本発明の一態様に係る非常用点灯装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
実施形態の非常用点灯装置1は、誘導灯器具の近傍に取り付けられ、誘導灯信号装置から信号(点滅信号)を受けて、誘導効果を高めるためにLED光源を点滅させる、いわゆる独立形点滅装置である(日本照明工業会規格JIL5502-2008参照)。非常用点灯装置1は、建物の屋側の壁に直付けされる防水型の点滅装置である。ただし、非常用点灯装置は独立形点滅装置に限定されず、誘導灯器具又は非常灯などの点滅装置以外の非常時用照明器具であってもよい。
非常用点灯装置1は、図1及び図2に示すように、光源ユニット4と、電源ユニット5と、光源ユニット4及び電源ユニット5が取り付けられる本体2と、本体2に取り付けられるカバー3とを備える。非常用点灯装置1は、蓄電池ブロック6と、スイッチブロック7と、枠体8とを更に備える。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図2に矢印で示す向きにおいて、非常用点灯装置1の上下、左右及び前後の各方向を規定する。
光源ユニット4は、発光ダイオード(Light Emitting Diode)と、LEDを支持するホルダ41と、コネクタ42と、レンズ43と、取付板44とを有している(図3及び図4参照)。LED(不図示)は、例えば、COB(Chip on Board)型の照明用白色LEDである。
ホルダ41は、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料によって円板状に形成されている。ホルダ41の中央部にLEDが保持されている。コネクタ42はホルダ41と一体に形成されている。コネクタ42は、角筒状に形成されて一対の端子板(不図示)を内部に収容して保持している。一対の端子板のうちの一方の端子板はLEDのアノードと電気的に接続されている。また、一対の端子板のうちの他方の端子板はLEDのカソードと電気的に接続されている。
レンズ43は、アクリル樹脂によってドーム状に形成されている。ただし、レンズ43は、ケイ酸塩ガラスや石英ガラスのような不燃材によって形成されてもかまわない。取付板44は、平板状の固定部440と、一対の取付部441とを有している(図2及び図3参照)。固定部440と一対の取付部441とは、例えば、アルミ板によって一体に形成されている。固定部440の前面にホルダ41とレンズ43がねじ止めされる。
蓄電池ブロック6は、複数本の乾電池型の電池セルが熱収縮チューブに包まれて構成された蓄電池60と、蓄電池60を保持する電池ホルダ61と、蓄電池60と電気的に接続されている電線62とを有している(図3参照)。なお、電池セルは、例えば、円筒形の密閉形ニッケル・水素蓄電池である。
スイッチブロック7は、点検スイッチ(不図示)と充電モニタ(不図示)を有する。また、スイッチブロック7は、点検スイッチ及び充電モニタを収容するケース71と、ケース71の外から点検スイッチを操作するための操作ボタン70とを有する(図3及び図4参照)。
ケース71は、合成樹脂材料によって直方体形状の箱形に形成されている。ケース71の前面には、操作ボタン70がはめ込まれる操作孔710と、操作孔710よりも径の小さい表示孔711とが設けられている(図3参照)。操作ボタン70は円柱状に形成されており、前後方向に移動可能な状態で操作孔710にはめ込まれている。ケース71内において操作孔710と前後方向に対向する位置に、押ボタンスイッチからなる点検スイッチが配置されている。したがって、ケース71の外から押された操作ボタン70がケース71内に移動し、操作ボタン70の後端で点検スイッチが押操作される。ケース71内において表示孔711と前後方向に対向する位置に表示用のLEDからなる充電モニタが配置されている。すなわち、充電モニタの発する光(例えば、緑色の光)が表示孔711を通してケース71の外に放射される。
電源ユニット5は、蓄電池60から供給される電力によって光源ユニット4を駆動する駆動回路(不図示)を有する。電源ユニット5は、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電池60を充電する充電回路(不図示)と、駆動回路及び充電回路を収容する筐体51とを更に有する。電源ユニット5は、誘導灯信号装置から点滅信号を受信するか、あるいは煙感知器から煙感知信号を受信したときに駆動回路によって光源ユニット4を点灯させる。ただし、電源ユニット5は、誘導効果を高めるために光源ユニット4を間欠駆動することが好ましい。
