JP2019157657A - 内燃機関用制御装置 - Google Patents

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淳太 山口
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祐典 渡邊
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Abstract

【課題】内燃機関が停止されている間の触媒の周辺環境に対応して、内燃機関の再始動時の触媒温度を高精度に推定して、触媒を適切に昇温することができる内燃機関用制御装置を提供する。【解決手段】内燃機関10の始動時において、内燃機関に使用される潤滑油の油温、或いは変速機に使用される潤滑油の油温TOsrtと、内燃機関の内部を循環する冷却水の水温TWsrtとを用いて所定の演算に基づいて触媒の初期温度を推定する。内燃機関の始動時の触媒温度が、触媒の周辺環境を考慮して正確に推定できるため、触媒の活性化状態の判定を正確に行うことができようになり、点火時期の遅角制御に伴う燃費の悪化を抑制でき、燃費性能を向上することができるようになる。【選択図】図12

Description

本発明は内燃機関の動作を制御する内燃機関用制御装置に係り、特に内燃機関の排気系に設置された排気ガス浄化用触媒の温度を推定する触媒温度推定機能を備えた内燃機関用制御装置に関するものである。
内燃機関の排気系には、内燃機関から排出される排気ガスを浄化する、いわゆる三元触媒等からなる排気ガス浄化用触媒(以下、単に触媒と表記する)が設置されている。このような触媒は、一般的には活性温度に達していないと充分な浄化性能を得ることができないので、内燃機関の始動時には触媒を急速に昇温することが重要である。
そして、内燃機関の始動時に触媒を早期に活性化させるため、点火時期を遅角側に設定し、燃費性能を犠牲にしつつ排気ガス温度を高くして触媒の昇温を行っている。更に、触媒の活性化状態を判定するため、運転状態に応じて触媒の温度推定が行われている。この触媒温度の推定によって、種々の内燃機関の動作パラメータ(例えば、燃料噴射量、点火時期、吸排気弁の開閉時期等)が制御されている。
ところで、内燃機関を停止してから再始動までの時間が短い場合は、触媒が充分に冷却されていない場合が多い。しかしながら、内燃機関を停止している間は、電源が遮断されて制御装置が動作していないため、触媒の温度を推定、把握できない状況となる。このため、内燃機関の再始動時に触媒の温度を推定できていないのも拘わらず、点火時期の遅角制御が実行されて触媒の昇温を行ってしまうことがある。このように、点火時期の遅角制御を行なうと、燃料を効率良く機関トルクに変換することができなくなり、燃費が悪くなるという課題が発生する。
そこで、特開2015−209774号公報(特許文献1)においては、内燃機関の停止時と再始動時の冷却水の温度差から、内燃機関の再始動時の触媒初期温度を推定することが提案されている。特許文献1においては、排気系温度取得部で取得した排気系温度及び機関本体温度取得部で取得した機関本体温度の偏差に基づき、内燃機関が停止した後に、排気系温度が機関本体温度に収束するまでの収束時間を算出し、内燃機関の作動時間、または停止時間と収束時間との時間差に基づき、内燃機関を再始動する際の排気系温度を推定することが示されている。したがって、触媒初期温度が充分に高い場合は点火時期の遅角制御を停止、或いは抑制して、燃費性能を向上することができる。
特開2015-209774号公報
ところで、特許文献1においては、外界温度や風の有無、風の速度といった、内燃機関の停止中の触媒の周辺環境の影響を反映するという考慮がなされていないため、内燃機関の始動時の触媒初期温度の推定に誤差が生じるという恐れがある。このため、触媒の昇温が必要にも拘わらず点火時期の遅角制御が実行されない、或いは触媒の昇温が必要ないにも拘わらず点火時期の遅角制御が実行されるといった課題が生じるようになる。
本発明の目的は、内燃機関が停止されている間の触媒の周辺環境に対応して、内燃機関の再始動時の触媒初期温度を高精度に推定して、触媒を適切に昇温することができる内燃機関用制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、内燃機関の始動時において、車両の駆動系に使用される潤滑油の油温と、内燃機関の内部を循環する冷却水の水温とに基づいて車両の停止時間を推定するところにある。また、この停止時間から触媒初期温度を推定するところにある。
また、本発明の他の特徴は、内燃機関の始動時において、車両の駆動系に使用される潤滑油の油温と、内燃機関の内部を循環する冷却水の水温とに基づいて始動時の触媒初期温度を推定するところにある。
本発明によれば、内燃機関の始動時の触媒初期温度が、周辺環境を考慮して正確に推定できるため、触媒の活性化状態の判定を正確に行うことができようになる。このため、触媒の昇温に伴う燃費の悪化を抑制でき、燃費性能を向上することができるようになる。
本発明が適用される内燃機関システムの構成図である。 図1に示す制御装置の構成を示す構成図である。 内燃機関が停止されている間の触媒、冷却水、潤滑油、外気の温度変化を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態に関する、冷却水の水温の温度変化と内燃機関の停止時間、及び触媒の温度変化量の関係を示した特性図である。 水温と油温の温度差に基づく時間補正係数の関係を示した特性図である。 本発明の第1の実施形態になる内燃機関の停止時間を算出する制御ブロック図である。 本発明の第1の実施形態になる触媒の初期温度を算出する制御ブロック図である。 本発明の第1の実施形態になる再始動時の制御を説明する制御フローチャート図である。 本発明の第1の実施形態になる触媒の初期温度を推定する制御フローチャート図である。 触媒初期温度の実測値と推定値の時間変化を説明するグラフ図である。 本発明の第2の実施形態に関する、冷却水の水温の温度変化と内燃機関の停止時間、及び触媒の温度の関係を示した特性図である。 本発明の第2の実施形態になる触媒の初期温度を推定する制御フローチャート図である。 本発明の第3の実施形態に関する、冷却水の水温の温度変化と触媒の温度の関係を示した特性図である。 本発明の第3の実施形態になる触媒の初期温度を推定する制御フローチャート図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1は、本発明が適用される自動車用の内燃機関システムの構成を示している。図示の内燃機関10は、水温センサ11が設置された気筒12の頂部に燃焼室が形成され、この燃焼室に点火コイル13から点火電圧を印加される点火プラグ14が設置されている。水温センサ11は、内燃機関10を冷却する冷却水の水温を検出する温度センサであり、気筒12を形成するウォータジャケットやラジエータの出口に配置されている。尚、本実施形態では、ラジエータの出口に配置されている。
