以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、以下の説明において、「前方」とは、電動自転車の走行時の進行方向であり、「後方」とはその反対方向である。具体的には、電動自転車のサドルに対してハンドル側が「前方」である。「左右方向」は、前後方向に対して直交する方向である。
(実施の形態1)
[構成]
まず、実施の形態1に係る電動自転車1の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る電動自転車1を示す側面図である。
図1に示すように、電動自転車1は、車輪が地面から離間する場合に、車輪の空転を弱めるように、電動モータ21の第2補助駆動力を弱めることができる。
電動自転車1は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、例えばアシストモードであり、ペダル17へのユーザの踏力に基づく車体10の前進を補助する。第2モードには、例えば押し歩きモード又は自走モードが含まれる。押し歩きモードでは、ユーザが電動自転車1を押して歩くときに、ユーザによる車体10を前へ押す力に基づいて、車体10の前進が補助される。自走モードでは、電動自転車1を支えながら進むときの車体10の前進が補助される。なお、第2モードでは、ユーザが電動自転車1を支えながら進むときに、電動自転車1が自走してもよい。
電動自転車1は、車体10と、車体10に取り付けられたモータ駆動ユニット20と、操作部40と、バッテリー50と、前照灯60とを備える。
車体10は、フレーム11と、前輪12と、後輪13と、ハンドル14と、サドル15と、クランク16と、ペダル17と、チェーン19とを備える。
フレーム11は、ヘッドパイプ111と、メインフレーム112と、立パイプ113と、フォーク114と、チェーンステー115とを備える。ヘッドパイプ111は、前輪12を支持するフォーク114及びハンドル14を、ヘッドパイプ111の軸を中心に回転自在に支持する。ハンドル14を左右に回すことで、フォーク114に支持された前輪12の向きを左右に回転させることができる。
メインフレーム112は、ヘッドパイプ111と立パイプ113とを連結する部分である。メインフレーム112の下端部には、クランク16が取り付けられている。
立パイプ113は、サドル15を着脱可能に支持する。具体的には、立パイプ113には、サドル15を支持するシートポストが挿入されて固定される。本実施の形態では、立パイプ113に、バッテリー50が着脱可能に取り付けられている。
フォーク114は、前輪12を回転自在に支持する。前輪12を支持するフォーク114には、前照灯60が取り付けられている。チェーンステー115は、後輪13を回転自在に支持する。
図2は、実施の形態1に係る電動自転車1のハンドル14及び操作部40の斜視図である。
図2に示すように、ハンドル14には、一対のグリップ141及びブレーキレバー142が左右に設けられている。一対のグリップ141は、適切な姿勢で乗車された場合に、手で握られる部分である。また、一対のグリップ141は、電動自転車1を押して又は支えて歩く際にも手で握られて、前方への押力を受ける。一対のグリップ141の少なくとも一方には、握る力又は押力を検知するグリップセンサが設けられていてもよい。
一対のブレーキレバー142は、前輪12及び後輪13の各々に取り付けられた、図示しないブレーキ装置の動作レバーである。一方のブレーキレバー142を操作することで、前輪12に取り付けられたブレーキ装置が駆動され、前輪12に対して機械的な制動力を与える。他方のブレーキレバー142を操作することで、後輪13に取り付けられたブレーキ装置が駆動され、後輪13に対して機械的な制動力を与える。
ブレーキレバー142には、ブレーキセンサが設けられており、このブレーキセンサがブレーキレバー142に対する操作を検出するようになっている。
図1に示すように、サドル15は、ユーザが適切な姿勢で乗車した場合に、人が座る部分である。
クランク16は、クランク軸161と、一対のクランクアーム162とを有する。クランクアーム162は、メインフレーム112の両側に1つずつ設けられており、左右方向に延びるクランク軸161の両端に固定されている。クランクアーム162の一方端がクランク軸161に固定され、他方端には、ペダル17が回転自在に固定されている。ペダル17に踏力が加えられた場合、クランクアーム162がクランク軸161を中心に回転し、当該回転による人力駆動力が前輪12のスプロケット及びチェーン19を介して後輪13に伝達される。第1モードで動作する場合には、踏力に基づく人力駆動力と、当該人力駆動力に付加された電動モータ21による第1補助駆動力とが後輪13に伝達される。
モータ駆動ユニット20は、電動モータ21及び制御装置22が、樹脂製又は金属製の筐体に収納されてユニット化されている。
電動モータ21は、制御装置22による制御に基づいて、バッテリー50からの電力を受けて駆動する。電動モータ21の回転トルクは後輪13のハブシェルに直接伝達されて、後輪13が回転する。回転トルクは、第1補助駆動力及び第2補助駆動力を意味する。また、電動モータ21は、モータ出力を出さない非駆動時に回生電力を発生させてバッテリー50を充電する回生動作を行うことができ、回生ブレーキとして作動することができる。
本実施の形態における電動モータ21は、第1補助駆動力及び第2補助駆動力となるモータである。電動モータ21は、第1モードを実行中に、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、第1補助駆動力を付加する。また、電動モータ21は、第2モードを実行中に、電動自転車1に対する押して又は支えて歩く力に、第2補助駆動力を付加する。
