JP2019151916A - Cu−Ni合金スパッタリングターゲット - Google Patents

Cu−Ni合金スパッタリングターゲット Download PDF

Info

Publication number
JP2019151916A
JP2019151916A JP2019000734A JP2019000734A JP2019151916A JP 2019151916 A JP2019151916 A JP 2019151916A JP 2019000734 A JP2019000734 A JP 2019000734A JP 2019000734 A JP2019000734 A JP 2019000734A JP 2019151916 A JP2019151916 A JP 2019151916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
sputtering target
alloy sputtering
oxide
oxide phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019000734A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6627993B2 (ja
Inventor
謙介 井尾
Kensuke IO
謙介 井尾
加藤 慎司
Shinji Kato
慎司 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to CN201980015784.6A priority Critical patent/CN111788332B/zh
Priority to PCT/JP2019/003997 priority patent/WO2019167564A1/ja
Publication of JP2019151916A publication Critical patent/JP2019151916A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6627993B2 publication Critical patent/JP6627993B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】結晶粒の粗大化が抑制され、膜厚や組成が均一化されたCu—Ni合金膜を安定して成膜することが可能なCu−Ni合金スパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】Niを含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Ni合金スパッタリングターゲットであって、CuとNiの固溶体からなる母相の粒界にNi酸化物相が存在しており、これらNi酸化物相の面積率が0.1%以上5.0%以下の範囲内とされていることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、Niを含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Ni合金の薄膜を成膜する際に用いられるCu−Ni合金スパッタリングターゲットに関するものである。
上述のCu−Ni合金は、例えば特許文献1に示すように、低反射、耐熱性、電気特性に優れていることから、ディスプレイ等の配線膜として用いられている。また、例えば特許文献2−4に記載されているように、銅配線の下地膜としても使用されている。
さらに、40〜50mass%のNiを含む銅ニッケル合金においては、抵抗温度係数が小さいことから、例えば特許文献5に示すように、ひずみゲージ用薄膜抵抗体として使用されている。
また、この銅ニッケル合金は、起電力が大きいことから、例えば特許文献6−8に示すように、薄膜熱電対及び補償導線として使用されている。
さらに、22mass%以下のNiを含む銅ニッケル合金においても、一般電気抵抗体や低温発熱体等として利用されている。
上述のようなCu−Ni合金からなる薄膜は、例えばスパッタ法によって成膜される。スパッタ法に使用されるCu−Ni合金スパッタリングターゲットは、従来、例えば特許文献9,10に示すように、溶解鋳造法によって製造されている。
また、特許文献11には、Cu−Ni合金の焼結体の製造方法が提案されている。
特開2017−005233号公報 特開平05−251844号公報 特開平06−097616号公報 特開2010−199283号公報 特開平04−346275号公報 特開平04−290245号公報 特開昭62−144074号公報 特開平06−104494号公報 特開2016−029216号公報 特開2012−193444号公報 特開平05−051662号公報
ところで、上述のCu―Ni合金膜においては、膜厚や組成にばらつきが生じた際に、電気抵抗等の特性が膜内でばらついてしまう。このため、膜厚や組成が均一化されたCu―Ni合金膜を成膜することが求められている。
ここで、Cu―Ni合金スパッタリングターゲットにおいて結晶粒が粗大化した場合には、スパッタが進行した際にスパッタ面に凹凸が生じ、膜厚や組成の均一な膜を成膜できなくなるおそれがあった。また、異常放電が発生しやすくなり、スパッタ成膜を安定して実施することができなくなるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、結晶粒の粗大化が抑制され、膜厚や組成が均一化されたCu―Ni合金膜を安定して成膜することが可能なCu−Ni合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のCu−Ni合金スパッタリングターゲットは、Niを含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Ni合金スパッタリングターゲットであって、CuとNiの固溶体からなる母相の粒界にNi酸化物相が存在しており、これらNi酸化物相の面積率が0.1%以上5.0%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
