(1)概要
以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の構成に限定されることはなく、下記の構成以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態の照明器具1は、一例として、執務室などの天井に直付けされる天井直付け形の照明器具であることを想定する。ただし、照明器具1は、この限りではなく、天井埋込形の照明器具又は壁に取り付けられる照明器具であってもよい。本実施形態の照明器具1は、例えば図2に示すように、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を互いに隣に並べて収容する器具本体10とを備えている。
非常用照明装置3は、例えば図7に示すように、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7とを備える。制御装置6は、非常用電源ユニット5から供給される電力で非常用光源ユニット4を点灯する。カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して非常用光源ユニット4及び制御装置6を覆う。
制御装置6は、図1に示すように、基板(第2プリント配線板610)と、当該基板に実装される第1のスイッチ611及び第2のスイッチ612とを有している。さらに、制御装置6は、押操作を受けて第1のスイッチ611をオンする第1操作部材6214と、押操作を受けて第2のスイッチ612をオンする第2操作部材6215とを有している。
制御装置6は、第1のスイッチ611がオンされたときに第1の点検動作を行うように構成されている。また、制御装置6は、第2のスイッチ612がオンされたときに第1の点検動作とは異なる第2の点検動作を行うように構成されている。ここでいう第1の点検動作とは、例えば、非常用電源ユニット5の蓄電池50を充電するための充電回路を停止させて、かつ、点灯回路を動作させて非常用光源ユニット4を所定の時間(例えば30分又は60分)点灯させた後、再度、点灯回路を停止させて充電回路を動作させることである。また、ここでいう第2の点検動作とは、例えば、第2のスイッチ612がオン状態の間、充電回路を停止させて、かつ、点灯回路を動作させて非常用光源ユニット4を継続的に点灯させる動作である。第2のスイッチ612がオフ状態になると、点灯回路が停止されて、再度、充電回路が動作される。
カバー7は、第1操作部材6214と対向する第1貫通孔712と、第2操作部材6215と対向する第2貫通孔715とを有する。本実施形態では、基板(第2プリント配線板610)の厚み方向に平行な第1の方向において、当該基板から第1貫通孔712までの第1距離D1は、当該基板から第2貫通孔715までの第2距離D2よりも大きい(図1参照)。ここでは、第1の方向とは、図2で規定されている上下方向に相当する。図示例では、第1距離D1は、第1の方向における基板から第1貫通孔712の中心P1までの距離を示し、第2距離D2は、第1の方向における基板から第2貫通孔715の中心P2までの距離を示している。
第1の方向に沿って見たときに、第1貫通孔712と第2貫通孔715とが並ぶ第2の方向(図5Aの一点鎖線A1参照)において、カバー7の中央P3から第1貫通孔712までの第3距離D3は、中央P3から第2貫通孔715までの第4距離D4よりも小さい。ここでは、第2の方向とは、図2で規定されている前後方向に相当する。
カバー7の中央P3とは、カバー7全体の中央ではなく、第1貫通孔712と第2貫通孔715とを通る直線(一点鎖線A1)上におけるカバー7の中央である。図示例では、第3距離D3は、第2の方向におけるカバー7の中央P3から第1貫通孔712の中心P1までの距離を示し、第4距離D4は、第2の方向における中央P3から第2貫通孔715の中心P2までの距離を示している。なお、図1は、照明器具1の一部破断した左側面図を示しており、その破断した部分は、図5Aの一点鎖線A1における断面を示している。
第1距離D1及び第2距離D2の各々は、例えば、基板から対応する孔の中央P3側の開口縁までの距離であってもよい。また、第3距離D3及び第4距離D4の各々は、例えば、中央P3から対応する孔の中央P3側の開口縁までの距離であってもよい。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態の照明器具1について、図1〜図12を参照して詳しく説明する。以下では、特に断りの無い限り、照明器具1の上下、左右、前後の方向を、図2に図示されている上下、左右、前後の矢印を用いて規定して説明する。また、以下、「ユーザ」とは、例えば、照明器具1が設置された場所で作業する者あるいは照明器具1の所有者であり、すなわち、点検作業を専門業務としていない者を意味する。一方、「点検作業者」とは、例えば、定期的な点検作業を専門業務としている作業者を意味する。
本実施形態の照明器具1は、「(1)概要」の欄で説明したように、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を収容する器具本体10とを備えている。
(2.2)器具本体
器具本体10は、金属材料によって長尺の箱形に形成されている。器具本体10は、長尺の矩形平板状の天板11と、天板11の長手方向(左右方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第1側板12とを有している。器具本体10は、さらに、天板11の短手方向(前後方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第2側板13を有している。さらに、器具本体10は、天板11に対向する下面に開口部15(図2参照)を有している。天板11には、電線を通すための孔110が左右方向におけるほぼ中央に設けられている。また、天板11には、左右方向における両端寄りの位置に吊りボルトを通すための孔111がそれぞれ設けられている(図2参照)。さらに、天板11の下面には、孔110から引き込まれる電線が結線される端子台14が取り付けられている。
(2.3)常用照明装置
常用照明装置2は、常用光源と、常用光源が取り付けられる取付部材21と、常用光源を覆う透光カバー20と、常用光源を点灯する電源装置とを備えている。常用光源は、長尺の基板と、基板の表面に実装される多数のLED(Light Emitting Diode)とを有している。取付部材21は、金属材料によって長尺の樋状に形成されている。取付部材21は、長尺の矩形板状に形成された底板と、底板の短手方向(前後方向)における両端から上向きに立ち上がる一対の側板210とを有している。常用光源は、取付部材21の底板の下面に取り付けられる。電源装置は、端子台14を介して常用電源(例えば、商用の交流電源)から供給される交流電力を直流電力に変換するように構成されている。電源装置は、取付部材21の底板の上面に取り付けられる。常用光源と電源装置は、底板に設けられた挿通孔に挿通される電線によって電気的に接続される。常用光源は、電線を介して電源装置から直流電力が供給されることによって点灯する。
