JP2019160625A - 被覆硫化物固体電解質の製造方法 - Google Patents

被覆硫化物固体電解質の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019160625A
JP2019160625A JP2018046828A JP2018046828A JP2019160625A JP 2019160625 A JP2019160625 A JP 2019160625A JP 2018046828 A JP2018046828 A JP 2018046828A JP 2018046828 A JP2018046828 A JP 2018046828A JP 2019160625 A JP2019160625 A JP 2019160625A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
sulfide
sulfide solid
silver salt
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018046828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6881360B2 (ja
Inventor
南 圭一
Keiichi Minami
圭一 南
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2018046828A priority Critical patent/JP6881360B2/ja
Publication of JP2019160625A publication Critical patent/JP2019160625A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6881360B2 publication Critical patent/JP6881360B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】高いイオン伝導度を保持しており、かつ硫化水素の発生量が低減された被覆硫化物固体電解質を製造すること。【解決手段】銀塩をエーテル系の溶媒に溶解させること、及び、硫化物固体電解質と溶解している銀塩とを液相中で接触させることによって、硫化物固体電解質の表面を銀塩で被覆すること、を含む、被覆硫化物固体電解質の製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、被覆硫化物固体電解質の製造方法に関するものである。
パソコン、ビデオカメラ及び携帯電話などの情報関連機器及び通信機器等の近年の急速な普及に伴って、それらの電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業においては、電気自動車用又はハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。そのような種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目されている。
さらに、リチウムイオン電池の中でも、電解質として固体電解質を用いる全固体リチウムイオン電池は、電池内に液体である有機溶媒を用いないため、装置の簡素化を図ることが可能であり、また出力特性等において優れると考えられている。
このような固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている(例えば特許文献1)。硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性が高いため、電池の高出力化を図るうえで有用である。
特許文献2では、硫化物系固体電解質層の外周の少なくとも一部を、撥水剤を含有する撥水コートで被覆することが開示されている。当該文献によれば、これによって、硫化物系固体電解質層が水分と接触し潮解した際に、潮解した硫化物系固体電解質が、固体電解質層と反対側の撥水コート表面に出されて、硫化水素の発生が抑制される。
特許文献3では、水素よりもイオン化傾向の小さい金属を含有する抑制材を、硫化物固体電解質に接触するように使用することで、硫化水素発生量を低減させることが開示されている。
また、特許文献4では、固体電解質にアルカリ性化合物を混合することが記載されており、固体電解質に含まれるLiのモル量に対するアルカリ性化合物に含まれるアルカリ金属のモル量の比が1/1000以上1/25以下であることによって、硫化水素の発生及びイオン伝導度の低下が抑制されることが開示されている。
特開2015−011898号公報 特開2012−009255号公報 特開2011−113720号公報 特開2017−120728号公報
硫化物固体電解質には、大気曝露によって水分と接触すると、硫化水素(HS)が発生するという問題がある。また、硫化水素の発生を抑えるために硫化水素発生抑制材を硫化物固体電解質に添加すると、硫化物固体電解質のイオン伝導度が低下する。従って、硫化水素の発生量が抑えられていると同時に高いイオン伝導度を示す硫化物固体電解質を提供することは困難であった。
