JP2019161235A - 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短絡不良の抑制と、容量の確保と、を両立可能な積層セラミックコンデンサ及びその製造方法を提供すること。【解決手段】積層セラミックコンデンサは、積層部と、サイドマージン部とを具備する。積層部は、第1の方向に積層された複数のセラミック層、及び複数のセラミック層の間に配置されニッケルを主成分とする複数の内部電極を有する容量形成部と、容量形成部を第1の方向から被覆するカバー部とを有する。サイドマージン部は、積層部を第1の方向に直交する第2の方向から被覆する。複数の内部電極は、サイドマージン部に隣接し、ニッケルと共に酸化物を形成する金属元素が偏在している酸化領域を有する。容量形成部は、カバー部に隣接する第1の部分と、第1の部分に第1の方向に隣接し、酸化領域の第2の方向の寸法が第1の部分よりも小さい第2の部分とから構成される。【選択図】図4

Description

本発明は、サイドマージン部が後付けされる積層セラミックコンデンサ及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサに対する大容量化等の要望がますます強くなってきている。この要望に応えるためには、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極の交差面積を極力大きくすることが有効である。
内部電極の交差面積を大きくするためには、内部電極を側面に露出させた積層チップに、内部電極の周囲の絶縁性を確保するためのサイドマージン部を後付けする手法が有効である。これにより、サイドマージン部を薄く形成することが可能となり、内部電極の交差面積を相対的に大きくとることができる。
一方、積層チップの側面にサイドマージン部が後付けされた積層セラミックコンデンサでは、製造過程で積層チップの側面に内部電極由来の異物等が付着したりすることがある。これにより、積層チップの側面で、内部電極同士が互いに導通し合い、内部電極間の短絡不良が発生するおそれがある。
この問題に対処するためには、例えば特許文献1に記載の発明のように、内部電極の端部に導電性の低い酸化領域を形成することで、積層チップの側面における内部電極間の短絡不良を防止することができる。
特開2009−016796号公報
積層セラミックコンデンサでは、積層チップの側面にサイドマージン部が後付けされる場合に限らず、焼成時の不均一な収縮挙動などにより内部電極が変形することがある。内部電極の変形は、内部電極の端部において発生しやすい。このような内部電極の変形により、隣接する内部電極の端部同士が接触する場合がある。
この場合、特許文献1に記載の発明のように、内部電極の端部に酸化領域を形成することで内部電極間の短絡不良を防止しようとすると、内部電極の端部における酸化領域を広く確保する必要がある。これにより、各内部電極における容量形成に寄与する領域の面積が小さくなるため、積層セラミックコンデンサの容量が低下する。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、短絡不良の抑制と、容量の確保と、を両立可能な積層セラミックコンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミックコンデンサは、積層部と、サイドマージン部と、を具備する。
上記積層部は、第1の方向に積層された複数のセラミック層、及び上記複数のセラミック層の間に配置されニッケルを主成分とする複数の内部電極を有する容量形成部と、上記容量形成部を上記第1の方向から被覆するカバー部と、を有する。
上記サイドマージン部は、上記積層部を上記第1の方向に直交する第2の方向から被覆する。
上記複数の内部電極は、上記サイドマージン部に隣接し、ニッケルと共に酸化物を形成する金属元素が偏在している酸化領域を有する。
上記容量形成部は、上記カバー部に隣接する第1の部分と、上記第1の部分に上記第1の方向に隣接し、上記酸化領域の上記第2の方向の寸法が上記第1の部分よりも小さい第2の部分と、から構成される。
この構成によれば、複数の内部電極はサイドマージン部に隣接している酸化領域を有する。これにより、積層部の側面における異物等を介した内部電極同士の導通が抑制されるため、内部電極間の短絡不良が抑制される。
また、上記構成によれば、内部電極が変形しやすい第1の部分における酸化領域が広く、内部電極が変形しにくい第2の部分における酸化領域が狭くなっている。これにより、第1の部分において、隣接する内部電極同士が接触することによる内部電極同士の導通が効果的に抑制される。従って、積層セラミックコンデンサの短絡不良が抑制される。
この一方で、第2の部分における酸化領域が狭くなっていることから、第2の部分の容量損失が抑制される。これにより、積層セラミックコンデンサは容量を確保することもできる。
上記金属元素は、マグネシウム及びマンガンの少なくとも一方であってもよい。
本発明の一形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法では、第1の方向に積層された複数のセラミック層、及び上記複数のセラミック層の間に配置されニッケルを主成分とする複数の内部電極を有する容量形成部と、上記容量形成部を上記第1の方向から被覆し、上記第1の方向の厚みが15μm以下であるカバー部と、上記第1の方向と直交する第2の方向を向き、上記複数の内部電極が露出する側面と、を有する未焼成の積層チップが作製される。
