JP6698192B1 - ゴルフクラブヘッドのフェース構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】反発係数を高めると同時に、軽量化を実現し得るゴルフクラブヘッドのフェース構造を提供する。【解決手段】ゴルフクラブヘッドのフェース構造であって、表層材と中間部材と裏層材とで構成され、該表層材と中間部材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されると共に、該裏層材と中間部材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材及び裏層材と中間部材との接合領域と、該表層材及び裏層材と中間部材との非接合領域とが併存されて成る手段を採る。【選択図】図1

Description

本発明は、強度と反発係数を高めると同時に、軽量化を図るゴルフクラブヘッドのフェース構造に関する。
ゴルフクラブは、その種類として、ドライバーやユーティリティと呼称されるウッド系クラブや、アイアン、ウェッジ、パターから構成される。これらゴルフクラブは、近年、品質や材料供給の安定性などの観点から、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料で成形された金属製のヘッドを備えたものが広く提供されている。
ウッド系のゴルフクラブを例にとれば、そのクラブヘッドの多くは、クラウン部と、ソール部と、フェース部の三つのパーツに分かれて構成されるもので、ステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金など金属材料により成形されている。これらの金属材料は、該金属材料の中でも比較的に比重が大きいために、ウッド系のゴルフクラブのヘッド用材料として使用された場合、該ヘッドの容量(大きさ)が、ルール上、一定以下に制限されていることから、制限ギリギリの大型ヘッドを製造しようとした場合に、重量が嵩んでしまって軽量化に困難をきたすと共に、材料選択が限定され、より高価な軽量金属材料を選択する必要が生じる、といった問題があった。
また、使用時(打球時)におけるゴルフクラブによるボールの打ち易さを向上させるためには、クラブヘッド自体の重心を通る全方位の慣性モーメントを大きくする必要があるが、従来より使用されているステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などによる金属材料では、上記の通り大型ヘッドの製造が困難であることから、クラブヘッド自体の慣性モーメントについても大きくさせることが困難である、といった問題もあった。
さらに、従来のゴルフクラブのヘッド用材料に使用されているステンレス鋼やアルミニウム合金、チタン合金などの金属材料は、材料自体の比重が大きいために、ヘッドの重心深度や重心高さに関するヘッド設計の自由度が低く、昨今の多様な機能を備えるクラブヘッドの設計を困難なものにしている。
そこで、上記した多様な問題を克服した上で、クラブヘッド自体の慣性モーメントならびにヘッド設計の自由度が高く、しかも、使用時(打球時)におけるボールに対する反発係数が高いゴルフクラブの金属製ヘッドの提供が望まれているものである。
上記のような問題点を解決すべく、従来、チタン及びチタン合金と非チタン材とを組み合せてなる複合ゴルフクラブヘッドにおいて、接合部のガタつきを防止する「ゴルフクラブヘッド」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ソール部に開口部を有するシェル形状のチタン又はチタン合金製ウッド用ゴルフクラブヘッド本体と、該開口部を塞ぐように設けられた、チタン又はチタン合金とは異なる材料よりなるソール部材とで構成されるウッド用ゴルフクラブヘッドであって該ソール部材はゴルフクラブヘッド本体を構成するチタン又はチタン合金の比重よりも30%以上大きな比重の材料よりなり、該ソール部材は前記ゴルフクラブヘッド本体に溶接により固着一体化されているゴルフクラブヘッドの溶接手段の提案である。
しかしながら、かかる「ゴルフクラブヘッド」の提案は、従来のビス止めならびに溶接による接合手段を、拡散接合又は摩擦圧接により接合したに過ぎないものであって、衝撃により接合部が緩んだりガタついたりする心配はないものの、ゴルフクラブヘッドの耐衝撃性や耐久性、打撃性能及び使用感が特筆して良好となる様な提案ではなかった。
また、ゴルフクラブヘッド材料に異種金属材料を広い面積に亘って拡散接合することにより、打球感および打撃性能を向上させるとともにゴルフクラブヘッドの耐久性を増加させることができる「ゴルフクラブヘッド用拡散接合材料」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ゴルフクラブヘッドの本体と、該本体の材料と異なる一種または一種以上の金属材料とを備え、該金属材料および本体の相互の面間に、これらの面全体で均一に一体化するように圧延、ホットプレスまたはHIPにより拡散接合させた接合界面を有し貼り合わせたものである。
しかしながら、かかる「ゴルフクラブヘッド用拡散接合材料」の提案は、特に金属材料および本体の相互の面間に空間が形成されていないことから、ゴルフクラブヘッドの強度は向上させ得るが、該ヘッドの反発係数を高めると同時に軽量化を図ることができない構造となっている。
さらに、大型で、軽量で、ヘッド自体の慣性モーメントが大きく、ヘッドの設計の自由度が大きく、しかも、打球時におけるボールに対する反発係数が大きいゴルフ・ウッドクラブ用金属製ヘッドを得る「ゴルフのウッドクラブ用金属製ヘッドおよびその製造方法ならびにこの金属製ヘッドを用いたゴルフのウッドクラブ」(特許文献3)が提案され、公知技術となっている。具体的には、ウッドクラブ用金属製ヘッドにおいて、上記フェース部がマルエージング鋼またはチタン合金で構成されるとともに、上記ソール部および上記クラウン部がそれぞれ、ベリリウムと マグネシウム、ケイ素、ニッケル、銅、亜鉛、マンガンから成るグループから選ばれた少なくとも一種を含有するアルミニウム合金との複合材料、マグネシウム合金、およびアルミニウム合金の3種の材料から選ばれた少なくとも一種で構成されたものである。
