JP2019156959A - 光硬化性粘着樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像表示部材とカバー部材との貼り合わせにおいて、良好な視認性、高い粘着力、段差追従性、リワーク性を有する粘着テープに用いることができる無溶剤の光硬化性粘着樹脂組成物を提供する。【解決手段】重量平均分子量が10,000〜100,000の水素添加したポリブタジエン骨格を持つ(メタ)アクリル基を有する化合物(A)と、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)と、水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリレートモノマー(b2)を少なくとも含む単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマーと(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、組成物全体に対する前記(D)の含有量が0.05〜0.50重量%であることを特徴とする光硬化性粘着樹脂組成物である。【選択図】図3

Description

本発明は、液晶等の画像表示部材とカバー部材との貼り合わせ等で用いる光硬化性粘着樹脂組成物に関する。
アクリル樹脂はその特徴である透明性や速硬化性を活かし様々な用途で使用されている。例えばスマートフォンやタッチパネルに代表される画像表示ディスプレイにおいて、画像を表示する液晶表示パネルや有機EL表示パネル等の画像表示部材とそれを保護するカバーパネルとの間に、こうしたアクリル系の透明樹脂を充填して接着することで、画像表示部材とカバーパネル間の空気層をなくしコントラストや輝度の低下を防ぐ技術が開発されてきた。(特許文献1)。
また過去に出願人は、画像表示部材とカバー部材の張り合わせに用いるテープに使用できる粘着剤として、メチルメタクリレートとブチルアクリレートのブロック共重合体(A)と分子内にウレタン結合を含むアクリル系オリゴマー(B)と単官能アクリル系モノマー(C)と粘着性付与剤(D)と光重合開始剤(E)からなる粘着樹脂組成物を発明している。(特許文献2)
この発明は、画像の視認性を向上させると共に、カバー部材に突発的に力が加わり破損した場合でも、その粘着力でカバー部材の飛散を低減できるという特徴を有した優れたものであった。しかしながら、カバー部材がフラット形状でなく曲面を有する場合、曲面に追従できる強い粘着力と段差追従性が必要となり、同時にリワークする際に糊残りが発生しないという、相反する特性が要求されるようになり改善の余地があった。
特開2005−55641号 特許6193427号
本発明は、画像表示ディスプレイ等に使用される粘着剤で、テープ状に加工して画像表示部材とカバー部材との貼り合わせに使用することで、画像の視認性を向上させると共に、強い粘着性と段差追従性を有するため、カバー部材が曲面形状でも良好な張り合わせが可能であり、同時にリワークする際も糊残りがない無溶剤の光硬化性粘着樹脂を提供することにある。
請求項1記載の発明は、重量平均分子量が10,000〜100,000の水素添加したポリブタジエン骨格を持つ(メタ)アクリル基を有する化合物(A)と、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)と、水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリレートモノマー(b2)を少なくとも含む単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマーと(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、組成物全体に対する前記(C)の含有量が0.05〜0.50重量%であることを特徴とする光硬化性粘着樹脂組成物を提供する。
請求項2記載の発明は、前記(B)が、更に炭素数8〜18の直鎖アルキル骨格を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b3)を含むことを特徴とする、請求項1記載の光硬化性粘着樹脂組成物を提供する。
請求項3記載の発明は、前記(C)が、炭素数5〜12の直鎖アルキル骨格を有する2官能(メタ)アクリレートモノマーであることを特徴とする、請求項1または2記載の光硬化性粘着樹脂組成物を提供する。
請求項4記載の発明は、硬化物の弾性率が8.0×10Pa以下であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の光硬化性粘着樹脂組成物を提供する。
請求項5記載の発明は、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布するテープ用粘着剤であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の光硬化性粘着樹脂組成物を提供する。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5いずれか記載の光硬化性粘着樹脂組成物を用いた、携帯端末電子機器とカバー部材の貼り合わせで使用するディファレンシャルテープを提供する。
本発明の粘着樹脂は、画像表示部材とカバー部材との貼り合わせにおいて、良好な視認性、高い粘着力、段差追従性、リワーク性を有する粘着テープに用いることができる無溶剤の光硬化性粘着樹脂組成物であり、特に曲面を有する保護ガラス用として有用である。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の組成物の構成は、水素添加したポリブタジエン骨格を持つ(メタ)アクリル基を有する化合物(A)と、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)と、水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリレートモノマー(b2)を少なくとも含む単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマーと(C)と、光重合開始剤(D)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
