JP2019157084A - ポリプロピレン組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]成分(1)として、2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー、および
成分(2)として、65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー、
を含むポリプロピレン組成物であって、
以下の要件:
1)成分(1)と成分(2)の重量比が65〜77:35〜23である
2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.8〜1.4dl/gである
3)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である
4)結晶核剤を含まない
を満たす、ポリプロピレン組成物。
[2]成分(1)および(2)が、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに
(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて
(c)外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて、プロピレンとエチレンとを重合させて得たコポリマーである、[1]に記載の組成物。
[3]前記[1]または[2]に記載のポリプロピレン組成物の射出成形品。
1.ポリプロピレン組成物
本発明のポリプロピレンは、以下の成分(1)および成分(2)を含む。
成分(1):2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー
成分(2):65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー
成分(1)はプロピレン−エチレンコポリマーであり、2〜4重量%のエチレン由来単位を含む。2重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマーとは、エチレン由来単位とプロピレン由来単位との重量比が2:98であるコポリマーである。他のコポリマーについても同様である。当該量の上限値は4重量%以下であるが、3.8重量%以下が好ましい。当該量が上限値を超えると透明性が低下するのみならず、重合プラント設備内で重合体の粒子同士の付着や装置内壁への付着が生じやすくなって製造が困難になり、生産性が低下する。エチレン由来単位の下限値は2重量%以上であるが、2.1重量%以上が好ましい。当該量が下限値以下であると透明性と柔軟性が低下する。成分(1)はランダムコポリマーであることが好ましい。
成分(2)はエチレン−プロピレンコポリマーであり、65〜87重量%のエチレン由来単位を含む。エチレン由来単位の含有量の上限値は87重量%以下であるが、85重量%以下が好ましく、84重量%以下がより好ましい。当該量が上限値を超えると耐寒衝撃性と柔軟性が低下する。エチレン由来単位の下限値は65重量%以上であるが、68重量%以上が好ましく、69重量%以上がより好ましい。当該量が下限値未満であると透明性が低下する。
成分(1)と成分(2)の組成比(重量比)は65〜77:35〜23であるが、66〜76:34〜24が好ましい。成分(1)の量が上限値を超えると柔軟性が低下する。成分(1)の量が下限値未満であると、透明性と生産性が低下する。成分(1)と(2)をあわせて便宜上「樹脂成分」ともいう。
1)XSIV
本発明のポリプロピレン組成物のキシレン可溶分(XS)の極限粘度(XSIV)は、当該組成物における結晶性を持たない成分の分子量の指標である。XSIVは25℃のキ
シレンに可溶な成分を得て、当該成分の極限粘度を定法にて測定することで求められる。本発明においてXSIVは0.8〜1.4dl/gである。XSIVが上限値を超えると透明性が低下し、下限値未満であるとポリプロピレン組成物の製造が困難となる。この観点から、前記極限粘度は好ましくは0.8〜1.3dl/gである。
本発明のポリプロピレン組成物のMFR(メルトマスフローレイト)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定され、その値は15〜40g/10分である。MFRが上限値を超えると耐寒衝撃性が低下し、下限値未満であると成形が困難となる。この観点から、MFRは好ましくは20〜40g/10分であり、より好ましくは21〜38g/10分である。
本発明のポリプロピレン組成物は、成分(1)の中に成分(2)が分散した相構造を有することが好ましい。
本発明のポリプロピレン組成物は結晶核剤を含まずとも高い透明性を発現するので、本発明のポリプロピレン組成物は結晶核剤を含まない。結晶核剤とは樹脂中の結晶成分のサイズを小さく制御して特に透明性を高めるために用いられる添加剤である。結晶核剤の例としては、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩系核剤、キシリトール系核剤、およびロジン系核剤等の有機系核剤等が挙げられる。また、一般に結晶核剤はポリプロピレン組成物の柔軟性を低下させるが、本発明のポリプロピレンは結晶核剤を含まないので優れた柔軟性を有する。
本発明のポリプロピレン組成物には、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展、他の有機および無機顔料等の当該分野で通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。また本発明のポリプロピレン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記樹脂成分以外の樹脂またはエラストマーを1種以上含有してもよい。
前記樹脂成分は任意の方法で製造してよいが、成分(1)および成分(2)の原料モノマーを、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および内部電子供与体を含有する固体触媒、(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合する工程を含む方法で得ることが好ましい。内部電子供与体化合物としては、スクシネート系化合物、フタレート系化合物、ジエーテル系化合物等が挙げられ、これらのいずれをも用いることができる。しかしながら、得られる組成物の流動性、透明性、柔軟性のバランスの観点から、スクシネート系化合物が好ましい。
成分(a)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。
≦g≦4である。チタン化合物として、より具体的にはTiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(On−C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(OisoC4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(On−C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(On−C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(On−C4H9)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタンである。
スクシネート系化合物は、以下の式(I)で表される。
ソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
特に好ましい。具体的にはR3およびR5が水素と異なる基である化合物である。この場合、R4およびR6は水素原子であってもよいし水素とは異なる基であってもよいが、いずれか一方が水素原子であること(三置換スクシネート)が好ましい。このような化合物の好ましい具体例は、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シク
ロペンチルスクシネートである。
成分(b)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
