以下では、本発明の実施の形態に係る電動自転車及びその制御方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、以下の説明において、「前方」とは、電動自転車の走行時の進行方向であり、「後方」とはその反対方向である。具体的には、電動自転車のサドルに対してハンドル側が「前方」である。「左右方向」は、前後方向に対して直交する方向であり、前方を向いたときの左側が「左方向」であり、右側が「右方向」である。
(実施の形態1)
[構成]
まず、実施の形態1に係る電動自転車の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る電動自転車1を示す側面図である。
本実施の形態に係る電動自転車1は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、例えばアシストモードであり、ペダル17への踏力に基づく車体10の前進が補助(アシスト)される。第2モードには、例えば押し歩きモード又は自走モードが含まれる。押し歩きモードでは、電動自転車1を押して歩くときの車体10を前へ押す力に基づく車体10の前進が補助される。自走モードでは、電動自転車1を支えながら進むときの車体10の前進が補助される。各モードの詳細については、後で説明する。
図1に示されるように、電動自転車1は、車体10と、車体10に取り付けられたモータ駆動ユニット20、操作部40、バッテリー50、前照灯60及び押下式スイッチ70とを備える。車体10は、フレーム11と、前輪12と、後輪13と、ハンドル14と、サドル15aと、シートポスト15bと、クランク16と、ペダル17と、駆動スプロケット18と、チェーン19とを備える。モータ駆動ユニット20は、電動モータ21と、電動モータ21を制御する制御装置22とを備える。また、図1には示していないが、電動自転車1は、クランク回転センサ31と、踏力センサ33とを備える(図3を参照)。
フレーム11は、図1に示されるように、ヘッドパイプ111と、メインフレーム112と、立パイプ113と、フォーク114と、チェーンステー115とを備える。ヘッドパイプ111は、前輪12を支持するフォーク114及びハンドル14を、ヘッドパイプ111の軸を中心に回転自在に支持する。ハンドル14を左右に回すことで、フォーク114に支持された前輪12の向きを左右に回転させることができる。
メインフレーム112は、ヘッドパイプ111と立パイプ113とを連結する部分である。メインフレーム112の下端部には、クランク16及びモータ駆動ユニット20が取り付けられている。本実施の形態に係る電動自転車1は、クランク16とモータ駆動ユニット20とが一体化された、いわゆるセンターユニット方式の電動自転車である。
立パイプ113は、サドル15aを着脱可能に支持する。具体的には、立パイプ113には、サドル15aを支持するシートポスト15bが挿入されて固定される。本実施の形態では、立パイプ113に、バッテリー50が着脱可能に取り付けられている。
フォーク114は、前輪12を回転自在に支持する。前輪12を支持するフォーク114には、前照灯60が取り付けられている。チェーンステー115は、後輪13を回転自在に支持する。
ハンドル14には、図2に示されるように、一対のグリップ141及びブレーキレバー142が左右に設けられている。図2は、本実施の形態に係る電動自転車1のハンドル14及び操作部40の斜視図である。
一対のグリップ141は、適切な姿勢で乗車された場合に、手で握られる部分である。また、一対のグリップ141は、電動自転車1を押し歩く際にも手で握られて、前方への押力を受ける。一対のグリップ141の少なくとも一方には、握る力又は押力を検出するグリップセンサが設けられていてもよい。
一対のブレーキレバー142は、前輪12及び後輪13の各々に取り付けられたブレーキ装置(図示せず)の動作レバーである。一方のブレーキレバー142を操作することで、前輪12に取り付けられたブレーキ装置(図示せず)が駆動され、前輪12に対して機械的な制動力を与える。他方のブレーキレバー142を操作することで、後輪13に取り付けられたブレーキ装置(図示せず)が駆動され、後輪13に対して機械的な制動力を与える。
サドル15aは、適切な姿勢で乗車された場合に、人が座る部分である。サドル15aは、シートポスト15bに連結されている。シートポスト15bは、立パイプ113に挿入され、シートクランプ(図示せず)で締められて固定される。本実施の形態では、シートポスト15bには、荷重センサの一例である押下式スイッチ70が設けられている。サドル15a及びシートポスト15bの具体的な構成については、図5を用いて後で説明する。
クランク16は、図1に示されるように、クランク軸161と、一対のクランクアーム162とを有する。クランクアーム162は、メインフレーム112の両側に1つずつ設けられており、左右方向に延びるクランク軸161の両端に固定されている。クランクアーム162の一方端がクランク軸161に固定され、他方端には、ペダル17が回転自在に固定されている。ペダル17に踏力が加えられた場合、クランクアーム162がクランク軸161を中心に回転し、当該回転による人力駆動力が駆動スプロケット18及びチェーン19を介して後輪13に伝達される。アシストモードで動作する場合には、踏力に基づく人力駆動力と、当該人力駆動力に付加された電動モータ21による補助駆動力とが後輪13に伝達される。
モータ駆動ユニット20は、電動モータ21及び制御装置22が、樹脂製又は金属製の筐体に収納されてユニット化されている。また、当該筐体には、クランク回転センサ31及び踏力センサ33(図3を参照)も収納されている。
電動モータ21は、制御装置22による制御に基づいて、バッテリー50からの電力を受けて駆動する。電動モータ21の回転トルク(すなわち、補助駆動力)は、駆動スプロケット18に伝達されて、駆動スプロケット18が回転する。これにより、後輪13を回転させることができる。