さらに、電源ユニット5は、スイッチブロック7の点検スイッチの状態を監視し、点検スイッチがオンされている間、充電回路を強制的に停止させるとともに駆動回路を動作させて蓄電池ブロック6から供給される電力で光源ユニット4を点灯させる。つまり、点検スイッチが操作されることによって、電源ユニット5の点検動作が行われる。
スイッチブロック7の充電モニタは、電源ユニット5の充電回路によって充電されている間だけ点灯し、電源ユニット5の充電回路によって充電されていないときに消灯する。つまり、充電モニタは、充電中に点灯することによって蓄電池ブロック6の蓄電池60が充電されていることを表示する。
電源ユニット5の筐体51は、合成樹脂材料によって箱状に形成されている(図2〜図4参照)。筐体51は、上述した駆動回路及び充電回路を構成するプリント回路板(不図示)を収容している。筐体51の一つの角部から2本の電線(電源線52)が筐体51の外に引き出されている。これら2本の電源線52は、後述する第1端子台11の2次側の端子と電気的に接続される(図3参照)。
筐体51の長手方向の一方の端部(図3における右側の端部)には、プリント回路板に実装されている信号用端子台503が露出している。信号用端子台503は、多極(図示例では10極)のねじなし端子台である。信号用端子台503の一方の端(上端)の2極の端子と、後述する第2端子台12の2次側の2極の端子とが2本の信号線53によって電気的に接続される。また、信号用端子台503の他方の端(下端)の2極の端子と、後述する第3端子台13の2次側の2極の端子とが2本の信号線54によって電気的に接続される。
筐体51の長手方向の他方の端部(左側の端部)には、プリント回路板に実装されている3つの端子部504〜506が露出している。これら3つの端子部504〜506は、筐体51の短手方向(上下方向)に沿って一列に並んでいる。一番下の端子部504は2極の端子を有しており、蓄電池ブロック6の2本の電線62とそれぞれ1極ずつ電気的に接続される。中央の端子部505は3極の端子を有しており、スイッチブロック7の3本の電線73とそれぞれ1極ずつ電気的に接続される。一番上の端子部506は2極の端子を有しており、2本の電線(出力線55)とそれぞれ1極ずつ電気的に接続される。なお、これら2本の出力線55は、光源ユニット4のコネクタ42と電気的に接続される。
本体2は、長方形状の底板20と、底板20の左辺及び右辺の各々から立ち上がる二つの側板21と、二つの側板21の各々の前端から底板20と平行するように外向きに突き出た二つのカバー取付片24とを有する(図2〜図4参照)。
底板20は、常用電源(例えば、商用の電力系統)から給電されるための電線(電源線)が通される第1電線孔201と、点滅信号が伝送される電線(信号線)が通される第2電線孔202とを有している(図2及び図3参照)。ただし、第2電線孔202には、点滅信号用の信号線とともに、煙感知器から煙感知信号が伝送される電線(信号線)が通される場合もある。
第2電線孔202は、正方形の四つの角が丸められた角丸四角形状に形成されて底板20を厚み方向(前後方向)に貫通している。第2電線孔202は、底板20のほぼ中央に設けられている。第1電線孔201は、長円形に形成されて底板20を厚み方向(前後方向)に貫通している。第1電線孔201は、底板20のほぼ中央における第2電線孔202の左隣に設けられている(図3参照)。
さらに、底板20における第2電線孔202の上に、だるま孔からなる第1取付孔204が設けられ、底板20における第2電線孔202の下に、長孔からなる一対の第2取付孔205が設けられている(図3参照)。すなわち、本体2は、底板20の第1取付孔204及び少なくとも一方の第2取付孔205に1本ずつ通される複数本の取付ねじ(不図示)によって造営材(屋側の壁)にねじ止めされる。
