以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について説明する。
[システム構成]
図1は、実施形態に係る温度管理システム100の概略構成を示す図である。温度管理システム100は、配送車両1の荷台17に積載される断熱箱5の内部温度を管理するシステムであって、図1に示すように、主に、配送車両1と、配送車両1内に存在する端末装置2と、真空断熱材などの断熱材により内部空間を形成する断熱箱5と、端末装置2と通信を行うサーバ装置9とを有する。図1の例では、配送車両1は、断熱箱5を積載した他の配送車両と共に、各配送車両に断熱箱5を積載するためのプラットフォーム4の近傍に存在する。
断熱箱5には、同一温度帯により保管されるべき1又は複数の荷物が収容されると共に、後述する温度測定モジュール7が取り付けられる。断熱箱5には、収容する荷物の劣化を防ぐために保たれるべき内部温度の帯域(「許容温度帯」とも呼ぶ。)が断熱箱5ごとに定められており、断熱箱5の内部温度を調整するための保冷材などの温度調整材8が適宜収容されている。本実施形態では、断熱箱5の内部温度が定められた許容温度帯に保たれるように、運転手による温度調整材8の追加が適宜行われる。これにより、電源を必要とすることなく、断熱箱5の内部温度が調整される。断熱箱5は、本発明における「収容箱」の一例である。
温度測定モジュール7は、温度を測定する機能及び通信機能を有するモジュールであり、内部温度に関する測定情報「Sd」を、一定又は不定の間隔又は継続的に発信する。測定情報Sdには、後述するように、温度測定モジュール7が測定した測定情報に加え、温度測定の対象となる断熱箱5を特定するための識別情報(「箱ID」とも呼ぶ。)が含まれている。なお、本実施形態では、温度測定モジュール7が発信する測定情報Sdは、当該温度測定モジュール7が配送車両1の荷台17内に存在するか否かによらず、端末装置2が温度測定モジュール7の電波到達範囲内に存在する場合に、端末装置2により受信される。
端末装置2は、例えばドライブレコーダーやナビゲーション装置などの車載機であって、サーバ装置9とネットワークを介した通信を行う。端末装置2は、温度測定モジュール7が発信する箱IDを含む測定情報Sdを受信する。このとき、端末装置2は、配送車両1の移動情報と、各測定情報Sdの受信強度とに基づき、配送車両1に積まれている断熱箱5の箱IDのリスト(「箱登録リストLh」とも呼ぶ。)を生成する。そして、端末装置2は、箱登録リストLhに登録された箱IDを含む測定情報Sdを、配送車両1の識別情報(即ち車両ID)等と共にサーバ装置9へ送信する。また、端末装置2は、指示情報「Si」をサーバ装置9から受信した場合に、指示情報Siに基づき、断熱箱5の内部温度に関する警告を出力したり、温度調整材8の追加の指示を出力したりする。端末装置2は、本発明における「情報処理装置」の一例である。
サーバ装置9は、配送車両1の位置や配送ルート等を管理するサーバであり、端末装置2から受信する測定情報Sdが示す各断熱箱5の測定温度に基づき、断熱箱5への温度調整材8の追加投入の要否を判定する。そして、サーバ装置9は、断熱箱5への温度調整材8の追加投入が必要と判断した場合に、当該断熱箱5の内部温度に関する警告の出力を指示する指示情報Siを、端末装置2に送信する。サーバ装置9は、本発明における「温度管理装置」の一例である。
図1の例では、配送車両1が他の配送車両及びプラットフォーム4に隣接しているため、端末装置2は、配送車両1に積まれた断熱箱5に設置された温度測定モジュール7に加え、隣接する配送車両に積まれた断熱箱5及びプラットフォーム4に載置された断熱箱5に付属する温度測定モジュール7から発信される測定情報Sdを受信することになる。この場合であっても、端末装置2は、配送車両1の移動中での各測定情報Sdの受信強度の時間変化に基づき、配送車両1外に存在する断熱箱5の箱IDを特定し、当該箱IDを含む測定情報Sdをサーバ装置9に送信することなく削除する。
[断熱箱の構造例]
次に、断熱箱5の構成例(第1〜第3構成例)について、図2〜図6を参照して説明する。ただし、これらに限定されるものではない。
図2(A)は、断熱箱5の第1構成例を示す。図2に示す断熱箱5は、主に、天面パネル11と、正面パネル12と、左面パネル13と、背面パネル14と、右面パネル15と、底面パネル16と、を有する容器本体10と、容器本体10のうち天面パネル11と左面パネル13と背面パネル14と右面パネル15と底面パネル16とを覆うように配置された外装袋30と、を備える。左面パネル13と右面パネル15とは、それぞれ、外装袋30に取り付けられている。天面パネル11と背面パネル14と底面パネル16と正面パネル12は、それぞれ、右面パネル15に不図示の連結部を介して回動可能に連結されており、正面パネル12を回動させることで片開き扉とすることができる。また、背面パネル14等の内部壁面には、物を収容することができる保持部19が複数設けられている。保持部19には、温度測定モジュール7が収容されてもよい。さらに、外装袋30の表面には、フック39と、後述する図3で図示する把持部38とが設けられる。
