(1)概要
以下の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。以下の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の実施形態において説明する図1〜図13は、模式的な図であり、図1〜図13中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
以下では、実施形態の誘導灯器具1の上下、左右、前後の方向を、図1にそれぞれ図示されている上下、左右、前後の矢印を用いて規定して説明する。これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、これらの方向は、誘導灯器具1の使用方向を限定する趣旨ではない。
本実施形態の誘導灯器具1は、図1に示すように、建物等の避難口を表示するための避難口誘導灯器具である。誘導灯器具1は、誘導灯信号装置(不図示)から信号を受けた場合に誘導効果を高めるために光源(図3参照:光源装置3のLED(Light Emitting Diode)30)を点滅させる点滅形避難口誘導灯器具として構成されている。誘導灯器具1は、例えば、建物の天井材又は壁材等に相当する構造体T1に対して取り付けられる。ここでは、誘導灯器具1は、構造体T1に直付けさられる直付形の器具であることを想定するが、壁材に埋め込まれる埋込形の器具でもよい。
誘導灯器具1は、図2に示すように、光源(第1光源)と、表示板20と、点灯ブロック22と、機能部と、駆動ブロック4と、端子台(第1端子台71)と、筐体10と、を備える。ここでは、光源(第1光源)は、例えば固体光源である発光ダイオード211(図3参照:以下、LED211と呼ぶ)である。
表示板20は、LED211により照らされる。表示板20は、表示面(前面)を有しており、その表示面に誘導表示として人が避難している状態を示すピクトグラムが表示されている。点灯ブロック22は、LED211を点灯制御するように構成される。機能部は、誘導機能を有する。ここでは、機能部は、例えば、点灯又は点滅駆動される光源装置3のLED30(第2光源)、及び/又は、誘導音声を出力するスピーカ8に相当する。駆動ブロック4は、特定の事象が発生したときに上記機能部を駆動するように構成される。ここで言う「特定の事象の発生」とは、例えば、非常時、すなわち誘導灯信号装置から信号を受けたとき、あるいは、点検用の第2スイッチブロック17が操作されたとき等である。
筐体10は、少なくとも点灯ブロック22、駆動ブロック4及び第1端子台71を収容する。筐体10は、開放された一面(前面)を有する本体100と、本体100の前面を覆うプレート101と、を有する。表示板20は、その表示面がプレート101から露出するように筐体10に支持される。ここで、本実施形態の筐体10は、本体100内において、第1収容部10Aと、第2収容部10Bと、第1配線部10Cと、第2配線部10Dとを有している(図3参照)。第1収容部10A、第2収容部10B、第1配線部10C、及び第2配線部10Dは、実体を持った構造体ではなく、空間的な部位として設けられている。したがって、図3では、目安として、本体100の前方から見たときのこれらの境界線を想像線(一点鎖線)で示している。
第1収容部10Aには、点灯ブロック22が収容される。第2収容部10Bには、駆動ブロック4が収容される。第1配線部10Cには、第1端子台71、及び第1端子台71の一次側に接続される第1電線L1(図4参照)が配置される。第2配線部10Dには、第1端子台71の二次側と点灯ブロック22及び駆動ブロック4の各々とを繋ぐ第2電線L2(図4参照)が配置される。ここでは、第1電線L1及び第2電線L2が電源線であることを想定する。言い換えると、第1端子台71は、電源用の端子台であることを想定する。ただし、第1電線L1及び第2電線L2が信号線で、第1端子台71は、信号用の端子台であってもよい。
第1収容部10A及び第2収容部10Bは、本体100の一面(前面)と交差する第1の方向(例えば前後方向)から見たときに並んで配置される。ここでは、これらの並び方向が、左右方向に相当する。そして、第1配線部10Cは、上記第1の方向から見たときに、並び方向(左右方向)と交差する第2の方向(例えば上下方向)における第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも一方の側に配置される。実際に誘導灯器具1が構造体T1に取り付けられた状態では、ここで言う「一方の側」は、例えば「上側」に相当する。
この構成によれば、例えば誘導灯器具1の施工時に、プレート101が外された状態で外部から筐体10内に引き込まれた第1電線L1の第1端子台71の一次側への結線、並びに第1電線L1の引き回しにおいて、第1配線部10Cを利用することができる。また、第1端子台71の二次側に繋がれた第2電線L2は、第1配線部10Cとは分離された第2配線部10Dに配置されている。そのため、第1電線L1と第2電線L2とが、筐体10内で絡み合う可能性を低減できる。言い換えると、第1電線L1の配線作業時に、第2電線L2が邪魔になり難くなり、配線作業が容易となる。
また、第1配線部10Cが、左右に並んだ第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも一方の側(上側)に配置される。そのため、例えば点灯ブロックと駆動ブロックとの間の僅かな隙間を配線作業用のスペースに利用する場合に比べて、より広い空間領域として第1配線部10Cを確保することができる。したがって、配線作業の作業性の向上を図ることができる。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、誘導灯器具1の全体構成について詳しく説明する。誘導灯器具1は、上の「(1)概要」の欄で説明した通り、点滅形避難口誘導灯器具として構成されている。誘導灯器具1は、図1に示すように、一例として天井材又は壁材に直付けされる、誘導音付の誘導灯器具として構成されていて、全体として左右方向に長尺の形状を有している。
誘導灯器具1は、図2に示すように、第1蓄電池ブロック23を有する表示ユニット2、光源装置3、駆動ブロック(駆動装置)4、第2蓄電池ブロック5、及び筐体10等を備えている。また、誘導灯器具1は、図3に示すように、複数の端子台(第1端子台71、一対の第2端子台72、及び第3端子台73)を備えている。また、誘導灯器具1は、図3に示すように、取付部材6、スピーカ(機能部)8、並びに点検用の第1及び第2スイッチブロック16、17を、更に備えている。