しかしながら、かかる「ゴルフのウッドクラブ用金属製ヘッドおよびその製造方法ならびにこの金属製ヘッドを用いたゴルフのウッドクラブ」の提案は、特にクラウン部と、ソール部と、フェース部の接合部の厚みが各部を形成する厚みと同一であることから、接合強度において問題があるものであった。
本出願人は、金属同士を接合する拡散接合技術に着目し、材料に関係なく拡散接合技術を用いて構造的に上記各問題点を解消できないものかという着想の下、強度と反発係数を高めると同時に、軽量化を実現し得るゴルフクラブヘッドのフェース構造を開発し、本発明にかかる「ゴルフクラブヘッドのフェース構造」の提案に至るものである。
特開平7−163687号公報 特開平11−57084号公報 特開2001−37924号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、反発係数を高めると同時に、軽量化を実現し得るゴルフクラブヘッドのフェース構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は、ゴルフクラブヘッドのフェース構造であって、表層材と中間部材と裏層材とで構成され、該表層材と中間部材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されると共に、該裏層材と中間部材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合され、該表層材と中間部材が拡散接合される接合領域と、該裏層材と中間部材が拡散接合される接合領域とが、夫々違える形状領域にて接合されて成り、該表層材及び裏層材と中間部材との接合領域と、該表層材及び裏層材と中間部材との非接合領域とが併存されて成る手段を採る。
さらに、本発明は、前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造を使用したウッド系ゴルフクラブヘッドであって、前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造における表層材の表面に必要に応じてフェースラインが溝切りされて成るフェース部と、クラウン部と、ソール部と、で構成されて成る手段を採る。
またさらに、本発明は、前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造を使用したアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッドであって、前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造における表層材の表面にフェースラインが溝切りされると共に、裏層材が各番手に応じたソール幅を有する形状並びにウエイト材を備えて成る手段を採る。
さらにまた、本発明は、前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造を使用したパター系ゴルフクラブヘッドであって、前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造における表層材の表面に必要に応じてフェースラインが溝切りされると共に、裏層材が型式に応じた形状を備えて成る手段を採る。
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造によれば、ウッド系やアイアン系若しくはウェッジ系、パター系といったゴルフクラブのヘッド部分を構成するフェース部において、表層材と中間部材と裏層材とが所定領域で拡散接合によって接合されることにより、其々の特性(例えば、強度、反発係数、軽量、粘り)を持った表層材や中間部材、裏層材を使用することができると共に、所定範囲の非接合領域が存することとなるため、ゴルフクラブヘッドにおける強度と反発係数をより高めることができると共に、設計の自由度を向上し得る、といった優れた効果を奏する。
また、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造によれば、表層材及び裏層材と中間部材との非接合領域における該中間部材が存在しない態様を採用することで、中間部材が存在しない分だけゴルフクラブヘッドの軽量化が図られると共に、中間部材が存在しない箇所が中空構造となって当該箇所の撓み量が増大して反発係数を更に高めることができる、といった優れた効果を奏する。
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造の実施形態を示す説明図である。(実施例1) 本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造の使用態様を示す説明図である。(実施例2) 本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造の使用態様を示す説明図である。(実施例3) 本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造の使用態様を示す説明図である。(実施例4)