また、断熱箱5は、不使用状態では、折り畳んで収納することができる。この構成について説明する。図2(B)は、第1構成例に係る断熱箱5の左面パネル13、背面パネル14、及び右面パネル15を透過的に図示した俯瞰図であり、図2(C)は、背面パネル14及び右面パネル15のつなぎ目の構造を示す。図2(B)、(C)に示すように、背面パネル14は、左面パネル13に対して取り外し可能である一方、背面パネル14及び右面パネル15は布等を介して繋がれている。そして、背面パネル14は、右面パネル15と対向するように折り畳み自在である。同様に、天面パネル11及び底面パネル16は、右面パネル15側に折り畳み自在である。
図3(A)は、正面パネル12を取り外し、背面パネル14、天面パネル11及び底面パネル16を順に右面パネル15側に折り畳んだ状態の断熱箱5を示す。図3(A)の例では、右面パネル15に背面パネル14が重ねられた後、背面パネル14に面接触するように天面パネル11及び底面パネル16が重ねられる。図3(B)は、左面パネル13を右面パネル15側に平行移動させた場合の断熱箱5の状態を示す。図3(B)の状態では、左面パネル13の内壁に正面パネル12を重ねた後、容器本体10から外れた外装袋30を挟み込むように、正面パネル12及び左面パネル13を、右面パネル15側に寄せている。このように、第1構成例に係る断熱箱5は不使用状態では、好適に折り畳んで収納することができる。
図4(A)、(B)は、第2構成例に係る断熱箱5を示す。図4(A)に示すように、第2構成例に係る断熱箱5は、両面開き自在な構成となっており、第2構成例に係る正面パネル12は、左正面パネル12Lと、右正面パネル12Rとから構成される。左正面パネル12Lは、左面パネル13に対して回動可能に連結されており、右正面パネル12Rは、右面パネル15に対して回動可能に連結されている。
また、図4(B)に示すように、天面パネル11は、2つ折りの状態にして断熱箱5を開放することができる。図4(B)の例では、天面パネル11は、前側天面パネル11Fと、後側天面パネル11Rとから構成され、前側天面パネル11Fが後側天面パネル11Rとの連結部を軸にして外側に反転している。同様に、後側天面パネル11Rは、前側天面パネル11Fとの連結部を軸にして外側に反転することが可能である。このように、第2構成例に係る断熱箱5であっても、好適に荷物及び温度測定モジュール7を収容することができる。
また、第2構成例に係る断熱箱5についても、不使用時に折り畳み自在に構成されるとよい。図5(A)は、使用時における正面パネル12、左面パネル13、背面パネル14、右面パネル15、及び底面パネル16の配置を示す。また、図5(B)は、不使用時に正面パネル12、左面パネル13、背面パネル14、右面パネル15、及び底面パネル16を折り畳んだ状態の断熱箱5を示す。図5の例では、背面パネル14と左面パネル13、及び背面パネル14と右面パネル15が布などにより繋がれている。そして、断熱箱5を収納する場合、背面パネル14に底面パネル16を重ねた後、左面パネル13及び右面パネル15を順に重ねる。このように、第2構成例に係る断熱箱5であっても、好適に折り畳んで収納することができる。
図6(A)は、第3構成例に係る断熱箱5の前扉を閉じた状態の正面図を示し、図6(B)は、第3構成例に係る断熱箱5の前扉を開いた状態の正面図を示す。第3構成例では、正面パネル12は、左正面パネル12Lと、右正面パネル12Rと、下正面パネル12Bとから構成されている。左正面パネル12Lは、左面パネル13に対して回動可能に連結されており、右正面パネル12Rは、右面パネル15に対して回動可能に連結されている。また、下正面パネル12Bは、底面パネル16に対して回動可能に連結されている。天面パネル11の構成及び不使用時の折り畳み構造については、第2構成例と同一である。このように、第3構成例に係る断熱箱5であっても、荷物及び温度測定モジュール7を好適に収容することができる。
なお、断熱箱5は、輸送に用いられる際には作業者や確認者以外に開放されないように封をされていてもよい。封の方法としてはガムテープ等のテープ類、ストレッチフィルム、セキュリティシール、封印錠、封印環、ダイヤル式ロック、TSA(Transportation Security Administration)ロック、電子ロック等が考えられるがこれらに限られない。これらを用いることで、他者による断熱箱5内部の荷物の盗難や物品の混入を防止できる。封の方法として、断熱箱5の正面パネル12などの扉部を本体部に固定するようにテープ、ストレッチフィルムで巻いて固定する、扉部と本体部にまたがるようにセキュリティシールを貼る、扉部と本体部の両方に輪状の部材を配置してそれぞれの輪状部材をつなぐように封印錠、封印環、ダイヤル式、TSA式の錠で封をする、先端にダイヤル式、TSA式のロック機構を有するベルト状部材を扉部と本体部に設置し、それぞれをつなぎ固定する等の方法が考えられるが、これらに限定されない。
[端末装置の構成]
