JP2019157084A - ポリプロピレン組成物および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は透明性と柔軟性のバランスに優れたポリプロピレン組成物を提供する。【解決手段】成分(1)として、2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー、および成分(2)として、65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー、を含むポリプロピレン組成物であって、以下の要件:1)成分(1)と成分(2)の重量比が65〜77:35〜23である、2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.8〜1.4dl/gである、3)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である、4)結晶核剤を含まない、を満たす、ポリプロピレン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン組成物および成形品、より詳しくは射出成形用ポリプロピレン組成物および射出成形品に関する。
ポリプロピレンは、優れた物理的特性を有しかつ衛生面にも優れているため食品容器として有用である。ポリプロピレン容器には内容物を確認できるように透明性が求められている。また、食品容器にはヒンジ部が設けられることが多く、優れたヒンジ特性を発現すべく柔軟性が求められる。すなわちポリプロピレンには透明性と柔軟性とのバランスが求められている。透明性と柔軟性等の改善を目的として、特許文献1にはエチレン単位が2.0〜4.0質量%のエチレン・プロピレン共重合体の存在下、エチレン単位が74〜86質量%のエチレン・1−ブテン共重合体を重合させた組成物であって、エチレン−1−ブテン共重合体の含有量が10〜20質量%である組成物が提案されている。また特許文献2には2.0〜5.0%のエチレン由来単位を有するポリプロピレンコポリマーと、74〜87%のエチレン由来単位を有するエチレンとプロピレンのコポリマーを含むポリプロピレン組成物が開示されている。
特開2012−126828号公報 特表2013−525581号公報
しかしながら、前記特許文献に記載の組成物は、透明性と柔軟性のバランスが未だ十分ではなかった。また、原料として1−ブテンを使用する場合は、プロピレンに比較して反応性が低い等、生産上の制約があった。かかる事情を鑑み、本発明は透明性と柔軟性のバランスに優れたポリプロピレン組成物を提供することを課題とする。
発明者らは、プロピレン−エチレンコポリマー(成分(1))およびエチレン−プロピレンコポリマー(成分(2))中のエチレン由来単位の量、および成分(1)と(2)の比率等を最適化することで前記課題を解決できることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]成分(1)として、2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー、および
成分(2)として、65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー、
を含むポリプロピレン組成物であって、
以下の要件:
1)成分(1)と成分(2)の重量比が65〜77:35〜23である
2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.8〜1.4dl/gである
3)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である
4)結晶核剤を含まない
を満たす、ポリプロピレン組成物。
[2]成分(1)および(2)が、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに
(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて
(c)外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて、プロピレンとエチレンとを重合させて得たコポリマーである、[1]に記載の組成物。
[3]前記[1]または[2]に記載のポリプロピレン組成物の射出成形品。
本発明により、透明性と柔軟性のバランスに優れたポリプロピレン組成物を提供できる。
発明の実施するための形態
以下、本発明を詳細に説明する。「X〜Y」はその端値であるXおよびYを含む。
1.ポリプロピレン組成物
本発明のポリプロピレンは、以下の成分(1)および成分(2)を含む。
成分(1):2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー
成分(2):65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー
(1)成分(1)
成分(1)はプロピレン−エチレンコポリマーであり、2〜4重量%のエチレン由来単位を含む。2重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマーとは、エチレン由来単位とプロピレン由来単位との重量比が2:98であるコポリマーである。他のコポリマーについても同様である。当該量の上限値は4重量%以下であるが、3.8重量%以下が好ましい。当該量が上限値を超えると透明性が低下するのみならず、重合プラント設備内で重合体の粒子同士の付着や装置内壁への付着が生じやすくなって製造が困難になり、生産性が低下する。エチレン由来単位の下限値は2重量%以上であるが、2.1重量%以上が好ましい。当該量が下限値以下であると透明性と柔軟性が低下する。成分(1)はランダムコポリマーであることが好ましい。
(2)成分(2)
成分(2)はエチレン−プロピレンコポリマーであり、65〜87重量%のエチレン由来単位を含む。エチレン由来単位の含有量の上限値は87重量%以下であるが、85重量%以下が好ましく、84重量%以下がより好ましい。当該量が上限値を超えると耐寒衝撃性と柔軟性が低下する。エチレン由来単位の下限値は65重量%以上であるが、68重量%以上が好ましく、69重量%以上がより好ましい。当該量が下限値未満であると透明性が低下する。
(3)組成比
成分(1)と成分(2)の組成比(重量比)は65〜77:35〜23であるが、66〜76:34〜24が好ましい。成分(1)の量が上限値を超えると柔軟性が低下する。成分(1)の量が下限値未満であると、透明性と生産性が低下する。成分(1)と(2)をあわせて便宜上「樹脂成分」ともいう。