本発明で使用する前記(A)は、透明樹脂組成物を構成するベースオリゴマーであり、例えばポリオールに、複数のイソシアネート基を有する化合物、および水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレートが例示される。使用するポリオールは透明性が高く成形皮膜に適度な柔軟性を付与できる水添ポリブタジエン系である。ポリブタジエン骨格を水素添加する事により、反応性が高い2重結合が無くなり紫外線等に対する耐光性を著しく向上させることが可能となる。
上記ウレタンアクリレートにおいて使用するイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が有る。これらの中では、耐光性に優れる脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートが好ましい。また水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートがあり、これらの中では、汎用性が高く、低分子量で骨格の物性に影響を与えにくい点で2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
前記(A)の重量平均分子量は10,000〜100,000であり、15,000〜50,000が更に好ましい。10,000未満では硬化皮膜の凝集力が低く剥離強度が低下し、100,000を超えると組成物の粘度が高くなり粘度調整がしにくくなる。なお重量平均分子量(以下「Mw.」と表記)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填剤を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
全組成物に対する(A)の配合量は25〜45重量%が好ましく、30〜40重量%が更に好ましい。25重量%以上で充分な凝集力と皮膜強度を確保でき、また45重量%以下で作業性に適した粘度にコントロールしやすくなる。市販の水素添加ブタジエン系ウレタンアクリレートとしてはExcelateRX71−25(商品名:亜細亜工業社製、Mw.26,000)等がある。
本発明で使用する前記(B)は、高粘度の(A)を希釈すると同時に、硬化反応性を上げる目的で配合され、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)と、水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリレートモノマー(b2)を少なくとも含む。全組成物に対する(B)の配合量は45〜65重量%が好ましく、50〜60重量%が更に好ましい。45重量%以上とすることで充分な反応性を確保でき、また65重量%以下とすることで充分な凝集力と皮膜強度を確保できる。
前記(B)に含まれる水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)は、カバー部材がガラスの場合に、ガラスとの密着性向上を目的に配合される。(B)に対する(b1)の配合量は、3〜23重量%が好ましく、5〜18重量%が更に好ましい。3重量%以上とすることで充分なガラスとの密着性を確保することができ、23重量%以下とすることで弾性率を低くコントロールしやすくできる。
前記(b1)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等があり、単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの中では、分子量や取り扱いの点で4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好適である。
前記(B)に含まれる水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリレートモノマー(b2)は、(A)を希釈すると同時に硬化反応性を上げ、また弾性率を高めるために配合される。脂環式構造であることにより凝集力が向上し、弾性率を上げることができる。(B)に対する(b2)の配合量は、20〜42重量%が好ましく、25〜38重量%が更に好ましい。20重量%以上とすることで充分な弾性率を確保することができ、42重量%以下とすることで充分な剥離強度を確保できる。
前記(b2)としては、例えばイソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等があり、これらを単独あるいは2種類を併用しても良い。これらの中では低粘度で低臭気のイソボルニルアクリレートが好適である。また配合物の粘度を調整しやすくするため、粘度は500mPa・s以下である事が望ましい。
本発明で使用する多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)は、(B)と同じく(A)の反応性希釈剤であると同時に、架橋密度を調整して凝集力を上げ、被着体から粘着剤を剥がす時の糊残り、すなわちリワーク性を向上させる目的で配合する。2〜4官能が好ましく、2官能が更に好ましい。また硬化物に屈曲性を付与できる長鎖の直鎖アルキル骨格を持つことが好ましく、特に直鎖アルキル骨格の炭素数はC5〜12であることが好ましく、C8〜12であることが更に好ましい。
前記(C)としては、例えば1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1.10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等があり、これらの中では入手性の点で1.9ノナンジオールジアクリレートが好適である。全組成物に対する(C)の配合量は、0.05〜0.50重量%であり、0.08〜0.35重量%が好ましい。0.05重量%以下ではリワーク時に糊残りが発生しやすく、0.50重量%以上では架橋密度が高くなりすぎ、剥離強度が低下する。