本発明のCu−Ni合金スパッタリングターゲットによれば、CuとNiの固溶体からなる母相の粒界にNi酸化物相が存在しており、これらNi酸化物相の面積率が0.1%以上とされているので、Ni酸化物相によって結晶粒の成長を抑制することができ、結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。また、上述のNi酸化物相の面積率が5.0%以下とされているので、Ni酸化物相に起因した異常放電の発生を抑制することが可能となる。
よって、結晶粒の粗大化が抑制され、膜厚や組成が均一化されたCu―Ni合金膜を安定して成膜することが可能となる。
ここで、本発明のCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、Niの含有量が16mass%以上55mass%以下の範囲内とされ、残部がCuと不可避不純物からなる組成とされていることが好ましい。
この場合、Niの含有量が16mass%以上とされているので、耐食性に優れたCu−Ni合金膜を成膜することができる。また、Niの含有量が55mass%以下とされているので、電気抵抗が低いCu−Ni合金膜を成膜することができる。
よって、耐食性及び導電性が求められる用途に特に適したCu−Ni合金膜を、安定して成膜することができる。
また、本発明のCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、前記Ni酸化物相の最大粒径が10μm未満とされていることが好ましい。
この場合、前記Ni酸化物相の最大粒径が10μm未満に制限されているので、Ni酸化物相に起因した異常放電の発生をさらに抑制することができ、安定してスパッタ成膜することが可能となる。
さらに、本発明のCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が5μm以上100μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が100μm以下とされているので、スパッタ成膜時における異常放電の発生を十分に抑制することができる。また、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が5μm以上とされているので、製造コストを低く抑えることができる。
本発明によれば、結晶粒の粗大化が抑制され、膜厚や組成が均一化されたCu―Ni合金膜を安定して成膜することが可能なCu−Ni合金スパッタリングターゲットを提供することができる。
CuとNiの2元状態図である。 本実施形態であるCu―Ni合金スパッタリングターゲットの組織写真の一例である。 本実施形態であるCu―Ni合金スパッタリングターゲットの製造方法の一例を示すフロー図である。 実施例におけるCu―Ni合金スパッタリングターゲットのスパッタ面におけるサンプルの採取位置を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態に係るCu−Ni合金スパッタリングターゲットについて説明する。
本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットは、配線膜、銅配線の下地膜、ひずみゲージ用薄膜抵抗体、薄膜熱電対及び補償導線、一般電気抵抗体や低温発熱体等として使用されるCu−Ni合金薄膜を成膜する際に用いられるものである。
なお、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットは、スパッタ面が矩形状をなす矩形平板型スパッタリングターゲットであってもよいし、スパッタ面が円形状をなす円板型スパッタリングターゲットであってもよい。あるいは、スパッタ面が円筒面とされた円筒型スパッタリングターゲットであってもよい。
本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットは、Niを含み、残部がCuと不可避不純物からなる組成とされている。なお、NiとCuは図1の2元状態図に示すように全率固溶体を形成することから、Niの含有量は、要求される耐食性、電気抵抗等の特性に応じて、適宜、設定することが好ましい。
ここで、本実施形態のCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、Niの含有量が16mass%以上55mass%以下の範囲内とされ、残部がCuと不可避不純物からなる組成としている。
そして、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、図2に示すように、CuとNiの固溶体からなる母相の粒界にNi酸化物相が存在しており、これらNi酸化物相の面積率が0.1%以上5.0%以下の範囲内とされている。
また、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、Ni酸化物相の最大粒径が10μm未満とされている。
さらに、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が5μm以上100μm以下の範囲内とされている。
以下に、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいて、上述のように、Ni酸化物相の面積率、Ni酸化物相の最大粒径、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径、成分組成を規定した理由について説明する。
(Ni酸化物相の面積率)
本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、CuとNiの固溶体からなる母相の結晶粒界に、Ni酸化物相が存在している。このNi酸化物相により、母相の結晶粒の成長が抑制されることになり、結晶粒の粗大化が抑制される。