透光カバー20は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料により上面が開口する長尺の箱形に形成されている。透光カバー20の下面は、短手方向(前後方向)において両端から中央に向かってなだらかに下向きに突出する曲面形状に形成されている(図2参照)。なお、透光カバー20を形成する合成樹脂材料には、拡散剤が混入されている。すなわち、常用光源から放射される光は、透光カバー20を透過する際に拡散される。
常用照明装置2は、透光カバー20を除く部分(取付部材21の側板210,210及び電源装置など)が器具本体10内に収容され、器具本体10の開口部15の大部分を透光カバー20で塞ぐようにして器具本体10に着脱可能に取り付けられる。ただし、常用照明装置2を器具本体10に着脱可能に取り付ける構造は、特許文献1に記載されている従来例と共通であるから、詳細な説明及び図示は省略する。
(2.4)非常用照明装置
(2.4.1)非常用照明装置の全体構成
次に、非常用照明装置3について、図面を参照して詳細に説明する。非常用照明装置3は、「(1)概要」の欄で説明したように、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7と、を備えている(図2〜図9参照)。さらに、非常用照明装置3は、押さえ具8を備えている。
(2.4.2)非常用光源ユニット
非常用光源ユニット4は、図9に示すように、LEDモジュール40と、ホルダ41と、一対の端子板42と、放熱シート43(図8参照)と、レンズ44とを有している。LEDモジュール40は、矩形平板状の実装基板400の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装されて構成されている。LEDチップは、例えば、青色光を放射する青色発光ダイオードであることが好ましい。また、LEDチップを含む実装基板400の実装面(下面)は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂401で被われている(図9参照)。さらに、実装基板400の対角の位置にある一対の角部の下面には、それぞれ電極が形成されている。一方の電極は、LEDチップのカソードと電気的に接続され、他方の電極は、LEDチップのアノードと電気的に接続されている。さらに、これら2つの電極は、一対の端子板42のうちの対応する端子板42と電気的に接続されている。
レンズ44は、例えばガラス製であって、図9に示すように、レンズ本体440と、レンズ本体440の周縁から外向きに突出する円環状の外鍔部441とを有している。レンズ44は、図8に示すように、非球面形状の入射面442及び出射面443を有し、いわゆるバットウイング(batwing)状の配光特性を実現する広角配光レンズであることが好ましい。ただし、レンズ44は、ガラス繊維が混入されることで耐熱性(難燃性)が向上された合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート樹脂など)で形成されてもよい。
放熱シート43は、高熱伝導率、電気絶縁性及び難燃性を有するシリコーン樹脂製のシート材で構成される。放熱シート43は、LEDモジュール40の実装基板400の上面に接触する。
ホルダ41は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料により、上下方向から見て、おおよそ菱形に形成される(図9参照)。ホルダ41は、LEDモジュール40の発光面(下面)にレンズ44のレンズ本体440を重ねるようにして、LEDモジュール40とレンズ44を保持している。また、ホルダ41は、端子板保持部410を有している。端子板保持部410は、上向きに伸びた角筒状に形成され、一対の端子板42を内部に収容して保持している(図8〜図10参照)。
(2.4.3)非常用電源ユニット
非常用電源ユニット5は、図11に示すように、乾電池型の複数(図示例では5本)の蓄電池50と、これら複数の蓄電池50を収容する合成樹脂材料製のケース51と、第1導体54と、第2導体55とを備えている。ケース51は、ケースボディ52とケースカバー53を有する。ケースボディ52は、矩形の底壁520と、底壁520の前後両端縁から下向きに突出する一対の第1側壁521とを有している。また、ケースボディ52は、底壁520の右側の端縁から下向きに突出する第2側壁522と、底壁520の左側の端縁から下向きに突出する第3側壁523とを有している。ただし、第3側壁523は、第1側壁521,521及び第2側壁522よりも上下方向の高さを高くするように形成されている。
底壁520は、その下面から下向きに突出する5つの突台部526を有している。これら5つの突台部526は、底壁520の下面において左右方向に並んでいる。また、各突台部526の下面は、半円筒面形状に形成されている。各突台部526の下面に蓄電池50が1本ずつ載せられて支持される。ただし、5つの突台部526のうちで左端の突台部526は、他の4つの突台部526よりも下方に位置している。
第1側壁521,521の各々は、一対の突片5210を有している。各突片5210は、矩形の板状に形成され、第1側壁521の下端から下に突出している。また、各突片5210は、その先端(下端)に三角柱状の爪5211を有している。ただし、前方の第1側壁521が有する各突片5210の爪5211は前方へ突出し、後方の第1側壁521が有する各突片5210の爪5211は後方へ突出している。
第2側壁522は、その右側面における下端から右向きに突出している突部524を有する。突部524は、おおよそ直方体状に形成されている。ただし、突部524の右下の辺は、凸曲面形状に形成されることが好ましい。
第3側壁523は、矩形の板状に形成されている。第3側壁523は、その左側面における前方の下部に、端子保持部527を有している。端子保持部527は、軸方向を上下方向に一致させた角筒状に形成されている。また、端子保持部527内の空間は、隔壁5270によって2つに区切られている(図11参照)。また、端子保持部527は、その前面における上端部分に、矩形板状のガイド片5271を有している。ガイド片5271は、厚み方向を左右方向に一致させるようにして端子保持部527の前面から前方へ突出している。