本開示は上記の問題に鑑みてなされたものであり、高いイオン伝導度を保持しており、かつ硫化水素の発生量が低減された被覆硫化物固体電解質の製造方法を提供することが目的である。
本開示は、以下の手段によって上記の目的を達成するものである。
銀塩をエーテル系の溶媒に溶解させること、及び、
硫化物固体電解質と溶解している前記銀塩とを液相中で接触させることによって、前記硫化物固体電解質の表面を前記銀塩で被覆すること、
を含む、被覆硫化物固体電解質の製造方法。
本開示の方法によれば、高いイオン伝導度を保持しており、かつ硫化水素の発生量が低減された被覆硫化物固体電解質を製造することができる。
本開示の被覆硫化物固体電解質の製造方法は、
銀塩をエーテル系の溶媒に溶解させる、溶解工程、及び
硫化物固体電解質と溶解している銀塩とを液相中で接触させることによって、硫化物固体電解質の表面を銀塩で被覆する、被覆工程、
を含む。
上述したように、硫化水素の発生を抑制するために硫化物固体電解質に添加される硫化水素発生抑制材は、一般に、イオン伝導度の低下をもたらす。硫化水素発生抑制材の添加の際に一般に行われる固相混合法では、硫化水素発生抑制材を固体電解質と混合する際に、固体電解質と硫化水素発生抑制材との間での接触によって、固体電解質中のLiとの間でカチオン交換などの反応が起こり、それによってイオン伝導度の低下が引き起こされると考えられる。また、固相混合法では、粉末状又は粒子状の硫化水素発生抑制材を固体電解質に添加するので、硫化水素発生抑制材を全体に行きわたらせようとするとその添加量が多くなり、相対的に硫化物固体電解質の割合が下がるということも考えられる。さらに、硫化水素発生抑制材として酸化物を使用する場合には、酸素とリンとの親和力が高いため、硫化物固体電解質中のリンと酸化物との間での反応によってP−O結合が優先的に形成し、イオン伝導度の低下につながると考えられる。
これに対して本開示の発明者らは、エーテル系の溶媒に溶解させた銀塩で硫化物固体電解質の表面を被覆することによって、高いイオン伝導度を保持しつつ硫化水素の発生量が低減された被覆硫化物固体電解質の製造が可能となることを見出した。本開示の方法では、エーテル系の溶媒に銀塩を溶解させることで、銀塩を溶媒内で電解させずに安定的に存在させることができ、それによって、銀イオンの生成が抑制されると考えられる。銀イオンは硫化物固体電解質のLiとの間でカチオン交換反応を起こしうるが、本開示の方法では、このような反応が抑制されており、その結果として、被覆硫化物固体電解質のイオン伝導度の低下が抑制されていると考えられる。
上記のようにして表面が銀塩で被覆された被覆硫化物固体電解質では、例えば大気曝露によって硫化水素が発生した場合に、被覆の銀が硫化されて、硫化水素が吸収される。すなわち、発生した硫化水素が外部へ拡散する前に、被覆に存在する銀が硫化するため、硫化水素の系外への放出が効果的に抑制されると考えられる。
以上のように、本開示の製造方法に従うことで、高いイオン伝導度を保持しつつ、硫化水素の発生量が低減された被覆硫化物固体電解質を製造することが可能となる。
以下、本開示の被覆硫化物固体電解質の製造方法の実施の形態を説明する。
〈溶解工程〉
本開示の方法における溶解工程では、銀塩を、エーテル系の溶媒に溶解させる。
この溶解工程によって、銀塩が溶解している溶液が得られる。この溶解工程では、攪拌を適宜行ってよい。
溶解工程において使用されるエーテル系の溶媒としては、銀塩を溶解することができ、銀塩がその中で安定して存在することができ、かつ硫化物固体電解質と反応しないような溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、例えばジブチルエーテルが好ましい。
本開示の方法で使用される銀塩は、本開示の方法で使用するエーテル系の溶媒に電解させずに溶解させることができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、トリフルオロ酢酸銀(AgTfac)又は銀トリフレート(AgTf)である。
〈被覆工程〉
本開示の方法における被覆工程では、硫化物固体電解質と溶解している銀塩とを液相中で接触させることによって、硫化物固体電解質の表面を、銀塩で被覆する。
本開示に係る1つの実施態様では、被覆工程において、例えばヘプタンなどの溶媒に硫化物固体電解質を投入し、攪拌を行い、次いで、この溶媒に、銀塩が溶解している上記の溶液を加える。そして、一定時間にわたって攪拌を行った後に、例えば加熱処理を行うことによって、溶媒を除去する。そのようにして、銀塩によって表面が被覆された被覆硫化物固体電解質を得る。
硫化物固体電解質に対する銀塩の重量での割合は、特に限定されないが、40wt%以下、30wt%以下、20wt%以下、若しくは10wt%以下であってよく、かつ/又は1wt%以上、2wt%以上、3wt%以上、若しくは5wt%以上であってよい。銀塩の割合は、特には、20wt%以下であることが、イオン伝導度の過度の低下を回避するために好ましい。
〈硫化物固体電解質〉
本開示の製造方法で使用される硫化物固体電解質及びその製造方法については、下記の記載と併せて特許文献1及び3の記載を参照できる。
