JP2019157459A - ガス生産システム、及びガス生産方法 - Google Patents
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Abstract
Description
天然ガスハイドレートは、メタン分子を水分子が籠状に取り囲んだ結晶構造を有する包接化合物である。天然ガスハイドレートは、低温、高圧の環境下で、固体の状態で存在し、このような環境を満たす、深海の海底の表層や海底面下の地層中に安定して存在している。
減圧法では、具体的に、天然ガスを海底から海上に向けて運ぶ管(ライザー管)を用いて、管内の海水を排出することで液面を下げ、ライザー管内の海水の圧力を、天然ガスハイドレートを含んだ海底内の地層(ハイドレート層)に作用させ、分解させる。天然ガスハイドレートが分解して生成した天然ガスは、液体と混ざり合った混相流(気液混合物)としてライザー管内の海水に取り込まれる。混相流を取り込んだ海水は、ライザー管内で、天然ガスと海水とに分離され(気液分離され)、それぞれ海上に排出される。
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えたライザー管と、
前記ライザー管内に配置され、前記先端部から前記ライザー管内を上昇する前記液体を通過させつつ前記気泡の少なくとも一部と接触することで、前記気泡の少なくとも一部のサイズを調整する調整部材と、
サイズが調整された前記気泡に遠心力を作用させ、当該気泡の少なくとも一部を前記液体から分離する分離装置と、を備え、
分離された気泡中の気体を、生成するガスとして取り出すことを特徴とする。
前記ポンプによる前記液体の排出量を調整する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記液体の流動様式の変化に応じて、前記液体の排出量を調整することが好ましい。
前記排出管の前記先端部側の端は、前記孔よりも下方に位置していることが好ましい。
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込み、前記気泡からガスを取り出すステップと、
前記先端部から前記ライザー管内を上昇する前記液体に調整部材を通過させつつ前記調整部材を前記気泡の少なくとも一部と接触させることで、前記気泡の少なくとも一部のサイズを調整するステップと、
サイズが調整された前記気泡に遠心力を作用させ、当該気泡の少なくとも一部を前記液体から分離するステップと、を備えることを特徴とする。
前記ポンプによる前記液体の排出量を調整するステップと、を備え、
前記排出量を調整するステップでは、前記液体の流動様式の変化に応じて、前記液体の排出量を調整することが好ましい。
前記排出管の前記先端部側の端は、前記孔よりも下方に位置していることが好ましい。
また、本明細書でいうガス生産システムは、地中のガスハイドレートを減圧して分解することによりガスを生成するものであり、海底表面にあるガスハイドレートからガスを生成するシステムと異なる。
一実施形態のガス生産システム(以下、システムともいう)は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムである。システムは、ライザー管と、調整部材と、分離装置と、を主に備える。
ライザー管は、地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管である。ライザー管は、先端部に設けられ、管の外部に開口した孔を備える。この外部に開口した孔は、ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を管内の液体に取り込むように設けられている。ガスハイドレートは、ライザー管の先端部から上方に延びる管内の液体によって生じる圧力を用いて管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより分解される。
調整部材は、ライザー管内に配置され、先端部からライザー管内を上昇する液体を通過させつつ気泡の少なくとも一部と接触することで、気泡の少なくとも一部のサイズを調整する。
分離装置は、サイズが調整された気泡に遠心力を作用させ、当該気泡の少なくとも一部を液体から分離する。
システムは、分離された気泡中の気体を、生成するガスとして取り出す。
図1は、一実施形態のシステム1を概略的に示す図である。図2は、ライザー管10の先端部10a付近の内部構成を説明する図である。以下、海底の地中内の天然ガスハイドレートを分解して天然ガスを生産するシステム1を例に説明する。
システム1は、ライザー管10と、調整部材27と、気液分離装置20と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13と、制御装置40と、を主に備える。
調整部材27と、気液分離装置20と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13の一部とが、管本体11内に設けられている。
この他に、管本体11内には、ヒータ26が設けられている。
