JP2019151154A - 搬送用台車 - Google Patents
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Abstract
【課題】梃子の原理を利用して人為的な力のみによりアシスト力を付与することにより、搬送用台車を容易に移動させることができる。【解決手段】上面に荷物を載置可能な基台1と、該基台1の下部に設けられた4つの車輪2〜5と、基台の前記複数の車輪を回転可能に支持する複数の車軸14c、16と、を備え、複数の車軸のうち少なくとも一つの特定の第1車軸16に第1車輪5が連結固定された搬送用台車であって、第1車軸にアシスト回転力を伝達する伝達駆動機構21と、始動時に伝達駆動機構に対して補助回転力を付与する回転力付与機構22と、該回転力付与機構と伝達駆動機構とを断続するクラッチ機構23と、を備えている。【選択図】図4
Description
本発明は、例えば、フィルムシートのロールなどの重量物を人力で運搬する搬送用台車、とりわけ、始動時にアシスト力を付与することができる搬送用台車に関する。
周知のように、物品を運搬する搬送用台車としては、従来から種々のものが提供されているが、その一つとして以下の特許文献1に記載されているものがある。
この搬送用台車は、ほぼ矩形状の基台と、該基台の下面四隅に配置された4つの車輪と、基台の長手方向の一端部から上方へ立ち上がったほぼコ字形状のハンドル部と、を有している。また、前記基台の下面ほぼ中央に、前記4つの車輪とは別の4つの可動車輪が設けられている。
この4つの可動車輪を設けることによって、外側の一つの車輪が段差のある搬送路から外れても容易に傾かないように基台の位置を修正することにより、安全に物品を搬送するようになっている。
ところで、前記搬送用台車は、基台に載せられる物品として、例えば、樹脂ロールや鉄鋼物などの重量物を載せた場合には、普通の人力によっては容易に動かすことができなくなる。特に、搬送用台車の始動初期は、静摩擦抵抗が大きくなることから、かなり大きな人力であっても始動させることが極めて困難である。
そこで、始動初期のアシスト力を付与する手段として、例えば、減速機を備えた電動モータの駆動力を利用することも考えられる。
しかし、このような電動モータなどを用いる場合には、製造コストが大幅に上昇すると共に、例えば、揮発性の石油製品などの可燃物を使用する工場内では、防爆性の要求から電動モータを使用することは困難である。
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、梃子の原理を利用して人為的な力のみによりアシスト力を付与することにより、搬送用台車を容易に始動させることのできる搬送用台車を提供することを目的としている。
本発明の好ましい態様としては、上面に荷物を載置可能な基台と、該基台の下部に設けられた複数の車輪と、前記基台の前記複数の車輪を回転可能に支持する複数の車軸と、を備え、
前記複数の車軸のうち少なくとも一つの特定の車軸に前記車輪が連結固定された搬送用台車であって、
前記特定の車軸にアシスト回転力を伝達する伝達駆動機構と、
始動時に前記伝達駆動機構に対してアシスト回転力を付与する回転力付与機構と、
該回転力付与機構と前記伝達駆動機構とを断続するクラッチ機構と、
を備えたことを特徴としている。
前記複数の車軸のうち少なくとも一つの特定の車軸に前記車輪が連結固定された搬送用台車であって、
前記特定の車軸にアシスト回転力を伝達する伝達駆動機構と、
始動時に前記伝達駆動機構に対してアシスト回転力を付与する回転力付与機構と、
該回転力付与機構と前記伝達駆動機構とを断続するクラッチ機構と、
を備えたことを特徴としている。
さらに好ましくは、前記伝達駆動機構は、ギア比の異なる少なくとも2つの第1、第2歯車によって構成されていることを特徴としている。
さらに好ましくは、前記回転力付与機構は、前記クラッチ機構を介して前記第1歯車に断続される伝達部材と、枢支点を介して回動可能に設けられ、作用点が前記伝達部材に連係した桿部材と、を有していることを特徴としている。
さらに好ましくは、前記クラッチ機構は、前記第1歯車に形成された係止部と、前記第1歯車の支軸に前記第1歯車の方向へ進退可能に設けられ、前記係止部に係脱可能な係脱部を有する断続部材と、該断続部材を前記第1歯車方向から離間する方向へ付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力に抗して前記断続部材を前記第1歯車の方向へ移動させて、前記係脱部に係止部を係合させる係止機構と、を備えたことを特徴としている。
