(1)概要
以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の構成に限定されることはなく、下記の構成以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態の梱包材90は、保持部90A及び規制部90Bを備えている。保持部90A及び規制部90Bは、照明器具1の器具本体10における長尺の収容凹部16内に収容される。本実施形態の照明器具1は、一例として、図7に示すように、執務室などの天井材18(造営材)に吊りボルト180により直付けされる天井直付け形の照明器具であることを想定する。ただし、照明器具1は、この限りではなく、天井埋込形の照明器具又は壁に取り付けられる照明器具であってもよい。照明器具1は、天井埋込形の照明器具の場合、建物の躯体に埋め込まれている吊りボルトに固定されてもよい。
照明器具1の構成要素である常用照明装置2及び非常用照明装置3は、収容凹部16内においてその長手方向に沿って支持されるように構成されている。非常用照明装置3は、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7とを備えている。制御装置6は、非常用電源ユニット5と電気的に接続されて、非常用電源ユニット5から供給される電力により非常用光源ユニット4を点灯する。
カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して、非常用光源ユニット4及び非常用電源ユニット5を覆う。言い換えると、照明器具1は、使用時においては、カバー7が非常用電源ユニット5を覆う構造を有している。
保持部90Aは、制御装置6に対して非接続状態にある非常用電源ユニット5を収容凹部16内で保持するように構成されている。規制部90Bは、収容凹部16において非常用光源ユニット4から離されて配置されたカバー7の変位を規制するように構成されている。
この構成では、梱包材90が保持部90Aを備えている。そのため、制御装置6に対して非接続状態にある非常用電源ユニット5が器具本体10の底面に単に載せ置かれる場合に比べて、器具本体10内における非常用電源ユニット5の変位(がたつき)を抑えることができる。また、非常用電源ユニット5が器具本体10とは別梱包で輸送及び保管される場合に比べて、照明器具1の施工性の低下を抑えることができる。
また、梱包材90が規制部90Bを備えているため、カバー7が予め取り外されていても安定して同梱することができる。要するに、非常用照明装置3の他の構成部品から離して同梱された非常用電源ユニット5を施工時に取付ける際に、一度カバー7を取り外すという余計な作業が無くなる。また、カバー7の変位が規制されるため、照明器具1に対して信頼性の高い梱包状態を維持することができる。
したがって、梱包材90は、保持部90A及び規制部90Bを備えていることで、照明器具1の施工性の低下を抑えつつ、照明器具1に対して信頼性の高い梱包状態を維持することができる。
なお、以下では、梱包材90の保持部90A及び規制部90Bが、2枚の紙製の段ボールシートから互いに別体となって形成されていることを想定して説明する。しかし、この限りではなく、保持部90A及び規制部90Bは、1枚の段ボールシートから一体となって形成されていてもよい。また、梱包材90は、緩衝部材として機能するものであれば、紙製の段ボールシート以外によって形成されていてもよく、例えば、発砲スチロール又はプラスチック段ボールシートによって形成されていてもよい。
また、本実施形態の梱包装置9は、上述の梱包材90と、外装箱91とを備えている。本実施形態では、一例として、照明器具1の構成要素の1つである常用照明装置2は、梱包装置9によって梱包されるのではなく、別梱包により輸送及び保管されることを想定する。言い換えると、照明器具1のうち常用照明装置2のみが、梱包装置9によって梱包される対象物ではない。したがって、図1及び図5では、常用照明装置2が図示されていない。
つまり、照明器具1の施工後の使用形態においては(図8A〜8C参照)、常用照明装置2が非常用照明装置3とともに器具本体10の収容凹部16内に支持される。しかし、梱包状態(図1参照)においては、常用照明装置2が収容される予定の収容凹部16内の空間領域の一部を利用して、梱包材90、カバー7及び非常用電源ユニット5が収容されることになる。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態の梱包材90を備えた梱包装置9の詳細を説明する前に、梱包装置9によって梱包される対象物となる照明器具1について、図6〜図12を参照して詳しく説明する。以下では、特に断りの無い限り、梱包装置9及び照明器具1の上下、左右、前後の方向を、図7に図示されている上下、左右、前後の矢印を用いて規定して説明する。
本実施形態の照明器具1は、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を収容する器具本体10とを備えている。また、本実施形態の照明器具1は、挿通孔110から引き込まれる電源線17が結線される端子台14を備えている。
(2.2)器具本体
器具本体10は、金属材料によって長尺の箱形に形成されている。器具本体10は、長尺の矩形平板状の天板11と、天板11の長手方向(左右方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第1側板12とを有している。器具本体10は、さらに、天板11の短手方向(前後方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第2側板13を有している。さらに、器具本体10は、天板11に対向する下面に開口部15(図7参照)を有している。すなわち、器具本体10は、天板11と一対の第1側板12と一対の第2側板13とによって囲まれた、左右方向に延びる長尺の収容凹部16を有している(図1及び図7参照)。常用照明装置2及び非常用照明装置3は、収容凹部16内においてその長手方向に沿って支持されるように構成されている。
天板11には、電源線17を通すための挿通孔110が天板11を厚み方向に貫通する丸孔として設けられている(図7参照)。また、天板11には、2本の吊りボルト180をそれぞれ通すための2つの貫通孔111が天板11を厚み方向に貫通する丸孔として設けられている(図7参照)。端子台14は、天板11の下面に取り付けられている。
照明器具1の天井材18(図7参照)への取付け作業時には、作業者は、2本の吊りボルト180を2つの貫通孔111にそれぞれ通し、同時に、電源線17を挿通孔110に通す。そして、作業者は、各吊りボルト180の先端をナットで締め付けることで、器具本体10が天井材18(図7参照)に固定される。その後、作業者は、挿通孔110から器具本体10内へ引き込まれた電源線17を端子台14に接続すればよい。
器具本体10は、図7に示すように、非常用照明装置3を左端近傍に収容するように構成され、非常用照明装置3の右側に常用照明装置2を収容するように構成されている。ただし、この限りではなく、器具本体10は、非常用照明装置3を右端近傍に収容するように構成され、非常用照明装置3の左側に常用照明装置2を収容するように構成されてもよい。あるいは、器具本体10は、2つの非常用照明装置3を左端近傍及び右端近傍の両方にそれぞれ収容するように構成されてもよい。この場合、常用照明装置2は、左右方向において、2つの非常用照明装置3の間に挟まれるように、器具本体10内に収容される。
また、器具本体10は、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ並び方向(左右方向)における器具本体10の両端に突起100を有している(図7参照)。具体的には、器具本体10の各第2側板13は、その下端に常用照明装置2及び非常用照明装置3に向かって突出する突起100を有している。各突起100は、図7に示すように、下方から見て前後方向に延びる細長い矩形板状にある。各突起100は、例えば折り曲げ加工によって第2側板13と一体に形成されている。
本実施形態では、非常用照明装置3が器具本体10の左端近傍に収容されるため、一対の第2側板13のうち左端の第2側板13の突起100が、後述するカバー7の係止部74が係止されるための部位に相当する。カバー7の係止部74が、突起100に係止することで、器具本体10に対するカバー7の左端部の保持が達成される。ただし、器具本体10が非常用照明装置3を右端近傍に収容するように構成されている場合には、カバー7の係止部74が一対の第2側板13のうち右端の第2側板13の突起100に係止することで、カバー7の一端部の保持が達成されてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、照明器具1を例えば製造後に梱包する場合において、左端近傍に配置されている非常用照明装置3からカバー7が取り外されて、器具本体10の右端近傍に配置される。ここで器具本体10は、左右方向において面対称となる構成を採用している。すなわち、上述の通り、器具本体10の右側の第2側板13にも、突起100が設けられている。したがって、係止部74が右端の突起100と対向するようにカバー7の向きを図7の状態から180度を変えて、カバー7を器具本体10の右端近傍に載せ置くことで、カバー7の右側への更なる変位は、右端の突起100によって規制される。
