本発明は、強度と反発係数を高めると同時に、軽量化ならびに低重心化を図るウッド系ゴルフクラブヘッドに関する。
近年、ウッドクラブと称されるウッド系のゴルフクラブは、品質や材料供給の安定性などの観点から、従来の木製の天然材料に変えて、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料で中空な外殻体に形成された金属製のへッドを備えたものが広く提供されている。
上記のようなウッド系のゴルフクラブヘッドの多くは、クラウン部と、ソール部と、フェース部の三つのパーツに分かれて構成されるもので、金属材料により成形されている。
ウッド系のゴルフクラブヘッドに広く使用されている金属材料としては、ステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などが挙げられるが、これらの金属材料は該金属材料の中でも比較的に比重が大きいために、ウッド系ゴルフクラブのヘッド用材料として使用された場合、該ヘッドの容量(大きさ)が、ルール上、一定以下に制限されていることから、制限ギリギリの大型ヘッドを製造しようとした場合に、重量が嵩んでしまって軽量化に困難をきたすと共に、材料選択が限定され、より高価な軽量金属材料を選択する必要が生じる、といった問題もあった。
また、使用時(打球時)におけるゴルフクラブによるボ−ルの打ち易さを向上させるためには、クラブヘッド自体の重心を通る全方位の慣性モ−メントを大きくする必要があるが、従来より使用されているステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などによる金属材料では、上記の通り大型ヘッドの製造が困難であることから、クラブヘッド自体の慣性モ−メントについても大きくさせることが困難である、といった問題もあった。
さらに、従来のウッド系ゴルフクラブのヘッド用材料に使用されているステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などの金属材料は、材料自体の比重が大きいために、ヘッドの重心深度や重心高さに関するヘッド設計の自由度が低く、昨今の多様な機能を備えるクラブヘッドの設計を困難なものにしている。
そこで、上記した多様な問題を克服した上で、ウッドクラブ用ヘッド自体の慣性モ−メントならびにヘッド設計の自由度が高く、しかも、使用時(打球時)におけるボ−ルに対する反発係数が高いウッド系ゴルフクラブの金属製ヘッドの提供が望まれているものである。
上記のような問題点を解決すべく、従来、チタン及びチタン合金と非チタン材とを組み合せてなる複合ゴルフクラブヘッドにおいて、接合部のガタつきを防止する「ゴルフクラブヘッド」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ソール部に開口部を有するシェル形状のチタン又はチタン合金製ウッド用ゴルフクラブヘッド本体と、該開口部を塞ぐように設けられた、チタン又はチタン合金とは異なる材料よりなるソール部材とで構成されるウッド用ゴルフクラブヘッドであって該ソール部材はゴルフクラブヘッド本体を構成するチタン又はチタン合金の比重よりも30%以上大きな比重の材料よりなり、該ソール部材は前記ゴルフクラブヘッド本体に溶接により固着一体化されているゴルフクラブヘッドの溶接手段の提案である。
しかしながら、かかる「ゴルフクラブヘッド」の提案は、従来のビス止めならびに溶接による接合手段を、拡散接合又は摩擦圧接により接合したに過ぎないものであって、衝撃により接合部が緩んだりガタついたりする心配はないものの、ゴルフクラブヘッドの耐衝撃性や耐久性、打撃性能及び使用感が特筆して良好となる様な提案ではなかった。
また、ゴルフクラブヘッド材料に異種金属材料を広い面積に亘って拡散接合することにより、打球感および打撃性能を向上させるとともにゴルフクラブヘッドの耐久性を増加させることができる「ゴルフクラブヘッド用拡散接合材料」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ゴルフクラブヘッドの本体と、該本体の材料と異なる一種または一種以上の金属材料とを備え、該金属材料および本体の相互の面間に、これらの面全体で均一に一体化するように圧延、ホットプレスまたはHIPにより拡散接合させた接合界面を有し貼り合わせたものである。
しかしながら、かかる「ゴルフクラブヘッド用拡散接合材料」の提案は、特に金属材料および本体の相互の面間に空間が形成されていないことから、ゴルフクラブヘッドの強度は向上させ得るが、該ヘッドの反発係数を高めると同時に軽量化ならびに低重心化を図ることはできない構造となっている。
さらに、大型で、軽量で、ヘッド自体の慣性モ−メントが大きく、ヘッドの設計の自由度が大きく、しかも、打球時におけるボ−ルに対する反発係数が大きいゴルフ・ウッドクラブ用金属製ヘッドを得る「ゴルフのウッドクラブ用金属製ヘッドおよびその製造方法ならびにこの金属製ヘッドを用いたゴルフのウッドクラブ」(特許文献3)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ウッドクラブ用金属製ヘッドにおいて、上記フェース部がマルエ−ジング鋼またはチタン合金で構成されるとともに、上記ソール部および上記クラウン部がそれぞれ、ベリリウムと マグネシウム、ケイ素、ニッケル、銅、亜鉛、マンガンから成るグル−プから選ばれた少なくとも一種を含有するアルミニウム合金との複合材料、マグネシウム合金、およびアルミニウム合金の3種の材料から選ばれた少なくとも一種で構成されたものである。
しかしながら、かかる「ゴルフのウッドクラブ用金属製ヘッドおよびその製造方法ならびにこの金属製ヘッドを用いたゴルフのウッドクラブ」の提案は、特にクラウン部と、ソール部と、フェース部の接合部の厚みが各部を形成する厚みと同一であることから、接合強度において問題があるものであった。
