JP2019149382A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】鉛蓄電池であって、負極板と、正極板と、電解液と、を備え、負極板の負極電極材料が、無機硫酸塩と防縮剤とを含有し、無機硫酸塩は、平均二次粒子径が3.8μm以上であることを特徴とする、鉛蓄電池。【選択図】図1

Description

この発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池の負極電極材料は、海綿状鉛の他に、硫酸バリウムと、リグニンスルホン酸、及びカーボンブラック等のカーボンを含有している。そしてリグニンスルホン酸に代えて、ビスフェノール類縮合物を加えると、サイクル寿命性能が向上することが知られている。
特許文献1(特許4400028)は、硫酸バリウムの一次粒子を分散させた硫酸バリウム分散液の製造方法を開示している。特許文献1では、重晶石(天然硫酸バリウム)をコークスで還元して水溶性の硫化バリウムとし、これを硫酸と反応させて硫酸バリウム分散液とする。分散液中の硫酸バリウムを乾燥せずに水洗し、鉛蓄電池の負極電極材料に加える。硫化バリウムと硫酸との反応で生成した硫酸バリウムは、水に分散させたまま使用するので、一次粒子が凝集した二次粒子が成長することはない。また特許文献1は、硫酸バリウムの1/100質量のビスフェノール類縮合物を硫酸バリウム分散液に添加すると、鉛蓄電池の寿命性能が向上することを開示している。
特許第4400028号公報
発明者は、負極電極材料にビスフェノール類縮合物を含有させると、正極電極材料の軟化が進みやすいことを確認した。発明者は、この機構を以下のように推定した。ビスフェノール類縮合物は、リグニンスルホン酸(以下「リグニン」)に比べ、電解液である硫酸へ溶解しやすい。ビスフェノール類縮合物が負極から電解液へ溶出し、正極に達すると、正極電極材料の軟化を促進する。
発明者は次に、ビスフェノール類縮合物を負極に固定することを検討した。負極電極材料には親油性のカーボンが含有され、ビスフェノール類縮合物が吸着しやすい。しかしカーボンは負極電極材料中に導電性のネットワークを形成するために加えるので、絶縁性のビスフェノール類縮合物が吸着していることは好ましくない。そこで発明者は、カーボンに頼らずに、ビスフェノール類縮合物を負極電極材料中に固定することを検討した。
この発明の基本的課題は、防縮剤を負極電極材料中の無機硫酸塩により固定し、防縮剤の電解液への溶出を抑制することにある。
第1の発明:
鉛蓄電池であって、負極板と、正極板と、電解液とを備え、負極板の負極電極材料が、無機硫酸塩と防縮剤とを含有し、無機硫酸塩は、111結晶面を持ち、防縮剤は無機硫酸塩に吸着されていることを特徴とする。
第2の発明:
防縮剤の無機硫酸塩への吸着量は、15g/100g以上であることを特徴とする第1の発明に記載の鉛蓄電池。
第3の発明:
鉛蓄電池であって、負極板と、正極板と、電解液とを備え、負極板の負極電極材料が、無機硫酸塩と防縮剤とを含有し、無機硫酸塩は、平均二次粒子径が3.8μm以上であることを特徴とする。
第4の発明:
負極電極材料中の防縮剤が有機防縮剤であることを特徴とする、第1〜3の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第5の発明:
防縮剤の無機硫酸塩への吸着量は、15g/100g以上で21g/100g以下であることを特徴とする、第1〜4の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第6の発明:
防縮剤の無機硫酸塩への吸着量は、17g/100g以上で21g/100g以下であることを特徴とする、第1〜4の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第7の発明:
防縮剤の無機硫酸塩への吸着量は、15g/100g以上で19g/100g以下であることを特徴とする、第1〜4の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第8の発明:
防縮剤の無機硫酸塩への吸着量は、17g/100g以上で19g/100g以下であることを特徴とする、第1〜4の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第9の発明:
負極電極材料中の無機硫酸塩の含有量が0.4mass%以上で1.6mass%以下であることを特徴とする、第1〜8の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第10の発明:
負極電極材料中の無機硫酸塩の含有量が0.4mass%以上で1.5mass%以下であることを特徴とする、第1〜8の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第11の発明:
負極電極材料中の無機硫酸塩の含有量が0.4mass%以上で1.2mass%以下であることを特徴とする、第1〜8の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第12の発明:
負極電極材料中の無機硫酸塩の含有量が0.6mass%以上で1.0mass%以下であることを特徴とする、第1〜8の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第13の発明:
負極電極材料中の防縮剤の含有量が0.03mass%以上で0.25mass%以下であることを特徴とする、第1〜12の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第14の発明:
負極電極材料中の防縮剤の含有量が0.05mass%以上で0.20mass%以下であることを特徴とする、第1〜12の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第15の発明:
負極電極材料中の防縮剤が有機合成防縮剤であることを特徴とする、第1〜14の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第16の発明:
負極電極材料中の防縮剤がビスフェノール類縮合物であることを特徴とする、第1〜15の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第17の発明:
負極電極材料中の無機硫酸塩が硫酸バリウムであることを特徴とする、第1〜16の発明のいずれかに記載の鉛蓄電池。
第18の発明:
鉛蓄電池の製造方法であって、111結晶面を持つ無機硫酸塩を用意し、無機硫酸塩に防縮剤を15g/100g以上吸着させ、防縮剤を吸着させた無機硫酸塩と、鉛粉とを含むペーストを、負極集電体に充填することにより負極板を製造することを特徴とする。
第19の発明:
無機硫酸塩は硫酸バリウムであり、防縮剤はビスフェノール類縮合物であることを特徴とする、第18の発明に記載の鉛蓄電池の製造方法。
この発明の鉛蓄電池は、負極板と正極板と電解液とを有し、負極板の負極電極材料は、111結晶面を持つ無機硫酸塩と、防縮剤とを含有し、防縮剤は無機硫酸塩に吸着されていることを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池は、負極板と正極板と電解液とを有し、前記負極板の負極電極材料は、111結晶面を持つ無機硫酸塩と、防縮剤とを含有し、防縮剤が無機硫酸塩に15g/100g以上吸着されていることを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池は、負極板と正極板と電解液とを有し、前記負極板の負極電極材料は、平均二次粒子径が3.8μm以上である無機硫酸塩と、防縮剤とを含有することを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池は、負極電極材料中の防縮剤が有機防縮剤であることを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池は、負極電極材料中の防縮剤が有機合成防縮剤であることを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池は、負極電極材料中の防縮剤がビスフェノール類縮合物であることを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池は、負極電極材料中の無機硫酸塩が硫酸バリウムであることを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池用の負極板は、負極電極材料と集電体とから成り、負極電極材料が、111結晶面を持つ無機硫酸塩と、防縮剤とを含有することを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池の製造方法は、111結晶面を持つ無機硫酸塩に防縮剤を吸着させた後に、ビスフェノール類縮合物を吸着させた硫酸バリウムと、鉛粉とを含むペーストを、負極集電体に充填することにより負極板を製造することを特徴とする。
この発明の鉛蓄電池の製造方法は、111結晶面を持つ硫酸バリウムにビスフェノール類縮合物を吸着させた後に、ビスフェノール類縮合物を吸着させた硫酸バリウムと、鉛粉とを含むペーストを、負極集電体に充填することにより負極板を製造することを特徴とする。この明細書において、鉛蓄電池に関する記載は、そのまま負極板及び鉛蓄電池の製造方法にも当てはまる。