(4)特性
1)XSIV
本発明のポリプロピレン組成物のキシレン可溶分(XS)の極限粘度(XSIV)は、当該組成物における結晶性を持たない成分の分子量の指標である。XSIVは25℃のキ
シレンに可溶な成分を得て、当該成分の極限粘度を定法にて測定することで求められる。本発明においてXSIVは0.8〜1.4dl/gである。XSIVが上限値を超えると透明性が低下し、下限値未満であるとポリプロピレン組成物の製造が困難となる。この観点から、前記極限粘度は好ましくは0.8〜1.3dl/gである。
2)MFR
本発明のポリプロピレン組成物のMFR(メルトマスフローレイト)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定され、その値は15〜40g/10分である。MFRが上限値を超えると耐寒衝撃性が低下し、下限値未満であると成形が困難となる。この観点から、MFRは好ましくは20〜40g/10分であり、より好ましくは21〜38g/10分である。
3)構造
本発明のポリプロピレン組成物は、成分(1)の中に成分(2)が分散した相構造を有することが好ましい。
(5)結晶核剤
本発明のポリプロピレン組成物は結晶核剤を含まずとも高い透明性を発現するので、本発明のポリプロピレン組成物は結晶核剤を含まない。結晶核剤とは樹脂中の結晶成分のサイズを小さく制御して特に透明性を高めるために用いられる添加剤である。結晶核剤の例としては、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩系核剤、キシリトール系核剤、およびロジン系核剤等の有機系核剤等が挙げられる。また、一般に結晶核剤はポリプロピレン組成物の柔軟性を低下させるが、本発明のポリプロピレンは結晶核剤を含まないので優れた柔軟性を有する。
(6)他の成分
本発明のポリプロピレン組成物には、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展、他の有機および無機顔料等の当該分野で通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。また本発明のポリプロピレン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記樹脂成分以外の樹脂またはエラストマーを1種以上含有してもよい。
2.製造方法
前記樹脂成分は任意の方法で製造してよいが、成分(1)および成分(2)の原料モノマーを、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および内部電子供与体を含有する固体触媒、(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合する工程を含む方法で得ることが好ましい。内部電子供与体化合物としては、スクシネート系化合物、フタレート系化合物、ジエーテル系化合物等が挙げられ、これらのいずれをも用いることができる。しかしながら、得られる組成物の流動性、透明性、柔軟性のバランスの観点から、スクシネート系化合物が好ましい。
(1)固体触媒(成分(a))
成分(a)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。
成分(a)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4−gで表される4価のチタン化合物が好適である。式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0
≦g≦4である。チタン化合物として、より具体的にはTiCl、TiBr、TiIなどのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(OisoC)Brなどのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−Cなどのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタンである。
成分(a)の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、マグネシウム−炭素結合やマグネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状であっても固体状であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
成分(a)の調製に用いられる電子供与体化合物は、一般には「内部電子供与体化合物」と称される。本発明においては、広い分子量分布を与える内部電子供与体化合物を用いることが好ましい。一般に、分子量分布を広げることにより射出成形性(流動性とスウェル)の向上が期待される。成分(1)および成分(2)の分子量分布の値は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて測定されるMw/Mnの指標において6〜20の範囲が好ましい。当該Mw/Mnは7〜20がより好ましく、8〜20がさらに好ましく、9〜20が最も好ましい。ポリマーブレンドや多段階で重合を行うことにより分子量分布を大きくできることが知られているが、広い分子量分布を与える内部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合された組成物は、別の触媒を用いて重合されたポリマーをパウダーやペレット性状でブレンドして得た同じ分子量分布を有する組成物、さらに多段重合して同じ分子量分布を有する組成物に比べて優れた耐衝撃性や射出成形性等を示す。これは、当該触媒を用いて製造した組成物は高分子量成分と低分子量成分が分子レベルに近い状態で一体となっているが、後者の組成物は分子レベルに近い状態では混ざり合ってはおらず見かけ上同一の分子量分布を示しているにすぎないためと考えられる。以下、好ましい内部電子供与体化合物について説明する。
本発明において好ましい内部電子供与体化合物はスクシネート系化合物である。本発明でスクシネート系化合物とはコハク酸のジエステルまたは置換コハク酸のジエステルをいう。以下、スクシネート系化合物について詳しく説明する。本発明で好ましく使用される
スクシネート系化合物は、以下の式(I)で表される。
Figure 2019157084