ニッケルと共に酸化物を形成する金属元素を含み、上記金属元素の濃度が上記カバー部の上記金属元素の濃度以下であり、上記第2の方向の厚みが15μm以下であるサイドマージン部で、上記側面を上記第2の方向から被覆することにより、未焼成の素体が作製される。
上記未焼成の素体が焼成される。
上記製造方法によれば、カバー部の第1の方向の厚みが15μm以下であり、サイドマージン部の第2の方向の厚みが15μm以下である。
また、カバー部のニッケルと共に酸化物を形成する金属元素の濃度は、サイドマージン部の当該金属元素の濃度以上である。
これにより、未焼成の素体の焼成時において、容量形成部の稜部付近の内部電極の端部に他の内部電極の端部よりも、ニッケルと共に酸化物を形成する金属元素と、酸素が多く供給される。
従って、容量形成部の稜部付近の内部電極の端部に、他の内部電極の端部よりも金属元素を含む複合酸化物が多く形成するため、酸化領域が広くなる。よって、焼成後の容量形成部の稜部付近において、隣接する内部電極の端部同士が接触することによる内部電極同士の導通が効果的に抑制される。従って、積層セラミックコンデンサの短絡不良が抑制される。
この一方で、未焼成の素体の焼成時において、容量形成部の稜部付近の内部電極の端部に他の内部電極の端部よりも金属元素が多く供給されることから、容量形成部の中央付近に位置する内部電極の端部における金属元素の供給量が相対的に少ない。
これにより、容量形成部の中央付近に位置する内部電極の端部に形成される酸化領域が狭くなるため、容量形成部の中央付近における容量損失が抑制される。従って、積層セラミックコンデンサは容量を確保することもできる。
上記未焼成の素体を焼成することにより、上記複数の内部電極に、上記サイドマージン部に隣接し、上記金属元素が偏在する酸化領域が形成されてもよい。
上記容量形成部において、上記カバー部に隣接する第1の部分では、上記第1の部分に上記第1の方向に隣接する第2の部分よりも、上記酸化領域の上記第2の方向の寸法を大きくしてもよい。
上記金属元素は、マグネシウム及びマンガンの少なくとも一方であってもよい。
短絡不良の抑制と、容量の確保と、を両立可能な積層セラミックコンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のA−A'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のB−B'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図3の領域Pを拡大して示す模式図である。 従来の積層セラミックコンデンサの素体の拡大断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す平面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す平面図である。 積層セラミックコンデンサの製造過程を示す断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
[積層セラミックコンデンサ10の全体構成]
図1〜3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA−A'線に沿った断面図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB−B'線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ10は、素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を具備する。
素体11は、典型的には、Y軸方向を向いた2つの側面と、Z軸方向を向いた2つの主面と、を有する。素体11の各面を接続する稜部は面取りされている。なお、素体11の形状はこのような形状に限定されない。例えば、素体11の各面は曲面であってもよく、素体11は全体として丸みを帯びた形状であってもよい。
第1及び第2外部電極14,15は、素体11のX軸方向両端面を覆い、X軸方向両端面に接続する4つの面に延出している。これにより、第1及び第2外部電極14,15のいずれにおいても、X−Z平面に平行な断面及びX−Y軸に平行な断面の形状がU字状となっている。
素体11は、積層部16と、サイドマージン部17と、を有する。
積層部16は、X−Y平面に沿って延びる平板状の複数のセラミック層がZ軸方向に積層された構成を有する。
積層部16は、容量形成部18と、カバー部19と、を有する。
容量形成部18は、複数の第1内部電極12と、複数の第2内部電極13と、を有する。第1及び第2内部電極12,13は、複数のセラミック層の間に、Z軸方向に沿って交互に配置されている。第1内部電極12は、第1外部電極14に接続され、第2外部電極15から絶縁されている。第2内部電極13は、第2外部電極15に接続され、第1外部電極14から絶縁されている。
第1及び第2内部電極12,13は、それぞれ導電性材料からなり、積層セラミックコンデンサ10の内部電極として機能する。当該導電性材料としては、ニッケル(Ni)を主成分とする金属材料が採用される。
容量形成部18は、図2及び図3に示すように、カバー部19に隣接する第1の部分18aと、第1の部分18aにZ軸方向に隣接する第2の部分18bと、から構成される。つまり、第1の部分18aは容量形成部18のZ軸方向両端部を構成し、第2の部分18bは容量形成部18のZ軸方向中央部を構成する。
第1の部分18aは、図3に示すようにZ軸方向からカバー部19に被覆され、Y軸方向からサイドマージン部17に被覆される。第2の部分18bは、同図に示すようにZ軸方向から第1の部分18aに被覆され、Y軸方向からサイドマージン部17に被覆される。