底板20の前面における第1電線孔201の左隣に第1端子台11が取り付けられている。第1端子台11は、電源用の端子台である。すなわち、第1端子台11の1次側の端子に、第1電線孔201に通される電源線(不図示)が電気的に接続される。底板20の前面における第1取付孔204の右隣に第2端子台12が取り付けられている。第2端子台12は、点滅信号用の端子台である。すなわち、第2端子台12の1次側の端子に、第2電線孔202に通される点滅信号用の信号線(不図示)が電気的に接続される。さらに、底板20の前面における第2端子台12の下に第3端子台13が取り付けられている。第3端子台13は、煙感知信号用の端子台である。すなわち、第3端子台13の1次側の端子に、第2電線孔202に通される煙感知信号用の信号線(不図示)が電気的に接続される。
底板20の前面に第1シール部材26が取り付けられる(図2及び図3参照)。第1シール部材26は、ウレタン樹脂などの合成樹脂によって長方形の枠状に形成されている。第1シール部材26は、底板20の前面における最外周に配置されている。
底板20の前面における第2取付孔205の下方には、取付板44を介して光源ユニット4が取り付けられた支持板46、スイッチブロック7が固定された台座72及び蓄電池ブロック6がそれぞれねじあるいはリベットによって取り付けられている。
支持板46は、取付部460と、一対の脚部461とを有している。取付部460は、おおむね長方形状に形成されている。一対の脚部461は、L字形状に形成されている。一方の脚部461は、取付部460の左辺及び右辺から後方へ突き出ている。各脚部461の後端部分に、固定ねじ462が通される孔(不図示)が一つずつ設けられている。支持板46は、一対の脚部461の各々の孔に通された固定ねじ462が底板20に設けられているねじ孔(不図示)にねじ込まれることで底板20に固定される(図3参照)。
支持板46の取付部460に取付板44が取り付けられる。なお、光源ユニット4のコネクタ42は、支持板46の取付部460を貫通する開口部467を通して取付部460の後面側に配置される(図3及び図4参照)。
底板20の前面における上部に支持部207が設けられている。支持部207は、底板20の前面から前方へ突き出た縦片2070と、縦片2070の前端から底板20と平行するように下向きに突き出した横片2071とを有している(図2〜図4参照)。
さらに、底板20の前面における第1電線孔201の左隣に支持部材25が取り付けられている。支持部材25は、長方形状の取付部250と、取付部250の右辺及び下辺からそれぞれ後方へ突き出た一対の固定脚251と、取付部250の上辺から上向きに突き出た押さえ片252とを有している(図2及び図3参照)。なお、取付部250、一対の固定脚251及び押さえ片252は、金属板が加工されることによって一体に形成されている。
支持部材25は、一対の固定脚251のそれぞれが底板20にねじ止めされることによって本体2に固定される(図3参照)。取付部250の前面に第1端子台11が取り付けられる。押さえ片252の上端部分が逆L字形状に形成されている(図2参照)。また、押さえ片252の長手方向(上下方向)の中央に電線保持具47が取り付けられている。電線保持具47は、電源ユニット5の筐体51から引き出された電源線52を保持する。
支持部材25は、支持部207とともに電源ユニット5の筐体51を支持する。具体的には、筐体51の長手方向に沿った一方の端部(上端部)が、底板20と、支持部207の横片2071との間に差し込まれている。さらに、筐体51の長手方向に沿った他方の端部(下端部)が、底板20と、支持部材25の押さえ片252の上端部分との間に差し込まれている(図2〜図4参照)。つまり、筐体51は、支持部207及び押さえ片252と底板20に挟まれるようにして本体2に取り付けられる。
左側のカバー取付片24は、左側の側板21の前端から底板20と平行するように外向き(左向き)に突き出ている。右側のカバー取付片24は、右側の側板21の前端から底板20と平行するように外向き(右向き)に突き出ている。一対のカバー取付片24の各々は、一対のねじ孔240と、四つの突部241とを有している(図3参照)。
一対のねじ孔240は、カバー取付片24の長手方向(上下方向)の中央と、カバー取付片24の長手方向の両端との中間にそれぞれ一つずつ設けられている。四つの突部241のうちの二つの突部241は、上側のねじ孔240を挟んで上下に並ぶように設けられている。四つの突部241のうちの残り二つの突部241は、下側のねじ孔240を挟んで上下に並ぶように設けられている。なお、これらの突部241は、カバー取付片24を構成する金属板が切り起こされてカバー取付片24と一体に形成されている(図4参照)。