また、クランク軸及び吸排気動弁機構のカム軸の回転位相を検出するクランク角センサ15、及びカム角センサ16が設けられている。更に、油温センサ17が設置されている。油温センサ17は、内燃機関の摺動部を潤滑する潤滑油の油温を検出する温度センサであり、オイルパンやオイルポンプに配置されている。尚、本実施形態では、オイルパンに配置されている。
吸気系を構成する吸気通路18には、燃料噴射弁19、スロットル弁20、スロットルポジションセンサ21、吸気管圧力センサ22、エアフローセンサ23、吸気温センサ24等が配設されている。燃料噴射弁19には、燃料タンク25から燃料ポンプ26及び燃圧制御弁27を介して一定圧に調圧された燃料が圧送されるようになっている。また、排気系を構成する排気通路28には、排気ガスセンサ29、排気ガス浄化用触媒(三元触媒)30等が配置されている。
そして、本実施形態の適用対象となる内燃機関用制御装置(以下、ECUと表記する)40は、排気センサ29内に設けられたセンサ素子を加熱するセンサヒータの制御を行なうセンサヒータ制御機能部、燃料噴射弁19による燃料噴射量や燃料噴射時期の制御を行なう燃料噴射制御機能部、点火プラグ14の点火時期の制御を行う点火制御機能部等が備えられている。もちろん、これ以外の種々の機能を備えていることはいうまでもない。
図2はECU40の制御ブロックを示したものである。ECU40は、図中に示されるように、演算処理を行うCPU31、CPU31が実行するプログラム及び演算に使用されるデータを格納したROM32、データを一時的に記憶するRAM33が設けられている。
また、各センサ類からのアナログ信号(センサ電圧、バッテリ電圧等)を取り込んでデジタル信号に変換するA/D変換器34、運転状態を示すスイッチ類からのスイッチ信号(電気負荷スイッチ、イグニッションスイッチ等)を取り込むデジタル入力回路35、連続するパルス信号(リファレンス信号、カム角信号等)の時間間隔や所定時間内のパルス数を計数するパルス入力回路36等の入力部も備えられている、
更に、CPU31の演算結果に基づき、燃料ポンプリレー、ステッピングモータ等のアクチュエータのオン・オフ動作を行うデジタル出力回路37、インジェクタ、イグナイタ等のアクチュエータの動作を行うパルス出力回路38、自己診断ツールやデバッグモニタと通信する通信回路39を備えている。尚、通信回路39は、データを外部に出力し、さらに、外部からの通信コマンドによって内部状態を変更できるように構成されている。
以上のような構成の内燃機関用制御装置において、次に本発明の第1の本実施形態の具体的な構成について説明する。
図3は、内燃機関を停止している間の内燃機関の冷却水の水温、内燃機関の潤滑油の油温、触媒の温度の変化の一例を示している。これらは自動車の置かれている周辺環境の相違によって特性が異なることを示している。実線は内燃機関を常温、無風の状態で放置した場合の停止後の温度変化を示しており、破線は内燃機関を常温、有風(風速5〜10m程度)の状態で放置した場合の内燃機関の停止後の温度変化を示している。
無風状態では、内燃機関の冷却水の水温、及び潤滑油の油温は、共に時間経過によって比較的緩やかに温度が低下する振る舞いを示すことがわかる。これに対して、有風状態では無風状態とは異なり、冷却水の水温に比べて、潤滑油の油温の方が急速に低下する振る舞いを示している。
図3の左側の領域に示すように、内燃機関の停止時間が比較的短い領域では、内燃機関の温度と外気温度の差が大きい事から、時間経過に伴う温度変化幅が大きい(温度低下が速い)挙動を示している。この温度の変化幅の大きさは、無風状態に比べて、有風状態の方が顕著に現れる。これは風によって熱が急速に持ち去られることに起因している。また、これに加えて、冷却水と潤滑油の比熱の相違によってこのような変化特性をとるものである。したがって、水温と油温の温度差によって風の影響の有無やその度合い(風速)を推定することが可能となる。
同様に、排気通路28に配置されている触媒30についても無風状態に比べて、有風状態では風によって冷却が促進されるが、無風状態、及び有風状態に拘わらずさほど強い関係性が認められず、もっぱら触媒温度は内燃機関の停止されている間の停止時間に強い相関性を有している。これは、触媒の自動車への配置位置によって、風の影響をあまり受けない構造となっているためである。したがって、内燃機関の停止時間を、周辺環境の相違に拘わらず正確に求めることができれば、触媒の初期温度を正確に推定することができる。
一方、図3の右側の領域に示すように、内燃機関の停止時間が比較的長い領域では、水温、油温、触媒温度は、無風状態、及び有風状態のいずれの環境においても、停止時間が短い場合に比べて緩やかに温度低下を続け、外気温度と等しくなるまで温度が低下すると、内燃機関を再始動させるまで、それ以上温度が変化することはない。
このように、内燃機関の停止後の冷却水の水温、潤滑油の油温、触媒温度は内燃機関の停止時間と周辺環境によって異なる変化を示すものである。したがって、内燃機関の停止後の再始動時に、水温と油温、必要に応じて外気温度を検出することで、内燃機関が停止している間の周辺環境(特に風の影響)、及び停止時間を推定して求めることができ、これにより再始動時の触媒の初期温度を正確に推定して算出することが可能となる。以下にその具体的な方法について説明する。
図4は、内燃機関の停止時と再始動時の冷却水の温度比率、内燃機関の停止時間、及び触媒の温度変化量の関係を示している。ここで、触媒の温度変化量とは、内燃機関の停止時の触媒の温度と再始動時の触媒の温度の温度差のことである。図4の右側の領域は冷却水の温度比率と内燃機関の停止時間の関係を示しており、温度比率によって内燃機関の停止時間が求められることを示している。また、図4の左側の領域は内燃機関の停止時間と触媒の温度変化量の関係を示しており、内燃機関の停止時間から触媒の温度変化量が求められることを示している。
