JP7274282B2 - 積層セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サイドマージン部が後付けされる積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
代表的な積層セラミック電子部品に積層セラミックコンデンサがある。近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサに対する大容量化等の要望がますます強くなってきている。この要望に応えるためには、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極の交差面積を極力大きくすることが有効である。
内部電極の交差面積を大きくするためには、例えば特許文献1に記載の発明のように、内部電極を側面に露出させた積層チップに、内部電極の周囲の絶縁性を確保するためのサイドマージン部を後付けする手法が有効である。これにより、サイドマージン部を薄く形成することが可能となり、内部電極の交差面積を相対的に大きくとることができる。
特開2012-209539号公報
上記のようにサイドマージン部を後付けする手法では、圧着された積層チップと後付けのサイドマージン部との間に密度差が生じ、得られたセラミック素体を面取りすることにより角部から内部電極が露出する場合がある。このため、内部電極の露出部位から水分やめっき液が侵入しやすくなり、積層セラミックコンデンサの耐湿性の低下を招いてしまう。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、耐湿性及び大容量を兼ね備える積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミック電子部品は、セラミック素体を具備する。上記セラミック素体は、積層体と、サイドマージン部と、を有する。
上記積層体は、第1方向に積層された複数のセラミック層と、上記複数のセラミック層の間に配置された複数の内部電極と、を有する容量形成部と、上記第1方向と直交する第2方向を向いた側面と、上記第1及び第2方向と直交する第3方向を向いた端面と、上記容量形成部から上記第3方向に延び、上記内部電極が引き出された引出部と、上記第1方向の寸法が20μm未満であり、上記容量形成部及び上記引出部を上記第1方向から覆うカバー部と、を有する。
上記サイドマージン部は、上記第2方向の寸法が20μm未満であり、上記積層体の上記側面を覆う。
上記引出部は、上記第1方向の中央部に配置された第1領域と、上記カバー部と上記第1領域との間に配置され、上記内部電極の上記第2方向の端部が上記第1領域よりも上記第2方向の内側に位置する第2領域と、を含む。
前記サイドマージン部の前記第2方向の寸法をa、前記第2領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部と前記第1領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部との前記第2方向の距離をbとしたときに、5μm≦b≦2.5aを満たす。
この構成によれば、引出部の第2領域に引き出された内部電極の第2方向の端部が、第1領域よりも第2方向の内側に位置するため、積層体の角部に内部電極が配置されない領域が形成される。これにより、当該角部ではセラミック素体外部から内部電極までの距離を確保することができるため、内部電極の外界への露出を抑制し、耐湿性が向上する。
これに加えて、上記構成では、第2領域において内部電極が配置されない領域を、サイドマージン部が特に薄くなりやすいセラミック素体の角部付近、即ち積層体の角部のみとしているため、交差面積を維持しつつ耐湿性を向上させることができる。よって、本構成の積層セラミック電子部品は、高い耐湿性を備えかつ大容量を確保することが可能となっている。
上記サイドマージン部の上記第2方向の寸法をa、上記第2領域に配置された上記内部電極の上記第2方向の端部と上記第1領域に配置された上記内部電極の上記第2方向の端部との上記第2方向の距離をbとしたときに、a+b≧15μmを満たすようにしてもよい。
また、上記カバー部の上記第1方向の寸法をc、上記第1領域の最外層に配置された上記内部電極と上記第2領域の最外層に配置された上記内部電極との上記第1方向の距離をdとしたときに、5μm≦d≦2.5c及びc+d≧15μmを満たすようにしてもよい。
上記各条件を満たすことにより、耐湿性及び静電容量をよりバランス良く向上させることが可能となる。
本発明の一形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、第1方向に積層された複数のセラミック層と、上記複数のセラミック層の間に配置された複数の内部電極と、を有する容量形成部と、上記第1方向と直交する第2方向を向いた側面と、上記第1及び第2方向と直交する第3方向を向いた端面と、上記容量形成部から上記第3方向に延び、上記複数の内部電極が引き出された引出部と、上記容量形成部及び上記引出部を上記第1方向から覆うカバー部と、を有し、上記引出部が、上記第1方向の中央部に配置された第1領域と、上記カバー部と上記第1領域との間に配置され、上記内部電極の上記第2方向の端部が上記第1領域よりも上記第2方向の内側に位置する第2領域と、を含む積層体が作製される。
上記側面にサイドマージン部が形成されることでセラミック素体が作製される。
上記セラミック素体が面取りされる。
前記サイドマージン部の前記第2方向の寸法をa、前記第2領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部と前記第1領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部との前記第2方向の距離をbとしたときに、5μm≦b≦2.5aを満たす。
上記セラミック素体はバレル研磨によって面取りしてもよい。
この構成により、上記のような耐湿性及び大容量を兼ね備える積層セラミック電子部品を製造することができる。
また、この構成によれば、バレル研磨などによりセラミック素体が面取りされる際、セラミック素体の角部が大きく摩耗されても内部電極が露出することがない。よって、セラミック素体に外部電極を形成する際に、めっき液の積層体への浸入を防止することができる。