ケースカバー53は、矩形の第1底壁530と、第1底壁530の左側の端縁から左斜め下向きに突出する矩形の第1側壁531と、第1底壁530及び第1側壁531の前後両端縁から上向きに突出する一対の第2側壁532とを有している。また、ケースカバー53は、第1底壁530の右側の端縁から上向きに突出する第3側壁533と、第1側壁531の左側の端縁から左向きに突出する第2底壁534とを有している。
各第2側壁532は、一対の貫通孔5320を有している。また、前方の第2側壁532は、階段状に形成されている。
第3側壁533は、突片5330を有している。突片5330は、第3側壁533の後端寄りの上端から上に突出している。また、突片5330は、その先端(上端)に三角柱状の爪5331を有している。爪5331は、突片5330の上端における右側面から右方へ突出している。
第2底壁534は、矩形の板状に形成されている。第2底壁534は、その前方左端に蓋部535を有している。蓋部535は、左右方向から見た形状がU字状となるように形成されている。
5本の蓄電池50は、各々の径方向に沿って互い違いに並ぶように配置される。右端の蓄電池50の負極端子に、第1導体54の一端部(右端の端部)が電気的に接続される。また、左端の蓄電池50の正極端子に、第2導体55の一端部(右端の端部)が電気的に接続される。右端の蓄電池50の正極端子と、右から2番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。右から2番目の蓄電池50の正極端子と、右から3番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。左端の蓄電池50の負極端子と、左から2番目の蓄電池50の正極端子とが導体板56によって電気的に接続される。右から3番目の蓄電池50の正極端子と、左から2番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。つまり、5本の蓄電池50は、4枚の導体板56によって電気的に直列接続されている。
第1導体54は、金属板によってS字状に形成されている(図11参照)。第1導体54の長手方向の一端(右端)が右端の蓄電池50の負極端子と電気的に接続される。第1導体54は、その長手方向の他端(左端)に第1コンタクト57を有している。第1コンタクト57は、角筒状の枠体570と、枠体570内に収容されるばね体とを有している。ばね体は、枠体570の上端に結合され、枠体570内において左右方向に撓み可能となるように枠体570と一体に形成されている。第1導体54は、上側の第1側壁521及び第3側壁523に沿ってケースボディ52内に収容される。また、第1コンタクト57は、端子保持部527内の2つの空間のうちで隔壁5270の上側の空間に収容される。
第2導体55は、金属板によってS字状に形成されている。第2導体55の長手方向の一端(右端)が左端の蓄電池50の正極端子と電気的に接続される。第2導体55は、その長手方向の他端(左端)に第2コンタクト58を有している。第2コンタクト58は、角筒状の枠体と、枠体内に収容されるばね体とを有している。ばね体は、枠体の上端に結合され、枠体内において左右方向に撓み可能となるように枠体と一体に形成されている。第2導体55は、下側の第1側壁521及び第3側壁523に沿ってケースボディ52内に収容される。また、第2コンタクト58は、端子保持部527内の2つの空間のうちで隔壁5270の下側の空間に収容される。
ケースボディ52にケースカバー53が結合されることによってケース51が組み立てられる(図9参照)。ケースボディ52が有する4つの突片5210がそれぞれ、ケースカバー53が有する4つの貫通孔5320のうちの対応する貫通孔5320に挿入される。さらに、ケースカバー53が有する突片5330が、ケースボディ52の突部524に設けられている貫通孔5240に挿入される。そして、突片5210、5330の先端に設けられている爪5211、5331が、貫通孔5320、5240の縁にそれぞれ引っ掛かることでケースボディ52とケースカバー53が結合される。なお、ケースボディ52の端子保持部527の下側の開口部は、ケースカバー53の蓋部535が被さることで閉じられる(図9参照)。
(2.4.4)制御装置
制御装置6は、図10に示すように、第1回路ブロック60、第2回路ブロック61、筐体62、及び放熱板63を備えている。第1回路ブロック60は、矩形板状の第1プリント配線板600、複数種類の電子部品601、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602、及び第1コネクタ604を有している。複数の種類の電子部品601のうちでリード付きの電子部品601が第1プリント配線板600の下面(部品面)に挿入実装されている。また、複数種類の電子部品601のうちで表面実装型の電子部品601が第1プリント配線板600の上面(はんだ面)に表面実装されている。ただし、第1プリント配線板600の部品面には、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602及び第1コネクタ604も挿入実装されている。
出力コネクタ602は、一対のコンタクト6020を有している(図10参照)。出力コネクタ602の各コンタクト6020は、非常用光源ユニット4の一対の端子板42のうちの対応する端子板42と接触して導通する。
受け側コネクタ64は、第1コンタクト受け641と、第2コンタクト受け642と、ベース640とを有している(図10参照)。ベース640は、電気絶縁性を有した合成樹脂材料によって矩形の板状に形成されている。第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642は棒状に形成されて、ベース640を厚み方向に貫通した状態でベース640に支持されている。第1コンタクト受け641は、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57の枠体570内に挿入された状態において、枠体570内のばね体によって枠体570に押し付けられることで第1コンタクト57と電気的に接続される。第2コンタクト受け642は、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58の枠体内に挿入された状態において、枠体内のばね体によって枠体に押し付けられることで第2コンタクト58と電気的に接続される。
