JP2019151964A - 発泡繊維とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2はポリオレフィン系発泡繊維の発明であり、特許文献1の発明と同様にポリオレフィン系樹脂製の発泡シートをカットして製造することが記載されている(段落番号0016)。
前記発泡繊維の幅方向断面の最大径が3mm以下であり、
目付量が1.0〜120g/mであり、
下記方法により測定されるダウンパワーが100cm3/g以上である、発泡繊維と、その製造方法を提供する。
(ダウンパワー測定方法)
内径29cm、高さ60cmの容器に30gの発泡繊維を自然落下させながら入れ、その上から94.3gの円盤を載せ、2分経過後、前記容器の底面内側(前記容器底面側の面)から円盤内側までの高さを計測して体積を算出し、前記体積と前記発泡繊維質量から求める。
本発明の発泡繊維は、発泡構造(多孔構造)を有しており、繊維の長さ方向への切断面のない繊維である。
本発明の発泡繊維は、繊維状に押出成形しながら発泡させて得られたものであり、特許文献1に記載の紐状体や特許文献2に記載のポリオレフィン系発泡繊維のように発泡シートを切断したものではないため、繊維の長さ方向には切断面が存在しない。なお、用途に応じて繊維長さを調整する必要があるため、繊維の幅方向には切断面が存在しているが、長さ方向の切断面と比べると切断面の面積は非常に小さくなっている。
特許文献1に記載の紐状体や特許文献2に記載のポリオレフィン系発泡繊維は、発泡シートを切断して製造されるもので長さ方向に大きな切断面が存在しているため、小さな切り屑などが付着したままになっている可能性がある。
本発明の発泡繊維の長さは特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜調整されるものである。
幅方向断面が楕円形状のときの長径は、0.15〜3.0mmが好ましく、0.35〜3.0mmがより好ましく、0.55〜3.0mmがさらに好ましく、0.60〜2.5mmがさらに好ましい。
幅方向断面が楕円形状のときの短径は、0.10〜2.8mmが好ましく、0.30〜2.6mmがより好ましく、0.50〜2.4mmがさらに好ましく、0.62〜2.2mmがさらに好ましい。
本発明の発泡繊維は、目付量が1.0〜120g/mであり、好ましくは2.0〜100g/mであり、より好ましくは4.0〜90g/mである。
(ダウンパワー測定方法)
内径29cm、高さ60cmの容器に30gの発泡繊維を自然落下させながら入れ、その上から94.3gの円盤を載せ、2分経過後、前記容器の底面内側(前記容器底面側の面)から円盤内側までの高さを計測して体積を算出し、前記体積と前記発泡繊維質量から求める。
本発明の発泡繊維は、オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなるものである。熱可塑性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂のみからなるものもよいし、オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂からなるものでもよいし、必要に応じてさらに他の成分を含有するものでもよい。
オレフィン系樹脂は、エチレン単位および/またはプロピレン単位を含む単独重合体または共重合体が好ましい。
共重合性単量体は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。共重合性単量体の割合は、全単量体中好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0.1〜30モル%、さらに好ましくは1〜10モル%である。
共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が含まれるが、ランダム共重合体または交互共重合体が好ましい。
これらのポリエチレン系樹脂のうち、発泡性などの点から、LDPE、LLDPE、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが好ましい。
シリル変性ポリオレフィンは、水架橋可能な加水分解縮合性のシリル基(水架橋性シリル基)を有するポリオレフィンであればよく、主鎖を構成する単量体として、加水分解縮合性のシリル基を有する単量体を用いて得られた重合体であってもよく、ポリオレフィンの主鎖に加水分解縮合性のシリル基を有する単量体をグラフト重合させた重合体であってもよい。これらのうち、架橋性や生産性などの点から、ポリオレフィンに、加水分解縮合性基およびエチレン性不飽和結合を有するシリル化合物をグラフト重合させた重合体が好ましい。
(a1)環状オレフィンの付加重合体またはその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体またはその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体またはその水素添加物を挙げることができる。
また、環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、極性基を有する不飽和化合物をグラフトおよび/または共重合したものを挙げることができる。
オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂の合計量中の他の熱可塑性樹脂の含有割合は40質量%以下であることが好ましい。
前記成分としては、消臭剤、抗菌剤、抗菌剤を除く薬剤(抗アレルギー剤など)、着色剤、香料(マイクロカプセルに封入された香料も含む)、ゼオライト、備長炭、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、活性炭、珪藻土などの調湿剤から選ばれる1または2以上を挙げることができる。
その他、発泡核剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤などを含有することができる。
熱可塑性樹脂を除いた各成分は、それぞれの性質を発揮できる範囲の量を含有することができる。
このように熱可塑性樹脂組成物にオレフィン系樹脂、他の熱可塑性樹脂を除いた他の成分を含有させたときは、前記他の成分は発泡繊維中に内包されることになる。
本発明の発泡繊維は、
ガスを使用して物理的に発泡させながら溶融状態の上記の熱可塑性樹脂組成物を押出ダイからネット状に押し出す第1工程と、
その後、必要に応じて所望長さおよび所望形態に切断する第2工程により製造することができる。
ネット状に押出成形する方法としては、特開2014−46293号公報(実施例)、特許第4684783号公報に記載の方法(剪断法成形;段落番号0026〜0030)、特開2008−2002号公報の段落番号0045、特公昭41−5264号公報に記載された方法を適用して製造することができる。
第1工程において、ガスを使用して物理的に発泡させながら溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出ダイから1本の線状形態に押し出した後、引取装置により引き取り、1カ所または2カ所以上で折れ曲がった部分を有する発泡繊維を得る。
前記の1本の線状形態で、1カ所または2カ所以上で折れ曲がった部分を有している発泡繊維を製造するとき、
(I)前記押出工程において前記押出ダイから1本の線状形態に押し出すとき、前記押出ダイを上下または左右に移動させながら押し出す方法、
(II)前記押出工程において前記引取装置により引き取るとき、引取速度を変化させる方法、または
(III)前記押出工程と前記切断工程の間に成形ローラによる成形工程を設けて、前記成形ローラにより成形する方法のいずれかの方法を適用して製造する。
(I)の方法は、押出ダイを揺らしながら押し出すことで、折れ曲がった部分を形成させる方法である。
(II)の方法は、引取装置による引取速度に緩急を付けることで折れ曲がった部分を形成させる方法である。
(III)の方法は、ローラの形状により折れ曲がった部分を形成させる方法である。
図2(b)に示す形態の発泡繊維は、図2(c)に示す形態の発泡繊維を切断することでも製造することができる。
発泡倍率は、発泡繊維の用途に応じて調整することができる。
ネット状の発泡繊維をそのまま使用するときは、第2工程は不要になる。
幹繊維から分かれている複数の枝繊維は、1本の幹繊維の両側に形成されていてもよいし、片側のみに形成されていてもよい。複数の枝繊維の長さは同一でもよいし、異なっていてもよい。
幹繊維と枝繊維の太さは同じでもよいが、幹繊維の太さを枝繊維の太さよりも大きくすると弾力性や耐久性が高められるので好ましい。
幹繊維と枝繊維の長さは、幹繊維長さ≧枝繊維長さの関係が好ましい。
他の剤としては、消臭剤、抗菌剤、抗菌剤を除く薬剤(抗アレルギー剤など)、着色剤、香料(マイクロカプセルに封入された香料も含む)、ゼオライト、備長炭、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、活性炭、珪藻土などの調湿剤から選ばれる1または2以上を挙げることができる。
また本発明の発泡繊維は、製造後に表面を着色してもよいし、着色剤を発泡繊維の発泡構造内部に含浸させることで着色することもできる。
LDPE(MFR=35)を使用し、発泡用ガスとしてブタンをサイドフィードしながら、外径約80mmの筒状ネット形態の発泡繊維を押出成形した。押出時のシリンダー温度は100℃で実施した。得られた発泡繊維の外観写真を図1に示す。
押出成形用の押出機(シリンダー径50mm;株式会社池貝製)は、先端出口に円筒ダイ(内周と外周のそれぞれの円周上に配置した多数のノズルを有しており、内周側のノズルと外周側のノズルが互いに逆方向に回転することでネット状(筒状ネット形態)に押し出すことができるもの)を取り付けたものを使用した。
ノズル径は1.0mmで、全ノズルの合計開口面積は約40mm2であった。
ダウンパワーは、外径約80mmの筒状ネット形態の発泡繊維を長さ50cmに切断したもの30gを使用して測定した。なお、30gに調整するため、一部は50cm未満のものが含まれる場合がある。
LDPE(MFR=3)を使用し、発泡用ガスとしてブタンをサイドフィードしながら、厚さ約1mmのシートを押出成形した。押出時のシリンダー温度は105℃で実施した。
得られたシートを幅約1mmに切断して、発泡繊維を得た。
比較例1の発泡繊維は、発泡シートを切断したものであるため、実施例1〜5のものと比べると、ふわふわ感や手触り感がやや劣っていた。