容量形成部18は、セラミックスによって形成されている。容量形成部18では、第1内部電極12と第2内部電極13との間の各セラミック層の容量を大きくするため、セラミック層を構成する材料として高誘電率の材料が用いられる。容量形成部18を構成する材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料の多結晶体、つまりバリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の多結晶体を用いることができる。
また、容量形成部18を構成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)系以外にも、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系、チタン酸カルシウム(CaTiO)系、チタン酸マグネシウム(MgTiO)系、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)系、チタン酸ジルコン酸カルシウム(Ca(Zr,Ti)O)系、ジルコン酸バリウム(BaZrO)系又は酸化チタン(TiO)系材料等の多結晶体であってもよい。
カバー部19は、X−Y平面に沿って延びる平板状であり、容量形成部18のZ軸方向上下面をそれぞれ覆っている。カバー部19には、第1及び第2内部電極12,13が設けられていない。
サイドマージン部17は、図3に示すように、容量形成部18及びカバー部19のY軸方向を向いた両側面S1,S2に形成されている。
このように、素体11において、容量形成部18の第1及び第2外部電極14,15が設けられたX軸方向両端面以外の面がサイドマージン部17及びカバー部19によって覆われている。サイドマージン部17及びカバー部19は、主に、容量形成部18の周囲を保護し、第1及び第2内部電極12,13の絶縁性を確保する機能を有する。
サイドマージン部17及びカバー部19も、セラミックスによって形成されている。サイドマージン部17及びカバー部19を形成する材料は絶縁性セラミックスであり、容量形成部18と同種の組成系の誘電体を用いることにより素体11における内部応力が抑制される。
サイドマージン部17、カバー部19及び容量形成部18は、例えば、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)などの金属元素を更に含有してもよい。
上記の構成により、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間に電圧が印加されると、第1内部電極12と第2内部電極13との間の複数のセラミック層に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
なお、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、積層部16及びサイドマージン部17を備えていればよく、その他の構成について適宜変更可能である。例えば、第1及び第2内部電極12,13の枚数は、積層セラミックコンデンサ10に求められるサイズや性能に応じて、適宜決定可能である。
また、図2,3では、第1及び第2内部電極12,13の対向状態を見やすくするために、第1及び第2内部電極12,13の枚数をそれぞれ4枚に留めている。しかし、実際には、積層セラミックコンデンサ10の容量を確保するために、より多くの第1及び第2内部電極12,13が設けられている。
[酸化領域E1,E2]
図4は、図3に示した領域Pを拡大して示す模式図であり、第1及び第2の部分18a,18bにある内部電極12,13の端部を拡大して示す図である。
第1及び第2内部電極12,13は図4に示すように、積層部16の側面S1,S2に露出した端部に、酸化により導電性が低下した領域である酸化領域E1,E2が形成されている。酸化領域E1,E2は図4に示すようにサイドマージン部17に隣接している。
ここで、第1の部分18a内の内部電極12,13の端部に形成されている酸化領域E1のY軸方向の寸法D1は、図4に示すように、第2の部分18b内の内部電極12,13の端部に形成されている酸化領域E2のY軸方向の寸法D2より長い。
なお、図4では、説明の便宜上、複数の酸化領域E1の寸法D1を等しく示し、複数の酸化領域E2の寸法D2を等しく示している。しかし、各酸化領域E1ごとに寸法D1が異なり、各酸化領域E2ごとに寸法D2が異なっていてもよい。この場合、寸法D1,D2は、すべての酸化領域E1,E2の平均値とすることができる。
酸化領域E1は第1の部分18a内の内部電極12,13の端部の全てに形成されていることが好ましいが、一部に形成されていなくてもよい。酸化領域E2も同様に、第2の部分18b内の内部電極12,13の端部の全てに形成されていることが好ましいが、一部に形成されていなくてもよい。
本実施形態に係る素体11では、ニッケル(Ni)と共に複合酸化物を形成する金属元素が酸化領域E1,E2に偏在している特徴的な組成分布が見られる。このような金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg)やマンガン(Mn)などが挙げられる。酸化領域E1,E2は、この金属元素とニッケル(Ni)とを含む複合酸化物を主成分として構成されている。
酸化領域E1,E2を構成する複合酸化物は、典型的にはマグネシウム(Mg)又はマンガン(Mn)と、ニッケル(Ni)とを含む3元系酸化物である。しかし、複合酸化物は、マグネシウム(Mg)及びマンガン(Mn)の両方を含んでいてもよく、上記で列挙した他の金属元素を含んでいてもよい。