ここで、Ni酸化物相の面積率が0.1%未満の場合には、上述した結晶粒の成長を抑制する効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、Ni酸化物相の面積率が5.0%を超える場合には、絶縁体であるNi酸化物相を起因とした異常放電が発生するおそれがある。
このため、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、Ni酸化物相の面積率を0.1%以上5.0%以下の範囲内としている。
なお、結晶粒の成長を確実に抑制するためには、Ni酸化物相の面積率の下限を0.2%以上とすることが好ましく、0.3%以上とすることがさらに好ましい。一方、Ni酸化物相を起因とした異常放電の発生をさらに抑制するためには、Ni酸化物相の面積率の上限を4.5%以下とすることが好ましく、4.0%以下とすることがさらに好ましい。
(Ni酸化物相の最大粒径)
上述のように、Ni酸化物相は絶縁体であることから、スパッタ成膜時に異常放電の発生の原因となる。
このため、本実施形態において、さらにNi酸化物相に起因した異常放電の発生を抑制するためには、Ni酸化物相の最大粒径を10μm未満とすることが好ましい。
なお、Ni酸化物相に起因した異常放電の発生をさらに抑制するためには、Ni酸化物相の最大粒径を8μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがさらに好ましい。また、Ni酸化物相の最大粒径の下限は、0.1μm以上とすることが好ましく、1μm以上とすることがさらに好ましい。
(母相の平均粒径)
Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいては、結晶粒径を微細化することにより、スパッタ面全体でスパッタレートを安定させることが可能となる。また、結晶粒が粗大化すると、スパッタ成膜時に異常放電が発生するおそれがある。
このため、本実施形態において、さらにスパッタ面全体でスパッタレートを安定させるとともにスパッタ成膜時の異常放電の発生を抑制するためには、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径を100μm以下とすることが好ましい。一方、製造コストの増加をさらに抑制するためには、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径を5μm以上とすることが好ましい。
なお、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径の下限は8μm以上とすることが好ましく、10μm以上とすることがさらに好ましい。また、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径の上限は90μm以下とすることが好ましく、70μm以下とすることがさらに好ましい。
(成分組成)
上述のように、NiとCuは全率固溶体を形成することから、Ni含有量を調整することで、Cu−Ni合金膜の電気抵抗、耐食性等の特性を制御することが可能となる。このため、成膜したCu−Ni合金膜への要求特性に応じて、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおけるNi含有量を設定することになる。
ここで、耐食性に十分に優れたCu−Ni合金膜を成膜する場合には、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおけるNiの含有量を16mass%以上とすることが好ましい。一方、Cu−Ni合金膜の電気抵抗を低く抑えて導電性を確保する場合には、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおけるNiの含有量を55mass%以下とすることが好ましい。Niの含有量を55mass%以下としたCu−Ni合金スパッタリングターゲットの比抵抗は、5×10−5Ω・cm程度となる。
なお、さらに耐食性に優れたCu−Ni合金膜を成膜する場合には、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおけるNiの含有量の下限を20mass%以上とすることが好ましく、25mass%以上とすることが好ましい。一方、Cu−Ni合金膜の電気抵抗をさらに低く抑える場合には、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおけるNiの含有量の上限を50mass%以下とすることが好ましく、45mass%以下とすることが好ましい。
次に、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットの製造方法について、図3のフロー図を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、粉末焼結法によって、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットを製造している。
(焼結原料粉形成工程S01)
まず、焼結原料粉を形成する。ここで、Cu粉とNi粉との混合粉を用いてもよいし、Cu−Ni合金粉を用いてもよい。
ここで、本実施形態では、以下のように製造したCu−Ni合金粉を用いている。
まず、Cu原料とNi原料を所定の配合比となるように秤量する。ここで、Cu原料は純度99.99mass%以上のものを用いることが好ましい。また、Ni原料は純度99.9mass%以上のものを用いることが好ましい。具体的には、Cu原料として無酸素銅を用いることが好ましく、Ni原料として電解Niを用いることが好ましい。
上述のように秤量したCu原料及びNi原料をるつぼに充填し、加熱して溶解する。ここで、るつぼの材料としては、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニアなどのセラミック耐火物、あるいは、カーボンを用いることができる。
なお、Cu原料及びNi原料を溶解した後のCu−Ni合金溶湯を、3分以上15分以下の範囲内で保持することが好ましい。保持時間が短いと、NiとCuの組成が不均一となるおそれがある。また、Niの磁性が残るおそれがある。