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造は、表層材20と中間部材22と裏層材21とで構成され、該表層材20と中間部材22とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されると共に、該裏層材21と中間部材22とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、該表層材20及び裏層材21と中間部材22との接合領域30と、該表層材20及び裏層材21と中間部材22との非接合領域31とが併存されて成る手段を採ったことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる本発明のゴルフクラブヘッドのフェース構造の実施形態について、図面に基づき説明する。
尚、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができる。
図1は、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造の実施形態を示し、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造は、表層材20と中間部材22と裏層材21とで構成され、該表層材20及び裏層材21と中間部材22とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されることで、ゴルフクラブヘッドのフェース部10を構成するものである。
拡散接合とは、金属板材料を面で密着させた状態で加熱して一体化する接合方法で、面と面の接合や材質の異なった薄板の積層接合、溶接では難しい材質の接合を可能にする手法である。
表層材20と裏層材21と中間部材22とは、夫々金属材料から成り、該素材については金属であれば特に限定はないが、例えばアルミニュウム合金やマグネシウム合金、ステンレス鋼、マルエージング鋼、チタン合金など、各種特性を考慮して決定される。かかる表層材20及び裏層材21は、所定領域において拡散接合により中間部材22に面接合されて成る。
表層材20や裏層材21、中間部材22の夫々の厚みについては、強度や反発係数、重量、ゴルフクラブの種類などを考慮して適宜決定されるものであって、特に限定するものではない。例えば夫々が略0.3mmの金属材料とした場合、それらを所定領域で接合しつつ重ね合わせることで、フェース部10全体の厚みは略0.9mmとなる。ウッド系ゴルフクラブヘッド1のフェース部10として採用する場合は、このように均等厚みの重ね合わせで足りるが、アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2やパター系ゴルフクラブヘッド3のフェース部10として採用する場合は、表層材20や中間部材22より裏層材21の厚さが増すことが想定される。
表層材20と中間部材22との接合領域30は、面全体ではなく、所定領域のみ拡散接合される。かかる所定領域については、少なくとも表層材20及び中間部材22における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれる。
また、裏層材21と中間部材22との接合領域30についても、面全体ではなく、所定領域のみ拡散接合される。かかる所定領域については、少なくとも裏層材21及び中間部材22における所定幅(例えば5〜10mm)の周縁部領域が含まれる。
かかる周縁部領域を必須の接合領域30とする理由は、フェース部10の外周に非接合による間隙が存しないようにするため、そして、他のパーツ(クラウン部11やソール部12)と接合する場合の接合強度を保つ為である。
表層材20及び裏層材21並びに中間部材22における周縁部領域以外は、強度や反発係数などを考慮して、必要に応じて適宜接合領域30が配される。尚、図1は表層材20及び裏層材21と中間部材22の周縁部領域のみを拡散接合した場合を示している。
表層材20と中間部材22との接合領域30と、裏層材21と中間部材22との接合領域30について、同じ形状領域ではなく、夫々違える形状領域にて接合する態様を採る。例えば、表層材20と中間部材22との周縁部領域における接合領域30の幅を10mmとし、裏層材21と中間部材22との周縁部領域における接合領域30の幅を5mmとすること可能である。
また、周縁部領域以外については、一方のみを接合し他方を接合しない態様も可能である。例えば、表層材20と中間部材22のみを接合した接合領域30の当該箇所について、裏層材21と中間部材22とは接合しない非接合領域31にすることも可能である。
尚、接合領域30とは、表層材20と中間部材22並びに裏層材21と中間部材22とが面接合される領域であって、かかる面接合により夫々の部材が結合して一体化した領域を言う。それ以外の接合されていない領域が非接合領域31であって、表層材20と裏層材21と中間部材22とが結合されず単に重なり合った状態で存している領域となる。
以上の通り構成される本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造は、表層材20と裏層材21とが中間部材22を介して接合領域30と非接合領域31が併存し、この非接合領域31において各部材同士が結合されずに一体化されていないことから、外圧に対し隣接部材が夫々独立して摺動可能であり、これによりフェース部10全体としての撓み量の増大を生むこととなる。よって、従来ゴルフクラブヘッドのフェース構造に比し、フェース部10全体としての撓み量が増大することで、クラブヘッドとしての反発係数の向上に資することとなる。
尚、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造は、ドライバーやフェアウエーウッド、ユーテリティークラブ等のウッド系ゴルフクラブや、アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブ、パター系ゴルフクラブなどのゴルフクラブヘッドのフェース部10として採用することが可能である。