図7は、端末装置2のブロック図である。端末装置2は、主に、ディスプレイやランプなどの表示部21と、タッチパネルなどの入力部22と、記憶部23と、通信部24と、制御部25と、GPS受信機26と、音出力部27と、加速度センサ28とを備える。これらの各要素は、バスライン20を介して相互に接続されている。
記憶部23は、例えば、ハードディスク又はフラッシュメモリといったメモリによって構成され、制御部25が実行するプログラム及び制御部25が実行する処理に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部23は、配送車両1に積載された断熱箱5の箱IDのリストである箱登録リストLhを記憶する。箱登録リストLhは、配送車両1の移動検知後の所定時間以内における測定情報Sdの箱IDごとの受信強度の時間変化に基づき制御部25により生成される。また、記憶部23は、制御部25の制御に基づき、各温度測定モジュール7から受信した測定情報Sdのうち、箱登録リストLhに登録された箱IDを含む測定情報Sdを記憶する。
通信部24は、制御部25の制御に基づき、各断熱箱5に取り付けられた温度測定モジュール7から測定情報Sdを受信する。このとき、通信部24は、受信した各測定情報Sdの受信強度の情報を制御部25へ供給する。また、通信部24は、制御部25の制御に基づき、サーバ装置9に記憶部23に記憶された未送信の測定情報Sd等を、サーバ装置9へ送信する。さらに、通信部24は、サーバ装置9により、指示情報Siを受信する。また、通信部24は、制御部25の制御に基づき、CAN(Controller Area Network)などの所定の通信プロトコルに基づき、配送車両1からエンジンのオン及びオフの情報を受信する。
GPS受信機26は、配送車両1の現在位置を示す位置情報を生成する。加速度センサ28は、配送車両1の進行方向における加速度情報を生成する。なお、通信部24が受信するエンジンのオン及びオフの情報、GPS受信機26が出力する位置情報、及び加速度センサ28が出力する加速度情報は、本発明における「移動情報」の一例である。
制御部25は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、記憶部23に記憶されたプログラムを実行することで、端末装置2内の各構成要素に対して種々の制御を行う。例えば、制御部25は、通信部24が配送車両1から取得するエンジンのオン及びオフの情報、GPS受信機26が出力する位置情報、及び加速度センサ28が出力する加速度情報の少なくともいずれか一つを用いて、配送車両1が移動したか否か判定する。そして、制御部25は、配送車両1が移動中と判断した場合、測定情報Sdの受信強度の変化の有無を監視することで、箱登録リストLhを生成する。この場合、制御部25は、配送車両1の移動中に測定情報Sdの受信強度が変化する温度センサモジュール7が取り付けられた断熱箱5は配送車両1の外部に存在すると判断する。よって、制御部25は、受信する各測定情報Sdに含まれる箱IDから、配送車両1の移動中に測定情報Sdの受信強度が変化する箱IDを除外したリストを、箱登録リストLhとして生成する。そして、制御部25は、箱登録リストLhに登録された箱IDを含む測定情報Sdのみを記憶部23に蓄積し、箱登録リストLhに含まれない箱IDを含む測定情報Sdを削除する。そして、制御部25は、所定の送信タイミングに基づき、サーバ装置9に対し、記憶部23に記憶された未送信の測定情報Sdを、配送車両1の位置情報及び車両IDなどと共に、通信部24によりサーバ装置9に送信する。
また、制御部25は、通信部24が指示情報Siを受信した場合に、指示情報Siに基づき、断熱箱5の内部温度に関する警告等を、表示部21又は/及び音出力部27に出力させる。
なお、制御部25は、本発明における「移動情報取得部」、「測定情報特定部」、「測定情報記憶部」、及び本発明におけるプログラムを実行する「コンピュータ」として機能する。また、表示部21及び音出力部27は、本発明における「出力部」の一例である。通信部24は、「測定情報受信部」、「測定情報送信部」及び「指示情報受信部」の一例である。
[温度測定モジュールの構成]
図8は、温度測定モジュール7のブロック図である。温度測定モジュール7は、主に、温度センサ71と、通信部72と、記憶部73と、制御部75とを有する。これらの各要素は、バスライン70を介して相互に接続されている。
温度センサ71は、温度を測定し、測定した温度の情報を制御部75へ供給する。温度センサ71は、本発明における「温度測定部」の一例である。通信部72は、制御部75の制御に基づき、制御部75が生成した測定情報Sdを発信する。