(2.3)常用照明装置
常用照明装置2は、常用光源22(図7参照)と、常用光源22が取り付けられる取付部材21と、常用光源22を覆う透光カバー20と、常用光源22を点灯する電源装置とを備えている。常用光源22は、長尺の基板と、基板の表面に実装される多数のLED(Light Emitting Diode)とを有している。取付部材21は、金属材料によって長尺の樋状に形成されている。取付部材21は、長尺の矩形板状に形成された底板と、底板の短手方向(前後方向)における両端から上向きに立ち上がる一対の側板210とを有している。常用光源22は、取付部材21の底板の下面に取り付けられる。電源装置は、端子台14を介して常用電源(外部電源、例えば、商用の交流電源)から供給される交流電力を直流電力に変換するように構成されている。電源装置は、取付部材21の底板の上面に取り付けられる。常用光源22と電源装置は、底板に設けられた挿通孔に挿通される電線によって電気的に接続される。常用光源22は、電線を介して電源装置から直流電力が供給されることによって点灯する。
透光カバー20は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料により上面が開口する長尺の箱形に形成されている。透光カバー20の下面は、短手方向(前後方向)において両端から中央に向かってなだらかに下向きに突出する曲面形状に形成されている(図7参照)。なお、透光カバー20を形成する合成樹脂材料には、拡散剤が混入されている。すなわち、常用光源22から放射される光は、透光カバー20を透過する際に拡散される。
常用照明装置2は、透光カバー20を除く部分(取付部材21の側板210,210及び電源装置など)が器具本体10内に収容され、器具本体10の開口部15の大部分を透光カバー20で塞ぐようにして器具本体10に着脱可能に取り付けられる。ただし、常用照明装置2を器具本体10に着脱可能に取り付ける構造は、特許文献1に記載されている従来例と共通であるから、詳細な説明及び図示は省略する。
(2.4)非常用照明装置
(2.4.1)非常用照明装置の全体構成
次に、非常用照明装置3について、図9A〜図12を参照して詳細に説明する。非常用照明装置3は、「(1)概要」の欄で説明したように、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7と、を備えている(図9A〜9C参照)。さらに、非常用照明装置3は、押さえ具8を備えている。
(2.4.2)非常用光源ユニット
非常用光源ユニット4は、図10に示すように、LEDモジュール40と、ホルダ41と、一対の端子板42と、放熱シートと、レンズ44とを有している。LEDモジュール40は、矩形平板状の実装基板400の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装されて構成されている。LEDチップは、例えば、青色光を放射する青色発光ダイオードであることが好ましい。また、LEDチップを含む実装基板400の実装面(下面)は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂401で被われている(図10参照)。さらに、実装基板400の対角の位置にある一対の角部の下面には、それぞれ電極が形成されている。一方の電極は、LEDチップのカソードと電気的に接続され、他方の電極は、LEDチップのアノードと電気的に接続されている。さらに、これら2つの電極は、一対の端子板42のうちの対応する端子板42と電気的に接続されている。
レンズ44は、例えばガラス製であって、図10に示すように、レンズ本体440と、レンズ本体440の周縁から外向きに突出する円環状の外鍔部441とを有している。レンズ44は、非球面形状の入射面及び出射面を有し、いわゆるバットウイング(batwing)状の配光特性を実現する広角配光レンズであることが好ましい。ただし、レンズ44は、ガラス繊維が混入されることで耐熱性(難燃性)が向上された合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート樹脂など)で形成されてもよい。レンズ本体440は、カバー7の係止部74が左端の突起100に係止した係止状態において、孔711からカバー7の外部に突出する。
放熱シートは、高熱伝導率、電気絶縁性及び難燃性を有するシリコーン樹脂製のシート材で構成される。放熱シートは、LEDモジュール40の実装基板400の上面に接触する。
ホルダ41は、例えばポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料により、上下方向から見て、おおよそ菱形に形成される(図10参照)。ホルダ41は、LEDモジュール40の発光面(下面)にレンズ44のレンズ本体440を重ねるようにして、LEDモジュール40とレンズ44を保持している。また、ホルダ41は、端子板保持部410を有している。端子板保持部410は、上向きに伸びた角筒状に形成され、一対の端子板42を内部に収容して保持している(図10及び図11参照)。
(2.4.3)非常用電源ユニット
非常用電源ユニット5は、図12に示すように、乾電池型の複数(図示例では5本)の蓄電池50と、これら複数の蓄電池50を収容する合成樹脂材料製のケース51と、第1導体54と、第2導体55とを備えている。ケース51は、ケースボディ52とケースカバー53を有する。ケースボディ52は、矩形の底壁520と、底壁520の前後両端縁から下向きに突出する一対の第1側壁521とを有している。また、ケースボディ52は、底壁520の右側の端縁から下向きに突出する第2側壁522と、底壁520の左側の端縁から下向きに突出する第3側壁523とを有している。ただし、第3側壁523は、第1側壁521,521及び第2側壁522よりも上下方向の高さを高くするように形成されている。
底壁520は、その下面から下向きに突出する5つの突台部526を有している。これら5つの突台部526は、底壁520の下面において左右方向に並んでいる。また、各突台部526の下面は、半円筒面形状に形成されている。各突台部526の下面に蓄電池50が1本ずつ載せられて支持される。ただし、5つの突台部526のうちで左端の突台部526は、他の4つの突台部526よりも下方に位置している。
第1側壁521,521の各々は、一対の突片5210を有している。各突片5210は、矩形の板状に形成され、第1側壁521の下端から下に突出している。また、各突片5210は、その先端(下端)に三角柱状の爪5211を有している。ただし、前方の第1側壁521が有する各突片5210の爪5211は前方へ突出し、後方の第1側壁521が有する各突片5210の爪5211は後方へ突出している。
第2側壁522は、その右側面における下端から右向きに突出している突部524を有する。突部524は、おおよそ直方体状に形成されている。ただし、突部524の右下の辺は、凸曲面形状に形成されることが好ましい。
第3側壁523は、矩形の板状に形成されている。第3側壁523は、その左側面における前方の下部に、端子保持部527を有している。端子保持部527は、軸方向を上下方向に一致させた角筒状に形成されている。また、端子保持部527内の空間は、隔壁5270によって2つに区切られている(図12参照)。また、端子保持部527は、その前面における上端部分に、矩形板状のガイド片5271を有している。ガイド片5271は、厚み方向を左右方向に一致させるようにして端子保持部527の前面から前方へ突出している。
ケースカバー53は、矩形の第1底壁530と、第1底壁530の左側の端縁から左斜め下向きに突出する矩形の第1側壁531と、第1底壁530及び第1側壁531の前後両端縁から上向きに突出する一対の第2側壁532とを有している。また、ケースカバー53は、第1底壁530の右側の端縁から上向きに突出する第3側壁533と、第1側壁531の左側の端縁から左向きに突出する第2底壁534とを有している。
各第2側壁532は、一対の貫通孔5320を有している。また、前方の第2側壁532は、階段状に形成されている。
第3側壁533は、突片5330を有している。突片5330は、第3側壁533の後端寄りの上端から上に突出している。また、突片5330は、その先端(上端)に三角柱状の爪5331を有している。爪5331は、突片5330の上端における右側面から右方へ突出している。