カバー3は、金属製のカバー本体30と、合成樹脂製の透光カバー33と、一対の固定金具34とを有している(図2、図5及び図6参照)。カバー本体30は、長方形状の前壁31と、前壁31の四辺から後方へ突き出た四つの側壁32とを有している。前壁31と四つの側壁32とは、1枚の金属板から一体に形成されている。なお、以下の説明において、前壁31の左辺から突き出た側壁32を左側壁321と呼び、前壁31の右辺から突き出た側壁32を右側壁322と呼ぶ場合がある。また、前壁31の上辺から突き出た側壁32を上側壁323と呼び、前壁31の下辺から突き出た側壁32を下側壁324と呼ぶ場合がある(図6参照)。
これら四つの側壁32(左側壁321、右側壁322、上側壁323及び下側壁324)の前端は、前壁31の左辺、右辺、上辺及び下辺と繋がっている。しかしながら、隣り合う左側壁321と上側壁323及び下側壁324とは、互いに分離している。同じく、隣り合う右側壁322と上側壁323及び下側壁324とは、互いに分離している。なお、本願明細書において「分離している」とは、隣り合う側壁同士が溶接や締結などのいかなる方法によっても結合されていない状態を意味している。
前壁31は、第1孔311、第2孔312及び第3孔313の三つの孔を有している(図5参照)。第1孔311は、前壁31の上下方向の中央から僅かに下方の位置に開口した丸孔である。第1孔311の直径は、光源ユニット4のレンズ43の直径よりも僅かに小さい。第2孔312は、前壁31の第1孔311の下方の位置に開口した丸孔である。第2孔312の直径は、スイッチブロック7の操作ボタン70の直径よりも僅かに大きい。第3孔313は、前壁31の第2孔312の左隣の位置に開口した丸孔である。第3孔313の直径は、第2孔312の直径よりも十分に小さい。
左側壁321は、左側壁321を厚み方向(左右方向)に貫通する二つの孔320を有している。一方の孔320は、左側壁321の長手方向の中央と、左側壁321の上端との間に設けられている。他方の孔320は、左側壁321の長手方向の中央と、左側壁321の下端との間に設けられている。なお、左側壁321の長手方向の中央には、左側壁321を厚み方向に貫通する貫通孔325が設けられている(図6参照)。
右側壁322は、右側壁322を厚み方向(左右方向)に貫通する二つの孔(不図示)を有している。一方の孔は、右側壁322の長手方向の中央と、右側壁322の上端との間に設けられている。他方の孔は、右側壁322の長手方向の中央と、右側壁322の下端との間に設けられている。なお、右側壁322の長手方向の中央には、右側壁322を厚み方向に貫通する貫通孔325が設けられている(図6参照)。
上側壁323及び下側壁324の各々の左右両側の端部3230、3240は、左側壁321及び右側壁322の厚み方向(左右方向)から見て左側壁321及び右側壁322と重なるように曲げられている(図6及び図7参照)。
透光カバー33は、長方形状の前板330と、前板330の四辺から後方へ突き出した四つの側板331とを有している。前板330と四つの側板331とは、アクリル樹脂のような透光性を有する合成樹脂により、後面が開放された箱状に形成されている(図5及び図6参照)。
左側の側板331は、厚み方向(左右方向)に貫通する二つの孔3310を有している。一方の孔3310は、左側の側板331の長手方向の中央と、左側の側板331の上端との間に設けられている。他方の孔3310は、左側の側板331の長手方向の中央と、左側の側板331の下端との間に設けられている。なお、左側の側板331の長手方向の中央には、厚み方向に貫通する通気孔3311が設けられている(図6参照)。
右側の側板331は、厚み方向(左右方向)に貫通する二つの孔3310を有している。一方の孔3310は、右側の側板331の長手方向の中央と、右側の側板331の上端との間に設けられている。他方の孔3310は、右側の側板331の長手方向の中央と、右側の側板331の下端との間に設けられている。なお、右側の側板331の長手方向の中央には、厚み方向に貫通する通気孔3311が設けられている(図6参照)。