本出願人は、金属同士を接合する拡散接合技術に着目し、材料に関係なく拡散接合技術を用いて構造的に上記各問題点を解消できないものかという着想の下、強度と反発係数を高めると同時に、軽量化ならびに低重心化を実現し得るウッド系ゴルフクラブヘッドを開発し、本発明にかかる「ウッド系ゴルフクラブヘッド」の提案に至るものである。
特開平7−163687号公報
特開平11−57084号公報
特開2001−37924号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、反発係数を高めると同時に、軽量化ならびに低重心化を実現し得るウッド系ゴルフクラブヘッドを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は、クラウン部と、ソール部と、フェース部と、で構成されるウッド系ゴルフクラブヘッドであって、前記クラウン部は、表層材と裏層材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材と裏層材との接合領域と非接合領域とが併存すると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採る。
また、本発明は、前記クラウン部における非接合領域において、裏層材が取り除かれて成る手段を採る。
さらに、本発明は、前記ソール部または前記フェース部のいずれか一方若しくは両方が、表層材と裏層材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材と裏層材との接合領域と非接合領域とが併存すると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採る。
またさらに、本発明は、前記ソール部または前記フェース部における非接合領域において、裏層材が取り除かれて成る手段を採る。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、クラウン部において、表層材と裏層材とが所定領域で拡散接合によって接合されることにより、其々の特性(例えば、強度、反発係数、軽量、粘り)を持った表層材と裏層材を使用することができると共に、非接合領域が存することとなるため、ゴルフクラブヘッドにおける強度と反発係数を高めることができると共に、設計の自由度が向上する、といった優れた効果を奏する。
また、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、クラウン部の拡散接合されていない非接合領域において裏層材が取り除かれることによって、取り除かれた分の軽量化が図られると共にソール部の比重が増して低重心化が実現され、且つ、取り除かれた箇所の撓み量が増大して反発係数を高めることができる、といった優れた効果を奏する。
さらに、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、ソール部やフェース部においても、表層材と裏層材とが所定領域で拡散接合によって接合されることにより、其々の特性(例えば、強度、反発係数、軽量、粘り)を持った表層材と裏層材を使用することができると共に、非接合領域が存することとなるため、ゴルフクラブヘッドにおける強度と反発係数をより高めることができると共に、更なる設計の自由度を向上し得る、といった優れた効果を奏する。
またさらに、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、ソール部やフェース部に拡散接合を採用した場合において、非接合領域の裏層材が夫々取り除かれることによって、ゴルフクラブ全体として取り除かれた分の軽量化が図られると共に、取り除かれた箇所の撓み量が増大して反発係数を更に高めることができる、といった優れた効果を奏する。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの実施形態を示す説明図である。(実施例1)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの実施形態を示す説明図である。(実施例1)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの他の実施形態を示す説明図である。(実施例3)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20と、ソール部21と、フェース部22と、で構成されるウッド系ゴルフクラブヘッド10であって、クラウン部20は、表層材30と裏層材31とが少なくとも所定幅の周縁部領域32を含む所定領域33において拡散接合Tにより接合されると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採ったことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる本発明のウッド系ゴルフクラブヘッド10の実施形態について、図面に基づき説明する。
尚、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができる。
図1乃至図2は、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10の実施形態を示しており、各図とも(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20と、ソール部21と、フェース部22と、で構成されている。