通信部72の配置は、断熱箱5の内部空間内であってもよく、外部空間であってもよく、また、断熱箱5を構成する壁面に埋め込まれていてもよい。例えば、図2〜図6に示す保持部19の内部に通信部72を設置してもよい。この場合、保持部19を構成する部材は、通信部72の情報の送信を阻害しないものが好ましい。仮に保持部19が通信を阻害する可能性がある部材で構成される場合には、保持部19の少なくとも一部に情報の送信を可能とする開口部を設けるとよい。断熱箱5の外部空間に通信部72が設けられる場合には、断熱箱5が積載されている空間(即ち荷台17の内部空間)を構成する壁面や空間内に、通信部72を収容する保持部を設置してもよい。また、断熱箱5の壁面に通信部72が埋め込まれている場合には、埋め込まれている壁面は、図2等に示す断熱箱5の側面を形成する左面パネル13又は右面パネル15でもよく、天面パネル11でもよく、底面パネル16でもよい。通信部72の厚みは壁面より薄い場合に凸部が発生しないため好ましく、また、通信部72の厚みと壁面の厚みの差分と同等の厚みの他材料を、当該差分を埋めるように配置することで、凹部も発生しない構成とすることがより好ましい。上述の他材料は、繊維系断熱材、発泡断熱材、真空断熱材等の高い断熱性を有する材料が好ましい。
記憶部73は、制御部75が実行するプログラム及び制御部75が実行する処理に必要な情報を記憶する。本実施形態では、記憶部73は、当該温度測定モジュール7が取り付けられる断熱箱5の箱ID等を予め記憶する。
制御部75は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、ROM等に記憶されたプログラムを実行することで、温度測定モジュール7の全体を制御する。本実施形態では、制御部75は、温度センサ71が生成した測定情報に、取付先である断熱箱5の箱IDを加えた測定情報Sdを生成し、通信部72により発信する。
[サーバ装置の構成]
図9は、サーバ装置9のブロック図である。図9に示すように、サーバ装置9は、主に、記憶部93と、通信部94と、制御部95とを有する。
記憶部93は、制御部95が実行するプログラム及び制御部95が実行する処理に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部93は、配送車両1に積まれた断熱箱5ごとの許容温度帯に関する情報が記録された温度管理テーブルTtを記憶する。温度管理テーブルTtについては後述する。さらに、記憶部93は、制御部95の制御に基づき、端末装置2から受信した測定情報Sdが示す各断熱箱5の測定温度を時系列で記録した温度蓄積情報Imを記憶する。
通信部94は、制御部95の制御に基づき、測定情報Sdの受信処理及び指示情報Siの送信処理などを実行する。通信部94は、本発明における「測定情報受信部」の一例である。
制御部95は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、ROMや記憶部93等に記憶されたプログラムを実行することで、サーバ装置9の全体を制御する。例えば、制御部95は、温度管理テーブルTtを参照し、端末装置2から受信した測定情報Sdが示す各断熱箱5の測定温度に基づき、各断熱箱5の温度調整材8の追加の要否を判定する。そして、制御部95は、温度調整材8の追加が必要と判断した場合に、当該断熱箱5の内部温度に関する警告の出力を指示する指示情報Siを、通信部94により端末装置2に送信する。制御部95は、本発明における「判定部」及び「警告制御部」の一例である。
図10は、温度管理テーブルTtのデータ構造の一例を示す。図10に示す温度管理テーブルTtは、「箱ID」、「許容温度帯」、及び「警告用閾値」の各項目を含む。
項目「箱ID」には、温度測定モジュール7により温度が測定される対象となる断熱箱5の箱IDが記録されている。項目「許容温度帯」には、輸送時に各断熱箱5の内部温度が保たれるべき温度(即ち許容温度)の範囲が記録される。許容温度帯は、上限又は下限の一方の温度のみが規定されていてもよく、上限及び下限の温度が規定されていてもよい。
項目「警告用閾値」には、温度調整材8の追加投入に関する警告を出力すべきか否かを判定するための温度の上限又は/及び下限の閾値が記録されている。なお、許容温度帯に上限及び下限が設けられている場合、上限値及び下限値に対応する警告用閾値がそれぞれ設けられる。図10の例では、0℃〜10℃の許容温度帯を有する箱ID「C0001Y」の断熱箱5の警告用閾値は、下限値が2℃となり、上限値が8℃となる。
このように、図10の例では、断熱箱5ごとに、警告の要否を判定するための警告用閾値が関連付けられている。従って、サーバ装置9の制御部95は、端末装置2から受信する測定情報Sdに含まれる測定温度と、当該測定情報Sdに含まれる箱IDに対応する温度管理テーブルTtの警告用閾値とを比較することで、各断熱箱5の温度管理に関する警告の要否を好適に判定することができる。なお、制御部95は、端末装置2から受信する測定情報Sdに含まれる測定温度が対応する許容温度帯から外れたと判断した場合には、警告用閾値に基づく警告よりも高レベルの警告内容を示す指示情報Siを生成し、端末装置2に送信してもよい。
[処理フロー]
(1)測定情報蓄積処理
図11は、配送車両1の断熱箱5の積荷後に端末装置2が実行する測定情報Sdの蓄積処理の手順を示すフローチャートである。端末装置2は、図11のフローチャートの処理を、断熱箱5の温度管理を開始すべき旨の所定のユーザ入力を検知した場合又は配送車両1のエンジンがオンになった場合などの所定のタイミングで実行する。