本開示の方法において使用される硫化物固体電解質としては、特には、LiS−P−LiI−LiBr系の硫化物固体電解質、LPS系ベースガラスセラミックス、LGPS系の硫化物固体電解質、又はアルジロダイトなどを挙げることができる。
本開示における硫化物固体電解質は、原料組成物をガラス化することによって得られる硫化物ガラスであってよく、又は、その硫化物ガラスを熱処理することによって得られる結晶化硫化物ガラスであってもよい。硫化物ガラスは、結晶化硫化物ガラスに比べて柔らかいため、全固体電池を作製した際に活物質の膨張収縮を吸収でき、サイクル特性が優れていると考えられる。一方、結晶化硫化物ガラスは、硫化物ガラスに比べて、Liイオン伝導度が高くなる可能性がある。
本開示の硫化物固体電解質は、例えば、イオン導体、特にはLi,P及びSを有するイオン伝導体、並びにLiI及びLiBrを有している。LiI及びLiBrの少なくとも一部は、それぞれLiI成分及びLiBr成分としてイオン伝導体の構造中に取り込まれた状態で存在することが好ましい。
上記イオン伝導体は、例えば、Li、A(Aは、P、Si、Ge、Al及びBの少なくとも一種)、及びSを有することが好ましく、中でも、オルト組成を有することが好ましい。それによって、硫化物固体電解質の化学的安定性が高くなるためである。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本開示においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。例えば、LiS−P系ではLiPSがオルト組成に該当する。なお、LiS−P系の硫化物固体電解質の場合、オルト組成を得るLiS及びPの割合は、モル基準で、LiS:P=75:25である。
本開示において、「オルト組成を有する」は、厳密なオルト組成のみならず、その近傍の組成をも含むことを意味している。具体的には、上記イオン伝導体が、オルト組成のアニオン構造(例えば、PS 3−構造、SiS 4−構造、GeS 4−構造、AlS 3−構造)を主体として含有することが好ましい。オルト組成のアニオン構造の割合は、イオン伝導体における全アニオン構造に対して、60mol%以上であることが好ましい。なお、オルト組成のアニオン構造の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等によって決定することができる。
硫化物固体電解質は、LiS及び架橋硫黄を実質的に含有しないことが好ましい。それによって、硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質とすることができるからである。「LiSを実質的に含有しない」ことは、X線回折により確認することができる。具体的には、LiSのピーク(2θ=27.0°、31.2°、44.8°、53.1°)を有しない場合は、LiSを実質的に含有しないと判断することができる。一方、架橋硫黄とは、LiSと上記Aの硫化物とが反応することによって生成する化合物における架橋硫黄をいう。例えば、LiS及びPが反応することで形成されるSP−S−PS構造の架橋硫黄が、これに該当する。「架橋硫黄を実質的に含有しない」ことは、ラマン分光スペクトルの測定により、確認することができる。例えば、LiS−P系の硫化物固体電解質の場合、SP−S−PS構造のピークが、通常402cm−1に表れる。そのため、このピークが検出されないことが好ましい。
硫化物固体電解質の形状としては、例えば、粒子状を挙げることができる。硫化物固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、硫化物固体電解質は、Liイオン伝導度が高いことが好ましく、室温におけるLiイオン伝導度が、例えば1×10−4S/cm以上であり、1×10−3S/cm以上であることが好ましい。
硫化物固体電解質は、例えば、以下のような方法によって製造される。まず、LiS、LiI及びLiBrを少なくとも含有するリチウム組成物、並びにLiS以外の硫化物(例えばP)を含む原料組成物を用意する。次に、原材料に対して、非晶質化処理を行うことで、硫化物ガラスとしての硫化物固体電解質を得る。場合によって、作成された硫化物ガラスに熱処理を行うことによって、結晶化硫化物ガラスとしての硫化物固体電解質を得る。
非晶質化処理としては、例えば、メカニカルミリング及び溶融急冷法を挙げることができ、中でもメカニカルミリングが好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、及びディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。所望の硫化物ガラスを効率良く得ることができるからである。
また、メカニカルミリングの条件は、所望の硫化物ガラスを得ることができるように設定する。例えば、遊星型ボールミルによって硫化物固体電解質を作製する場合は、ポット内に、原料組成物及び粉砕用ボールを加え、所定の回転数及び時間で処理を行う。一般的に、回転数が大きいほど、硫化物固体電解質の生成速度は速くなり、処理時間が長いほど、原料組成物から硫化物固体電解質への転化率は高くなる。