以上述べたように、本発明によれば、耐湿性及び大容量を兼ね備える積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサのセラミック素体の斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のA-A'線に沿った斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のB-B'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの積層体の斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの積層体の分解斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図2のC-C'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図7のQで示した領域の拡大断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す平面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
[積層セラミックコンデンサ10の概要]
図1~4は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10のセラミック素体11を示す斜視図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA-A'線に沿った断面図である。図4は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB-B'線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を備える。セラミック素体11は、典型的には、X軸方向を向いた2つの端面と、Y軸方向を向いた2つの側面Sと、Z軸方向を向いた2つの主面と、を有する六面体として構成される。セラミック素体11は、六面体の各頂点に、8つの角部C11を有する。セラミック素体11の各面を接続する稜部、及び角部C11は丸みを帯びた形状となっている。
外部電極14,15は、セラミック素体11の端面を覆い、セラミック素体11を挟んでX軸方向に対向している。外部電極14,15は、セラミック素体11の端面から主面及び側面に延出している。これにより、外部電極14,15では、X-Z平面に平行な断面、及びX-Y平面に平行な断面がいずれもU字状となっている。
なお、外部電極14,15の形状は、図1に示すものに限定されない。例えば、外部電極14,15は、セラミック素体11の端面から一方の主面のみに延び、X-Z平面に平行な断面がL字状となっていてもよい。また、外部電極14,15は、いずれの主面及び側面にも延出していなくてもよい。
外部電極14,15は、電気の良導体により形成されている。外部電極14,15を形成する電気の良導体としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属又は合金が挙げられる。
セラミック素体11は、誘電体セラミックスで形成され、積層体16と、サイドマージン部17と、を有する。積層体16は、X軸方向を向いた2つの端面T1,T2と、Y軸方向を向いた2つの側面S1,S2と、Z軸方向を向いた2つの主面M1,M2と、を有し、X-Y平面に沿って延びる平板状の複数のセラミック層がZ軸方向に積層された構成を有する。サイドマージン部17は、積層体16の両側面S1,S2に形成されている。
積層体16は、容量形成部18と、引出部19と、カバー部20と、を有する。容量形成部18は、誘電体セラミックスに覆われた第1内部電極12及び第2内部電極13を有する。内部電極12,13は、いずれもX-Y平面に沿って延びるシート状であり、Z軸方向に沿って交互に配置されている。つまり、内部電極12,13は、セラミック層を挟んでZ軸方向に対向している。
図4に示すように、内部電極12,13は、容量形成部18のY軸方向の全幅にわたって形成され、その両端部が積層体16の両側面S1,S2に配置されている。詳細については後述するが、本実施形態では、容量形成部18において内部電極12,13が両側面S1,S2に露出した積層体16に対してサイドマージン部17が後付けされる。このため、容量形成部18では、内部電極12,13のY軸方向両端部の位置が、Y軸方向において0.5μmの範囲内に相互に揃っている。
引出部19は、容量形成部18のX軸方向両側に配置されている。端面T1側の引出部19には、容量形成部18の第1内部電極12が引き出されており、端面T1において第1内部電極12の端部を通じて第1外部電極14に接続されている。一方、端面T2側の引出部19には、容量形成部18の第2内部電極13が引き出されており、端面T2において第2内部電極13の端部を通じて第2外部電極15に接続されている。
端面T1側の引出部19の第1内部電極12間のセラミック層は、第2内部電極13と第1外部電極14との絶縁性を確保するエンドマージンとして機能する。同様に、端面T2側の引出部19の第2内部電極13間のセラミック層は、第1内部電極12と第2外部電極15との絶縁性を確保するエンドマージンとして機能する。
このような構成により、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間に電圧が印加されると、第1内部電極12と第2内部電極13との間の複数のセラミック層に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
カバー部20は、容量形成部18及び引出部19をZ軸方向上下から被覆する。これにより、カバー部20と、容量形成部18及び引出部19と、の間に上面M3及び底面M4が形成される。また、カバー部20のZ軸方向外側面は積層体16の主面M1,M2となる。