さらに好ましくは、前記伝達部材は、細長いプレート状に形成されて、長手方向の中央部が前記第1歯車の支軸に回動自在に支持され、長手方向の一端部に前記クラッチ機構の係脱部が設けられている一方、他端部に前記桿部材の外面に摺接可能なカム部を有することを特徴としている。
さらに好ましくは、前記桿部材の外面に、前記カム部のカム面が摺接する棒状の摺動部が設けられていることを特徴としている。
本発明の好ましい態様によれば、梃子の原理を利用して搬送用台車の始動初期にアシスト回転力を付与できるので、搬送用台車を容易に始動させることができると共に、製造コストの低減化が図れる。
以下、本発明に係る搬送用台車の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の搬送用台車に重量物を載せた状態を示す斜視図、図2は本発明に係る搬送用台車の一実施形態を下方から視た斜視図、図3は本実施形態の搬送用台車に供されるアシスト装置を上下反転して視た斜視図、図4は同じく上下反転した搬送用台車のアシスト装置を別の角度から拡大して視た斜視図、図5は同じく上下反転した搬送用台車のアシスト装置をさらに別の角度から拡大して視た斜視図、図6はアシスト装置に供される回転付与機構と伝達駆動機構がクラッチ機構によって接続された状態を示す側面図である。
搬送用台車は、図1、図2に示すように、ほぼ矩形状の基台1と、該基台1の下部四隅に配置された4つの車輪2〜5と、を備えている。
基台1は、全体が長方形状に形成され、金属製の複数の縦梁部材6と横梁部材7とによって格子状に形成されている。また、この基台1は、縦横梁部材6,7の上面(載置面)に重量物である例えばフィルムシートのロール8が載置されており、該ロール8の自由な転がりを抑制する一対のストッパ突部を有する敷設部9が固定されている。
また、基台1の後端側には、ほぼコ字形状のハンドル10が立設されている一方、前端側には、ロール8の前方への移動を規制する同じくほぼコ字形状の支持壁部11が立設されている。
前記ハンドル10は、搬送用台車の幅方向の両側に設けられたL字鋼からなる一対の立ち上がり支持部材10a、10bと、該両支持部材10a、10bの上端部を連結した丸棒状の把持部10cと、を有している。また、一方の支持部材10aの内側の側部には、該支持部材10aと並行して立設されたL字鋼のガイド部材12が配置されている。このガイド部材12と一方の支持部材10aには、後述する操作部42の一部となる案内用のスリット13a、13bが互いに上下方向に沿って形成されている。また、この両スリット13a、13bは、上下方向の長さが所定長さに設定されていると共に、操作部42の一部となる丸棒状の小径な操作レバー47の両端部が上下摺動可能に設けられている。
なお、ロール8は、例えば1トン以上の重量物であって、本実施形態では揮発性の石油製品であるインクが使用される印刷工場内で搬送用台車により所定の場所に搬送されるようになっている。
4つの車輪2〜5のうち、3つの車輪2〜4は、いわゆるキャスター型であって、基台1の下面にボルトによって固定された四角形状の金属プレート14aにコ字形状の一対の軸受部14bが一体に設けられている。この両軸受部14bに軸受けされた車軸14cには、金属ハブを介して回転可能に支持された硬質な合成ゴムのタイヤ14dが設けられている。
一方、1つの車輪5(以下、第1車輪5という。)は、図3、図4にも示すように、鋳鉄からなるホイールの中央に円筒状のハブ15を有しており、このハブ15に長尺な特定の車軸16(以下、第1車軸16という。)の回転軸方向の一端部16aが固定されている。また、ホイールの外周には、合成ゴムのタイヤ17が設けられている。
第1車軸16は、基台1の幅方向に沿って延びているおり、一端部16aと他端部16bが、一対の軸受部18、18によって軸受されている。
この両軸受部18、18は、基台1の幅方向の下部に例えば溶接などによってコ字形状のブラケット19,19にスタッドボルト20、20によって結合されている。
そして、この搬送用台車は、走行路を始動する際に、第1車輪5にアシスト回転力を付与するアシスト装置が設けられている。