本発明で使用される光重合開始剤(D)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α−ヒドロキシアセトフェノン系として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの中では、黄変しにくいα−ヒドロキシアセトフェノン系、及び内部硬化性に優れるアシルフォスフィンオキサイド系を含むことが好ましい。特に硬化皮膜を100μm以上に厚膜化する場合は、アシルフォスフィンオキサイド系の併用が有効である。配合量はラジカル重合性成分100重量部に対して、1〜10重量部配合することが好ましく、3〜8重量部がさらに好ましい。この範囲で配合する事により、組成物を効率的に硬化させる事ができる。市販品としてはα−ヒドロキシアセトフェノン系でIrgacure184及び同2959が、フォスフィンオキサイド系でIrgacureTPO及び同819(商品名:BASFジャパン社製)などがある。
更に本組成物へ、前記(A)と相溶性が良好な炭素数がC8〜18の直鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b3)を加える事で、透明性を維持しつつ弾性率の調整が可能である。(b3)として例えばノルマルオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート等があり、これらの中では特に炭素数がC10〜14であることが好ましく、とりわけ(A)との相溶性に優れ、ガラス転移点が比較的高いラウリルアクリレートが好適である。(B)に対する(b3)の配合量は、45〜65重量%が好ましく、50〜60重量%が更に好ましい。45重量%以上とすることで硬化皮膜に柔軟性を付与することができ、60重量%以下とすることで充分な皮膜の強度を確保できる。
更に加えて本発明の光硬化性樹脂組成物は、性能を損なわない範囲で、必要に応じ可塑剤、粘着付与剤、光増感剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、重合禁止剤などの添加剤を添加することができる。
本硬化物における弾性率は、8.0×10Pa以下であることが好ましく、5.0×104Pa以下であることが更に好ましい。8.0×10Pa超では、携帯端末電子機器と貼り合わせるカバーパネルが曲面を有する場合、剛性が強くなりすぎるため曲面に追従しにくく、また追従しても経時的に浮きが生じやすくなる。
本硬化物の膜厚が300μmにおける、ガラス板とPETフィルムとの180°剥離強度は、15N/25mm以上であることが好ましい。15N/25mm未満の場合は、上記の弾性率が高い場合と同様に、携帯端末電子機器と貼り合わせるカバーパネルが曲面を有する場合、粘着力が低すぎることにより、曲面に追従しにくくなり、また追従しても経時的に浮きが生じやすい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、タッチパネルもしくはフラットパネルディスプレイ等の画像表示体、例えば携帯機器端末と、これを保護するカバー部材とを貼り合わせるテープ状の粘着剤として使用できる。本発明の光硬化性粘着樹脂組成物は、特にガラス材質に対し優れた密着性を有していると共に、貼り合わせミスにより再貼合する際に糊残りがないというリワーク性にも優れており、スマートフォンの保護ガラス用途で有用である。以下に、テープ製造及び使用方法の具体例を説明するが、これに限定されるものではなく、粘着剤の塗工順序やフィルムの貼り合せ順序は随時選択できる。
PETフィルムに当該粘着剤を塗布後、紫外線照射により硬化させ粘着フィルム(図1)を作成する。塗布方法は特に限定されず公知のロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等が利用できる。塗布する厚みは任意であり、例えば50〜400μmが例示できるが、曲面加工されたガラス製カバーパネルには、200〜350μmの厚膜化が好ましい。また厚膜化する場合は、外観を向上させるため無溶剤化することが好ましい。硬化に用いる紫外線は、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の公知の光源を使用し、積算光量として例えば50〜1,500mJ/cm2を照射して光硬化性組成物を硬化させる。
次に更にPETフィルムと易接着層を有するPETフィルム間にシリコ−ン系の粘着剤を挟んだ3層構造の粘着シート(図2)を別途用意し、易接着PET面に上記で用意した粘着フィルム(図1)の粘着面をラミネートして5層構造の粘着積層フィルム(図3)を作成する。この構成のような表裏の粘着力が異なるテープは、一般的にディファレンシャルテープと呼ばれており、また携帯機器端末とカバー部材を貼り合わせるディファレンシャルテープは、特にABテープと呼ばれることがある。
次に粘着積層フィルム(図3)の当該アクリル系粘着剤側のPETフィルムを剥離しカバー部材となる薄膜ガラスに貼り合わせる。その際必要に応じてオートクレーブや真空ラミネータ等を使用してガラス面と粘着剤の間に残存する泡抜きを行う。その後シリコ−ン系粘着剤側のPETフィルムを剥離し、画像表示パネル面に貼りつける。この粘着積層フィルムを薄膜ガラスと画像表示パネルの間に挿入し貼り合わせる事(図4)で、空気層をなくしコントラストや輝度の低下を防ぐと同時に、ガラス面に突発的な力が加わり破損した場合でも、その粘着力でガラスの飛散を低減する事が可能となり、例えば携帯電話、タブレット端末、デジタルカメラ、テレビ、パソコンモニターなどの電子機器に利用できる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づき詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。
実施例1〜6