容量形成部18は、引出部19が設けられたX軸方向両端面以外の面がサイドマージン部17及びカバー部20によって覆われている。また、引出部19は、外部電極14,15が設けられたX軸方向両端面及び容量形成部18との接続面以外の面がサイドマージン部17及びカバー部20によって覆われている。したがって、容量形成部18及び引出部19では、サイドマージン部17及びカバー部20によってその周囲が保護され、内部電極12,13の絶縁性が確保される。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10では、カバー部20の厚み(Z軸方向の寸法)及びサイドマージン部17の厚み(Y軸方向の寸法)を小さくすることにより、容量形成部18を大きくすることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、大容量が得られる。具体的に、積層セラミックコンデンサ10におけるカバー部20及びサイドマージン部17の厚みは、いずれも20μm未満である。
また、セラミック素体11では、内部電極12,13間の各セラミック層の容量を大きくするため、高誘電率の誘電体セラミックスが用いられる。高誘電率の誘電体セラミックスとしては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料が挙げられる。
なお、セラミック層は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系、チタン酸カルシウム(CaTiO)系、チタン酸マグネシウム(MgTiO)系、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)系、チタン酸ジルコン酸カルシウム(Ca(Zr,Ti)O)系、ジルコン酸バリウム(BaZrO)系、酸化チタン(TiO)系などで構成してもよい。
内部電極12,13は、電気の良導体により形成されている。内部電極12,13を形成する電気の良導体としては、典型的にはニッケル(Ni)が挙げられ、この他にも銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属又は合金が挙げられる。
なお、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、積層体16及びサイドマージン部17を備えていればよく、その他の構成について適宜変更可能である。例えば、内部電極12,13の枚数は、積層セラミックコンデンサ10に求められるサイズや性能に応じて、適宜決定可能である。
[引出部19の構成]
図5~8を参照しながら引出部19の構成について説明する。なお、図5~8では積層体16の端面T1側の引出部19の構成のみ図示している。端面T1とX軸方向反対側にある端面T2側の引出部19においては、内部電極12の代わりに内部電極13が引き出されている点以外は端面T1側の引出部19と同様の構成を有するため、その説明を省略する。
(概略構成)
図5は、積層体16の斜視図である。図5に示すように、積層体16の端面T1側の引出部19では、詳細構成にて詳述するように、引出部19の第2領域19bに引き出された内部電極12bのY軸方向の端部が、引出部19の第1領域19aに引き出された内部電極12aのY軸方向の端部よりもY軸方向内側に位置している。これにより、端面T1及びT2側の第2領域19bに、内部電極12が配置されない略直方体形状の領域Pが8つ形成されている。
領域P内部は、セラミック層及びサイドマージン部17と同種のセラミック材料で構成されている。このため、セラミック素体11の8つの角部C11において外界と内部電極12との間の距離を十分に確保することができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、カバー部20及びサイドマージン部17の厚みを20μm未満に薄く形成しても、高い耐湿性を得ることが可能となる。
領域Pは、積層体16のカバー部20を除いた六面体部分の8つの角部にのみ形成されている。言い換えれば、領域Pは、サイドマージン部17が特に薄くなりやすいセラミック素体11の8つの角部C11付近にのみ形成されている。これにより、耐湿性を確保するために必要な領域Pを必要最小限の領域とすることで、容量形成部18に影響を与えず交差面積を確保することができる。よって、積層セラミックコンデンサ10は、高い耐湿性を備えかつ大容量を確保することが可能となる。
さらに、上記のように領域Pを必要最小限の領域とすることで、第1内部電極12の端部と第1外部電極14との接触面積を確保することができる。これにより、第1内部電極12及び第1外部電極14間の良好な導通を得ることが可能となる。
(詳細構成)
図6は、図5に示した積層体16をZ軸方向に分解した分解斜視図である。図7は、積層セラミックコンデンサ10の図2のC-C'線に沿った断面図である。
図7に示されるように、引出部19は、第1領域19a及び第2領域19bを有する。第1領域19aは、引出部19においてZ軸方向中央部に配置されている。第2領域19bは、第1領域19aとZ軸方向上下のカバー部20との間にそれぞれ配置されている。
また、図6に示されるように、第1領域19aは、端面T1側に引き出された内部電極12aが形成された層と、端面T2側に引き出された内部電極13aが形成された層と、が交互に積層された構造を有する。内部電極13aが形成された層は、端面T1側の第1領域19a全体に、X-Y平面に沿って延びる非電極形成領域N1が形成されている。非電極形成領域N1は、内部電極13aと第1外部電極14とを絶縁するエンドマージンとしての機能を有する。上記各層が複数積層することで、図7に示すような、引出部19のZ軸方向中央部となる第1領域19aが形成される。
第2領域19bは、端面T1側に引き出された内部電極12bが形成された層と、端面T2側に引き出された内部電極13bが形成された層が交互に積層された構造を有する。内部電極12bが形成された層は、Y軸方向両端部にX-Y平面に沿って延びる略長方形状の非電極形成領域N2がそれぞれ形成されている。端面T1側に引き出された内部電極12bは、非電極形成領域N2によって、Y軸方向に窄んだ形状となっている。また、端面T2側に引き出された内部電極13bについても上記と同様の構成を有し、端面T1側の第2領域19b全体に、X-Y平面に沿って延びる非電極形成領域N1が形成されている。
