JP7307827B2 - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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本発明は、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサに対する小型化及び大容量化の要望がますます強くなってきている。この要望に応えるために、セラミック素体における内部電極の周囲のマージン部の厚みをより薄く形成し、内部電極の交差面積及び積層数を増やす試みがなされている。
例えば、特許文献1には、サイドマージン部の平均厚さが18μm以下で形成された積層セラミックキャパシタが記載されている。
特開2014-204114号公報
一方で、積層セラミック電子部品のマージン部の厚みが薄くなるに従い、外力に対する機械的な強度が低下し、信頼性を十分に確保できないという問題があった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、小型でかつ信頼性の高い積層セラミック電子部品を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミック電子部品は、容量形成部と、周縁部と、を具備する。
上記容量形成部は、第1方向にセラミック層を介して積層された複数の内部電極を有する。
上記周縁部は、カバー部と、サイドマージン部と、粒成長領域と、を有し、上記容量形成部の周囲に設けられ絶縁性セラミックスにより形成される。
上記カバー部は、上記容量形成部の上記第1方向外方に設けられる。
上記サイドマージン部は、上記容量形成部の上記第1方向に直交する第2方向外方に設けられる。
上記粒成長領域は、上記カバー部と上記サイドマージン部との境界部に形成され、上記サイドマージン部の中央部よりも上記絶縁性セラミックスの結晶粒の平均粒径が大きい。
上記積層セラミック電子部品は、上記カバー部と上記サイドマージン部との境界部にセラミックス結晶粒の平均粒径が大きい粒成長領域を有するため、当該領域において、クラックの起点となり得る結晶粒界を少なくすることができる。これにより、上記積層セラミック電子部品に外力が付加された場合に、上記カバー部と上記サイドマージン部との境界部におけるクラックの発生及び進行を抑制することができる。したがって、上記周縁部を薄く構成する場合にも、上記積層セラミック電子部品における外力に対する機械的強度を高めることができ、小型でかつ信頼性の高い積層セラミック電子部品を提供することができる。
具体的には、上記粒成長領域の上記絶縁性セラミックスの結晶粒の平均粒径は300nm以上であってもよい。
これにより、上記積層セラミック電子部品において、外力に対する機械的強度を十分に高めることができる。
上記周縁部は非常に薄く構成されてもよく、例えば、上記サイドマージン部の上記第2方向における厚み寸法は、20μm以下であってもよい。
また、上記カバー部の上記第1方向における厚み寸法は、20μm以下であってもよい。
このように周縁部を薄くした場合にも、外力に対する機械的強度を十分に確保することができる。
さらに、上記粒成長領域は、上記カバー部の中央部よりも上記絶縁性セラミックスの結晶粒の平均粒径が大きくてもよい。
これにより、上記積層セラミック電子部品における外力に対する機械的強度をさらに高めることができる。
上記複数の内部電極は、上記第1方向と直交する第2方向の端部の位置が上記第2方向に0.5μmの範囲内に相互に揃っていてもよい。
これにより、上記積層セラミック電子部品内における複数の内部電極の交差面積を大きくすることができ、小型でありつつ、高性能の積層セラミック電子部品を提供することができる。
以上のように、本発明によれば、小型でかつ信頼性の高い積層セラミック電子部品を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のA-A'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のB-B'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図3の領域IVを示す拡大図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図11の領域XIIを示す拡大図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
<第1実施形態>
[積層セラミックコンデンサ10の基本構成]
図1~3は、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA-A'線に沿った断面図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB-B'線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を備える。
セラミック素体11は、例えば、X軸方向を向いた2つの端面11aと、端面11aと接続された周面11eと、を有する。周面11eは、Y軸方向を向いた2つの側面11bと、Z軸方向を向いた2つの主面11cと、側面11b及び主面11cを接続する湾曲面11dと、を含む。端面11a,側面11b及び主面11cは、いずれも略平坦な面で構成されている。端面11aと周面11eとを接続する稜部は、湾曲面11dと同様に曲面で構成されていてもよい。なお、セラミック素体11は、図1~3に示すような直方体形状に限定されない。