酸化領域E1,E2の寸法D1,D2は、例えば、数百〜数千nm程度の範囲内とすることができる。
図5は、従来の積層セラミックコンデンサ210の素体211を拡大して示す部分断面図である。図5を参照して、本実施形態に係る酸化領域E1,E2の作用について、従来の積層セラミックコンデンサ210と比較して説明する。積層セラミックコンデンサ210の素体211は、同図に示すように、容量形成部218と、容量形成部218をZ軸方向から被覆するカバー部219と、容量形成部218とカバー部219をY軸方向から被覆するサイドマージン部217と、を有する。
容量形成部218は、図5に示すように、カバー部219近傍の内部電極212aと、容量形成部218の中央付近に位置する内部電極212bと、を有する。
従来の積層セラミックコンデンサ210は、製造過程で未焼成の容量形成部の側面に、内部電極由来の異物等が付着することがある。これにより、焼成後の容量形成部218の側面S3で、異物を介して内部電極212a,212b同士が互いに導通し合い、内部電極212a,212b間の短絡不良が発生するおそれがある。
また、積層セラミックコンデンサ210は、サイドマージン部217、容量形成部218及びカバー部219の焼成時の収縮挙動がそれぞれ異なることにより、未焼成の素体の焼成時に、容量形成部218のX軸方向に延びる稜部R付近に応力が集中しやすい。
このため、焼成後の素体211において、図5に示すように容量形成部218の稜部R付近にある内部電極212aのY軸方向の端部が変形することがある。
さらに、積層セラミックコンデンサ210では、製造過程で、後述の押し切り刃を用いた切断(後述のステップS03参照)によっても、稜部R付近にある内部電極212aのY軸方向の端部が変形することがある。
積層セラミックコンデンサ210は、容量形成部218の稜部R付近の内部電極212aが変形することにより、図5に示すように、内部電極212aの端部同士が接触し、短絡不良を引き起こすことがある。
これに対し、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、図4に示すように、内部電極12,13の端部に酸化領域E1,E2が形成されている。これにより、製造過程で未焼成の積層チップの側面に異物等が付着していても、焼成後の積層部16の側面S1,S2における異物等を介した内部電極12,13同士の導通が抑制される。よって、内部電極12,13間の短絡不良が抑制される。
さらに、本実施形態では図4に示すように、内部電極12,13が変形しやすいカバー部19近傍の第1の部分18aにおける酸化領域E1が広く、内部電極12,13が変形しにくい容量形成部18の中央付近に位置する第2の部分18bにおける酸化領域E2が狭くなっている。
これにより、第1の部分18aにおいて、隣接する内部電極12,13の端部同士が接触することによる内部電極12,13同士の導通が効果的に抑制される。従って、積層セラミックコンデンサ10の短絡不良が抑制される。
この一方で、第2の部分18bにおける酸化領域E2が狭くなっていることから、第2の部分18bの容量損失が抑制されている。これにより、積層セラミックコンデンサ10は容量を確保することもできる。
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図6は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図7〜12は積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図6に沿って、図7〜12を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:セラミックシート準備工程)
ステップS01では、容量形成部18を形成するための第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102と、カバー部19を形成するための第3セラミックシート103と、を準備する。
セラミックシート103は、ニッケル(Ni)と共に複合酸化物を形成する金属元素を含むセラミックシートである。本実施形態では、このような金属元素として、マグネシウム(Mg)を利用する。しかし、マンガン(Mn)などの他の金属元素を利用する場合や、二種類以上の金属元素を利用する場合にも、下記の説明と同様の作用が得られる。
セラミックシート103は、上記のような金属元素に加え、例えば、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)などの金属元素を更に含有してもよい。
セラミックシート101,102も同様に、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)などの金属元素を含有してもよい。
セラミックシート101,102,103は、未焼成の誘電体グリーンシートとして構成され、例えば、ロールコーターやドクターブレードを用いてシート状に成形される。
図7は、セラミックシート101,102,103の平面図である。この段階では、セラミックシート101,102,103は各積層セラミックコンデンサ10ごとに切り分けられていない。図7には、各積層セラミックコンデンサ10ごとに切り分ける際の切断線Lx,Lyが示されている。切断線LxはX軸に平行であり、切断線LyはY軸に平行である。