第1回路ブロック60は、第1プリント配線板600に形成されているプリント配線と、第1プリント配線板600の部品面及びはんだ面に実装されている複数種類の電子部品601とで構成されたプリント回路を有している。第1回路ブロック60のプリント回路は、例えば、直流電源回路、充電回路、点灯回路、停電検出回路、制御回路を含んでいる。直流電源回路は、例えば、リンギングチョークコンバータなどの自励型のスイッチング電源回路で構成され、常用電源から入力端子台603に入力される交流電圧を直流電圧に変換するように構成されている。充電回路は、常用電源から給電されているときに受け側コネクタ64を通して一定の充電電流を出力するように構成されている。すなわち、充電回路は、非常用電源ユニット5の蓄電池50を充電するための回路である。点灯回路は、非常用電源ユニット5から受け側コネクタ64に入力される直流電流を定電流化し、定電流化した出力電流を出力コネクタ602より非常用光源ユニット4に供給するように構成されている。停電検出回路は、直流電源回路の出力電圧から常用電源の停電を検出して制御回路に通知するように構成されている。制御回路は、停電検出回路が常用電源の停電を検出していないときに充電回路を動作させ、かつ、点灯回路を停止させるように構成されている。また、制御回路は、停電検出回路が常用電源の停電を検出しているときに充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を動作させるように構成されている。
第2回路ブロック61は、図1及び図10に示すように、矩形板状の第2プリント配線板610(基板)、第1のスイッチ611、第2のスイッチ612、表示部613、受信部614並びに第2コネクタ615(図10参照)を有している。本実施形態では、第1のスイッチ611及び第2のスイッチ612は、いずれも押釦スイッチである。
第2コネクタ615は、第2プリント配線板610の下面における長手方向の一端(前端)に実装されている。第1のスイッチ611は、第2プリント配線板610の下面における第2コネクタ615の後方に実装されている。第2のスイッチ612は、第2プリント配線板610の下面における長手方向の他端(後端)に実装されている。
表示部613は、例えば、緑色光を放射するLEDチップを有している。表示部613は、第2プリント配線板610の下面における第2のスイッチ612の前方に実装されている。受信部614は、例えば、赤外線を通信媒体とする制御信号を外部から受信し、受信した制御信号から送信フレームを復調するように構成されている。この制御信号は、定期点検の作業を行う点検作業者に操作されるリモートコントローラから送信される。受信部614は、第2プリント配線板610の下面における表示部613と第1のスイッチ611の間に実装されている。要するに、第1及び第2のスイッチ611,612、表示部613及び受信部614は、第2の方向(前後方向)に沿って、第1のスイッチ611、受信部614、表示部613、第2のスイッチ612の順に配置されている(図1参照)。
第2コネクタ615は、例えば、ケーブルによって第1回路ブロック60の第1コネクタ604と電気的に接続される。第1回路ブロック60の制御回路は、ケーブルを通して第1及び第2のスイッチ611、612の操作状態(オン及びオフ)を監視するように構成されている。また、制御回路は、受信部614で復調される制御信号の送信フレームを、ケーブルを通して受け取るように構成されている。さらに、制御回路は、第1回路ブロック60の充電回路が動作している場合、ケーブルを通して表示部613に電流を流すことで表示部613を発光させるように構成されている。
制御回路は、第1のスイッチ611がオンされた場合、又は受信部614から送信フレームを受け取った場合、自己点検動作(第1の点検動作)を行うように構成されている。自己点検動作とは、充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を所定の時間(例えば30分又は60分)動作させた後、再度、点灯回路を停止させ、かつ、充電回路を動作させることである。点検作業者は、定期的な点検作業を行う場合、第1のスイッチ611又はリモートコントローラを通じて、この自己点検動作(第1の点検動作)を行わせる。
さらに、制御回路は、第2のスイッチ612がオンされた場合、自己点検動作とは異なる別の点検動作(第2の点検動作)を行うように構成されている。この第2の点検動作とは、第2のスイッチ612がオン状態の間、充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を動作させる。第2のスイッチ612がオフ状態になると、点灯回路を停止させ、かつ、充電回路を動作させる。ただし、制御回路は、第2の点検動作を行うように指示する送信フレームを受信部614から受け取った場合も第2の点検動作を行うように構成されることが好ましい。ユーザは、点検作業を行う場合、第2のスイッチ612を通じて、この点検動作(第2の点検動作)を行わせる。
ここで、表示部613は、少なくとも第2の点検動作に関する状態を表示することが望ましい。例えば、表示部613は、充電回路が動作中には緑色光を発し、第2の点検動作中、すなわち、充電回路が停止し、点灯回路が動作中には消灯すように構成されてもてよい。ただし、表示部613は、第2の点検動作だけでなく、第1の点検動作に関しても、点灯回路が動作中には消灯するように構成されることが望ましい。
筐体62は、第1筐体620と第2筐体621を有している。第1筐体620は、底部6200と、側壁部6201とを有している。底部6200は、おおよそ矩形の箱形に形成されている。底部6200は、第1回路ブロック60の第1プリント配線板600のはんだ面を厚み方向(上下方向)から支持するように構成されている。側壁部6201は、板状に形成されている。側壁部6201は、ヒンジを介して底部6200に連結されている。ゆえに、側壁部6201は、ヒンジを軸にして底部6200に対して回転可能となるように構成されている。また、側壁部6201は、第2回路ブロック61の第2プリント配線板610の長手方向に沿った端部(左端部)を厚み方向から挟んで支持するように構成されている。
第2筐体621は、上面及び左側面が開放された箱状に形成されている。第2筐体621は、第1筐体620と結合される。第2筐体621の上面は、第1筐体620の底部6200によって閉じられる。また、第2筐体621の左側面は、第1筐体620の側壁部6201によって閉じられる(図8参照)。
第2筐体621は、下面の左端から下方へ突出する突台部6210を有している(図1及び10参照)。突台部6210は、おおよそ角錐台状に形成されている。突台部6210は、2つの操作部材(第1操作部材6214及び第2操作部材6215)を有している。第1操作部材6214は、突台部6210の下面における前端に設けられている。また、第2操作部材6215は、突台部6210の下面における後端に設けられている。
本実施形態では、第1操作部材6214及び第2操作部材6215が、互いに同寸法で同形状である。したがって、同じ部材を2つ用いて突台部6210を製造できるため、製造コストを抑えることができる。第1操作部材6214及び第2操作部材6215の各々は、図1に示すように、上面が開放された円筒形状の基部621Aと、基部621Aから上方へ突出した棒状の接触部621Bとから構成されている。