成分(c)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体化合物」と称される。当該触媒は一態様において成分(c)を含み、別態様において成分(c)を含まない。このような化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として以下が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル−ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン。
、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予重合を行うことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。次いで、予重合した触媒(予重合触媒)を重合反応系内に導入して、原料モノマーの本重合を行う。本重合は、成分(1)の原料モノマーおよび成分(2)の原料モノマーを、2つ以上の反応器を用いて重合することが好ましい。重合は、液相中、気相中または液−気相中で実施してよい。重合温度は常温〜150℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3〜6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5〜3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
本発明のポリプロピレン組成物は射出成形用樹脂組成物として最適である。本発明のポリプロピレン組成物は流動性に優れるので、射出成形によって厚さ0.5〜3mmの成形体とすることができる。ポリプロピレン組成物は以下の物性を備えることが好ましい。
厚さ1mmの平板で測定した場合に、32%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。下限値は限定されないが、通常は1%以上程度である。ヘーズの値が小さい程、透明性に優れる。
本発明のポリプロピレン組成物は、JIS K6921−2に従って測定した曲げ弾性率が800MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率の下限値は限定されないが、500MPa以上であることが好ましく、600MPa以上であることがより好ましい。
ることもできる。しかしながら本発明のポリプロピレン組成物の用途は上記に限定されず、一般雑貨用途等にも有用である。
チーグラー・ナッタ触媒を国際公開第2009/050045号の実施例1に従って製造した。ただし最初の温度上昇時に、温度を100℃ではなく110℃に上昇させた。このようにして製造した触媒成分と、アルミニウムトリエチル(TEAL)および外部電子供与体化合物としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)とを、12℃で24分間接触させた。TEALと固体触媒成分との重量比は20であり、TEALとDCPMSとの重量比は10であった。第1の重合反応器に取り入れる前に、このようにして得られた触媒システムを液体プロピレン中に懸濁させたまま20℃で約5分間維持することによって予重合に供した。
チーグラー・ナッタ触媒成分をヨーロッパ特許第728769号の実施例5の48〜55行に従って製造した。当該触媒を用いて、一段目の反応器の水素濃度とエチレン濃度、二段目の反応器のH2/C2とC2/(C2+C3)(ただし比較例3では、二段目の反応器においてプロピレンの代わりに1−ブテンをフィードしてエチレン−1−ブテンコポリマーを重合したため、C2/(C2+C4))を表1に示した値にした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン組成物を製造し評価した。
特許文献2の実施例1に記載された方法に従って、比較用ポリプロピレン組成物を製造し評価した。
1)MFR
JIS K7210−1に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
以下の方法によってポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレンのサンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α100C)を用
い、溶融樹脂温度を250℃、金型温度40℃、平均射出速度35mm/秒、保圧時間5秒、全サイクル時間43秒の条件にて、ポリプロピレン組成物から100mm×100mm×0.5mmの平板を作製した。この試験片を用い、JIS K7136に従い、ヘーズ測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘーズを測定した。
射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT α100C)を用
い、溶融樹脂温度を230℃、金型温度40℃、平均射出速度35mm/秒、保圧時間10秒、全サイクル時間45秒の条件にて、ポリプロピレン組成物から130mm×130mm×2.0mmの平板を作製した。株式会社島津製作所製ハイドロショットHITS−P10を用い、−20℃に調整した槽内で、内径40mmφの穴の開いた支持台に測定用試験片を置き、内径76mmφの試料押えを用いて固定した後、半球状の打撃面を持つ直径12.7mmφのストライカーで、1m/秒の衝撃速度で試験片を打撃し、JIS K7211−2に従いパンクチャーエネルギー(J)を求めた。4個の測定用試験片各々のパンクチャーエネルギーの平均値を面衝撃強度とし、耐寒衝撃性の指標とした。
面衝撃強度の試験を0℃で実施し、試験後のサンプルの白化状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:白化無し
X:白化有り
JIS K6921−2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC RO
BOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロ
ピレン組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工して測定用試験片(タイプB2)を得た。株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG−X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2測定用試験片の曲げ弾性率を測定した。
スパイラルフローにより成形流動性を評価した。
スパイラルフローは、アルキメデススパイラルが形成されたスパイラルフロー金型(流路断面:上辺9.5mm、下辺10mm×高さ1mmの台形)を取り付けた射出成形機(ファナック社製 α100C)を用いて得られた射出成形品の流動長を測定することにより決定した。成形条件は以下のとおりである。
シリンダ温度:250℃
金型温度:40℃
射出圧力:76.5MPa
射出速度:10mm/秒
保圧:73.5〜74.5MPa(3秒保持)
冷却時間:10秒
製造プラントにおける、ポリプロピレン組成物に用いる重合体の生産性を以下の基準で評価した。
A:従来のポリプロピレン組成物と同等
B:従来のポリプロピレン組成物より劣る
C:製造困難
D:製造不可能
ある。
Claims (3)
- 成分(1)として、2〜4重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレンコポリマー、および
成分(2)として、65〜87重量%のエチレン由来単位を含むエチレン−プロピレンコポリマー、
を含むポリプロピレン組成物であって、
以下の要件:
1)成分(1)と成分(2)の重量比が65〜77:35〜23である
2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が0.8〜1.4dl/gである
3)当該組成物のMFR(温度230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である
4)結晶核剤を含まない
を満たす、ポリプロピレン組成物。 - 成分(1)および(2)が、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに
(b)有機アルミニウム化合物、必要に応じて
(c)外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて、プロピレンとエチレンとを重合させて得たコポリマーである、
請求項1に記載の組成物。 - 請求項1または2に記載のポリプロピレン組成物の射出成形品。
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