(2.2)筐体
筐体10は、図2に示すように、それぞれ長方形の前壁11、後壁12及び4つの側壁13を有する直方体状に形成された外郭を有している。ただし、本実施形態における筐体10は、本体100とプレート101と取付台15とで構成されている。
本体100は、前面が開放された、左右方向に長尺の箱形に形成されており、筐体10の後壁12と4つの側壁13を構成している。プレート101は、筐体10の前壁11と4つの側壁13の前端部分を構成している。プレート101は、一対の取付ばね102によって着脱可能に本体100に取り付けられる。本体100の前面を覆うように当該前面にプレート101が取り付けられることによって筐体10が構成される。本体100及びプレート101は、鋼板などの不燃物で形成されている。なお、本体100に対するプレート101の取付構造については、後の「(2.7)筐体の取付構造」の欄で詳しく説明する。
取付台15は、合成樹脂材料によって前面と下面が開放された箱形に形成されている。取付台15は、本体100の内底面(後壁12の前面)にねじ止めされている。
筐体10は、少なくとも、表示ユニット2の(後述する)点灯ブロック22、駆動ブロック4及び第1端子台71を、その内部に収容する。本実施形態では、一例として、表示ユニット2、駆動ブロック4、第1端子台71、及び一対の第2端子台72が、取付台15に取り付けられた状態で、筐体10内に収容されている。また、スピーカ8、光源装置3、第2蓄電池ブロック5、並びに第3端子台73等が、取付台15の周囲に配置されるように、筐体10内に収容されている。ただし、筐体10内に収容されている点灯ブロック22、駆動ブロック4、第1端子台71、及び一対の第2端子台72)に関する位置関係については、後の「(2.6)筐体の収容構造」の欄で詳しく説明する。
(2.3)表示ユニット
表示ユニット2は、図2に示すように、表示板20と、光源ブロック21と、点灯ブロック22と、第1蓄電池ブロック23とを有している。
表示板20は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の板状に形成されている。ただし、表示板20は、前後方向の厚みを上端から下端に向かって徐々に小さくするように形成されている。表示板20の前面(表示面)には避難口を示すピクトグラムが描かれている。表示板20は、その表示面がプレート101から露出するように筐体10に支持される。
光源ブロック21は、1つ以上(図3では一対)のLED211(第1光源)と、導光部材と、LED211及び導光部材を収容するケース210と、を備える。ケース210の下面には導光部材から出射する光をケース210の外に放射するための開口が設けられている。光源ブロック21は、図2に示すように、取付台15の上部に取り付けられる。また、表示板20は、上側面を光源ブロック21のケース210の開口に対向させるようにして取付台15に取り付けられる。表示板20は、LED211により照らされる。
第1蓄電池ブロック23は、電気絶縁性を有する合成樹脂製の電池ケースに複数の電池セルを収容して構成されている。電池セルは、ニッケル水素電池のような蓄電池である。第1蓄電池ブロック23は、取付台15の右下横に突設された蓄電池収容部10E内に収容されている(図2及び図3参照)。
点灯ブロック22は、LED211を点灯制御するように構成される。具体的には、点灯ブロック22は、常用点灯回路と、第1充電回路と、非常用点灯回路と、第1制御回路と、これらの回路を構成する電子部品が実装された実装基板を収容する樹脂製のケース220とを有している。常用点灯回路は、外部電源(例えば、商用の電力系統)から供給される電力でLED211を点灯させる。第1充電回路は、外部電源から供給される電力で第1蓄電池ブロック23の電池セルを充電する。非常用点灯回路は、外部電源の電力供給が停止した場合、第1蓄電池ブロック23から放電される電力でLED211を点灯させる。第1制御回路は、外部電源の給電状況を監視し、外部電源から電力供給されているときは常用点灯回路と第1充電回路を動作させるとともに非常用点灯回路を停止させる。また、第1制御回路は、外部電源の電力供給が停止(停電)したときは常用点灯回路と第1充電回路を停止させるとともに非常用点灯回路を動作させる。
さらに、第1制御回路は、第1充電回路を動作させているときに第1表示素子を発光させて充電中であることを表示する。第1制御回路は、第1点検スイッチがオンされている間、常用点灯回路及び第1充電回路を強制的に停止させるとともに非常用点灯回路を強制的に動作させて光源ブロック21のLED211を点灯させる。第1制御回路は、自己点検スイッチが所定時間(例えば、2秒)以上オンされると自己点検動作を行う。また、第1制御回路は、受光素子において赤外線を通信媒体とする制御信号を受信した場合も自己点検動作を行う。自己点検動作とは、規定時間(20分又は60分)が経過するまで常用点灯回路及び第1充電回路を強制的に停止させるとともに非常用点灯回路を強制的に動作させて光源ブロック21のLED211を点灯させる動作である。そして、第1制御回路は、規定時間が経過したら非常用点灯回路を停止させて非常用点灯回路の入力電圧、すなわち、第1蓄電池ブロック23の電池電圧を測定し、電池電圧の測定値に基づいて第1蓄電池ブロック23の良否を判定する。第1制御回路は、第1蓄電池ブロック23を良好と判定した場合に第1表示素子を連続して発光させ、第1蓄電池ブロック23を不良と判定した場合に第1表示素子を間欠的に発光(点滅)させる。
表示ユニット2は、筐体10の前壁11(プレート101)に設けられた四角形状の窓110から表示板20の前面を露出させるようにして筐体10内に収容される。表示ユニット2は、光源ブロック21から表示板20の上面に光を入射させ、表示板20全体を発光させることにより、表示板20の前面の輝度を高めてピクトグラムの視認性を高めている。
(2.4)光源装置
光源装置3は、図3に示すように、LED30(機能部)と、LED30を支持するホルダ31と、一対の端子板と、放熱板33と、レンズ9とを有している。
LED30は、四角形状の実装基板の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装されて構成されている。LEDチップは、例えば、青色光を放射する青色発光ダイオードである。また、LEDチップを含む実装基板の実装面(下面)は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂で封止されている。なお、封止樹脂は上下方向から見て円形に形成されており、封止樹脂の表面がLED30の発光面となる。