ガスアトマイズ装置のノズルから上述のCu−Ni合金溶湯を落下させながら、Arガスを噴射させ、ガスアトマイズ粉を作製する。
なお、ノズルの孔径は0.5mm以上5.0mm以下の範囲内とすることが好ましい。また、Arガスの噴射ガス圧は1MPa以上10MPa以下の範囲内とすることが好ましい。さらに、溶湯温度は1400℃以上1700℃以下の範囲内とすることが好ましい。
上述のようにして得られたガスアトマイズ粉を、冷却後にふるいで分級することにより、所定の粒径のCu―Ni合金粉を得る。本実施形態では、Cu―Ni合金粉の平均粒径を1μm以上300μm以下の範囲内としている。
そして、本実施形態では、上述のCu−Ni合金粉に対して、さらにNi酸化物粉を添加する。なお、Ni酸化物粉としては、安定なNiO粉を用いることが好ましい。
また、Ni酸化物粉としては、純度が95mass%以上、平均粒径が0.1μm以上10μm未満の範囲内のものを用いることが好ましい。また、Ni酸化物粉の添加量は、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットにおけるNi酸化物相の面積率が上述の範囲内となるように、適宜調整することが好ましい。
Cu−Ni合金粉とNi酸化物粉を混合する際には、ミキサーやブレンダー、具体的には、ヘンシェルミキサー、ロッキングミキサー、V型混合機を用いることができる。
以上のようにして、Ni酸化物を含む焼結原料粉を得る。
(焼結工程S02)
次に、得られたCu−Ni合金粉及びNi酸化物粉の混合紛からなる焼結原料粉を、加圧及び加熱して、所定形状の焼結体を得る。
なお、焼結工程S02における焼結方法については、例えば熱間等方圧加圧法(HIP)、ホットプレス法(HP)等を適用することができる。
本実施形態では、熱間等方圧加圧法(HIP)を適用している。また、焼結条件は、温度:800℃以上1200℃以下、圧力:10MPa以上200MPa以下、保持時間:1時間以上6時間以下、とすることが好ましい。
(機械加工工程S03)
焼結工程S02で得られた焼結体に対して、機械加工を行うことにより、所定の形状及び寸法のCu−Ni合金スパッタリングターゲットを得る。
以上のようにして、粉末焼結法によって、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットが製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットによれば、CuとNiの固溶体からなる母相の粒界にNi酸化物相が存在しており、このNi酸化物相の面積率が0.1%以上とされているので、Ni酸化物相によって結晶粒の成長を抑制することができ、結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。また、上述のNi酸化物相の面積率が5.0%以下とされているので、Ni酸化物相に起因した異常放電の発生を抑制することが可能となる。
よって、結晶粒の粗大化が抑制され、膜厚や組成が均一化されたCu―Ni合金膜を安定して成膜することが可能となる。
また、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいて、Ni酸化物相の最大粒径を10μm未満に制限した場合には、絶縁体であるNi酸化物相に起因した異常放電の発生をさらに抑制することができ、安定してスパッタ成膜することが可能となる。
さらに、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいて、Niの含有量を16mass%以上とした場合には、耐食性に優れたCu−Ni合金膜を成膜することができる。また、Niの含有量を55mass%以下とした場合には、電気抵抗が低いCu−Ni合金膜を成膜することができる。よって、耐食性及び導電性が求められる用途に特に適したCu−Ni合金膜を成膜することができる。
また、本実施形態であるCu−Ni合金スパッタリングターゲットにおいて、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径を100μm以下とした場合には、スパッタ面全体でスパッタレートをさらに安定させることができるとともに、スパッタ成膜時における異常放電の発生をさらに抑制することが可能となる。一方、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径を5μm以上とした場合には、製造コストの増加を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、Cu−Ni合金粉にNi酸化物粉を混合して焼結原料粉を形成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、アトマイズ時の原料にNi酸化物を添加して、Ni酸化物を含むCu−Ni合金粉を製造してもよい。また、アトマイズ中に酸素ガスを導入してNiを酸化させることで、Ni酸化物を含むCu−Ni合金粉を製造してもよい。
以下に、前述した本発明のCu−Ni合金スパッタリングターゲットについて評価した評価試験の結果について説明する。
まず、本発明例1〜7及び比較例1〜4のCu−Ni合金スパッタリングターゲットは、以下のようにして粉末焼結法によって製造した。
Cu原料として純度99.99mass%の無酸素銅を、Ni原料として純度99.9%以上の電解Niを準備し、これをアルミナ製のるつぼに入れてガスアトマイズ装置にセットし、平均粒径50μmのCu−Ni合金粉末を得た。なお、アトマイズ条件は、溶湯温度1550℃、保持時間8分、噴射圧5MPa、ノズル径2.0mmとした。
また、Ni酸化物粉として、純度99mass%以上で、平均粒径10μm未満のNiO粉を準備した。
上述のCu−Ni合金粉に、表1に示す配合でNi酸化物粉を混合して、焼結原料粉を得た。
なお、表1の配合組成のNiの欄においては、添加したNi酸化物粉(NiO粉)のNiも含むものである。すなわち、Ni酸化物紛に含まれるNi量を考慮して、表1の配合組成となるように、Ni原料とCu原料との配合比を決定し、Cu−Ni合金粉末を製造した。