尚、温度比率とは、内燃機関の停止時の冷却水の温度と再始動時の冷却水の温度の比率のことである。温度比率εは、例えば、以下の式(1)で定義されている。
ε=(TWstp−Ta)/(TWsrt‐Ta)……(1)
ここで、「TWstp」は停止時の冷却水の温度、「TWsrt」は再始動時の冷却水の温度、「Ta」は外気温度である。尚、本実施形態では温度比率εを使用しているが、内燃機関の停止時の冷却水の温度TWstpと再始動時の冷却水の温度TWsrtの「温度差」(TWstp−TWstp)であっても良く、基本的には停止時の水温と再始動時の水温によって停止時間を求めれば良いものである。
但し、この場合において風の有無やその速度といった周辺環境の影響を反映することが重要である。そして、温度比率εから内燃機関の停止時間Timを求めるには、以下の式(2)で求めることができる。
Tim=Alog(TWstp−Ta)/(TWsrt‐Ta)……(2)
ここで、「A」は「温度比率・時間変換特性」の傾きを示しており、この傾きAは、基本的には有風状態の風速によって決まるものである。
したがって、図4の右側に示す特性からわかるように、無風状態の「温度比率・時間変換特性」の傾きAnに対して、有風状態の「温度比率・時間変換特性」の傾きApの方が小さくなっている。つまり、同じ温度比率εであった場合は、無風状態の停止時間Timnに比べて、有風状態の停止時間Timpの方が短いことがわかる。逆の見方をすれば、内燃機関の停止時間Timが同じである場合、冷却水の水温の温度低下量は有風状態の場合の方が大きいことがわかる。
このように、内燃機関の停止時の冷却水の水温と、再始動時の冷却水の水温から、上述した所定の演算式の演算を行なって停止時間を算出することができる。ただ、この場合、風の影響を考慮しなければならない。本実施形態の場合は、上述した通り再始動時の冷却水の水温と、潤滑油の油温の温度差から風の影響を推定して求めることができる。これについては後述するが、本実施形態の場合は、上述した式(2)の傾きAを時間補正係数として用いて、基本となる「温度比率・時間変換特性」、例えば無風状態の「温度比率・時間変換特性」を補正している。
尚、本実施形態では機関本体の温度を示すパラメータとして冷却水の水温を使用しているが、機関本体の温度を示すパラメータは冷却水の水温以外のものであっても良いものである。例えば、吸気通路に残存している空気の温度、気筒(シリンダブロック)の壁面温度等を使用することができるもので、要は停止時の機関本体の温度と、再始動時の機関本体の温度から基本となる停止時間を求められるものであれば良いものである。
次に、内燃機関の停止時間から触媒の温度変化量を求めるが、触媒の温度変化量は、上述したように無風状態と有風状態ではさほど関係性が強くなく、内燃機関の停止時間に強い関係性を示している。したがって、再始動した時の冷却水の温度比率と風の影響を反映した時間補正係数Aを用いて「温度比率・時間変換特性」から停止時間を求め、この停止時間から触媒の温度変化量を推定することができる。図4の左側に示した「停止時間・触媒温度変化量特性」は予め実験やシミュレーションによって求めて特性マップとして記憶しておくことができ、停止時間Timから触媒の温度変化量ΔTCATを読み取ることができる。
例えば、図4において、時刻T1で内燃機関が再始動されると、無風状態であれば、無風状態での時間補正係数Anを用いた演算から停止時間Timnが求められ、更にこの停止時間Timnから触媒の温度変化量ΔTCATnが求められる。一方、有風状態であれば、有風状態での時間補正係数Apを用いた演算から停止時間Timpが求められ、更にこの停止時間Timpから触媒の温度変化量ΔTCATpが求められる。
このように、触媒の温度変化量ΔTCATは停止時間Timと強い関係性を有しているので、停止時間が短いと判定された有風状態の触媒の温度変化量ΔTCATpは、停止時間が長いと判定された無風状態の触媒の温度変化量ΔTCATnより小さい温度変化量に推定される。この温度変化量は、点火時期の遅角制御等を実行するか否を判断するための判断パラメータとして利用することができる。これについては後述する。
図5には、風の影響を考慮するための時間補正係数Aを求める方法を示している。上述した図3にある通り、再始動時の内燃機関の冷却水の水温と潤滑油の油温は風の影響によって温度変化特性が相違している。したがって、内燃機関の再始動時の冷却水の水温と潤滑油の油温の温度差に基づいて、内燃機関が停止されている間の風の影響の有無や、その速度を推定して求めることができる。
本実施形態では、再始動時の冷却水の水温TWsrtと潤滑油の油温TOsrtの温度差が大きいほど、時間補正係数Aが小さくなるように設定されている。つまり、風速が大きいほど温度差が大きくなるので、時間補正係数Aは、推定される停止時間を短くする方向に設定されている。
図5にある通り、冷却水の水温TWsrtと潤滑油の油温TOsrtの温度差ΔTwoをパラメータとして、時間補正係数Aの特性が補正係数特性マップに記憶されている。したがって、冷却水の水温TWsrtと潤滑油の油温TOsrtの温度差ΔTwonが小さい場合は、無風状態としての時間補正係数Anが選択され、温度差ΔTwonに比べて冷却水の水温と潤滑油の油温の温度差ΔTwopが大きい場合は、無風状態での時間補正係数Anより小さい、有風状態としての時間補正係数Apが選択されるものである。選択された時間補正係数Aは上述した式(2)の傾きAとして反映されて、停止時間Timが求められるようになる。
ここで、図5に示す例は、基本となる停止時間を補正(乗算)する補正係数としているが、基本となる停止時間を補正(減算)する補正時間としても良く、本実施形態では、これらを合せて基本となる停止時間を補正する補正値として捉えることができる。
尚、本実施形態の説明では、単に無風状態と有風状態の例を示しているが、周辺環境の影響に応じて、例えば、外気温度の違いや内燃機関の停止中の風速の違い等により、図4、図5に示すように複数の時間補正係数Aを設定することができるのはいうまでもない。また、本実施形態では、再始動時の冷却水の水温TWsrtと潤滑油の油温TOsrtの温度差に基づいて風の影響の度合いを推定しているが、これに限らず、風の影響を反映する他の媒体の温度を用いても良いことはいうまでもない。