まず、端末装置2は、温度測定モジュール7から、当該温度測定モジュール7が取り付けられた断熱箱5の箱ID及び測定温度を含む測定情報Sdを受信し、記憶部23に蓄積する(ステップS101)。このとき、端末装置2は、配送車両1の荷台17内に存在する断熱箱5に付属する温度測定モジュール7から発信される測定情報Sdに加え、配送車両1の近傍に存在するプラットフォーム4や他の配送車両等に置かれた断熱箱5に付属する温度測定モジュール7から発信される測定情報Sdについても、記憶部23に記憶することになる。
次に、端末装置2は、配送車両1が移動中であるか否か判定する(ステップS102)。例えば、端末装置2は、この場合、配送車両1からCAN等により取得するエンジンのオン及びオフの情報、GPS受信機26が出力する位置情報、又は加速度センサ28が出力する加速度情報の少なくともいずれか1つに基づき、配送車両1が移動中であるか否か判定する。そして、端末装置2は、配送車両1が移動していないと判断した場合(ステップS102;No)、ステップS101において、受信する全ての測定情報Sdの蓄積を引き続き行う。
そして、端末装置2は、配送車両1が移動中であると判断した場合(ステップS102;Yes)、受信する各測定情報Sdの箱IDごとの受信強度の時間変化に基づき、配送車両1の外部に存在すると推定される断熱箱5の箱IDを除外した箱登録リストLhを生成する(ステップS103)。ステップS103の処理の詳細については、後述する。
次に、端末装置2は、箱登録リストLhにない箱IDを含む記憶部23に蓄積済みの測定情報Sdを削除する(ステップS104)。即ち、この場合、箱登録リストLhにない箱IDを含む測定情報Sdは、配送車両1の外部に存在する(即ち温度管理対象外の)断熱箱5の測定温度を含む測定情報Sdであることから、端末装置2は、これらの測定情報Sdを削除する。これにより、端末装置2は、配送車両1の外部に存在する断熱箱5の測定温度を含む測定情報Sdを、不要にサーバ装置9に送信するのを防ぐ。
そして、端末装置2は、箱登録リストLhの生成後には、測定情報Sdを受信した場合に、箱登録リストLhの箱IDを含む測定情報Sdのみを記憶部23に蓄積する(ステップS105)。ステップS105の処理は繰り返し実行される。記憶部23に蓄積された測定情報Sdは、後述する警告処理において、サーバ装置9に送信される。
次に、端末装置2は、配送車両1が停車したか否か判定する(ステップS106)。例えば、端末装置2は、この場合、配送車両1からCAN等により取得するエンジンのオン及びオフの情報、GPS受信機26が出力する位置情報、又は加速度センサ28が出力する加速度情報の少なくともいずれか1つに基づき、配送車両1が停車したか否か判定する。そして、端末装置2は、配送車両1が停車していないと判断した場合(ステップS106;No)、引き続きステップS105の処理を実行する。
一方、端末装置2は、配送車両1が停車したと判断した場合(ステップS106;Yes)、停車後の所定期間において、箱登録リストLhに登録された各箱IDのうち、測定情報Sdの受信強度の時間変化があった(即ち弱くなった)箱IDが存在するか否か判定する(ステップS107)。そして、端末装置2は、測定情報Sdの受信強度の時間変化があった箱IDが箱登録リストLh内に存在すると判断した場合(ステップS107;Yes)、箱登録リストLhを更新する(ステップS108)。即ち、この場合、端末装置2は、測定情報Sdの受信強度の時間変化があった箱IDの断熱箱5が、荷卸又は他の配送車両に積み替えられたと判断し、当該箱IDを箱登録リストLhから削除する。これにより、端末装置2は、配送車両1の外部に運び出された断熱箱5の測定温度を含む測定情報Sdを、不要にサーバ装置9に送信するのを防ぐ。
一方、端末装置2は、測定情報Sdの受信強度の時間変化があった箱IDが箱登録リストLh内に存在しないと判断した場合(ステップS107;No)又はステップS108の実行後、配送車両1による配送が完了したか否か判定する(ステップS109)。例えば、端末装置2は、箱登録リストLhから全ての箱IDが削除された場合、又は所定のユーザ入力を検知した場合に、配送車両1による配送が完了したと判断する。そして、端末装置2は、配送車両1の配送が完了したと判断した場合(ステップS109;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、端末装置2は、配送車両1による配送が完了していないと判断した場合(ステップS109;No)、再びステップS105へ処理を戻す。
次に、ステップS103の処理の詳細について説明する。
ステップS103では、端末装置2は、ステップS101で蓄積した各測定情報Sdに含まれる箱IDから、配送車両1が移動中に測定情報Sdの受信強度が変化した箱IDを除外したリストを、箱登録リストLhとして生成する。この場合、端末装置2は,例えば、配送車両1が移動したと判断した時点から所定時間経過後までの所定期間において受信する各測定情報Sdの受信強度から、箱IDごとの受信強度の変化幅又は変化率を算出し、変化幅又は変化率の大きさが所定値以上の箱IDを、箱登録リストLhから除外する。上述の所定値は、端末装置2と同一車両内に断熱箱5が存在する場合に想定し得る測定情報Sdの受信強度の変化幅又は変化率の上限値より大きい値に、実験等に基づき設定される。