上記各層が複数積層することで、図7に示すように、カバー部20と第1領域19aとの間に2つの第2領域19bが形成される。なお、図6に示す例では、第1領域19aを形成する層として内部電極12a,13aがそれぞれ1層ずつ積層されているが、内部電極12a,13aの数は適宜変更可能である。同様に、第1領域19aのZ軸方向上下の第2領域19bを形成する層として内部電極12b,13bがそれぞれ1層ずつ積層されているが、内部電極12b,13bの数は適宜変更可能である。
第2領域19bには、上記のように非電極形成領域N1を有する層と、非電極形成領域N2を有する層と、が交互に積層している。図7に示すように、第2領域19bに引き出された内部電極12bのY軸方向端部は、第1領域19aに引き出された内部電極12aのY軸方向の端部よりもY軸方向内側に位置している。これにより、第2領域19bに引き出された内部電極12bのY軸方向端部と、第1領域19aに引き出された内部電極12aの最外層(最上層又は最下層)と、サイドマージン部17と、カバー部20と、に囲まれた領域に、少なくとも1層以上の内部電極12bが配置されない略直方体状の領域Pが形成される。領域Pは、端面T1及びT2側の第2領域19bの、積層体16のカバー部20を除いた六面体部分の8つの角部に形成される。
図8は、図7の破線で囲われた領域Qを拡大した拡大断面図である。また、図8は、後述する図18の拡大断面図を兼ねている。図8には、寸法a~dが示されており、寸法a~dの比率及び値が所定の関係を満たすことが好ましい。寸法aは、積層体16をY軸方向から覆うサイドマージン部17の厚み(Y軸方向の寸法)である。上述のとおり、寸法aは、20μm未満である。寸法bは、第2領域19bに引き出された内部電極12bのY軸方向の端部と第1領域19aに引き出された内部電極12aのY軸方向の端部とのY軸方向の距離に対応する値である。これにより、領域Pの好ましい形状が規定される。
積層体16をY軸方向から覆うサイドマージン部17の厚みは、セラミック素体11の角部C11において特に薄くなりやすい。そのため、角部C11付近の構成としては、セラミック素体11外部から内部電極12a,12bまでの距離を確保するため、b≧5μm及びa+b≧15μmを満たすことが好ましい。当該条件を満たした領域Pにより、内部電極12a,12bの外界への露出を抑制することができ、積層セラミックコンデンサ10の耐湿性を向上させることが可能となる。
さらに、領域Pは、b≦2.5aの条件を満たすことがより好ましい。当該条件を満たした領域Pにより、容量形成部18の交差面積を維持しつつ耐湿性を向上させることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10は、高い耐湿性を備えかつ大容量を確保することが可能となる。
また、寸法cは、容量形成部18及び引出部19をZ軸方向から覆うカバー部20の厚み(Z軸方向の寸法)である。上述のとおり、寸法cは、20μm未満である。寸法dは、第1領域19aの最外層(最上層又は最下層)に配置された内部電極12aと第2領域19bの最外層(最上層又は最下層)に配置された内部電極12bとのZ軸方向の距離に対応する値である。これにより、領域Pの好ましい形状が規定される。
容量形成部18及び引出部19をZ軸方向から覆うカバー部20の厚みは、セラミック素体11の角部C11において特に薄くなりやすい。そのため、角部C11付近の構成としては、セラミック素体11外部から内部電極12a,12bまでの距離を確保するため、d≧5μm及びc+d≧15μmを満たすことが好ましい。当該条件を満たした領域Pにより、内部電極12a,12bの外界への露出を抑制することができ、積層セラミックコンデンサ10の耐湿性を向上させることが可能となる。
さらに、領域Pは、d≦2.5cの条件を満たすことがより好ましい。当該条件を満たした領域Pにより、容量形成部18の交差面積を維持しつつ耐湿性を向上させることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10は、高い耐湿性を備えかつ大容量を確保することが可能となる。
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図9は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図10~18は積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図9に沿って、図10~18を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:セラミックシート準備)
ステップS01では、容量形成部18及び引出部19の第1領域19aを形成するための第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102と、容量形成部18及び引出部19の第2領域19bを形成するための第3セラミックシート103及び第4セラミックシート104と、カバー部20を形成するための第5セラミックシート105と、を準備する。セラミックシート101~105は、絶縁性セラミックスを主成分とし、未焼成の誘電体グリーンシートとして構成される。セラミックシート101~105は、例えば、ロールコーターやドクターブレードを用いてシート状に成形される。
図10は、セラミックシート101~105の平面図である。この段階では、セラミックシート101~105は各積層セラミックコンデンサ10ごとに切り分けられていない。図10には、各積層セラミックコンデンサ10ごとに切り分ける際の切断線Lx,Lyが示されている。切断線LxはX軸に平行であり、切断線LyはY軸に平行である。
図10に示すように、第1セラミックシート101には内部電極12aに対応する未焼成の内部電極112aが形成され、第2セラミックシート102には内部電極13aに対応する未焼成の内部電極113aが形成され、第3セラミックシート103には内部電極12bに対応する未焼成の内部電極112bが形成され、第4セラミックシート104には第4内部電極13bに対応する未焼成の内部電極113bが形成されている。なお、カバー部20に対応する第5セラミックシート105には内部電極が形成されていない。