このアシスト装置は、第1車軸16にアシスト回転力を伝達する伝達駆動機構21と、搬送用台車の始動時に伝達駆動機構21に対してアシスト回転力を付与する回転力付与機構22と、この回転力付与機構22と伝達駆動機構21を断続する、つまり、この両者21、22を接続あるいは接続を解除するクラッチ機構23と、を備えている。
伝達駆動機構21は、図4〜図6に示すように、ギア比の異なる小径な第1歯車24及び該第1歯車24に噛み合う大径な第2歯車25と、を有している。この第1、第2歯車24、25は、一般的な平歯車であって、それぞれ外周に互いに噛み合う複数の第1歯部24aと第2歯部25aが一体に設けられている。
また、この両歯車24、25のギア比は、例えば第1歯車24が1に対して第2歯車25が約3の割合比率になって設定されている。なお、このギア比は、搬送用台車の仕様や大きさなどによって任意に設定することが可能である。
第1歯車24は、中央に貫通形成された挿通孔24bを介して挿入された前記第1車軸16の軸方向の所定に、例えば焼き嵌めによって固定されているか、あるいはキーとボルトなどを用いて固定されている。
第2歯車25は、基台1の下部の幅方向の所定位置に配置された一対の第2軸受部27、27によって軸受された支軸26に回転可能に支持されている。
各第2軸受部27、27は、基台1(横梁部材7)の下面に固定された各一対の支持ブラケット28、28の下面にスタッドボルト29、29によって固定されている。
支軸26は、その軸方向の長さがクラッチ機構23の後述する断続部材の所定の軸方向の移動長さを許容する長さに設定されている。
図7は同じくアシスト装置に供される回転力付与機構の一部を示す斜視図、図8は同じく回転力付与機構の一部を拡大して示す斜視図である。
回転力付与機構22は、図4〜図6に示すように、前記クラッチ機構23を介して第2歯車25に断続される伝達部材30と、後述する枢支ピン32を介して揺動可能に設けられ、作用点が伝達部材30に連係する桿部材31と、を有している。
伝達部材30は、鉄系金属によって細長いプレート状に形成され、長手方向のほぼ中央位置に円筒状のボス部30aを有している。また、伝達部材30は、ボス部30a内に有する挿通孔に挿通された前記支軸26を中心として揺動可能でかつ支軸26上を摺動可能に支持されている。
また、伝達部材30は、長手方向の一端部30bにクラッチ機構23の後述する係脱部である係止ピン38が固定されている。一方、伝達部材30の他端部30cには、桿部材31の外面に固定された作用点としての摺動部31dの外周面に摺接可能なカム面35を有している。
カム面35は、図5及び図6にも示すように、伝達部材30の他端部30cの先端側から一端部30b方向に沿って曲率半径が変化した円弧面状に連続形成されている。つまり、カム面35は、先端部35a側が曲率半径の大きななだらか曲面になっているが、一端部30b寄りの頂部35bの曲率半径が小さく形成されている。したがって、桿部材31の後端部31bを下方へ踏み込むと、前記摺動部31dがカム面35の先端部35aから頂部35b側に摺動して、伝達部材30を図6の反時計方向へ回転させるようになっている。
なお、伝達部材30は、クラッチ機構23の断続部材を兼用している。
桿部材31は、図1〜図3に示すように、横断面矩形状の2つの鋼材を連結してなる一本の長尺な四角鋼材によって形成され、搬送用台車の幅方向の下面ほぼ中央位置に前後方向に沿って配置されている。この桿部材31は、前端部31aが搬送用台車の前端側に位置する横梁部材7に固定された矩形ブラケット33に固定された支点となる枢支ピン32に上下揺動可能に連結されている。
また、この桿部材31は、図7及び図8に示すように、後端部31b側(ハンドル10側)に該後端部31bが前記枢支ピン32を中心に上方へ付勢回動させるばね部材である引っ張りコイルばね34が設けられている。この引っ張りコイルばね34は、一端部が前記ガイド部材12に設けられたU字形状の止め部12aに係止している一方、他端部が桿部材31の下面に固定されたブラケット片31cに有する図外の係止孔に係止されている。
したがって、桿部材31は、引っ張りコイルばね34のばね力によって通常は後端部31bが後端側の横梁部材7の下面に当接するまで上方へ引っ張り上げられている。
桿部材31は、前記伝達部材30の近傍上面に前記摺動部31dが固定されている。この摺動部31dは、丸棒状に形成されて、桿部材31の上面巾方向に沿って配置されていると共に、溶接などにより桿部材31の上面に固定されている。そして、この摺動部31dは、外周面に伝達部材30のカム面35が当接して、桿部材31の作用点として機能するようになっている。