図3は、実施の形態1に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置22は、クランク回転センサ31、モータ回転センサ32、踏力センサ33、電流検出部35などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作を制御する。本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられていてもよい。
制御装置22は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)などで実現され、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで構成されている。あるいは、制御装置22は、専用の電子回路で実現されてもよい。
制御装置22には、電動モータ21、クランク回転センサ31、モータ回転センサ32、踏力センサ33、電流検出部35、電動モータ21、手動スイッチ42、操作部40、バッテリー50及び前照灯60が接続されている。制御装置22には、各スイッチに対する操作信号、及び、各センサによる検出結果が入力される。
クランク回転センサ31及び踏力センサ33は、クランク軸161の近傍に配置されている。モータ回転センサ32は、電動モータ21の回転軸の近傍に配置されている。
クランク回転センサ31は、クランク16の回転数を検出することができる。クランク回転センサ31は、歯車状の回転体と、回転体の歯を挟むように配置された光出射部と受光部とを有する光検出器とを有することで実現する。なお、クランク回転センサ31は、クランク16の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。
モータ回転センサ32は、電動モータ21の回転軸と一体的に回転する磁石と、ホールICとを有する。ホールICは、磁石の回転に応じて変化する磁界の変化を検出することで、磁石の回転数、すなわち、電動モータ21の単位時間当たりの回転数を検出する。なお、モータ回転センサ32は、電動モータ21の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。モータ回転センサ32は、第3センサの一例である。
踏力センサ33は、磁歪式のトルクセンサであり、ペダル17への人力駆動力に基づいてクランク軸161が回転することにより発生する人力駆動力を検出する。踏力センサ33は、コイルと、磁歪発生部とを有する。例えば、ペダル17に踏力が加えられて人力駆動力が発生した場合に、磁歪発生部に歪みが発生する。磁歪発生部には、透磁率が増加する部位と減少する部位とが発生する。このコイルのインダクタンス差を検出することで、人力駆動力を検出する。なお、踏力センサ33の構成は特に限定されず、ペダル17への人力駆動力が検出できればいかなる構成でもよい。人力駆動力は、踏力と同義である。
電流検出部35は、電動モータ21を流れるモータ電流を検出する検出回路である。電流検出部としては、損失の小さな低抵抗器と、低抵抗器の電圧値をフィルタリングしたり増幅したりする。なお、電流検出部35は、低抵抗器を用いたものに限定されず、電動モータに流れる電流を検知することができればいかなる構成でもよい。
制御装置22は、クランク回転センサ31、及び踏力センサ33などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作、つまり、適切な第1補助駆動力を付与するための電動モータ21の出力を制御する。本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられていてもよい。
制御装置22は、バッテリー50から供給される電力を、電動モータ21及び前照灯60に供給する。
制御装置22は、制御部221を有する。制御部221は、電動自転車1の動作モードに応じて、電動モータ21を駆動する。具体的には、制御部221は、第1モードと第2モードとを有し、第1モードと第2モードとを切り替えて実行する。
第1モードの一例であるアシストモードは、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するモードである。アシストモードは、電源スイッチ41が押下されて電源がオンされた後、人が電動自転車1に乗車している場合に実行される。具体的には、アシストモードは、踏力センサ33で検知したペダル17への踏力が所定の閾値より大きい場合に実行される。
第2モードは、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させるモード(押し歩きモード又は自走モード)を有する。つまり、押し歩きモードは、電動自転車1を人が押して歩き力に、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩くモードである。押し歩きモードは、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を押しながら歩く場合に実行される。
自走モードは、電動自転車1を人が支えた状態で、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して自走させるモードである。自走モードは、押し歩きモードと同様に、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を支えながら歩く場合に実行される。自走モードにおいて、人は、車体10を前方に押す力を加えていない。
