JP2019159247A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧・脱圧の切替頻度を少なくして騒音を低減すると共に、カールを抑制する。【解決手段】熱源で加熱される定着部材(定着ローラ18)と、定着部材と定着ニップを挟んで対向配置され、定着ニップを通過する記録媒体を加圧する加圧部材(加圧ローラ19)とを有し、定着ニップの圧力が制御手段(制御部60)で可変に制御される定着装置である。制御手段は、定着ニップを第1の圧力に設定する脱圧モードと、定着ニップの圧力を第1の圧力よりも大きい第2の圧力に設定する加圧モードを有する。脱圧モードで定着動作の待機状態に入ると共に脱圧モードで記録媒体の特定銘柄の通紙・定着を行う。特定銘柄以外の通紙・定着は加圧モードで行う。【選択図】図12A

Description

本発明は定着装置及び画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、定着装置の定着ローラと加圧ローラの間の定着ニップに、トナー像を担持した用紙を通紙してトナー像を用紙に加熱定着させる。定着ローラに対して加圧ローラを加圧し続けると、加圧ローラのゴムが永久変形し、帯状の画像不良が発生する。そこで、特許文献1(特開2014−199386号公報)のように加圧ローラの加圧と脱圧を自動で切り替える技術が提案されている。
一方、定着ローラと加圧ローラの間に用紙を通紙したとき、両ローラ間のニップ圧と加熱によって用紙にカールが発生して高品位な印刷ができない場合がある。そこで、例えば特許文献2(特許第5604881号公報)のようにデカール機構などでカールを低減する技術が提案されている。
しかし、今までの定着装置は印字開始時に必ず加圧すると共に、印字終了で必ず脱圧していた。このため加圧・脱圧の切替頻度が高く、切替時の騒音が大きいという問題があった。また、加圧条件での印刷ではカールが大きく発生するという問題もあった。
そこで本発明の目的は、加圧・脱圧の切替頻度を少なくして騒音を低減すると共に、カールを低減可能な定着装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の定着装置は、熱源で加熱される定着部材と、当該定着部材と定着ニップを挟んで対向配置され、前記定着ニップを通過する記録媒体を加圧する加圧部材とを有し、前記定着ニップの圧力が制御手段で可変に制御される定着装置であって、前記制御手段は、前記定着ニップを第1の圧力に設定する脱圧モードと、前記定着ニップの圧力を前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力に設定する加圧モードを有し、前記脱圧モードで定着動作の待機状態に入ると共に当該脱圧モードで前記記録媒体の特定銘柄の通紙・定着を行い、当該特定銘柄以外の通紙・定着は前記加圧モードで行うことを特徴とする。
本発明の定着装置によれば、加圧と脱圧の切替頻度が低減して当該切替に伴う騒音を低減することができ、また特定銘柄の記録媒体の通紙・定着を脱圧モードで行うことで記録媒体のカールを低減することができる。
本発明の実施の一形態に係るモノクロ画像形成装置の概略構成図である。 本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。 カム部材と遮光部材と光学センサとを抜き出して示す図である。 本実施形態に係る接離機構の駆動系の概略構成図である。 本実施形態に係る接離機構の制御系のブロック図である。 図2の定着装置を簡略化したもので、(a)は加圧ローラの脱圧状態、(b)は加圧ローラの加圧状態を示す図である。 (a)は本発明の実施形態の印刷フロー、(b)は従来の印刷フローである。 用紙に印加する熱量とカール量の関係を示す図である。 脱圧モードで印刷するときの定着ニップ設定温度とニップ時間の相関関係を示す図である。 薄紙(a)と厚紙(b)のカール発生部位を示す図である。 加圧印刷動作のタイミングチャートを示すもので、(a)は本発明の実施形態のタイミングチャート、(b)は従来の定着装置のタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態の印刷フローチャートである。 本発明の第3実施形態の印刷フローチャートである。