また、桿部材31は、基台1のほぼ中央位置に設けられた金属製のストッパ部材36によってその最大下方向への回動が規制されている。このストッパ部材36は、図4に示すように、内側に桿部材31を配置したほぼコ字形状に形成され、上下方向に長いプレート状の両側片36a、36aと、該両側片36a、36aの両下端部に跨って固定された棒状のストッパ部36bと、から構成されている。両側片36a、36aは、各上端部が基台1の一つの横梁部材7の下面に溶接などによって固定されている。ストッパ部36bは、その上下方向の固定位置が前記桿部材31の踏み込み量(回動量)に応じて任意に設定されている。
そして、桿部材31は、搬送用台車の停止時及び始動が開始された後は引っ張りコイルばね34によって後端部31bの上端面が手前の横梁部材7(7a)の下面に当接しているが、始動時には後端部31bの上面が下方へ足で踏み込まれてストッパ部36bで最大回動位置が規制されるようになっている。
クラッチ機構23は、図3〜図6に示すように、第2歯車25の歯車本体の外周部に形成された複数の係止部である丸形の係止孔37と、断続部材を兼用した伝達部材30の一端部30bに設けられて、各係止孔37のいずれか一つに軸方向から係入するか、あるいは抜け出す(係脱する)係脱部である係止ピン38と、伝達部材30を第2歯車25から軸方向へ離間させる方向、つまり、係止ピン38が係止孔37から抜け出す方向へ付勢する付勢部材である圧縮コイルばね39と、この圧縮コイルばね39のばね力に抗して伝達部材30(係止ピン38)を第2歯車25(係止孔37)方向へ移動させる係止機構と、を有している。
各係止孔37は、第2歯車25の歯車本体の円周方向の等間隔位置にそれぞれ貫通形成されて全体が円環状になっている。また、係止孔37の全体の数は、隣接する係止孔37、37間の仕切り壁37aの剛性を十分確保できる程度の数に設定されている。つまり、一つの係止孔37に係入された係止ピン38の円周方向の加重が作用した際に、前記仕切り壁37aが変形など発生しない剛性が確保される程度の肉厚に設定されている。なお、各係止孔37の孔縁には、係止ピン38の良好な挿入性を確保するための面取り部が形成されている。
係止ピン38は、段差形状に形成されて、伝達部材30側の大径部38aと、係止孔37側に有する小径部38bと、から構成されている。
大径部38aは、後端部に伝達部材30の一端部30bに形成された雌ねじ孔に螺着する小径な雄ねじ部38cが形成されている。小径部38bは、大径部38aの先端部の端面から軸心方向に沿って設けられ、外径が係止孔37の内径よりも僅かに小さく形成されて、先端が球面状の面取りがなされて係止孔37に対してスムーズに係入可能になっている。
圧縮コイルばね39は、前記支軸26の外周に伸縮変形可能に保持されて、一端部が第2歯車25の歯車本体の一側面のほぼ中央に弾接され、他端部が伝達部材30の挿通孔の孔縁付近に弾接されている。これによって、伝達部材30(係止ピン38)を、図5の左方向、つまり、第2歯車25(係止孔37)から離間する(抜け出す)方向へ付勢している。また、この圧縮コイルばね39は、そのばね力が係止機構を介して通常人が手動で操作できる程度の大きさに設定されている。
係止機構は、図4〜図6に示すように、伝達部材30を第2歯車25方向へ押し出す押出片40と、該押出片40を揺動可能に支持する支持ブラケット41と、押出片40を手動によって操作する操作部42と、を有している。
押出片40は、重力方向の上下方向に延びた矩形長板状に形成され、中央部に設けられた支持ピン43を介して支持ブラケット41に回動可能に支持されている。また、この押出片40は、長手方向の上端部40a(図面上では下側)が二股状に形成され、この上端部40aの各外側面に伝達部材30のボス部30a外面に当接する棒状の4つの押接部44が一定のスパンをもって上下に2つずつ固定されている。一方、押出片40の下端部(図面上では上側)には、操作部42の後述するワイヤーロープ46の一端部46aが接続固定される連結金具45が設けられている。また、押出片40の長手方向のほぼ中央位置には、前記支持ピン43が挿入される図外の支持孔が幅方向に沿って貫通形成されている。