上述の焼結原料粉を、HIP法にて、温度1000℃、圧力100MPa、保持時間2時間の条件で焼結を行い、焼結体を得た。
得られた焼結体を機械加工し、直径150.4mm×厚さ6mmの円板形状のCu−Ni合金スパッタリングターゲットを得た。
上述のようにして得られたCu−Ni合金スパッタリングターゲットについて、成分組成、Ni酸化物相の面積率及び最大粒径、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径、酸素量のばらつき、異常放電の発生状況、を以下のようにして評価した。
(成分組成)
得られたCu−Ni合金スパッタリングターゲットから測定試料を採取し、これを酸で前処理した後、ICP分析を実施した。
その結果、本発明例1〜7及び比較例1〜4のCu−Ni合金スパッタリングターゲットのCuとNiの含有量については、配合組成と略同等であることを確認した。
(Ni酸化物相)
図4に示すように、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットのスパッタ面(円形面)の中心(1)、および、その中心で互いに直交する2本の直線のそれぞれの両端部(2)、(3)、(4)、(5)の合計5点からサンプルを採取した。採取した各サンプルをエポキシ樹脂に埋め込み、表面(スパッタ面に該当する面)を研磨加工した後、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、倍率1500倍、0.005mmの観察面積でCu,Ni,Oの元素マッピング像を撮影し、得られたCu,Ni,Oの元素マッピング像から、NiとOのみが共存している領域をNi酸化物相と判断した。そして、画像全体に占めるNi酸化物相の面積率を算出し、5点のサンプルの結果を平均した。
また、観察されたNi酸化物相の円相当径を、画像解析ソフトWinroofを用いて求め、最も大きな円相当径を、Ni酸化物相の最大粒径として表1に示した。
(CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径)
図4に示すように、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットのスパッタ面(円形面)の中心(1)、および、その中心で互いに直交する2本の直線のそれぞれの両端部(2)、(3)、(4)、(5)の合計5点からサンプルを採取した。採取した各サンプルの表面(スパッタ面に該当する面)を研磨加工した後、研磨された表面を、エッチング液を用いてエッチング処理した。
次に、光学顕微鏡を用いて研磨面を観察し、1400倍の倍率、0.040mmの観察面積にて組織写真を撮影した。そして、組織写真中の結晶粒径を、ASTM E 112に記載の切断法によって計測した。
上述の5つのサンプルでそれぞれ結晶粒径を測定し、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径を算出した。評価結果を表1に示す。
(酸素量のばらつき)
図4に示すように、Cu−Ni合金スパッタリングターゲットのスパッタ面(円形面)の中心(1)、および、その中心で互いに直交する2本の直線のそれぞれの両端部(2)、(3)、(4)、(5)の合計5点からサンプルを採取した。これらのサンプルを用いて、JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に記載された赤外線吸収法に準拠して,LECO社製TC600を用いて、酸素含有量を測定した。
そして、5つのサンプルの酸素含有量の平均値、最小値、最大値を用いて、以下の式によって酸素量のばらつきを求めた。
酸素量のばらつき(%)={(最大値−最小値)/平均値}×100
その結果、本発明例1〜7及び比較例1〜4のCu−Ni合金スパッタリングターゲットの酸素量のばらつきは、いずれも30%以下であることを確認した。
(異常放電)
Cu−Ni合金スパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けし、これをマグネトロン式のDCスパッタ装置に装着した。
次いで、以下のスパッタ条件にて、60分間連続して、スパッタ法による成膜を実施した。このスパッタ成膜の間、DCスパッタ装置の電源に付属されたアークカウンターを用いて、異常放電の発生回数をカウントした。評価結果を表1に示す。
到達真空度:5×10−5Pa
Arガス圧:0.3Pa
スパッタ出力:直流1000W
Ni酸化物相が確認されなかった比較例1においては、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が163μmと粗大化し、異常放電の発生回数が多くなった。また、Ni酸化物相の面積率が0.1%未満とされた比較例2においては、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が121μmと粗大化し、異常放電の発生回数が多くなった。Ni酸化物相による結晶成長の抑制効果を得ることができなかったためと推測される。
Ni酸化物相の面積率が5.0%を超える比較例3,4においては、CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径は小さくなったが、異常放電の発生回数が多くなった。Ni酸化物相を起因とした異常放電が発生したためと推測される。
これに対して、Ni酸化物相の面積率が0.1%以上5.0%以下の範囲内とされた本発明例1〜7においては、CuとNiの固溶体からなる母相の粗大化が抑制されており、異常放電の発生が抑制された。
また、Ni酸化物相の最大粒径が10μm未満とされた本発明例1〜6においては、さらに異常放電の発生が抑制された。
以上のことから、本発明例によれば、結晶粒の粗大化が抑制され、膜厚や組成が均一化されたCu―Ni合金膜を安定して成膜することが可能なCu−Ni合金スパッタリングターゲットを提供可能であることが確認された。