外部電極14,15は、端面11aに設けられ、セラミック素体11を挟んでX軸方向に相互に対向している。外部電極14,15は、それぞれ、セラミック素体11の端面11aから周面11eまで延出している。これにより、外部電極14,15では、X-Z平面に平行な断面、及びX-Y平面に平行な断面がいずれもU字状となっている。
セラミック素体11は、容量形成部16と、容量形成部16の周囲に設けられた周縁部17と、を有する。
容量形成部16は、複数のセラミック層18(図2参照)を介してZ軸方向に交互に積層された内部電極12,13を有し、略直方体状の積層体として構成される。容量形成部16の最外層の内部電極12,13のY軸方向及びZ軸方向の端部を、端部16dとする。
内部電極12,13は、X-Y平面に沿って延び、容量形成部16のY軸方向の全幅にわたって形成される。内部電極12,13のY軸方向の端部の位置は、例えば、Y軸方向に0.5μmの範囲内に相互に揃っている。内部電極12,13は、電気の良導体により形成されている。内部電極12,13を形成する電気の良導体としては、典型的にはニッケル(Ni)が挙げられ、この他にも銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属又は合金が挙げられる。
第1内部電極12は、第1外部電極14に接する端面11aまでX軸方向に延び、かつ第2外部電極15からは離間している。第2内部電極13は、第2外部電極15に接する端面11aまでX軸方向に延び、かつ、第1外部電極14からは離間している。これにより、第1内部電極12は、第1外部電極14のみに接続され、第2内部電極13は、第2外部電極15のみに接続される。
このような構成により、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間に電圧が印加されると、第1内部電極12と第2内部電極13との間の複数のセラミック層18に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
セラミック層18は、例えば、高誘電率の誘電体セラミックスで構成される。これにより、各セラミック層18の容量を大きくすることができる。高誘電率の誘電体セラミックスとしては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料が挙げられる。
なお、セラミック層18は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系、チタン酸カルシウム(CaTiO)系、チタン酸マグネシウム(MgTiO)系、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)系、チタン酸ジルコン酸カルシウム(Ca(Zr,Ti)O)系、ジルコン酸バリウム(BaZrO)系、酸化チタン(TiO)系などで構成してもよい。
[周縁部17の詳細な構成]
図4は、図3の領域IVの拡大図であり、カバー部19とサイドマージン部20の境界部付近を拡大して示す断面図である。
周縁部17は、容量形成部16を保護し、内部電極12,13の絶縁性を確保する機能を有する。周縁部17は、セラミック焼結体として構成され、絶縁性セラミックスの複数の結晶粒17rを含む。周縁部17は、セラミック層18と異なる絶縁性セラミックスで形成されてもよいが、セラミック素体11における内部応力を抑制する観点から、好ましくはセラミック層18と同様の誘電体セラミックスで形成される。
周縁部17は、カバー部19と、サイドマージン部20と、粒成長領域Rと、を有する。周縁部17の表面は、セラミック素体11の周面11eを構成する。
カバー部19は、容量形成部16のZ軸方向外方に設けられ、容量形成部16の最外層をZ軸方向から覆う。図4に示すように、カバー部19のZ軸方向に沿った厚み寸法D1は、例えば20μm以下であり、好ましくは10μm以上20μm以下である。厚み寸法D1は、主面11cのX軸方向及びY軸方向における中央部から容量形成部16までのZ軸方向に沿った寸法とする。
サイドマージン部20は、容量形成部16のY軸方向外方に設けられ、本実施形態において、容量形成部16及びカバー部19をY軸方向から覆う。図4に示すように、サイドマージン部20のY軸方向に沿った厚み寸法D2は、例えば20μm以下であり、好ましくは10μm以上20μm以下である。厚み寸法D2は、側面11bのX軸方向及びZ軸方向における中央部から容量形成部16までのY軸方向に沿った寸法とする。
粒成長領域Rは、カバー部19のY軸方向中央部よりも絶縁性セラミックスの結晶粒17rの平均結晶粒径が大きい領域である。粒成長領域Rの平均結晶粒径は、好ましくは300nm以上であり、より好ましくは500nm以上である。また、粒成長領域Rの平均結晶粒径は、カバー部19の中央部の平均結晶粒径に対して、例えば50%以上大きく形成される。カバー部19の中央部とは、カバー部19のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における中央部をいう。カバー部19の中央部の平均結晶粒径は特に限定されないが、例えば100nm~300nmである。
さらに、粒成長領域Rは、サイドマージン部20の中央部よりもセラミック結晶粒17rの平均結晶粒径が大きくてもよい。サイドマージン部20の中央部とは、サイドマージン部20の、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における中央部をいう。