さらに、実装基板は、その対角の位置にある一対の角部にそれぞれ電極を有している。一方の電極は、LEDチップのカソードと電気的に接続され、他方の電極は、LEDチップのアノードと電気的に接続されている。これらの電極は、一対の端子板のうちの対応する端子板と電気的に接続されている。
ホルダ31は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材料によって円板状に形成されている。ホルダ31の中央部にLED30が保持されている。ホルダ31は、端子板保持部310を有している。端子板保持部310は、上向きに伸びた角筒状に形成され、一対の端子板を内部に収容して保持している。
レンズ9は、例えばガラス材料によって略ドーム形状に形成されている。レンズ9は、LED30を覆うようにホルダ31上に配置される。放熱板33は、アルミ板によって形成されている。レンズ9及びホルダ31は、放熱板33にねじ止め固定されている。
上述した構成を有する光源装置3は、取付部材6に取り付けられた状態で、筐体10に固定されている。
(2.5)取付部材とスイッチブロック
取付部材6は、例えば金属板に折り曲げ加工を施すことで形成されている。取付部材6には、光源装置3だけでなく、第1スイッチブロック16及び第2スイッチブロック17も取り付けられる。なお、光源装置3、第1スイッチブロック16及び第2スイッチブロック17は、取付部材6を下から見たとき、左側から光源装置3、第1スイッチブロック16及び第2スイッチブロック17の順番に並ぶように配置されている。
第1スイッチブロック16は、上述した第1点検スイッチ、自己点検スイッチ、第1表示素子、受光素子が実装されたプリント配線板と、プリント配線板を収容する第1ケース160と、第1点検スイッチを操作するための第1押釦161とを備える。
第1ケース160は、合成樹脂材料によって直方体形状の箱形に形成されている。第1ケース160の一面(下面)には、第1押釦161が収容される第1操作穴と、第1操作穴よりも径の小さい第2操作穴と、第1表示穴と、第1操作穴とほぼ同径の受光穴とが設けられている。第1押釦161は円柱状に形成されており、上下方向に移動可能な状態で第1操作穴内に収容されている。
第1ケース160内において、第1操作穴と上下方向に対向する位置に、押釦スイッチからなる第1点検スイッチが配置されている。したがって、第1ケース160の外から押された第1押釦161が第1ケース160内に移動し、第1押釦161の上端で第1点検スイッチが押操作されてオンする。
第1ケース160内において、第2操作穴と上下方向に対向する位置に、押釦スイッチからなる自己点検スイッチが配置されている。すなわち、自己点検スイッチは、第2操作穴を通して第1ケース160の外から挿入される細い工具(例えば、ドライバ等)の先端で押操作されてオンする。
第1ケース160内において、第1表示穴と上下方向に対向する位置に第1表示素子が配置されている。すなわち、第1表示素子の発する光は第1表示穴を通して第1ケース160の外に放射される。
第1ケース160内において、受光穴と上下方向に対向する位置に受光素子が配置されている。すなわち、自己点検用のリモートコントローラから送信される制御信号が受光穴を通して受光素子で受光(受信)される。
第1スイッチブロック16は、取付部材6の左右方向における略中央位置に、ねじ止め等により取り付けられている。
第2スイッチブロック17は、第2点検スイッチ及び第2表示素子が実装されたプリント配線板と、プリント配線板を収容する第2ケース170と、第2点検スイッチを操作するための第2押釦171とを備える。第2ケース170は、合成樹脂材料によって直方体形状の箱形に形成されている。第2ケース170の一面(下面)には、第2押釦171が収容される第3操作穴と、第3操作穴よりも径の小さい第2表示穴とが設けられている。第2押釦171は円柱状に形成されており、上下方向に移動可能な状態で第3操作穴内に収容されている。第2ケース170内において第3操作穴と上下方向に対向する位置に、押釦スイッチからなる第2点検スイッチが配置されている。したがって、第2ケース170の外から押された第2押釦171が第2ケース170内に移動し、第2押釦171の上端で第2点検スイッチが押操作されてオンする。第2ケース170内において第2表示穴と上下方向に対向する位置に第2表示素子が配置されている。すなわち、第2表示素子の発する光は第2表示穴を通して第2ケース170の外に放射される。
第2スイッチブロック17は、取付部材6の左右方向における右端の位置に、ねじ止め等により取り付けられている。
取付部材6は、筐体10の内底面(後壁12の前面)における下端部分に固定される。光源装置3のレンズ9は、筐体10の下側の側壁13における長手方向(左右方向)の中央に設けられた挿通穴14を通して筐体10の外に突出する。また、筐体10の下側の側壁13には、第1ケース160の第1操作穴、第2操作穴、第1表示穴及び受光穴、第2ケース170の第3操作穴及び第2表示穴と各々一対一に対応した複数の穴131〜136(図1参照)が設けられている。穴131は、第1操作穴と対向している。したがって、第1押釦161の先端部分が穴131を通して筐体10の外に突出する。穴132は第2操作穴と対向している。穴133は第1表示穴と対向している。穴134は受光穴と対向している。穴135は第3操作穴と対向している。したがって、第2押釦171の先端部分が穴135を通して筐体10の外に突出する。穴136は第2表示穴と対向している。
(2.6)駆動ブロック
駆動ブロック(駆動装置)4は、光源装置3のLED30(機能部)を駆動する第1駆動回路と、スピーカ8(機能部)を駆動する第2駆動回路と、を有している。また、駆動ブロック4は、駆動回路に電力を供給するための第2蓄電池ブロック5を充電する第2充電回路と、駆動回路及び第2充電回路を制御する第2制御回路とを有している。また、駆動ブロック4は、スピーカ8から出力する誘導音(例えば音声メッセージ)に関するデータ等を予め記憶するメモリを有している。また、駆動ブロック4は、上記の回路を構成する電子部品が実装された実装基板を収容する樹脂製のケース40を有している。