内部電極112a,113a,112b及び113bは、例えば、ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。導電性ペーストによる内部電極112a,113a,112b及び113bの形成には、例えば、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を用いることができる。
内部電極112a,113a,112b,113b及び非電極形成領域N1は、切断線Lyによって仕切られたX軸方向に隣接する2つの領域にわたって配置され、Y軸方向に帯状に延びている。非電極形成領域N2は、Y軸方向に沿って一定間隔ごとに複数配置されている。
セラミックシート101に配置された内部電極112a及びセラミックシート103に配置された内部電極112bと、セラミックシート102に配置された内部電極113a及びセラミックシート104に配置された内部電極113bとでは、切断線Lyによって仕切られた領域1列ずつX軸方向にずらされている。つまり、内部電極112a及び内部電極112bの中央を通る切断線Lyが内部電極113a及び内部電極113bの間の領域を通り、内部電極113a及び内部電極113bの中央を通る切断線Lyが内部電極112a及び内部電極112bの間の領域を通っている。
セラミックシート101~104に配置された非電極形成領域N1は、切断線Lyによって仕切られた領域1列ずつX軸方向にずらされている。同様に、セラミックシート103及び104に配置された非電極形成領域N2は、切断線Lyによって仕切られた領域1列ずつX軸方向にずらされている。
(ステップS02:積層)
ステップS02では、ステップS01で準備したセラミックシート101~105を積層することにより積層シート106を作製する。
図11は、ステップS02で得られる積層シート106の分解斜視図である。図11では、説明の便宜上、セラミックシート101~105を分解して示している。しかし、実際の積層シート106では、セラミックシート101~105が静水圧加圧や一軸加圧などにより圧着されて一体化される。
積層シート106では、容量形成部18及び引出部19に対応するセラミックシート101~105がZ軸方向に積層される。具体的には、積層シート106のZ軸方向中央部では、容量形成部18及び引出部19の第1領域19aに対応する第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102がZ軸方向に交互に積層され、当該Z軸方向中央部の上下面には、容量形成部18及び引出部19の第2領域19bに対応する第3セラミックシート103及び第4セラミックシート104がZ軸方向に交互に積層される。
また、積層シート106では、第1セラミックシート101に形成された非電極形成領域N1と、第2セラミックシート102に形成された非電極形成領域N1とは、X軸方向に互い違いに配置される。即ち、端面T1側及びT2側の2つの第1領域119aに引き出された内部電極112aと、内部電極113aとは、X軸方向に互い違いに配置される。
さらに、積層シート106では、第3セラミックシート103に形成された非電極形成領域N1と、第4セラミックシート104に形成された非電極形成領域N1とは、X軸方向に互い違いに配置される。同様に、第3セラミックシート103に形成された非電極形成領域N2と、第4セラミックシート104に形成された非電極形成領域N2とは、X軸方向に互い違いに配置される。即ち、端面T1側及びT2側の2つの第2領域119bに引き出された内部電極112bと、内部電極113bとは、X軸方向に互い違いに配置される。
なお、図11に示す例では、第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102がそれぞれ1枚ずつ積層されているが、第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102の枚数は適宜変更可能である。同様に、第3セラミックシート103及び第4セラミックシート104がそれぞれ2枚ずつ積層されているが、第3セラミックシート103及び第4セラミックシート104の枚数は適宜変更可能である。
また、積層シート106では、カバー部20に対応する第5セラミックシート105が最外層として積層されている。なお、図11に示す例では、第5セラミックシート105がそれぞれ3枚ずつ積層されているが、第5セラミックシート105の枚数は、焼成後のカバー部20の厚みが20μm未満となるように、適宜変更可能である。
(ステップS03:切断)
ステップS03では、ステップS02で得られた積層シート106を回転刃や押し切り刃等によって切断することにより未焼成の積層体116を作製する。
図12は、ステップS03の後の積層シート106の平面図である。積層シート106は、保持部材Dに固定された状態で、切断線Lx,Lyに沿って切断される。これにより、積層シート106が個片化され、積層体116が得られる。このとき、保持部材Dは切断されておらず、各積層体116は保持部材Dによって接続されている。
図13は、ステップS03で得られる積層体116の斜視図である。積層体116には、未焼成の容量形成部118と、第1領域119a及び第2領域119bからなる未焼成の引出部119と、未焼成のカバー部120と、が形成されている。積層体116では、切断面であるY軸方向を向いた両側面S1,S2に未焼成の第1及び第2内部電極112,113が露出している。また、切断面であるZ軸方向を向いた端面T1には、未焼成の内部電極112a,112bの端部が露出し、端面T2には未焼成の内部電極113a,113bの端部が露出している。
第2領域119bのY軸方向両端部には、上記のように内部電極112b,113bをパターニングすることにより、内部電極112b,113bが配置されない領域Pが形成される。なお、図13に示す例では、端面T1側の4つの領域Pのみ図示するが、領域Pは未焼成の積層体116のカバー部120を除いた部分の8つの角部全てに形成されている。
(ステップS04:サイドマージン部形成)
ステップS04では、積層体116の側面S1及びS2に未焼成のサイドマージン部117を設けることにより、未焼成のセラミック素体111を作製する。以下、積層体116の側面S1及びS2に未焼成のサイドマージン部117を設ける方法の一例について説明する。