制御装置22は、クランク回転センサ31、踏力センサ33及び押下式スイッチ70などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作を制御する。本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられていてもよい。
図3は、本実施の形態に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。具体的には、図3は、電動自転車1の構成のうち、電力を使用する主な構成を示している。
図3に示されるように、電動自転車1の制御装置22は、制御部221を有する。制御装置22は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)などで実現され、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで構成されている。あるいは、制御装置22は、専用の電子回路で実現されてもよい。
制御装置22には、図3に示されるように、電源スイッチ41、手動スイッチ42、ライトスイッチ43、クランク回転センサ31、踏力センサ33及び押下式スイッチ70が接続されている。制御装置22には、各スイッチに対する操作信号(具体的には、押下の有無)、及び、各センサによる検出結果が入力される。
また、制御装置22には、バッテリー50と、電動モータ21、表示部44及び前照灯60とが接続されている。制御装置22は、バッテリー50から供給される電力を、電動モータ21、表示部44及び前照灯60に供給する。
制御部221は、電動自転車1の動作モードに応じて、電動モータ21を駆動する。具体的には、制御部221は、第1モードと第2モードとを切り替えて実行する。
第1モードの一例であるアシストモードは、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するモードである。アシストモードは、電源スイッチ41が押下されて電源がオンされた後、人が電動自転車1に乗車している場合に実行される。具体的には、アシストモードは、ペダル17への踏力が第2閾値Th2より大きい場合に実行される。
第2モードの一例である押し歩きモードは、電動自転車1を人が押して歩くときに、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩くモードである。押し歩きモードは、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を押しながら歩く場合に実行される。
第2モードの一例である自走モードは、電動自転車1を人が支えた状態で、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して自走させるモードである。自走モードは、押し歩きモードと同様に、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を支えながら歩く場合に実行される。自走モードにおいて、人は、車体10を前方に押す力を加えていない。
なお、押し歩きモードと自走モードとは、車体10に対する前方への押す力の有無によって判別可能である。制御部221は、例えば、グリップ141などに設けられたグリップセンサなどによって前方への押す力の有無を検知し、検知結果に応じて押し歩きモードと自走モードとを切り替えて実行してもよい。あるいは、制御部221は、押し歩きモードと自走モードと判別することなく、第2補助駆動力を付加する第2モードとして実行してもよい。
本実施の形態では、押し歩きモード又は自走モードは、手動スイッチ42が押下されている期間に実行される。なお、押し歩きモード又は自走モードは、ペダル17への踏力が第2閾値Th2より大きい場合には実行されない。つまり、アシストモード(第1モード)と押し歩きモード又は自走モード(第2モード)とは、排他的に実行される。
制御部221は、アシストモードを実行する場合、ペダル17への踏力と電動自転車1の速度とに基づいて、電動モータ21が生成する第1補助駆動力の大きさを決定する。ペダル17への踏力は、踏力センサ33による検出結果から得られる。電動自転車1の速度は、後輪13の単位時間当たりの回転数と、後輪13の大きさとに基づいて算出される。なお、電動自転車1の速度は、前輪12の単位時間当たりの回転数と前輪12の大きさとに基づいて算出されてもよい。例えば、ホールICなどの車速を検知するセンサが前輪12又は後輪13に取り付けられている。車速の検知手段は、特に限定されない。
なお、前輪12又は後輪13の単位時間当たりの回転数と電動自転車1の速度とを予め対応付けたテーブルが、制御装置22のメモリに記憶されていてもよい。制御部221は、当該テーブルを参照することで、前輪12又は後輪13の回転数から電動自転車1の速度を決定してもよい。
アシストモードにおける第1補助駆動力は、走行時の速度に応じて異なるが、例えば、ペダル17への踏力の2倍以下の大きさである。例えば、制御部221は、速度が時速10km未満の場合に、電動モータ21を駆動することで、ペダル17への踏力の2倍以下の第1補助駆動力を発生させる。制御部221は、速度が時速24km以上の場合は、電動モータ21に第1補助駆動力を発生させない。制御部221は、速度が時速10km以上24km未満の場合には、電動モータ21を駆動することで、速度に応じて定められた第1補助駆動力を発生させる。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行する場合、電動自転車1の自走の速度が予め定められた上限値を超えないように、電動モータ21に第2補助駆動力を生成させる。押し歩きモード又は自走モードにおける第2補助駆動力は、例えば、自走の速度が時速6km未満になる大きさである。ここでは、自走の速度の上限値が時速6kmとしたが、3kmでもよく、特に限定されない。
