JP2016023251A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電防止性が高く、帯電防止剤のブリードが防止され、射出成形の成形サイクルが短く、しかも充分な機械的物性を有する成形品が得られるポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記プロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体と、エチレン単位及び一種類以上の炭素3〜12のα−オレフィン単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体とからなり、該ポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合が18〜30質量%、帯電防止剤の含有割合が0.3〜0.7質量%であり、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが50〜120g/10分である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法に関する。
ポリプロピレンを主成分としたポリプロピレン系樹脂組成物は、安価である上に機械的物性に優れることから、様々な用途に使用される。例えば、ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形品は、自動車内装材、日用品、電気製品の筐体等に使用されている。
ポリプロピレンは導電性を有さない樹脂であるため、ポリプロピレン系樹脂組成物の成形品の表面には、静電気が生じ、その静電気によって埃が付着することがある。成形品の表面に埃が付着すると、外観を損なうため、静電気の発生を防止する目的で、ポリプロピレン系樹脂組成物に帯電防止剤を配合することがある(特許文献1)。
特許第5443063号公報
しかし、充分な帯電防止性が得られる程度にポリプロピレン系樹脂組成物に帯電防止剤を含有させると、該ポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形品においては、帯電防止剤が成形品の表面に滲み出る、いわゆるブリードが起こりやすい傾向にあった。特に、成形品が加熱される場合にブリードがより起こりやすい傾向にあった。帯電防止剤がブリードすると、成形品の外観を損ねることがあった。
また、近年、射出成形用の樹脂組成物においては、成形品の生産性を向上させるために、射出成形の成形サイクルを短縮できるものが求められている。成形サイクルを短縮する方法として、樹脂組成物の流動性を向上させる方法が考えられる。しかし、単に樹脂組成物の流動性を向上させるだけでは、帯電防止剤のブリードを防げず、しかも剛性や衝撃強度等の機械的物性を損ねて実用性が低くなる傾向にあった。そのため、帯電防止剤のブリードを防ぐと共に充分な機械的物性を確保しつつ、成形サイクルを短縮することが求められる。
本発明は、帯電防止性が高く、帯電防止剤のブリードが防止され、射出成形の成形サイクルが短く、しかも充分な機械的物性を有する成形品が得られるポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
前記プロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体と、エチレン単位及び一種類以上の炭素3〜12のα−オレフィン単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体とからなり、
該ポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合が18〜30質量%、帯電防止剤の含有割合が0.3〜0.7質量%であり、
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが50〜120g/10分である、ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2]前記プロピレン系樹脂が、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いて製造されたものである、[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)マグネシウムとチタンとハロゲンとスクシネート系化合物を含む電子供与体化合物とを含有する固体触媒
(B)有機アルミニウム化合物
(C)有機ケイ素化合物を含む外部電子供与体化合物
[3]該ポリプロピレン系樹脂組成物における、有機造核剤を含む造核剤の含有割合が0.01〜0.50質量%である、[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[4]前記エチレン・α−オレフィンの共重合体におけるエチレン単位割合が25〜40質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[5]前記プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が1.4〜2.4dl/gである、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[6]前記エチレン・α−オレフィンの共重合体がエチレン・プロピレン共重合体である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[7]プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを混合し、溶融混練するポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
前記プロピレン系樹脂として、プロピレンの単独重合体と、エチレン単位及び一種類以上の炭素3〜12のα−オレフィン単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体とを用い、
該ポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合を18〜30質量%に、帯電防止剤の含有割合を0.3〜0.7質量%にすると共に、
得られるポリプロピレン系樹脂組成物の、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが50〜120g/10分になるように、プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを配合する、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