第2制御回路は、信号線S1(図4参照)を介して誘導灯信号装置から信号を受信したとき、第1駆動回路を制御し、通常時は外部電源から供給される電力でLED30を駆動してLED30を発光させる。また、第2制御回路は、外部電源の停電時は第2蓄電池ブロック5から供給される電力でLED30を駆動してLED30を発光させる。ただし、第2制御回路は、誘導効果を高めるためにLED30を間欠駆動するように駆動回路を制御する。例えば、第2制御回路は、約500ms毎に約50msの期間だけLED30を駆動して発光させるように駆動回路を制御することが好ましい。要するに、駆動ブロック4は、非常時において、機能部に相当するLED30に、誘導機能に相当する点灯又は点滅を行わせる(機能部の駆動)。
また、第2制御回路は、信号線S1を介して誘導灯信号装置から信号を受信したとき、第2駆動回路を制御し、メモリ内に記憶されるデータに基づいてスピーカ8から音声メッセージを出力させる。要するに、駆動ブロック4は、非常時において、機能部に相当するスピーカ8に、誘導機能に相当する音声メッセージの出力を行わせる(機能部の駆動)。音声メッセージは、例えば日本語「非常口はこちらです」又は英語「here is an emergencyexit」等であることが好ましい。日本語の音声及び英語の音声のいずれを出力させるかについては、駆動ブロック4に設けられたスイッチ等で予め切り替えることができることが好ましい。スピーカ8から出力される音声メッセージの音量は、駆動ブロック4に設けられた音量調整用の摘み等によって調整可能であることが好ましい。
第2充電回路は、外部電源から供給される電力で第2蓄電池ブロック5を充電する。さらに、第2制御回路は、第2充電回路を動作させているときに第2表示素子を発光させて充電中であることを表示する。第2制御回路は、第2点検スイッチがオンされている間、第2充電回路を強制的に停止させるとともに第1駆動回路及び第2駆動回路を制御して光源装置3のLED30の発光及び、スピーカ8からの音声メッセージの出力を行わせる。
第2蓄電池ブロック5は、複数本の乾電池型の電池セルが熱収縮チューブに包まれて構成されている。各電池セルは、ニッケル水素電池のような蓄電池である。第2蓄電池ブロック5は、筐体10内における取付台15の左横に収容されている(図3参照)。
(2.7)筐体の収容構造
以下、筐体10の収容構造について説明する。本実施形態の筐体10は、図3に示すように、表示板20の後ろ側の本体100内において、第1収容部10Aと、第2収容部10Bと、第1配線部10Cと、第2配線部10Dとを有している。本実施形態では、筐体10の取付台15に、第1収容部10A、第2収容部10B、第1配線部10C、及び第2配線部10Dが設けられている。
詳細な説明は省略するが、スピーカ8は、スピーカ8を保持する樹脂製の保持部材が本体100内における取付台15の左横にねじ止めされて、筐体10内に収容されている。第2蓄電池ブロック5は、筐体10内において、スピーカ8より下に配置されている。また、第3端子台73は、筐体10内において、スピーカ8より上に固定されていている。第3端子台73は、その右端面に電線挿入口を有しており、スピーカ8の入力端と電気的に接続されている電線(不図示)の先端を、電線挿入口に挿入し、第3端子台73の前端面にあるねじを締めつけることで、当該電線が接続され得る。
(2.7.1)第1収容部
第1収容部10Aは、点灯ブロック22が収容されるように構成されている。第1収容部10Aは、取付台15内の右下領域に位置する。第1蓄電池ブロック23が、取付台15の右下横にある蓄電池収容部10E内に収容されているため、点灯ブロック22は、第1蓄電池ブロック23から比較的近い位置にあると言える。第1収容部10Aは、点灯ブロック22のケース220の外周縁を囲むように形成された複数の位置決め片151(図5参照)を有している。また、第1収容部10Aは、ケース220の上側壁と下側壁とにそれぞれ設けられている突起片が挿入して係止する複数のブリッジ状の係止部152(図5参照)を有している。したがって、点灯ブロック22は、位置ずれ等を起こし難い状態で第1収容部10Aに収容されている。
(2.7.2)第2収容部
第2収容部10Bは、駆動ブロック4が収容されるように構成されている。第2収容部10Bは、取付台15内の左下領域に位置する。つまり、第1収容部10A及び第2収容部10Bは、本体100の開放された一面(前面)と交差する第1の方向(前後方向)から見たときに、左右方向に並んで配置されている。そのため、第2収容部10Bに収容された駆動ブロック4は、第1収容部10Aに収容された点灯ブロック22と左右方向に並んでいる。また、第2蓄電池ブロック5及びスピーカ8が本体100内において取付台15の左横に収容されているため、駆動ブロック4は、第2蓄電池ブロック5及びスピーカ8から比較的近い位置にあると言える。第2収容部10Bは、駆動ブロック4のケース40の外周縁を囲むように形成された複数の位置決め片153(図5参照)を有している。また、第2収容部10Bは、ケース40の左側壁と右側壁とにそれぞれ設けられている突起片が挿入して係止する複数のブリッジ状の係止部154(図5参照)を有している。したがって、駆動ブロック4は、位置ずれ等を起こし難い状態で第2収容部10Bに収容されている。
このように、第2収容部10Bに収容された駆動ブロック4は、第1収容部10Aに収容された点灯ブロック22とは分離されて配置されている。常用の表示ユニット2のLED211の点灯制御を行っている点灯ブロック22は、常に発熱しており、その周囲温度が比較的高くなり易い。一方、特定の事象が発生したときのみ(非常時及び点検時等)機能部の駆動を行う駆動ブロック4は、通常時においては第2蓄電池ブロック5の充電を行うのみであるため、点灯ブロック22に比べればその発熱量は低い。上述のように、駆動ブロック4と点灯ブロック22とが空間的に分離されているため、駆動ブロック4内の回路部品等は、点灯ブロック22からの発熱の影響を受け難い。
(2.7.3)第1配線部
第1配線部10Cは、電源線用の第1端子台71(図示例では2つの端子台ブロックからなる)が配置されるように構成されている。また、第1配線部10Cは、信号線用の一対の第2端子台72が配置されるように構成されている。第1配線部10Cは、取付台15を前後方向から見たときに、取付台15内の上側領域に位置しており、取付台15を上下方向に三等分したときの約三分の一の領域を占める。第1配線部10Cは、取付台15を前後方向から見たときに、取付台15における左端から右端の近傍にわたる領域を占めており、左右方向に長尺である。そして、第1配線部10Cは、第1の方向(前後方向)から見たときに、第1収容部10Aと第2収容部10Bとが並ぶ並び方向(左右方向)と交差する第2の方向(上下方向)における第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも一方の側(上側)に配置される。