このように、内燃機関が停止している間の風等の周辺環境の影響を考慮しなければ、内燃機関の停止時間を正確に推定できず、結果として正確な内燃機関の停止時間が推定できなければ、触媒初期温度が正確に推定できないことになる。
一方、本実施形態においては、再始動時の冷却水の水温と潤滑油の油温に基づいて時間補正係数Aを求め、停止時と再始動時の冷却水の水温によって求まる基本となる停止時間を時間補正係数Aによって補正することで、正確な停止時間を推定することができるようになる。したがって、内燃機関の停止時間が正確に推定できるので、触媒初期温度を正確に推定することができるようになる。
次に、このような考え方に基づいた触媒の初期温度を推定する制御ブロックの構成を説明する。図6は内燃機関の停止時間を算出するための制御ブロックを示し、図7は停止時間から触媒の初期温度を算出するための制御ブロックを示している。
図6において、上側の制御ブロックは基本停止時間を算出する機能を備える制御ブロックを示し、下側の制御ブロックは、風の影響の有無やその速度を推定し、基本停止時間の補正値(時間補正係数A)を算出する機能を備える制御ブロックを示している。
まず、基本停止時間の算出機能について説明する。制御ブロック50においては、内燃機関の停止時の水温TWstpと、内燃機関の再始動時の水温TWsrt、外気温Taに基づいて、停止時間算出パラメータを求める。停止時間算出パラメータとは、基本停止時間の算出に用いられるパラメータであり、例えば、上述した式(2)の時間補正係数Aを除いた、温度比率εを用いた演算で求めることができる。もちろん、上述したように、停止時と再始動時の冷却水の温度差を停止時間算出パラメータとして使用することもできる。
ここで、式(2)においては、外気温度が低いほど温度が早く低下するため、外気温度も反映されているが、場合によっては、内燃機関の停止時の水温TWstpと再始動時の水温TWsrtで求めるようにしても良いものである。この停止時間算出パラメータは制御ブロック51に出力される。
制御ブロック51においては、例えば、停止時間算出パラメータと基本停止時間の関係を記憶した停止時間特性マップを準備し、制御ブロック50で求めた停止時間算出パラメータから停止時間特性マップを参照(マップを参照することも演算の1つであり、これをマップ演算と表記する)して基本停止時間を算出する。ここで、停止時間算出パラメータと基本停止時間を記憶した停止時間特性マップは、実験データやシミュレーションデータ等に基づいて求めた無風状態での特性マップとして作成され、ECU40のROMに記憶されている。例えば、内燃機関の停止時の水温TWstpと再始動時の水温TWsrtとの温度変化量が大きいほど、停止時間が長くなるように特性マップが設定されている。このように、基本停止時間は、内燃機関の停止時の水温TWstpと再始動時の水温TWsrtから、マップ演算等の所定の演算を行なって算出することができる。
次に内燃機関が停止されている間の周辺環境の影響を反映する時間補正係数Aの算出機能について説明する。制御ブロック52において、内燃機関の再始動時の冷却水の水温TWsrtと、潤滑油の油温TOsrtに基づき、水温TWsrtと油温TOsrtの温度差ΔTwoを算出する。この温度差ΔTwoは制御ブロック53に出力される。
制御ブロック53においては、例えば、図5に示すような温度差ΔTwoと時間補正係数Aの関係を記憶した補正時間特性マップを準備し、制御ブロック52で求めた温度差ΔTwoから補正時間特性マップを参照(マップ演算)して時間補正係数Aを算出する。ここで、温度差ΔTwoと時間補正係数Aの関係を記憶した特性マップは、実験データやシミュレーションデータ等に基づいて求めた特性マップとして作成され、ECU40のROMに記憶されている。
例えば、内燃機関の再始動時の冷却水の水温TWsrtと、潤滑油の油温TOsrtの温度差が大きいほど、時間補正係数Aが小さくなるように特性マップが設定されている。したがって、時間補正係数Aは、内燃機関の再始動時の冷却水の水温TWsrtと潤滑油の油温TOsrtの温度差から、マップ演算等の所定の演算を行なって算出することができる。
このように、本実施形態では、停止時間算出部50〜54は、潤滑油の油温TOsrtと冷却水の水温TWsrtとの温度差ΔTwoが大きいほど、内燃機関の停止時間が短くなるように算出している。
次に、制御ブロック51で求めた基本停止時間と、制御ブロック53で求めた時間補正係数Aは制御ブロック54に入力される。制御ブロック54においては、基本停止時間を時間補正係数Aによって補正(例えば、基本停止時間×時間補正係数Aの算術演算)して内燃機関の停止時間Timを算出する。
このように、図6で説明した制御ブロックによって、内燃機関の再始動時の冷却水の水温と潤滑油の油温を用いることで、周辺環境である風の影響を反映して正確に内燃機関の停止時間Timを算出することが可能となる。ここで、制御ブロック51及び制御ブロック53では、予め設定した特性マップを用いて基本停止時間や時間補正係数Aを算出する方法を示したが、これに限定するものでものではなく、算術演算式を用いて算出しても良いものである。
このように、本実施形態では、排気通路28に設けられた排気ガス浄化用触媒30を備えた内燃機関10を制御する内燃機関制御装置を対象にしている。そして、内燃機関の始動時における自動車の駆動系の潤滑油の油温TOsrtと内燃機関の内部を循環する冷却水の水温TWsrtの温度差に基づいて、内燃機関の停止時間を算出する停止時間算出部50〜54を備えている。
次に、触媒の初期温度の算出機能について説明する。制御ブロック55においては、例えば、停止時間Timと触媒の温度変化量ΔTCATの関係を記憶した温度変化量特性マップを準備し、制御ブロック54で求めた停止時間Timから温度変化量特性マップを参照(マップ演算)して温度変化量ΔTCATを算出する。ここで、停止時間Timと温度変化量ΔTCATの関係を記憶した特性マップは、実験データやシミュレーションデータ等に基づいて求めた特性マップとして作成され、ECU40のROMに記憶されている。例えば、停止時間が短いほど温度変化量は小さく、停止時間が長いほど温度変化量が大きくなる特性に設定されている。このように、温度変化量ΔTCATは、内燃機関の停止時間Timから所定の演算を行なって算出することができる。