[8]前記プロピレン系樹脂を得る際に、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いる、[7]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
(A)マグネシウムとチタンとハロゲンとスクシネート系化合物を含む電子供与体化合物とを含有する固体触媒
(B)有機アルミニウム化合物
(C)有機ケイ素化合物を含む外部電子供与体化合物
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、帯電防止性が高く、帯電防止剤のブリードが防止され、射出成形の成形サイクルが短く、しかも充分な機械的物性を有する成形品が得られる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを含有する。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレート(以下、「MFR」という。)が50〜120g/10分であり、60〜100g/10分であることがより好ましく、65〜90g/10分であることがさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが前記下限値未満であると、該ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形した際の成形サイクルが長くなることがあり、前記上限値を超えると、該ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得た成形品の機械的物性が低下することがある。
(プロピレン系樹脂)
プロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体と、エチレン単位及び一種類以上の炭素3〜12のα−オレフィン単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体とからなるブロックポリプロピレンである。プロピレン系樹脂におけるエチレン・αオレフィン共重合体はゴム成分を有する。
αオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等が挙げられる。機械的物性が高く、より安価である点では、αオレフィンはプロピレンであることが好ましい。すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体がエチレン・プロピレン共重合体であることが好ましい。
エチレン・α−オレフィンの共重合体におけるエチレン単位割合は25〜40質量%であることが好ましく、30〜35質量%であることがより好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体におけるエチレン単位含有量が前記範囲内であれば、充分に高い耐衝撃性を得ることができる。
プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度は1.4〜2.4dl/gであることが好ましく、1.6〜2.2dl/gであることがより好ましい。プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が前記下限値以上であれば、耐衝撃性がより高くなり、前記上限値以下であれば、流動性及び耐衝撃性がより高くなる。
プロピレン系樹脂は、多段重合により製造することができる。例えば、1段目の重合反応器にて、プロピレン単独重合体を重合し、得られたプロピレン単独重合体を2段目の重合反応器に供給すると共に2段目の重合反応器にてエチレン・αオレフィン共重合体を重合することでプロピレン系樹脂を得ることができる。この方法では、2段目の重合反応器にて、プロピレン単独重合体と、生成するエチレン・αオレフィン共重合体とを混合する。
プロピレン単独重合体の存在下でエチレン・αオレフィン共重合体を重合させることにより、生産性が高くなる上に、エチレン・αオレフィン共重合体の分散性が高くなるため、物性バランスも向上する。
なお、多段重合は上記の方法に限らず、プロピレン単独重合体を複数の重合反応器にて重合してもよいし、エチレン・αオレフィン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよい。また、プロピレン系樹脂を得る方法として、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法が挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体および/または液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
また、重合の際には、必要に応じて、分子量の調整のために、水素を添加してもよい。
重合によってプロピレン単独重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とが混合されたブロックポリプロピレンは、プロピレン単独重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とが分子レベルに近い状態で混じり合う。そのため、ブロックポリプロピレンは、プロピレン単独重合体とエチレン・αオレフィン共重合体との単なるブレンド物とは異なる。
プロピレン系樹脂を重合する際に用いられる触媒としては特に制限されないが、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有する固体触媒;(B)有機アルミニウム化合物;(C)外部電子供与体化合物を含むものが好ましい。この(A),(B)及び(C)を含む触媒を用いると、スウェルが大きくなり、ヒケが少くなって均一な肉厚の成形品を容易に得ることができ、本発明の効果がより発揮される。
固体触媒(A)は、様々な方法により得ることができる。例えば、下記(1)〜(7)に示す方法が挙げられる。
(1)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と電子供与体化合物の錯化合物を、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下、粉砕し、または粉砕することなく、電子供与体化合物および/または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに得た固体と反応条件下に液相をなすチタン化合物と反応させる方法。
(2)マグネシウム化合物の液状物と、液状のチタン化合物を電子供与体化合物の存在下または不存在下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる方法。
(3)固体状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物および電子供与体化合物と反応させる方法。
(4)上記(2)又は(3)で得られたものに、さらにチタン化合物を反応させる方法。