平均結晶粒径は、以下のように算出される。まず、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて粒成長領域Rの断面を撮像する。このとき、1つの画像に1000~3000個程度の結晶粒17rが撮像できるように倍率を調整して撮像し、複数の画像を用いて合計で10000個以上の結晶粒17rの結晶粒径を計測する。結晶粒径は、結晶粒の断面積を計測し、同じ断面積をもつ円の直径として算出する。計測された10000個以上の結晶粒17rの結晶粒径の中央値を、平均結晶粒径とする。
粒成長領域Rは、例えば、容量形成部16の端部16dとセラミック素体11の周面11eとの間に形成される。粒成長領域Rは、端部16dと湾曲面11dとの間に形成されてもよい。粒成長領域Rは、典型的には端部16dから周面11eに達するように形成されるが、周面11eまで達していなくてもよいし、端部16dから離間していてもよい。
粒成長領域Rは、X軸方向から見た場合に、例えば、端部16dから延びるZ軸方向に平行な直線Lzと0度以上45度以下の鋭角αをなす直線Laに沿って延びる。直線Laは、直線Lzからカバー部19側に鋭角αをなす直線でもよいし、直線Lzからサイドマージン部20側に鋭角αをなす直線でもよい。
粒成長領域RのX軸方向から見た断面形状は、略同一の幅で延びる帯状に限定されず、端部16dと周面11eとの間の中間部分でカバー部19側及びサイドマージン部20側に広がっていてもよい。あるいは、周面11e側及び端部16d側の少なくとも一方に向かって膨出した形状でもよい。
ここで、セラミック結晶粒17r間の結晶粒界は、結晶粒17r内よりも機械的な強度が低い。つまり、積層セラミックコンデンサ10が外力を受けた場合、結晶粒界がクラックの起点となりやすく、クラックが発生した場合、結晶粒界に沿ってクラックが進行しやすい。
粒成長領域Rでは、結晶粒17rが大きいため、クラックの起点となりうる結晶粒界も少なく、クラックの発生及び進行を抑制することができる。
さらに、粒成長領域R及びその近傍には、湾曲面11dが存在する。湾曲面11dには外力が付加されやすく、特にクラックが発生しやすい。本実施形態では、湾曲面11d及びその近傍に粒成長領域Rを設けることで、クラックの発生を効果的に防止することができる。
カバー部19及びサイドマージン部20の少なくとも一方が20μm以下と非常に薄く構成された場合、クラックが容量形成部16まで容易に到達する。クラックが容量形成部16に到達した場合、積層セラミックコンデンサ10の絶縁性や耐環境性を低下させ、ショートを引き起こすこともある。粒成長領域Rを周縁部17に設けることにより、周縁部17が薄い場合でも、クラックが容量形成部16まで到達することを防止することができる。したがって、積層セラミックコンデンサ10の小型化と信頼性の向上とを両立させることができる。
また、周縁部17において、容量形成部16の端部16d近傍の厚みは特に薄くなりやすい。そこで、湾曲面11dが、端部16dよりもY軸方向内方まで延出し主面11cからZ軸方向に盛り上がって形成された延出部11fを含んでいてもよい。これにより、容量形成部16の端部16d近傍における周縁部17の厚みを十分に確保でき、積層セラミックコンデンサ10の絶縁性及び耐環境性を確保することができる。
湾曲面11dが延出部11fを含む場合、粒成長領域Rは、湾曲面11dの延出部11fに達するように形成されてもよい。これにより、端部16d近傍におけるクラックの発生及び進行を抑制し、積層セラミックコンデンサ10の絶縁性及び耐環境性を向上させることができる。
以上より、本実施形態によれば、小型で、かつ絶縁性及び耐環境性の高い積層セラミックコンデンサ10を提供することができる。すなわち、積層セラミックコンデンサ10の信頼性を高めるとともに、寿命を向上させることができる。
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図5は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図6~10は積層セラミックコンデンサ10の製造過程を模式的に示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図5に沿って、図6~10を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:積層チップ作製)
ステップS01では、容量形成部16を形成するための第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102と、カバー部19を形成するための第3セラミックシート103と、を準備し、これらを図6に示すように積層して切断し、図7に示す未焼成の積層チップ21を作製する。
セラミックシート101,102,103は、誘電体セラミックスを主成分とする未焼成の誘電体グリーンシートであり、複数の積層チップ21を作製するための大判のシートである。第1セラミックシート101には、未焼成の第1内部電極12が形成される。第2セラミックシート102には未焼成の第2内部電極13が形成される。第3セラミックシート103には内部電極が形成されていない。
ステップS01では、第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102が交互に積層され、かつセラミックシート101,102の積層体のZ軸方向上下面に第3セラミックシート103が積層される。第3セラミックシート103の枚数は、図6で示す例に限定されず、例えば、焼成後のカバー部19のZ軸方向に沿った厚み寸法が20μm以下となるように調整することができる。