一般に、配送車両1が移動中の場合、配送車両1の外に存在する断熱箱5に付属する温度測定モジュール7と端末装置2との相対距離が変化する(即ち長くなる)ため、当該温度測定モジュール7から受信する測定情報Sdの受信強度も上述の相対距離に応じて変化する(即ち弱くなる)。以上を勘案し、端末装置2は、配送車両1が移動中と判断した場合に、各測定情報Sdの受信強度の箱IDごとの時間変化の有無を判定することで、好適に配送車両1の外に存在する断熱箱5の箱IDを箱登録リストLhから除外することができる。
次に、ステップS106〜S108について補足説明する。断熱箱5が積卸や積替により配送車両1から運び出された場合にも、運び出された断熱箱5に付属する温度測定モジュール7と端末装置2との相対距離が変化する(即ち長くなる)ため、当該温度測定モジュール7から受信する測定情報Sdの受信強度も上述の相対距離に応じて変化する(即ち弱くなる)。以上を勘案し、端末装置2は、箱登録リストLhの生成後においても、配送車両1が停車したと判断したときに、箱登録リストLhに登録された箱IDごとの測定情報Sdの受信強度の時間変化の有無を判定することで、配送車両1から運び出された断熱箱5の箱IDを箱登録リストLhから好適に削除することができる。
(2)警告処理
図12は、温度調整材8の追加投入に関する警告処理の手順を示すフローチャートである。端末装置2は、図12のフローチャートの処理を、図11のステップS104の実行後の任意のタイミングで繰り返し実行する。
まず、端末装置2は、図11のステップS104の実行後に、記憶部23に蓄積した測定情報Sdをサーバ装置9へ送信する(ステップS201)。このときに送信される測定情報Sdは、箱登録リストLhに登録されているいずれかの箱IDを含む。この場合、端末装置2は、測定情報Sdに加え、配送車両1の識別情報及び現在位置情報などをサーバ装置9に送信する。
サーバ装置9は、端末装置2から測定情報Sdを受信した場合、当該測定情報Sdが示す各断熱箱5の測定温度を、温度蓄積情報Imとして記憶する(ステップS202)。そして、サーバ装置9は、温度管理テーブルTtと各断熱箱5の測定温度とに基づき、警告の要否判定を行う(ステップS203)。そして、サーバ装置9は、警告が必要な断熱箱5が存在すると判断した場合(ステップS204;Yes)、指示情報Siを生成し、指示情報Siを端末装置2へ送信する(ステップS205)。一方、サーバ装置9は、警告が必要な断熱箱5が存在しないと判断した場合(ステップS204;No)、指示情報Siを生成することなく、フローチャートの処理を終了する。
端末装置2は、指示情報Siをサーバ装置9から受信した場合、指示情報Siに基づき、表示部21又は音出力部27の少なくとも一方により、警告を出力する(ステップS206)。
[本実施形態の作用・効果]
本実施形態によれば、端末装置2は、配送車両1の移動時における測定情報Sdの箱IDごとの受信強度の時間変化に基づき、配送車両1の内部に存在する断熱箱5の箱IDを特定して箱登録リストLhを生成し、箱登録リストLhに登録された箱IDを含む測定情報Sdのみをサーバ装置9へ送信する。これにより、端末装置2は、配送車両1の外部に存在する断熱箱5に付された温度測定モジュール7から発信された不要な測定情報Sdをサーバ装置9へ送信するのを防ぐことができる。この場合、端末装置2は、管理対象外の断熱箱5への警告の出力指示をサーバ装置9から受信することがないため、配送車両1の運転手に対し、管理対象外の断熱箱5に対する警告を不要に発するのを好適に抑制することができる。
[変形例]
以下では、上記した実施形態の変形例について説明する。なお、下記の変形例は、任意に組み合わせて実施形態に適用することができる。
(変形例1)
図1の温度管理システム100では、断熱箱5の警告の要否判定などをサーバ装置9が実行していた。これに代えて、端末装置2は、サーバ装置9の代わりに、断熱箱5の警告の要否判定などを自ら実行してもよい。
この場合、端末装置2は、温度管理テーブルTt及び温度蓄積情報Imを記憶し、図12のフローチャートでは、端末装置2は、ステップS201で測定情報Sdを送信する処理に代えて、当該測定情報Sdが示す測定温度に基づき警告の要否判定を行い、警告が必要な断熱箱5がある場合に、当該断熱箱5に対する警告を出力する。この態様によっても、端末装置2は、実施形態と同様に、温度調整材8の追加投入が必要な断熱箱5が存在する場合に、的確に警告を出力することができる。
(変形例2)
図11のステップS102では、端末装置2は、配送車両1からCAN等の通信プロトコルを用いて取得するエンジンのオン及びオフの情報、GPS受信機26が出力する位置情報、又は加速度センサ28が出力する加速度情報の少なくともいずれか1つに基づき、配送車両1が移動中であるか否か判定した。しかし、端末装置2が配送車両1の移動判定に用いる配送車両1の移動情報はこれに限定されない。