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。まず、図1を参照して、画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。なお、本発明が適用される画像形成装置は、プリンタのほか、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機などが含まれる。
また、以下の実施形態では「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は紙(用紙)だけでなくOHPシートや布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。
現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべてこの「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。
また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
(画像形成装置)
図1に示す画像形成装置は、モノクロ画像形成装置である。その装置本体(画像形成装置本体)100には、作像ユニットとしてのプロセスユニット1が着脱可能に装着されている。
プロセスユニット1は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3を有する。またプロセスユニット1は、感光体2上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5等を備える。また、感光体2に対向する位置に、感光体2の表面を露光する露光手段としてのLEDヘッドアレイ6が配置されている。
プロセスユニット1には、画像形成用の粉体であるトナーを収容する粉体収容器としてのトナーカートリッジ7が着脱可能に装着されている。トナーカートリッジ7は、未使用のトナーを収容する未使用トナー収容部8と、使用された廃トナーを収容する廃トナー収容部9とを有する。
また、画像形成装置は、記録媒体としての用紙に画像を転写する転写装置10と、用紙を供給する給紙装置11を備える。また画像形成装置は、用紙に転写された画像を定着させる定着装置12と、用紙を装置外へ排出する排紙装置13と、タイミングローラとしての一対のレジストローラ17とを備える。
転写装置10は、転写部材としての転写ローラ14を備える。転写ローラ14は、プロセスユニット1を装置本体100に装着した状態で感光体2と接触するように配置されている。また、転写ローラ14は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されるようになっている。
給紙装置11は、用紙Pが収容される給紙カセット15と、給紙カセット15に収容されている用紙Pを給送する給紙ローラ16とを備える。なお、用紙Pには、普通紙のほか、厚紙、薄紙、はがき、封筒、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。さらに、用紙以外に、OHPシートやOHPフィルム等を記録媒体として用いることも可能である。
定着装置12は、互いに対向する一対の回転体を備える。一方の回転体は、用紙に画像を定着させる定着回転体としての定着ローラ18であり、他方の回転体は、定着ローラ18に対して加圧される加圧回転体としての加圧ローラ19である。定着ローラ18は、内部に加熱手段としてのハロゲンヒータ22が設けられている。定着ローラ18と加圧ローラ19とは互いに接触し、両ローラ18,19間に定着ニップが形成されている。
排紙装置13は、用紙を装置外に排出する一対の排紙ローラ20を備える。また、装置本体100の外装上面部には、排紙ローラ20によって排出された用紙を載置するための排紙トレイ21が形成されている。
また、装置本体100内には、給紙カセット15から、レジストローラ17、転写ローラ14と感光体2との間の画像転写部(転写ニップ)、定着装置12を経由して、排紙ローラ20まで用紙Pを搬送するための搬送路R1が設けられている。さらに、画像形成装置100内には、両面印刷する際に定着装置12を通過した用紙Pを再度画像転写部に搬送するための両面搬送路R2が設けられている。