実施例1〜5において、内周のノズル径を1.2mmとし、外周のノズル径を1.0mmとしたものを使用して、同様に筒状ネット形態の発泡繊維を押出成形した。
その後、図2(a)に示す幹繊維と枝繊維からなる形態に切断して、発泡繊維を得た。
ダウンパワーは、発泡繊維の幹繊維部分を長さ2cmに切断したもの30gを使用して測定した。なお、30gに調整するため、一部は幹繊維部分の長さが2cm未満のものが含まれる場合がある。
実施例1〜5の二重ノズルに代えて単一ノズルを有する押出ダイを使用した。
実施例7では、1本の線状に押し出すとき、押出ダイの先端部を上下に振動させた状態で押し出した。
その後、2カ所以上(2〜4カ所)折れ曲がった部分が含まれるようにして切断して、図2(c)に示す発泡繊維を得た。
ダウンパワーは、発泡繊維を長さ3cmに切断したもの30gを使用して測定した。なお、30gに調整するため、一部は長さが3cm未満のものが含まれる場合がある。
押出ダイを固定した状態で使用したほかは実施例6と同様にして、折れ曲がりのない線状の発泡繊維を得た。
比較例2の発泡繊維は、塊にしても殆どふわふわ感が感じられなかった。
Claims (10)
- オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなる、繊維の長さ方向への切断面のない発泡繊維であって、
前記発泡繊維の幅方向断面の最大径が3mm以下であり、
目付量が1.0〜120g/mであり、
下記方法により測定されるダウンパワーが100cm3/g以上である、発泡繊維。
(ダウンパワー測定方法)
内径29cm、高さ60cmの容器に30gの発泡繊維を自然落下させながら入れ、その上から94.3gの円盤を載せ、2分経過後、前記容器の底面内側(前記容器底面側の面)から円盤内側までの高さを計測して体積を算出し、前記体積と前記発泡繊維質量から求める。 - 前記発泡繊維が、幹繊維と、前記幹繊維から分かれた複数の枝繊維を有しているものである、請求項1記載の発泡繊維。
- 前記発泡繊維が、1本の線状形態で、1カ所または2カ所以上で折れ曲がった部分を有しているものである、請求項1記載の発泡繊維。
- 前記発泡繊維が、幅方向断面が楕円形状で、長径0.15〜1.50mm、短径が0.10〜1.40mmであり、
目付量が2.0〜100g/mであり、
ダウンパワーが130cm3/g以上のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の発泡繊維。 - 前記オレフィン系樹脂が、エチレン単位および/またはプロピレン単位を含む単独重合体または共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項記載の発泡繊維。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が、さらに消臭剤、抗菌剤、抗菌剤を除く薬剤(抗アレルギー剤を含む)、着色剤、香料(マイクロカプセルに封入された香料も含む)、ゼオライト、備長炭、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、活性炭、珪藻土から選ばれる調湿剤から選ばれる1または2以上を含有している、請求項1〜5のいずれか1項記載の発泡繊維。
- 請求項1または2記載の発泡繊維の製造方法であって、
ガスを使用して物理的に発泡させながら溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出ダイからネット状に押し出す工程と、
その後、必要に応じて所望長さおよび所望形態に切断する工程を有している、発泡繊維の製造方法。 - 請求項2記載の発泡繊維の製造方法であって、
ガスを使用して物理的に発泡させながら溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出ダイからネット状に押し出す工程と、
その後、ネット状に押し出されたものから、幹繊維となる部分と枝繊維となる部分が形成されるように切断する工程を有している、発泡繊維の製造方法。 - 請求項3記載の発泡繊維の製造方法であって、
ガスを使用して物理的に発泡させながら溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を押出ダイから1本の線状形態に押し出した後、引取装置により引き取り、1カ所または2カ所以上で折れ曲がった部分を有する発泡繊維を得る工程と、
その後、1本の線状形態に押し出したものを1または2カ所以上で折れ曲がった部分が形成されるように所望長さに切断する工程を有しており、
前記の1本の線状形態で、1または2カ所以上で折れ曲がった部分を有している発泡繊維を製造するとき、
前記押出工程において前記押出ダイから1本の線状形態に押し出すとき、前記押出ダイを上下または左右に移動させながら押し出す方法、
前記押出工程において前記引取装置により引き取るとき、引取速度を変化させる方法、または
前記押出工程と前記切断工程の間に成形ローラによる成形工程を設けて、前記成形ローラにより成形する方法のいずれかの方法を適用して製造する、発泡繊維の製造方法。 - 発泡倍率が10〜50倍である、請求項7〜9のいずれか1項記載の発泡繊維の製造方法。
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