支持ブラケット41は、図4、図5に示すように、金属板材によって上下方向に延びた横断面コ字形状の柱状に形成され、上端部41a(図面上では下側)が縦梁部材6の下面に溶接などによって固定されている。一方、自由端側の下端部41b(図面上では上側)は、上端部41aとの連続した状態では側面視ほぼT字形状に形成されて、単独では矩形板状に形成されている。この下端部41bの前端側の上部には、押出片40の支持孔を挿通した支持ピン43の両端部を支持する図外の一対の挿通孔が貫通形成されている。支持ピン43は、押出片40の支持ブラケット41に対する揺動支点になっており、両端部がナット固定されている。また、上端部41a間の下端部41b寄りの位置には、押出片40の一方向の最大回動位置(図5に示すほぼ直立姿勢)を規制する上下一対のストッパ片41c、41cが水平方向に沿って固定されている(図9参照)。
また、下端部41bの後端側には、前記ワイヤーロープ46が巻回される滑車48が取り付けられている。
操作部42は、押出片40を牽引するワイヤーロープ46と、前記ガイド部材12と一方の支持部材10aとの間に設けられて、ワイヤーロープ46の他端部46b側が連結される操作レバー47と、を有している。
ワイヤーロープ46は、変形自由な例えば鋼線材によって形成され、図3にも示すように、支持ブラケット41の滑車48aや、一つの縦梁部材6の下面に設けられた方向変換用の滑車48b及びガイド付き滑車48cなど、複数の滑車48を介して押出片40の下端部40bと操作レバー47を連結している。
操作レバー47は、丸棒状の金属材によって形成され、軸方向の両端部がガイド部材12と支持部材10aの対向する内側部に形成されたスリット13a、13b内に嵌合配置されて上下摺動可能になっている。また、操作レバー47は、操作していない場合は、図2に示すように、前記圧縮コイルばね39のばね力によってワイヤーロープ46によって僅かに引っ張られて各スリット13a、13bの各下端縁まで最大下降位置に保持されている。一方、操作レバー47を、圧縮コイルばね39のばね力に抗して各スリット13a、13bに沿って引き上げると、ワイヤーロープ46を介して押出片40の下端部40bが引っ張られて該押出片40が図5の反時計方向へ回動する。これによって、押出片40は、図面上、下側に位置する上端部40a(上側の2つの押接部44a、44a)が伝達部材30を第2歯車25方向へ押し出して、係止ピン38をいずれか一つの係止孔37に係入させるようになっている。
〔搬送用台車の作動〕
図9はクラッチ機構によって回転力付与機構と伝達駆動機構の接続が解除されている状態を示す作用説明図、図10は同じくクラッチ機構によって回転力付与機構と伝達駆動機構が接続されている状態を示す作用説明図である。
〔搬送用台車の作動〕
図9はクラッチ機構によって回転力付与機構と伝達駆動機構の接続が解除されている状態を示す作用説明図、図10は同じくクラッチ機構によって回転力付与機構と伝達駆動機構が接続されている状態を示す作用説明図である。
以下、本実施形態における搬送用台車の作動を説明する。
例えば、基台1上に図1に示すような1トン以上のロール8(重量物)が積み込まれて静止状態にあるときから搬送用台車を移動しようとする場合について説明する。
まず、ハンドル10と操作レバー47を把持して、圧縮コイルばね39のばね力に抗して最大上方へ引き上げ操作する。このため、ワイヤーロープ46は、各滑車48を介して押出片40の下端部40bを後方へ引っ張る。これによって、この押出片40は、図9に示す位置から支持ピン43を中心に反時計方向へ回動される。
そうすると、図10に示すように、上端部40aは、各押接部44a、44aが回動しながら伝達部材30のボス部30aの外面を圧縮コイルばね39のばね力に抗して第2歯車25方向へ押し出す。
したがって、伝達部材30は、図10に示すように、支軸26上を第2歯車25方向へスライド移動して係止ピン38が第2歯車25の一つの係止孔37内に係入する。
このとき、例えば、係止ピン38の先端部が、各係止孔37,37間の仕切り壁37aに当たってそれ以上進まない場合には、桿部材31の後端部31b上面を足で僅かな力で繰り返し踏み付ける。そうすると、この踏力が、摺動部31dを介して伝達部材30のカム面35に作用して該伝達部材30を反時計方向へ僅かに回動させる。これによって、係止ピン38は、その位置が微調整されて、所定の一つの係止孔37に合致してそのまま係止孔37内に入り込む。
なお、このとき、操作レバー47は、圧縮コイルばね39のばね力に抗して上方へ引いた状態が維持されている一方、桿部材31は、踏み付けが解除されている。ここまでは、搬送用台車の始動開始前の事前操作である。