本実施の形態では、制御部221は、押下式スイッチ70による検知結果に基づいて、第2補助駆動力を調整する。具体的には、制御部221は、サドル15aへの荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、押し歩きモード又は自走モードが実行中の場合に、第2補助駆動力を調整する。ここで、調整とは、第2補助駆動力を抑制するように調整することである。具体的には、制御部221は、第2補助駆動力を低下させ、又は、第2補助駆動力の付加を停止させる。あるいは、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを停止する。また、例えば、制御部221は、サドル15aへの荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、押し歩きモード又は自走モードが実行されていない場合に、押し歩きモード及び自走モードの実行を禁止する。
第1閾値Th1は、サドル15aに対する着座状態(すなわち、乗車状態)及び非着座状態(すなわち、非乗車状態)を判断するための閾値である。サドル15aへの荷重が第1閾値Th1より大きい場合、制御部221は、着座状態であると判断し、第2補助駆動力を調整し、又は、押し歩きモード若しくは自走モードの実行を禁止する。サドル15aへの荷重が第1閾値Th1以下である場合、制御部221は、非着座状態であると判断し、押し歩きモード又は自走モードの実行を許可する。
押下式スイッチ70は、サドル15aへの荷重が第1閾値Th1より大きい場合に押下される。押下式スイッチ70が押下された時、押下式スイッチ70は、押下信号を出力する。制御部221は、押下信号を受信した場合に、第2補助駆動力を調整し、又は、押し歩きモード若しくは自走モードの実行を禁止する。具体的には、制御部221は、電動モータ21の駆動を停止する。
電源スイッチ41及び手動スイッチ42は、図1及び図2に示されるように、ハンドル14に設けられた操作部40に含まれている。
図4は、本実施の形態に係る電動自転車1の操作部40の平面図である。操作部40は、図4に示されるように、電源スイッチ41と、手動スイッチ42と、ライトスイッチ43と、表示部44とが設けられている。
電源スイッチ41は、電源のオン及びオフを切り替えるスイッチである。具体的には、電源スイッチ41は、バッテリー50から電動モータ21への電力供給の許可及び停止を切り替える。
例えば、電源がオフされている状態(電源オフ状態)で電源スイッチ41が押下されたとき、バッテリー50から電動モータ21への電力供給が可能になる(電源オン状態)。このため、制御部221は、アシストモード、及び、押し歩きモード又は自走モードを実行可能になる。また、電源オン状態で電源スイッチ41が押下されたとき、バッテリー50から電動モータ21への電力供給が停止される。このため、制御部221は、アシストモード、押し歩きモード及び自走モードのいずれも実行不可能になる。
手動スイッチ42は、押し歩きモード又は自走モードを開始する指示を受け付ける入力部の一例である。本実施の形態では、制御部221は、手動スイッチ42が押下されている期間のみ、押し歩きモード又は自走モードを実行する。つまり、手動スイッチ42を押し続けながら車体10を押して又は支えて歩くことで、押し歩きモード又は自走モードが実行される。これにより、電動モータ21による第2補助駆動力が発生し、押し歩き又は自走を補助することができる。手動スイッチ42の押下を止めた場合、電動モータ21の駆動が停止され、第2補助駆動力も発生しなくなる。
なお、手動スイッチ42を1回押下した場合に、その後、手動スイッチ42を押し続けなくても、押し歩きモード又は自走モードが実行されてもよい。押し歩きモード又は自走モードの実行中に、再び手動スイッチ42を押下した場合に、押し歩きモード又は自走モードが停止されてもよい。この場合、押し歩きの際に、手動スイッチ42を押し続けなくてよいので、車体10を押すことに専念することができる。つまり、押し歩きの際にバランスを崩しにくくなり、転倒などの危険性を低下させることができる。
また、手動スイッチ42には、押し歩きモードを実行するための押し歩きスイッチと、自走モードを実行するための自走スイッチとの2つの異なるスイッチが含まれてもよい。制御部221は、押し歩きスイッチが押下されたとき、押し歩きモードを実行し、自走スイッチが押下されたとき、自走モードを実行してもよい。
ライトスイッチ43は、前照灯60の点灯及び消灯を切り替えるスイッチである。表示部44は、バッテリー50の残量を表示する。
電源スイッチ41、手動スイッチ42及びライトスイッチ43はそれぞれ、物理的に押下可能な機械式のスイッチであるが、これに限らない。操作部40は、例えば、タッチパネルディスプレイなどであってもよい。電源スイッチ41、手動スイッチ42及びライトスイッチ43の少なくとも1つは、ディスプレイに表示されるGUI(Graphical User Interface)などで実現されてもよい。
また、操作部40には、他に、アシストモード、押し歩きモード及び自走モードの動作の強弱を切り替えるモードスイッチなどが設けられていてもよい。また、操作部40の各スイッチ及び表示部44のレイアウトは、図4に示した例には限定されない。例えば、ライトスイッチ43及び表示部44は設けられていなくてもよい。
バッテリー50は、電動モータ21の駆動用の電力を貯める蓄電池である。バッテリー50は、例えば、二次電池であるが、キャパシタなどであってもよい。
押下式スイッチ70は、サドル15aにかかる荷重を検知する荷重センサの一例である。本実施の形態では、押下式スイッチ70は、シートポスト15bに設けられている。以下では、図5を用いて、サドル15a及びシートポスト15bの具体的な構成を説明しながら、押下式スイッチ70の配置位置について説明する。
図5は、本実施の形態に係る電動自転車1の荷重センサの配置を説明するための、シートポスト15b及び立パイプ113の断面図である。本実施の形態に係るシートポスト15bは、サスペンション付きシートポストである。