(5)上記(1)、(2)、(3)のいずれかで得られたものにさらに電子供与体化合物およびチタン化合物を反応させる方法。
(6)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と電子供与体化合物の錯化合物を、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下、およびチタン化合物の存在下に粉砕し、電子供与体化合物および/または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに得た固体をハロゲン又はハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法。
(7)前記(1)〜(5)で得られた化合物をハロゲン又はハロゲン化合物又は芳香族炭化水素で処理する方法。
固体触媒成分(A)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)g4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl、TiBr、TiIなどのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(O−isoC)Brなどのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−Cなどのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、とくにテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタン(TiCl)である。
固体触媒成分(A)の調製に用いられるマグネシウム化合物として、マグネシウム・炭素結合やマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。
これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。
さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウム等のアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。
これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述のプロピレン樹脂組成物の製造で使用する固体触媒成分(A)の調製に用いられる電子供与体化合物として、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸又は無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体などが知られているが、本発明における電子供与体化合物はジカルボン酸ジエステルを含むことが好ましい。ジカルボン酸とは2つのカルボキシル基を有する化合物である。例えば、コハク酸、コハク酸の1位または2位にアルキル基等の置換基を持つ置換コハク酸もジカルボン酸に含まれる。ジカルボン酸ジエステルの中でコハク酸、置換コハク酸、フタル酸、マレイン酸、置換マロン酸のジエステルがより好ましく、コハク酸エステル(スクシネート)系の電子供与体化合物が特に好ましい。
好適なスクシネート系化合物は、下記化学式(I)で表されるスクシネート構造を有する化合物である。
Figure 2016023251
式(I)中、R及びRは、互いに同一又は異なり、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。好ましいR及びRは、炭素数1〜8のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRは、第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びRの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルが挙げられ、エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、或いは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。同じ炭素原子に結合しているRとR、RとRは互いに結合して環構造を形成してもよい。異なる炭素原子に結合しているR〜Rのいずれか2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。
式(I)に示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基の単置換スクシネート化合物である。
好適な単置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニル)スクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(I)に示される化合物の他の好ましいものとして、R〜Rの少なくとも2つの基が、水素ではなく、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択される二置換スクシネート化合物が挙げられる。水素ではない2つの基は同じ炭素原子に結合していることが好ましい。
好適な二置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチルー2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、式(I)に示される化合物の特に好ましいものとしては、水素とは異なる少なくとも2つの基、則ちR及びR、又はR及びRが異なる炭素原子に結合している化合物も挙げられる。
この化合物の具体例としては、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルー2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、式(I)に示される化合物としては、R〜Rのうちの少なくとも2つ以上が結合して環を形成したものも好ましい。
このような化合物として、特表2002−542347号公報に記載されている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンが挙げられる。また、国際公開第2009/069483号、国際公開第2009/057747号に開示されている環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。