第2底壁534は、矩形の板状に形成されている。第2底壁534は、その前方左端に蓋部535を有している。蓋部535は、左右方向から見た形状がU字状となるように形成されている。
5本の蓄電池50は、各々の径方向に沿って互い違いに並ぶように配置される。右端の蓄電池50の負極端子に、第1導体54の一端部(右端の端部)が電気的に接続される。また、左端の蓄電池50の正極端子に、第2導体55の一端部(右端の端部)が電気的に接続される。右端の蓄電池50の正極端子と、右から2番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。右から2番目の蓄電池50の正極端子と、右から3番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。左端の蓄電池50の負極端子と、左から2番目の蓄電池50の正極端子とが導体板56によって電気的に接続される。右から3番目の蓄電池50の正極端子と、左から2番目の蓄電池50の負極端子とが導体板56によって電気的に接続される。つまり、5本の蓄電池50は、4枚の導体板56によって電気的に直列接続されている。
第1導体54は、金属板によってS字状に形成されている(図12参照)。第1導体54の長手方向の一端(右端)が右端の蓄電池50の負極端子と電気的に接続される。第1導体54は、その長手方向の他端(左端)に第1コンタクト57を有している。第1コンタクト57は、角筒状の枠体570と、枠体570内に収容されるばね体とを有している。ばね体は、枠体570の上端に結合され、枠体570内において左右方向に撓み可能となるように枠体570と一体に形成されている。第1導体54は、上側の第1側壁521及び第3側壁523に沿ってケースボディ52内に収容される。また、第1コンタクト57は、端子保持部527内の2つの空間のうちで隔壁5270の上側の空間に収容される。
第2導体55は、金属板によってS字状に形成されている。第2導体55の長手方向の一端(右端)が左端の蓄電池50の正極端子と電気的に接続される。第2導体55は、その長手方向の他端(左端)に第2コンタクト58を有している。第2コンタクト58は、角筒状の枠体と、枠体内に収容されるばね体とを有している。ばね体は、枠体の上端に結合され、枠体内において左右方向に撓み可能となるように枠体と一体に形成されている。第2導体55は、下側の第1側壁521及び第3側壁523に沿ってケースボディ52内に収容される。また、第2コンタクト58は、端子保持部527内の2つの空間のうちで隔壁5270の下側の空間に収容される。
ケースボディ52にケースカバー53が結合されることによってケース51が組み立てられる(図10参照)。ケースボディ52が有する4つの突片5210がそれぞれ、ケースカバー53が有する4つの貫通孔5320のうちの対応する貫通孔5320に挿入される。さらに、ケースカバー53が有する突片5330が、ケースボディ52の突部524に設けられている貫通孔5240に挿入される。そして、突片5210、5330の先端に設けられている爪5211、5331が、貫通孔5320、5240の縁にそれぞれ引っ掛かることでケースボディ52とケースカバー53が結合される。なお、ケースボディ52の端子保持部527の下側の開口部は、ケースカバー53の蓋部535が被さることで閉じられる(図10参照)。
(2.4.4)制御装置
制御装置6は、図11に示すように、第1回路ブロック60、第2回路ブロック61、筐体62、及び放熱板63を備えている。第1回路ブロック60は、矩形板状の第1プリント配線板600、複数種類の電子部品601、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602、及び第1コネクタ604を有している。複数の種類の電子部品601のうちでリード付きの電子部品601が第1プリント配線板600の下面(部品面)に挿入実装されている。また、複数種類の電子部品601のうちで表面実装型の電子部品601が第1プリント配線板600の上面(はんだ面)に表面実装されている。ただし、第1プリント配線板600の部品面には、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602及び第1コネクタ604も挿入実装されている。
出力コネクタ602は、一対のコンタクト6020を有している(図11参照)。出力コネクタ602の各コンタクト6020は、非常用光源ユニット4の一対の端子板42のうちの対応する端子板42と接触して導通する。
受け側コネクタ64は、第1コンタクト受け641と、第2コンタクト受け642と、ベース640とを有している(図11参照)。ベース640は、電気絶縁性を有した合成樹脂材料によって矩形の板状に形成されている。第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642は棒状に形成されて、ベース640を厚み方向に貫通した状態でベース640に支持されている。第1コンタクト受け641は、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57の枠体570内に挿入された状態において、枠体570内のばね体によって枠体570に押し付けられることで第1コンタクト57と電気的に接続される。第2コンタクト受け642は、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58の枠体内に挿入された状態において、枠体内のばね体によって枠体に押し付けられることで第2コンタクト58と電気的に接続される。
第1回路ブロック60は、第1プリント配線板600に形成されているプリント配線と、第1プリント配線板600の部品面及びはんだ面に実装されている複数種類の電子部品601とで構成されたプリント回路を有している。第1回路ブロック60のプリント回路は、例えば、直流電源回路、充電回路、点灯回路、停電検出回路、制御回路を含んでいる。直流電源回路は、例えば、リンギングチョークコンバータなどの自励型のスイッチング電源回路で構成され、常用電源から入力端子台603に入力される交流電圧を直流電圧に変換するように構成されている。充電回路は、常用電源から給電されているときに受け側コネクタ64を通して一定の充電電流を出力するように構成されている。点灯回路は、非常用電源ユニット5から受け側コネクタ64に入力される直流電流を定電流化し、定電流化した出力電流を出力コネクタ602より非常用光源ユニット4に供給するように構成されている。停電検出回路は、直流電源回路の出力電圧から常用電源の停電を検出して制御回路に通知するように構成されている。制御回路は、停電検出回路が常用電源の停電を検出していないときに充電回路を動作させ、かつ、点灯回路を停止させるように構成されている。また、制御回路は、停電検出回路が常用電源の停電を検出しているときに充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を動作させるように構成されている。
第2回路ブロック61は、矩形板状の第2プリント配線板610、2つの押釦スイッチ611、612、表示素子613、受光素子614並びに第2コネクタ615を有している。第2コネクタ615は、第2プリント配線板610の下面における長手方向の一端(前端)に実装されている。一方の押釦スイッチ611は、第2プリント配線板610の下面における第2コネクタ615の後方に実装されている。他方の押釦スイッチ612は、第2プリント配線板610の下面における長手方向の他端(後端)に実装されている。表示素子613は、例えば、緑色光を放射するLEDチップを有している。表示素子613は、第2プリント配線板610の下面における押釦スイッチ612の前方に実装されている。受光素子614は、赤外線を通信媒体とする制御信号を受信し、受信した制御信号から送信フレームを復調するように構成されている。この制御信号は、定期点検の作業を行う作業者に操作されるリモートコントローラから送信される。受光素子614は、第2プリント配線板610の下面における表示素子613と押釦スイッチ611の間に実装されている。第2コネクタ615は、例えば、ケーブルによって第1回路ブロック60の第1コネクタ604と電気的に接続される。第1回路ブロック60の制御回路は、ケーブルを通して各押釦スイッチ611、612の操作状態(オン及びオフ)を監視するように構成されている。また、制御回路は、受光素子614で復調される制御信号の送信フレームを、ケーブルを通して受け取るように構成されている。さらに、制御回路は、第1回路ブロック60の充電回路が動作している場合、ケーブルを通して表示素子613に電流を流すことで表示素子613を発光させるように構成されている。