尚、制御ブロック55では、予め設定した特性マップを用いて温度変化量ΔTCATを算出する方法を示したが、これに限定するものでものではなく、算術演算式を用いて算出しても良いものである。この算出された温度変化量ΔTCATは制御ブロック56に出力される。
制御ブロック56においては、内燃機関が停止された時の触媒温度TCATstpから制御ブロック55で求められた温度変化量ΔTCATを減算して触媒の初期温度TCATsrtを求める。尚、この場合、外気温度Taの影響を反映することもでき、外気温度に関連した補正量を減算しても良いし、外気温度に関連した補正係数を乗算しても良いものである。
このように、本実施形態では、停止時間算出部50〜54により算出された内燃機関の停止時間に基づいて触媒の初期温度を算出する触媒温度算出部55〜56を備えている。
更に、本実施形態では、停止時間算出部50〜54は、潤滑油の油温TOsrtと冷却水の水温TWsrtの温度差ΔTwoが大きいほど、停止時間が短くなるように補正する補正係数Aによって基本停止時間を補正し、触媒温度算出部55〜56は、停止時間に基づいて、内燃機関の停止時から再始動時までの排気ガス浄化用触媒30の温度変化量ΔTCATを求めると共に、内燃機関の停止時の排気ガス浄化用触媒30の温度から温度変化量ΔTCATを減算して排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出するようにしている。
本実施形態では、触媒の初期温度TCATsrtが正確に推定できるようになるため、触媒を昇温する制御、例えば点火時期の遅角制御を実行するか、或いは遅角制御をしなくて良いかを正確に判断でき、無駄な遅角制御による燃費の悪化を抑制することができるようになる。
上述した実施形態では内燃機関の潤滑油の油温を検出する例を示したが、自動変速機を循環する潤滑油の温度を用いても良いものである。これらの潤滑油は、内燃機関と変速機を含む駆動系に使用される潤滑油として定義され、1つは内燃機関を潤滑する潤滑油であり、1つは自動変速機を潤滑する潤滑油である。
このように、本実施形態では、駆動系の潤滑油の油温としては、内燃機関の内部を循環する潤滑油の油温、或いは自動変速機の内部を循環する潤滑油の油温が使用されている。
図6、及び図7で説明した手法によって、算出された内燃機関の停止時間に基づいて、触媒の初期温度TCATsrtを算出することで触媒初期温度の正確な推定が可能となる。尚、以上に説明した制御ブロックは、ECU40に内蔵されているマイクロコンピュータによる制御によって実現されるものであり、以下にその制御フローを説明する。
図8に本実施形態の制御フローチャートを示している。この制御フローチャートは、内燃機関の再始動から停止するまでのおおまかな制御フローを示している。
≪ステップS10≫
ステップS10においては、内燃機関の再始動後に各種のデータ読み込み処理を実行する。このデータ読み込み処理は、各センサからの入力データの読み込みや、内燃機関の前回の停止時に記録した、冷却水の水温や触媒温度推定値等の読み込み処理を実行する。読み込みが完了するとステップS11に移行する。
≪ステップS11≫
ステップS11は、停止時間を算出するステップS11Aと、停止時間から触媒初期温度を算出するステップS11Bとからなっている。ステップS11においては、ステップS10で読み込んだ内燃機関の再始動時における潤滑油の油温と冷却水の水温に基づいて、触媒の初期温度を算出する。この触媒の初期温度の算出については、上述した制御ブロックに示す方法で求めることができ、この具体的な制御フローは図9において説明する。触媒の初期温度を算出するとステップS12に移行する。
≪ステップS12≫
ステップS12においては、算出した触媒の初期温度TCATsrtを用いて、触媒の活性化状態の判定を行う。触媒初期温度が所定の温度、例えば300℃以上の場合、触媒が活性化していると判断してステップSS13に移行する。一方、触媒初期温度が所定の温度、例えば300℃未満の場合、触媒が非活性状態であると判断してステップS14に移行する。尚、このステップS12の触媒活性化判定においては、例えば10℃程度のヒステリシスを設けて、活性状態と非活性状態を連続的に遷移しないようにしても良いものである。
≪ステップS13≫、≪ステップS14≫
ステップS13においては、触媒が充分に暖められているため、点火時期の遅角制御等の昇温制御を解除して、通常の点火時期の進角制御を実行する。もちろん、これに合せて燃料噴射制御も実行される。一方、ステップS14においては、触媒が充分に暖められていないため、点火時期の遅角制御等の昇温制御を実行する。この場合、点火時期を遅らせることによって、排気ガスの温度を高めることで触媒を昇温するものである。もちろん、この遅角制御に合せて燃料噴射制御も実行される。ステップS13、S14が完了するとステップS15に移行する。
≪ステップS15≫
S15では、ステップS11で算出した触媒の初期温度TCATsrtを初期値として、内燃機関の運転中の触媒の温度推定を実行する。ここでは公知の方法を用いて、排気温度や車速などの情報から、触媒がやりとりする熱量を推定して運転中の触媒温度を算出する。ここで、ステップS15の温度推定は本実施形態と関係が少ないので、これ以上の説明は省略する。触媒の温度推定を実行するとステップS16に移行する。
≪ステップS16≫
ステップS16においては、キースイッチ等の入力状態から内燃機関が停止状態にあるかどうか判定する。内燃機関がいまだ運転中であると判断されると、再びステップS12の触媒活性化判定に戻り、触媒の活性化状態に応じた制御を継続する。一方、内燃機関が停止されたと判定されるとステップS17に移行する。
≪ステップS17≫
ステップS17においては、次の内燃機関の再始動に際して、触媒の初期温度推定に用いられる、内燃機関の停止時の水温TWstp、触媒温度推定値TCATstp、その他の必要なデータをECU40のメモリに記録して処理を終了する。
次に、上述したステップS11における触媒の初期温度を求める制御フローチャートを図9に基づき説明する。この制御フローチャートは、基本的には図6、図7に示す制御ブロックと同様の動作を実行するものである。