基部621Aは、上端の開口周縁から外側に突出する爪部621Cを有している(図1参照)。一方、突台部6210は、第1操作部材6214及び第2操作部材6215をそれぞれ個別に収容する2つの収容室を有している。各基部621Aの爪部621Cは、対応する収容室の内周面に形成された凹所に対して上下方向に移動可能に引っ掛けられている。そのため、第1操作部材6214及び第2操作部材6215は、突台部6210から脱落することなく、突台部6210の下面に対して上下方向に移動可能となるように構成されている。そして、上向きに押された第1操作部材6214の接触部621Bが第1のスイッチ611の押釦を押すことにより、第1のスイッチ611がオンする。また、上向きに押された第2操作部材6215の接触部621Bが第2のスイッチ612の押釦を押すことにより、第2のスイッチ612がオンする。言い換えると、第1操作部材6214及び第2操作部材6215は、いずれも同じ方向(上下方向)に沿って第1のスイッチ611及び第2のスイッチ612をそれぞれ押すように配置されている。
さらに、突台部6210の下面において第1操作部材6214と第2操作部材6215の間に、円形の窓6216、6217が設けられている。前方の窓6216は、上下方向において第2回路ブロック61の受信部614と対向している。後方の窓6217は、上下方向において第2回路ブロック61の表示部613と対向している。つまり、リモートコントローラから送信される制御信号は、前方の窓6216を通して受信部614に到達する。また、表示部613が発する光(緑色光)は、後方の窓6217を通して筐体62の外に放射される。
なお、突台部6210は、図1に示すように、窓6216の周縁を構成する、上下方向の両端が開口した円筒形状の導光部65を有している。導光部65は、開口する上端が受信部614と対向するように上下方向に沿って延びている。導光部65の内周面は、反射面を有していて、リモートコントローラから送信される赤外線を効率よく受信部614へ集光する。
また、第2筐体621は、右端に3つの開口部6211、6212、6213を有している。これら3つの開口部6211、6212、6213は、前後方向に沿って一列に並んでいる(図10参照)。前端の開口部6211は、第1回路ブロック60の受け側コネクタ64と対向している。後端の開口部6213は、入力端子台603が挿通される。中央の開口部6212は、出力コネクタ602と対向している(図9参照)。
放熱板63は、非常用光源ユニット4が取り付けられる取付部630と、一対の脚部631と、一対の固定部632とを有している(図10参照)。取付部630は、おおよそ台形状に形成されている。一対の脚部631は、平坦な板状に形成されて取付部630の前端及び後端から上方向へ突出している。一対の固定部632は、一対の脚部631の上端から前後方向に沿って互いに近付く向きに突出している。ただし、本実施形態では、取付部630と一対の脚部631と一対の固定部632とは、アルミ又はアルミ合金製の板材によって一体に形成されている。
放熱板63は、取付部630を第2筐体621の下面に対向させ、一対の脚部631を第2筐体621の前面及び後面に対向させ、一対の固定部632を第1筐体620の底部6200の上面に引っ掛けるようにして筐体62に取り付けられる(図9参照)。また、放熱板63は、一対の脚部631に設けられている矩形の嵌合孔633のそれぞれに、第2筐体621の上面及び下面の上端から突出する突部6218を嵌合させることによって筐体62に対して位置決めされている(図9及び図10参照)。
非常用光源ユニット4は、放熱板63の取付部630に設けられているねじ孔6300に対してホルダ41がねじ止めされることによって取付部630に取り付けられている(図7〜図10参照)。また、非常用光源ユニット4は、第2筐体621の中央の開口部6212から露出する出力コネクタ602にホルダ41の端子板保持部410が差込接続されることにより、制御装置6の第1回路ブロック60と電気的に接続される(図8参照)。さらに、LEDモジュール40は、放熱シート43を介して取付部630(放熱板63)と熱的に結合される(図8参照)。
制御装置6は、器具本体10内の左端に収容される(図12参照)。制御装置6は、放熱板63の一対の固定部632が天板11にねじ止めされることによって器具本体10に固定されることが好ましい。つまり、LEDモジュール40が発する熱は、放熱シート43から放熱板63に伝導され、さらに、放熱板63から器具本体10に伝導されて放熱される。
(2.4.5)押さえ具
押さえ具8は、図7に示すように、主片80、引掛片81、側片82、第1差込片83、第2差込片84、及び第3差込片85を有している。なお、本実施形態では、主片80、引掛片81、側片82、第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85は、金属板によって一体に形成されている。
主片80は、下方から見てL字状に形成されている。主片80は、雌ねじ部800を有している。引掛片81は、円弧状に湾曲した湾曲部810と、湾曲部810と主片80を連結する連結部811と、湾曲部810の下端から突出する矩形の平坦部812とを有している(図5A〜5C及び図7参照)。引掛片81は、連結部811によって主片80の左端の下部と連結されている。なお、引掛片81は、連結部811が厚み方向に撓むことにより、湾曲部810を左右方向に変位可能とするように構成されている。側片82は、矩形に形成されている。側片82は、主片80の後端から下向き及び左向きに突出している。側片82の下部は後方に向かって傾斜している。第1差込片83及び第2差込片84は、前後方向から見てL字状に形成されている(図5B及び図6B参照)。なお、第2差込片84は、主片80に切り起こし形成されることが好ましい。第3差込片85は、前後方向から見てL字状に形成されている(図5B及び図6B参照)。第3差込片85は、側片82の左端の上端から上方向へ突出している(図5B参照)。
押さえ具8は、天板11を貫通する3つの孔に第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85が一対一に対応して差し込まれ、第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85のそれぞれが天板11を挟むように構成されている。そして、押さえ具8は、天板11に設けられるねじ挿通孔に挿通されたねじが主片80の雌ねじ部800にねじ込まれることによって天板11の下面に取り付けられる。