なお、押し歩きモードと自走モードとは、車体10に対する前方への押す力の有無によって判別可能である。制御部221は、例えば、グリップ141などに設けられたグリップセンサなどによって前方への押す力の有無を検知し、検知結果に応じて押し歩きモードと自走モードとを切り替えて実行してもよい。あるいは、制御部221は、押し歩きモードと自走モードと判別することなく、第2補助駆動力を付加する第2モードとして実行してもよい。
本実施の形態では、押し歩きモード又は自走モードは、手動スイッチ42が押下されている期間に実行される。なお、押し歩きモード又は自走モードは、ペダル17への踏力が所定の閾値より大きい場合には実行されなくてもよい。つまり、アシストモードと押し歩きモード又は自走モードとは、排他的に実行される。
制御部221は、アシストモードを実行する場合、ペダル17への踏力と電動自転車1の走行速度とに基づいて、電動モータ21が生成する第1補助駆動力の大きさを決定する。ペダル17への踏力は、踏力センサ33による検出結果から得られる。電動自転車1の走行速度は、クランク回転センサ31によって検出されたクランク16の単位時間当たりの回転数と、後輪13の大きさとに基づいて算出される。
なお、クランク16の回転数と電動自転車1の走行速度とを予め対応付けたテーブルが、制御装置22のメモリに記憶されていてもよい。制御部221は、当該テーブルを参照することで、クランク16の回転数から電動自転車1の走行速度を決定してもよい。
アシストモードにおける第1補助駆動力は、電動自転車1の走行速度に応じて異なるが、例えば、ペダル17への踏力の2倍以下の大きさである。例えば、制御部221は、電動自転車1の走行速度が時速10km未満の場合に、電動モータ21を駆動することで、ペダル17への踏力の2倍以下の第1補助駆動力を発生させる。制御部221は、速度が時速24km以上の場合は、電動モータ21に第1補助駆動力を発生させない。制御部221は、速度が時速10km以上24km未満の場合には、電動モータ21を駆動することで、速度に応じて定められた第1補助駆動力を発生させる。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行する場合、電動自転車1の走行速度が予め定められた上限値を超えないように、電動モータ21に第2補助駆動力を生成させる。押し歩きモード又は自走モードにおける第2補助駆動力は、例えば、電動自転車1の走行速度が時速6km未満になる大きさである。ここでは、速度の上限値が時速6kmとしたが、3kmでもよく、特に限定されない。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、後輪13の空転が起こっているか否かを判断する。後輪13の空転が起こっているか否かの判断は、無負荷状態で電動モータ21に流れる電流の規定値と、規定値が流れ続ける時間とで判断する。具体的には、電動モータ21が無負荷状態である場合、後輪13が路面と接触していれば、後輪13は回転しない。無負荷状態では、後輪13を回転させるだけのトルクが電動モータ21に働かない。しかし、電動モータ21が無負荷状態である場合、後輪13が路面から離間していれば、後輪13は回転する。電動モータ21が無負荷状態でも、後輪13を回転させるだけのトルクが働くため、後輪13が回転することがある。このことから、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、電動モータ21に流れる電流が規定値以下であり、かつ、所定期間以上継続して電流が流れる場合に、後輪13の空転が起こっていることを判断する。所定期間以上継続して電動モータ21に電流が流れるということは、電流が流れている期間内に、後輪13が空転していることを示している。このため、できるだけ早く後輪13の空転を抑制するために、所定期間をできるだけ短く設定、例えば、数秒程度に設定することが好ましい。
ここで、規定値は、無負荷状態で電動モータ21に流れる電流の値であり、後輪13と路面とが接触している状態では、電動自転車1を走行させる力を有していない。
ここで、空転とは、車輪が地面から離間した状態であり、車輪の回転が電動自転車1の走行に寄与しないことを意味している。
なお、後輪13の空転が起こっていることを例示したが、前輪12であってもよく、後輪13に限定されない。なお、本実施の形態では、車輪の空転については、主に後輪13について説明する。前輪12及び後輪13は、車輪の一例である。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、後輪13の空転が起こっていることを判断したら、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を抑制する。制御部221は、適切な第2補助駆動力を付与するための指令値を算出し、電動モータ21を制御するモータ駆動部に出力する。制御部221は、指令値を、モータ回転センサ32、及び電流検出部35などが出力したデータ値などに基づいて算出する。モータ駆動部は、制御部221からの指令値に基づいて、その指令値に応じた電力をバッテリー50から電動モータ21に供給する。これにより、電動モータ21は、駆動することで所定のモータトルクを発生させる。このことから、制御部221は、電動モータ21の現状の第2補助駆動力を、弱めるような指令値を算出し、モータ駆動部を介して、電動モータ21の第2補助駆動力を抑制する。
ここでいう電動モータ21の第2補助駆動力を抑制とは、電動モータ21の第2補助駆動力を僅かに付与させて、後輪13を低速で回転させるように制御したり、電動モータ21の第2補助駆動力をゼロにして、後輪13の回転を停止させたりすることも含む。電動自転車1の走行速度が例えば時速1km以下、又は2km以下となるように、後輪13が低速で回転する。