スクリーン19は、天然ガスハイドレートの分解によって生成した気泡及び水、さらには海水を取り込み、砂や泥を分離除去する部材である。スクリーン19は、気泡、水、海水を通過させるが、砂や泥を通過させない機能を有している。スクリーン19は、例えば、多数の孔を有するシート状又は板状の構造体であって、互いに孔の大きさや形態が異なる複数の構造体から構成される。複数の構造体の組み合わせの具体例として、ジョンソンスクリーン、メッシュ、及びグレーチングが挙げられる。ジョンソンスクリーンは、ジョンソンスクリーン社製の金網状の構造体として周知である。グレーチングは鋼材を格子状に組んだ部材である。ジョンソンスクリーン、メッシュ、グレーチングは、揚収管部分18の側からハイドレート層5の側に向かって、この順に、揚収管部分18に重ねて配置される。
坑底圧とは、後述する液面Sの下方の液体によって、ライザー管10の下端が受ける水頭圧によって定まる圧力である。ライザー管10の下端は、坑井7の穴底(坑底)と略同じ高さに位置している。ここで、先端部10aは、ライザー管10のうち孔18aの設けられる部分を含む。
ライザー管10内の液体には、天然ガスハイドレートから分解して生成された気液混合物が取り込まれるほか、孔18aを通って進入した水や海水が取り込まれる。気液混合物は気泡を含むので、ライザー管10内の液体には気泡が混在している。水や海水は、ハイドレート層5に含まれる水や海水、ハイドレート層5と接する他の地層に含まれる水や海水を起源としている。
このように、気液分離装置20は、遠心分離方式を採用しており、従来一般に採用されている重力分離方式を採用していない。重力分離方式とは、液体の流路が上方に向けた上昇路と、液体から気泡の一部を排除するために、上昇路に接続され液体の流路を上方から下方に変更させる下降路と、を用いて、気体と液体にかかる重力(比重)を利用して分離する方式をいう。
ガス生成ライン12の先端部には、ガスの流量を調節する弁が設けられている。システム1の運転中、弁は開放されている。また、ガス生成ライン12の先端は、例えば、掘削船3あるいは他の船舶に備え付けられた貯蔵タンク(図示せず)に接続されている。貯蔵タンクに貯蔵された天然ガスは、適宜、液化され、掘削船3あるいは他の船舶で海上を輸送される。
液体排出ライン13は、図1に示す例において、気液分離装置20から空間15aまで延びる液体輸送管14と、管本体11から分岐して、空間15aから掘削船3まで延びる管16と、を有している。空間15aは、隔壁17a,17bで仕切られた空間である。
排出された液体は、回収され、例えば貯水される。
調整部材27は、上述したように、先端部10aからライザー管10内を上昇する液体を通過させつつ、気泡の少なくとも一部と接触することで、気泡の少なくとも一部のサイズを調整する部材である。
調整部材27の具体例として、メッシュが挙げられる。調整部材27としてのメッシュは、例えば、網目状に織られたシート状の金網であり、メッシュの網目の大きさは、1.0mmである。
図2に示す例において、調整部材27は、液体輸送管14の下方に、液体の流れ方向と直交する方向に延在するようライザー管10内に配置されている。このような配置によって、液体輸送管14内に流れ込む液体は、調整部材27を通過する。なお、図2に示す例では、液体は、細い矢印に沿って、ライザー管10内を上昇し、ヒータ26の周りを通って、調整部材27を通過する。図2において、太い矢印は気泡の流れを示す。
なお、シート状の調整部材27の他の具体例として、エキスパンド、パンチングなどの、多数の孔を有するシート状物が挙げられる。
図3に示す例のコイルは、螺旋軸(図3に示す一点鎖線)が延びる方向が、液体の流れ方向と一致するように、ライザー管10内に配置される。このコイルは、螺旋軸が延びる方向に沿って延びる回転軸(図示せず)を有しており、ライザー管10内を上昇する液体の水流を受けると、コイルは、螺旋軸を回転中心として回転する。このようなコイルを液体が通過するとき、液体に含まれる気泡のうち一部の気泡に、コイルが衝突して、大きな気泡は複数の小さい気泡に分断され、サイズが調整される。
そして、気泡のサイズを調整し、遠心分離方式を用いた分離がしやすくなることで、大きな気泡を含んだ形態の液体の流れが発生した場合であっても、ガスを効率よく回収することができる。また、微細気泡は遠心力を作用させて集めることが容易であるため、微細気泡を多く含んだ形態の液体の流れが発生した場合も、気泡内のガスは効率よく回収される。したがって、システム1によれば、液体の流動様式に影響を受けることなく、ガスを効率よく回収でき、ガスの生産量の低減を抑えることができる。
・気泡流の形態は、気泡が微細気泡のみで構成され、連続した液体中に微細気泡が分散した流れの形態である。
・スラグ流の形態は、流路断面一杯に広がった大きな気泡(気体スラグ)と微細気泡を含む液体部分(液体スラグ)と、が流路に沿って交互に流れる形態である。
・チャーン流の形態は、気体スラグが長くなり、その界面が脈動している流れの形態であり、液体スラグ中に多数の気泡を含み、気体スラグと液体スラグの境界が不明瞭な形態である。
・環状流の形態は、管壁に液体の膜が存在し、流路断面中心部には多数の気体内に液滴が点在した流れの形態である。
このうち、例えば、スラグ流やチャーン流が発生した場合、大きな気泡が多く存在しているため、制御装置40は、ポンプ23の回転数を上げる制御を行う。これによって、液体の流速が大きくなり、気泡が調整部材27と接触したときに受ける力(剪断力)が大きくなる。このため、気泡のサイズをより小さく調整することができる。
なお、制御装置40は、大きな気泡が液体中に多く含まれていることの判定を、例えば、液体排出ライン13から排出される液体の量を用いて行うことができる。大きな気泡が液体中に多く含まれていると、液体の排出量は小さくなるためである。