非常用電源ユニット5は、器具本体10の天板11に取り付けられた制御装置6と押さえ具8の間に配置される(図12参照)。非常用電源ユニット5は、ケースボディ52を天板11に対向させた状態で器具本体10内の制御装置6と押さえ具8の間の空間に収容される。非常用電源ユニット5の端子保持部527は、第2筐体621の前端の開口部6211を通して筐体62内に挿入される。このとき、端子保持部527のガイド片5271が、第2筐体621の前面の右端に設けられているガイド溝6219に案内される(図7参照)。そして、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57が、制御装置6の第1コンタクト受け641と電気的に接続される。また、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58が、制御装置6の第2コンタクト受け642と電気的に接続される。さらに、非常用電源ユニット5は、ケース51に設けられた突部524に、押さえ具8の引掛片81の湾曲部810を引っ掛けることによって押さえ具8に支持される(図5A及び図9参照)。ここで、引掛片81は、平坦部812に加えられる力によって連結部811が撓むと、湾曲部810が右向きに変位して湾曲部810と突部524との引っ掛かりが解除される。そして、非常用電源ユニット5は、湾曲部810と突部524との引っ掛かりが解除された状態で下向きに引っ張られると、第1コンタクト57及び第2コンタクト58が第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642から引き抜かれる。つまり、作業者は、非常用電源ユニット5の器具本体10への収容作業とほぼ同時に非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的な接続作業を完了させることができる。また、作業者は、非常用電源ユニット5の器具本体10からの取り外し作業とほぼ同時に非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的な接続解除作業を完了させることができる。
(2.4.6)カバー
カバー7は、図4に示すように、第1カバー71と第2カバー72を備えている。第1カバー71と第2カバー72は、前後方向から見てL字状に形成されている長尺の連結体73によって左右方向に並ぶように連結されている。なお、第1カバー71、第2カバー72及び連結体73は、金属のような不燃性の材料によって一体に形成されることが好ましい。例えば、カバー7は、アルミダイカストで構成されることが好ましい。ただし、カバー7は、金属以外の不燃性の材料、例えば、セラミックスなどで構成されてもよい。
第1カバー71は、上面が開口する箱形に形成されている。第1カバー71の下面は、常用照明装置2の透光カバー20と同様に、短手方向(前後方向)において両端から中央に向かってなだらかに下向きに突出する曲面形状に形成されている(図4及び図7参照)。第1カバー71の下面に凹部710が形成されている。凹部710は、下方から見た形状が楕円形に形成されている(図5A参照)。凹部710の中央(底)に孔711が貫通している。孔711は、レンズ44のレンズ本体440が挿通可能な形状(楕円形状)に形成されている。凹部710は、その長軸方向(左右方向)の両端を、その短軸方向(前後方向)の両端よりも下方へ突出させるように形成されている(図5B参照)。
第1カバー71は、その下面における左端に4つの貫通孔(第1貫通孔712、第2貫通孔715、第3貫通孔713、第4貫通孔714)を有している(図5A及び図7参照)。これらの貫通孔は、第1貫通孔712、第3貫通孔713、第4貫通孔714、第2貫通孔715の順に前方から後方に向かって1列に並ぶように配置されている。
第1カバー71は、その上面における左端に2つの引掛部716を有している(図6A参照)。引掛部716は、前後方向から見てL字状に形成されている(図6B参照)。また、引掛部716は、その先端(左端)に近付くにつれて上方へ傾斜するように構成されている(図6B参照)。
第2カバー72は、図7に示すように、平坦部720と、腕部721と、固定部722とを有している。平坦部720は、おおよそ矩形平板状に形成されている。平坦部720は、その左端において連結体73と連結されている。腕部721は、おおよそ矩形平板状に形成されている。腕部721は、平坦部720の右端における前端から上方へ立ち上がるように構成されている。固定部722は、おおよそ矩形平板状に形成されている。固定部722は、腕部721の上端から右方へ突出するように構成されている。また、固定部722は、その前方寄りの右隅に円形のねじ挿通孔723を有している。
カバー7は、図5A〜図5Cに示すように、第1カバー71によって非常用光源ユニット4、制御装置6及び非常用電源ユニット5の一部(左端部)を下から覆い、第2カバー72によって非常用電源ユニット5の残り全部を下から覆うように構成されている。非常用光源ユニット4のレンズ本体440は、第1カバー71の孔711に挿通されてカバー7の外に露出する。
第1操作部材6214は、第1カバー71の第1貫通孔712と対向している(図1及び5A参照)。本実施形態では、第1貫通孔712は、試験指の挿通を禁止する径寸法を有している。ここでは、試験指は、例えば、日本の電気用品安全法の別表第四1(2)ハに規定された擬似指としている。第1貫通孔712の径寸法がこのように規定されているため、第1操作部材6214は、人の指による押操作を受け付けない。第1操作部材6214は、第1貫通孔712に挿通される治具によって押操作される。
第2操作部材6215は、第1カバー71の第2貫通孔715に対向している(図1参照)。本実施形態では、第2貫通孔715は、上記試験指の挿通を許可する径寸法を有している。第2貫通孔715の径寸法がこのように規定されているため、第2操作部材6215は、例えば、人の指によって押操作される。さらに、第2操作部材6215は、上方へ押し込まれていない状態において、その一部(基部621Aの下部)が、第1カバー71の第2貫通孔715内に挿通されている。第2操作部材6215は、図1に示すように、上方へ押し込まれていない状態において、左右方向に沿って見たときに、その少なくとも一部(図示例では基部621Aの後方下部)が第2貫通孔715からカバー7の外に突出している。第2操作部材6215は、上方へ押し込まれていない状態において、第2貫通孔715からカバー7の外に突出していなくてもよい。ただし、押操作性を考慮すれば、図示例のように、第2操作部材6215の少なくとも一部が第2貫通孔715からカバー7の外に突出していることが望ましい。