クラウン部20は、表層材30と裏層材31とで構成され、夫々金属材料から成る。該表層材30及び裏層材31の素材については、金属であれば特に限定はないが、例えばアルミニュウム合金やマグネシウム合金、ステンレス鋼、マルエージング鋼、チタン合金など、各種特性を考慮して決定される。かかる表層材30と裏層材31とは、所定領域において拡散接合により面接合されて成る。
拡散接合とは、金属板材料を面で密着させた状態で加熱して一体化する接合方法で、面と面の接合や材質の異なった薄板の積層接合、溶接では難しい材質の接合を可能にする手法である。
表層材30や裏層材31の厚みについては、強度や反発係数、重量などを考慮して適宜決定されるものであって、特に限定するものではないが、例えば夫々が略0.3mmの金属材料とした場合、それらを所定領域で接合しつつ重ね合わせることで、クラウン部20自体の厚みは略0.6mmとなる。
表層材30と裏層材31との接合領域32は、クラウン部20全体ではなく、所定領域のみ拡散接合される。かかる所定領域については、少なくともクラウン部20における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれる。かかる周縁部領域を必須の接合領域32とする理由は、他のパーツ(ソール部21やフェース部22)と接合される箇所であってその接合強度を保つ為である。
クラウン部20における周縁部領域以外は、強度や反発係数などを考慮して、必要に応じて適宜接合領域32が配される。尚、図1はクラウン部20の周縁部領域のみを拡散接合した場合を示し、図2はクラウン部20の周縁部領域のほか格子状に接合領域32を配した場合を示している。
このように、表層材30と裏層材31とが所定領域において拡散接合されて成るクラウン部20は、最終的にウッド系の所定形状にプレス成型される。
ソール部21は、常法により成形されるもので、例えば単一の金属材料がウッド系の所定形状にプレス成型されて成り、あるいは、表層材30と裏層材31とから成る各金属材料の全領域を拡散接合してウッド系の所定形状にプレス成型されて成るもので、素材については金属であれば特に限定はなく、例えばアルミニュウム合金やマグネシウム合金、チタン合金など、各種特性を考慮して採用される。
フェース部22は、ソール部21同様、常法により成形されるもので、例えば単一の金属材料がウッド系の所定形状にプレス成型されて成り、あるいは、表層材30と裏層材31とから成る各金属材料の全領域を拡散接合してウッド系の所定形状にプレス成型されて成るもので、素材については金属であれば特に限定はなく、例えばステンレス鋼やマルエージング鋼、チタン合金など、各種特性を考慮して採用される。
前記クラウン部20とソール部21とフェース部22とを接合することにより、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は完成する。かかるクラウン部20とソール部21とフェース部22との接合方法については、常法により接合するもので特に限定はないが、接合強度を考慮すると、TIG溶接やエレクトロンビーム溶接、レーザー溶接、デイップろう付け、真空ろう付け等の溶接手段による接合方法を採用することが好ましい。
以上の通り構成される本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33が接合されないことで撓み量の増大を生むこととなる。よって、クラウン部20の全領域が面接合されている場合に比し、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20全体としての撓み量が増大することで、クラブヘッドとしての反発係数の向上に資することとなる。
尚、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、ドライバーのほか、フェアウエーウッド、ユーテリティークラブ、ウッド系アイアンなど、あらゆるウッド系クラブに採用することが可能である。
他の実施例について図3及び図4を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。図3及び図4は、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10の他の実施形態を示しており、各図とも(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
実施例1によって、クラウン部20に非接合領域33が存することで、該クラウン部20の撓み量を増大させ、クラブヘッドとしての反発係数の向上が実現される。
しかしながら、ウッド系ゴルフクラブヘッド10は、かかる反発係数の向上だけでなく、低重心化を実現したいという要求も多い。
そこで、反発係数の向上と併せて、低重心化を実現できる技術が求められていた。
かかる反発係数の向上と併せて低重心化を実現すべく、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20の非接合領域34において裏層材31が取り除かれて成る手段を採用する。
すなわち、クラウン部20を構成する表層材30と裏層材31とは、クラウン部20全体ではなく、所定領域において拡散接合により面接合されて成る。かかる接合された所定領域(接合領域32)については、少なくともクラウン部20における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれ、該周縁部領域以外は、強度や反発係数などを考慮して、必要に応じて適宜接合領域32が配される。尚、図3はクラウン部20の周縁部領域のみを拡散接合した場合を示し、図4はクラウン部20の周縁部領域のほか水玉状に接合領域32を配した場合を示している。