Claims (4)

  1. Niを含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Ni合金スパッタリングターゲットであって、
    CuとNiの固溶体からなる母相の粒界にNi酸化物相が存在しており、これらNi酸化物相の面積率が0.1%以上5.0%以下の範囲内とされていることを特徴とするCu−Ni合金スパッタリングターゲット。
  2. Niの含有量が16mass%以上55mass%以下の範囲内とされ、残部がCuと不可避不純物からなる組成とされていることを特徴とする請求項1に記載のCu−Ni合金スパッタリングターゲット。
  3. 前記Ni酸化物相の最大粒径が10μm未満とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のCu−Ni合金スパッタリングターゲット。
  4. CuとNiの固溶体からなる母相の平均粒径が5μm以上100μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のCu−Ni合金スパッタリングターゲット。
JP2019000734A 2018-03-01 2019-01-07 Cu−Ni合金スパッタリングターゲット Active JP6627993B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201980015784.6A CN111788332B (zh) 2018-03-01 2019-02-05 Cu-Ni合金溅射靶
PCT/JP2019/003997 WO2019167564A1 (ja) 2018-03-01 2019-02-05 Cu-Ni合金スパッタリングターゲット

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018036509 2018-03-01
JP2018036509 2018-03-01

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019151916A true JP2019151916A (ja) 2019-09-12
JP6627993B2 JP6627993B2 (ja) 2020-01-08

Family

ID=67948432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019000734A Active JP6627993B2 (ja) 2018-03-01 2019-01-07 Cu−Ni合金スパッタリングターゲット

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6627993B2 (ja)
CN (1) CN111788332B (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015079941A (ja) * 2013-09-10 2015-04-23 日立金属株式会社 積層配線膜およびその製造方法ならびにNi合金スパッタリングターゲット材
WO2015170534A1 (ja) * 2014-05-08 2015-11-12 三井金属鉱業株式会社 スパッタリングターゲット材
CN105734507A (zh) * 2016-04-05 2016-07-06 基迈克材料科技(苏州)有限公司 成膜均匀的细晶镍合金旋转靶材及其热挤压优化制备方法
JP2016157925A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 日立金属株式会社 電子部品用積層配線膜および被覆層形成用スパッタリングターゲット材
WO2018207770A1 (ja) * 2017-05-09 2018-11-15 三菱マテリアル株式会社 CuNi合金スパッタリングターゲットおよびCuNi合金粉末