これに代えて、又はこれに加え、端末装置2は、他のセンサの出力に基づき、配送車両1の移動の有無を判定してもよい。例えば、端末装置2は、配送車両1に搭載されるライダ(レーザレーダ)の出力、車載カメラの出力画像等の変化の有無に基づき、配送車両1の移動の有無を判定してもよい。他の例では、端末装置2は、配送車両1からCANなどにより取得される車速情報に基づき、配送車両1の移動の有無を判定してもよい。この場合、ライダの出力、車載カメラの出力画像、及び車速情報は、本発明における「移動情報」の一例である。これらの場合であっても、端末装置2は、好適に配送車両1の移動の有無を判定することができる。このように、端末装置2は、種々の配送車両1の移動に関する情報に基づき、配送車両1の移動の有無を判定してもよい。
(変形例3)
図1の温度管理システム100の構成例に代えて、温度管理システム100は、端末装置2とは別に、警告を出力するための出力装置を配送車両1内に有してもよい。この場合、出力装置は、例えば音出力部や表示部などの出力部を含み、サーバ装置9から指示情報Siを受信した場合に、指示情報Siに基づき警告を出力する。この態様であっても、温度管理システム100は、実施形態と同様に、断熱箱5の内部温度に関する警告を運転手に通知することができる。
(変形例4)
サーバ装置9が図12のステップS203で実行する警告の要否判定は、図10に示す警告用閾値を用いた方法に限定されない。
例えば、警告用閾値は、図10の例に代えて、上限値又は/及び下限値ごとに、複数設けられていてもよい。この場合、サーバ装置9は、測定温度が達した警告用閾値に応じて、出力すべき警告の出力態様(例えば頻度やディスプレイの表示色等)を変える。このとき、サーバ装置9は、断熱箱5の測定温度が許容温度帯の境界値に近い警告用閾値に達するほど、高レベルの警告を出力するように警告の出力態様を決定するとよい。この例によれば、サーバ装置9は、温度調整材8の追加投入の緊急性に応じて的確に警告の出力態様を決定することができる。
他の例では、サーバ装置9は、警告用閾値を用いる代わりに、又はこれに加えて、各断熱箱5の過去の測定温度の時系列の変化傾向から当該断熱箱5の内部温度の推移を予測することで、警告の要否を判定してもよい。この場合、例えば、サーバ装置9は、温度蓄積情報Imを参照して各断熱箱5の測定温度の直近の所定時間内での変化率を算出し、当該変化率から対象となる断熱箱5の配達場所への配達予定時刻での当該断熱箱5の内部温度の推定値を算出する。そして、サーバ装置9は、当該推定値が許容温度帯の範囲内であるか否かを判定することで、警告の要否を決定する。この場合、サーバ装置9は、例えば、各断熱箱5の箱IDに関連付けて、当該断熱箱5の配達場所及び配達予定時刻を記憶部93に予め記憶しておく。なお、サーバ装置9は、端末装置2から受信する配送車両1の現在位置情報と、各断熱箱5の配達場所までの走行予定ルートの情報とに基づき、各断熱箱5の配達予定(予想)時刻をリアルタイムで算出してもよい。この例によっても、サーバ装置9は、警告の要否判定を的確に行い、不要な温度調整材8の追加投入の指示を行うのを好適に抑制することができる。
(変形例5)
温度センサ71が測定した測定情報と、断熱箱5を特定するための識別情報とを、端末装置2へ送信する構成例は、通信部72が直接端末装置2へ送信する態様に限定されない。
例えば、断熱箱5が信号を遮断するような空間(遮断空間)に配置されている場合、断熱箱5の内部温度を測定する温度センサ71から遮断空間内に置かれた第1の送信部に測定情報が送られ、第1の送信部と有線接続されており、遮断空間の外部に配置された第2の送信部に送られ、第2の送信部から端末装置2に発信される態様であってもよい。また、断熱箱5が積載される空間内では電源を確保することが困難な場合があるが、第2の送信部が積載空間の外に配置されることで電源を確保できる。これにより、電力消費が大きい端末装置2へのデータの送信による電池切れの心配がなくなる。
図13は、本変形例における温度管理システム100Aの概略構成図である。図13の例では、各断熱箱5に設置された温度測定モジュール7の通信部72は、親機18に対して無線通信により測定情報Sdを送信する。親機18は、端末装置2と有線接続しており、温度測定モジュール7から受信した測定情報Sdを端末装置2へ送信する。この場合、端末装置2又は親機18の少なくともいずれか一方が箱登録リストLhの生成及び記憶を行い、箱登録リストLhに登録されていない箱IDを含む測定情報Sdを蓄積することなく削除する。なお、図13の構成例では、温度測定モジュール7の通信部72が上述の第1の送信部に相当し、親機18が上述の第2の送信部に相当する。