制御部221により後輪13の空転が起こっていることを判断すると、電動モータ21は、後輪13に回生制動力を付与する。後輪13によって回生電力を発生させることで、後輪13の回転に対して回生制動力、つまり、回生ブレーキを作動させ、この間にバッテリーを充電する。
バッテリー50は、電動モータ21の駆動用の電力を貯める蓄電池である。バッテリー50は、例えば、二次電池であるが、キャパシタなどであってもよい。バッテリー50は、電動モータ21に電気的に接続されている。具体的には、バッテリー50は電動モータ21に対して電力を供給するとともに、電動モータ21からの回生電力を充電する。
操作部40は、電源スイッチ41、前照灯60を点灯させるライトスイッチなどが設けられている端末装置である。操作部40は、ユーザによる操作を受け付ける、タッチパネルディスプレイ、機械式のボタンなどである。
図4は、実施の形態1に係る電動自転車1の表示部44を示す模式図である。図4に示すように、操作部40は、後輪13の空転が起こっていることを表示する表示部44を備える。表示部44は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。
[動作]
図5は、実施の形態1に係る電動自転車1の動作を示すフローチャートである。
ここでは、予め電源スイッチ41がオンされた場合を想定し、電動自転車1の空転検出の動作について説明する。
図5に示すように、まず、手動スイッチ42は、ユーザにより押されている(S11)。制御部221は、押し歩きモード又は自走モード(第2モード)を実行する(S12)。具体的には、制御部221は、電動モータ21を駆動することで、第2補助駆動力を発生させる。これにより、ユーザによる押して又は支えて歩く力に、電動モータ21の回転に応じた第2補助駆動力が付加される。なお、手動スイッチ42を押下していない場合、アシストモードを実行していてもよい。ステップS12は、モード実行工程の一例である。
次に、制御部221は、電動モータ21に流れる電流が規定値以下であるか否かを判断する。つまり、制御部221は、無負荷状態の電動モータ21に流れる電流値を算出し、電流値が規定値以下であるか否かを判断する(S13)。無負荷状態では、電動モータ21に流れる電流が小さく、後輪13が路面に接触している場合では、後輪13を回すだけの力がない。しかし、後輪13が路面から離間している場合では、後輪13に路面からの負荷がかからないため、無負荷状態の電動モータ21に流れる電流で後輪13が回転する。
次に、制御部221は、電動モータ21に流れる電流が規定値以下であると判断すると(S13でYes)、無負荷状態で電流が流れる期間のカウントを開始する(S14)。カウントは、電動モータ21に流れる電流がどれだけの期間であるかを算出する。
次に、制御部221は、所定期間以上継続して電動モータ21に電流が流れているか否かを判断する(S15)。これは、例えばスタンドが電動自転車1を起立状態で支持する場合、後輪13が路面から離間した状態となるため、電動モータ21に電流が流れていれば、後輪13が空転する。
制御部221は、所定期間以上継続して電動モータ21に電流が流れていないことを判断すると(S15でNo)、この処理を終了し、このフローを繰り返す。
一方、制御部221は、所定期間以上継続して電動モータ21に電流が流れていることを判断すると(S15でYes)、後輪13が空転していると判断する。
次に、制御部221は、後輪13が空転していることを示す情報を表示部44に出力する。表示部44は、後輪13が空転していることを表示する(S16)。
次に、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を停止させる(S17)。そして、この処理を終了し、このフローを繰り返す。なお、ステップS16とステップS17との順番は入れ替わってもよい。ステップS17は、駆動力制御工程の一例である。
また、制御部221は、無負荷状態で電動モータ21に流れる電流が規定値以下ではないことを判断すると(S13でNo)、電動モータ21に電流が流れていることをカウントした期間をリセットする(S18)。例えば、電動自転車1のスタンド90を降下状態にした場合では、後輪13が路面から離間している。この間は、無負荷状態で電動モータ21に電流が流れるため、電動モータ21に電流が流れている期間をカウントする。この際、所定期間が経過するまでに、ユーザがスタンド90を昇降状態にした場合には、電動自転車1を押して又は支えて歩くため、電動モータ21に規定値よりも大きい電流が流れる。無負荷状態は解除されるため、制御部221がカウントとした電動モータ21に電流が流れた期間をリセットする。そして、この処理を終了し、このフローを繰り返す。
[作用効果]
次に、本実施の形態における電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る電動自転車1は、電動モータ21を備える電動自転車1である。電動自転車1は、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードと、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させる第2モード(押し歩きモード又は自走モード)とを切り替えて実行する制御部221を備える。そして、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、後輪13の空転が起こっていることを判断したら、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を抑制する。