続いて、積層された各セラミックシート101,102,103が圧着され、圧着されたシートを切断して個片化する。これにより、図7に示すように、未焼成の容量形成部16及びカバー部19を備えた積層チップ21が得られる。
(ステップS02:サイドマージン部形成)
ステップS02では、ステップS01で作製された積層チップ21の側面Sに未焼成のサイドマージン部20を設けることにより、未焼成のセラミック素体11を作製する。以下、ステップS02において、積層チップ21の側面Sに未焼成のサイドマージン部20を設ける方法の一例について説明する。
まず、図8に示すように、平板状のベース部材Eの上にセラミックシート20sを配置し、テープTで一方の側面Sを保持した積層チップ21の他方の側面Sをセラミックシート20sに対向させる。ベース部材Eは、例えば、シリコーン系エラストマーなどのヤング率が低く柔らかい材料で形成される。
セラミックシート20sに対向するカバー部19の側面には、酸化チタン(TiO)を含有したペーストPが塗布されている。酸化チタン含有ペーストPは、セラミックシート20sと積層チップ21との接着性を高めるとともに、後述するように、粒成長領域Rの形成を促す。
セラミックシート20sは、未焼成のサイドマージン部20を形成するための大判の誘電体グリーンシートとして構成される。セラミックシート20sは、例えば、ロールコーターやドクターブレードなどを用いることにより、均一な厚さの平坦なシートとして成形することができる。セラミックシート20sの厚み寸法は、例えば、焼成後のサイドマージン部20の厚み寸法が20μm以下になるように調整される。
次に、図9に示すように、積層チップ21の側面Sでセラミックシート20sを押圧する。積層チップ21は、セラミックシート20sとともにベース部材Eに局所的に深く沈み込む。これにより、セラミックシート20sの積層チップ21とともに沈み込んだ部分がサイドマージン部20として切り離され、未焼成の容量形成部16及び未焼成の周縁部17(カバー部19及びサイドマージン部20)を備えた未焼成のセラミック素体11が作製される。
また、ベース部材Eとして柔らかい材料を用いることにより、積層チップ21がセラミックシート20sに深く沈み込み、ベース部材Eから押圧力を受けてサイドマージン部20の端部の角が潰れる。これにより、サイドマージン部20の端部が丸みを帯び、湾曲面11dが形成される。また、湾曲面11dの端部は、セラミックシート20sから切り離される際に、積層チップ21に沿って引き延ばされ、延出部11fが形成される。
(ステップS03:焼成)
ステップS03では、ステップS02で得られた未焼成のセラミック素体11を焼成することにより、図1~3に示す積層セラミックコンデンサ10のセラミック素体11を作製する。
ステップS03における焼成温度は、セラミック素体11の焼結温度に基づいて決定することができる。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料を用いる場合には、焼成温度は1000~1300℃程度とすることができる。また、焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。
焼成により、セラミック素体11ではセラミック結晶粒の粒成長が進むとともに緻密化する。カバー部19とサイドマージン部20の境界部付近では、塗布された酸化チタン含有ペーストPに含まれるチタン(Ti)及び酸素(O)が拡散する。これにより、セラミック結晶粒がこれらの原子を取り込んで特に粒成長が促され、当該境界部に粒成長領域Rが形成される。
粒成長領域Rの形成方法は酸化チタン含有ペーストPの塗布に限定されない。例えばカバー部19とサイドマージン部20の焼成時の収縮挙動を制御し、これらの境界部に内部応力を付加すること等によって粒成長を促すこともできる。
(ステップS04:外部電極形成)
ステップS04では、ステップS03で得られたセラミック素体11のX軸方向両端部に外部電極14,15を形成することにより、図1~3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。ステップS04における外部電極14,15の形成方法は、公知の方法から任意に選択可能である。
なお、外部電極14,15は、未焼成のセラミック素体11と同時焼成してもよい。すなわち、ステップS02の後に未焼成のセラミック素体11のX軸方向両端部に未焼成の外部電極を形成し、ステップS03で未焼成のセラミック素体11と同時に焼成することで外部電極14,15を形成することも可能である。
以上により、積層セラミックコンデンサ10が完成する。この製造方法では、内部電極12,13が露出した積層チップ21の側面Sにサイドマージン部20が後付けされるため、セラミック素体11における複数の内部電極12,13の端部のY軸方向の位置が、0.5μm以内のばらつきでZ軸方向に沿って揃う。
積層セラミックコンデンサ10が実際に高い機械的強度を有することを確認するため、実施例及び比較例として以下の2種類のサンプルを作製した。
まず、実施例として、上記製造方法に基づいて粒成長領域が形成された積層セラミックコンデンサのサンプルを作製した。このサンプルは、焼成後のセラミック素体のX軸方向の寸法が1mm、Y軸方向及びZ軸方向の寸法が0.5mm、カバー部の厚み寸法D1は20μm、サイドマージン部の厚み寸法D2は20μmとなるように設計された。また、粒成長領域の平均結晶粒径は500nm、カバー部19の中央部の平均結晶粒径は200nmであった。