続いて、図1を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成装置の作像動作について説明する。作像動作が開始されると、感光体2が回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、読取装置又はコンピュータ等からの画像情報に基づいてLEDヘッドアレイ6が感光体2の帯電面を露光し、静電潜像が形成される。そして、現像装置4によって感光体2上の静電潜像にトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転駆動を開始し、給紙カセット15から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、レジストローラ17によって搬送を一旦停止される。その後、所定のタイミングでレジストローラ17の回転駆動を開始し、感光体2上のトナー画像が画像転写部に達するタイミングに合わせて、用紙Pを画像転写部へ搬送する。
そして、用紙Pが画像転写部に搬送されると、転写ローラ14に所定の電圧が印加されることにより生じた転写電界によって感光体2上のトナー画像が用紙P上に転写される。また、このとき用紙Pに転写されなかった感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去され、トナーカートリッジ7の廃トナー収容部9へ回収される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置12へと搬送され、定着ローラ18と加圧ローラ19とによって形成される定着ニップを通過することにより加熱及び加圧されて、用紙P上のトナー画像が定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ20によって装置外に排出され、排紙トレイ21上に載置される。
また、両面印刷を行う場合は、定着装置12を通過した用紙Pを装置外に排出せずにスイッチバックさせて両面搬送路R2に送る。用紙Pは両面搬送路R2を通ってレジストローラ17の手前側で搬送路R1に送り込まれ、レジストローラ17によって再度画像転写部へ搬送される。そして、用紙Pの裏面に画像が転写され、定着装置12によって裏面側の画像が定着された後、用紙Pは装置外へ排出される。
(定着装置)
図2は、本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
以下、図2を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置12について詳しく説明する。
定着ローラ18と加圧ローラ19のそれぞれの両端部は、軸受23,24を介して一対の支持部材25によって回転可能に支持されている。装置本体に設けられた駆動源から定着ローラ18に駆動力が伝達されると、定着ローラ18は図2中の矢印Aで示す方向に回転駆動し、これに伴って、加圧ローラ19は図2中の矢印Bで示す方向に従動回転する。なお、本実施形態とは反対に、加圧ローラ19を駆動ローラとし、定着ローラ18を従動ローラとしてもよい。
ハロゲンヒータ22から発せられる輻射熱によって定着ローラ18が所定の温度にまで加熱された状態で、用紙が図2中の矢印C1で示す方向から定着ニップNへ進入すると、回転する定着ローラ18と加圧ローラ19によって用紙は挟持されながら搬送される。このとき、用紙上の未定着画像が、定着ローラ18の熱によって加熱されると共に、定着ローラ18と加圧ローラ19とによって加圧されることで、用紙に画像が定着される。そして、画像が定着された用紙は定着ニップNから図2中の矢印C2方向へ排出される。
また、加圧ローラ19は、支持部材25によって定着ローラ18に対して図2中の矢印D方向に接近離間可能に支持されている。具体的には、加圧ローラ19を支持する軸受24が、支持部材25に設けられた長方形状の孔である軸受ガイド部25bに嵌め込まれており、この軸受ガイド部25bに沿って軸受24が案内されることで、加圧ローラ19は定着ローラ18に対して接近離間する。一方、定着ローラ18を支持する軸受23は、各支持部材25に設けられた円形の孔である軸受嵌合部25aに嵌め込まれており、定着ローラ18はその軸位置が軸方向と直交する方向に移動しないように固定されている。
また、本実施形態に係る定着装置12は、定着ローラ18に対して加圧ローラ19を加圧する加圧部材としての加圧レバー31と、加圧レバー31を加圧方向に付勢する付勢部材としての加圧バネ32とを備えている。加圧レバー31及び加圧バネ32は、加圧ローラ19の両端部側にそれぞれ1つずつ設けられている。
加圧レバー31は、その一端部31aが支持部材25の下部に設けられた支軸33に取り付けられ、支軸33を中心に図2の矢印E方向に回動可能に構成されている。各加圧バネ32は、加圧レバー31の他端部31b側と支持部材25の上部とに設けられた引っ掛け部31c,25cに引っ掛けて取り付けられている。