図5に示されるように、シートポスト15bは、外筒151bと、内筒152bと、スプリング(バネ)153bとを有する。外筒151bは、有底円筒状の部材である。外筒151bの内部に、スプリング153bと、押下式スイッチ70とが収納されている。
内筒152bの上端には、サドルクランプ154bが設けられている。サドルクランプ154bは、サドル15aのシートレール152aを挟んで保持する。内筒152bの下端は、外筒151bの内部に挿入されており、スプリング153bと接触している。なお、サドル15aは、シート151aと、シートレール152aとを有する。
スプリング153bは、サドル15aにかかる荷重を和らげる緩衝部材の一例である。スプリング153bの上端は、内筒152bの下端に固定されている。スプリング153bの下端は、押下式スイッチ70を挟んで外筒151bの底面に固定されている。
サドル15aに荷重がかかった場合、荷重によって内筒152bが沈み込み、スプリング153bを押し込む。押し込まれたスプリング153bは、荷重を吸収するように収縮する。第1閾値Th1より大きい荷重がサドル15aにかかった場合、スプリング153bの下端が押下式スイッチ70を押す。これにより、押下式スイッチ70によってサドル15aにかかった荷重を検知することができる。
外筒151bの底面には、貫通孔155bが設けられている。貫通孔155bを通して、配線71が外筒151bの内部に挿入されている。配線71は、押下式スイッチ70と制御装置22とを電気的に接続している。押下式スイッチ70が押下されたことを示す電気信号(すなわち、押下信号)が、配線71を介して制御装置22に送信される。
なお、図示しないが、例えば、配線71の先端には、コネクタが設けられている。制御装置22に接続された配線の先端にもコネクタが設けられており、配線71のコネクタを、制御装置22側の配線のコネクタに接続することで、押下式スイッチ70と制御装置22とを電気的に接続することができる。
[電動モータの制御動作]
次に、本実施の形態に係る電動自転車1の制御装置22による電動モータ21の制御動作について、図6~図8を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る電動自転車1の電動モータ21の制御動作を示すフローチャートである。
図6に示されるように、まず、制御装置22の制御部221は、電源スイッチ41がオンされた場合(S11でYes)、アシストモード、押し歩きモード及び自走モードを実行可能な状態になる。なお、電源スイッチ41がオンされない限り(S11でNo)、制御部221は、電動モータ21を動作させない。
次に、制御部221は、サドル15aにかかる荷重が第1閾値Th1より大きい場合(S12でYes)、押し歩きモード又は自走モードの実行を禁止する(S13)。サドル15aにかかる荷重が第1閾値Th1以下である場合(S12でNo)、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードの実行を禁止しない。
次に、制御部221は、手動スイッチ42が押されているか否かを判定する(S14)。手動スイッチ42が押されている場合で(S14でYes)、踏力センサ33によって検出されたペダル17への踏力が第2閾値Th2以下のとき(S15でYes)、かつ、押し歩きモード又は自走モードの実行が禁止されていないとき(S16でNo)、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行する(S17)。
また、手動スイッチ42が押されている場合で(S14でYes)、踏力センサ33によって検出されたペダル17への踏力が第2閾値Th2以下のとき(S15でYes)、かつ、押し歩きモード又は自走モードの実行が禁止されているとき(S16でYes)、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行せず、ステップS12に戻る。すなわち、制御部221は、第2補助駆動力を発生させない。
ペダル17への踏力が第2閾値Th2より大きい場合(S15でNo)、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行しない。なお、踏力が第2閾値Th2を超えた場合、制御部221は、アシストモードを実行してもよい。
なお、第2閾値Th2は、ペダル17に足を置いているだけの状態で、ペダル17にかかる踏力よりも低い値である。あるいは、第2閾値Th2は、例えば、0でもよい。この場合、ペダル17への踏力が検知されない場合のみ、押し歩きモード又は自走モードが実行可能になる。
電源スイッチ41がオンされた状態において、手動スイッチ42が押されていない場合(S14でNo)、制御部221は、アシストモードを実行する(S18)。具体的には、制御部221は、ペダル17への踏力に基づいて電動モータ21に生成させるべき第1補助駆動力の大きさを決定し、電動モータ21にバッテリー50からの電力を供給することで、決定した第1補助駆動力を発生させる。
図7は、本実施の形態に係る電動自転車1の押し歩きモード又は自走モードにおける電動モータ21の制御動作を示すフローチャートである。
図7に示されるように、ペダル17への踏力が第2閾値Th2以下ではあり(S21でNo)、サドル15aにかかる荷重が第1閾値Th1より大きい場合(S22でYes)、補助駆動力を調整する(S23)。具体的には、制御部221は、押下式スイッチ70から出力された押下信号を受信した場合に、荷重が第1閾値Th1より大きいと判断し、電動モータ21の補助駆動力を停止する。
サドル15aにかかる荷重が第1閾値Th1以下である場合(S22でNo)、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを継続し、補助駆動力を維持する(S24)。具体的には、制御部221は、押下式スイッチ70からの押下信号を受信しない場合に、荷重が第1閾値Th1以下であると判断し、電動モータ21を制御することで、補助駆動力を発生させる。