第1カバー71の第3貫通孔713は、制御装置6の受信部614と対向している(図1及び図5A参照)。また、第1カバー71の第4貫通孔714は、制御装置6の表示部613と対向している(図1及び図5A参照)。つまり、リモートコントローラから送信される制御信号は、第3貫通孔713を通して受信部614に到達する。また、表示部613が発する光(緑色光)は、第4貫通孔714を通してカバー7の外に放射される。
カバー7は、第1カバー71の一対の引掛部716と、第2カバー72の固定部722とで器具本体10に固定される。一対の引掛部716は、器具本体10の左側の第2側板13の下端から右方に突出する突片130に引っ掛けられる(図12参照)。固定部722は、器具本体10の天板11にねじ止めされる。固定部722をねじ止めするためのねじは、固定部722のねじ挿通孔723と、押さえ具8の主片80に設けられたねじ挿通孔801とに挿通された後、器具本体10の天板11に設けられている雌ねじにねじ込まれる(図12参照)。
(3)カバーの形状と貫通孔の位置関係
ところで、本実施形態では、第1の方向(上下方向)において、第2プリント配線板610から第1貫通孔712までの第1距離D1は、第2プリント配線板610から第2貫通孔715までの第2距離D2よりも大きい(図1参照)。また、第1の方向に沿って見たときに、第2の方向(図5Aの一点鎖線A1参照)において、カバー7の中央P3から第1貫通孔712までの第3距離D3は、中央P3から第2貫通孔715までの第4距離D4よりも小さい。第1貫通孔712及び第2貫通孔715は、このような位置関係を有しているため、ユーザ又は点検作業者は、第1貫通孔712及び第2貫通孔715にそれぞれ対向した第1操作部材6214及び第2操作部材6215を区別し易い。つまり、第1距離D1と第2距離D2とが同じである場合や、第3距離D3と第4距離D4とが同じである場合といった、2つの貫通孔に高低差が無い位置関係や、中央P3を中心に対称となる位置関係にある場合に比べて、2つの操作部材を区別し易い。したがって、ユーザ又は点検作業者が意図しない方の点検動作に対応した操作部材を誤って操作する可能性を減らすことができ、点検時における利便性を向上することができる。
特に、本実施形態では、第2貫通孔715が、試験指の挿通を許可する径寸法を有している。そのため、ユーザは、指による押操作を前提として設けられた第2操作部材6215を容易に認識して、第2の点検動作を実行させることができる。また、第1貫通孔712は、試験指の挿通を禁止する径寸法を有している。そのため、ユーザが、本来第2の点検動作を実行させることを目的としているにも関わらず、誤って第1の点検動作に対応した第1操作部材6214を指で押すといった状況を回避できる。
また、本実施形態では、カバー7の第1カバー71は、図1に示すように、第2の方向(前後方向)における両端から中央P3に近づくほど、器具本体10から離れるように形成されている。特に、カバー7の第1カバー71は、中央P3が器具本体10から離れる向きに突出する湾曲形状に形成されている。そのため、第1距離D1が第2距離D2よりも大きいという寸法関係を、簡単な構造で実現することができる。また、第2貫通孔715は、第2プリント配線板610(基板)に対する傾斜が中央P3付近に比べて大きい位置に設けられている。そのため、同形及び同寸法の2つの操作部材は、それらの基部621Aの表面を同じ下方向に向け、かつ、基板から略同じ距離の位置に配置されているにも関わらず、第2操作部材6215の一部を容易にカバー7の外に突出させることができる。要するに、指による押操作を前提とした第2操作部材6215が、第1操作部材6214のように中央P3付近に配置される場合に比べて、第2操作部材6215の一部を容易にカバー7の外に突出させることができる。このように第2操作部材6215の一部が突出していることで、第2の点検動作の実行時におけるユーザの押操作性が向上されている。
また、少なくとも第2の点検動作に関する状態を表示する表示部613と対向した第4貫通孔714が、第2貫通孔715の隣にあるため、第2の点検動作と表示部613との関係性を高めることができ、点検作業において利便性がよい。
一方、受信部614と対向した第3貫通孔713は、第1操作部材6214と対向した第1貫通孔712の隣にある。受信部614及び第1のスイッチ611は、いずれも第1の点検動作の実行を受け付ける部位であるため、第1貫通孔712と第3貫通孔713とを互いに隣り合わせて配置することで、関係性を高めることができる。したがって、第1の点検動作(自己点検動作)の実行時における点検作業者の利便性が向上されている。特に、受信部614に対向する第3貫通孔713は、リモートコントローラから送信される制御信号に対する受信感度を高めるためにも、図示例のように、他の貫通孔に比べて中央P3に最も近い位置に配置されることが望ましい。言い換えると、第3貫通孔713を中央P3付近に設けることで、リモートコントローラを操作する点検作業者の利便性を向上させることができる。
このように、第1の点検動作に対応した第1操作部材6214を中央P3付近に配置して、第2の点検動作に対応する第2操作部材6215を中央P3から離れた場所に配置することで、ユーザ及び点検作業者の点検作業時の利便性が向上されると言える。
なお、本実施形態では、カバー7の第1カバー71の少なくとも中央P3を含む一部が、左右方向から見たときに、常用照明装置2の透光カバー20と同様に、器具本体10から離れる向きに突出する円弧状に形成されている。その結果、第1距離D1が第2距離D2よりも大きいという寸法関係を簡単な構造で実現することができ、また、照明器具1全体として見栄えをよくすることもできる。ただし、カバー7の第1カバー71は、左右方向から見たときに、中央P3付近が平坦な台形状に形成されていてもよい。 (4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る照明器具1は、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を互いに隣に並べて収容する器具本体10とを備える。非常用照明装置3は、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7とを備える。制御装置6は、非常用電源ユニット5から供給される電力で非常用光源ユニット4を点灯する。カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して非常用光源ユニット4及び制御装置6を覆う。制御装置6は、基板(第2プリント配線板610)と、当該基板に実装される第1のスイッチ611及び第2のスイッチ612とを有している。さらに、制御装置6は、押操作を受けて第1のスイッチ611をオンする第1操作部材6214と、押操作を受けて第2のスイッチ612をオンする第2操作部材6215とを有している。制御装置6は、第1のスイッチ611がオンされたときに第1の点検動作を行うように構成されている。また、制御装置6は、第2のスイッチ612がオンされたときに第1の点検動作とは異なる第2の点検動作を行うように構成されている。カバー7は、第1操作部材6214と対向する第1貫通孔712と、第2操作部材6215と対向する第2貫通孔715とを有する。基板(第2プリント配線板610)の厚み方向に平行な第1の方向において、当該基板から第1貫通孔712までの第1距離D1は、当該基板から第2貫通孔715までの第2距離D2よりも大きい。第1の方向に沿って見たときに、第1貫通孔712と第2貫通孔715とが並ぶ第2の方向において、カバー7の中央P3から第1貫通孔712までの第3距離D3は、中央P3から第2貫通孔715までの第4距離D4よりも小さい。