式(I)に示される化合物のうち、R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は、窒素原子、リン原子等の第15族原子、あるいは、酸素原子、イオウ原子等の第16族原子であることが好ましい。R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005−306910号公報に開示されている化合物が挙げられる。R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004−131537号公報に開示されている化合物が挙げられる。
固体触媒成分を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物が挙げられ、特に塩素が好ましい。
有機アルミニウム化合物(B)としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウム等のトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシドのほかに、R 2.5Al(OR0.5(R,Rは、各々異なってもよいし同じでもよい炭化水素基である。)で表わされる平均組成を有する、部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハロゲニド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
外部電子供与体化合物(C)は、有機ケイ素化合物を含む。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルが好ましい。
上記外部電子供与体化合物(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記触媒の中でも、固体触媒(A)がマグネシウムとチタンとハロゲンとスクシネート系化合物を含む電子供与体化合物とを含有する固体触媒、有機アルミニウム化合物(B)が、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、外部電子供与体化合物(C)が、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物であるものが好ましい。このような触媒であると、生産性に優れ、立体規則性が高く分子量分布の広い重合体が得られる結果、剛性や耐熱性、ならびに成形性に優れた組成物を容易に製造できる。
(帯電防止剤)
帯電防止剤は、プロピレン系樹脂組成物に導電性を付与するものである。
帯電防止剤としては、非イオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、両性帯電防止剤が挙げられる。
非イオン系帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンの脂肪酸エステル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
アニオン系帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート等が挙げられる。
カチオン系帯電防止剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性帯電防止剤としては、例えば、アルキルベタイン、イミザゾリン型誘導体等が挙げられる。
本発明の効果がとりわけ発揮される点では、帯電防止剤の中でも、非イオン系帯電防止剤が好ましく、非イオン系帯電防止剤の中でも、グリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノイソステアレート等が挙げられる。
帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロピレン系樹脂組成物における帯電防止剤の含有割合は、0.3〜0.7質量%であり、0.4〜0.6質量%であることがより好ましい。帯電防止剤の含有割合が前記下限値未満であると、該プロピレン系樹脂組成物を射出成形して得た成形品の帯電防止性が不充分になることがあり、前記上限値を超えると、ブリードを抑制できないことがある。
(有機造核剤)
有機造核剤は、ポリプロピレン結晶核の形成を促進させて、得られる樹脂組成物の結晶化度を向上させる有機化合物である。造核剤を含有することによって、樹脂組成物から得られる成形品の剛性が向上する。
有機造核剤の具体例としては、芳香族リン酸エステル系化合物、ソルビトール系化合物、ノニトール系化合物、トリアミノベンゼン誘導体化合物、カルボン酸の金属塩等が挙げられ、臭気が少ない点では、芳香族リン酸エステル系化合物が好ましい。
芳香族リン酸エステル系化合物としては、例えば、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウム塩系化合物、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩系化合物、アルミニウム−ビス(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジフェニル−フォスファート)−ヒドロキシド等が挙げられる。
ソルビトール化合物としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ビス−(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−(エチルベンジリテン)ソルビトール、1,3,2,4−(メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−(エトキシベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
ノニトール系化合物としては、例えば、1,2,3−トリデオキシ−4,6−5,7−ビス−o−[(4−プロピルフェニル)メチレン]ノニトール等が挙げられる。
トリアミノベンゼン誘導体核剤としては、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。
カルボン酸の金属塩としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウム等が挙げられる。
有機造核剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記有機造核剤の中でも、より剛性、結晶化速度に寄与することから、芳香族リン酸エステル系化合物が好ましい。