なお、制御回路は、一方の押釦スイッチ611がオンされた場合、及び受光素子614から送信フレームを受け取った場合、定期点検動作を行うように構成されている。定期点検動作とは、充電回路を停止させ、かつ、点灯回路を動作させることである。さらに、制御回路は、他方の押釦スイッチ612がオンされた場合、自己点検動作を行うように構成されている。自己点検動作とは、充電回路を停止するとともに点灯回路を数秒間動作させた後、再度、点灯回路を停止させ、かつ、充電回路を動作させることである。ただし、制御回路は、自己点検動作を行うように指示する送信フレームを受光素子614から受け取った場合も自己点検動作を行うように構成されることが好ましい。
筐体62は、第1筐体620と第2筐体621を有している。第1筐体620は、底部6200と、側壁部6201とを有している。底部6200は、おおよそ矩形の箱形に形成されている。底部6200は、第1回路ブロック60の第1プリント配線板600のはんだ面を厚み方向(上下方向)から支持するように構成されている。側壁部6201は、板状に形成されている。側壁部6201は、ヒンジを介して底部6200に連結されている。ゆえに、側壁部6201は、ヒンジを軸にして底部6200に対して回転可能となるように構成されている。また、側壁部6201は、第2回路ブロック61の第2プリント配線板610の長手方向に沿った端部(左端部)を厚み方向から挟んで支持するように構成されている。
第2筐体621は、上面及び左側面が開放された箱状に形成されている。第2筐体621は、第1筐体620と結合される。第2筐体621の上面は、第1筐体620の底部6200によって閉じられる。また、第2筐体621の左側面は、第1筐体620の側壁部6201によって閉じられる。
第2筐体621は、下面の左端から下方へ突出する突台部6210を有している(図11参照)。突台部6210は、おおよそ角錐台状に形成されている。突台部6210は、2つの操作部材(第1操作部材6214及び第2操作部材6215)を有している。第1操作部材6214は、突台部6210の下面における前端に設けられている。また、第2操作部材6215は、突台部6210の下面における後端に設けられている。第1操作部材6214及び第2操作部材6215は、突台部6210の下面に対して上下方向に移動可能となるように構成されている。つまり、上向きに押された第1操作部材6214が押釦スイッチ611の押釦を押すことにより、押釦スイッチ611がオンする。また、上向きに押された第2操作部材6215が押釦スイッチ612の押釦を押すことにより、押釦スイッチ612がオンする。さらに、突台部6210の下面において第1操作部材6214と第2操作部材6215の間に、円形の窓6216、6217が2つ設けられている。前方の窓6216は、上下方向において第2回路ブロック61の受光素子614と対向している。後方の窓6217は、上下方向において第2回路ブロック61の表示素子613と対向している。つまり、リモートコントローラから送信される制御信号は、前方の窓6216を通して受光素子614に到達する。また、表示素子613が発する光(緑色光)は、後方の窓6217を通して筐体62の外に放射される。
また、第2筐体621は、右端に3つの開口部6211、6212、6213を有している。これら3つの開口部6211、6212、6213は、前後方向に沿って一列に並んでいる(図11参照)。前端の開口部6211は、第1回路ブロック60の受け側コネクタ64と対向している。後端の開口部6213は、入力端子台603が挿通される。中央の開口部6212は、出力コネクタ602と対向している(図10参照)。
放熱板63は、非常用光源ユニット4が取り付けられる取付部630と、一対の脚部631と、一対の固定部632とを有している(図11参照)。取付部630は、おおよそ台形状に形成されている。一対の脚部631は、平坦な板状に形成されて取付部630の前端及び後端から上方向へ突出している。一対の固定部632は、一対の脚部631の上端から前後方向に沿って互いに近付く向きに突出している。ただし、本実施形態では、取付部630と一対の脚部631と一対の固定部632とは、アルミ又はアルミ合金製の板材によって一体に形成されている。
放熱板63は、取付部630を第2筐体621の下面に対向させ、一対の脚部631を第2筐体621の前面及び後面に対向させ、一対の固定部632を第1筐体620の底部6200の上面に引っ掛けるようにして筐体62に取り付けられる(図10参照)。また、放熱板63は、一対の脚部631に設けられている矩形の嵌合孔633のそれぞれに、第2筐体621の上面及び下面の上端から突出する突部6218を嵌合させることによって筐体62に対して位置決めされている(図10及び図11参照)。
非常用光源ユニット4は、放熱板63の取付部630に設けられているねじ孔6300に対してホルダ41がねじ止めされることによって取付部630に取り付けられている(図10及び図11参照)。また、非常用光源ユニット4は、第2筐体621の中央の開口部6212から露出する出力コネクタ602にホルダ41の端子板保持部410が差込接続されることにより、制御装置6の第1回路ブロック60と電気的に接続される。さらに、LEDモジュール40は、放熱シートを介して取付部630(放熱板63)と熱的に結合される。
制御装置6は、器具本体10内の左端に収容される(図6参照)。制御装置6は、放熱板63の一対の固定部632が天板11にねじ止めされることによって器具本体10に固定されることが好ましい。つまり、LEDモジュール40が発する熱は、放熱シートから放熱板63に伝導され、さらに、放熱板63から器具本体10に伝導されて放熱される。
(2.4.5)押さえ具
押さえ具8は、図9A〜9C及び図10に示すように、主片80、引掛片81、側片82、第1差込片83、第2差込片84、及び第3差込片85を有している。なお、本実施形態では、主片80、引掛片81、側片82、第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85は、金属板によって一体に形成されている。
主片80は、下方から見てL字状に形成されている。主片80は、雌ねじ部800を有している(図10参照)。引掛片81は、円弧状に湾曲した湾曲部810と、湾曲部810と主片80を連結する連結部811と、湾曲部810の下端から突出する矩形の平坦部812とを有している(図9A〜9C参照)。引掛片81は、連結部811によって主片80の左端の下部と連結されている。なお、引掛片81は、連結部811が厚み方向に撓むことにより、湾曲部810を左右方向に変位可能とするように構成されている。側片82は、矩形に形成されている。側片82は、主片80の後端から下向き及び左向きに突出している。側片82の下部は後方に向かって傾斜している。第1差込片83及び第2差込片84は、前後方向から見てL字状に形成されている(図9B参照)。なお、第2差込片84は、主片80に切り起こし形成されることが好ましい。第3差込片85は、前後方向から見てL字状に形成されている(図9B参照)。第3差込片85は、側片82の左端の上端から上方向へ突出している(図9B参照)。
押さえ具8は、天板11を貫通する3つの孔に第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85が一対一に対応して差し込まれ、第1差込片83、第2差込片84及び第3差込片85のそれぞれが天板11を挟むように構成されている。そして、押さえ具8は、天板11に設けられるねじ挿通孔に挿通されたねじが主片80の雌ねじ部800にねじ込まれることによって天板11の下面に取り付けられる。
非常用電源ユニット5は、器具本体10の天板11に取り付けられた制御装置6と押さえ具8の間に配置される(図6参照)。非常用電源ユニット5は、ケースボディ52を天板11に対向させた状態で器具本体10内の制御装置6と押さえ具8の間の空間に収容される。非常用電源ユニット5の端子保持部527は、第2筐体621の前端の開口部6211を通して筐体62内に挿入される。このとき、端子保持部527のガイド片5271が、第2筐体621の前面の右端に設けられているガイド溝6219に案内される(図10参照)。そして、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57が、制御装置6の第1コンタクト受け641と電気的に接続される。また、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58が、制御装置6の第2コンタクト受け642と電気的に接続される。さらに、非常用電源ユニット5は、ケース51に設けられた突部524に、押さえ具8の引掛片81の湾曲部810を引っ掛けることによって押さえ具8に支持される(図9A及び図10参照)。ここで、引掛片81は、平坦部812に加えられる力によって連結部811が撓むと、湾曲部810が右向きに変位して湾曲部810と突部524との引っ掛かりが解除される。そして、非常用電源ユニット5は、湾曲部810と突部524との引っ掛かりが解除された状態で下向きに引っ張られると、第1コンタクト57及び第2コンタクト58が第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642から引き抜かれる。つまり、作業者は、非常用電源ユニット5の器具本体10への収容作業とほぼ同時に非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的な接続作業を完了させることができる。また、作業者は、非常用電源ユニット5の器具本体10からの取り外し作業とほぼ同時に非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的な接続解除作業を完了させることができる。