式中、基RおよびRは、互いに同一かまたは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であり;基R〜Rは、互いに同一かまたは異なり、水素、或いは場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であり、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合している基R〜Rは一緒に結合して環を形成してもよい。
およびRは、好ましくは、C〜Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基である。RおよびRが第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なRおよびR基の例は、C〜Cのアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、およびネオペンチルが特に好ましい。
式(I)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基であるものである。このような単置換スクシネート化合物の好ましい具体例は、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−エトキシカルボジイソブチルフェニルスクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイ
ソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
式(I)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。具体的には、RおよびRが水素とは異なる基であり、RおよびRが水素原子である化合物である。このような二置換スクシネート化合物の好ましい具体例は、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2、2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートである。
さらに、水素とは異なる少なくとも2つの基が異なる炭素原子に結合している化合物も
特に好ましい。具体的にはRおよびRが水素と異なる基である化合物である。この場合、RおよびRは水素原子であってもよいし水素とは異なる基であってもよいが、いずれか一方が水素原子であること(三置換スクシネート)が好ましい。このような化合物の好ましい具体例は、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シク
ロペンチルスクシネートである。
式(I)の化合物のうち、基R〜Rのうちのいくつかが一緒に結合して環を形成している化合物も好ましく用いることができる。このような化合物として特表2002−542347に挙げられている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5一ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2一メチルシクロへキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンを挙げることができる。他には、例えば国際公開第2009/069483に開示されているような3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル等の環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。他の環状スクシネート化合物の例としては、国際公開2009/057747号に開示されている化合物も好ましい。
式(I)の化合物のうち、基R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は窒素およびリン原子を含む第15族原子あるいは酸素およびイオウ原子を含む第16族原子であることが好ましい。基R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005−306910号に開示される化合物が挙げられる。一方、基R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004−131537号に開示される化合物が挙げられる。
この他に、スクシネート系化合物と同等の分子量分布を与える内部電子供与体化合物を用いてもよい。そのような化合物としては、例えば特開2013−28704号公報に記載のジフェニルジカルボン酸エステル、特開2014−201602号公報に記載のシクロヘキセンジカルボン酸エステル、特開2013−28705号公報に記載のジシクロアルキルジカルボン酸エステル、特許第4959920号に記載のジオールジベンゾエート、国際公開第2010/078494に記載の1,2−フェニレンジベンゾエートが挙げられる。
(2)有機アルミニウム化合物(成分(b))
成分(b)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのようなアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
(3)電子供与体化合物(成分(c))
成分(c)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体化合物」と称される。当該触媒は一態様において成分(c)を含み、別態様において成分(c)を含まない。このような化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として以下が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル−ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン。
中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルt−ブトキシジメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、i−ブチルセク−ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2−イル)ジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、i−ブチルi−プロピルジメトキシシラン、シクロペンチルt−ブトキシジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルi−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン
、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
(4)重合
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予重合を行うことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。次いで、予重合した触媒(予重合触媒)を重合反応系内に導入して、原料モノマーの本重合を行う。本重合は、成分(1)の原料モノマーおよび成分(2)の原料モノマーを、2つ以上の反応器を用いて重合することが好ましい。重合は、液相中、気相中または液−気相中で実施してよい。重合温度は常温〜150℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3〜6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5〜3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
また、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いてもよい。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接続されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法は、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体または液体混合物を下降管中に導入する。上記の重合方法として、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
3.用途
本発明のポリプロピレン組成物は射出成形用樹脂組成物として最適である。本発明のポリプロピレン組成物は流動性に優れるので、射出成形によって厚さ0.5〜3mmの成形体とすることができる。ポリプロピレン組成物は以下の物性を備えることが好ましい。
1)ヘーズ:JIS K7136
厚さ1mmの平板で測定した場合に、32%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。下限値は限定されないが、通常は1%以上程度である。ヘーズの値が小さい程、透明性に優れる。
2)柔軟性
本発明のポリプロピレン組成物は、JIS K6921−2に従って測定した曲げ弾性率が800MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率の下限値は限定されないが、500MPa以上であることが好ましく、600MPa以上であることがより好ましい。
本発明のポリプロピレン組成物は前記物性を有するので、包装用途に有用であり、特に食品容器およびその蓋として有用である。本発明のポリプロピレン組成物を射出成形して、直接、製品とすることもできるが、押出成形または射出成形してシート等の薄肉成形体とし、さらにこれを真空成形法や圧空成形法等の二次加工に供することによって製品とす
ることもできる。しかしながら本発明のポリプロピレン組成物の用途は上記に限定されず、一般雑貨用途等にも有用である。
[実施例1、2および比較例1]
チーグラー・ナッタ触媒を国際公開第2009/050045号の実施例1に従って製造した。ただし最初の温度上昇時に、温度を100℃ではなく110℃に上昇させた。このようにして製造した触媒成分と、アルミニウムトリエチル(TEAL)および外部電子供与体化合物としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)とを、12℃で24分間接触させた。TEALと固体触媒成分との重量比は20であり、TEALとDCPMSとの重量比は10であった。第1の重合反応器に取り入れる前に、このようにして得られた触媒システムを液体プロピレン中に懸濁させたまま20℃で約5分間維持することによって予重合に供した。
得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、液相状態のプロピレンにエチレンをフィードして成分(1)であるプロピレン−エチレンランダムコポリマーを製造し、二段目の気相重合反応器でエチレンとプロピレンをフィードして成分(2)であるエチレン−プロピレンコポリマーを製造した。重合中は、一段目と二段目の反応器の重合温度をそれぞれ75℃と80℃にし、かつ二つの反応器の圧力を調整した。また、水素を分子量調整剤として用い、成分(1)と成分(2)が所定の比率になるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。成分(1)および成分(2)に対する重合条件およびそれから得られた重合体組成物の特性データを表1に示す。
得られた樹脂成分100重量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.2重量部、中和剤として淡南化学株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した。ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダ温度230℃で当該混合物を押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のポリプロピレン組成物を得た。後述する方法により当該組成物を評価した。結果を同じく表1に示す。
[実施例3〜7、および比較例2〜11]
チーグラー・ナッタ触媒成分をヨーロッパ特許第728769号の実施例5の48〜55行に従って製造した。当該触媒を用いて、一段目の反応器の水素濃度とエチレン濃度、二段目の反応器のH2/C2とC2/(C2+C3)(ただし比較例3では、二段目の反応器においてプロピレンの代わりに1−ブテンをフィードしてエチレン−1−ブテンコポリマーを重合したため、C2/(C2+C4))を表1に示した値にした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