このように、押し歩きモード又は自走モードにおいて、制御部221は、後輪13の空転を検知したら、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を抑制する。例えば、後輪13が路面から離間した状態となって後輪13の空転が起こっても、後輪13の回転が抑制されるため、回転する後輪13に身体が不意に接触しても、怪我が生じ難くなる。
したがって、この電動自転車1では、後輪13の空転を抑制することで、安全性を高めることができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1の制御方法は、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードと、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させる第2モードとを切り替えて実行するモード実行工程と、押し歩きモード又は自走モードにおいて、後輪13の空転が起こっていることを検知したら、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を抑制する駆動力制御工程とを含む。
この方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、電動モータ21に流れる電流が規定値以下であり、かつ、所定期間以上継続して電流が流れる場合に、後輪13の空転が起こっていることを判断する。
この構成によれば、押し歩きモード又は自走モードにおいて、規定値以下の電流が所定期間以上、電動モータ21に流れる場合は、後輪13が路面から離間していることを意味している。このことから、制御部221は、後輪13が空転していることを判断できる。その結果、この電動自転車1では、後輪13の回転が抑制される。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、制御部221により後輪13の空転が起こっていることを判断すると、電動モータ21は、後輪13に回生制動力を付与する。
このように、電動モータ21は、後輪13が空転する際に、後輪13が回転するエネルギーを回生制動力に付与する。このため、後輪13が空転しても、回生制動力により後輪13の回転を抑制することができる。この電動自転車1では、回生制動力のオン時における電動自転車1の安全性を高めることができる。
特に、回生制動力のオン時では、バッテリー50の充電を行うこともできる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1は、さらに、後輪13の空転が起こっていることを表示する表示部44を備える。
このように、制御部221により後輪13が空転していると判断すると、後輪13の空転が起こっていることを、表示部44が表示するため、ユーザは、後輪13が空転していることを認知することができる。このため、ユーザは、押し歩きモード又は自走モードを停止させるなどの対応を取ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る電動自転車1及び電動自転車1の制御方法について説明する。
[構成]
本実施の形態では、電動自転車1がさらに車速センサ243を有している点で実施の形態1と相違する。本実施の形態の電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図6は、実施の形態2に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、電動自転車1は、さらに、車速センサ243を有する。
制御装置22には、車速センサ243がさらに接続されている。制御装置22は、クランク回転センサ31、踏力センサ33の他に、車速センサ243などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作、つまり、適切な第2補助駆動力を付与するための電動モータ21の出力を制御する。
車速センサ243は、例えば、フォーク114の下端部に設けられている。車速センサ243は、前輪12の回転から電動自転車1の走行速度を検出し、走行速度を示す速度情報を制御装置22に送信する。車速センサ243は、例えば、速度センサなどである。車速センサ243は、電動自転車1の走行速度に関する速度情報を制御部221に出力する。速度センサは、例えば、ホイルセンサ、対地速度により算出するサイクルコンピュータなどであってもよいが、電動自転車1の走行速度を検知することができればいかなる構成でもよい。車速センサ243は、第2センサの一例である。
制御部221は、車速センサ243から速度情報を取得し、かつ、モータ回転センサ32から電動モータ21の回転速度を示す情報を取得する。制御部221は、車速センサ243により検知した電動自転車1の走行速度が第1閾値以下であるか否かを判断する。また、制御部221は、電動モータ21の回転速度が第2閾値以上であるか否かを判断する。この判断の順番は、入れ替えることが可能である。制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、車速センサ243により検知した電動自転車1の走行速度が第1閾値以下であり、かつ、モータ回転センサ32により電動モータ21の回転速度が第2閾値以上である場合に、車輪の空転が起こっていることを判断する。第1閾値はゼロに近い値であり、第2閾値は、ゼロよりも大きい値である。ここで、第1閾値及び第2閾値は、予め設定した値であり、任意に設定変更することができる。
例を挙げれば、電動自転車1の走行速度が第1閾値以下、例えば0kmであり、かつ、電動モータ21の回転速度が第2閾値以上である場合は、電動自転車1が路面に対して停止した状態であるにも関わらず、電動モータ21が回転している場合がある。このことは、後輪13に空転が起こっていることを意味していると考えられる。