なお、第1閾値Th1は、人がサドル15aに座った状態で、サドル15aにかかる荷重よりも低い値である。本実施の形態では、押下式スイッチ70は、第1閾値Th1より重い体重の人がサドル15aに座った場合に押下されるように配置されている。なお、第1閾値Th1の値を調整することで、サドル15aに荷物を置いた状態でも電動モータ21による補助駆動力を発生させることができる。
例えば、第1閾値Th1が10kgである場合、10kg以下の荷物をサドル15aに置いたとしても押下式スイッチ70は押下されない。このため、押し歩きモード又は自走モードが維持されるので、サドル15aに荷物を置いた状態でも、電動自転車1の押し歩き又は自走が補助される。
なお、第1閾値Th1は、例えば0kgであってもよい。この場合、サドル15aへの荷重が検知されない場合のみ、押し歩きモード又は自走モードが実行可能になる。
踏力センサ33によって検出されたペダル17への踏力が第2閾値Th2より大きい場合(S21でNo)、制御部221は、補助駆動力を調整する(S23)。
図7に示されるステップS21~S24の処理は、押し歩きモードを実行中に、押し歩きモードの実行が禁止されない限り、繰り返し行われる。押し歩きモードを実行中は、サドル15aへの荷重又はペダル17への踏力が検知された場合は、直ちに押し歩きモードの実行が禁止される。
なお、サドル15aへの荷重が第1閾値Th1より大きい場合(S22でYes)、図8のステップS23aに示されるように、制御部221は、アシストモードを開始してもよい。図8は、本実施の形態に係る電動自転車1の押し歩きモード又は自走モードにおける電動モータ21の制御動作の別の一例を示すフローチャートである。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る電動自転車1は、電動モータ21を備える電動自転車であって、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモード(第1モード)と、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く押し歩きモード又は第2補助駆動力を付加して自走させる自走モード(第2モード)とを切り替えて実行する制御部221と、サドル15aにかかる荷重を検知する荷重センサの一例である押下式スイッチ70とを備える。押下式スイッチ70は、サドル15aに連結されたシートポスト15bに設けられている。制御部221は、押下式スイッチ70によって検知された荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、第2モードが実行中の場合に、第2補助駆動力を調整する。
また、例えば、電動自転車1では、制御部221は、押下式スイッチ70によって検知された荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、第2モードが実行されていない場合に、押し歩きモード又は自走モードの実行を禁止する。
このように、荷重を検知する荷重センサの一例である押下式スイッチ70がシートポスト15bに設けられているので、サドル交換が容易になる。また、押下式スイッチ70の検知結果に基づいて、人がサドル15aに着座しているか否かを判定することができる。このように、本実施の形態によれば、着座状態を判別することができ、かつ、容易にサドル交換が可能な電動自転車1を提供することができる。
また、例えば、シートポスト15bは、サドル15aにかかる荷重を和らげる緩衝部材を備える。押下式スイッチ70は、緩衝部材に取り付けられている。
これにより、サドル15aに人が座った場合、サドル15aにかかる荷重によってスプリング153bが変形する。押下式スイッチ70がスプリング153bに取り付けられているので、スプリング153bの変形を検出することで、サドル15aへの荷重を検出することができる。
また、例えば、緩衝部材は、スプリング153bである。押下式スイッチ70は、スプリング153bの下端に設けられている。
これにより、押下式スイッチ70を荷重センサとして用いるので、サドル15aに対する荷重の有無を検出することができる。また、押下式スイッチ70は、シートポスト15bのスプリング153bの下端に設けられているので、立パイプ113の内部に配置される。このため、押下式スイッチ70と制御装置22とを接続する配線71を、立パイプ113の内部に設けることができる。押下式スイッチ70及び配線71が外部に露出しないので、外部からの衝撃による押下式スイッチ70の故障及び配線71の断線などを抑制することができる。また、押下式スイッチ70及び配線71が外部に露出しないので、電動自転車1の美観も高めることができる。
また、サドル15aに荷重センサが設けられている場合に比べて、制御装置22と押下式スイッチ70との距離が短くなる。このため、配線71を短くすることができるので、軽量化及びコストの削減などを実現することができる。
また、例えば、電動自転車1は、さらに、ペダル17への踏力を検知する踏力センサ33を備える。制御部221は、押し歩きモード又は自走モードが実行中である場合に、さらに、押下式スイッチ70によって検知された荷重が第1閾値Th1以下であり、かつ、踏力センサ33によって検知された踏力が第2閾値Th2より大きいとき、第2補助駆動力を調整する。
これにより、押下式スイッチ70の検出結果によらず、踏力が大きい場合には、第2補助駆動力を抑制するように調整することができる。ペダル17への踏力が加わった場合、押し歩きが適切には行われていないことになる。例えば、電動自転車1に立ち乗りをし、サドル15aに座っていない場合であっても、第2補助駆動力を発生させないようにすることができる。
また、例えば、制御部221は、さらに、押下式スイッチ70によって検知された荷重が第1閾値Th1より大きい場合に、アシストモードを開始してもよい。
これにより、押下式スイッチ70によってサドル15aへの荷重が検知された場合、人が乗車したと判断し、アシストモードを開始することで、スムーズに走行時のアシストを行うことができる。