続いて、始動を開始するには、前述の係止ピン38が一つの係止孔37に挿入されている状態で、桿部材31の後端部31bの上面を足で重力方向の下方向へストッパ部36bに当接するまで踏み込む。そうすると、桿部材31は、枢支ピン32を中心として下方へ回動する。これにより、梃子の原理が働いて、桿部材31の摺動部31dが、伝達部材30のカム面35を先端部35aから頂部35bに摺動しながら押し上げて該伝達部材30を図6の矢印で示すように反時計方向へ回動させる。
そうすると、係止孔37に係入している係止ピン38は、第2歯車25の係止孔37内周の仕切り壁37aを第2歯車25の反時計方向へ押圧する。
したがって、第2歯車25は、図6の白抜き矢印で示すように、支軸26を介して図中反時計方向へ回転し、この回転力が第1歯車24に伝達される。このため、第1歯車24は、矢印で示すように、第2歯車25と反対方向(図中時計方向)へ回転すると共に車軸16も同方向へ回転する。これによって、第1車輪5に回転アシスト力が付与されて、該第1車輪5が前進方向へ回転する。この結果、搬送用台車は、前進方向へ始動を速やかに開始する。つまり搬送用台車は、停止中の静摩擦状態から動摩擦状態に変化して速やかに始動を開始する。
搬送用台車の始動が開始されたら、桿部材31の後端部31bから足を離して踏み込み力を解除した後、操作レバー47から手を離して引き上げ操作を解除する。これらの解除作用は、引っ張りコイルばね34と圧縮コイルばね39のばね力によって速やかに行われる。これによって、ワイヤーロープ46の引き込み力が解除された押出片40は、伝達部材30に対する押出力が解除されると共に、圧縮コイルばね39のばね力で図10に示す位置から図9に示す時計方向へ回動する。
同時に、伝達部材30が圧縮コイルばね39のばね力で支軸26上を後退移動して係止ピン38が係止孔37から抜け出る。これによって、伝達部材30と第2歯車25との連係が解除されて、第1車輪5の自由な回転が確保される。
なお、前記操作レバー47の引き上げ操作を解除しながら、そのままハンドル10を前方に押し続けて搬送用台車を前方へ押し出す。
このように、搬送用台車は、始動初期に第1車輪5に掛かる回転アシスト力によって静摩擦力から動摩擦力へ速やかに変換されてスムーズな始動性が得られる。したがって、たとえ1トン以上の重量物であっても容易に始動させることが可能になる。
さらに、本実施形態の搬送用台車は、電気的ではなくあくまで人為的な力(踏力)で始動初期のアシスト回転力を付与することから、例えば、揮発性の石油製品等を取り扱う工場内においても使用することが可能になる。つまり、防爆性が要求される工場内で有効に使用することができる。
また、搬送用台車は、構造が簡単でかつ市販の材料によって製造することができることから、製造コストの高騰を十分に抑制でき安価なコストで製造することが可能になる。
しかも、搬送用台車の始動時に梃子の原理を利用することによってアシスト回転力を付与することができるので、この点でも構造が簡単であり、また、小さな力で大きなアシスト力を発生させることが可能になる。このため、非力な人でも十分に始動時のアシスト力を付与することが可能になる。
また、伝達部材30を断続部材と兼用したことから、この点でも構造が簡素化できるので、製造作業や組立作業がさらに容易になり、コストの低減化が図れる。
本発明は、前記実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、搬送する対象物としては、前記ロール8などの重量物に限らず、軽量物であっても良く、また、基台1の構造も枠状ではなく、平板状の構造であっても良い。さらに、搬送用台車の大きさにも何ら制限はなく大小いずれのものにも適用可能である。
さらに、本実施形態では、操舵性の関係上一つの第1車輪5に適用したが、一本の車軸の両端部にそれぞれ車輪が取り付けられているものに適用することも可能である。
また、本実施形態では、前輪側の一方の車輪に適用したが、構造を変更して後輪側に適用することも可能である。
また、伝達駆動機構として、2つの平歯車を用いたが、ウオーム歯車などのギア比の異なる他の歯車を用いることも可能である。