比較例2では、重合体製造中に設備内で重合体粒子の互着や設備内壁への付着が生じ易く、射出成形評価に必要な組成物を得ることが困難であった。比較例3では、二段目の反応器においてプロピレンを使用する場合に比較して生産性が低かった。比較例5では、成分(2)の量が製造限界に近く、安定して重合体を得ることが困難であった。比較例8では、XSIVの値が製造限界に近く、成分(2)の量も多いため、重合体製造中に設備内で重合体粒子の互着や設備内壁への付着が生じ易く、射出成形評価に必要な組成物を得ることが困難であった。
[比較例12]
特許文献2の実施例1に記載された方法に従って、比較用ポリプロピレン組成物を製造し評価した。
[測定条件]
1)MFR
JIS K7210−1に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
2)成分(1)中のエチレン由来単位量および成分(2)中のエチレン由来単位量
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
3)ポリプロピレン組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)
以下の方法によってポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレンのサンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
4)ヘーズ
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α100C)を用
い、溶融樹脂温度を250℃、金型温度40℃、平均射出速度35mm/秒、保圧時間5秒、全サイクル時間43秒の条件にて、ポリプロピレン組成物から100mm×100mm×0.5mmの平板を作製した。この試験片を用い、JIS K7136に従い、ヘーズ測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘーズを測定した。
5)面衝撃強度
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α100C)を用
い、溶融樹脂温度を230℃、金型温度40℃、平均射出速度35mm/秒、保圧時間10秒、全サイクル時間45秒の条件にて、ポリプロピレン組成物から130mm×130mm×2.0mmの平板を作製した。株式会社島津製作所製ハイドロショットHITS−P10を用い、−20℃に調整した槽内で、内径40mmφの穴の開いた支持台に測定用試験片を置き、内径76mmφの試料押えを用いて固定した後、半球状の打撃面を持つ直径12.7mmφのストライカーで、1m/秒の衝撃速度で試験片を打撃し、JIS K7211−2に従いパンクチャーエネルギー(J)を求めた。4個の測定用試験片各々のパンクチャーエネルギーの平均値を面衝撃強度とし、耐寒衝撃性の指標とした。
6)耐白化性
面衝撃強度の試験を0℃で実施し、試験後のサンプルの白化状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:白化無し
X:白化有り
7)曲げ弾性率
JIS K6921−2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC RO
BOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロ
ピレン組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工して測定用試験片(タイプB2)を得た。株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG−X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2測定用試験片の曲げ弾性率を測定した。
8)スパイラルフロー
スパイラルフローにより成形流動性を評価した。
スパイラルフローは、アルキメデススパイラルが形成されたスパイラルフロー金型(流路断面:上辺9.5mm、下辺10mm×高さ1mmの台形)を取り付けた射出成形機(ファナック社製 α100C)を用いて得られた射出成形品の流動長を測定することにより決定した。成形条件は以下のとおりである。
シリンダ温度:250℃
金型温度:40℃
射出圧力:76.5MPa
射出速度:10mm/秒
保圧:73.5〜74.5MPa(3秒保持)
冷却時間:10秒
9)生産性
製造プラントにおける、ポリプロピレン組成物に用いる重合体の生産性を以下の基準で評価した。
A:従来のポリプロピレン組成物と同等
B:従来のポリプロピレン組成物より劣る
C:製造困難
D:製造不可能
Figure 2019157084
Figure 2019157084
表1に示すとおり、本発明のポリプロピレン組成物は、透明性と柔軟性のバランスに優れる。さらに、本発明のポリプロピレン組成物は生産性に優れるので、経済的にも有利で
ある。

Claims (3)

  1. 成分(1)として、2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー、および
    成分(2)として、65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー、
    を含むポリプロピレン組成物であって、
    以下の要件:
    1)成分(1)と成分(2)の重量比が65〜77:35〜23である
    2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.8〜1.4dl/gである
    3)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である
    4)結晶核剤を含まない
    を満たす、ポリプロピレン組成物。
  2. 成分(1)および(2)が、
    (a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに
    (b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて
    (c)外部電子供与体化合物
    を含む触媒を用いて、プロピレンとエチレンとを重合させて得たコポリマーである、
    請求項1に記載の組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリプロピレン組成物の射出成形品。
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