≪ステップS20≫
ステップS20においては、再始動後の初回の演算周期かどうかを判定する。初回でないとエンドに抜けて処理を終了する。一方、初回の演算と判定されるとステップ21に移行する。
≪ステップS21≫
ステップS21においては、停止時の冷却水の水温TWstpと、再始動時の冷却水の水温TWsrtと、必要に応じて外気温度Taとから、制御ブロック50、51に示すような方法で、基本停止時間を算出する。基本停止時間が求まるとステップS22に移行する。
≪ステップS22≫
ステップS22においては、再始動時の冷却水の水温TWsrtと、再始動時の潤滑油の油温TOsrtの温度差ΔTwoから、制御ブロック52、53に示すような方法で時間補正係数Aを算出する。時間補正係数Aが求まるとステップS23に移行する。
≪ステップS23≫
ステップS23においては、ステップS21で求めた基本停止時間と、ステップS22で求めた時間補正係数Aとから、制御ブロック54に示すような方法で、補正された停止時間Timを算出する。補正後の停止時間Timが求まるとステップS24に移行する。
≪ステップS24≫
ステップS24においては、停止時間Timから、制御ブロック55に示すような方法で、触媒の温度変化量ΔTCATを求める。触媒の温度変化量ΔTCATが求まるとステップS25に移行する。
≪ステップS25≫
ステップS25においては、先の停止時の触媒の温度TCATstpと、温度変化量ΔTCATと、必要に応じて外気温度Taから、制御ブロック56に示すような方法で、触媒の初期温度TCATsrtを算出する。つまり、内燃機関が停止された時の触媒温度TCATstpからステップS24で求められた温度変化量ΔTCATを減算して、触媒の初期温度TCATsrtを求めるようにしている。触媒の初期温度TCATsrtが求まるとエンドに抜けてこの処理を終了する。
そして、この制御フローで求められた触媒の初期温度TCATsrtは、図8に示すステップS12の判断動作で利用されることになる。
以上の通り、本実施形態によれば、内燃機関の冷却水の水温と潤滑油の油温を利用することにより、風等の周辺環境の影響を反映した触媒の初期温度を正確に推定することができ、結果的に触媒活性化の判断を精度良く行なうことができるようになる。このため、不必要な点火時期の遅角制御を行うことが抑制されるので、内燃機関の燃費性能の悪化を回避できるようになる。
図10は、所定風速の有風状態で、内燃機関を再始動させた時の触媒の実際温度(実測温度値)と、本実施形態になる触媒の推定温度値と、水温のみで推定した従来の触媒の推定温度値の比較結果を示している。実測温度値を実線、本実施形態の推定温度値を破線、従来の推定温度値を一点鎖線で示している。
内燃機関の再始動時に、冷却水の水温のみで触媒の初期温度を推定した従来の方法は実測温度値との差が大きく、この影響により、触媒の活性化判定が実測温度値に対して遅れ、この間に点火時期の遅角制御が実行されるので燃費性能が悪化する課題がある。これに対して、本実施形態による方法は、実測温度値に近い触媒の温度を正確に推定することができ、早期に点火時期の遅角制御が解除されるので燃費性能を向上することが可能となる。
また、本実施形態によれば新たなパラメータを検出するセンサ等を使用せずに、ECUのROMにプログラムとして格納して実行されるものであるため、システムコストを増大させることなく、正確な触媒の温度を求めることが可能となる。
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、停止時間Timから温度変化量ΔTCATを求め、停止時の触媒温度から温度変化量ΔTCATを減算して、再始動時の触媒初期温度を求めているが、本実施形態では、停止時間Timから直接的に触媒初期温度を求める点で異なっている。
図11は、図4と実質的に同じ特性であるが、左側の領域にあるように、停止時間Timと触媒初期温度TCATを関係付けた特性マップを新たに作成したものである。図11の左側に示した「停止時間・触媒温度特性」は、実施例1と同様に、実験データやシミュレーションデータ等によって求めた温度特性マップとして記憶しておくことができ、停止時間Timから触媒の初期温度TCATsrtを直接的に読み取ることができる。
図11において、例えば、時刻T1で内燃機関が再始動されると、無風状態であれば、無風状態での時間補正係数Anを用いた演算から停止時間Timnが求められ、更にこの停止時間Timnから触媒初期温度TCATsrtnが求められる。一方、有風状態であれば、有風状態での時間補正係数Apを用いた演算から停止時間Timpが求められ、更にこの停止時間Timpから触媒初期温度TCATsrtpが求められる。
このように、触媒初期温度TCATsrtは停止時間Timと強い関係性を有しているので、停止時間が短いと判定された有風状態の触媒初期温度TCATsrtpは、停止時間が長いと判定された無風状態の触媒初期温度TCATsrtnより高い触媒初期温度TCATsrtに推定される。この触媒初期温度TCATsrtは、点火時期の遅角制御等を実行するか否を判断するための判断パラメータとして利用することができる。
この第2の実施形態の制御フローは、図8、図9に示す第1の実施形態と実質的に同じ制御フローであるが、図9の制御ステップS24、S25の代わりに、図12に示す、以下のステップS26を実行する。
≪ステップS26≫
制御ステップS23によって停止時間Timが推定されると、ステップS26においては、図11に示すような特性マップによって、無風状態であれば、無風状態での時間補正係数Anを用いたマップ演算から停止時間Timnが求められ、更にこの停止時間Timnからマップ演算によって触媒初期温度TCATsrtnが求められる。一方、有風状態であれば、有風状態での時間補正係数Apを用いたマップ演算から停止時間Timpが求められ、更にこの停止時間Timpからマップ演算によって触媒初期温度TCATsrtpが求められる。触媒初期温度TCATsrtが求まるとエンドに抜けてこの処理を終了する。