第1端子台71は、第1配線部10Cの右縁の近傍に配置されている。具体的には、図5に示すように、第1配線部10Cの右縁の近傍には、前方に向かって矩形板状に突出した台座155が設けられている。第1端子台71は、台座155の前面にねじ止めされている。
第1配線部10Cには、第1端子台71の一次側に接続される第1電線L1(図示例では、簡略化のために1本のみ示す:例えば電圧線(黒相)と中性線(白相)とを含む)が配置される。第1電線L1は、外部から筐体10内に引き込まれる電源線である。
ここで、本体100の後壁12の上部における左右方向の中央に、第1電線L1を筐体10内に引き込むための電源線挿通孔104A(図3参照)が設けられている。本体100の上側の側壁13における左右方向の中央にも、電源線挿通孔104B(図3参照)が設けられている。また、取付台15の底壁において、電源線挿通孔104Aと連通する電源線挿通孔156A(図5参照)が設けられている。同様に、取付台15の上側壁においても、電源線挿通孔104Bと連通する電源線挿通孔156B(図5参照)が設けられている。要するに、第1配線部10Cは、取付台15内の上側領域に位置しているため、第1電線L1は、電源線挿通孔104A、156A、又は電源線挿通孔104B、156Bを通ると、直接的に第1配線部10C内に入ることになる。なお、図示例では、第1電線L1は、一例として、電源線挿通孔104B、156Bを通じて、筐体10内に引き込まれている。
第1端子台71は、例えば、ねじなし端子(いわゆる速結端子)を有しており、第1電線L1(の電圧線と中性線)を差し込むことで第1端子台71の一次側に接続され得る複数の差込口711を有している。また、第1端子台71は、第1端子台71の二次側に接続されている複数の第2電線L2(図示例では2本)が導出される複数の導出口712を有している。複数の第2電線L2は、第1端子台71の二次側と点灯ブロック22及び駆動ブロック4の各々とを電気的に接続する(繋ぐ)。第1端子台71の二次側と点灯ブロック22とを繋ぐ第2電線L2は、図示例では簡略化のために1本で示すが、例えば電圧線(黒相)と中性線(白相)と電圧線(赤相)とを含む。また、第1端子台71の二次側と駆動ブロック4とを繋ぐ第2電線L2は、例えば電圧線(黒相)と中性線(白相)とを含む。
2本の第2電線L2のうちの一方は、図4に示すように、点灯ブロック22のケース220の左下縁から露出する第1端子ブロック221に接続されている。また、2本の第2電線L2のうちの他方は、図4に示すように、駆動ブロック4のケース40の右上縁から露出する第1端子ブロック41に接続されている。図4では、第1端子台71、一対の第2端子台72、点灯ブロック22、及び駆動ブロック4を想像線(二点鎖線)で示す。
ここで本実施形態の第1端子台71は、複数の導出口712が第1配線部10Cの縁の側(右縁の側)を向くように配置されている。そして、複数の差込口711は、第1配線部10Cの左右方向の中央の側を向いている。したがって、誘導灯器具1の施工時に、施工者にとっては、導出口712から導出している複数の第2電線L2が邪魔になり難い。また、施工者は、第1配線部10Cを利用して、第1電線L1の引き回しを行ったり、第1端子台71の差込口711に第1電線L1を差し込んで接続(結線)したりすることができる。つまり、配線作業が容易となる。
一対の第2端子台72は、第1配線部10Cの下部の左寄りに配置されている。具体的には、第1配線部10Cの下部の左寄りの位置には、前方に向かって矩形板状に突出した台座158が設けられている。一対の第2端子台72は、台座158の前面の左右両端に、それぞれ固定されている。
第1配線部10Cには、各第2端子台72の一次側に接続される複数の信号線S1(図示例では簡略化のため各第2端子台72に対して1本のみ)が配置される。複数の信号線S1は、外部から筐体10内に引き込まれる。誘導灯器具1は、複数の信号線S1を介して、例えば、煙感知器等に接続されている外部の誘導灯信号装置、並びに、建物の上層階又は下層階にある別の誘導灯器具と接続されていて、これらと通信可能となっている。
一対の第2端子台72は、互いに対向する対向面において、電線挿入口を有している。各信号線S1の先端を、電線挿入口に挿入し、各第2端子台72の前端面にあるねじを締めつけることで、当該信号線S1が接続され得る。
ここで、本体100の後壁12の上部における電源線挿通孔104Aの左横に、信号線S1を筐体10内に引き込むための信号線挿通孔104C(図3参照)が設けられている。本体100の上側の側壁13における電源線挿通孔104Bの左横にも、信号線挿通孔104D(図3参照)が設けられている。また、取付台15の底壁において、信号線挿通孔104Cと連通する信号線挿通孔156C(図5参照)が設けられている。同様に、取付台15の上側壁においても、信号線挿通孔104Dと連通する信号線挿通孔156D(図5参照)が設けられている。要するに、第1配線部10Cは、取付台15内の上側領域に位置しているため、信号線S1は、信号線挿通孔104C、156C、又は信号線挿通孔104D、156Dを通ると、直接的に第1配線部10C内に入ることになる。なお、図示例では、信号線S1は、一例として、信号線挿通孔104D、156Dを通じて、筐体10内に引き込まれている。
各第2端子台72の二次側に接続される複数の信号線S2は、駆動ブロック4のケース40の上縁から露出する第2端子ブロック42に接続されている。第2端子ブロック42は、第1端子ブロック41の左隣りに並んでいる。なお、第2端子ブロック42は、信号線S3を介して、スピーカ8の上に配置されている第3端子台73とも接続されており、駆動ブロック4は、信号線S3及び第3端子台73を通じて、スピーカ8へ音声メッセージを含む音声信号を出力する。