プロピレン系樹脂組成物において、有機造核剤を含む造核剤の含有割合は、0.01〜0.50質量%であることが好ましく、0.05〜0.30質量%であることがより好ましい。有機造核剤を含む造核剤の含有割合が前記上限値を超えると、食品用途に適さなくなり、前記下限値未満であると、剛性が低く、結晶化速度が遅くなることがある。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、帯電防止性を損なわない範囲で、無機充填剤を加えてもよい。無機充填剤としては、例えば、タルク、カオリナイト、焼成クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイトなどの天然珪酸または珪酸塩;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの酸化物;及び、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸または珪酸塩などの粉末状フィラー、マイカなどのフレーク状フィラー;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、及びエレスタダイトなどの繊維状フィラー;並びに、ガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状フィラー等を用いることができる。
一般に、ポリプロピレン用の造核剤として、タルク等の造核効果を示す無機充填剤を用いることもあるが、本発明においては、無機充填剤の含有割合は、0.50質量%以下であることが好ましく、0.30質量%以下であることがより好ましく、0.10質量%以下であることがさらに好ましい。無機充填剤の含有割合が前記上限値を超えると、帯電防止性が不充分になることがある。
(その他添加剤)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、任意成分として、例えば、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物および顔料(有機または無機)等のその他の添加剤が含まれてもよい。
(製造方法)
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、前記プロピレン系樹脂と前記帯電防止剤と前記有機造核剤とを混合し、溶融混練する方法が挙げられる。必要に応じて、プロピレン系樹脂以外の他の樹脂、添加剤等をさらに混合してもよい。各成分の添加の順序には制限はない。ただし、プロピレン系樹脂組成物を製造する際には、MFR(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が50〜120g/10分になるように、プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを配合する。
溶融混練の方法としては特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。
混合した後、得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。
(作用効果)
上記のポリプロピレン系樹脂組成物は、MFRを高めに規定した上記特定のブロックポリプロピレンを使用し、帯電防止剤の含有割合を規定したものである。このようなポリプロピレン系樹脂組成物は、帯電防止性が高く、帯電防止剤のブリードを防止でき、射出成形の成形サイクルが短く、しかも充分な機械的物性を有する成形品を得ることができる。
また、上記のポリプロピレン系樹脂組成物は、流動性が高く、薄肉の成形品を射出成形する場合でも、成形時の温度を上げずにショートショットを防ぐことができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、電気抵抗測定器を用いて測定した表面固有抵抗率が1.0×1011〜3.0×1014Ωであることが好ましく、1.0×1011〜1.0×1014Ωであることがより好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、JIS K6921−2に準拠し、25℃で測定した曲げ弾性率が1200〜1600MPaであることが好ましく、 1250〜1600MPaであることがより好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、パンクチャー衝撃試験機を用い、JIS K7211−2に準拠し、−20℃で測定した面衝撃強度が12〜20Jであることが好ましく、13〜20Jであることがより好ましい。
(成形品)
上記ポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形により成形品に加工することができる。特に、上記ポリプロピレン樹脂組成物は薄肉成形品用の成形材料として好適である。ここで、薄肉とは、厚さが1.0mm以下のことである。
上記ポリプロピレン系樹脂組成物は成形性に優れるため、薄肉成形品を射出成形によって得る場合でも、成形温度を高くすることなく、樹脂が金型キャビティ内の一部に行き渡らない、いわゆるショートショットと称される成形不良が発生しにくい。
また、上記ポリプロピレン系樹脂を射出成形して得る成形品は、表面に凹みが形成される、いわゆるヒケと称される成形不良が発生しにくい。ヒケが発生しにくくなると、成形品の厚みの不均一化を抑制できるため、成形品の割れを防ぐことができる。
上記ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得た成形品は、例えば、自動車内装材、日用品、電気製品の筐体、食品包装容器等として使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
各例における、エチレン・αオレフィン共重合体におけるエチレン単位の含有割合、プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは以下のように測定した。
1)共重合体成分のエチレン単位の含有量:
共重合体のエチレン単位の含有割合は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
2)プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度:
プロピレン系樹脂のキシレン可溶分は、以下の方法によって得られる。
サンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、樹脂組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100ml採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
3)MFR:
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重:21.18Nの条件で測定した。
(各実施例及び各比較例)