このように、本実施形態においては、排気通路28に設けられた排気ガス浄化用触媒30を備えた内燃機関10を制御する内燃機関制御装置を対象としている。そして、内燃機関の停止時の内燃機関の内部を循環する冷却水の水温TWstpと、停止後の内燃機関の再始動時の冷却水の水温TWsrtとから基本停止時間を算出する基本停止時間算出部51と、内燃機関の再始動時の内燃機関の内部を循環する潤滑油の油温TOsrtと冷却水の水温TWsrtとの温度差に基づいて、基本停止時間を補正して停止時間を算出する停止時間算出部53と、停止時間から排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出する触媒温度算出部S26とを備えている。
また、本実施形態においては、停止時間算出部50〜54は、潤滑油の油温TOsrtと冷却水の水温TWsrtの温度差ΔTwoが大きいほど、停止時間が短くなるように補正する補正値によって基本停止時間を補正し、触媒温度算出部S26は、補正された停止時間から排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出するようにしている。
更に、停止時間算出部50〜54は、潤滑油の油温TOsrtと冷却水の水温TWsrtの温度差ΔTwo、及び温度差ΔTwoに対応した補正値を記憶した補正値特性マップを有し、潤滑油の油温TOsrtと冷却水の水温TWsrtの温度差ΔTwoから補正値特性マップを参照して補正値を算出し、触媒温度算出部S26は、停止時間と、停止時間に対応した排気ガス浄化用触媒の初期温度を記憶した温度特性マップを有し、補正された停止時間から温度特性マップを参照して排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出するようにしている。
そして、この制御フローで求められた触媒の初期温度TCATsrtは、図8に示すステップS12の判断動作で利用されることになる。
本実施形態においても、内燃機関の冷却水の水温と潤滑油の油温を利用することにより、風等の周辺環境の影響を反映した触媒の初期温度を正確に推定することができ、結果的に触媒活性化の判断を精度良く行なうことができるようになる。このため、不必要な点火時期の遅角制御を行うことが抑制されるので、内燃機関の燃費性能の悪化を回避できるようになる。
また、本実施形態によれば、第1の実施形態に比べて演算ステップを省略することができ、昇温制御が必要かどうかを早い時期に判断することができるようになる。
次に本発明の第3の実施形態について説明する。第2の実施形態では、停止時間Timから触媒初期温度TCATsrtを求めているが、本実施形態では、停止時間Timに換算しないで直接的に触媒初期温度TCATsrtを求める点で異なっている。
図13は、図11とは異なり、時間補正係数Aと同様の特性を持つ温度補正係数Bを反映した、「温度比率・触媒温度変換特性」を示しており、温度比率εと触媒初期温度TCATsrtを直接的に関係付けた特性マップを新たに作成したものである。尚、温度補正係数Bは、図5の時間補正係数Aを置き換えたものである。「温度比率・触媒温度特性」は実験データやシミュレーションデータ等によって求めた特性マップとして記憶しておくことができ、温度比率εから触媒の触媒初期温度TCATsrtを直接的に読み取ることができる。
図13において、例えば、時刻T1で内燃機関が再始動されると、無風状態であれば、無風状態での温度補正係数Bnを用いた演算から触媒初期温度TCATsrtnが求められる。一方、有風状態であれば、有風状態での温度補正係数Bpを用いた演算から触媒初期温度TCATsrtpが求められる。
この第3の実施形態の制御フローは、図8、図12に示す第2の実施形態と実質的に同じ制御フローであるが、停止時間Timに換算していない点で異なっている。図8の制御ステップ11は、ステップS11Aで停止時間Timを求め、この停止時間Timから、ステップS11Bで触媒初期温度TCATsrtを求めているが、本実施形態での制御ステップS11は、図14にある通り温度比率εから触媒初期温度TCATsrtを直接求めている。
≪ステップS31≫
図14のステップS31においては、停止時の冷却水の水温TWstpと、再始動時の冷却水の水温TWsrtと、必要に応じて外気温度Taとから温度比率εを算出する。温度比率εが求まるとステップS32に移行する。
≪ステップS32≫
ステップS32においては、再始動時の冷却水の水温TWsrtと、再始動時の潤滑油の油温TOsrtの温度差から、温度補正係数Bを算出する。温度補正係数Bが求まるとステップS33に移行する。
≪ステップS33≫
ステップS33においては、ステップS31で求めた温度比率εと、ステップS32で求めた温度補正係数Bとから、触媒初期温度TCATを求める。例えば、時刻T1で内燃機関が再始動されると、無風状態であれば、無風状態での温度補正係数Bnを用いた演算から触媒初期温度TCATnが求められる。一方、有風状態であれば、有風状態での温度補正係数Bpを用いた演算から触媒初期温度TCATpが求められる。
このように、本実施形態においては、排気通路28に設けられた排気ガス浄化用触媒30を備えた内燃機関10を制御する内燃機関制御装置を対象としている。そして、内燃機関10の始動時における自動車の駆動系の潤滑油の油温TOsrtと内燃機関の内部を循環する冷却水の水温TWsrtの温度差ΔTwoに基づいて、排気ガス浄化用触媒の初期温度を推定する触媒温度算出部S31〜S33を備えている。
そして、この制御フローで求められた触媒の初期温度TCATは、図8に示すステップS12の判断動作で利用されることになる。
本実施形態においても、内燃機関の冷却水の水温と潤滑油の油温を利用することにより、風等の周辺環境の影響を反映した触媒の初期温度を正確に推定することができ、結果的に触媒活性化の判断を精度良く行なうことができるようになる。このため、不必要な点火時期の遅角制御を行うことが抑制されるので、内燃機関の燃費性能の悪化を回避できるようになる。
以上の通り、本発明は、内燃機関の始動時における駆動系の潤滑油の油温と冷却水の水温とを用いて所定の演算を行なって触媒の温度を推定する構成とした。これによれば、内燃機関の始動時の触媒初期温度が、触媒の周辺環境を考慮して正確に推定できるため、触媒の活性化状態の判定を正確に行うことができようになる。このため、点火時期の遅角制御に伴う燃費の悪化を抑制でき、燃費性能を向上することができるようになる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
