側壁22aが二重壁部40を含んで構成されている。それゆえ、例えば図7〜10に示す本実施形態のワイヤハーネスの配索構造80のように、かかる二重壁部40を発熱体である図示しないエンジンが配設されているエンジン室82側に配向するようにハーネスプロテクタ10を配設する(図10参照)ことにより、二重壁部40によって画成される空気層が断熱層として機能し、発熱体の熱がハーネスプロテクタ10に内挿されるワイヤハーネス18に伝達されることを低減乃至は阻止することができる。しかも、二重壁部40の上方開口部が蓋体16によって蓋覆されていることから、外壁40aと内壁40b間の空間が外部から区画され遮断され、かかる空間に熱風が流入することが阻止乃至は低減されている。それゆえ、二重壁部40によってハーネスプロテクタ10に内の断熱性を有利に維持することができる。
加えて、図10に示されているように、インシュレータ板78の突出先端部100よりもハーネスプロテクタ10の下端部に相当するプロテクタ本体12の下方延出部44および底壁20が下方に位置するように配設されている。これにより、ハーネスプロテクタ10を車両の所定の設置位置に設置固定した際に、発熱体側からの水平方向(図10中、左右方向)の投影において、インシュレータ板78の突出先端部100とハーネスプロテクタ10の下端部である下方延出部44および底壁20がオーバラップしている。これにより、発熱体から上昇する熱風がインシュレータ板78の突出先端部100を超えて、ハーネスプロテクタ10の底壁20側に回り込むことが有利に低減乃至は阻止されている。それゆえ、例えば、ハーネスプロテクタ10の下端部である底壁20を二重壁部構造にしなくとも、インシュレータ板78の突出先端部100よりも下方に位置させるだけで、有利に熱対策を施すことができ、構造の簡素化やコストの削減を図ることができるのである。しかも、本実施形態によれば、ハーネスプロテクタ10の底壁20において、二重壁部40の外壁40aが底壁20よりも下方に延び出す下方延出部44を有していることから、発熱体から上昇する熱風がインシュレータ板78の突出先端部100を超えてハーネスプロテクタ10の底壁20側に回り込むことが、一層有利に阻止することができるようになっている。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、上記実施形態では、二重壁部40は、プロテクタ本体12の後端部から前端部に至らないプロテクタ本体12の側壁22aの略全長に亘って設けられ、二重壁部49はプロテクタ本体12の前端部の底壁20に設けられていた。しかしながら、二重壁部は必要に応じて任意の場所に設ければよく、側壁22aの一部に設けられていてもよいし、側壁22bに設けられていてもよい。さらに、両側壁22a,22bに設けられていてもよいし、底壁20の他の一部または全長に亘って設けられていてもよい。また、上記実施形態では、二重壁部40,49に連結リブ42,52が設けられる一方、プロテクタ本体12における二重壁部40の外壁40aには底壁20よりも下方に延び出す下方延出部44が形成されていたが、必要に応じて任意の場所に設定すればよく、設けない場合があってもよい。
10:ハーネスプロテクタ、12:プロテクタ本体、14:上方開口部(開口部)、16:蓋体、18:ワイヤハーネス、20:底壁、22a,b:側壁(壁部)、24a,b:下方傾斜部、40:二重壁部、40a:外壁、40b:内壁、42:連結リブ、44:下方延出部、49:二重壁部、78:インシュレータ板、80:ワイヤハーネスの配索構造、100:突出先端部