このように、表層材30と裏層材31について、クラウン部20全体を拡散接合するものではないことから、接合領域32とは別に、接合されていない非接合領域33がクラウン部20に存することとなる。この非接合領域33における裏層材31を取り除くことで、クラウン部20を形成する。これにより、非接合領域33には、表層材30のみが存することとなる。
以上の通り構成される本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33における裏層材31が取り除かれることで、該非接合領域33には表層材30のみが残存する。これにより、接合領域32よりも非接合領域33の方が厚みが薄くなるため、撓み量の更なる増大を生むことになると共に、軽量化が図られる。したがって、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20全体としての撓み量が増大することで、クラブヘッドとしての反発係数の向上に資すると共に、クラウン部20の軽量化に伴いソール部21の比重が増してクラブヘッドとしての低重心化が実現されることとなる。
他の実施例について図5を用いて説明する。実施例1及び実施例2と同様の部分は省略する。図5は、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10の他の実施形態を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
実施例1によって、クラウン部20に非接合領域33が存することで、該クラウン部20の撓み量を増大させ、クラブヘッドとしての反発係数の向上が実現される。
また、実施例2によって、クラウン部20の非接合領域33における裏層材31を取り除くことで、該クラウン部20の軽量化が図られ、クラブヘッドとしての低重心化が実現される。
しかしながら、ウッド系ゴルフクラブヘッド10は、反発係数の向上について更なる要求があると共に、クラブヘッド全体の軽量化への要求も多い。
そこで、反発係数の更なる向上と併せて、軽量化を実現できる技術が求められていた。
かかる反発係数の更なる向上を実現すべく、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、ソール部21とフェース部22のいずれか一方若しくは両方について、表層材30と裏層材31とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されて成る手段を採用する。尚、図面では、ソール部21とフェース部22の両方に当該手段を採用した場合について示している。
すなわち、拡散接合が施される対象パーツ(ソール部21,フェース部22)は、夫々金属材料から成る表層材30と裏層材31とで構成される。そして、かかる表層材30と裏層材31とは、所定領域において拡散接合により面接合されて成る。
表層材30や裏層材31の厚みについては、強度や反発係数、重量などを考慮して適宜決定されるものであって、特に限定するものではないが、例えば夫々が略0.3mmの金属材料とした場合、それらを所定領域で接合しつつ重ね合わせることで、ソール部21あるいはフェース部22自体の厚みは略0.6mmとなる。
表層材30と裏層材31との接合領域32は、対象パーツ全体ではなく、所定領域のみ拡散接合される。かかる所定領域については、少なくとも対象パーツ(ソール部21,フェース部22)における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれる。かかる周縁部領域を必須の接合領域32とする理由は、他のパーツと接合される箇所であってその接合強度を保つ為である。
対象パーツ(ソール部21,フェース部22)における周縁部領域以外は、強度や反発係数などを考慮して、必要に応じて適宜接合領域32が配される。かかる接合領域32の配置態様は、例えば図1乃至図4で示したクラウン部20における接合領域32の配置態様と同様である。
このように、表層材30と裏層材31とが所定領域において拡散接合されて成る対象パーツ(ソール部21,フェース部22)は、最終的にウッド系の所定形状にプレス成型される。
このとき、クラブヘッド全体の軽量化を実現すべく、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)の非接合領域34において裏層材31が取り除かれて成る手段を採用し得る。図面では、かかる裏層材31を取り除いた場合について示している。
すなわち、表層材30と裏層材31について、対象パーツ全体を拡散接合するものではないことから、接合領域32とは別に、接合されていない非接合領域33が対象パーツ(ソール部21,フェース部22)に存することとなる。この非接合領域33における裏層材31を取り除くことで、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)を形成する。これにより、非接合領域33には、表層材30のみが存することとなる。
以上の通り構成される本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20だけでなくソール部21やフェース部22において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33が接合されないことで撓み量の増大を生むこととなる。よって、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)の全領域が面接合されている場合に比し、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)全体としての撓み量が増大することで、クラウン部20と併せてクラブヘッドとしての反発係数の向上に資することとなる。