以下、その他の接続関係について説明する。点灯ブロック22のケース220の上縁の左隅には、第2端子ブロック222が露出している。第2端子ブロック222は、複数の第3電線L3(図示例では簡略化のため1本のみ)を介して、表示ユニット2の光源ブロック21と電気的に接続され、LED211を点灯させるための電力を供給する。複数の第3電線L3は、第1配線部10C内に配置されている。第1配線部10Cは、複数の第3電線L3の位置ずれを抑制するために、複数の鉤状の留め部157を有している。複数の留め部157は、取付台15の内底面から前方に突出し、電源線挿通孔156Aよりも上側に設けられている。また、点灯ブロック22のケース220の上縁の右隅には、第3端子ブロック223が露出している。第3端子ブロック223は、電線L4、L5を介して、それぞれ、第1蓄電池ブロック23及び第1スイッチブロック16と電気的に接続されている。駆動ブロック4のケース40の下縁の右隅には、第3端子ブロック43が露出している。第3端子ブロック43は、複数の電線L6〜L8を介して、それぞれ、光源装置3、第2蓄電池ブロック5及び第2スイッチブロック17と電気的に接続されている。
ところで、筐体10は、誘導灯器具1を構造体T1へ取り付けるための一対の取付ボルトT10がそれぞれ挿入される一対の孔103を2組有している。すなわち、筐体10の後壁12に一対の孔103が設けられ、更に、筐体10の上側の側壁13に、一対の孔103が設けられている。後壁12にある孔103は、例えば誘導灯器具1を壁材に取り付けるときに用いられ、上側の側壁13にある孔103は、例えば誘導灯器具1を天井材に取り付ける際に用いられる。そして、第1配線部10Cは、第1の方向(前後方向)から見たときに、第1収容部10A、第2収容部10B、及び(いずれか一方の組の)一対の孔103に挿入された一対の取付ボルトT10によって囲まれている。言い換えると、第1配線部10C及び一対の孔103の位置関係は、第1配線部10Cを利用して配線作業を行う施工者にとって孔103に挿入されている取付ボルトT10が邪魔にならないように、規定されている。
(2.7.4)第2配線部
第2配線部10Dは、上述した第1端子台71の二次側と点灯ブロック22及び駆動ブロック4の各々とを繋ぐ複数の第2電線L2(図示例では2本)が配置されるように構成されている。また、光源ブロック21と点灯ブロック22とを繋ぐ第3電線L3も、この第2配線部10Dと第1配線部10Cとに配置されている。第2配線部10Dは、取付台15を前後方向から見たときに、取付台15内において、第1領域10D1、第2領域10D2、及び第3領域10D3によって構成される(図4参照)。第1領域10D1は、第1配線部10Cにある第1端子台71の右横において、上下方向に延びている。第2領域10D2は、第1領域10D1の下端から連続し、左右方向に延びている。第3領域10D3は、第2領域10D2の左端から連続し、上下方向に延びている。
第1領域10D1には、第1端子台71の導出口712から導出している複数の第2電線L2が最初に通る領域である。複数の第2電線L2は、第1領域10D1から第2領域10D2にわたって、第1端子台71の外縁の周方向に沿うように通る。第2領域10D2は、概ね第1端子台71と点灯ブロック22と間に配置されている。そして、第3領域10D3は、概ね点灯ブロック22と駆動ブロック4との間に配置されている。言い換えると、第1収容部10A及び第2収容部10Bは、取付台15を前後方向から見たときに、上記第1の方向(前後方向)から見たときに互いに隙間G1を空けて並んで配置される。第2配線部10Dの第3領域10D3は、隙間G1に配置されている。なお、第3領域10D3には、第2電線L2の位置ずれを抑制するために複数の鉤状の留め部159が設けられている。留め部159は、取付台15の内底面から前方に突出している。
本実施形態では、複数の第2電線L2の接続先である点灯ブロック22の第1端子ブロック221及び駆動ブロック4の第1端子ブロック41、並びに、第3電線L3の接続先である点灯ブロック22の第2端子ブロック222が、第3領域10D3に面している。そのため、第2電線L2及び第3電線L3が、取付台15内において無用に引き回される可能性を抑制できる。
ところで、本実施形態の筐体10は、第2配線部10Dに配置される第2電線L2が第1配線部10Cへ入り込むことを規制する壁部W1を、更に有している。壁部W1は、第2配線部10Dの一部(第3領域10D3)と第1配線部10Cとの間に配置されている。壁部W1は、取付台15の内底面から前方に突出している。壁部W1は、上下方向から見たときに、矩形の板状である。なお、壁部W1の数、並びに、その左右方向における寸法は、特に限定されない。壁部W1の数は、例えば2つでもよいし、1つの壁部W1が、第2領域10D2にまでわたって長く延びていてもよい。
(2.7.5)配線作業
以下、誘導灯器具1の施工時に、施工者の配線作業について簡単に説明する。なお、以下の作業手順は、単なる一例であって、特に限定されるものではない。また、以下では、構造体T1は、天井材であることを想定する。
施工者は、まず、誘導灯器具1から筐体10のプレート101及び表示板20等を取り外し、誘導灯器具1を構造体T1から導出されている一対の取付ボルトT10を、筐体10の上側の側壁13にある一対の孔103にそれぞれ通す。これと同時に、施工者は、構造体T1から導出されている第1電線L1及び複数の信号線S1も、電源線挿通孔104B、156B及び信号線挿通孔104D、156Dに、それぞれ通す。そして、施工者は、取付ボルトT10をナット等で締め付けて、誘導灯器具1を構造体T1に固定する。
次に、施工者は、第1配線部10C内の空間を利用して第1電線L1を引き回しながら、第1電線L1の先端を第1端子台71の差込口711に差し込む。その結果、第1電線L1が、第1配線部10Cの一次側に接続される。また、施工者は、第1配線部10C内の空間を利用して複数の信号線S1を引き回しながら、その各々の先端を、対応する第2端子台72の電線挿入口に挿入して、第2端子台72の前端面にあるねじを締めつける。その結果、信号線S1が、対応する第2端子台72の一次側に接続される。
本実施形態では、プレート101が外された状態で、このように第1端子台71及び第2端子台72に対する第1電線L1及び信号線S1の結線、並びに引き回しにおいて、第1配線部10Cを利用することができる。特に、第1配線部10Cが第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも上側に配置されている。そのため、例えば、点灯ブロックと駆動ブロックとの間の僅かな隙間を配線作業用のスペースに利用する場合に比べて、より広い領域として第1配線部10Cを確保することができる。したがって、配線作業の作業性の向上を図ることができる。また、第1端子台71の二次側に繋がれている第2電線L2は、第1配線部10Cから分離した領域にある第2配線部10Dに配置されているため、第1電線L1と第2電線L2とが、筐体10内で絡み合う可能性を低減できる。言い換えると、第1電線L1の配線作業時に、第2電線L2が邪魔になり難くなり、配線作業が容易となる。