DBP吸油量は粉体がフタル酸ジブチル(DBP)を吸着する量を表し、単位はmL/100gで、測定法はJIS K 6217−4に規定されている。硫酸バリウムは一次粒子が凝集してアグリゲート(二次粒子)を成し、一次粒子間の空隙にDBPが吸着される。このため、二次粒子が大きいほど、DBP吸油量が増える。つまり、DBP吸油量は硫酸バリウムの一次粒子が凝集して作るストラクチャーの強さ、言い換えるとアグリゲートの発達の程度を表している。
発明者は、アグリゲートが発達している硫酸バリウムに予め有機防縮剤(ビスフェノール類縮合物など)を吸着させておくと、有機防縮剤(ビスフェノール類縮合物など)の電解液への溶出を減らすことができるのではないか、と予想した。そこで硫酸バリウムに予め有機防縮剤(ビスフェノール類縮合物など)を吸着させた後に、鉛粉、カーボン等と混合して、負極電極材料のペーストとした。このペーストを用いて鉛蓄電池を製造し、初期の硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量を測定した。鉛蓄電池のサイクル寿命性能を測定し、寿命に達した後に電解液を採取し、KMnO4の消費量を測定した。すると図1に示すように、硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量増加と共に、寿命性能が向上し、かつKMnO4消費量が減少した。KMnO4の消費量は、電解液に流出したビスフェノール類縮合物の濃度を表す。図2に示すように、硫酸バリウムのDBP吸油量が多いと有機防縮剤の吸着量が多くなることがわかった。このことから、DBP吸油量を変化させることにより、硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量を制御できることがわかった。
図1の結果は、硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量が大きい硫酸バリウムを用いることにより、
・ 有機防縮剤(ビスフェノール類縮合物など)を負極電極材料中に固定でき、
・ これによって、正極電極材料の軟化を抑制すると共に、
・ 負極電極材料中でのビスフェノール類縮合物の効果を保つことができる、ことを示している。
表1、図2から、硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量は、硫酸バリウムの平均二次粒子径を変化させることで調整できる。(硫硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量は酸バリウムのDBP吸油量を調整することで制御でき、硫酸バリウムのDBP吸油量は硫酸バリウムの平均二次粒子径を変化させることで調整できる。)従来から鉛蓄電池に使用されてきた硫酸バリウムでは、DBP吸油量が12mL/100g以下である。なおDBP吸油量が大きい硫酸バリウムは、一般に平均二次粒子径も大きい。尚、寿命時の硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量を測定したところ、初期と変わりなかった。また硫酸バリウムがビスフェノール類縮合物を鉛蓄電池の寿命まで保持していることから、ビスフェノールは液体として保持されているのではなく、硫酸バリウム表面に吸着されているものと考えられる。この発明では、硫酸バリウムへの有機防縮剤の吸着量を15g/100g以上にすることにより、ビスフェノール類縮合物を予め硫酸バリウムに吸着させて、寿命まで保持させることを可能にし、鉛蓄電池の寿命性能を向上させる。
なお特許文献1でも、硫酸バリウムの分散液にビスフェノール類縮合物を加えることを開示しているが、特許文献1の硫酸バリウムは単分散で、DBP吸油量は小さいと考えられる。またビスフェノール類縮合物の量は硫酸バリウムに対して1mass%で、多量のビスフェノール類縮合物を硫酸バリウムに固定することは難しいはずである。
硫酸バリウムは、有機防縮剤を15g/100g以上吸着していることが重要で、吸着量に上限はない。しかし、現時点では吸着量が21g/100gを超えるようにするための硫酸バリウムは実用レベルでの製法が確立されていない。そこで、吸着量は15g/100g以上21g/100g以下が好ましい。
ビスフェノール類縮合物は、例えばビスフェノールA,F,S等のビスフェノールのスルホン化物を縮重合させた物で、
・ スルホン基以外にカルボキシル基、アミノ基等を含んでいても良く、
・ 縮合は、例えばホルムアルデヒドによる脱水縮合である。
なおビスフェノール類縮合物を負極電極材料に加えることは周知であり、その種類、分子量等は公知技術に従って適宜に変更できる。