これにより、加圧レバー31の他端部31bは、加圧バネ32によって常時図2における上方へ引っ張られた状態で保持されている。そして、加圧レバー31は、支持部材25の軸受ガイド部25bに嵌め込まれたパッド34を介して加圧ローラ19を支持する軸受24を押圧し、加圧ローラ19を定着ローラ18に向かって加圧している。
また、本実施形態に係る定着装置12は、定着ローラ18に対して加圧ローラ19を接近離間させる接離機構として、カム部材41を備えている。カム部材41は、一対の支持部材25によって回転可能に支持される回転軸42の両端部側にそれぞれ設けられている。
回転軸42が回転すると、一対のカム部材41は回転軸42と一体的に回転する。また、カム部材41は、回転中心からの距離が回転方向に向かって変化するカム面41aを有する。加圧レバー31が加圧バネ32によって引っ張られることで、加圧レバー31に設けられたカム受け部31dがカム面41aに対して接触した状態で保持されている。
この状態で、カム部材41が一方向に回転すると、加圧レバー31がカム面41aによって図2における下方へ押し動かされることで、加圧ローラ19が定着ローラ18に対して離間する。カム部材41が逆回転すると、加圧レバー31が図2における上方へ戻されることで、加圧ローラ19が定着ローラ18に対して接近するように構成されている。
また、本実施形態に係る定着装置12は、カム部材41の回転位置(回転角度)を検知する回転位置検知手段として、光学センサ51と、遮光部材52とを備えている。光学センサ51は、透過型の光学センサであり、光を照射する投光部と、投光部から照射された光を受ける受光部とを有する。
遮光部材52は、カム部材41と一体的に回転することで、光学センサ51の照射光を遮蔽又は透過し、受光の有無を切り換えることにより光学センサ51によって回転位置が検知される被検知部材である。光学センサ51及び遮光部材52は、2つあるカム部材41のうちの片方のカム部材41側にのみ設けられている。
図3は、カム部材と遮光部材と光学センサとを抜き出して示す図である。図3に示すように、カム部材41に設けられたカム面41aは、回転中心からの距離が図における時計回りに漸増するように形成されている。
そして、カム面41aは、回転方向の半周(180°)よりも多い領域に渡って設けられている。具体的に、本実施形態では、カム面41aの回転中心からの距離が最も小さい最下点e1から、カム面41aの回転中心からの距離が最も大きい最上点e2まで、約270°の範囲に渡って設けられている。
遮光部材52は、回転方向に長い(回転方向の長さがX1である)被検知領域としての長遮光部52aと、長遮光部52aよりも回転方向に短い(回転方向の長さがX2である)被検知領域としての短遮光部52bとを有する。長遮光部52aと短遮光部52bは、いずれも回転に伴って光学センサ51の光照射部Lを通過することで照射光を遮蔽する。また、長遮光部52aと短遮光部52bとの間には、光学センサ51の照射光を透過させる孔部(透光部)52jが形成されている。
(加圧ローラの接離機構)
図4は、加圧ローラ19の接離機構の駆動系を示す概略構成図である。図4に示すように、接離機構の駆動系は、駆動源としてのモータ43と、モータ43からの駆動力をカム部材41や遮光部材52に伝達するギア列44とを備える。
本実施形態では、モータ43として、小型で安価なDCブラシモータを用いている。ギア列44は、モータ43の出力軸に取り付けられた第1のウォームギア45と、第1のウォームギア45と噛み合う第2のウォームギア46と、第2のウォームギア46と一体に設けられた第1の平歯車47と、第1の平歯車47と噛み合うと共に遮光部材52と一体に設けられた第2の平歯車48とで構成される。
モータ43の出力軸が一方向又はこれと逆方向に回転すると、各ウォームギア45,46と各平歯車47,48が回転し、第2平歯車48と遮光部材52が一体的に回転することで、回転軸42を介して各カム部材41が一方向(図3中の矢印Fで示す方向)とこれとは逆方向(図3中の矢印Gで示す方向)とに回転する。
図5は接離機構の制御系のブロック図である。図5に示すように、定着装置の制御手段を構成する制御系は、カム部材41の回転を制御する制御部60と、カム部材41の回転位置を検知するための上記光学センサ51、及び、カム部材41の回転時間を計測するタイマー70を備える。制御部60によって定着ニップの圧力が可変に制御される。