図7に示すように、第1セラミックシート101には第1内部電極12に対応する未焼成の第1内部電極112が形成され、第2セラミックシート102には第2内部電極13に対応する未焼成の第2内部電極113が形成されている。なお、カバー部19に対応する第3セラミックシート103には内部電極が形成されていない。
第1及び第2内部電極112,113は、例えば、ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。導電性ペーストによる第1及び第2内部電極112,113の形成には、例えば、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を用いることができる。
第1及び第2内部電極112,113は、切断線Lyによって仕切られたX軸方向に隣接する2つの領域にわたって配置され、Y軸方向に帯状に延びている。第1内部電極112と第2内部電極113とでは、切断線Lyによって仕切られた領域1列ずつX軸方向にずらされている。つまり、第1内部電極112の中央を通る切断線Lyが第2内部電極113の間の領域を通り、第2内部電極113の中央を通る切断線Lyが第1内部電極112の間の領域を通っている。
(ステップS02:積層工程)
ステップS02では、ステップS01で準備したセラミックシート101,102,103を積層することにより積層シート104を作製する。
図8は、ステップS02で得られる積層シート104の斜視図である。図8では、説明の便宜上、セラミックシート101,102,103を分解して示している。しかし、実際の積層シート104では、セラミックシート101,102,103が静水圧加圧や一軸加圧などにより圧着されて一体化される。これにより、高密度の積層シート104が得られる。
積層シート104では、容量形成部18に対応する第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102がZ軸方向に交互に積層されている。
また、積層シート104では、交互に積層された第1及び第2セラミックシート101,102のZ軸方向上下面にカバー部19に対応する第3セラミックシート103が積層される。
第3セラミックシート103は、Z軸方向の全体の厚みが15μm以下となる範囲内において、複数枚積層される。なお、図8に示す例では、第3セラミックシート103がそれぞれ3枚ずつ積層されているが、第3セラミックシート103の枚数は適宜変更可能である。
(ステップS03:切断工程)
ステップS03では、ステップS02で得られた積層シート104を回転刃や押し切り刃などによって切断することにより未焼成の積層チップ116を作製する。
図9は、ステップS03の後の積層シート104の平面図である。積層シート104は、保持部材Cに固定された状態で、切断線Lx,Lyに沿って切断される。これにより、積層シート104が個片化され、積層チップ116が得られる。このとき、保持部材Cは切断されておらず、各積層チップ116は保持部材Cによって接続されている。
図10は積層シート104が切断されている状態を示す図である。図10では、説明の便宜上、内部電極112,113の枚数を合計で4枚とし、セラミックシート101,102,103の枚数を合計で5枚としている。しかし、実際には、より多くの内部電極112,113とセラミックシート101,102が設けられている。
積層シート104は、押し切り刃等の切断刃Fにより切断される際に、積層シート104を切断中の切断刃Fが内部電極112,113を引き摺り、内部電極112,113の端部が図10に示すようにZ軸方向に引き延ばされる場合がある。これにより、積層チップ116の側面において、引き延ばされた内部電極を介して内部電極112,113同士が接触し、短絡不良を引き起こすおそれがある。
しかしながら、本実施形態に係る内部電極112,113は後述する焼成工程により、図4に示すように、端部に酸化領域E1,E2が良好に形成される。従って、積層シート104の切断時に内部電極112,113が引き摺られ、引き摺られた内部電極を介して内部電極112,113の端部同士が接触していたとしても内部電極112,113間の短絡不良が抑制される。
図11は、ステップS03で得られる積層チップ116の斜視図である。積層チップ116には、未焼成の容量形成部118及びカバー部119が形成されている。積層チップ116では、切断面であるY軸方向を向いた両側面S4,S5に未焼成の第1及び第2内部電極112,113が露出している。
(ステップS04:サイドマージン部形成工程)
ステップS04では、ステップS03で得られた積層チップ116の側面S4,S5に未焼成のサイドマージン部117を設けることにより、未焼成の素体111を作製する。
ステップS04では、積層チップ116の両側面S4,S5にサイドマージン部117を設けるために、テープなどの保持部材の貼り替えなどにより積層チップ116の向きが適宜変更される。
特に、ステップS04では、ステップS03における積層チップ116の切断面であるY軸方向を向いた両側面S4,S5にサイドマージン部117が設けられる。このため、ステップS04では、予め保持部材Cから積層チップ116を剥がし、積層チップ116の向きを90度回転させておくことが好ましい。
図12は、ステップS04によって得られる未焼成の素体111の斜視図である。
サイドマージン部117は、ニッケル(Ni)と共に複合酸化物を形成する金属元素としてマグネシウム(Mg)を含むセラミックシートとして用意される。このセラミックシートに用いる金属元素も、セラミックシート103と同様に、マグネシウム(Mg)以外のマンガン(Mn)などであってもよい。
次いで、サイドマージン部117が積層チップ116の側面S4,S5に貼り付けられる。