また、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33における裏層材31が取り除かれることで、該非接合領域33には表層材30のみが残存する。これにより、接合領域32よりも非接合領域33の方が厚みが薄くなるため、撓み量の更なる増大を生むことになると共に、軽量化が図られる。したがって、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)全体としての撓み量が増大することで、クラウン部20と併せてクラブヘッドとしての反発係数の向上に資すると共に、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)の軽量化に伴いクラブヘッドとしての軽量化が実現されることとなる。
本発明は、クラウン部やソール部、フェース部といったウッド系ゴルフクラブヘッドの各パーツについて、表層材と裏層材との所定領域における拡散接合手段を採用し、これにより接合領域と非接合領域を併存させることによって、クラブヘッドとしての反発係数の向上に資すると共に、非接合領域の裏層材を取り除くことで、低重心化や軽量化を実現可能であることから、本発明にかかる「ウッド系ゴルフクラブヘッド」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
10 ウッド系ゴルフクラブヘッド
20 クラウン部
21 ソール部
22 フェース部
30 表層材
31 裏層材
32 接合領域
33 非接合領域
本発明は、強度と反発係数を高めると同時に、軽量化ならびに低重心化を図るウッド系ゴルフクラブヘッドに関する。
近年、ウッドクラブと称されるウッド系のゴルフクラブは、品質や材料供給の安定性などの観点から、従来の木製の天然材料に変えて、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料で中空な外殻体に形成された金属製のへッドを備えたものが広く提供されている。
上記のようなウッド系のゴルフクラブヘッドの多くは、クラウン部と、ソール部と、フェース部の三つのパーツに分かれて構成されるもので、金属材料により成形されている。
ウッド系のゴルフクラブヘッドに広く使用されている金属材料としては、ステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などが挙げられるが、これらの金属材料は該金属材料の中でも比較的に比重が大きいために、ウッド系ゴルフクラブのヘッド用材料として使用された場合、該ヘッドの容量(大きさ)が、ルール上、一定以下に制限されていることから、制限ギリギリの大型ヘッドを製造しようとした場合に、重量が嵩んでしまって軽量化に困難をきたすと共に、材料選択が限定され、より高価な軽量金属材料を選択する必要が生じる、といった問題もあった。
また、使用時(打球時)におけるゴルフクラブによるボ−ルの打ち易さを向上させるためには、クラブヘッド自体の重心を通る全方位の慣性モ−メントを大きくする必要があるが、従来より使用されているステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などによる金属材料では、上記の通り大型ヘッドの製造が困難であることから、クラブヘッド自体の慣性モ−メントについても大きくさせることが困難である、といった問題もあった。
さらに、従来のウッド系ゴルフクラブのヘッド用材料に使用されているステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などの金属材料は、材料自体の比重が大きいために、ヘッドの重心深度や重心高さに関するヘッド設計の自由度が低く、昨今の多様な機能を備えるクラブヘッドの設計を困難なものにしている。
そこで、上記した多様な問題を克服した上で、ウッドクラブ用ヘッド自体の慣性モ−メントならびにヘッド設計の自由度が高く、しかも、使用時(打球時)におけるボ−ルに対する反発係数が高いウッド系ゴルフクラブの金属製ヘッドの提供が望まれているものである。
上記のような問題点を解決すべく、従来、チタン及びチタン合金と非チタン材とを組み合せてなる複合ゴルフクラブヘッドにおいて、接合部のガタつきを防止する「ゴルフクラブヘッド」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ソール部に開口部を有するシェル形状のチタン又はチタン合金製ウッド用ゴルフクラブヘッド本体と、該開口部を塞ぐように設けられた、チタン又はチタン合金とは異なる材料よりなるソール部材とで構成されるウッド用ゴルフクラブヘッドであって該ソール部材はゴルフクラブヘッド本体を構成するチタン又はチタン合金の比重よりも30%以上大きな比重の材料よりなり、該ソール部材は前記ゴルフクラブヘッド本体に溶接により固着一体化されているゴルフクラブヘッドの溶接手段の提案である。
しかしながら、かかる「ゴルフクラブヘッド」の提案は、従来のビス止めならびに溶接による接合手段を、拡散接合又は摩擦圧接により接合したに過ぎないものであって、衝撃により接合部が緩んだりガタついたりする心配はないものの、ゴルフクラブヘッドの耐衝撃性や耐久性、打撃性能及び使用感が特筆して良好となる様な提案ではなかった。
また、ゴルフクラブヘッド材料に異種金属材料を広い面積に亘って拡散接合することにより、打球感および打撃性能を向上させるとともにゴルフクラブヘッドの耐久性を増加させることができる「ゴルフクラブヘッド用拡散接合材料」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ゴルフクラブヘッドの本体と、該本体の材料と異なる一種または一種以上の金属材料とを備え、該金属材料および本体の相互の面間に、これらの面全体で均一に一体化するように圧延、ホットプレスまたはHIPにより拡散接合させた接合界面を有し貼り合わせたものである。