負極電極材料中の硫酸バリウム濃度は、0.4mass%以上で1.6mass%以下、好ましくは0.4mass%以上で1.5mass%以下、より好ましくは0.6mass%以上で1.2mass%以下、さらに好ましくは0.6mass%以上で1.0mass%以下である。またビスフェノール類縮合物の濃度は、好ましくは0.03mass%以上で0.25mass%以下、より好ましくは0.05mass%以上で0.2mass%以下である。これらの範囲で高い寿命性能が得られる(表2,表3)。
負極電極材料中の無機硫酸塩は、111結晶面を持つものであれば、硫酸バリウムと同様に電池内において悪影響を及ぼさず、硫酸鉛の核とすることができ、防縮剤を15g/100g以上吸着していれば、防縮剤の電解液への流出を抑制することができる。
また、負極電極材料中の無機硫酸塩は、DBP吸油量が14mL/100g以上で111結晶面を持つものであれば、防縮剤を15g/100g以上吸着できるので、防縮剤の電解液への流出を抑制することができる。
負極電極材料中の無機硫酸塩は、平均二次粒子径が3.8μm以上であれば、防縮剤を15g/100g以上吸着することができるので好適である。
無機硫酸塩に吸着させる防縮剤は、有機合成防縮剤、特にビスフェノール類縮合物であれば、防縮剤の流出を抑制できるうえに、寿命が向上するので好ましい。
硫酸バリウムのへの防縮剤の吸着量と寿命後電解液のKMnO4消費量及び寿命との関係を示す特性図 硫酸バリウムのDBP吸油量とKMnO4消費量及び硫酸バリウムへ防縮剤の吸着量を示す特性図 サイクル寿命試験を1440サイクル経験した際の、正極板の外観を示す写真 実施例の鉛蓄電池の製造方法を示す工程図
以下に、本願発明の最適実施例を示す。本願発明の実施に際しては、当業者の常識及び先行技術の開示に従い、実施例を適宜に変更できる。極板は格子等の集電体と電極材料から成り、極板に含浸している電解液は電極材料には含めない。実施例では、負極活物質の海綿状鉛以外に、ビスフェノール類縮合物、硫酸バリウム等の他の電極材料を含めて、負極活物質と呼び、正極活物質がPbO2以外の添加物を含む場合でも、正極電極材料を正極活物質と呼ぶ。
実施例では無機塩として硫酸バリウムを用いているが、吸油性があり、かつ、化学的に鉛電極反応に寄与せず、硫酸鉛の結晶構造と同一の構造を持ち、さらに、塩が鉛化合物に悪影響を及ぼさないものであればよく、たとえば、硫酸カルシウムや硫酸ストロンチウムなどが防縮剤の電解液への流出抑制に効果がある。
また、実施例では、防縮剤として、ビスフェノール類縮合物の代表例として、ビスフェノールAのスルホン化物をホルムアルデヒドで脱水縮合させた物を用いたが、親油性のある有機物、すなわち有機防縮剤であれば、吸着されて電解液への流出は抑制される。
鉛蓄電池の製造
有機防縮剤の吸着量を11〜21g/100gの範囲で変化させるように硫酸バリウムを用意した。具体的には、DBP吸油量を10mL/100g〜20mL/100gの範囲で変化させた。この内、吸油量が10mL/100g及び12mL/100gのものは従来から鉛蓄電池に使用されてきた物で、吸油量が12mL/100gの硫酸バリウムでの結果を100%として、鉛蓄電池の特性を示す。なおDBP吸油量の精度は±1mL/100gの範囲である。
ビスフェノール類縮合物として、ビスフェノールAのスルホン化物をホルムアルデヒドで脱水縮合させた物を用いた。活物質に対して所定の含有量となるビスフェノール類縮合物を、負極活物質ペースト作製時に必要な水分量の60mass%の水に溶解させた水溶液と、硫酸バリウムとをミキサーに投入し、20分以上撹拌することによりビスフェノール類縮合物を硫酸バリウムに吸着させた。同様に、リグニンを硫酸バリウムに吸着させて用いたものも用意した。これ以外に、在来のリグニンスルホン酸(以下単にリグニンと呼ぶ)を硫酸バリウムに吸着させずに用いたものを用意した。
ビスフェノール類縮合物やリグニンを吸着させた硫酸バリウムを含む上記の水溶液、あるいはビスフェノール類縮合物又はリグニンと硫酸バリウムとを、鉛粉とカーボンブラックと合成繊維補強剤と混合し、硫酸で混練して負極活物質ペーストとした。鉛粉の種類、カーボンブラック等のカーボンブラックの種類と含有量、合成繊維補強剤の有無、その他の添加物の種類と有無等は任意である。
負極活物質ペーストをPb−Ca−Sn系のエキスパンド格子に充填し、乾燥と熟成とを施して未化成の負極板とした。鉛粉に合成繊維補強剤を加え、硫酸でペースト化して正極活物質ペーストとした。正極活物質ペーストをPb−Ca−Sn系のエキスパンド格子に充填し、乾燥と熟成とを施して未化成の正極板とした。負極板をポリエチレンの微多孔質の袋から成るセパレータで包み、正極板と共に電槽にセットして、硫酸を加えて電槽化成を行い、液式の鉛蓄電池とした。鉛蓄電池は正極板が5枚、負極板が4枚、出力は2V/セルである。正極板に用いる鉛粉の種類、合成繊維補強剤の有無、その他の添加物の有無、正極と負極の集電体の格子、芯金等の種類、格子の鋳造、エキスパンド等の種類と組成、液式かVRLAか等の蓄電池の種類、セパレータの種類、等は任意である。また電槽化成かタンク化成か等の化成条件も任意である。