この構成によれば、第1距離D1と第2距離D2とが同じである場合、あるいは第3距離D3と第4距離D4とが同じである場合に比べて、2つの操作部材を区別し易い。したがって、ユーザ又は点検作業者が意図しない方の点検動作に対応した操作部材を誤って押操作する可能性を減らすことができ、点検時における利便性を向上することができる。
第2の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様において、第1貫通孔712は、試験指の挿通を禁止する径寸法を有し、第2貫通孔715は、試験指の挿通を許可する径寸法を有していることが好ましい。この構成によれば、点検を専門業務としていないユーザが、本来第2の点検動作を実行させることを目的としているにも関わらず、誤って第1の点検動作に対応した第1操作部材6214を指で押すといった状況を回避できる。言い換えれば、ユーザは、指で押すべき操作部材を一目で判断できるため、点検作業における利便性がさらに向上される。
第3の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様又は第2の態様において、第2操作部材6215の少なくとも一部は、第2貫通孔715からカバー7の外に突出していることが好ましい。この構成によれば、第2操作部材6215が第2貫通孔715からカバー7の外に突出していない場合に比べて、操作性がより向上される。
第4の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第3の態様のいずれかにおいて、第1のスイッチ611及び第2のスイッチ612は、押釦スイッチであることが好ましい。第1操作部材6214及び第2操作部材6215は、第1の方向に沿って、第1のスイッチ611及び第2のスイッチ612をそれぞれ押すように配置されていることが好ましい。この構成によれば、一方の押釦スイッチが第1の方向と交差する方向(例えば直交方向)に沿って押されるように配置され、他方の押釦スイッチが第1の方向に沿って押されるように配置される場合に比べて、基板への2つの押釦スイッチの実装が容易となる。その結果、製造コストを抑えることができる。
第5の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第4の態様のいずれかにおいて、カバー7は、第2の方向におけるカバー7の両端からカバー7の中央P3に近づくほど、器具本体10から離れるように形成されていることが好ましい。この構成によれば、第1距離D1が第2距離D2よりも大きいという寸法関係を、簡単な構造で実現することができる。
第6の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第5の態様のいずれかにおいて、カバー7は、中央P3が器具本体10から離れる向きに突出する湾曲形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、第1距離D1が第2距離D2よりも大きいという寸法関係を、簡単な構造で実現することができ、また、カバー全体として見栄えをよくすることもできる。特に、第2貫通孔715は、基板(第2プリント配線板610)に対する傾斜が中央P3付近に比べて大きい位置に設けられていることになり、第2操作部材6215の一部を容易にカバー7の外に突出させることができる。その結果、第2の点検動作の実行時における操作性がさらに向上される。
第7の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第6の態様のいずれかにおいて、カバー7の少なくとも中央P3を含む一部は、器具本体10から離れる向きに突出する円弧状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、第1距離D1が第2距離D2よりも大きいという寸法関係を、さらに簡単な構造で実現することができ、また、カバー全体として見栄えをよくすることもできる。さらに、第2操作部材6215の一部を容易にカバー7の外に突出させることができ、第2の点検動作の実行時における操作性がさらに向上される。
第8の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第7の態様のいずれかにおいて、制御装置6は、外部から制御信号を受信する受信部614をさらに有することが好ましい。カバー7は、受信部614と対向する第3貫通孔713をさらに有することが好ましい。制御装置6は、制御信号を受信すると、第1の点検動作を行うように構成されていることが好ましい。この構成によれば、第1の点検動作を実行させるための手段が増え、点検時における利便性をさらに向上することができる。
第9の態様に係る照明器具1に関して、第8の態様において、制御装置6は、少なくとも第2の点検動作に関する状態を表示する表示部613をさらに有することが好ましい。カバー7は、表示部613と対向する第4貫通孔714とをさらに有することが好ましい。第1〜第4貫通孔は、第2の方向に沿って、第1貫通孔712、第3貫通孔713、第4貫通孔714、第2貫通孔715の順に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第4貫通孔714が第2貫通孔715の隣にあるため、第2の点検動作と表示部613との関係性を高めることができる。一方、受信部614及び第1のスイッチ611は、いずれも第1の点検動作の実行を受け付ける部位であるため、第1貫通孔712と第3貫通孔713とを互いに隣り合わせて配置することで、互いの関係性を高めることができる。したがって、点検作業における利便性がさらに向上される。
第10の態様に係る照明器具1に関して、第1の態様〜第9の態様のいずれかにおいて、第1操作部材6214及び第2操作部材6215は、互いに同寸法で同形状であることが好ましい。この構成によれば、同じ部材を2つ用いて制御装置6を製造できるため、製造コストを抑えることができる。