特に、壁部W1が設けられていることで、第1電線L1と第2電線L2とが、筐体10内で絡み合う可能性を更に低減できる。そして、第1配線部10C及び一対の孔103の位置関係は、第1配線部10Cが第1収容部10A、第2収容部10B、及び一対の孔103に挿入された一対の取付ボルトT10によって囲まれるように規定されている。そのため、配線作業時に、第1配線部10Cを利用する施工者の手が、一対の取付ボルトT10に当たるといった事態の発生を抑制することができる。
(2.8)筐体の取付構造
以下、筐体10における本体100及びプレート101の取付構造について図2及び図6を参照しながら説明する。なお、図6では、プレート101の外郭を想像線(二点鎖線)で示す。一対の取付ばね102は、プレート101の背面における左右の両縁において、それぞれ後方に突出するように設けられている。各取付ばね102は、全体として略U状の線ばねとして構成されている。
一方、本体100の左右の側壁13は、その前端において、互いに近づく方向に突出する突片130を有している。本体100の各突片130は、対応する取付ばね102が本体100の前方から挿入され得る切欠凹部137を有している。更に、各側壁13は、その内側面において、切欠凹部137を通った取付ばね102が引っ掛かる引掛部138を有している。
各引掛部138は、対応する取付ばね102が引っ掛けられる一対の引掛片139を有している。一対の引掛片139は、先端が上下方向において互いに向き合った鉤形状を有している。各取付ばね102は、一対の引掛片139の間に押し込まれると、上下方向に縮むように弾性変形しながら挿入される。各取付ばね102は、所定の位置まで挿入されると、弾性復帰することで、一対の引掛片139に引っ掛かり、プレート101は、本体100に取り付けられる。
ところで、本実施形態の一対の取付ばね102は、図6に示すように、プレート101を左右方向に沿って見たときに、上下方向の位置が異なるように配置されている。なお、図6は、筐体10を右側から見た斜視図である。具体的には、プレート101の右側の取付ばね102は、上下方向における中央よりもやや下の位置にあり、左側の取付ばね102は、上下方向における中央よりもやや上の位置ある。言い換えると、この一対の取付ばね102だけに着目すれば、プレート101は、前後方向に沿って見たときに、点対称である。
また、一対の取付ばね102の位置関係に対応して、右側の切欠凹部137及び引掛部138は、側壁13の上下方向における中央よりやや下にあり、左側の右側の切欠凹部137及び引掛部138は、側壁13の上下方向における中央よりやや上にある。
そして、本実施形態の本体100は、もう1つ別のプレート101が後方から取り付けられるように構成されている。具体的には、図1〜図3及び図6の本体100は、その後面が後壁12によって塞がれた状態であるが、図8に示すような両面タイプの誘導灯器具1A(変形例1)の場合、後壁12の背面にも、上記別のプレート101が後方から取り付けられる。そして、左右の側壁13は、その後端にも、互いに近づく方向に突出する突片130を有している。後端の突片130も、対応する取付ばね102が本体100の後方から挿入され得る切欠凹部137を有している。更に、各側壁13は、その内側面において、後端の突片130にある切欠凹部137を通った取付ばね102が引っ掛かる引掛部138を有している。
以下、本体100の前方からプレート101が引っ掛けられる一対の引掛部138を、一対の「前側引掛部138A」と呼び、本体100の後方から別のプレート101が引っ掛けられる一対の引掛部138を、一対の「後側引掛部138B」と呼ぶこともある。
本実施形態では、本体100を前後方向に沿って見たときに、右側の側壁13にある前側引掛部138Aと後側引掛部138Bは、それらの中間点が、当該側壁13の上下方向における中央に位置するように配置されている。同様に、左側の側壁13にある前側引掛部138Aと後側引掛部138Bは、それらの中間点が、当該側壁13の上下方向における中央に位置するように配置されている。言い換えれば、前側引掛部138Aと後側引掛部138Bとだけに着目すれば、各側壁13は、その厚み方向(左右方向)に沿って見たときに、点対称である。
本体100が、上述した位置関係を有している合計4つの引掛部138を有しているため、同一の構造を有する2つのプレート101を、本体100に対してそれぞれ前方と後方とから取付可能となった両面タイプの筐体10が提供される。特に、図1〜図3及び図6に示す片面タイプの誘導灯器具1と、図8に示す両面タイプの誘導灯器具1Aとにおいて、プレート101及び本体100を共通化することができ、製造コストの削減を図ることができる。
(2.9)プレートの傾斜構造
ところで、表示板20は、そのピクトグラムの視認性、及び光源ブロック21から放射される光の導光性等を考慮して、その前面が下方に向かってやや傾斜するように構成されている。本実施形態では、表示板20を露出する窓110を有したプレート101も、その前面1010が下方に向かってやや傾斜するように構成されている。
具体的には、筐体10のプレート101は、図7に示すように、傾斜した前面1010を有している。前面1010は、その上端から下端に行くほど本体100に近づくように傾斜している。前面1010の上下方向に対する傾斜角度は、表示板20の前面の上下方向に対する傾斜角度と概ね同じとなるように規定している。
したがって、例えばプレート101の前面1010が傾斜していない場合に比べて、上述した視認性及び導光性を維持しつつ、表示板20と一体感のあるプレート101を提供することができる。
(3)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。
基本例では、取付台15が設けられていて、第1収容部10A、第2収容部10B、第1配線部10C、及び第2配線部10Dは、取付台15によって構成されているが、取付台15は、筐体10の必須の構成要素ではない。第1収容部10A、第2収容部10B、第1配線部10C、及び第2配線部10Dは、筐体10の本体100に直接設けられてもよい。同様に、壁部W1は、取付台15の内底面から突出しているが、筐体10の本体100の内底面に直接設けられてもよい。