遊星型ボールミルを行う際の回転数は、例えば200rpm〜500rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、例えば1時間〜100時間の範囲内、特には1時間〜50時間の範囲内であることが好ましい。また、ボールミルに用いられる容器及び粉砕用ボールの材料としては、例えばZrO及びAl等を挙げることができる。
必要に応じて行われる熱処理の熱処理温度は、所望の結晶化硫化物ガラスを得ることができる温度であれば特に限定されないが、例えば、160℃以上、180℃以上、195℃以上、若しくは200℃以上であり、かつ/又は、例えば、310℃以下、300℃以下、290℃以下、若しくは280℃以下である。熱処理時間は、例えば1分間〜24時間の範囲内であることが好ましい。また、熱処理は、不活性ガス雰囲気(例えばArガス雰囲気)又は減圧雰囲気(特に真空)で行うことが好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、例えば、焼成炉による方法を挙げることができる。
原料組成物におけるLiS以外の硫化物としては、特に限定されないが、例えば、元素A(Aは、P,Si,Ge,Al又はB)及びS元素を含有する組成物であることが好ましい。具体的には、P,P,SiS,GeS,Al,B等を挙げることができる。
原料組成物における各原料の割合は、特に限定されない。例えば、LiS、P、LiI及びLiBを含有する原料を用いて硫化物固体電解質を合成する場合、LiS及びPの合計に対するLiSの割合は、70mol%〜80mol%の範囲内であることが好ましい。化学的安定性の高い硫化物固体電解質とすることができるからである。
原料組成物がLiI及びLiBrを含有する場合には、原料組成物におけるこれらの合計の割合は、所望の硫化物固体電解質を得ることができる割合であれば特に限定されないが、例えば10mol%〜35mol%の範囲内であることが好ましく、10mol%〜30mol%の範囲内であることがより好ましく、15mol%〜25mol%の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本開示に係る方法をさらに具体的に説明する。
〈比較例1:銀塩の添加なし〉
(硫化物ガラスの調製)
LiS(フルウチ化学)0.5503g、P(アルドリッチ)0.8874g、LiI(高純度化学)0.2850g、及びLiBr(高純度化学)0.2773gを、5mm径のジルコニアボールの入ったジルコニアポット(45ml)に投入し、脱水ヘプタン(関東化学工業)4gを添加し、蓋をした。これを遊星型ボールミル装置(Fritch P−7)に取り付け、20時間にわたって、メカニカルミリングを行った。その後ヘプタンを除去し、硫化物ガラスを得た。
(小粒径の硫化物ガラスの調製)
次に、この硫化物ガラス2gを、0.3mm径のジルコニアボールの入ったジルコニアポットに再度投入し、ジブチルエーテル(キシダ化学)2g、及びヘプタン6gを加えて、20時間にわたって攪拌して、小粒径の硫化物ガラスを得た。
(結晶化硫化物ガラスの調製)
さらに、得られた小粒径の硫化物ガラスを、不活性雰囲気下で、結晶化温度以上の温度で3時間にわたって加熱することによって焼成した。結果として、結晶化硫化物ガラスとしての硫化物固体電解質を得た。
〈実施例1:トリフルオロ酢酸銀を用いた液相被覆〉
実施例1では、本開示の方法に従って、硫化物固体電解質の表面に銀塩を被覆させた。
具体的には、エーテル系の溶媒としてジブチルエーテルを使用し、銀塩としてはトリフルオロ酢酸銀を使用した。まず、トリフルオロ酢酸銀(アルドリッチ)0.4gを秤量し、ビーカー(50ml)に投入し、これにジブチルエーテル10gを加え、トリフルオロ酢酸銀を溶解させた。これにより、トリフルオロ酢酸銀の溶液を得た。別のビーカー(100ml)に、硫化物固体電解質としての上記結晶化硫化物ガラス2g、及び脱水ヘプタン30gを投入し、スターラーを用いて300rpmで攪拌した。そして、結晶化硫化物ガラスが分散したヘプタン中に、上記のトリフルオロ酢酸銀の溶液を加えて、1時間にわたって攪拌した。その後に、100℃で溶媒を除去することによって、銀塩によって被覆された、実施例1の被覆硫化物固体電解質を得た。
〈比較例2:トリフルオロ酢酸銀の混合〉
比較例2では、エーテル系の溶媒による銀塩の溶解を行わずに、銀塩と硫化物固体電解質との混合を行った。銀塩として、トリフルオロ酢酸銀を使用した。具体的には、比較例1と同様の方法によって調整された硫化物ガラス2g及びトリフルオロ酢酸銀0.4gを、0.3mm径のジルコニアボール40gの入ったジルコニアポット(45ml)に投入し、ジブチルエーテル2g及びヘプタン6gを加えて、蓋を閉めた。その後、200rpmで20時間にわたってメカニカルミリングを行って、硫化物ガラス表面にトリフルオロ酢酸銀が付着したものを得た。その後、比較例1における結晶化硫化物ガラスの調製工程と同じ条件で加熱処理を行って、結晶化硫化物ガラスとしての硫化物固体電解質を得た。
〈比較例3:硫化銀の混合〉