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造について、実際にウッド系ゴルフクラブヘッド1のフェース部10として採用した場合の使用形態を、図2に基づき説明する。
図2は、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造から成るフェース部10を、ウッド系ゴルフクラブヘッド1に採用した場合の実施形態を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド1は、既述のゴルフクラブヘッドのフェース構造から成るフェース部10をウッド系ゴルフクラブヘッド1に採用したもので、表層材20の表面に必要に応じてフェースライン40が溝切りされて成るフェース部10と、クラウン部11と、ソール部12と、で構成されている。
ウッド系ゴルフクラブヘッド1におけるフェースライン40(スコアラインとも言う)の役割は、雨の日にボールが滑って右に出たり、スピン量が不安定になったりするのを防ぐことを目的とするものである。最近のウッド系ゴルフクラブヘッド1は、フェース部10の反発性能を上げるためにギリギリまで薄く作られてくるようになっており、そこにフェースライン40を入れると強度が足りなくなって割れてしまうこともある。したがって、本発明では、フェース部10の強度等を考慮しつつ、必要に応じて表層材20の表面にフェースライン40が溝切りされる。
以上の通り構成される本発明にかかるウッド系ゴルフクラブヘッド1は、フェース部10として既述の本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造を採用することで、従来ウッド系ゴルフクラブヘッドに比し、フェース部10全体としての撓み量が増大すると共に、反発係数の向上に資し、さらに軽量化の実現にも資することとなる。
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造について、実際にアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2のフェース部10として採用した場合の使用形態を、図3に基づき説明する。
図3は、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造から成るフェース部10を、アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2に採用した場合の実施形態を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
本発明にかかるアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2は、既述のゴルフクラブヘッドのフェース構造から成るフェース部10をアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2に採用したもので、表層材20の表面にフェースライン40が溝切りされると共に、裏層材22が各番手に応じたソール幅50を有する形状並びにウエイト材51を備えた構成となっている。
アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2におけるフェースライン40の役割については、ウッド系ゴルフクラブヘッド1と同様、雨の日にボールが滑って右に出たり、スピン量が不安定になったりするのを防ぐことを目的とするものである。但し、ウッド系ゴルフクラブヘッド1と異なり、アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2におけるスピンコントロールは重要な要素であり、フェースライン40が存しないアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2は考えられないことから、表層材20の表面にフェースライン40が溝切りされる態様は必須構成要件となる。
裏層材22は、アイアン及びウェッジの各番手に応じたソール幅50を有する形状に成形されている。かかるソール幅50とは、クラブヘッドにおけるソール部分の幅(フェースの向きに対し直行方向の長さ・厚み)であり、特にウェッジ系のクラブヘッドにおいて幅広となる傾向にある。かかるソール幅50は、アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブにとって、クラブヘッドの重心やクラブコントロールに影響する重要な要素である。本発明では、ソール幅50の具体的形状について特に限定するものではなく、クラブの仕様により適宜決定されれば足りる。
ウエイト材51は、クラブヘッドの重量調整のために備えられるもので、前記ソール幅50とも関連するものであり、各番手に応じたウエイト材51が裏層材22に備えられる。該ウエイト材51は、「スイングウェイト」とも呼ばれ、クラブセットを正しく重量管理するための一つの目安となる。すなわち、もともとスイングウェイトは、パターを除いた長いクラブから短いクラブまで同じフィーリング(ヘッドの効き具合)でスイングできるように一つの目安として考えられたもので、正しく重量が調整されたクラブセットは、クラブの長さが短くなるにつれて重くなるようにセッティングされている。これは「重量フロー」などと呼ばれ、スイングウェイトのバランスが悪いと、クラブを変えた時に打感がバラバラになってしまう。本発明では、このスイングウェイトを考慮しつつ、ウエイト材51が各番手に応じて適宜備えられる。