(2.4.6)カバー
カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して、制御装置6及び非常用光源ユニット4を覆うように構成されている。さらに、本実施形態のカバー7は、制御装置6及び非常用光源ユニット4以外に、非常用電源ユニット5も覆うように構成されている。カバー7は、図6に示すように、カバー本体70と、一対の係止部74,74と、固定部75とを有している。
カバー本体70は、図9Aに示すように、第1カバー体71と第2カバー体72と連結体73とから構成されている。第1カバー体71は、非常用光源ユニット4、制御装置6及び非常用電源ユニット5の一部(左端部)を下から覆うように構成されている。第2カバー体72は、非常用電源ユニット5の残り全部を下から覆うように構成されている。第1カバー体71と第2カバー体72は、前後方向から見てL字状に形成されている長尺の連結体73によって左右方向に並ぶように連結されている。本実施形態では、第1カバー体71、第2カバー体72及び連結体73は、金属のような不燃性の材料によって一体に形成される。カバー7は、例えばアルミダイカストで構成される。
第1カバー体71は、上面に矩形状の開口部を有した箱形に形成されている。第1カバー体71は、図9Aに示すように、下方から見たときに矩形状に形成されている。第1カバー体71の下面は、常用照明装置2の透光カバー20と同様に、短手方向(前後方向)において両端から中央に向かってなだらかに下向きに突出する曲面形状に形成されている(図6参照)。第1カバー体71の下面に窪み710が形成されている。窪み710は、下方から見た形状が楕円形に形成されている。孔711は、窪み710の中央(底)に、上下方向に貫通して設けられている。孔711は、レンズ44のレンズ本体440が挿通可能な形状(楕円形状)に形成されている。窪み710は、その長軸方向(左右方向)の両端を、その短軸方向(前後方向)の両端よりも下方へ突出させるように形成されている(図9B参照)。
第2カバー体72は、前後方向から見てL字状に形成されていて、非常用電源ユニット5の一部を覆うように構成されている。具体的には、第2カバー体72は、図10に示すように、平坦部720と腕部721とを有している。平坦部720は、おおよそ矩形平板状に形成されている。平坦部720は、その左端において連結体73と連結されている。腕部721は、おおよそ矩形平板状に形成されている。腕部721は、平坦部720の右端における前端から上方へ立ち上るように構成されている。
固定部75は、おおよそ矩形平板状に形成されている。固定部75は、腕部721の上端から右方へ突出するように構成されている。また、固定部75は、その前方寄りの右隅に円形のねじ挿通孔750を有している。
係止部74,74は、常用照明装置2及び非常用照明装置3が並ぶ並び方向(左右方向)における、カバー本体70の一端部(左端部)に設けられている。言い換えると、係止部74,74は、第1カバー体71の左端部に設けられている。係止部74は、器具本体10の突起100に係止するための部位である。各係止部74は、一例として板ばね(弾性部材)である。
以下、第1カバー体71について、さらに具体的に説明する。第1カバー体71は、図9Aに示すように、第1側壁部71A及び第2側壁部71Bと、左右方向において第1側壁部71A及び第2側壁部71Bを互いに対向するように連結する湾曲底部71Cとから構成されている。第1側壁部71A、第2側壁部71B及び湾曲底部71Cは、一体となって形成されている。
第1側壁部71Aは、湾曲底部71Cの左側に配置され、第2側壁部71Bは、湾曲底部71Cの右側に配置されている。第1側壁部71A及び第2側壁部71Bの各々は、左右方向に沿って見たときにその下辺が略円弧状に形成されている。第2側壁部71Bの上端部は、連結体73によって第2カバー体72と連結している。
湾曲底部71Cは、上下方向に沿って見たときに矩形状に形成されており、左右方向に沿って見たときに下向きに突出する曲面形状に形成されている。第1カバー体71の開口部の周縁は、湾曲底部71Cの前側及び後側の上端部と、第1側壁部71A及び第2側壁部71Bの上端部とによって形成されている。
湾曲底部71Cは、上述した窪み710及び孔711を有している。非常用光源ユニット4のレンズ本体440は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、孔711に挿通されてカバー7の外に露出する。また湾曲底部71Cは、第1貫通孔712と、第2貫通孔713と、第3貫通孔714と、第4貫通孔715とを有している(図9A参照)。
第1貫通孔712は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、制御装置6の第1操作部材6214と対向している。第1操作部材6214は、第1貫通孔712に挿通される治具によって押操作される。制御装置6の第2操作部材6215は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、第4貫通孔715に挿通されている。第2操作部材6215は、例えば、人の指によって押操作される。第2貫通孔713は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、制御装置6の受光素子614と対向している。第3貫通孔714は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、制御装置6の表示素子613と対向している。つまり、リモートコントローラから送信される制御信号は、第2貫通孔713を通して受光素子614に到達する。また、表示素子613が発する光(緑色光)は、第3貫通孔714を通してカバー7の外に放射される。
第1カバー体71は、カバー7が器具本体10に取り付けられた状態において、第1側壁部71Aが制御装置6の筐体62の左端面よりも左方に配置されるように、寸法関係が規定されている。
本実施形態では、カバー7の取付けの際には、作業者は、係止部74,74を突起100と制御装置6との間の隙間から挿入して、器具本体10の天板11に向かって押し込む。それにより、突起100が係止部74,74の凸状に湾曲した引掛部分に引っ掛かり、係止部74の係止状態が達成され、カバー7の左端部が器具本体10に保持される。この状態で、作業者は、ねじ19(図3参照)を固定部75のねじ挿通孔750(図6参照)と、押さえ具8の主片80に設けられたねじ挿通孔801(図6参照)とに挿通し、器具本体10の天板11に設けられている雌ねじにねじ込む。その結果、カバー7の取付け作業が完了する。なお、照明器具1の梱包時に、後の照明器具1の施工性を考慮して、カバー7は、ねじ19が予め固定部75のねじ挿通孔750に挿通された状態で梱包される。
(2.5)梱包材
(2.5.1)梱包材の全体構成
以下、本実施形態の梱包材90について、図1〜図4を参照しながら詳しく説明する。なお、以下の説明では、梱包材90が器具本体10の収容凹部16内に収容された状態、すなわち図4に示す状態を、説明の便宜上、単に「梱包状態」とよぶこともある。
梱包材90は、「(1)概要」の欄で説明したように、例えば2枚の紙製の段ボールシートから互いに別体となって形成されている保持部90A及び規制部90Bを備えている(図2A及び2B参照)。保持部90Aは、制御装置6に対して非接続状態にある非常用電源ユニット5を器具本体10の収容凹部16内で保持するように構成されている。また、規制部90Bは、器具本体10の収容凹部16において非常用光源ユニット4から離されて配置されたカバー7の変位を規制するように構成されている。以下、保持部90A及び規制部90Bについて、更に詳しく説明する。
(2.5.2)保持部
図2Aは、1枚の段ボールシートから形成された保持部90Aの展開された平面図を示しており、保持部90Aは、2つの折り線(第1折り線99A,第2折り線99B)を有している。第1折り線99A及び第2折り線99Bは、長尺の矩形板状の段ボールシートに対して、その長手方向に沿うようにそれぞれ形成されている。その結果、当該段ボールシートは、幅方向に対して3つの領域に分けられている。