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5301738A (en) * 1988-11-10 1994-04-12 Lanxide Technology Company, Lp Method of modifying the properties of a metal matrix composite body
JPH0551662A (ja) * 1991-08-22 1993-03-02 Sumitomo Metal Mining Co Ltd Cu−Ni系合金焼結体の製造方法
US5980604A (en) * 1996-06-13 1999-11-09 The Regents Of The University Of California Spray formed multifunctional materials
US20080131735A1 (en) * 2006-12-05 2008-06-05 Heraeus Incorporated Ni-X, Ni-Y, and Ni-X-Y alloys with or without oxides as sputter targets for perpendicular magnetic recording
CN102465265A (zh) * 2010-11-10 2012-05-23 光洋应用材料科技股份有限公司 靶材及其使用于磁性记录媒体的记录层材料
CN104060229A (zh) * 2014-06-20 2014-09-24 贵研铂业股份有限公司 一种CoCrPt-氧化物磁记录靶材、薄膜及其制备方法
CN109923610B (zh) * 2016-11-01 2021-01-29 田中贵金属工业株式会社 磁记录介质用溅射靶

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015079941A (ja) * 2013-09-10 2015-04-23 日立金属株式会社 積層配線膜およびその製造方法ならびにNi合金スパッタリングターゲット材
WO2015170534A1 (ja) * 2014-05-08 2015-11-12 三井金属鉱業株式会社 スパッタリングターゲット材
JP2016157925A (ja) * 2015-02-25 2016-09-01 日立金属株式会社 電子部品用積層配線膜および被覆層形成用スパッタリングターゲット材
CN105734507A (zh) * 2016-04-05 2016-07-06 基迈克材料科技(苏州)有限公司 成膜均匀的细晶镍合金旋转靶材及其热挤压优化制备方法
WO2018207770A1 (ja) * 2017-05-09 2018-11-15 三菱マテリアル株式会社 CuNi合金スパッタリングターゲットおよびCuNi合金粉末

Also Published As

Publication number Publication date
CN111788332B (zh) 2021-08-06
JP6627993B2 (ja) 2020-01-08
CN111788332A (zh) 2020-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI496905B (zh) A sputtering target having an oxide phase dispersed in a Co or Co alloy phase, a magnetic thin film composed of a Co or Co alloy phase and an oxide phase, and a magnetic recording medium using the magnetic thin film
JP5808513B1 (ja) スパッタリングターゲット材
JP5761691B2 (ja) 複合セラミックス、半導体製造装置の構成部材及びこれらの製造方法
WO2011102359A1 (ja) スパッタリングターゲット-バッキングプレート組立体
JP6783528B2 (ja) セラミック構造体、その製法及び半導体製造装置用部材
JP2017025348A (ja) Mo−W酸化物スパッタリングターゲット、及び、Mo−W酸化物スパッタリングターゲットの製造方法
JP2013082998A (ja) MoTiターゲット材およびその製造方法
WO2018207770A1 (ja) CuNi合金スパッタリングターゲットおよびCuNi合金粉末
JP4622946B2 (ja) 抵抗薄膜材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜、薄膜抵抗器およびその製造方法。
JP6627993B2 (ja) Cu−Ni合金スパッタリングターゲット
WO2019167564A1 (ja) Cu-Ni合金スパッタリングターゲット
WO2019203258A1 (ja) Cu-Ni合金スパッタリングターゲット
JP4775140B2 (ja) スパッタリングターゲット
JP2019108571A (ja) CuNi合金スパッタリングターゲットおよびCuNi合金粉末
JP2019039070A (ja) SiCスパッタリングターゲット
JP2017218621A (ja) ターゲット材及びその製造方法
JP2021075749A (ja) スパッタリングターゲット
JP3852446B2 (ja) 抵抗薄膜材料およびこれを用いた抵抗薄膜の製造方法
JP4042714B2 (ja) 金属抵抗体材料、スパッタリングターゲットおよび抵抗薄膜
JP7087741B2 (ja) 抵抗体材料、抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲット、抵抗薄膜及び薄膜抵抗器、並びに抵抗薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法及び抵抗薄膜の製造方法
JP7178707B2 (ja) MgO-TiO系スパッタリングターゲットの製造方法
JP2018188731A (ja) CuNi合金スパッタリングターゲットおよびCuNi合金粉末
KR20230132862A (ko) Cr-Si 계 막
JP2004319410A (ja) マイクロマシンスイッチの接触電極用薄膜およびこの接触電極用薄膜を形成するためのスパッタリングターゲット
KR20110047145A (ko) 저항체 재료, 저항 박막 형성용 스퍼터링 타겟, 저항 박막, 박막 저항기 및 이들의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190612

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190618

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190709

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190909

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191001

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6627993

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150