基本例では、第1配線部10Cが第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも上側に配置されている。しかし、第1配線部10Cは、第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも下側に配置されていてもよい。ただし、筐体10の電線挿通孔及び信号線挿通孔の位置、並びに光源装置3の位置等を考慮すれば、基本例のように、第1配線部10Cが第1収容部10A及び第2収容部10Bよりも上側に配置されていることが望ましい。
基本例では、誘導灯器具1は、スピーカ8を備える誘導音付誘導灯器具であったが、図9及び図10に示すように、スピーカ8を備えていない誘導灯器具1B(変形例2)であってもよい。言い換えると、基本例では、機能部として、LED30とスピーカ8の両方が設けられているが、いずれか一方のみが設けられていてもよい。また、図11に示すように、2つのプレート101がそれぞれ本体100の前面と後面とを覆うように設けられた両面タイプで、かつ、スピーカ8を備えていない誘導灯器具1C(変形例3)であってもよい。なお、スピーカ8を備えていない誘導灯器具1B、1Cにおいても、基本例で説明した取付台15が、適用されることが好ましい。
基本例の誘導灯器具1、並びに変形例1〜3の誘導灯器具1A〜1Cは、天井材又は壁材に直付けされる誘導灯器具であるため、光源装置3を露出する挿通穴14は下側の側壁13に設けられて、LED30の光軸が下方を向いていた。しかし、例えば、図12に示すように、光源装置3を露出する挿通穴14は、プレート101の下部に設けられて、LED30の光軸が前方を向いている、スピーカ8付きの誘導灯器具1D(変形例4)であってもよい。あるいは、図13に示すように、光源装置3を露出する挿通穴14がプレート101の下部に設けられて、LED30の光軸が前方を向いている、スピーカ8を備えていない誘導灯器具1E(変形例5)であってもよい。要するに、変形例4、5の誘導灯器具1D、1Eは、壁材等の構造体T1に埋め込みされる埋込形の誘導灯器具である。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る誘導灯器具(1、1A〜1E)は、光源(LED211)と表示板(20)と点灯ブロック(22)と機能部(例えばLED30)と駆動ブロック(4)と端子台(第1端子台71)と筐体(10)とを備える。表示板(20)は、光源(LED211)により照らされる。点灯ブロック(22)は、光源(LED211)を点灯制御する。機能部は、誘導機能を実行する。駆動ブロック(4)は、特定の事象が発生したときに機能部を駆動する。筐体(10)は、少なくとも点灯ブロック(22)、駆動ブロック(4)及び端子台を収容する。筐体(10)は、開放された一面(前面)を有する本体(100)と、当該一面を覆うプレート(101)と、を有する。表示板(20)は、その表示面がプレート(101)から露出するように筐体(10)に支持される。筐体(10)は、本体(100)内において、第1収容部(10A)と、第2収容部(10B)と、第1配線部(10C)と、第2配線部(10D)とを有する。第1収容部(10A)には、点灯ブロック(22)が収容される。第2収容部(10B)には、駆動ブロック(4)が収容される。第1配線部(10C)には、端子台、及び端子台の一次側に接続される第1電線(L1)が配置される。第2配線部(10D)には、端子台の二次側と点灯ブロック(22)及び駆動ブロック(4)の各々とを繋ぐ第2電線(L2)が配置される。第1収容部(10A)及び第2収容部(10B)は、本体(100)の一面(前面)と交差する第1の方向から見たときに、並んで配置される。第1配線部(10C)は、上記第1の方向から見たときに、第1収容部(10A)及び第2収容部(10B)が並ぶ並び方向と交差する第2の方向における第1収容部(10A)及び第2収容部(10B)よりも一方の側に配置される。第1の態様によれば、例えば誘導灯器具(1、1A〜1E)の施工時にプレート(101)が外された状態において、配線作業の作業性の向上を図ることができる。
第2の態様に係る誘導灯器具(1、1A〜1E)に関して、第1の態様において、端子台は、第2電線(L2)が導出される導出口(712)を有し、導出口(712)が第1配線部(10C)の縁の側を向くように配置されていることが好ましい。第2の態様によれば、例えば誘導灯器具(1、1A〜1E)の施工時に、施工者にとって、導出口712から導出している第2電線(L2)が邪魔になり難くなり、配線作業の作業性が更に向上される。
第3の態様に係る誘導灯器具(1、1A〜1E)に関して、第1の態様又は第2の態様において、第1収容部(10A)及び第2収容部(10B)は、上記第1の方向から見たときに互いに隙間(G1)を空けて並んで配置されることが好ましい。第2配線部(10D)の少なくとも一部(第3領域10D3)は、隙間(G1)に配置されていることが好ましい。第3の態様によれば、第2電線(L2)が邪魔になり難くなり、配線作業の作業性が更に向上される。また、第2電線(L2)が、筐体(10)内において無用に引き回される可能性を抑制できる。
第4の態様に係る誘導灯器具(1、1A〜1E)に関して、第3の態様において、筐体(10)は、第2配線部(10D)に配置される第2電線(L2)が第1配線部(10C)へ入り込むことを規制する壁部(W1)を、更に有することが好ましい。壁部(W1)は、第2配線部(10D)の上記一部(第3領域10D3)と第1配線部(10C)との間に配置されていることが好ましい。第4の態様によれば、第1電線(L1)と第2電線(L2)とが、筐体(10)内で絡み合う可能性を更に低減できる。
第5の態様に係る誘導灯器具(1、1A〜1E)は、第1〜第4の態様のいずれか1つにおいて、端子台である第1端子台(71)に加えて、第1配線部(10C)に配置されて信号線(S1)が接続される第2端子台(72)を、更に備えることが好ましい。筐体(10)は、当該誘導灯器具(1、1A〜1E)を構造体(T1)へ取り付けるための一対の取付ボルト(T10)がそれぞれ挿入される一対の孔(103)を、更に有することが好ましい。第1配線部(10C)は、上記第1の方向から見たときに、第1収容部(10A)、第2収容部(10B)、及び一対の孔(103)に挿入された一対の取付ボルト(T10)によって囲まれることが好ましい。第5の態様によれば、例えば配線作業時に、第1配線部(10C)を利用する施工者の手が、一対の取付ボルトT10に当たるといった事態の発生を抑制することができる。