第1折り線99A及び第2折り線99Bの各々は、例えば、直線状に段を潰す折り線加工を施すことで形成されている。このように予め折り線99A及び99Bが形成されていることで、梱包を行う作業者は、容易にこれらの折り線に沿って保持部90Aを折り曲げて所定の形状へ変形させることができる。保持部90Aは、図3に示すように、その所定の形状として、下端(図3では上端)と左右両端とが開放された箱形状(すなわち左右方向から見たときにU字形状)へ変形可能となっている。
保持部90Aは、上記3つの領域にそれぞれ対応した、底板900と一対の側板901とを有している。具体的には、底板900と、一対の側板901のうち長手寸法が短い方の側板901(以下、第1側板901Aという)とが、第1折り線99Aを境界線として一体となっている。また、底板900と、一対の側板901のうち長手寸法が長い方の側板901(以下、第2側板901Bという)とが、第2折り線99Bを境界線として一体となっている。
底板900は、図2Aに示すように、おおむね左右方向に沿って長尺のL字板状に形成されている。底板900は、梱包状態において、収容凹部16の底面(天板11の下面)と面接触して配置される。
底板900は、本体部9001と突起受部9002とを有している。本体部9001は、梱包状態において、主として非常用電源ユニット5が載せ置かれる部位となる。したがって、本体部9001の表面積は、非常用電源ユニット5が本体部9001に載せ置かれた状態において、非常用電源ユニット5の投影領域よりも大きくなるように寸法関係が規定されている。突起受部9002は、梱包状態において、カバー7から収容凹部16の底面に向かって突出している突起部位と当該底面との間に配置される部位となる。ここで言う「突起部位」とは、一例として、予めカバー7の固定部75のねじ挿通孔750に挿通されたねじ19に相当する。
本体部9001及び突起受部9002は、それぞれ矩形板状に形成されている。突起受部9002は、本体部9001の右端から右方向に連続して延びている。本体部9001の表面と突起受部9002の表面とは、互いに面一となっている。突起受部9002の左右方向における寸法は、本体部9001の左右方向における寸法よりもやや小さくなるように寸法関係が規定されている。また、突起受部9002の前後方向における寸法は、本体部9001の前後方向における寸法よりも小さくなるように寸法関係が規定されている。
本体部9001は、左端における第1折り線99A及び第2折り線99Bの近傍にそれぞれ一対の溝部902を有している(図2A参照)。各溝部902は、本体部9001の該当する部位に対して切り欠き加工を施すことによって、突起受部9002に近づく方向に矩形状に窪んでいる。
また、本体部9001は、切り込み900Aを有している(図2A参照)。切り込み900Aは、底板900全体で見たときに、底板900の第2折り線99B近傍において左右方向の中央よりもやや左寄りの位置に設けられている。切り込み900Aは、本体部9001の該当する部位に対して十字形状に切り込み加工を施すことによって形成されている。
突起受部9002は、その前後方向の中央において左右方向に沿って並ぶように配置された2つの切り込み900B,900Cを有している(図2A参照)。切り込み900Bは、突起受部9002の左右方向における中央よりもやや左寄りの位置に設けられている。切り込み900Cは、突起受部9002の右端近傍の位置に設けられている。切り込み900B及び切り込み900Cの各々は、突起受部9002の該当する部位に対して十字形状に切り込み加工を施すことによって形成されている。
突起受部9002は、梱包状態において、カバー7におけるカバー本体70の第2カバー体72と固定部75との両方に対向する部位となる。したがって、突起受部9002の表面積は、梱包状態において、第2カバー体72及び固定部75の投影領域よりもやや大きくなるように寸法関係が規定されている。
本実施形態では、3つの切り込み900A〜900Cのうち切り込み900Bのみが使用される。すなわち、カバー7から突出しているねじ19(突起部位)の先端が切り込み900Bの中心に当てられることで、梱包時におけるねじ19の位置決めが成される。なお、この梱包材90は、図示される照明器具1よりも長手方向(左右方向)の寸法が異なる別の照明器具にも適用可能である。そのため、当該別の照明器具を梱包する際に、当該別の照明器具のカバーから突出する突起部位が、本実施形態では不使用の切り込み900A又は切り込み900Cに挿入されてもよい。
第1側板901Aは、梱包を行う作業者が第1折り線99Aに沿って底板900に対して立ち上るように折り曲げることで、おおむね上下方向に沿って延びる側板となる。すなわち、第1側板901Aは、梱包状態において、非常用電源ユニット5のケース51の前端部と接触する。また、第2側板901Bも、梱包を行う作業者が第2折り線99Bに沿って底板900に対して、第1側板901Aと同じ側に立ち上るように折り曲げることで、おおむね上下方向に沿って延びる側板となる。第2側板901Bは、梱包状態において、非常用電源ユニット5のケース51の後端部と接触する。
第1側板901Aと第2側板901Bとは、図1及び図4に示すように、梱包状態において、その互いに対向し合う内面同士がおおむね平行となる。つまり、第1側板901Aと第2側板901Bとは、底板900の厚み方向及び長手方向に直交する幅方向における、底板900の両端(前後端)からそれぞれ立ち上がった状態となる。保持部90Aは、梱包状態において、底板900と第1側板901Aと第2側板901Bとによって囲まれた空間903(図3参照)内に非常用電源ユニット5を収容するように構成されている。
梱包状態において、図4に示すように、第1側板901Aの外面(前面)から第2側板901Bの外面(後面)までの距離D1は、器具本体10の収容凹部16の前後方向における寸法と等しいか又は僅かに大きくなるように寸法関係が規定されている。要するに、梱包状態において、第1側板901A及び第2側板901Bは、それぞれ、収容凹部16の内側面とおおむね隙間なく面接触するように構成されている。したがって、梱包状態において、保持部90Aは、空間903内に収まった非常用電源ユニット5と共に、器具本体10の収容凹部16に対して安定的に収容される。言い換えると、梱包状態において、保持部90Aの、収容凹部16の長手方向に対する変位が抑制されている。
第1側板901Aは、非常用電源ユニット5から底板900の幅方向(前後方向)に沿って突出している突出部位を逃がすための第1逃がし溝9011を有している。第1逃がし溝9011は、保持部90Aが箱状に折り曲げられた状態(図3参照)で説明すると、第1側板901Aの下端(図3では上端)の左右方向における中央よりもやや右寄りの位置に設けられている。第1逃がし溝9011は、第1側板901Aの該当する部位に対して切り欠き加工を施すことによって、底板900に向かって窪んで形成されている。本実施形態では、第1逃がし溝9011は、第1側板901Aの厚み方向に沿って見たときに、矩形状となっている。
ここで、非常用電源ユニット5のケースカバー53の第2底壁534は、その前端にやや突出した縁5340を有し(図3及び図12参照)、第1逃がし溝9011は、非常用電源ユニット5の縁5340(突出部位)を逃がす機能を有している。したがって、縁5340が保持部90A自身又は器具本体10の内側面と接触して傷ついてしまう可能性を低減することができる。
一方、第2側板901Bも、非常用電源ユニット5から底板900の幅方向(前後方向)に沿って突出している突出部位を逃がすための第2逃がし溝9012を有している。第2逃がし溝9012は、保持部90Aが箱状に折り曲げられた状態(図3参照)で説明すると、第2側板901Bの下端(図3では上端)の左右方向における中央よりもやや右寄りの位置に設けられている。第2逃がし溝9012は、第2側板901Bの該当する部位に対して切り欠き加工を施すことによって、底板900に向うほど幅狭となるようなテーパ状に窪んで形成されている。本実施形態では、第2逃がし溝9012は、第2側板901Bの厚み方向に沿って見たときに、三角形状となっている。
ここで、「(2.4.3)非常用電源ユニット」の欄で説明したように、非常用電源ユニット5は、端子保持部527の前面から前方へ突出しているガイド片5271を有している。ガイド片5271が制御装置6の第2筐体621に設けられているガイド溝6219に案内されることで、非常用電源ユニット5の第1コンタクト57(図12参照)が、制御装置6の第1コンタクト受け641(図11参照)と電気的に接続される。また、非常用電源ユニット5の第2コンタクト58(図12参照)が、制御装置6の第2コンタクト受け642(図11参照)と電気的に接続される。要するに、ガイド片5271は、非常用電源ユニット5と制御装置6との電気的に接続するためのガイドとして機能するものである。そして、本実施形態では、第2逃がし溝9012は、非常用電源ユニット5のガイド片5271(突出部位)を逃がす機能を有している。したがって、ガイド片5271が保持部90A自身又は器具本体10の内側面と接触して傷ついてしまう可能性を低減することができる。