制御部60は、例えば、画像形成装置本体に設けられたCPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。制御部60は、光学センサ51によって検知された信号やタイマー70によって計測された時間に基づいてモータ43の駆動を制御してカム部材41の回転を制御する。また、制御部60は、光学センサ51によって検知された信号に基づいてタイマー70による時間計測開始のタイミングや時間計測停止のタイミングを制御するようにも設定されている。
本実施形態の定着装置は、後述するように脱圧モードと加圧モードを有する。すなわち、普通紙を加圧モードで通紙する際の通常の加圧力の他、脱圧モードで特定銘柄の用紙を通紙する場合は、当該加圧力に比べて小さい加圧力で定着ニップを形成可能にしている。
なお、定着ニップに封筒等の2枚重ねの用紙を通紙する場合、普通紙を通紙する場合と同様の加圧力で定着ローラと加圧ローラとを加圧すると、用紙にシワが発生する可能性がある。そのため、封筒等の用紙を通紙する場合も前記脱圧モードで定着ニップを形成するとよい。
本実施形態に係る定着装置では、上記のように、加圧ローラを定着ローラに対して接近離間可能にすることで、紙種(銘柄)に応じて定着ニップにおける加圧力を変更できるようにしている。
(加圧力の変更)
以下、本実施形態による定着ニップの加圧力の変更を図6〜図12Bにより説明する。本実施形態は、加圧、脱圧の2種類の加圧条件を自動で切り替え可能な定着装置において、基本的に脱圧状態で印刷を行うことに特徴がある。
すなわち、本発明は従来技術と異なり、印字時の用紙搬送品質(用紙カール)を改善するために、ニップ幅の狭い脱圧条件を用いて印字を行う脱圧モードを印刷動作の基本とする。このため、印刷しない脱圧状態から印刷動作に移行しても、加圧しない印刷動作になる頻度が高くなり、加圧・脱圧の切替回数を減らすことができて音発生を低減できる。
また、脱圧で印刷を行うことで定着のニップ幅が狭くなり、用紙の定着装置通過時の時間(ニップ時間=ニップ幅/定着ローラ回転周速)が小さくなる。これにより用紙に印加される熱量が減ると共に、定着ローラの曲率半径で用紙が変形される部位の長さが短くなるため、印刷紙種によらず用紙のカールを低減できる。
図6(a)(b)は、前述した図2の定着装置12を簡略化したもので、定着ローラ18に対する加圧ローラ19の脱圧状態と加圧状態を示している。図6(a)ではカム部材41が脱圧のために退避位置に回動しており、加圧レバー31は加圧バネ32によって退避位置のカム部材41に押し付けられている。
この脱圧状態では、図6(b)の加圧状態と比較して、用紙を加熱加圧するニップ幅N1が狭くなっている。これにより、用紙速度が同じ場合は、定着に必要な熱量を印加する時間が短くなるのでカールを小さくできる。
従来の定着装置は、印刷紙種によらず、印刷時は図7(b)のように加圧条件で印刷を行っていた。本発明の実施形態では、図7(a)のように、加圧、脱圧(ジャム紙を除去可能な圧力)の2つの加圧力設定しかない条件で、印刷紙種によらず基本的に脱圧で印刷を行う。
これにより、定着性を維持しつつカールを低減し、加圧・脱圧の切替動作を行わないことで静音化を図るようにしている。そして、定着性が不足する紙種の場合のみ従来と同様の加圧印刷を行う。
(用紙印加熱量とカール量の関係)
カール量にかかわる条件として、定着設定温度(℃)とニップ時間T(T=ニップ幅(mm)/定着ローラの周速(mm/s))がある。ここでは用紙に加える熱量に対応する量を、定着設定温度とニップ時間の積(総熱量)で表し、当該総熱量とカール量との関係を図8に示した。
図8から、総熱量が小さい条件(脱圧条件)ではニップ時間が短くなるため、温度を上げて定着ローラの周速を下げることで、全体としては総熱量を低減してカール量を低減でき、同時に加圧・脱圧の切替回数を減らせることが分かる。なお、図8は加圧モードでニップ幅7.7mm,脱圧モードでニップ幅2.5mmであり、脱圧条件は定着ニップの圧力と温度の積が2000〜4000(℃・ms)の範囲である。
(定着設定温度)
図9は、脱圧で印刷するときの定着ニップ設定温度とニップ時間(ms)の相関関係を示すもので、左右方向に延びるグラフ線(1)〜(6)の左端は、ニップ時間を13msとした場合の各紙種の定着可能なニップ設定温度を示している。ニップ時間(ms)が延びるにしたがって、すなわちニップ圧が大きくなるにしたがって、ニップ設定温度は低下する。
ニップ時間(ms)が延びるとニップ温度が上昇しやすくなるので、ニップ設定温度を低下させることで定着ニップに対する入熱量を一定に維持する。図中、150mm/s、130mm/s、90mm/sの3つの縦線は、脱圧印刷時の定着線速を示す。ニップ時間(ms)が延びるにしたがって定着線速は遅くなる。