[動作]
図7は、実施の形態2に係る電動自転車1の動作を示すフローチャートである。
ここでは、予め電源スイッチ41がオンされた場合を想定し、電動自転車1の空転検出の動作について説明する。なお、図5と同様の処理については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図7に示すように、まず、手動スイッチ42は、ユーザにより押されている(S11)。制御部221は、押し歩きモード又は自走モード(第2モード)を実行する(S12)。
次に、制御部221は、電動自転車1の走行速度が第1閾値以下であるか否かを判断する(S33)。制御部221は、車速センサ243から電動自転車1の走行速度を示す速度情報を取得し、速度情報が示す速度が第1閾値以下であるか否かを判断する。これによって、制御部221は、電動自転車1が走行しているかどうかを判断する。
次に、制御部221は、電動自転車1の走行速度が第1閾値以下であると判断すると(S33でYes)、電動モータ21の回転速度が第2閾値以上であるか否かを判断する(S34)。制御部221は、モータ回転センサ32から電動モータ21の回転数を示す回転情報を取得し、回転情報が示す回転数から導き出された回転速度が第2閾値以上であるか否かを判断する。制御部221は、電動自転車1が走行する程度に電動モータ21が回転しているかどうかを判断する。
次に、制御部221は、電動モータ21の回転速度が第2閾値以上であると判断すると(S34でYes)、後輪13が空転していると判断する(S35)。何故ならば、電動自転車1の走行速度が第1閾値以下、例えば0kmであるにも関わらず、電動モータ21の回転速度が第2閾値以上である場合、電動自転車1は路面に対して停止した状態であり、かつ、電動モータ21が回転している、つまり、後輪13が路面から離間していることを意味している。このことから、電動自転車1は、後輪13が空転していると考えられる。
次に、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を抑制するように制御する(S36)。そして、制御装置22は、この処理を終了し、ステップS11の処理に戻る。ステップS36は、駆動力制御工程の一例である。
一方、制御部221により電動自転車1の走行速度が第1閾値よりも大きいと判断した場合(S33でNo)、電動自転車1が走行していることが考えられるため、後輪13が空転しているはずもないため、制御装置22は、この処理を終了する。
また、電動モータ21の回転速度が第2閾値未満であると判断した場合(S34でNo)、電動自転車1が走行していないものの、電動モータ21が回転していない、又は、ほとんど回転していないと考えられる。このため、後輪13は、回転していない又は非常にゆっくりと空転している状態であると考えられるため、制御装置22は、この処理を終了する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る電動自転車1は、さらに、電動自転車1の走行速度を検知する車速センサ243と、電動モータ21の回転速度を検知するモータ回転センサ32とを備える。そして、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、車速センサ243により検知した電動自転車1の走行速度が第1閾値以下であり、かつ、モータ回転センサ32により電動モータ21の回転速度が第2閾値以上である場合に、後輪13の空転が起こっていることを判断する。
この構成によれば、電動自転車1は停止しているものの、電動モータ21が回転している、つまり、後輪13が空転していることを意味している。このため、制御部221は、電動自転車1の走行速度と電動モータ21の回転速度に基づいて、後輪13が空転していることを判断することができる。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る電動自転車1及び電動自転車1の制御方法について説明する。
[構成]
本実施の形態の電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図8は、実施の形態3に係る電動自転車1の後輪13部分を示す部分側面図である。図9は、実施の形態3に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、電動自転車1の車体10は、フレーム11、前輪12、後輪13、ハンドル14、サドル15、クランク16、ペダル17、チェーン19の他に、スタンド90を有する。
スタンド90は、電動自転車1の停止中に起立状態で支え、車体10に対して昇降自在な器具である。スタンド90は、例えば後輪13のハブ軸に固定され、ハブ軸に対して回動可能である。スタンド90は、電動自転車1の停止中に、電動自転車1を起立状態で支持する降下状態となり、電動自転車1の走行中に昇降状態となる。スタンド90は、後輪13のハブ軸に対して回転自在な取付板と、取付板に固定されたスタンド足と、スタンド足を降下状態及び昇降状態に維持するバネとを有する。スタンド90は、両足スタンドである。スタンド90が降下状態では、後輪13が路面から持ち上げられた姿勢で、後輪13の前輪12とスタンド90とで電動自転車1が支持される。つまり、スタンド90が降下状態では、後輪13が路面から離間している。スタンド90が昇降状態では、後輪13が路面から持ち上げられた姿勢で、前輪12とスタンド90とで電動自転車1が支持される。当然のことながら、スタンド90の降下状態及び昇降状態は、排他的となる。