以上の通り構成される本発明にかかるアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド2は、フェース部10として既述の本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造を採用することで、従来アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッドに比し、フェース部10全体としての撓み量が増大すると共に、反発係数の向上に資し、さらに軽量化の実現にも資することとなる。
本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造について、実際にパター系ゴルフクラブヘッド3のフェース部10として採用した場合の使用形態を、図4に基づき説明する。
図4は、本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造から成るフェース部10を、パター系ゴルフクラブヘッド3に採用した場合の実施形態を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
本発明にかかるパター系ゴルフクラブヘッド3は、既述のゴルフクラブヘッドのフェース構造から成るフェース部10をパター系ゴルフクラブヘッド3に採用したもので、表層材20の表面に必要に応じてフェースライン40が溝切りされると共に、裏層材22が型式に応じた形状を備えた構成となっている。
パター系ゴルフクラブヘッド3におけるフェースライン40(スコアラインとも言う)の役割について、雨の日にボールが滑って右に出たり、スピン量が不安定になったりするのを防ぐことを目的とするものであることは、既述のとおりである。本発明では、主にグリーン上にてパッティングのために使用するパター系ゴルフクラブヘッド3であることに鑑み、必要に応じて表層材20の表面にフェースライン40が溝切りされる。
裏層材22は、パター系ゴルフクラブヘッド3の型式に応じた形状に成形されている。パター系ゴルフクラブヘッド3には、主にピン型やL字型、T字型、マレット型など、種々の型式が存在する。本発明では、これらの型式に応じて、裏層材22の形状が適宜成形されることとなる。
以上の通り構成される本発明にかかるパター系ゴルフクラブヘッド3は、フェース部10として既述の本発明にかかるゴルフクラブヘッドのフェース構造を採用することで、従来パター系ゴルフクラブヘッドに比し、フェース部10全体としての撓み量が増大すると共に、反発係数の向上に資し、さらに軽量化の実現にも資することとなる。
本発明は、ゴルフクラブヘッドにおけるフェース構造について、表層材と裏層材と中間部材との所定領域における拡散接合手段を採用し、これにより接合領域と非接合領域を併存させることによって、従来ゴルフクラブヘッドに比し、フェース部全体としての撓み量が増大すると共に、反発係数の向上に資し、さらに軽量化の実現にも資するもので、ウッド系やアイアン系、ウェッジ系、パター系といったあらゆる種類のゴルフクラブヘッドに採用可能であることから、本発明にかかる「ゴルフクラブヘッドのフェース構造」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
1 ウッド系ゴルフクラブヘッド
2 アイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド
3 パター系ゴルフクラブヘッド
10 フェース部
11 クラウン部
12 ソール部
20 表層材
21 裏層材
22 中間部材
30 接合領域
31 非接合領域
40 フェースライン
50 ソール幅
51 ウエイト材

Claims (4)

  1. ゴルフクラブヘッドのフェース構造であって、
    表層材と中間部材と裏層材とで構成され、該表層材と中間部材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合されると共に、該裏層材と中間部材とが少なくとも所定幅の周縁部領域を含む所定領域において拡散接合により接合され、該表層材と中間部材が拡散接合される接合領域と、該裏層材と中間部材が拡散接合される接合領域とが、夫々違える形状領域にて接合されて成り、該表層材及び裏層材と中間部材との接合領域と、該表層材及び裏層材と中間部材との非接合領域とが併存されて成ることを特徴とするゴルフクラブヘッドのフェース構造。
  2. 前記請求項1に記載のゴルフクラブヘッドのフェース構造を使用したウッド系ゴルフクラブヘッドであって、
    前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造における表層材の表面に必要に応じてフェースラインが溝切りされて成るフェース部と、クラウン部と、ソール部と、で構成されて成ることを特徴とするウッド系ゴルフクラブヘッド。
  3. 前記請求項1に記載のゴルフクラブヘッドのフェース構造を使用したアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッドであって、
    前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造における表層材の表面にフェースラインが溝切りされると共に、裏層材が各番手に応じたソール幅を有する形状並びにウエイト材を備えて成ることを特徴とするアイアン系若しくはウェッジ系ゴルフクラブヘッド。
  4. 前記請求項1に記載のゴルフクラブヘッドのフェース構造を使用したパター系ゴルフクラブヘッドであって、
    前記ゴルフクラブヘッドのフェース構造における表層材の表面に必要に応じてフェースラインが溝切りされると共に、裏層材が型式に応じた形状を備えて成ることを特徴とするパター系ゴルフクラブヘッド。
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