サイドマージン部117は、上記のような金属元素に加え、例えば、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)などの金属元素を更に含有してもよい。
本実施形態に係るサイドマージン部117のマグネシウム(Mg)の濃度は、第3セラミックシート103のマグネシウム(Mg)の濃度以下である。
サイドマージン部117は、15μm以下となるように、Y軸方向の厚みが調整される。
ステップS04では、サイドマージン部117をシート状に成形せずに、マグネシウム(Mg)を含むセラミックスからなるペースト材に、積層チップ116の各側面S4,S5を浸漬させて、引き上げることにより形成してもよい。
(ステップS05:焼成工程)
ステップS05では、ステップS04で得られた未焼成の素体111を焼成することにより、図1〜3に示す積層セラミックコンデンサ10の素体11を作製する。
つまり、ステップS05により第1及び第2内部電極112,113が第1及び第2内部電極12,13になり、積層チップ116が積層部16になり、サイドマージン部117がサイドマージン部17になる。
ステップS05における素体111の焼成温度は、積層チップ116及びサイドマージン部117の焼結温度に基づいて決定することができる。例えば、セラミックスとしてチタン酸バリウム(BaTiO)系材料を用いる場合には、素体111の焼成温度は1000〜1300℃程度とすることができる。また、焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。
ここで、本実施形態に係る素体111は、カバー部119及びサイドマージン部117の厚みが15μm以下となるように調整されている。これにより、焼成時において、内部電極112,113に酸素が供給されやすくなり、内部電極112,113の端部に酸化領域E1,E2が良好に形成される。
従って、製造過程で、内部電極112,113の端部が露出した積層チップ116の側面S4,S5に異物等が付着したとしても、焼成後の素体11の側面S1,S2おける異物等を介した内部電極12,13同士の導通が抑制される。よって、内部電極12,13間の短絡不良が抑制される。
また、本実施形態では、上述のとおりカバー部119及びサイドマージン部117の厚みが15μm以下となるように調整されている。このため、容量形成部118の稜部付近には、サイドマージン部117側のみならずカバー部119側からも酸素が供給される。
さらに、カバー部119のマグネシウム(Mg)の濃度は、サイドマージン部117のマグネシウム(Mg)の濃度以上である。このため、容量形成部118の稜部付近には、サイドマージン部117のみならずカバー部119からもマグネシウム(Mg)が供給される。
従って、未焼成の素体111の焼成時において、容量形成部118の稜部付近にある内部電極112,113の端部に他の内部電極112,113の端部よりも、マグネシウム(Mg)及び酸素が多く供給される。
これにより、容量形成部118の稜部付近の内部電極112,113の端部に、他の内部電極112,113の端部よりもマグネシウム(Mg)を含む複合酸化物が多く形成する。よって、変形しやすい容量形成部118の稜部付近の内部電極112,113の端部に形成される酸化領域E1が広くなる。
従って、焼成後の容量形成部18の稜部付近において、隣接する内部電極12,13の端部同士が接触することによる内部電極12,13同士の導通が効果的に抑制される。これにより、積層セラミックコンデンサ10の短絡不良が抑制される。
この一方で、未焼成の素体111の焼成時において、容量形成部118の稜部付近の内部電極112,113の端部に他の内部電極112,113の端部よりもマグネシウム(Mg)が多く供給されることから、容量形成部118の中央付近に位置する内部電極112,113の端部におけるマグネシウム(Mg)の供給量が相対的に少ない。
これにより、焼成後の容量形成部18の中央付近に位置する内部電極12,13の端部に形成される酸化領域E2が狭くなるため、容量形成部18の中央付近における容量損失が抑制される。従って、積層セラミックコンデンサ10は容量を確保することもできる。
(ステップS06:外部電極形成工程)
ステップS06では、ステップS05で得られた素体11に第1及び第2外部電極14,15を形成することにより、図1〜3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。
ステップS06では、まず、素体11の一方のX軸方向端面を覆うように未焼成の電極材料を塗布し、素体11の他方のX軸方向端面を覆うように未焼成の電極材料を塗布する。塗布された未焼成の電極材料を、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において焼き付け処理を行って、素体11に下地膜を形成する。そして、素体11に焼き付けられた下地膜の上に、中間膜及び表面膜を電解メッキなどのメッキ処理で形成して、第1及び第2外部電極14,15が完成する。
なお、上記のステップS06における処理の一部を、ステップ05の前に行ってもよい。例えば、ステップS05の前に未焼成の素体111のX軸方向両端面に未焼成の電極材料を塗布し、ステップS05において、未焼成の素体111を焼結させると同時に、未焼成の電極材料を焼き付けて第1及び第2外部電極14,15の下地膜を形成してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
[積層セラミックコンデンサの製造]
(未焼成の素体の作製)