ステップS04では、積層体116の側面S1及びS2にサイドマージン部117を設けるために、テープなどの保持部材の貼り替えなどにより積層体116の向きが適宜変更される。
特に、ステップS04では、ステップS03における積層体116の切断面であるY軸方向を向いた側面S1及びS2にサイドマージン部117が設けられる。このため、ステップS04では、予め保持部材Dから積層体116を剥がし、積層体116の向きを90度回転させておくことが好ましい。
図14~図16は、ステップS04のプロセスを示す模式図であり、積層体116にサイドマージンシート117sが打ち抜かれる様子を示す図である。以下、ステップS04のプロセスについて順を追って説明する。
まず、図14に示すように、テープTで一方の側面S2を保持した積層体116の他方の側面S1を、平板状の弾性体Eの上に配置されたサイドマージンシート117sに対向させる。サイドマージンシート117sは、未焼成のサイドマージン部117を形成するための大判の誘電体グリーンシートとして構成される。
サイドマージンシート117sの厚みによって、焼成後のサイドマージン部17の厚みを20μm未満に調整可能である。サイドマージンシート117sは、例えば、ロールコーターやドクターブレードを用いてシート状に成形することにより、厚みを正確に制御可能である。
次に、図15に示すように、積層体116の側面S1をサイドマージンシート117sに押し付け、積層体116をサイドマージンシート117sとともに弾性体Eに沈みこませる。このとき、サイドマージンシート117sは、弾性体Eから加わるせん断力によって、積層体116に押圧された領域のみが切り離される。
そして、図16に示すように、積層体116を弾性体Eから離間するように移動させると、サイドマージンシート117sにおける積層体116の側面S1に貼り付いた部分のみが弾性体Eから離間する。これにより、積層体116の側面S1にサイドマージン部117が形成される。
続いて、図16に示す積層体116を別のテープTに張り替えることにより、積層体116のY軸方向の向きを反転させる。そして、サイドマージン部117が形成されていない積層体116の反対側の側面S2にも、上記と同様の要領でサイドマージン部117を形成する。
これにより、図17に示すように、積層体116の側面S1及びS2にサイドマージン部117が形成された未焼成のセラミック素体111が得られる。未焼成のセラミック素体111では、内部電極112,113の両方が露出した積層体116の側面S1及びS2がサイドマージン部117によって覆われている。
なお、積層体116の側面S1及びS2にサイドマージン部117を形成する方法は、上記のサイドマージンシート117sを打ち抜く方法に限定されない。例えば、予め切断されているサイドマージンシート117sを積層体116の側面S1及びS2に貼り付けることによって、サイドマージン部117を形成してもよい。
また、積層体116の側面S1及びS2にサイドマージン部117を形成する方法は、ディップ法であってもよい。ディップ法では、積層体116の一方の側面をセラミックスラリーに浸漬させ、引き上げる。これにより、積層体116の一方の側面にセラミックスラリーが付着することによりサイドマージン部117が形成される。その後、積層体116の他方の側面にも上記と同様の要領でサイドマージン部117を形成する。
(ステップS05:バレル研磨)
ステップS05では、ステップS04で得られた未焼成のセラミック素体111をバレル研磨によって面取りする。ステップS05におけるバレル研磨は、例えば、複数の未焼成のセラミック素体111と研磨媒体と液体とをバレル容器に封入し、バレル容器に回転運動や振動を与えることにより実行可能である。
図18は、バレル研磨後の未焼成のセラミック素体111を示す図である。バレル研磨により、未焼成のセラミック素体111の六面体の頂点に位置する複数の角部C111及び複数の角部C111を繋ぐ稜部が面取りされ、図18に示すように丸みを帯びた形状となる。
(ステップS06:焼成)
ステップS06では、ステップS05で得られた未焼成のセラミック素体111を焼成することにより、図1~4に示す積層セラミックコンデンサ10のセラミック素体11を作製する。つまり、ステップS06によって、積層体116が積層体16になり、サイドマージン部117がサイドマージン部17になる。
ステップS06における焼成温度は、セラミック素体111の焼結温度に基づいて決定することができる。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料を用いる場合には、焼成温度は1000~1300℃程度とすることができる。また、焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。
(ステップS07:外部電極形成)
ステップS07では、ステップS06で得られたセラミック素体11のX軸方向両端部に外部電極14,15を形成することにより、図1,3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。ステップS07における外部電極14,15の形成方法は、公知の方法から任意に選択可能である。また、外部電極14,15は、未焼成のセラミック素体111と同時焼成してもよい。即ち、ステップS05の後に未焼成のセラミック素体111のX軸方向両端部に未焼成の外部電極を形成し、ステップS06で未焼成のセラミック素体111と同時に焼成することで外部電極14,15を形成することも可能である。
(本実施形態の作用効果)
本実施形態では、第1~第4セラミックシート101~104上の内部電極112a,113a,112b,113bをパターニングすることにより、引出部119の第2領域119bのY軸方向両端部に内部電極112,113が配置されない領域Pが形成される。
一般的に、サイドマージン部を後付けするプロセスでは、ステップS02(積層)において積層体が圧着されるため、サイドマージン部の密度が積層体よりも低くなる。このため、セラミック素体にバレル研磨を行うと、セラミック素体の角部においてサイドマージン部が選択的に摩耗することにより、積層体に配置された内部電極が露出しやすい。特に、カバー部及びサイドマージン部が薄い構成では、このような内部電極の露出が生じやすい。