しかしながら、かかる「ゴルフクラブヘッド用拡散接合材料」の提案は、特に金属材料および本体の相互の面間に空間が形成されていないことから、ゴルフクラブヘッドの強度は向上させ得るが、該ヘッドの反発係数を高めると同時に軽量化ならびに低重心化を図ることはできない構造となっている。
さらに、大型で、軽量で、ヘッド自体の慣性モ−メントが大きく、ヘッドの設計の自由度が大きく、しかも、打球時におけるボ−ルに対する反発係数が大きいゴルフ・ウッドクラブ用金属製ヘッドを得る「ゴルフのウッドクラブ用金属製ヘッドおよびその製造方法ならびにこの金属製ヘッドを用いたゴルフのウッドクラブ」(特許文献3)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ウッドクラブ用金属製ヘッドにおいて、上記フェース部がマルエ−ジング鋼またはチタン合金で構成されるとともに、上記ソール部および上記クラウン部がそれぞれ、ベリリウムと マグネシウム、ケイ素、ニッケル、銅、亜鉛、マンガンから成るグル−プから選ばれた少なくとも一種を含有するアルミニウム合金との複合材料、マグネシウム合金、およびアルミニウム合金の3種の材料から選ばれた少なくとも一種で構成されたものである。
しかしながら、かかる「ゴルフのウッドクラブ用金属製ヘッドおよびその製造方法ならびにこの金属製ヘッドを用いたゴルフのウッドクラブ」の提案は、特にクラウン部と、ソール部と、フェース部の接合部の厚みが各部を形成する厚みと同一であることから、接合強度において問題があるものであった。
本出願人は、金属同士を接合する拡散接合技術に着目し、材料に関係なく拡散接合技術を用いて構造的に上記各問題点を解消できないものかという着想の下、強度と反発係数を高めると同時に、軽量化ならびに低重心化を実現し得るウッド系ゴルフクラブヘッドを開発し、本発明にかかる「ウッド系ゴルフクラブヘッド」の提案に至るものである。
特開平7−163687号公報
特開平11−57084号公報
特開2001−37924号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、反発係数を高めると同時に、軽量化ならびに低重心化を実現し得るウッド系ゴルフクラブヘッドを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は、クラウン部と、ソール部と、フェース部と、で構成されるウッド系ゴルフクラブヘッドであって、前記クラウン部は、表層材と裏層材とで構成され、該表層材と裏層材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材と裏層材との接合領域と、該表層材と裏層材との非接合領域とが併存すると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採る。
採る。
さらに、本発明は、前記ソール部または前記フェース部のいずれか一方若しくは両方が、表層材と裏層材とで構成され、該表層材と裏層材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材と裏層材との接合領域と、該表層材と裏層材との非接合領域とが併存すると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採る。
またさらに、本発明は、前記ソール部または前記フェース部のいずれか一方若しくは両方が、表層材と裏層材とで構成され、該表層材と裏層材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材と裏層材との接合領域と、該表層材のみからなり裏層材が存在しない非接合領域とが併存すると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採る。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、クラウン部において、表層材と裏層材とが所定領域で拡散接合によって接合されることにより、其々の特性(例えば、強度、反発係数、軽量、粘り)を持った表層材と裏層材を使用することができると共に、非接合領域が存することとなるため、ゴルフクラブヘッドにおける強度と反発係数を高めることができると共に、設計の自由度が向上する、といった優れた効果を奏する。
さらに、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、ソール部やフェース部においても、表層材と裏層材とが所定領域で拡散接合によって接合されることにより、其々の特性(例えば、強度、反発係数、軽量、粘り)を持った表層材と裏層材を使用することができると共に、非接合領域が存することとなるため、ゴルフクラブヘッドにおける強度と反発係数をより高めることができると共に、更なる設計の自由度を向上し得る、といった優れた効果を奏する。