実施例1〜6及び比較例1〜4に係る未焼成の素体のサンプルを、上記の製造方法にしたがって作製した。実施例1〜6及び比較例1〜4に係るサンプルは、カバー部及びサイドマージン部の厚みと、カバー部及びサイドマージン部のマンガンや、マグネシウムの濃度がそれぞれ異なり、これ以外の製造条件についは共通する。
(実施例1)
実施例1に係るサンプルは、カバー部119とサイドマージン部117の厚みが共に15μmである。また、カバー部119とサイドマージン部117を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部119とサイドマージン部117のマグネシウムの濃度が共に0.48mol%である。
(実施例2)
実施例2に係るサンプルは、カバー部119とサイドマージン部117の厚みが共に15μmである。また、カバー部119とサイドマージン部117を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部119のマグネシウムの濃度が0.96mol%であり、サイドマージン部117のマグネシウムの濃度が0.48mol%である。
(実施例3)
実施例3に係るサンプルは、カバー部119とサイドマージン部117の厚みが共に10μmである。また、カバー部119とサイドマージン部117を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部119とサイドマージン部117のマグネシウムの濃度が共に0.48mol%である。
(実施例4)
実施例4に係るサンプルは、カバー部119とサイドマージン部117の厚みが共に15μmである。また、カバー部119とサイドマージン部117を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部119とサイドマージン部117のマンガンの濃度が共に0.48mol%である。
(実施例5)
実施例5に係るサンプルは、カバー部119とサイドマージン部117の厚みが共に15μmである。また、カバー部119とサイドマージン部117を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部119のマンガンの濃度が0.96mol%であり、サイドマージン部117のマンガンの濃度が0.48mol%である。
(実施例6)
実施例6に係るサンプルは、カバー部119とサイドマージン部117の厚みが共に10μmである。また、カバー部119とサイドマージン部117を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部119とサイドマージン部117のマンガンの濃度が共に0.48mol%である。
(比較例1)
比較例1に係るサンプルは、カバー部とサイドマージン部の厚みが共に20μmである。また、カバー部とサイドマージン部を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部とサイドマージン部のマグネシウムの濃度が共に0.48mol%である。
(比較例2)
比較例2に係るサンプルは、カバー部とサイドマージン部の厚みが共に15μmである。また、カバー部とサイドマージン部を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部のマグネシウムの濃度が0.48mol%であり、サイドマージン部のマグネシウムの濃度が0.96mol%である。
(比較例3)
比較例3に係るサンプルは、カバー部とサイドマージン部の厚みが共に20μmである。また、カバー部とサイドマージン部を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部とサイドマージン部のマンガンの濃度が共に0.48mol%である。
(比較例4)
比較例4に係るサンプルは、カバー部とサイドマージン部の厚みが共に15μmである。また、カバー部とサイドマージン部を構成するチタン酸バリウム(BaTiO)を100mol%とした場合に、カバー部のマンガンの濃度が0.48mol%であり、サイドマージン部のマンガンの濃度が0.96mol%である。
(積層セラミックコンデンサの作製)
実施例1〜6及び比較例1〜4に係る未焼成の素体を用いて、上記製造方法にしたがい、実施例1〜6及び比較例1〜4に係る積層セラミックコンデンサを作製した。
表1は、実施例1〜6及び比較例1〜4に係る未焼成の素体のカバー部及びサイドマージン部の厚みと、未焼成の素体のカバー部及びサイドマージン部のマグネシウム(Mg)や、マンガン(Mn)の濃度と、実施例1〜6及び比較例1〜4に係る積層セラミックコンデンサの酸化領域の寸法をまとめた表である。
Figure 2019161235
表1に示すように、比較例1〜4に係る積層セラミックコンデンサは、カバー部近傍における酸化領域の寸法と、容量形成部の中央付近における酸化領域の寸法が同等であるのに対し、実施例1〜6に係る積層セラミックコンデンサ10はいずれも、カバー部近傍における酸化領域の寸法が、容量形成部の中央付近における酸化領域の寸法より大きい。
[積層セラミックコンデンサの評価]
実施例1〜6及び比較例1〜4に係る積層セラミックコンデンサの容量損失率とショート率を算出した。この際、容量損失率が1.5%以下、ショート率が10%未満のものを合格と判定した。表2はこの結果をまとめた表である。
表2に示す容量損失率は、実施例1〜6及び比較例1〜4に係る積層セラミックコンデンサの実測容量値が、設計容量値と比較してどの程度低下しているのかを示す低下率である。設計容量値は、各コンデンサの誘電体の厚み、誘電率及び内部電極の交差面積から算出された値である。