プロピレン単独重合体とエチレン・プロピレン共重合体を含むプロピレン系樹脂、帯電防止剤(グリセリンモノステアレート)、芳香族リン酸エステル系有機造核剤を含む造核剤(ADEKA社製アデカスタブNA−18)、造核効果のある無機充填剤(タルク)を表1,2に示す配合で混合して混合物を得た。表1,2には、プロピレン系樹脂を重合する際に使用した固体触媒の種類、樹脂組成物中のエチレン・プロピレン共重合体の含有割合、共重合体中のエチレン単位含有割合、プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度も示す。
次いで、該混合物に、さらに酸化防止剤として、BASF社製B225を0.2重量%、中和剤として、淡南化学社製カルシウムステアレートを0.05重量%配合し、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合した。その後、混合物を、スクリュー温度を180℃、スクリュー回転数300rpmに設定した同方向二軸押出機(神戸製鋼社製KTX−30)を用いて溶融混練し、ペレット化して、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
なお、プロピレン系樹脂を重合する際に用いた固体触媒A及び固体触媒Bは、以下の調製方法により得たものである。
固体触媒A:特開2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分Aを調製した。具体的には以下の通りである:
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH(攪拌数を10000rpmに代えて3000rpmにした以外は米国特許第4,399,054号の実施例2にしたがって製造したもの)、及び9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した。
固体生成物に、250mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
固体触媒B:欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。固体触媒Bは、MgCl上にTiと電子供与体化合物としてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。
<プロピレン系樹脂の重合>
実施例1〜4、比較例2,3,5〜7のプロピレン樹脂組成物に用いたプロピレン系樹脂は、以下の方法で重合した:
上記固体触媒Aと、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を得た後、得られた重合体を2段目の重合反応器に導入して共重合体(プロピレン−エチレン共重合体)を重合させた。その際、2段目の重合反応器中の重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)を、それぞれ85℃、3.0モル%、0.28モル比とすると共に、重合圧力を調整した。また、1段目の重合反応器中の重合温度を70℃、重合圧力を調整すると共に、1段目と2段目の滞留時間分布と1段目の重合反応器中の水素濃度を、ゴム成分含有割合が33.0質量%および表1と表2に示す樹脂組成物のMFRになる様に制御した。
実施例5〜7、比較例4,8のプロピレン系樹脂は、1段目と2段目の滞留時間分布と1段目の重合反応器中の水素濃度を、ゴム成分の含有割合および樹脂組成物のMFRが表1と表2に示す値になる様に制御した以外は、実施例1と同様にして重合した。
比較例9のプロピレン系樹脂は、2段目の重合反応器中のC2/(C2+C3)を0.29モル比、1段目と2段目の滞留時間分布と1段目の重合反応器中の水素濃度を、ゴム成分の含有割合および樹脂組成物のMFRが表2に示す値になる様に制御した以外は、実施例1と同様にして重合した。
比較例1のプロピレン樹脂組成物に用いたプロピレン系樹脂は、以下の方法で重合した:
上記固体触媒Bと、TEAL及びDCPMSを、固体触媒に対するTEALの質量比が11であり、TEAL/DCPMSの質量比が3となるような量で、−5℃において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を得た後、得られた重合体を2段目の重合反応器に導入して共重合体(プロピレン−エチレン共重合体)を重合させた。その際、2段目の重合反応器中の重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)を、それぞれ85℃、2.5モル%、0.39モル比とすると共に、重合圧力を調整した。また、1段目の重合反応器中の重合温度を70℃、重合圧力を調整すると共に、1段目と2段目の滞留時間分布と1段目の重合反応器中の水素濃度を、表2に示すゴム成分の含有割合および樹脂組成物のMFRになる様に制御した。
Figure 2016023251
Figure 2016023251
<評価>
各実施例及び各比較例について、表面固有抵抗率、曲げ弾性率、面衝撃強度を測定し、ブリード防止性、成形性を評価した。また、各実施例及び各比較例における射出成形時の冷却時間を求めた。これらの結果を表1,2に示す。
なお、表面固有抵抗率、曲げ弾性率、面衝撃強度、ブリード防止性については以下のように成形した試験片を用いた。
射出成形機(α100C、(株)ファナック製)を用い、シリンダー設定温度220℃、金型温度40℃の条件で、ポリプロピレン系樹脂組成物を、130mm角で且つ厚さが2mmの平板に成形し、その平板を試験片とした。その試験片は、試験に供する前に、温度23±2℃、相対湿度50±5%の室内に48時間保管して状態調整した。
[表面固有抵抗率]
電気抵抗測定器(ヒューレットパッカード社製、4329A、High Resistance Meter)を用い、試験片に1000V、1分間電圧を印加した。加圧電圧を切った後、表面固有抵抗率を測定した。表面固有抵抗率の値が小さい程、帯電防止性に優れる。
[曲げ弾性率]
前記試験片を用い、JIS K6921−2に準拠し、温度25℃、スパン間64mm、曲げ速度2.0mm/分の条件で曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率の値が大きい程、剛性に優れる。
[面衝撃強度]
パンクチャー衝撃試験機(島津製作所製ハイドロショットHITS−P10)を用い、JIS K7211−2に準拠し、前記試験片の−20℃における面衝撃強度を測定した。面衝撃強度の値が大きい程、耐衝撃性に優れる。
[ブリード防止性]
前記試験片を60℃に設定したオーブンに入れ、6日間経過した後に取り出し、試験片の外観を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎:ブリードの痕跡が見られない。
○:部分的に僅かにブリードを視認できるが、問題のない程度。
△:広い範囲でブリードを視認できる。
×:全面にわたって容易に視認できる程、ブリードを確認できる。
[成形性]
試験片を成形した際の成形品を観察し、下記の基準で評価した。
○:ショートショット、ヒケ及び割れが見られない。
△:ショートショット、ヒケ、割れの少なくとも1つが見られる。