要するに、本実施形態では、一例として、非常用電源ユニット5から底板900の幅方向に沿って突出している「突出部位」とは、非常用電源ユニット5の縁5340とガイド片5271とに相当する。
(2.5.3)規制部
図2Bは、1枚の段ボールシートから形成された規制部90Bの展開された平面図を示しており、規制部90Bは、2つの折り線(第3折り線99C,第4折り線99D)を有している。第3折り線99C及び第4折り線99Dは、細長矩形板状の段ボールシートに対して、その長手方向と厚み方向とに直交する幅方向に沿うようにそれぞれ形成されている。その結果、当該段ボールシートは、長手方向に対して3つの領域に分けられている。なお、規制部90Bは、左右方向において面対称となる構成を採用している(図2B参照)。
第3折り線99C及び第4折り線99Dの各々は、例えば、直線状に段を潰す折り線加工を施すことで形成されている。このように予め折り線99C及び99Dが形成されていることで、梱包を行う作業者は、容易にこれらの折り線に沿って規制部90Bを折り曲げて所定の形状へ変形させることができる。規制部90Bは、図3に示すように、その所定の形状として、左端と上下両端とが開放された箱形状(すなわち上下方向から見たときにU字形状)へ変形可能となっている。
規制部90Bは、上記3つの領域にそれぞれ対応した、連結壁904と一対の側壁905とを有している。具体的には、連結壁904と(図2で言えば)左側の側壁905(以下、第1側壁905Aという)とが、第3折り線99Cを境界線として一体となっている。また、連結壁904と(図2で言えば)右側の側壁905(以下、第2側壁905Bという)とが、第4折り線99Dを境界線として一体となっている。
連結壁904は、図2Bに示すように、矩形板状に形成されている。連結壁904は、一対の側壁905を互いに連結するように構成されている。連結壁904は、梱包状態において、カバー7の第1カバー体71の第2側壁部71Bと対向する部位となる。梱包状態において、図4に示すように、連結壁904の前後方向における寸法は、第1側板901Aの内面(後面)から第2側板901Bの内面(前面)までの距離D2よりもやや小さくなるように寸法関係が規定されている。
第1側壁905A及び第2側壁905Bは、互いに同形(細長矩形板形状)で同寸法を有している。第1側壁905A及び第2側壁905Bの各々は、凹み9051と挿入部9052とを有している。
各凹み9051は、梱包状態において、天板11から離れる方向に窪んでいる。各凹み9051は、梱包状態において、非常用電源ユニット5のケースカバー53の第2底壁534を逃がすための機能を有している。ここで、第1側壁905A及び第2側壁905Bは、梱包状態において、保持部90Aの一対の側板901よりも内側に配置されるように収容される(図4参照)。さらに、第1側壁905A及び第2側壁905Bは、梱包状態において、これらの上端(図3では下端)が、段差を有する非常用電源ユニット5のケースカバー53に対して上下方向において安定的に接触できるように構成されている。したがって、非常用電源ユニット5は、保持部90Aの空間903内に収容されるだけでなく、規制部90Bの第1側壁905A及び第2側壁905Bとの接触により、器具本体10内における変位(がたつき)が更に抑制される。
一対の挿入部9052,9052は、それぞれ矩形板状に形成されていて、梱包状態において各側壁905の左端から天板11に近づく方向に突出している。一対の挿入部9052,9052は、梱包時において、保持部90Aの一対の溝部902,902に、それぞれ一対一に挿入(嵌合)されて保持部90Aに対して規制部90Bが位置決めされる。
本実施形態では、連結壁904と第1側壁905A及び第2側壁905Bの右端とが、梱包状態において、保持部90Aの底板900との間で、底板900の厚み方向に沿ってカバー7の第2カバー体72(及びねじ19)を挟み込むように構成されている。したがって、梱包状態において、器具本体10に対するカバー7の変位(がたつき)が抑制される。
(2.6)梱包装置
本実施形態の梱包装置9は、「(1)概要」の欄で説明したように、梱包材90と外装箱91とを備えている。本実施形態では、常用照明装置2は、梱包装置9によって梱包されるのではなく、別梱包により輸送及び保管される。
外装箱91は、器具本体10及び非常用照明装置3を収容可能に構成されている。外装箱91は、略矩形板状の1枚の段ボールシートから形成されている。図5Aは、外装箱91が展開された様子を示している。外装箱91は、その長手方向と幅方向とに沿ってそれぞれ形成された複数の折り線を有している(図5A参照)。外装箱91は、これらの折り線に沿って略90度に折り曲げることにより、細長い直方体形状の箱型となる(図5B参照)。
(2.7)照明器具の梱包手順
以下、照明器具1の器具本体10及び非常用照明装置3の梱包作業の手順について説明する。ただし、以下で説明する梱包手順(A)〜(E)は、単なる一例である。照明器具1は、下記の手順とは異なる手順によって梱包されてもよい。なお、ここでは、常用照明装置2の梱包手順については、説明を省略する。
(A)梱包作業を行う作業者は、まず、非常用照明装置3のカバー7を、器具本体10の収容凹部16内における左端に収容されている非常用照明装置3の非常用光源ユニット4及び制御装置6とは反対側の、器具本体10の右端に配置する。つまり、作業者は、カバー7を、非常用光源ユニット4の前方に取付けることなく、非常用光源ユニット4から離した状態で配置する。このとき、作業者は、カバー7の係止部74が収容凹部16内に収まるように、カバー7の第1カバー体71を器具本体10の右端にある突起100及び一対の第1側板12の右端近傍に載せ置く。このとき、カバー7の係止部74が突起100に接触しているため、カバー7の右側への更なる変位は規制される。
(B)作業者は、梱包材90の保持部90Aを図3に示すようにU字状に折り曲げた状態とし(空間903の形成)、非常用照明装置3の非常用電源ユニット5を保持部90Aの空間903内に収容する。このとき作業者は、非常用電源ユニット5の縁5340及びガイド片5271を第1逃がし溝9011及び第2逃がし溝9012にそれぞれ挿入する。これにより、梱包状態において、縁5340及びガイド片5271が、保持部90A自身又は器具本体10の内側面と接触して傷ついてしまう可能性を低減することができる。
(C)作業者は、この状態を保ちながら保持部90Aの突起受部9002をカバー7側に向けつつ収容凹部16内に収容する。ここで、突起受部9002をカバー7から突出しているねじ19(突起部位)と天板11との間に挿入して、更にねじ19の先端を突起受部9002の切り込み900Bの中心に当てる。これにより、梱包状態において、ねじ19が器具本体10の底面と接触して当該底面が傷ついてしまう可能性を低減することができる。
(D)そして、作業者は、梱包材90の規制部90Bを図3に示すようにU字状に折り曲げて、この状態を保ちながら連結壁904をカバー7側に向けつつ規制部90Bを収容凹部16内に収容する。ここで、作業者は、規制部90Bの左端にある一対の挿入部9052,9052を保持部90Aの一対の溝部902,902にそれぞれ一対一に挿入(嵌合)する。更に、作業者は、連結壁904と第1側壁905A及び第2側壁905Bの右端とをカバー7の第2カバー体72に載せ置く。このとき、第1側壁905A及び第2側壁905Bは、非常用電源ユニット5のケースカバー53に対して上下方向において安定的に接触する。
(E)最後に、作業者は、器具本体10を外装箱91の底板911(図5A参照)に載せ置き、器具本体10を覆うように外装箱91の折り線に沿って折り曲げて、テープ92で留める(図5B参照)。その結果、梱包材90により非常用電源ユニット5が保持されて、かつ、梱包材90によりカバー7の変位が規制された状態で、非常用照明装置3及び器具本体10が外装箱91内に収容されることになる。
(2.8)照明器具の施工性を考慮した梱包
ところで、本実施形態の照明器具1では、制御装置6と非常用電源ユニット5とが配線による接続ではなく、非常用電源ユニット5のガイド片5271が制御装置6のガイド溝6219に案内されることで互いの端子が接触して電気的に接続される。すなわち、非常用照明装置3は、非常用電源ユニット5が制御装置6に対して電気的に接触状態にあるとき、制御装置6の右横に隣接して配置される構造を有している(図9B参照)。さらにカバー7は、非常用光源ユニット4及び制御装置6だけでなく、第2カバー体72で非常用電源ユニット5も覆うように構成されている(図9A及び9B参照)。
一方で、照明器具1を例えば製造後に梱包する場合、非常用電源ユニット5は、蓄電池50の電力の消耗を防ぐために制御装置6に対して非接続状態で梱包されることが望ましい。しかし、もし非常用電源ユニット5が制御装置6から離して梱包される一方で、カバー7が係止部74及びねじ19により非常用光源ユニット4及び制御装置6を覆うように固定されていると、以下のような作業が発生する。