図9の一番上の破線は、最も厚い厚紙3に紙間を空けないで、すなわちCPMダウン制御なしで印刷する場合に定着可能なニップ設定温度の予測限界を示している。厚紙3に定着するのに必要な総熱量、すなわちニップ設定温度とニップ時間との積(℃・ms)から計算した設定温度が、破線よりも高くなりすぎて実際的に設定不能の場合は、紙間をあける制御(CPMダウン制御)を行うことで定着性を確保する。
以下の表1は、加圧、脱圧条件でのカール量を示すものである。
この表1は、同一銘柄用紙(薄紙、厚紙(厚め))で、同一の加圧と脱圧の条件でカール量を比較している。この表1より、脱圧することでカール量を低減できることが分かる。なお、「45K紙」、「180K紙」は用紙1000枚あたりの連量(kg)である。
用紙のカールは、用紙中の水分分布の偏差が大きく影響する(特開2010−72068号公報[0059]〜[0060]段参照)。図10は薄紙と厚紙のカール発生部位を薄墨で示したもので、薄紙P1の場合は、図10(a)のように用紙の中央部と端部での水分量の違いによりサイドカール(薄墨部分)が発生する。厚紙P2の場合は、図10(b)のよう用紙の表と裏の水分量の違いによりバックカール(薄墨部分)が発生する。
用紙のカールは、加圧力が同じとき(すなわちニップ幅が同じとき)は、温度が低い方がカールが発生しにくい。温度が同じときは、加圧力が小さい方(すなわちニップ幅が小さい方)がカールが発生しにくい。
カール量にかかわる条件として、前述したように定着設定温度とニップ時間がある。ニップ時間Tは、T=ニップ幅(mm)/定着ローラの周速(mm/s)で計算される。
ここで、ニップ時間Tを短縮し、例えばニップ幅を7.7mmから2.5mmの約3分の1に減らした場合でも、設定温度(℃)を上げることで定着性を維持することができる。しかし、設定温度(℃)を150℃から例えば50℃に大幅に下げた場合、ニップ時間Tをいくら長くしても定着性を維持することができない。
そこで、本実施形態では、カール量を低減するためにニップ時間Tを短縮(脱圧モードでニップ幅を低減)する対応をとる。このように、脱圧モードで印刷を行う事で、カール量を低減させると同時に、加圧・脱圧の切替回数を減らして加圧による音の発生を抑えることができる。
(音の発生低減)
前述した音の発生低減を図11(a)(b)により説明する。図11(b)は、印刷時に加圧状態とする従来の動作を示している。印字状態になると、定着駆動モータが回転し、それにあわせて、脱圧加圧モータが加圧動作を行う。
スリープ復帰からの最初の加圧動作時は、カムの円周方向の位置を確定するため、初期化動作を行う。印刷が終了すると、脱圧を行う。再び印刷動作があると加圧を行い、印刷終了すると脱圧動作を行う。
図11(a)は、薄紙、厚紙(厚め)、封筒を脱圧状態で印刷する動作を示す。この場合は、スリープ復帰時に脱圧状態であるため、印刷開始時も加圧動作は行われず、印刷終了時も脱圧動作は行われない。したがって、印刷が実行されても加圧・脱圧の切替動作がないため、加圧・脱圧の切替音発生がなく、静粛な印刷動作を実現できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、カール低減モードを脱圧で実現する例を図12Aに示す。このカール低減モードでは、紙種によらず脱圧状態で印刷を行う(図11(a)のタイミングチャートB)。そのため、加圧・脱圧の切替音発生がなく、静粛な印刷動作を実現できる。
但し、図12AのステップS4、S5のように、特定銘柄以外の紙種では定着性を確保するためカール低減モードを使用しない。すなわち、薄紙、厚紙(厚め)、封筒以外を印刷する場合はステップS5で加圧動作(図11(b)のタイミングチャートA)を実施する。
各紙種のカール低減モードにおける加圧、脱圧設定例を表2に示す。
薄紙、厚紙(厚め)は上述の通り、サイドカールやバックカールが発生する。これに対して普通紙や厚紙(薄め)はカールが比較的発生しにくい。そこで、使用頻度の高い普通紙や厚紙(薄め)は、カール低減モードで定着性確保のために線速を落とすと生産性が低下するので、生産性を優先して加圧して印刷を行うことにした。
このように設定A,設定Bのいずれにおいても脱圧印刷の割合が多いことで、加圧・脱圧の切替回数を減らすことができ、切替音を低減することができる。また、脱圧印刷時は、図9に示した紙間を広げる、いわゆるCPMダウン制御を盛り込む。