図9に示すように、電動自転車1は、車体10、モータ駆動ユニット20、操作部40、バッテリー50、前照灯60の他に、スタンドセンサ334を備える。
スタンドセンサ334は、スタンド90の昇降を検知するセンサである。スタンドセンサ334は、スタンド90が昇降状態から降下状態になると、スタンド90が降下していることを示す降下信号を出力する。スタンドセンサ334は、例えば、接触センサ、赤外線センサ、カメラなどの撮像素子、傾斜センサ、磁歪センサなどである。スタンドセンサ334は、第1センサの一例である。
接触センサを用いる場合、例えば、スタンド90が降下状態となったときに取付板又はフレームが接触センサに接触し、スタンド90が昇降状態となったときに取付板又はフレームが接触センサから離間するように、接触センサをフレーム又は取付板に配置してもよい。赤外線センサを用いる場合、例えば、赤外線センサの受光側を取付板に配置し、赤外線センサの発光側をフレームに配置することで、スタンド90の降下状態を検知してもよい。撮像素子を用いる場合、例えばスタンド足を画像認識することにより、スタンド90の降下状態を検知してもよい。傾斜センサを用いる場合、昇降状態に対するスタンド90の傾きにより、スタンド90の降下状態を検知してもよい。また、スタンド90の降下状態にすると電動自転車1は後ろ上がりになるため、電動自転車1は水平面に対して傾く。このため、傾斜センサは、モータ駆動ユニット20内に配置してもよい。磁歪センサを用いる場合、後輪13のハブ軸に配置してもよい。例えば、スタンド90が昇降状態にあるときは、後輪13が路面に載置している状態であるため、電動自転車1の自重により後輪13のハブ軸が歪む。磁歪センサは、この歪を検知する。一方、後輪13が路面から離間している場合、電動自転車1の重みの負荷がかからないため、ハブ軸の歪はさほど生じない。つまり、歪が生じていない場合が、スタンド90が降下状態であると判断できる。
制御部221は、スタンド90の降下状態及び昇降状態を検知することで、後輪13の空転が起こっているか否かを判断する。つまり、スタンド90が降下状態にあるということは、後輪13が路面から離間していることを意味している。このため、押し歩きモード又は自走モードが実行されれば、後輪13は回転してしまう。一方で、スタンド90の昇降状態では、後輪13が路面と接触しているため、押し歩きモード又は自走モードが実行されても後輪13が空転しない。
制御部221は、スタンドセンサ334によりスタンド90の降下状態を検知すると、押し歩きモード又は自走モードの実行中において、電動モータ21の第2補助駆動力を停止させる。つまり、制御部221は、適切な第2補助駆動力を付与するための指令値を算出し、電動モータ21を制御するモータ駆動部に出力する。モータ駆動部は、制御部221からの指令値に基づいて、バッテリー50から電動モータ21への電力の供給を停止する。
[動作]
図10は、実施の形態3に係る電動自転車1の動作を示すフローチャートである。
ここでは、予め電源スイッチ41がオンされた場合を想定し、電動自転車1の空転検出の動作について説明する。なお、図5と同様の処理については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図10に示すように、まず、手動スイッチ42は、ユーザにより押されている(S11)。制御部221は、押し歩きモード又は自走モード(第2モード)を実行する(S12)。
次に、制御部221は、スタンド90が降下状態であるか否かを判断する(S53)。つまり、スタンド90が降下状態にあれば、後輪13が路面から離間している状態となっているため、後輪13が空転する恐れがあると考えられる。
次に、制御部221は、スタンドセンサ334によりスタンド90が降下したことを示す降下情報を取得することで、スタンド90が降下状態であると判断する(S53でYes)。制御部221は、後輪13が空転していることを示す情報を表示部44に出力する。表示部44は後輪13が空転していることを表示する(S54)。これにより、ユーザは、電動自転車1の後輪13が空転していることを認知する。
次に、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を停止させる(S55)。なお、ステップS55では、ユーザが表示部44を介して、後輪13が空転していることを認識することで、手動スイッチ42をオフにすることで、電動モータ21の第2補助駆動力を停止させてもよい。なお、ステップS54とステップS55との順番は入れ替わってもよい。ステップS55は、駆動力制御工程の一例である。
一方、制御部221は、スタンド90が降下状態でない場合は(S53でNo)、この処理を終了する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る電動自転車1は、さらに、電動自転車1の停止中に起立状態で支える昇降自在のスタンド90と、スタンド90の昇降を検知するスタンドセンサ334とを備える。制御部221は、スタンドセンサ334によりスタンド90の降下状態を検知すると、押し歩きモード又は自走モードの実行中において、電動モータ21の第2補助駆動力を停止させる。
後輪13が空転する状態というのは、後輪13が路面から離間している状態であり、この状態は、スタンド90が電動自転車1を起立状態で支えることで行われる。このため、押し歩きモード又は自走モードにおいて、スタンドセンサ334によりスタンド90の降下状態を検知すると、制御部221は、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を停止させる。その結果、この電動自転車1では、スタンド90の降下状態にするだけで、後輪13の空転を停止することができるため、安全性をより高めることができる。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態4)