前板330の左右方向の中央における下部に円形の孔332が貫通している。この孔332は、前後方向においてカバー本体30の前壁31の第2孔312と重なっている。この孔332には操作部材333が取り付けられる。操作部材333は、シリコーンゴムのような柔軟な合成樹脂材料で形成されている。操作部材333は、透光カバー33の前板330の孔332をシールしている。さらに、操作部材333が後方へ押されると、カバー本体30の前壁31の第1孔311から突き出した操作ボタン70が操作部材333に押されて押操作される。つまり、非常用点灯装置1は、本体2にカバー3が取り付けられた状態でスイッチブロック7の点検スイッチを操作して点検作業を行わせることができる。
透光カバー33は、内部(前板330と四つの側板331に囲まれた空間)にカバー本体30を収容する。カバー本体30と透光カバー33は、一対の固定金具34によって結合される。
一対の固定金具34の各々は、第1固定片341と、第2固定片342と、第3固定片343とを有している(図5及び図6参照)。第1固定片341は、長尺の長方形状に形成されている。第1固定片341には二つの孔3410が設けられている。これら二つの孔3410は、第1固定片341を厚み方向に貫通した丸孔である(図6参照)。
第2固定片342は、長尺の長方形状に形成されている。第2固定片342は、第1固定片341の長手方向に沿った一端から第1固定片341の厚み方向(左右方向)に突き出ている。第2固定片342には二つの孔344が設けられている。これら二つの孔344は、第2固定片342を厚み方向に貫通した丸孔である。ただし、孔344の内径は、後述するボルト35の頭部350の直径よりも小さい。なお、第1固定片341と第2固定片342とは、長手方向の長さが等しい(図5及び図6参照)。
第3固定片343は、第1固定片341及び第2固定片342よりも長手方向の長さが短い長方形状に形成されている。第3固定片343は、第1固定片341の長手方向の中央から第1固定片341の厚み方向(左右方向)に突き出ている。第3固定片343の長手方向の中央にねじ孔345が設けられている(図5及び図6参照)。
一方の固定金具34は、透光カバー33の左側の側板331とカバー本体30の左側壁321に取り付けられる。具体的には、第1固定片341の上側の孔3410に差し込まれたボルト35が、左側の側板331の上側の孔3310を通され、シール座金37に通された後、左側壁321の上側の孔320に通される。そして、左側壁321の上側の孔320に通されたボルト35にナット36が締め付けられる。これにより、透光カバー33に一対の固定金具34が取り付けられ、かつ、一対の固定金具34を介してカバー本体30と透光カバー33が結合される。ただし、ナット36の代わりにカバー本体30の側壁32にねじ孔(雌ねじ)が設けられてもかまわない。
カバー3は、本体2の底板20に取り付けられている全ての部品(光源ユニット4、電源ユニット5など)をカバー本体30の内部(前壁31と四つの側壁32に囲まれた空間)に収めるようにして本体2にかぶせられる。そして、一対の固定金具34の第2固定片342が、本体2の一対のカバー取付片24に固定される。具体的には、第2固定片342の二つの孔344のそれぞれに1本ずつ差し込まれた雄ねじ(不図示)が、カバー取付片24の二つのねじ孔240のそれぞれに1本ずつねじ込まれ、第2固定片342とカバー取付片24が結合されてカバー3が本体2と固定される。
ここで、複数の側壁32の前後方向の長さが透光カバー33の側板331の前後方向の長さよりも短く、かつ、透光カバー33の側板331が側壁32の後端よりも後方へ飛び出している。その結果、透光カバー33(の側板331)の後端がシール部材(第1シール部材26)に押し当てられている(図7参照)。このように、透光カバー33の四つの側板331が本体2の第1シール部材26に押し当てられることにより、透光カバー33の側板331と本体2との隙間が第1シール部材26でシールされる(図5及び図7参照)。
枠体8は、矩形枠状の前壁80と、前壁80の四つの辺から後方へ突き出した四つの側壁81とを有している(図2及び図7参照)。前壁80と四つの側壁81とは、金属材料によって一体に形成されている。前壁80の左右両側の辺の長手方向の中央にそれぞれに孔82が一つずつ貫通している。さらに、前壁80の長手方向(上下方向)に沿って対向する二つの側壁81のうちで下側の側壁81の長手方向(左右方向)の中央に水抜き孔83が貫通している(図1参照)。