比較例3では、エーテル系の溶媒による銀塩の溶解を行わずに、銀塩と硫化物固体電解質との混合を行った。銀塩として、硫化銀(AgS)を使用した。具体的には、比較例1と同様の方法によって調整された硫化物ガラス2g及び硫化銀(アルドリッチ)0.4gを、0.3mm径のジルコニアボール40gの入ったジルコニアポット(45ml)に投入し、ジブチルエーテル2g及びヘプタン6gを加えて、蓋を閉めた。その後、200rpmで20時間にわたってメカニカルミリングを行って、硫化物ガラス表面に硫化銀が付着したものを得た。その後、比較例1における結晶化硫化物ガラスの調製工程と同じ条件で加熱処理を行って、結晶化硫化物ガラスとしての硫化物固体電解質を得た。
〈伝導度測定〉
上記のようにして得られた各試料の伝導度を測定した。具体的には、試料100mgに対して、ペレット成型機による6tプレスを行って、伝導度セルを作製した。そして、交流インピーダンス測定によって得られた抵抗とペレットの厚みから、伝導度を算出した。比較例1〜3、及び実施例1に関する測定結果を以下の表1に示す。
〈硫化水素発生試験〉
上記のようにして得られた各試料に関して、硫化水素の発生試験を行った。具体的には、まず、内部にファンの付いた1.7Lの曝露用デシケータ内に、水が10cc入った20ccるつぼを置き、飽和水蒸気量になるまで放置した。試料100mgを、25ccのガラスシャーレに入れ、ガラスシャーレをパラフィンフィルムで覆った。このガラスシャーレをデシケータ内に配置し、硫化水素センサーを起動させた後に、パラフィンフイルムを取り除いて曝露測定を開始した。曝露時間と硫化水素濃度の関係から傾きを計算し、硫化水素発生速度を算出した。比較例1〜3、及び実施例1に関する試験結果を以下の表1に示す。
〈実験結果〉
比較例1〜3、及び実施例1に関する実験結果を以下の表1に示す。
Figure 2019160625
表1で見ることができるように、エーテル系の溶媒に溶解させたトリフルオロ酢酸銀で被覆を行った実施例1では、銀塩の添加を行わなかった比較例1と比較して、硫化水素発生速度が低減していたことが確認された。
また、表1によると、実施例1に係る被覆硫化物固体電解質の伝導度は、銀塩の添加を行わなかった比較例1の硫化物固体電解質と比較して低下していたが、依然として高い伝導度を保持していたことが確認された。また、実施例1に係る被覆硫化物固体電解質の伝導度は、エーテル系溶媒による銀塩の溶解を行わずにトリフルオロ酢酸銀又は硫化銀の混合を行った比較例2及び3に係る硫化物固体電解質と比較して、高い値を示した。
従って、実施例1の、エーテル系の溶媒に溶解させた銀塩で被覆を行った被覆硫化物固体電解質は、高い硫化水素発生抑制効果を示すとともに、高いイオン伝導度を保持していたことが確認された。
以上、本開示の実施の形態について詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。

Claims (1)

  1. 銀塩をエーテル系の溶媒に溶解させること、及び、
    硫化物固体電解質と溶解している前記銀塩とを液相中で接触させることによって、前記硫化物固体電解質の表面を前記銀塩で被覆すること、
    を含む、被覆硫化物固体電解質の製造方法。
JP2018046828A 2018-03-14 2018-03-14 被覆硫化物固体電解質の製造方法 Active JP6881360B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018046828A JP6881360B2 (ja) 2018-03-14 2018-03-14 被覆硫化物固体電解質の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018046828A JP6881360B2 (ja) 2018-03-14 2018-03-14 被覆硫化物固体電解質の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019160625A true JP2019160625A (ja) 2019-09-19
JP6881360B2 JP6881360B2 (ja) 2021-06-02

Family

ID=67992656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018046828A Active JP6881360B2 (ja) 2018-03-14 2018-03-14 被覆硫化物固体電解質の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6881360B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7452659B2 (ja) 2020-07-31 2024-03-19 Agc株式会社 硫化物系固体電解質の製造方法及び硫化物系固体電解質

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011113720A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Toyota Motor Corp Liイオン伝導性材料およびリチウム電池