なお、温度測定モジュール7と親機18との接続形式は有線接続であってもよく、無線接続でもよい。有線接続の場合は、Ethernet(登録商標),RS−232C,USB2.0,IEEE1394等の方式が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無線接続の場合は,RF−ID,NFC(Near Field Communication),Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)、ZigBee(登録商標)等の方式が挙げられるが、これらに限定されるものではない。親機18と端末装置2との接続形式は有線接続が好ましい。
(変形例6)
端末装置2からサーバ装置9への測定情報Sdの送信の頻度は制御されていてもよい。この場合、一例として、端末装置2は、各断熱箱5の測定温度を解析し、温度変化がない、もしくは、十分に小さい場合には測定情報Sdの送信頻度を下げ、温度変化が大きい場合には測定情報Sdの送信頻度を上げる。これにより不必要な測定情報Sdの送信を減らすことができ、省エネルギー効果が得られる。一方、端末装置2は、特に急激に温度変化が発生した場合等には、即座に測定情報Sdをサーバ装置9へ送信することで、温度調整材8の追加の要否判断をサーバ装置9に実行させるとよい。この場合、温度センサ71が測定した測定情報は、端末装置2にも蓄積されることが好ましい。
(変形例7)
サーバ装置9とは別に各配送車両1の状態を管理する管理者が使用する端末が存在する場合、サーバ装置9は、警告が必要と判断したときに、指示情報Siを端末装置2に送信するのに加え、又は、これに代えて、上述の端末へメール配信などをさらに行ってもよい。
この場合、サーバ装置9は、通知するメールの内容として、例えば、指示情報Siに相当する情報に加え、配送車両1を特定する情報などを含める。メール配信によりメールを端末から受信した管理者は、適宜、運転者に最寄りの停車地やルート変更などの指示を、配送車両1の運転者に通知する。例えば、この場合、管理者は、VHF又はUHF帯の無線電話機などにより、配送車両1の運転者に音声により指示を行ってもよい。管理者の端末は、この場合、好適には、端末装置2からメールにより通知された情報に基づき、警告の対象となる断熱箱5内の荷物の配送場所、配送車両1の現在位置及び走行予定ルート、及び停車可能地点が明示された地図などを表示する。そして、管理者は、端末の表示内容に基づき、配送車両1の運転者に通知すべき指示内容を決定する。これにより、管理者は、配送車両1の運転者に対して、温度調整材8の追加に関する指示を的確に行うことができる。
(変形例8)
温度調整材8を追加すべき旨の警告を出力する場合、端末装置2は、追加すべき温度調整材8の種類及び個数を指定してもよい。
例えば、サーバ装置9は、箱IDごとに、警告時に使用すべき温度調整材8の種類及び個数の情報を関連付けて記憶し、警告が必要な断熱箱5を特定した場合に、当該断熱箱5の箱IDに関連付けられた温度調整材8の種類及び個数を特定する。そして、サーバ装置9は、特定した追加投入すべき温度調整材8の種類及び個数の情報を指示情報Siに含めて端末装置2へ送信する。これにより、端末装置2は、温度調整に必要な温度調整材8の種類及び個数を的確に運転手に認識させ、温度調整作業を円滑に実行させることができる。
(変形例9)
サーバ装置9は、配送車両1に実際に積まれている断熱箱5の個数と、予め登録された配送車両1に積込み予定の断熱箱5の個数とを比較し、これらが異なっている場合には、運転手等への通知を行ってもよい。
この場合、例えば、配送車両1の配車の工程「配送計画」として、配送車両1に関する情報をサーバ装置9などに予め登録しておく。この場合に登録される情報(「事前登録情報」とも呼ぶ。)は、例えば、断熱箱5を積む場所及び時間、納入先、並びに個数の情報などが該当する。そして、端末装置2は、箱登録リストLhに基づき配送車両1に積まれている断熱箱5の個数を算出し、配送車両1の車両ID等と共にサーバ装置9へ送信する。サーバ装置9は、事前登録情報を参照し、通知された断熱箱5の個数と、対象の配送車両1に積まれるべき断熱箱5の個数とを比較し、これらの個数に差異がある場合は、指示情報Siにより端末装置2に警告を出力させると共に、(変形例7)に記載した管理者が使用する端末に通知を行う。これにより、サーバ装置9は、運転手に対して断熱箱5の個数確認を実行させると共に、管理者に報告するなど情報と実態に齟齬がないよう対処させることができる。
(変形例10)
端末装置2は、図11のステップS108において、測定情報Sdの受信強度が時間変化する箱IDを箱登録リストLhから削除する代わりに、箱登録リストLh上で保留扱いとしてもよい。即ち、この場合、サーバ装置9は、対象の箱IDを、箱登録リストLhに残しつつ、他の箱IDと区別できるようにする。この場合であっても、端末装置2は、箱登録リストLh上で保留扱いとした箱IDの測定情報Sdを、サーバ装置9に送信することなく削除する。この態様によっても、端末装置2は、積卸や積替等により配送車両1の外部に運び出した断熱箱5に付された温度測定モジュール7から発信された不要な測定情報Sdを、サーバ装置9へ送信するのを防ぐことができる。同様に、端末装置2は、ステップS104で測定情報Sdを削除する代わりに、当該測定情報Sdを保留扱いとしてサーバ装置9へ送信しないように他の測定情報Sdと区別して記憶してもよい。