枠体8は、前壁80の開口部分に透光カバー33を通し、一対の固定金具34に前方から前壁80をかぶせるようにして本体2及びカバー3に装着される。そして、枠体8の前壁80を貫通している二つの孔82のそれぞれに固定ねじ84が1本ずつ通される。これら2本の固定ねじ84は、一対の固定金具34の第3固定片343に設けられているねじ孔345にそれぞれ1本ずつねじ込まれる(図7参照)。その結果、枠体8が一対の固定金具34に固定される(図1参照)。
本実施形態の非常用点灯装置1では、カバー本体30と透光カバー33が一対の固定金具34で結合されてカバー3が構成されている。そのため、非常用点灯装置1の施工作業を行う作業者は、カバー本体30と透光カバー33を一緒に本体2に取り付けることができる。したがって、非常用点灯装置1は、カバー本体30と透光カバー33が個別に本体2に取り付けられる場合に比べて、施工作業の作業性の向上を図ることができる。
ところで、本実施形態の非常用点灯装置1では、金属製のカバー本体30の熱膨張に比べて、合成樹脂製の透光カバー33の熱膨張が数倍から十数倍も大きい。そのため、透光カバー33の側板331の厚みが熱膨張によって増大したとき、固定金具34によって側板331と結合されているカバー本体30の左側壁321及び右側壁322にその厚み方向の応力が生じる。左側壁321及び右側壁322と上側壁323及び下側壁324が結合されている場合、左側壁321及び右側壁322に生じる応力によって、左側壁321及び右側壁322と上側壁323及び下側壁324の結合部分に不具合が発生するおそれがある。
これに対して本実施形態の非常用点灯装置1では、左側壁321及び右側壁322と上側壁323及び下側壁324が分離されているため、左側壁321及び右側壁322に生じる応力が上側壁323及び下側壁324に及びにくい。その結果、非常用点灯装置1は、上述のような不具合が発生する可能性を低下させることができる。
ただし、左側壁321及び右側壁322と上側壁323及び下側壁324が分離されているため、左側壁321及び右側壁322と上側壁323及び下側壁324との間に隙間Y1が生じる(図8参照)。上側壁323及び下側壁324の各々の左右両側の端部3230、3240が下向き及び上向きに曲げられていない場合、隙間Y1を通してカバー本体30内に進行する光が隙間Y1からカバー本体30の外へ出る可能性は非常に低い。その結果、カバー3の表面(前後方向に沿った4つの辺)に隙間Y1による黒いすじが現れて非常用点灯装置1の見栄えの低下を招くおそれがある。
しかしながら、非常用点灯装置1では、上側壁323及び下側壁324の各々の左右両側の端部3230、3240が、左側壁321及び右側壁322の厚み方向から見て左側壁321及び右側壁322と重なるように上向き及び下向きに曲げられている。そのため、非常用点灯装置1は、隙間Y1を通してカバー本体30内に進行する光の一部を、端部3230、3240に反射させて隙間Y1からカバー本体30の外へ出させることができる(図7参照)。その結果、非常用点灯装置1は、隙間Y1によってカバー3の表面に現れる黒いすじを目立ちにくくすることができる。さらに、端部3230、3240の表面(左側壁321及び右側壁322で隠れる面)の色が左側壁321及び右側壁322の表面(透光カバー33の側板331と対向する面)の色と同系色となるようにカバー本体30が構成されている。なお、本明細書中で使用する「同系色」とは、複数の色の明度及び彩度がほぼ等しい無彩色、又は、色相がほぼ等しく、かつ、明度及び彩度が等しいか異なる有彩色を意味している。
端部3230、3240の表面の色が左側壁321及び右側壁322の表面の色と同系色であれば、隙間Y1を通して端部3230、3240の表面が見えたとしても目立ちにくくすることができる。ただし、上側壁323及び下側壁324の端部3230、3240に代えて、左側壁321及び右側壁322のそれぞれの上下方向の端部が、上下方向から見て上側壁323及び下側壁324に隠れるように曲げられてもかまわない。