すなわち、照明器具1の施工者は、非常用電源ユニット5を取付けるために、係止部74及びねじ19により固定されているカバー7を一度取り外してから、非常用電源ユニット5を制御装置6に接続し、再びカバー7を取付ける必要がある。要するに、カバー7を取り外すという余計な手間が存在する。したがって、施工性を考慮すれば、カバー7は、例えば製造後に梱包する場合、非常用電源ユニット5と同様に、非常用光源ユニット4から取り外した状態で同梱されていることが望ましい。
この点で、梱包材90が規制部90Bを備えているため、カバー7が予め取り外されていても安定して同梱することができる。要するに、非常用照明装置3の他の構成部品から離して同梱された非常用電源ユニット5を施工時に取付ける際に、一度カバー7を取り外すという余計な作業が無くなる。また、カバー7の変位が規制されるため、照明器具1に対して信頼性の高い梱包状態を維持することができる。例えば照明器具1の輸送中に受ける外力や運搬時の落下衝撃によって、カバー7又は周辺部品に不具合(傷など)が生じる可能性を低くすることができる。
また、梱包材90は保持部90Aを備えているため、非常用電源ユニット5が器具本体10の底面に単に載せ置かれる場合に比べて、器具本体10内における非常用電源ユニット5の変位(がたつき)を抑えることができる。例えば照明器具1の輸送中に受ける外力や運搬時の落下衝撃によって、非常用電源ユニット5又は周辺部品に不具合(傷など)が生じる可能性を低くすることができる。さらに、非常用電源ユニット5が器具本体10とは別梱包で輸送及び保管される場合に比べて、照明器具1の施工性の低下を抑えることができる。
要するに、梱包材90は、保持部90A及び規制部90Bを備えているため、照明器具1の施工性の低下を抑えつつ、照明器具1に対して信頼性の高い梱包状態を維持することができる。
(3)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例も、上述した基本例と適宜組み合わせて適用可能である。
基本例では、常用照明装置2が梱包装置9によって梱包されるのではなく、別梱包により輸送及び保管されることを想定して説明した。しかし、この限りではなく、梱包装置9の外装箱91は、常用照明装置2も同梱可能に構成されていてもよい。
基本例では、保持部90Aが第1逃がし溝9011及び第2逃がし溝9012を有しているが、これらは保持部90Aにとって必須の構成要素ではなく、逃がし溝はなくてもよいし、いずれか一方のみを有していてもよい。また、逃がし溝の数は3つ以上であってもよく、非常用電源ユニット5の突出部位の数に依存して適宜に設定すればよい。
基本例では、保持部90A及び規制部90Bが互いに別体となって形成されている。しかし、この限りではなく、保持部90A及び規制部90Bは、互いに一体となって形成されていてもよい。例えば、保持部90Aの第1側板901Aから連続的に規制部90Bの第1側壁905Aが形成されていてもよい。この場合、部品点数を減らすことができ、また、保持部90Aの溝部902及び規制部90Bの挿入部9052が不要となる。
基本例では、カバー7から収容凹部16の底面に向かって突出している突起部位(例えばねじ19)がより安定的に位置決めされるように、保持部90Aは、切り込み900A〜900Cを有している。しかし、これらの切り込み900A〜900Cは、保持部90Aにとって必須の構成要素ではなく、設けられていなくてもよい。
基本例では、梱包状態において、カバー7が器具本体10の右端に配置されているが、器具本体10に対するカバー7の位置は特に限定されない。例えば、器具本体10の収容凹部16の右端に別の箱型の梱包材を収容して、その梱包材にカバー7の係止部74が接触するように配置してもよい。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る梱包材90は、照明器具1の器具本体10における長尺の収容凹部16内に収容される保持部90A及び規制部90Bを備えている。照明器具1の常用照明装置2及び非常用照明装置3は、収容凹部16内においてその長手方向に沿って支持されるように構成されている。非常用照明装置3は、非常用光源ユニット4と、非常用電源ユニット5と、制御装置6と、カバー7とを備える。制御装置6は、非常用電源ユニット5と電気的に接続されて非常用光源ユニット4を点灯する。カバー7は、非常用光源ユニット4から放射される光が通過する孔711を有して、非常用光源ユニット4及び非常用電源ユニット5を覆う。保持部90Aは、制御装置6に対して非接続状態にある非常用電源ユニット5を収容凹部16内で保持するように構成されている。規制部90Bは、収容凹部16において非常用光源ユニット4から離されて配置されたカバー7の変位を規制するように構成されている。第1の態様によれば、照明器具1の施工性の低下を抑えつつ、照明器具1に対して信頼性の高い梱包状態を維持することができる。
第2の態様に係る梱包材90に関して、第1の態様において、保持部90Aは、底板900と、一対の側板901とを有することが好ましい。底板900は、収容凹部16の底面(天板11の下面)と対向して配置されることが好ましい。一対の側板901は、底板900の厚み方向及び上記長手方向に直交する幅方向における、底板900の両端から立ち上がることが好ましい。保持部90Aは、底板900と一対の側板901とによって囲まれた空間903内に非常用電源ユニット5を収容するように構成されていることが好ましい。第2の態様によれば、器具本体10内における非常用電源ユニット5の変位をより抑えることができる。
第3の態様に係る梱包材90に関して、第2の態様において、一対の側板901のうち少なくとも一方の側板901は、逃がし溝(第1逃がし溝9011、第2逃がし溝9012)を有していることが好ましい。逃がし溝(第1逃がし溝9011、第2逃がし溝9012)は、非常用電源ユニット5から上記幅方向に沿って突出している突出部位(縁5340、ガイド片5271)を逃がすための溝であることが好ましい。第3の態様によれば、非常用電源ユニット5から上記幅方向に沿って突出している突出部位が存在する場合であっても、保持部90A自身又は器具本体10の内側面と接触して当該突出部位が傷ついてしまう可能性を低減することができる。したがって、より信頼性の高い梱包状態を維持することができる。
第4の態様に係る梱包材90に関して、第2の態様において、規制部90Bは、保持部90Aの底板900との間で、上記厚み方向に沿ってカバー7の少なくとも一部(第2カバー体72)を挟み込むように構成されていることが好ましい。第4の態様によれば、器具本体10に対するカバー7の変位をより抑えることができる。
第5の態様に係る梱包材90に関して、第1の態様〜第4の態様のいずれか1つにおいて、保持部90Aは、カバー7から収容凹部16の底面に向かって突出している突起部位(ねじ19)と当該底面との間に配置される突起受部9002を有していることが好ましい。第5の態様によれば、カバー7から収容凹部16の底面に向かって突出している突起部位が存在する場合であっても、例えば器具本体10の底面と接触して当該突起部位又は当該底面が傷ついてしまう可能性を低減することができる。したがって、より信頼性の高い梱包状態を維持することができる。
第6の態様に係る梱包材90に関して、第1の態様〜第5の態様のいずれか1つにおいて、保持部90Aと規制部90Bとは、互いに一体となって形成されていることが好ましい。第6の態様によれば、保持部90Aと規制部90Bが互いに別体となって形成されている場合に比べて、梱包材90の部材点数を減らすことができる。
第7の態様に係る梱包材90に関して、第1の態様〜第5の態様のいずれか1つにおいて、保持部90Aと規制部90Bとは、互いに別体となって形成されていることが好ましい。保持部90Aは、溝部902を有していることが好ましい。規制部90Bは、溝部902に挿入されて保持部90Aに対して規制部90Bが位置決めされる挿入部9052を有していることが好ましい。第7の態様によれば、保持部90Aと規制部90Bとが互いに一体となって形成されている場合に比べて、非常用電源ユニット5及びカバー7に対する梱包作業が容易となる。つまり、梱包作業を行う作業者は、先に保持部90Aで非常用電源ユニット5を保持させて収容凹部16内に収容し、その後に規制部90Bでカバー7の変位を規制させることができる。
第8の態様に係る梱包装置9は、第1の態様〜第7の態様のいずれか1つにおける梱包材90と外装箱91と備える。外装箱91には、梱包材90の保持部90Aにより非常用電源ユニット5が保持されて、かつ、梱包材90の規制部90Bによりカバー7の変位が規制された状態で、器具本体10及び非常用照明装置3が収容される。第8の態様によれば、照明器具1の施工性の低下を抑えつつ、照明器具1に対して信頼性の高い梱包状態を維持することが可能な梱包装置9を提供することができる。