本実施の形態に係る電動自転車1及び電動自転車1の制御方法について説明する。
[構成]
本実施の形態の電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1等と同様であるため、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図11は、実施の形態4に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。図11に示すように、本実施の形態では、車速センサ243をさらに有している点で、実施の形態3と相違する。また、本実施の形態の車速センサ243は、実施の形態2の車速センサ243と同様の構成であるため、その説明を省略する。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードにおいて、スタンドセンサ334によりスタンド90の降下状態を検知すると、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を所定力以下に弱める。ここでいう所定力以下とは、電動モータ21の第2補助駆動力を僅かに付与させて、後輪13を低速で回転するだけでなく、電動モータ21の第2補助駆動力をゼロにして、後輪13の回転を停止させることも含む。後輪13が回転する速度は、例えば時速1km以下、又は2km以下である。
[動作]
図12は、実施の形態4に係る電動自転車1の動作を示すフローチャートである。
ここでは、予め電源スイッチ41がオンされた場合を想定し、電動自転車1の空転検出の動作について説明する。なお、図5、及び図10と同様の処理については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図12に示すように、まず、手動スイッチ42は、ユーザにより押されている(S11)。制御部221は、押し歩きモード又は自走モード(第2モード)を実行する(S12)。
次に、制御部221は、スタンド90が降下状態であるか否かを判断する(S53)。
次に、制御部221は、スタンドセンサ334によりスタンド90が降下したことを示す降下情報を取得することで、スタンド90が降下状態であると判断する(S53でYes)。制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を所定力以下に弱める(S64)。これにより、後輪13の回転速度が遅くなるため、電動自転車1の安全性が高まる。ステップS64は、駆動力制御工程の一例である。
一方、制御部221は、スタンド90が降下状態でない場合は(S53でNo)、この処理を終了する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る電動自転車1は、さらに、電動自転車1の停止中に起立状態で支える昇降自在のスタンド90と、スタンド90の昇降を検知するスタンドセンサ334とを備える。そして、押し歩きモード又は自走モードにおいて、スタンドセンサ334によりスタンド90の降下状態を検知すると、制御部221は、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を所定力以下に弱める。
このように、押し歩きモード又は自走モードにおいて、スタンドセンサ334によりスタンド90の降下状態を検知すると、制御部221は、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を所定力以下に弱める。その結果、この電動自転車1では、スタンド90の降下状態にするだけで、第2補助駆動力を所定力以下に弱めることができるため、安全性をより高めることができる。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(その他)
以上、本発明に係る電動自転車及び電動自転車の制御方法について、上記の実施の形態1〜4に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態1〜4に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1〜4では、押し歩きモード又は自走モードを開始する指示を受け付ける入力部の一例として、手動スイッチを備える例を示したが、これに限らない。例えば、手動スイッチの代わりに、ハンドルのグリップに設けられたグリップセンサを備えてもよい。グリップセンサが前方への押力を検出した場合に、制御部は、押し歩きモード又は自走モードを実行してもよい。グリップセンサが前方への押力を検出しない場合に、制御部は、押し歩きモード又は自走モードを停止してもよい。
また、上記実施の形態1〜4では、第2補助駆動力を抑制されて車輪が空転している場合に、何らかの障害物が接触した場合、制御部は、接触を検知して、車輪の空転を停止させてもよい。車輪への接触は、例えば、センサなどによって接触を検知してもよい。
また、上記実施の形態1〜4において、制御装置の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、制御装置の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
その他、各実施の形態1〜4に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態1〜4における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。