またさらに、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドによれば、ソール部やフェース部に拡散接合を採用した場合において、非接合領域の裏層材が夫々取り除かれることによって、ゴルフクラブ全体として取り除かれた分の軽量化が図られると共に、取り除かれた箇所の撓み量が増大して反発係数を更に高めることができる、といった優れた効果を奏する。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの実施形態を示す説明図である。(実施例1)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの実施形態を示す説明図である。(実施例1)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッドの他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20と、ソール部21と、フェース部22と、で構成されるウッド系ゴルフクラブヘッド10であって、クラウン部20は、表層材30と裏層材31とが少なくとも所定幅の周縁部領域32を含む所定領域33において拡散接合Tにより接合されると共に、所定形状にプレス成型されて成る手段を採ったことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる本発明のウッド系ゴルフクラブヘッド10の実施形態について、図面に基づき説明する。
尚、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができる。
図1乃至図2は、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10の実施形態を示しており、各図とも(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20と、ソール部21と、フェース部22と、で構成されている。
クラウン部20は、表層材30と裏層材31とで構成され、夫々金属材料から成る。該表層材30及び裏層材31の素材については、金属であれば特に限定はないが、例えばアルミニュウム合金やマグネシウム合金、ステンレス鋼、マルエージング鋼、チタン合金など、各種特性を考慮して決定される。かかる表層材30と裏層材31とは、所定領域において拡散接合により面接合されて成る。
拡散接合とは、金属板材料を面で密着させた状態で加熱して一体化する接合方法で、面と面の接合や材質の異なった薄板の積層接合、溶接では難しい材質の接合を可能にする手法である。
表層材30や裏層材31の厚みについては、強度や反発係数、重量などを考慮して適宜決定されるものであって、特に限定するものではないが、例えば夫々が略0.3mmの金属材料とした場合、それらを所定領域で接合しつつ重ね合わせることで、クラウン部20自体の厚みは略0.6mmとなる。
表層材30と裏層材31との接合領域32は、クラウン部20全体ではなく、所定領域のみ拡散接合される。かかる所定領域については、少なくともクラウン部20における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれる。かかる周縁部領域を必須の接合領域32とする理由は、他のパーツ(ソール部21やフェース部22)と接合される箇所であってその接合強度を保つ為である。
クラウン部20における周縁部領域以外は、強度や反発係数などを考慮して、必要に応じて適宜接合領域32が配される。尚、図1はクラウン部20の周縁部領域のみを拡散接合した場合を示し、図2はクラウン部20の周縁部領域のほか格子状に接合領域32を配した場合を示している。
このように、表層材30と裏層材31とが所定領域において拡散接合されて成るクラウン部20は、最終的にウッド系の所定形状にプレス成型される。
ソール部21は、常法により成形されるもので、例えば単一の金属材料がウッド系の所定形状にプレス成型されて成り、あるいは、表層材30と裏層材31とから成る各金属材料の全領域を拡散接合してウッド系の所定形状にプレス成型されて成るもので、素材については金属であれば特に限定はなく、例えばアルミニュウム合金やマグネシウム合金、チタン合金など、各種特性を考慮して採用される。
フェース部22は、ソール部21同様、常法により成形されるもので、例えば単一の金属材料がウッド系の所定形状にプレス成型されて成り、あるいは、表層材30と裏層材31とから成る各金属材料の全領域を拡散接合してウッド系の所定形状にプレス成型されて成るもので、素材については金属であれば特に限定はなく、例えばステンレス鋼やマルエージング鋼、チタン合金など、各種特性を考慮して採用される。
前記クラウン部20とソール部21とフェース部22とを接合することにより、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は完成する。かかるクラウン部20とソール部21とフェース部22との接合方法については、常法により接合するもので特に限定はないが、接合強度を考慮すると、TIG溶接やエレクトロンビーム溶接、レーザー溶接、デイップろう付け、真空ろう付け等の溶接手段による接合方法を採用することが好ましい。
以上の通り構成される本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33が接合されないことで撓み量の増大を生むこととなる。よって、クラウン部20の全領域が面接合されている場合に比し、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20全体としての撓み量が増大することで、クラブヘッドとしての反発係数の向上に資することとなる。
尚、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、ドライバーのほか、フェアウエーウッド、ユーテリティークラブ、ウッド系アイアンなど、あらゆるウッド系クラブに採用することが可能である。
他の実施例について図3を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。図3は、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10の他の実施形態を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