また、表2に示すショート率は、Osc(Oscillation level)が0.5Vであり、周波数が1kHzの電圧を印加する条件下で、実施例1〜6及び比較例1〜4に係る200個のコンデンサのうち短絡不良が発生したコンデンサの割合を示している。なお、コンデンサに短絡不良が発生しているか否かはLCRメータを用いて判定した。
Figure 2019161235
表2を参照すると、比較例1及び3に係る積層セラミックコンデンサは、容量損失率が1.5%以下であったが、ショート率が10%であった。これは、未焼成の素体のカバー部とサイドマージン部の厚みが15μmより厚いことにより、内部電極の酸化が促進されず、内部電極の端部に酸化領域が十分に形成されなかったためにショート率が大きくなってしまったものと推察される。
また、比較例2及び4に係る積層セラミックコンデンサは、ショート率は10%未満であったが、容量損失率が1.5%より大きかった。これは、マグネシウム(Mg)や、マンガン(Mn)の濃度が、カバー部よりサイドマージン部のほうが高いことにより、サイドマージン部に隣接する内部電極の端部が過剰に酸化されたことで容量損失率が大きくなってしまったものと推察される。
一方、実施例1〜6に係る積層セラミックコンデンサ10はいずれも容量損失率が1.5%以下、ショート率が10%未満であった。これにより、実施例1〜6に係る積層セラミックコンデンサ10は短絡不良の抑制と、容量の確保と、を両立できていることが確認された。
以上のことから、上記製造方法に従って作製された本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、短絡不良の抑制と、容量の確保と、を両立可能な構成であることが実験的に確認された。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、積層セラミックコンデンサ10では、容量形成部18がZ軸方向に複数に分割して設けられていてもよい。この場合、各容量形成部18において第1及び第2内部電極12,13がZ軸方向に沿って交互に配置されていればよく、容量形成部18が切り替わる部分において第1内部電極12又は第2内部電極13が連続して配置されていてもよい。
10…積層セラミックコンデンサ
11…素体
12…第1内部電極
13…第2内部電極
14…第1外部電極
15…第2外部電極
16…積層部
17…サイドマージン部
18…容量形成部
18a…第1の部分
18b…第2の部分
19…カバー部
111…未焼成の素体
116…未焼成の積層チップ
E1,E2…酸化領域

Claims (6)

  1. 第1の方向に積層された複数のセラミック層、及び前記複数のセラミック層の間に配置されニッケルを主成分とする複数の内部電極を有する容量形成部と、前記容量形成部を前記第1の方向から被覆するカバー部と、を有する積層部と、
    前記積層部を前記第1の方向に直交する第2の方向から被覆する一対のサイドマージン部と、
    を具備し、
    前記複数の内部電極は、前記一対のサイドマージン部に隣接し、ニッケルと共に酸化物を形成する金属元素が偏在している一対の酸化領域を有し、
    前記容量形成部は、前記カバー部に隣接する第1の部分と、前記第1の部分に前記第1の方向に隣接し、前記一対の酸化領域の前記第2の方向の寸法が前記第1の部分よりも小さい第2の部分と、から構成される
    積層セラミックコンデンサ。
  2. 請求項1に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記金属元素は、マグネシウム及びマンガンの少なくとも一方である
    積層セラミックコンデンサ。
  3. 請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記サイドマージン部の前記金属元素の濃度が、前記カバー部の前記金属元素の濃度以下である
    積層セラミックコンデンサ。
  4. 第1の方向に積層された複数のセラミック層、及び前記複数のセラミック層の間に配置されニッケルを主成分とする複数の内部電極を有する容量形成部と、前記容量形成部を前記第1の方向から被覆し、前記第1の方向の厚みが15μm以下であるカバー部と、前記第1の方向と直交する第2の方向を向き、前記複数の内部電極が露出する側面と、を有する未焼成の積層チップを作製し、
    ニッケルと共に酸化物を形成する金属元素を含み、前記金属元素の濃度が前記カバー部の前記金属元素の濃度以下であり、前記第2の方向の厚みが15μm以下であるサイドマージン部で、前記側面を前記第2の方向から被覆することにより、未焼成の素体を作製し、
    前記未焼成の素体を焼成する
    積層セラミックコンデンサの製造方法。
  5. 請求項4に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
    前記未焼成の素体を焼成することにより、前記複数の内部電極に、前記サイドマージン部に隣接し、前記金属元素が偏在する酸化領域を形成し、
    前記容量形成部において、前記カバー部に隣接する第1の部分では、前記第1の部分に前記第1の方向に隣接する第2の部分よりも、前記酸化領域の前記第2の方向の寸法が大きい
    積層セラミックコンデンサの製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
    前記金属元素は、マグネシウム及びマンガンの少なくとも一方である
    積層セラミックコンデンサの製造方法。
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