[変形例]
続いて、上述した実施の形態1に係る電動自転車1の変形例1~3について説明する。
以下に示す変形例1~3はいずれも、荷重センサの構成又は配置が実施の形態1とは相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
[変形例1]
まず、変形例1に係る電動自転車について説明する。
図9は、本変形例に係る電動自転車の荷重センサの配置を説明するための、シートポスト15b及び立パイプ113の断面図である。具体的には、図9は、図5と同様の断面を示している。
図9に示されるように、本変形例では、荷重センサとして、ストローク検出センサ70aがシートポスト15bに設けられている。ストローク検出センサ70aは、スプリング153bの下端以外の部位の変位量を検出するセンサである。例えば、ストローク検出センサ70aは、磁気式リニアエンコーダなどであるが、これに限定されない。
本変形例では、ストローク検出センサ70aは、磁石72と、ガイドポスト73とを有する。磁石72は、例えば、リング状に構成されており、中央の孔にガイドポスト73が挿入されている。ガイドポスト73は、スプリング153bの収縮方向に長尺の柱体であり、スプリング153bの内側に挿入されている。磁石72は、ガイドポスト73に沿って移動可能である。磁石72は、スプリング153bの中央部分に設けられている。
サドル15aにかかる荷重によってスプリング153bが変形した場合、スプリング153bの収縮に合わせて磁石72が移動する。ストローク検出センサ70aは、磁石72の移動による磁界の変化を検出することで、磁石72の移動量を算出する。
磁石72の移動量は、サドル15aにかかる荷重に応じて変化する。具体的には、サドル15aにかかる荷重が大きい程、磁石72の移動量も大きくなる。このため、制御部221は、磁石72の移動量に基づいて、サドル15aにかかる荷重を検出することができる。本変形例では、制御部221は、荷重の有無だけでなく、荷重の大きさを算出することができる。
なお、磁石72の移動量とサドル15aにかかる荷重とを予め対応付けたテーブルが、制御装置22のメモリに記憶されていてもよい。制御部221は、当該テーブルを参照することで、磁石72の移動量からサドル15aにかかる荷重を決定してもよい。
以上のように、本変形例に係る電動自転車では、例えば、ストローク検出センサ70aは、スプリング153bの下端以外の部位の変位量を検出する。
これにより、ストローク検出センサ70aを荷重センサとして用いるので、サドル15aに対する荷重の有無だけでなく、荷重の大きさも検出することができる。本変形例においても、ストローク検出センサ70aはシートポスト15bに設けられているので、サドル交換が容易である。
また、ストローク検出センサ70aは、シートポスト15bのスプリング153bに設けられているので、立パイプ113の内部に配置される。このため、ストローク検出センサ70aと制御装置22とを接続する配線71を、立パイプ113の内部に設けることができる。ストローク検出センサ70a及び配線71が外部に露出しないので、外部からの衝撃によるストローク検出センサ70aの故障及び配線71の断線などを抑制することができる。また、ストローク検出センサ70a及び配線71が外部に露出しないので、電動自転車1の美観も高めることができる。
[変形例2]
次に、変形例2に係る電動自転車について説明する。
図10は、本変形例に係る電動自転車の荷重センサの配置を説明するための、サドル15a及びシートポスト15bの側面図である。なお、図10に示すサドル15a及びシートポスト15bの外観は、実施の形態1及び変形例1に係るサドル15a及びシートポスト15bの外観とは異なっている。これは、荷重センサの一例である押下式スイッチ70bの位置を分かりやすくするためであり、サドル15a及びシートポスト15bの外観には何ら限定されない。
図10に示されるように、本変形例では、押下式スイッチ70bがシートポスト15bの上端に設けられている。具体的には、押下式スイッチ70bは、シートポスト15bの上端とサドル15aの下面との間に設けられている。例えば、押下式スイッチ70bの被押下部は、サドル15aの下面に接触している。サドル15aに荷重がかかった場合、サドル15aの沈み込みにより、押下式スイッチ70bが押下される。このとき、押下式スイッチ70bは押下信号を、配線71を介して出力する。なお、本変形例に係る押下式スイッチ70bは、例えば、実施の形態1に係る押下式スイッチ70と同じ構成を有する。
以上のように、本変形例に係る電動自転車では、例えば、押下式スイッチ70bは、シートポスト15bの上端に設けられている。
これにより、押下式スイッチ70bを荷重センサとして用いるので、サドル15aに対する荷重の有無を検出することができる。本変形例においても、押下式スイッチ70bはシートポスト15bに設けられているので、サドル交換が容易である。また、押下式スイッチ70bがシートポスト15bの上端に設けられているので、荷重によるサドル15aの変形を直接的に検知することができる。
なお、本変形例に係るシートポスト15bは、サスペンション付きシートポストでなくてもよい。つまり、シートポスト15bは、緩衝部材を備えなくてもよい。続いて説明する変形例3についても同様である。
[変形例3]
次に、変形例3に係る電動自転車について説明する。
図11は、本変形例に係る電動自転車の荷重センサの配置を説明するための、電動自転車1の側面図である。
図11に示されるように、本変形例では、荷重センサとして、歪センサ70cがフレーム11に設けられている。例えば、歪センサ70cは、立パイプ113の外表面に取り付けられているが、これに限らない。歪センサ70cは、ヘッドパイプ111又はメインフレーム112などに取り付けられていてもよい。また、歪センサ70cは、立パイプ113の外表面ではなく、内表面に取り付けられていてもよい。あるいは、歪センサ70cは、シートポスト15bに取り付けられていてもよい。