1…基台、2〜4…車輪、5…第1車輪(駆動車輪)、6…縦梁部材、7…横梁部材、8…ロール(積載物)、9…敷設部、10…ハンドル、11…支持部材、12…ガイド部材、16…第1車軸、17…タイヤ、21…伝達駆動機構、22…回転力付与機構、23…クラッチ機構、24…第1歯車、25…第2歯車、26…支軸、27…軸受、28…支持ブラケット、30…伝達部材(断続部材)、30a…ボス部、30b…一端部、30c…他端部、31…桿部材、31a…前端部、31b…後端部、32…枢支ピン(枢支点)、33…ブラケット、34…引っ張りコイルばね、35…カム面、35a…先端部、35b…頂部、36…ストッパ部材、37…係止孔(係止部)、38…係止ピン(係脱部)、39…圧縮コイルばね(付勢部材)、40…押出片、40a…上端部、40b…下端部、41…支持ブラケット、42…操作部、43…支持ピン、44(44a、44b)…押接部、46…ワイヤーロープ、47…操作レバー、48…滑車。
Claims (6)
- 上面に荷物を載置可能な基台と、該基台の下部に設けられた複数の車輪と、前記基台の前記複数の車輪を回転可能に支持する複数の車軸と、を備え、
前記複数の車軸のうち少なくとも一つの特定の車軸に前記車輪が連結固定された搬送用台車であって、
前記特定の車軸にアシスト回転力を伝達する伝達駆動機構と、
始動時に前記伝達駆動機構に対してアシスト回転力を付与する回転力付与機構と、
該回転力付与機構と前記伝達駆動機構とを断続するクラッチ機構と、
を備えたことを特徴とする搬送用台車。 - 請求項1に記載の搬送用台車において、
前記伝達駆動機構は、ギア比の異なる少なくとも2つの第1、第2歯車によって構成されていることを特徴とする搬送用台車。 - 請求項1または2に記載の搬送用台車において、
前記回転力付与機構は、前記クラッチ機構を介して前記第1歯車に断続される伝達部材と、枢支点を介して回動可能に設けられ、作用点が前記伝達部材に連係した桿部材と、を有していることを特徴とする搬送用台車。 - 請求項3に記載の搬送用台車において、
前記クラッチ機構は、前記第1歯車に形成された係止部と、前記第1歯車の支軸に前記第1歯車の方向へ進退可能に設けられ、前記係止部に係脱可能な係脱部を有する断続部材と、
該断続部材を前記第1歯車から離間する方向へ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材の付勢力に抗して前記断続部材を前記第1歯車の方向へ移動させて、前記係脱部に係止部を係合させる係止機構と、
を備えたことを特徴とする搬送用台車。 - 請求項3に記載の搬送用台車において、
前記伝達部材は、細長いプレート状に形成されて、長手方向の中央部が前記第1歯車の支軸に回動自在に支持され、長手方向の一端部に前記クラッチ機構の係脱部が設けられている一方、他端部に前記桿部材の外面に摺接可能なカム部を有することを特徴とする搬送用台車。 - 請求項5に記載の搬送用台車において、
前記桿部材の外面に、前記カム部のカム面が摺接する棒状の摺動部が設けられていることを特徴とする搬送用台車。
Priority Applications (1)
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JP2018036094A JP2019151154A (ja) | 2018-03-01 | 2018-03-01 | 搬送用台車 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019151154A true JP2019151154A (ja) | 2019-09-12 |
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ID=67947879
Family Applications (1)
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JP2018036094A Pending JP2019151154A (ja) | 2018-03-01 | 2018-03-01 | 搬送用台車 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2019151154A (ja) |
-
2018
- 2018-03-01 JP JP2018036094A patent/JP2019151154A/ja active Pending
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