一方、本実施形態では、上記のように第2領域119bのY軸方向両端部に、言い換えれば、積層体116のカバー部120を除いた部分の角部に、内部電極を含まない領域Pが形成される。
図8は、図18に示した未焼成のセラミック素体111の端面T1側の第2領域119bの拡大断面図である。なお、端面T2側の引出部119においては、内部電極112の代わりに内部電極113が引き出されている点以外は端面T1側の引出部119と同様の構成を有するため、その説明を省略する。
図8に示すように、セラミック素体111の角部C111付近には、内部電極を含まない領域Pが配置されている。このため、バレル研磨によりセラミック素体111の角部C111に配置されたサイドマージン部117が選択的に摩耗されたとしても、セラミック素体111の角部C111から内部電極112a,112bが露出することがない。また、セラミック素体111の角部C111が、サイドマージン部117及びカバー部120を含めて大きく摩耗される場合においても、セラミック素体111の角部C111におけるサイドマージン部117及びカバー部120の外表面から内部電極112a,112bまでの距離が確保されているため、角部C111から内部電極112,113が露出することがない。
これにより、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、高い耐湿性を得ることができる。また、これにより、外部電極14,15を形成する際には、セラミック素体111の角部C111からのめっき液の侵入を防ぐことが可能となる。
また、領域Pは、上記のように積層体116のカバー部120を除いた部分の角部にのみ形成されている。即ち、領域Pは、サイドマージン部117が特に薄くなりやすいセラミック素体111の角部C111付近にのみ形成されている。これにより、容量形成部118の交差面積を確保することができるため、上記のように高い耐湿性と大容量を兼ね備える積層セラミックコンデンサ10を製造することが可能となる。
また、本実施形態によれば、領域Pにはセラミックス層及びサイドマージン部117と同種のセラミックス材料が充填されている。これにより、ステップS06(焼成)において、積層体116の角部C111からのサイドマージン部117の剥がれの発生を抑制し、さらに当該角部で積層体116とサイドマージン部117とが高い密着性を得ることが可能となる。このため、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、高い信頼性を有する。
(セラミック素体111の寸法a~dの調整方法)
ここで、セラミック素体111の寸法a~dの調整方法について説明する。上記のとおり、寸法aは、積層体116をY軸方向から覆うサイドマージン部117の厚みである。よって、寸法aは、ステップS04(サイドマージン部形成)において、サイドマージンシート117sの厚みや、当該シートを打ち抜く際の圧力により調整することができる。
寸法bは、第2領域119bに引き出された内部電極112bのY軸方向の端部と第1領域119aに引き出された内部電極112aのY軸方向の端部とのY軸方向の距離に対応する値である。よって、寸法bは、ステップS01(セラミックシート準備)において、第3セラミックシート103の内部電極112b(非電極形成領域N2)を所定の領域にパターニングすることで調整することができる。
寸法cは、容量形成部118及び引出部119をZ軸方向から覆うカバー部120の厚みである。よって、寸法cは、ステップS02(積層)において、カバー部120となる第5セラミックシート105の厚み及び積層数の少なくとも一方によって調整することができる。
寸法dは、第1領域119aの最外層(最上層又は最下層)に配置された内部電極112aと第2領域119bの最外層(最上層又は最下層)に配置された内部電極112bとのZ軸方向の距離に対応する値である。よって、寸法dは、ステップS02(積層)において、容量形成部118及び第2領域119bを形成する第3セラミックシート103及び第4セラミックシート104の厚み及び積層数の少なくとも一方によって調整することができる。
[実施例]
上記実施形態の実施例として、上記で説明した図9に示す製造方法を用い、セラミック素体11の寸法a~dの異なる25種類の積層セラミックコンデンサ10のサンプル(No.1~25)を100個ずつ作製した。各サンプルではいずれも、X軸の寸法を1.0mmとし、Y軸及びZ軸方向の寸法を0.5mmとした。
各サンプルについて耐湿負荷試験を行った。耐湿負荷試験は、各サンプルについて、温度45℃、湿度95%、10Vの電圧を印加した状態で1000時間保持することにより行った。各サンプルについて電気抵抗値を測定し、電気抵抗値が10MΩ以上のサンプルを正常と判定し、電気抵抗値が10MΩ未満のサンプルを故障と判定した。
表1は、各サンプルの構成及び評価結果を示している。具体的に、表1には、各サンプルの寸法a~d、寸法a,bの和a+b、寸法c,dの和c+dが示されている。また、表1には、100個のサンプル中、耐湿負荷試験で故障と判定されたサンプルの数の比率である故障率が示されている。
Figure 0007274282000001
表1に示すとおり、サイドマージン部17の厚みである寸法aが20μm以上であるサンプルNo.10,11、及びカバー部20の厚みである寸法cが20μm以上であるサンプルNo.20,21は、寸法a~dのうち他の寸法に関わらず、20%以下の低い故障率となっている。これにより、寸法a,cの少なくとも一方が20μm以上の積層セラミックコンデンサ10には本発明を適用する必要性が低いことが確認された。
また、b≧5μm及びa+b≧15μmの条件と、d≧5μm及びc+d≧15μmの条件と、の少なくとも一方を満たしているサンプルNo.2~9,12~19,22~25では、いずれも20%以下の低い故障率となっている。この一方で、b≧5μm及びa+b≧15μmのいずれも満たしておらず、かつd≧5μm及びc+d≧15μmのいずれも満たしていないサンプルNo.1では、25%とやや高い故障率となっている。これらにより、寸法a,cがいずれも20μm未満の積層セラミックコンデンサ10は、b≧5μm及びa+b≧15μmの条件と、d≧5μm及びc+d≧15μmの条件と、の少なくとも一方を満たしていることが好ましいことが確認された。