WO2011086664A1 (ja) * 2010-01-12 2011-07-21 トヨタ自動車株式会社 液状の疎水性相転移物質およびそれを用いた電池
JP2015125932A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 トヨタ自動車株式会社 硫化物固体電解質材料の製造方法
JP2017059432A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 株式会社日立製作所 擬似固体電解質およびそれを用いた全固体リチウム二次電池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011113720A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Toyota Motor Corp Liイオン伝導性材料およびリチウム電池
CN102668219A (zh) * 2009-11-25 2012-09-12 丰田自动车株式会社 锂离子导电材料和锂电池
US20120231348A1 (en) * 2009-11-25 2012-09-13 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Lithium ion conducting material and lithium battery
WO2011086664A1 (ja) * 2010-01-12 2011-07-21 トヨタ自動車株式会社 液状の疎水性相転移物質およびそれを用いた電池
JP2015125932A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 トヨタ自動車株式会社 硫化物固体電解質材料の製造方法
JP2017059432A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 株式会社日立製作所 擬似固体電解質およびそれを用いた全固体リチウム二次電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7452659B2 (ja) 2020-07-31 2024-03-19 Agc株式会社 硫化物系固体電解質の製造方法及び硫化物系固体電解質

Also Published As

Publication number Publication date
JP6881360B2 (ja) 2021-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6077403B2 (ja) 硫化物固体電解質材料の製造方法
JP5838954B2 (ja) 硫化物固体電解質の製造方法
JP5617794B2 (ja) 硫化物固体電解質材料の製造方法、および、硫化物固体電解質材料
CN103534845A (zh) 被覆活性物质及锂固体电池
TW201919990A (zh) Lgps系固體電解質之製造方法
JP2010218827A (ja) 結晶化硫化物固体電解質材料の製造方法
TWI712197B (zh) 離子傳導體之製造方法
JP2015072818A (ja) 被覆正極活物質およびリチウム固体電池
JP2017014037A (ja) 硫化物固体電解質の製造方法
JP2017091810A (ja) 正極合材の製造方法
JP2015076316A (ja) 硫化物固体電解質材料
JP2018133227A (ja) 硫化物固体電解質の製造方法
JP6881360B2 (ja) 被覆硫化物固体電解質の製造方法
JP2020087633A (ja) 複合固体電解質の製造方法
JP2020087794A (ja) 改質硫化物固体電解質の生成方法
JP7047485B2 (ja) 硫化物固体電解質
JP6413907B2 (ja) 硫化物固体電解質材料の製造方法
CN112864461B (zh) 硫化物固体电解质材料的制造方法
JP2020087736A (ja) 正極合材、全固体電池および正極合材の製造方法
JP5666861B2 (ja) 無機プロトン伝導体及びその製造方法
US9231275B2 (en) Method for manufacturing sulfide-based solid electrolyte
JP2017112100A (ja) 二次電池用硫化物系結晶化ガラスの製造方法
JP7243662B2 (ja) 硫化物固体電解質の製造方法
JP2015088245A (ja) 硫化物固体電解質材料の製造方法
JP2020092098A (ja) 硫化物固体電解質及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210419

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6881360

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151