地中内に埋設された先端部10aを有し、先端部10aから上方に延びるライザー管10内の液体によってライザー管10内に生じる先端部10aにおける圧力を用いてライザー管10の外部にある天然ガスハイドレートに作用する圧力を低減させる。
次に、天然ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって天然ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、ライザー管10の外部に開口した孔18aからライザー管10内の液体に取り込み、気泡からガスを取り出す。
先端部10aからライザー管10内を上昇する液体を通過させつつ気泡と接触することで、気泡の少なくとも一部のサイズを調整する。
サイズが調整された気泡の少なくとも一部を液体から分離する。
さらに、ポンプ23を用いて、気泡の少なくとも一部が分離された液体をライザー管10内から排出する。
ポンプ23による液体の排出量を調整する。
排出量を調整するとき、液体の流動様式の変化に応じて、液体の排出量を調整する。これによって、液体に含まれる気泡が調整部材27と接触したときに受ける力の大きさを調整できる。
さらに、ライザー管10内に配置された液体輸送管14(排出管)を用いて、分離された液体を引き上げて排出する。ここで、液体輸送管14の先端部10a側の端は、孔18aよりも下方に位置している。大きな気泡は、浮上する力が大きいため、孔18aを通ってライザー管10内の液体に取り込まれた後、孔18aより下方には流れ難い。このため、液体輸送管14の下端が、孔18aより下方に位置していることで、大きな気泡が液体輸送管14内に流れ込むことを抑制でき、液体の流動様式に影響を受けることなく、天然ガスの回収をさらに効率よく行うことができる。
2 海底面
3 掘削船
4 上層
5 ハイドレート層
7 坑井
10 ライザー管
10a 先端部
11 管本体
12 ガス生成ライン
13 液体排出ライン
14 液体輸送管
15a 空間
16 管
17a,17b,17c 隔壁
18 揚収管部分
20 気液分離装置
22 遠心分離器
23 ポンプ
24 モータ
25 スクリュー
26 ヒータ
27 調整部材
31 圧力計
40 制御装置
Claims (8)
- 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムであって、
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えたライザー管と、
前記ライザー管内に配置され、前記先端部から前記ライザー管内を上昇する前記液体を通過させつつ前記気泡の少なくとも一部と接触することで、前記気泡の少なくとも一部のサイズを調整する調整部材と、
サイズが調整された前記気泡に遠心力を作用させ、当該気泡の少なくとも一部を前記液体から分離する分離装置と、を備え、
分離された気泡中の気体を、生成するガスとして取り出すことを特徴とするガス生産システム。 - 前記調整部材は、前記液体の流れ方向に沿った、前記孔と前記分離装置との間に、前記分離装置に接近して配置されている、請求項1に記載のガス生産システム。
- さらに、前記気泡の少なくとも一部が分離された前記液体を前記ライザー管内から排出するポンプと、
前記ポンプによる前記液体の排出量を調整する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記液体の流動様式の変化に応じて、前記液体の排出量を調整する、請求項1又は2に記載のガス生産システム。 - さらに、前記ライザー管内に配置され、分離された前記液体を引き上げて排出する排出管を備え、
前記排出管の前記先端部側の端は、前記孔よりも下方に位置している、請求項1から3のいずれか1項に記載のガス生産システム。 - 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産する方法であって、
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込み、前記気泡からガスを取り出すステップと、
前記先端部から前記ライザー管内を上昇する前記液体に調整部材を通過させつつ前記調整部材を前記気泡の少なくとも一部と接触させることで、前記気泡の少なくとも一部のサイズを調整するステップと、
サイズが調整された前記気泡に遠心力を作用させ、当該気泡の少なくとも一部を前記液体から分離するステップと、を備えることを特徴とするガス生産方法。 - 前記サイズを調整するステップでは、前記液体の流れ方向に沿った、前記孔と前記分離装置との間において、前記孔と比べ前記分離装置に接近した位置で前記調整を行う、請求項5に記載のガス生産方法。
- さらに、ポンプを用いて、前記気泡の少なくとも一部が分離された前記液体を前記ライザー管内から排出するステップと、
前記ポンプによる前記液体の排出量を調整するステップと、を備え、
前記排出量を調整するステップでは、前記液体の流動様式の変化に応じて、前記液体の排出量を調整する、請求項5又は6に記載のガス生産方法。 - さらに、前記ライザー管内に配置された排出管を用いて、分離された前記液体を引き上げて排出するステップを備え、
前記排出管の前記先端部側の端は、前記孔よりも下方に位置している、請求項5から7のいずれか1項に記載のガス生産方法。
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