ところで、カバー本体30の左側壁321及び右側壁322を貫通する貫通孔325と、透光カバー33の側板331を貫通する通気孔3311とは繋がっている(図7参照)。ただし、左側壁321と左側の側板331の間、及び右側壁322と右側の側板331との間にシート部材334がそれぞれ挟み込まれている(図7参照)。つまり、通気孔3311及び貫通孔325は、透湿性及び防水性を有するシート部材334によって塞がれる。シート部材334は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂)製の多孔質シートで形成されている。シート部材334は、カバー本体30内の気体(空気、水蒸気などの気体)を通過させ、かつ、カバー3の外からカバー本体30内への水分子の浸入を阻止することができる。したがって、非常用点灯装置1は、例えば、蓄電池60が密閉形ニッケル・水素蓄電池を有する場合、密閉形ニッケル・水素蓄電池から放出される水素ガスを貫通孔325と通気孔3311を通してカバー3の外に排出させることができる。しかも、貫通孔325と通気孔3311がシート部材334で塞がれているので、貫通孔325と通気孔3311を通して水が浸入することを防ぎつつカバー3内で発生するガスをカバー3の外に排出させることができる。
本発明の第1の態様に係る非常用点灯装置(1)は、光源(光源ユニット4)と、非常用電源(蓄電池60)から供給される電力によって光源(光源ユニット4)を点灯させる電源ユニット(5)とを備える。第1の態様に係る非常用点灯装置(1)は、平板状の底板(20)を有し、底板(20)の前面に光源(光源ユニット4)及び電源ユニット(5)が取り付けられる本体(2)を更に備える。第1の態様に係る非常用点灯装置(1)は、後面が開放された箱状であり、光源(光源ユニット4)及び電源ユニット(5)を内部に収めるように本体(2)に取り付けられるカバー(3)を更に備える。カバー(3)は、金属製のカバー本体(30)と、透光性を有する合成樹脂材料によって後面が開放された箱状に形成されている透光カバー(33)と、カバー本体(30)及び透光カバー(33)を本体(2)に固定する一つ以上の固定金具(34)とを有する。カバー本体(30)は、多角形状に形成された前壁(31)と、前壁(31)のそれぞれの辺から後方へ突き出た複数の側壁(32)とを有する。一つ以上の固定金具(34)は、複数の側壁(32)のうちの少なくとも一つの側壁(32)に固定される固定片(第1固定片341)を有する。固定片(第1固定片341)は、少なくとも一つの側壁(32)と固定片(第1固定片341)との間に透光カバー(33)を挟んで締結用部品(ボルト35、ナット36)によって少なくとも一つの側壁(32)に固定されている。
第1の態様に係る非常用点灯装置(1)は、一つ以上の固定金具(34)によってカバー本体(30)と透光カバー(33)が結合されているので、カバー本体(30)と透光カバー(33)が別体である場合に比べて、施工作業の作業性の向上を図ることができる。
本発明の第2の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る非常用点灯装置(1)において、複数の側壁(32)のうちで互いに隣り合った側壁同士が分離されていることが好ましい。
第2の態様に係る非常用点灯装置(1)は、カバー本体(30)と透光カバー(33)の熱膨張の差に起因してカバー本体(30)に不具合の発生する可能性を低下させることができる。
本発明の第3の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る非常用点灯装置(1)において、複数の側壁(32)に含まれる第1の側壁(左側壁321;右側壁322)と第2の側壁(上側壁323;下側壁324)が互いに隣り合っていることが好ましい。第2の側壁の複数の端部のうちの第1の側壁と隣り合う端部(3230;3240)は、第1の側壁の厚み方向から見て第1の側壁と重なるように曲げられていることが好ましい。
第3の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第1の側壁と第2の側壁の間の隙間(Y1)を通してカバー本体(30)内に進行する光の一部を、端部(3230;3240)に反射させて隙間(Y1)からカバー本体(30)の外へ出させることができる。その結果、第3の態様に係る非常用点灯装置1は、隙間(Y1)によってカバー(3)の表面に現れる黒いすじを目立ちにくくすることができる。