水素添加したポリブタジエン骨格を持つ(メタ)アクリル基を有する化合物(A)としてRX71−25(商品名:亜細亜工業社製、水素化ブタジエン系ウレタンアクリレート、Mw.26,000)を、水酸基を有する単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(b1)として4HBA(商品名:大阪有機化学工業社製、4ヒドロキシブチルアクリレート)を、水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマー(b2)としてIB−XA(商品名:共栄社化学社製、イソボルニルアクリレート)を、直鎖アルキル基を有する単官能アクリル酸エステルモノマー(b3)としてLA(商品名:共栄社化学社製、ラウリルアクリレート)を、多官能(メタ)アクリレート(C)として1.9NDA(商品名:共栄社化学社製、1.9ノナンジオールジアクリレート)を、光重合開始剤(D)としてIrgacure184及びIrgacureTPO(商品名:BASFジャパン製)を、可塑剤としてGI−1000(商品名:日本曹達社製、両末端水酸基水素化ポリブタジエン、数平均分子量1500)を、表1記載の配合で均一に溶解するまで撹拌し、実施例1〜6の光硬化性粘着樹脂組成物を調製した。
比較例1〜3
実施例で用いた材料の他、水素添加したポリブタジエン系のウレタンアクリレートとして、サートマーCN9014(商品名:アルケマ社製、水素化ブタジエン系ウレタンアクリレート、Mw.10,000未満)を、表1記載の配合で均一に溶解するまで撹拌し、比較例1〜3の光硬化性粘着樹脂組成物を調整した。
表1
評価方法は以下の通りとした。
紫外線硬化条件
アイグラフィック社製の高圧電極水銀ランプH04−L41を用い、出力100mW/cm、積算光量が800mJ/cmとした。
剥離強度:PETフィルムA4300(商品名:東洋紡社製、厚さ50μm)上に、厚さ300μmとなるよう粘着樹脂組成物を塗布し、その上に軽剥離PETフィルムE7006(東洋紡社製、75μm)をラミネートした後、上記の硬化条件で紫外線硬化させた。その後、幅25mmにカットして軽剥離PETフィルムをはがし、白板ガラスに貼り付けたものを試験片とし、ミネベア社製の引張り試験機TGI−1kNを用い、クロスヘッドスピード300mm/min.で、白板ガラス面に対し180°の剥離強度を測定し、15N/25mm以上を○、以下を×とした。
弾性率:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製HAAKEMARS40を用い、直径20mmΦ、膜厚1mmの樹脂組成物を上記の硬化条件で調整したサンプルを用いて、25℃、1Hzのずりせん断モードの貯蔵弾性率を測定し、8.0×10Pa以下を○、8.0×10Pa超を×とした。
粘度:東機産業製のコーンプレート型粘度計RE−215Rを用い、コーン角3°×R17.65で25±1℃、回転数10rpmで測定し、100〜5,000mPa・sを○、この範囲から外れる場合を×とした。
糊残り:上記剥離強度測定後の試験片を用い、目視にて白板ガラス面に糊残りが無い場合を○、有る場合を×とした。
評価結果
表2
実施例の各樹脂組成物は、剥離強度、弾性率、粘度および糊残り、いずれの評価においても良好な結果を得た。
一方、(C)を含まない比較例1は糊残りが発生し、(C)が上限を超える比較例2は剥離強度が低く、重量平均分子量が小さいウレタンアクリレートを使用した比較例3は剥離強度が小さく、いずれも本願発明に適さないものであった。
本願発明は、画像表示ディスプレイ等の表示体とカバー部材との貼り合わせにおいて、良好な視認性、密着性、段差追従性、リワーク性を有するため、特に曲面を有するスマートフォンの保護ガラス用のABテープ(スマートフォン用途のディファレンシャルテープ)に有用である。
光硬化性粘着樹脂組成物を塗布したフィルムの断面 シリコーン系粘着剤を挟んだ3層構造の積層フィルムの断面 図1と図2を貼り合わせた5層構造の積層フィルムの断面 薄膜ガラスと画像表示パネルを図3のフイルムで貼り合わせた断面
1 剥離用PETフィルム
2 光硬化性粘着樹脂組成物
3 易接着PETフィルム
4 シリコーン粘着剤
5 剥離用PETフィルム
6 薄膜ガラス
7 画像表示パネル

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が10,000〜100,000の水素添加したポリブタジエン骨格を持つ(メタ)アクリル基を有する化合物(A)と、水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(b1)と、水酸基を有さない脂環式の単官能(メタ)アクリレートモノマー(b2)を少なくとも含む単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、多官能(メタ)アクリレートモノマーと(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、組成物全体に対する前記(C)の含有量が0.05〜0.50重量%であることを特徴とする光硬化性粘着樹脂組成物。
  2. 前記(B)が、更に炭素数8〜18の直鎖アルキル骨格を有する単官能(メタ)アクリレート(b3)を含むことを特徴とする、請求項1記載の光硬化性粘着樹脂組成物。
  3. 前記(C)が、炭素数5〜12の直鎖アルキル骨格を有する2官能(メタ)アクリレートモノマーであることを特徴とする、請求項1または2記載の光硬化性粘着樹脂組成物。
  4. 硬化物の弾性率が8.0×10Pa以下であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の光硬化性粘着樹脂組成物。
  5. ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布するテープ用粘着剤であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の光硬化性粘着樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の光硬化性粘着樹脂組成物を用いた、携帯端末電子機器とカバー部材の貼り合わせで使用するディファレンシャルテープ。

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