10…内燃機関、11…水温センサ、12…気筒、13…点火コイル、14…点火プラグ、15…クランク角センサ、16…カム角センサ、17…油温センサ、18…吸気管、19…燃料噴射弁、20…スロットル弁、21…スロットルポジションセンサ、22…吸気管圧力センサ、23…エアフローセンサ、24…吸気温センサ、25…燃料タンク、26…燃料ポンプ、27…燃圧制御弁、28…排気管、29…排気センサ、30…排気ガス触媒、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…A/D変換器、35…デジタル入力回路、36…パルス入力回路、37…デジタル出力回路、38…パルス出力回路、39…通信回路、40…ECU。

Claims (11)

  1. 排気通路に設けられた排気ガス浄化用触媒を備えた内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
    前記内燃機関の始動時における自動車の駆動系の潤滑油の油温と前記内燃機関の内部を循環する冷却水の水温の温度差に基づいて、前記内燃機関の停止時間を算出する停止時間算出部を備えた
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関制御装置において、
    前記停止時間算出部により算出された前記内燃機関の前記停止時間に基づいて前記排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出する触媒温度算出部を備えた
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関制御装置において、
    前記停止時間算出部は、前記潤滑油の油温と前記冷却水の水温との温度差が大きいほど、前記内燃機関の前記停止時間が短くなるように算出する
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関制御装置において、
    前記駆動系の前記潤滑油の油温は、前記内燃機関の内部を循環する潤滑油の油温、或いは自動変速機の内部を循環する潤滑油の油温である
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  5. 排気通路に設けられた排気ガス浄化用触媒を備えた内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
    前記内燃機関の始動時における自動車の駆動系の潤滑油の油温と前記内燃機関の内部を循環する冷却水の水温の温度差に基づいて、前記排気ガス浄化用触媒の初期温度を推定する触媒温度算出部を備えた
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関制御装置において、
    前記駆動系の前記潤滑油の油温は、前記内燃機関の内部を循環する潤滑油の油温、或いは自動変速機の内部を循環する潤滑油の油温である
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  7. 排気通路に設けられた排気ガス浄化用触媒を備えた内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
    前記内燃機関の停止時の前記内燃機関の内部を循環する冷却水の水温と、停止後の前記内燃機関の再始動時の前記冷却水の水温とから基本停止時間を算出する基本停止時間算出部と、
    前記内燃機関の再始動時の前記内燃機関の内部を循環する潤滑油の油温と前記冷却水の水温との温度差に基づいて、前記基本停止時間を補正して停止時間を算出する停止時間算出部と、
    補正された前記停止時間から前記排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出する触媒温度算出部と
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  8. 請求項7に記載の内燃機関制御装置において、
    前記停止時間算出部は、
    前記潤滑油の油温と前記冷却水の水温の温度差が大きいほど、前記停止時間が短くなるように補正する補正値によって前記基本停止時間を補正する
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  9. 請求項8に記載の内燃機関制御装置において、
    前記停止時間算出部は、
    前記潤滑油の油温と前記冷却水の水温の前記温度差、及び前記温度差に対応した前記補正値を記憶した補正値特性マップを有し、前記潤滑油の油温と前記冷却水の水温の前記温度差から前記補正値特性マップを参照して前記補正値を算出し、
    前記触媒温度算出部は、
    補正された前記停止時間と、前記停止時間に対応した前記排気ガス浄化用触媒の初期温度を記憶した温度特性マップを有し、補正された前記停止時間から前記温度特性マップを参照して前記排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出する
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  10. 請求項9に記載の内燃機関制御装置において、
    前記補正値特性マップに記憶された前記補正値は、前記基本停止時間を補正する補正係数である
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  11. 請求項7に記載の内燃機関制御装置において、
    前記停止時間算出部は、
    前記潤滑油の油温と前記冷却水の水温の温度差が大きいほど、前記停止時間が短くなるように補正する補正値によって前記基本停止時間を補正し、
    前記触媒温度算出部は、
    補正された前記停止時間に基づいて、前記内燃機関の停止時から再始動時までの前記排気ガス浄化用触媒の温度変化量を求めると共に、前記内燃機関の停止時の前記排気ガス浄化用触媒の温度から前記温度変化量を減算して前記排気ガス浄化用触媒の初期温度を算出する
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
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