実施例1によって、クラウン部20に非接合領域33が存することで、該クラウン部20の撓み量を増大させ、クラブヘッドとしての反発係数の向上が実現される。
しかしながら、ウッド系ゴルフクラブヘッド10は、反発係数の向上について更なる要求があると共に、クラブヘッド全体の軽量化への要求も多い。
そこで、反発係数の更なる向上と併せて、軽量化を実現できる技術が求められていた。
かかる反発係数の更なる向上を実現すべく、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、ソール部21とフェース部22のいずれか一方若しくは両方について、表層材30と裏層材31とで構成され、該表層材30と裏層材31とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されて成る手段を採用する。尚、図面では、ソール部21とフェース部22の両方に当該手段を採用した場合について示している。
すなわち、拡散接合が施される対象パーツ(ソール部21,フェース部22)は、夫々金属材料から成る表層材30と裏層材31とで構成される。そして、かかる表層材30と裏層材31とは、所定領域において拡散接合により面接合されて成る。
表層材30や裏層材31の厚みについては、強度や反発係数、重量などを考慮して適宜決定されるものであって、特に限定するものではないが、例えば夫々が略0.3mmの金属材料とした場合、それらを所定領域で接合しつつ重ね合わせることで、ソール部21あるいはフェース部22自体の厚みは略0.6mmとなる。
表層材30と裏層材31との接合領域32は、対象パーツ全体ではなく、所定領域のみ拡散接合される。かかる所定領域については、少なくとも対象パーツ(ソール部21,フェース部22)における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれる。かかる周縁部領域を必須の接合領域32とする理由は、他のパーツと接合される箇所であってその接合強度を保つ為である。
対象パーツ(ソール部21,フェース部22)における周縁部領域以外は、強度や反発係数などを考慮して、必要に応じて適宜接合領域32が配される。かかる接合領域32の配置態様は、例えば図1乃至図2で示したクラウン部20における接合領域32の配置態様と同様である。
このように、表層材30と裏層材31とが所定領域において拡散接合されて成る対象パーツ(ソール部21,フェース部22)は、最終的にウッド系の所定形状にプレス成型される。
このとき、クラブヘッド全体の軽量化を実現すべく、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)の非接合領域34において裏層材31が取り除かれて成る手段を採用し得る。図面では、かかる裏層材31を取り除いた場合について示している。
すなわち、表層材30と裏層材31について、対象パーツ全体を拡散接合するものではないことから、接合領域32とは別に、接合されていない非接合領域33が対象パーツ(ソール部21,フェース部22)に存することとなる。この非接合領域33における裏層材31を取り除くことで、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)を形成する。これにより、非接合領域33には、表層材30のみが存することとなる。
以上の通り構成される本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部20だけでなくソール部21やフェース部22において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33が接合されないことで撓み量の増大を生むこととなる。よって、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)の全領域が面接合されている場合に比し、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)全体としての撓み量が増大することで、クラウン部20と併せてクラブヘッドとしての反発係数の向上に資することとなる。
また、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)において接合領域32と非接合領域33が併存し、この非接合領域33における裏層材31が取り除かれることで、該非接合領域33には表層材30のみが残存する。これにより、接合領域32よりも非接合領域33の方が厚みが薄くなるため、撓み量の更なる増大を生むことになると共に、軽量化が図られる。したがって、本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド10は、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)全体としての撓み量が増大することで、クラウン部20と併せてクラブヘッドとしての反発係数の向上に資すると共に、対象パーツ(ソール部21,フェース部22)の軽量化に伴いクラブヘッドとしての軽量化が実現されることとなる。
本発明は、クラウン部やソール部、フェース部といったウッド系ゴルフクラブヘッドの各パーツについて、表層材と裏層材との所定領域における拡散接合手段を採用し、これにより接合領域と非接合領域を併存させることによって、クラブヘッドとしての反発係数の向上に資することから、本発明にかかる「ウッド系ゴルフクラブヘッド」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
10 ウッド系ゴルフクラブヘッド
20 クラウン部
21 ソール部
22 フェース部
30 表層材
31 裏層材
32 接合領域
33 非接合領域