このCPMダウン制御は、定着ニップ部に搬送される用紙の給紙間隔を広げて定着ローラや加圧ローラに十分に蓄熱される時間を確保することで定着性を向上する制御である。CPMは単位時間当たりのコピー枚数を表す。
表2の右端欄に、紙間を広げる動作なしの場合の印刷速度との比(%)を記載した。また、1p目の定着性を改善するため、印字前空転を設けて、加圧ローラ温度を蓄熱により高めて印字開始してもよい。このような動作を行うことで、カール低減、定着性確保、加圧・脱圧切替音防止が共に達成される。
(第3実施形態)
最後に本発明の第3実施形態を図12Bを用いて説明する。この第3実施形態は、図8に示すように総熱量(℃・ms)が大きいとカールが大きくなることから、総熱量(℃・ms)がしきい値以上の場合は、ステップS12→ステップS13に進んで脱圧印刷(脱圧モード)をする実施形態である。総熱量(℃・ms)のしきい値としては、図8から5000(℃・ms)程度とすることができる。以上のような構成により、用紙の搬送品質を高め、かつ、加圧、脱圧の切替音を低減することができる。総熱量(℃・ms)がしきい値以下の場合は、ステップS12→ステップS14に進んで加圧印刷(加圧モード)をする。
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば前記実施形態では定着部材として定着ローラ、加圧部材として加圧ローラを使用したが、これらを定着ベルトや加圧ベルトに変更することも可能である。
1:プロセスユニット 2:感光体
3:帯電ローラ 4:現像装置
5:クリーニングブレード 6:ヘッドアレイ
7:トナーカートリッジ 8:未使用トナー収容部
9:廃トナー収容部 10:転写装置
11:給紙装置 12:定着装置
13:排紙装置 14:転写ローラ
15:給紙カセット 16:給紙ローラ
17:レジストローラ 18:定着ローラ
19:加圧ローラ 20:排紙ローラ
21:排紙トレイ 22:ハロゲンヒータ
23,24:軸受 25:支持部材
25a:軸受嵌合部 25b:軸受ガイド部
25c:引っ掛け部 31:加圧レバー
31a:加圧レバーの一端部 31b:加圧レバーの他端部
31c:加圧レバーの引っ掛け部 31d:加圧レバーのカム受け部
32:加圧バネ 33:支軸
34:パッド 41:カム部材
41a:カム面 42:回転軸
43:モータ 44:ギア列
45,46:ウォームギア 47,48:平歯車
51:光学センサ 52:遮光部材
52a:長遮光部 52b:短遮光部
60:制御部 70:タイマー
100:画像形成装置
特開2014−199386号公報

Claims (7)

  1. 熱源で加熱される定着部材と、当該定着部材と定着ニップを挟んで対向配置され、前記定着ニップを通過する記録媒体を加圧する加圧部材とを有し、前記定着ニップの圧力が制御手段で可変に制御される定着装置であって、
    前記制御手段は、前記定着ニップを第1の圧力に設定する脱圧モードと、前記定着ニップの圧力を前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力に設定する加圧モードを有し、前記脱圧モードで定着動作の待機状態に入ると共に当該脱圧モードで前記記録媒体の特定銘柄の通紙・定着を行い、当該特定銘柄以外の通紙・定着は前記加圧モードで行うことを特徴とする定着装置。
  2. 前記特定銘柄は、薄紙、厚紙または封筒であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記脱圧モードにおいて、前記定着ニップの圧力と温度の積が所定値以上となるように制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記定着ニップの圧力と温度の積が5000(℃・ms)以上であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記脱圧モードにおいて、前記定着ニップの圧力と温度の積が2000〜4000(℃・ms)の範囲に制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  6. 前記脱圧モードで厚紙を印刷するとき、前記定着部材と前記加圧部材を印刷開始前に空転動作させ、及び/又は、通常印刷時よりも紙間を広げて印刷を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。

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