本発明の第4の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る非常用点灯装置(1)において、第1の側壁(左側壁321;右側壁322)が固定片(第1固定片341)と固定されていることが好ましい。
第4の態様に係る非常用点灯装置(1)は、固定金具(34)が取り付けられない第2の側壁の端部が曲げられているため、隙間(Y1)によってカバー(3)の表面に現れる黒いすじを更に目立ちにくくすることができる。
本発明の第5の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る非常用点灯装置(1)において、第2の側壁が第1固定片(341)と固定されていることが好ましい。
第5の態様に係る非常用点灯装置(1)は、固定金具(34)が取り付けられている第2の側壁の端部が曲げられているため、隙間(Y1)によってカバー(3)の表面に現れる黒いすじを更に目立ちにくくすることができる。
本発明の第6の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第4又は第5の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る非常用点灯装置(1)において、第2の側壁の端部の表面の色が第1の側壁の表面の色と同系色であることが好ましい。
第6の態様に係る非常用点灯装置(1)は、隙間(Y1)を通して端部(3230、3240)の表面が見えたとしても目立ちにくくすることができる。
本発明の第7の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第1〜第6の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第7の態様に係る非常用点灯装置(1)は、本体(2)の前面に設けられ、本体(2)とカバー(3)との隙間をシールするシール部材(第1シール部材26)を更に備えることが好ましい。透光カバー(33)の後端がシール部材(第1シール部材26)に押し当てられることが好ましい。
第7の態様に係る非常用点灯装置(1)は、シール部材(第1シール部材26)によって透光カバー(33)の後端と本体(2)の隙間をシールしてカバー本体(30)内に雨水等が浸入することを防ぐことができる。
本発明の第8の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第1〜第7の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第8の態様に係る非常用点灯装置(1)において、第1固定片(341)は、側壁(32)の外側面との間に隙間を空けて固定されることが好ましい。側壁(32)及び透光カバー(33)のそれぞれの第1固定片(341)によって隠れる位置に、側壁(32)及び透光カバー(33)を貫通する貫通孔(通気孔3311、貫通孔325)が設けられることが好ましい。貫通孔(通気孔3311、貫通孔325)は、透湿性及び防水性を有するシート部材(334)によって塞がれることが好ましい。
第8の態様に係る非常用点灯装置(1)は、貫通孔がシート部材334で塞がれているので、貫通孔を通して水が浸入することを防ぎつつカバー(3)内で発生するガスをカバー(3)の外に排出させることができる。
本発明の第9の態様に係る非常用点灯装置(1)は、第1〜第8の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第9の態様に係る非常用点灯装置(1)は、操作入力を受け付けるための操作部材(333)を更に備えることが好ましい。電源ユニット(5)は、操作入力に応じて光源(光源ユニット4)を点灯させる機能を有することが好ましい。操作部材(333)は、カバー本体(30)の前壁(31)と対向する透光カバー(33)の前面(前板330)に配置されることが好ましい。
第9の態様に係る非常用点灯装置(1)は、本体(2)にカバー(3)が取り付けられた状態で操作入力を電源ユニット(5)に入力させることができる。その結果、第9の態様に係る非常用点灯装置(1)は、操作入力を電源ユニット(5)に入力させるために本体(2)からカバー(3)を外す必要がないので、使い勝手の向上を図ることができる。