[射出成形時の冷却時間]
射出成形機(α100C、(株)ファナック製)にドリンク容器(深さ150mm、上部口径71mm)作製用の金型を取り付けた。その射出成形機を用い、シリンダー設定温度220℃、金型温度40℃の条件で、ポリプロピレン系樹脂組成物を成形し、その際の冷却時間を求めた。
具体的には、まず、樹脂射出後の金型の冷却時間を5秒に設定し、ポリプロピレン系樹脂組成物を成形し、金型が開いた後の成形品を取り出して、成形品が充分に冷却固化されているか目視により確認した。成形品が冷却固化されていると判定した場合には、金型の冷却時間を0.5秒短縮し、再度、ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形し、成形品が充分に冷却固化されているか目視により確認した。
成形品が冷却固化されなくなるまで金型の冷却時間を0.5秒ずつ短縮し、冷却固化できた最も短い冷却時間を求め、その時間を、射出成形時の冷却時間とした。この射出成形時の冷却時間は、成形サイクルの指標となり、冷却時間が短い程、成形サイクルが短く、生産性が高いことを意味する。
[結果]
実施例のポリプロピレン系樹脂組成物は帯電防止性が高く、また、ブリードが抑制され、成形サイクルが短かった。さらに、実施例のポリプロピレン系樹脂組成物は成形性及び機械的物性も充分に確保されていた。
MFRが低く、造核効果のある無機充填剤を含むが、有機造核剤を含まない比較例1のポリプロピレン系樹脂組成物は、帯電防止性、ブリード防止性、剛性及び成形性が低かった。
造核効果のある無機充填剤を含むが、有機造核剤を含まない比較例2のポリプロピレン系樹脂組成物は、帯電防止性が低かった。
有機造核剤及び造核効果のある無機充填剤を含まない比較例3のポリプロピレン系樹脂組成物は、成形サイクルが長く、剛性が低かった。
エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が小さかった比較例4のポリプロピレン系樹脂組成物は、ブリード防止性及び面衝撃強度が低かった。
帯電防止剤を含まない比較例5のポリプロピレン系樹脂組成物は、帯電防止性が低かった。
帯電防止剤を含むが、その含有割合が0.3質量%未満であった比較例6のポリプロピレン系樹脂組成物は、帯電防止性が低かった。
帯電防止剤の含有割合が0.7質量%を超えていた比較例7のポリプロピレン系樹脂組成物は、ブリード防止性が低かった。
MFRが120g/10分を超えていた比較例8のポリプロピレン系樹脂組成物は、面衝撃強度が低かった。
エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が大きかった比較例9のポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性が低かった。

Claims (8)

  1. プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    前記プロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体と、エチレン単位及び一種類以上の炭素3〜12のα−オレフィン単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体とからなり、
    該ポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合が18〜30質量%、帯電防止剤の含有割合が0.3〜0.7質量%であり、
    JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが50〜120g/10分である、ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記プロピレン系樹脂が、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いて製造されたものである、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    (A)マグネシウムとチタンとハロゲンとスクシネート系化合物を含む電子供与体化合物とを含有する固体触媒
    (B)有機アルミニウム化合物
    (C)有機ケイ素化合物を含む外部電子供与体化合物
  3. 該ポリプロピレン系樹脂組成物における、有機造核剤を含む造核剤の含有割合が0.01〜0.50質量%である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記エチレン・α−オレフィンの共重合体におけるエチレン単位割合が25〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記プロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が1.4〜2.4dl/gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 前記エチレン・α−オレフィンの共重合体がエチレン・プロピレン共重合体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを混合し、溶融混練するポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
    前記プロピレン系樹脂として、プロピレンの単独重合体と、エチレン単位及び一種類以上の炭素3〜12のα−オレフィン単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体とを用い、
    該ポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合を18〜30質量%に、帯電防止剤の含有割合を0.3〜0.7質量%にすると共に、
    得られるポリプロピレン系樹脂組成物の、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが50〜120g/10分になるように、プロピレン系樹脂と帯電防止剤と有機造核剤とを配合する、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記プロピレン系樹脂を得る際に、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いる、請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
    (A)マグネシウムとチタンとハロゲンとスクシネート系化合物を含む電子供与体化合物とを含有する固体触媒
    (B)有機アルミニウム化合物
    (C)有機ケイ素化合物を含む外部電子供与体化合物
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