歪センサ70cは、シート状に構成されており、立パイプ113に生じる歪を検出する。例えば、サドル15aに荷重がかかった場合、サドル15aを支える立パイプ113には荷重に基づく歪が発生する。歪センサ70cは、この歪を検出する。歪の大きさは、荷重の大きさに依存する。したがって、制御部221は、歪センサ70cによって検出された歪の大きさに基づいて、荷重の有無だけでなく、荷重の大きさを算出することができる。
なお、歪の大きさとサドル15aにかかる荷重とを予め対応付けたテーブルが、制御装置22のメモリに記憶されていてもよい。制御部221は、当該テーブルを参照することで、歪の大きさからサドル15aにかかる荷重を決定してもよい。
以上のように、本変形例に係る電動自転車では、例えば、荷重によるフレーム11の歪を検出する歪センサ70cが、電動自転車1の車体10を構成するフレーム11に設けられている。
これにより、歪センサ70cを荷重センサとして用いるので、サドル15aにかかる荷重によるフレーム11の歪を検出することで、荷重の有無及び大きさを検出することができる。また、本変形例では、荷重センサがフレーム11に取り付けられているので、サドル交換の際に、シートポスト15bとセットで交換することができる。つまり、立パイプ113からシートポスト15bごと、サドル15aを引き抜けばよいので、サドル交換がより容易になる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、着座状態及び非着座状態を判定する閾値である荷重の第1閾値Th1が、過去の履歴データに基づいて更新される。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
図12は、本実施の形態に係る電動自転車の構成を示すブロック図である。
図12に示されるように、本実施の形態に係る電動自転車は、図3に示す構成と比較して、制御装置22の代わりに制御装置22aを備える。また、電動自転車は、実施の形態1の変形例1と同様に、ストローク検出センサ70aを荷重センサとして備える。なお、ストローク検出センサ70aの代わりに、歪センサ70cを備えてもよい。本実施の形態では、荷重センサとして、荷重の有無だけでなく、荷重の大きさを検知するセンサを利用する。
図12に示されるように、制御装置22aは、制御部221aと、蓄積部222とを有する。
蓄積部222は、ストローク検出センサ70a及び踏力センサ33の各々の検知結果と、サドル15aへの着座状態とを対応付けて履歴データとして蓄積する。履歴データは、制御装置22が備える不揮発性メモリなどのメモリに記憶されている。
図13は、本実施の形態に係る電動自転車の蓄積部222が蓄積する履歴データの一例を示す図である。図13に示されるように、履歴データでは、時刻情報と、荷重センサによる検出結果と、踏力センサによる検出結果と、着座状態とが対応付けられている。
時刻情報は、荷重センサ及び踏力センサによる検出が行われた時刻を示す。荷重センサによる検出結果は、例えば、サドル15aにかかる荷重の大きさを示す。踏力センサ33による検出結果は、例えば、ペダル17への踏力の大きさを示す。着座状態は、対応する時刻において人が実際に着座(乗車)しているか、着座していないかを示す。着座状態は、例えば、機械学習などにより判別されてもよく、あるいは、人からの入力によって判別されてもよい。例えば、実際に着座していることが明らかな場合に検知された荷重及び踏力と、着座していないことが明らかな場合に検知された荷重及び踏力とに基づいて、着座及び非着座を判別することができる。
制御部221aは、蓄積部222に蓄積された履歴データに基づいて第1閾値Th1を決定する。例えば、制御部221aは、履歴データに基づいて着座状態と判別された荷重の平均値と、非着座状態と判別された荷重の平均値との中間値を第1閾値Th1として決定する。これにより、着座状態と非着座状態とを精度良く判別することができる。
以上のように、本実施の形態に係る電動自転車では、例えば、さらに、ペダル17への踏力を検知する踏力センサ33と、ストローク検出センサ70a及び踏力センサ33の各々の検知結果と、サドル15aへの着座状態とを対応付けて履歴データとして蓄積する蓄積部222とを備える。制御部221aは、さらに、蓄積部222に蓄積された履歴データに基づいて第1閾値Th1を決定する。
これにより、閾値が可変になるので、着座状態の判別精度を高めることができる。例えば、サドル15aに手を置いて押し歩きしている場合も、押し歩き状態(すなわち、非着座状態)であると正しく判別することができる。あるいは、サドル15aに荷物を置いて押し歩きしている場合も、押し歩き状態(すなわち、非着座状態)であると正しく判別することができる。
なお、制御部221aは、GPS(Global Positioning System)などによる位置情報と、地図情報とをさらに取得してもよい。位置情報は、例えば、電動自転車の現在位置を示す情報である。地図情報は、緯度及び経度などで示される道路毎に、例えば、アスファルト、土、砂利などの道路の材質を示す材質情報、及び、水平、上り坂、下り坂などの道路の傾斜を示す傾斜情報などが含まれる。蓄積部222は、位置情報が示す道路の材質情報及び傾斜情報などを取得し、検出された荷重と対応付けてメモリに蓄積する。
例えば、人が電動自転車に着座している場合において、走行中の地面が水平な地面、上り坂及び下り坂などのいずれであるかに応じて、サドル15aにかかる荷重が変化する。また、走行中の地面がアスファルト及び土などのいずれであるかに応じて、サドル15aにかかる荷重が変化する。
したがって、地図情報を利用することで、着座状態及び非着座状態の判別の精度を高めることができる。
また、履歴データは、例えば、電動自転車に乗車する人毎に、管理されてもよい。荷重は、着座する人の体重に大きく影響する。このため、例えば、子供が着座する場合と、大人が着座する場合とでは、着座状態における荷重が大きく異なる。人毎に管理することで、着座状態及び非着座状態の判別を精度良く行うことができる。