比較例として、実施例に係る積層セラミックコンデンサのサンプルと同一のサイズ及び基本構成を有し、かつ、粒成長領域を有さないサンプルを作製した。
上記実施例及び比較例のサンプルをそれぞれ1000個ずつ用いて落下試験を行い、境界部におけるクラックの発生率を算出した。落下試験は、0.5mの高さから、サンプルを1個ずつ落下させることにより行った。クラックの発生は、目視にて確認した。
この結果、実施例のサンプルでは、1000個中クラックが発生したサンプルが0個であったのに対し、比較例のサンプルでは、1000個中3個のサンプルでクラックが発生していた。これにより、カバー部とサイドマージン部の境界部に粒成長領域を形成することによって、積層セラミックコンデンサの機械的強度が高まり、信頼性が向上することが確認された。
<第2実施形態>
以上の第1実施形態では、サイドマージン部20がカバー部19と容量形成部16とをY軸方向から覆う構成について説明したが、この構成に限定されない。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図11及び12は、第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ30を示す図である。図11は、図3と同様の位置で切断した断面図である。図12は、図11の領域XIIの拡大図であり、図4と同様の位置の拡大断面図である。
積層セラミックコンデンサ30は、容量形成部16と、カバー部39及びサイドマージン部40を有する周縁部37と、を備え、カバー部39が、容量形成部16とサイドマージン部40とをZ軸方向から覆っている。
図12に示す例では、カバー部39及びサイドマージン部40の境界部に形成された粒成長領域Rが、端部16dからY軸方向に平行な直線Lyと45度以下の鋭角βをなす直線Lbに沿って延びている。直線Lbは、直線Lyよりもサイドマージン部40側に延びる直線でもよいし、直線Lyよりもカバー部39側に延びる直線でもよい。粒成長領域Rの断面形状については第1実施形態で説明したような種々の形状を採り得る。
図13は、積層セラミックコンデンサ30の製造過程を示す図であり、未焼成のセラミック素体31の積層構造を示す斜視図である。
同図に示すように、Y軸方向両端部にサイドマージン部Mを有するように内部電極12,13がパターンニングされたセラミックシート301,302を積層し、この積層体304のZ軸方向上下面にカバー部39を形成するセラミックシート303が積層される。これにより、未焼成のセラミック素体31が作製される。この場合も、実際は大判のシートとして構成された積層シートが形成され、1個のセラミック素体31に対応する積層体ごとに個片化される。
本実施形態では、例えば、セラミックシート301,302の積層体304における最外層のセラミックシート301,302のサイドマージン部Mに、酸化チタン含有ペーストを塗布する。これにより、焼成工程において、第1実施形態と同様に、サイドマージン部40とカバー部39との境界部のセラミック結晶粒の粒成長が促され、粒成長領域Rが形成される。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では積層セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサ10について説明したが、本発明は積層セラミック電子部品全般に適用可能である。このような積層セラミック電子部品としては、例えば、チップバリスタ、チップサーミスタ、積層インダクタなどが挙げられる。
10,30…積層セラミックコンデンサ(積層セラミック電子部品)
11,31…セラミック素体
12,13…内部電極
16…容量形成部
17,37…周縁部
18…セラミック層
19,39…カバー部
20,40…サイドマージン部
R…粒成長領域

Claims (4)

  1. 第1方向にセラミック層を介して積層された複数の内部電極を有する容量形成部と、
    前記容量形成部の周囲に設けられ絶縁性セラミックスにより形成された周縁部と、
    を具備し、
    前記周縁部は、
    前記容量形成部の前記第1方向外方に設けられたカバー部と、
    前記容量形成部の前記第1方向に直交する第2方向外方に設けられたサイドマージン部と、
    前記カバー部と前記サイドマージン部との境界部に形成され、前記サイドマージン部の中央部よりも前記絶縁性セラミックスの結晶粒の平均粒径が大きい粒成長領域と、を有する
    積層セラミック電子部品。
  2. 請求項1に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記粒成長領域の前記絶縁性セラミックスの結晶粒の平均粒径は300nm以上である
    積層セラミック電子部品。
  3. 請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記サイドマージン部の前記第2方向における厚み寸法は、20μm以下である 積層セラミック電子部品。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記カバー部の前記第1方向における厚み寸法は、20μm以下である
    積層セラミック電子部品。
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