特に、b≧5μm、a+b≧20μm、d≧5μm、及びc+d≧20μmをいずれも満たしているサンプル22~25では、いずれも3%以下の非常に低い故障率となっている。また、b≧10μm及びd≧10μmを更に満たしているサンプル25では、故障の発生が見られなかった。これらにより、積層セラミックコンデンサ10は、a+b≧20μm及びc+d≧20μmを満たしていることがより好ましく、更にb≧10μm及びd≧10μmを満たしていることが最も好ましいことが確認された。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、積層セラミックコンデンサ10の製造方法は、上記に限定されない。一例として、上記の製造方法のステップS05における積層体116の面取りの方法は、バレル研磨以外にも公知の方法を利用可能であり、例えば、サンドブラスト法やウェットブラスト法を用いることもできる。
上記実施形態では、内部電極12b,13bに形成された非電極形成領域N2は略長方形状となっているが、第2領域19bのY軸方向両端部に内部電極12b,13bが少なくとも配置されない領域が形成されていれば、その形状は限定されない。非電極形成領域N2の他の形状としては、例えば、三角形、多角形あるいは四分円等の円の一部としてもよい。
また、上記実施形態では、非電極形成領域N1及びN2には何も配置されていないが、非電極形成領域N1及びN2は、セラミック層及びサイドマージン部17と同様の材料によって構成されてもよい。これにより、容量形成部18と、引出部19との厚み寸法のズレを防止することが可能となる。
さらに、上記実施形態では積層セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサ10について説明したが、本発明は一対の外部電極を有する積層セラミック電子部品全般に適用可能である。このような積層セラミック電子部品としては、例えば、チップバリスタ、チップサーミスタ、積層インダクタなどが挙げられる。
10…積層セラミックコンデンサ
11…セラミック素体
12,13…内部電極
14,15…外部電極
16…積層体
17…サイドマージン部
18…容量形成部
19…引出部
19a…第1領域
19b…第2領域
20…カバー部

Claims (6)

  1. 第1方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の間に配置された複数の内部電極と、を有する容量形成部と、前記第1方向と直交する第2方向を向いた側面と、前記第1及び第2方向と直交する第3方向を向いた端面と、前記容量形成部から前記第3方向に延び、前記内部電極が引き出された引出部と、前記第1方向の寸法が20μm未満であり、前記容量形成部及び前記引出部を前記第1方向から覆うカバー部と、を有する積層体と、
    前記第2方向の寸法が20μm未満であり、前記側面を覆うサイドマージン部と、
    を有するセラミック素体を具備し、
    前記引出部は、前記第1方向の中央部に配置された第1領域と、前記カバー部と前記第1領域との間に配置され、前記内部電極の前記第2方向の端部が前記第1領域よりも前記第2方向の内側に位置する第2領域と、を含み、
    前記サイドマージン部の前記第2方向の寸法をa、前記第2領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部と前記第1領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部との前記第2方向の距離をbとしたときに、5μm≦b≦2.5aを満たす
    積層セラミック電子部品。
  2. 請求項1に記載の積層セラミック電子部品であって、
    +b≧15μmを満たす
    積層セラミック電子部品。
  3. 請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記カバー部の前記第1方向の寸法をc、前記第1領域の最外層に配置された前記内部電極と前記第2領域の最外層に配置された前記内部電極との前記第1方向の距離をdとしたときに、5μm≦d≦2.5c及びc+d≧15μmを満たす
    積層セラミック電子部品。
  4. 第1方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の間に配置された複数の内部電極と、を有する容量形成部と、前記第1方向と直交する第2方向を向いた側面と、前記第1及び第2方向と直交する第3方向を向いた端面と、前記容量形成部から前記第3方向に延び、前記内部電極が引き出された引出部と、前記容量形成部及び前記引出部を前記第1方向から覆うカバー部と、を有し、前記引出部が、前記第1方向の中央部に配置された第1領域と、前記カバー部と前記第1領域との間に配置され、前記内部電極の前記第2方向の端部が前記第1領域よりも前記第2方向の内側に位置する第2領域と、を含む積層体を作製し、
    前記側面にサイドマージン部を形成してセラミック素体を作製し、
    前記セラミック素体を面取りし、
    前記サイドマージン部の前記第2方向の寸法をa、前記第2領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部と前記第1領域に配置された前記内部電極の前記第2方向の端部との前記第2方向の距離をbとしたときに、5μm≦b≦2.5aを満たす
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記セラミック素体をバレル研磨によって面取りする
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 請求項4に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    a+b≧15μmを満たす
    積層セラミック電子部品の製造方法。
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