なお、本実施の形態では、荷重センサは、サドル15aに設けられていてもよい。
(その他)
以上、本発明に係る電動自転車及びその制御方法について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態では、シートポスト15bに設けられた緩衝部材がスプリング153bである例を示したが、これに限らない。緩衝部材は、クッション性及び弾性を有する部材であればよく、ゴムなどの樹脂材料を用いて形成されていてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、第2モードを開始する指示を受け付ける入力部の一例として、手動スイッチ42を備える例を示したが、これに限らない。例えば、手動スイッチ42の代わりに、ハンドル14のグリップ141に設けられたグリップセンサを備えてもよい。グリップセンサが前方への押力を検出した場合に、制御部221は、押し歩きモードを実行してもよい。グリップセンサが前方への押力を検出しない場合に、制御部221は、押し歩きモードを停止してもよい。
また、例えば、電動自転車は、ネットワークを介して外部からの指示に基づいて制御されてもよい。具体的には、図14に示されるように、電動自転車は、通信部90を備えてもよい。ここで、図14は、実施の形態の変形例に係る電動自転車の構成を示すブロック図である。
図14に示されるように、本変形例に係る電動自転車は、図3に示される制御装置22の代わりに制御装置22bを備える。制御装置22bには、通信部90が接続されている。
通信部90は、電動自転車1とは別体で設けられた外部の制御端末(図示せず)と通信する。通信部90は、例えば、LTE(Long Term Evolution)などの所定の通信規格に基づく無線通信を行う。なお、無線(電波)による通信規格は、特に限定されない。
具体的には、通信部90は、クランク回転センサ31、踏力センサ33及び押下式スイッチ70による検出結果を制御端末に送信する。制御端末は、例えば、図3に示される制御部221を備え、制御装置22と同様に、電動モータ21に対する制御信号を生成する。制御端末は、生成した制御信号を通信部90に送信する。通信部90は、制御端末から送信される制御信号を受信する。制御装置22bは、通信部90によって受信された制御信号を電動モータ21に出力する。
このように、変形例に係る電動自転車は、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードと、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く押し歩きモード又は第2補助駆動力を付加して自走させる自走モードとで走行可能な電動自転車であって、サドル15aにかかる荷重を検知する荷重センサを備える。荷重センサは、サドル15aに連結されたシートポスト15b、又は、電動自転車の車体10を構成するフレーム11に設けられ、電動自転車は、荷重センサによって検知された荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、押し歩きモード又は自走モードが実行中の場合に、第2補助駆動力を調整するように制御される構成を有してもよい。
あるいは、変形例に係る電動自転車は、荷重センサによって検知された荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、押し歩きモード又は自走モードが実行されていない場合に、押し歩きモード又は自走モードの実行を禁止するように制御される構成を有してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、電動モータ21がクランク16と一体化されて設けられている例を示したが、前輪12又は後輪13に設けられていてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、電動自転車1が二輪自転車である例について示したが、これに限らない。電動自転車1は、前輪及び後輪のいずれか一方が2つの三輪自転車でもよく、四輪自転車でもよい。
また、上記実施の形態において、制御装置22の特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、制御装置22が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。例えば、制御装置22が行う処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
また、上記実施の形態において、制御装置22の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、制御装置22の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
例えば、本発明の一態様に係る電動自転車の制御方法は、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードと、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く押し歩きモード又は第2補助駆動力を付加して自走させる自走モードとで走行可能な電動自転車の制御方法であって、荷重センサによって検知された荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、アシストモード又は自走モードが実行中の場合に、第2補助駆動力を調整するステップを含んでもよい。
あるいは、本発明の一態様に係る電動自転車の制御方法は、荷重センサによって検知された荷重が第1閾値Th1より大きく、かつ、押し歩きモード又は自走モードが実行されていない場合に、押し歩きモード又は自走モードの実行を禁止するステップを含んでもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。