図4に、鉛蓄電池の製造方法を示し、ステップaで無機硫酸塩(具体的には硫酸バリウム)にビスフェノール類縮合物又はリグニンを吸着させる。ステップbで、鉛粉等の他の負極活物質材料と共に、ビスフェノール類縮合物又はリグニンを吸着させた硫酸バリウムを硫酸でペースト化し、格子に充填後に乾燥と熟成とを施す。ステップcで、正極板と共に電槽にセットし、セパレータにより正極板と負極板とを分離し、電解液あるいはこれを保持するゲル等を加えて、鉛蓄電池とする。
測定法
負極活物質(正確には負極電極材料)中の無機硫酸塩(具体的には硫酸バリウム、以下硫酸バリウムで説明)の含有量と有機防縮剤の吸着量、防縮剤(ビスフェノール類縮合物やリグニンなど、以下ビスフェノール類縮合物で説明)の含有量等は、以下のようにして測定できる。
必要であれば充電して硫酸鉛を金属鉛に還元した後に、負極板から負極活物質を取り出し、水洗と乾燥を施し、硫酸分を除去し、負極活物質の乾燥質量を測定する。負極活物質を粉砕し、硝酸や酢酸アンモニウムなどの試薬を用いて鉛化合物を全て溶解させた後に、吸引濾過によって沈殿物を濾過し、空気中700℃でビスフェノール類縮合物やカーボン等を燃焼させると共に、硫酸バリウムを酸化バリウムに変化させて秤量する。予め測定した負極活物質量と酸化バリウムから硫酸バリウム含有量を測定できる。
必要であれば充電して硫酸鉛を金属鉛に還元した後に、負極板から負極活物質を取り出し、水洗と乾燥を施し、硫酸分を除去し、負極活物質の乾燥質量を測定する。負極活物質を粉砕し、例えば50℃の強アルカリ水溶液に浸漬し、浸漬液のUV吸収スペクトル等から、負極活物質中のビスフェノール類縮合物濃度を測定できる。
解体した電池から取り出した負極活物質を粉砕し、硝酸や酢酸アンモニウムなどの試薬を用いて鉛化合物を全て溶解させた後に、繊維は100メッシュ程度の目の細かいふるいで取り除き、活物質中の硫酸バリウムとカーボンの混合物質を得る。
得られた混合物質に水を加えて十分撹拌した後に、遠心分離によって分離し、遠心管の底部のカーボン含有量がほとんどない硫酸バリウムを採取して乾燥し、試料とする。
得られた試料をTG−DTAを用いて分析する。
TG−DTA後、残った物質は、酸化された硫酸バリウムであるため、この得られた酸化バリウムの質量から、元の硫酸バリウム量を換算して求める。
酸化バリウムから硫酸バリウムに換算するには、分析後サンプル質量を1.52倍すれば良い。(酸化バリウムの分子量:153.3294、硫酸バリウムの分子量:233.3926)
たとえば、分析後の酸化バリウムの質量が1gだった場合、もとの硫酸バリウムは、1.52gで、TG−DTAによって減少したSO3は0.52gと算出できる。
分析前のサンプル質量が3gだった場合、TG−DTA分析によって、2g減少していることになるが、このうち0.52gは硫酸バリウムに含まれていたSO3分であるため、吸着していた有機防縮剤量は、2−0.52=1.48gと算出できる。
この有機防縮剤量と求めた硫酸バリウム量から、1gあたりの有機防縮剤量を求め、(1.48/1.52)、100倍することで、硫酸バリウム100gあたりの有機防縮剤吸着量とする。
硫酸バリウムの平均粒子径は以下の様にして測定できる。
まず極板を樹脂含侵する。極板断面が観察できるよう、試料を切断・研磨し、研磨面を沸騰させた飽和酢酸アンモニウム溶液に浸漬させて、研磨面の硫酸鉛を溶解させる。得られた試料について、EPMAによりS分布を測定し、活物質内の硫酸Baの分布を得る。S分布測定は、同一サンプルで10回の研磨を実施した各面で実施し、得られたS分布から粒子の断面直径の分布図を作成して、平均二次粒子径を推定する。
本発明において、硫酸バリウムの有機防縮剤吸着量、硫酸バリウムの含有量、硫酸バリウムの有機物の吸着量、硫酸バリウムの平均粒子径、ビスフェノール類縮合物の含有量、リグニンの含有量は上記方法にて測定している。
鉛蓄電池の特性
鉛蓄電池を40℃の雰囲気下で、25Aで4分間の放電と、2.47V/セルで最大25A、10分間の充電とから成るサイクルを経験させ、480サイクル毎に40℃で、265Aで放電し、30秒目の端子電圧が1.2V/セル未満になると寿命とした。寿命に達した鉛蓄電池を解体し、電解液中のビスフェノール類縮合物濃度をKMnO4の消費量により測定した。また1440サイクル経過後に、正極板での正極活物質の脱落状況を観察した。
同様にして電解液中のリグニンの濃度をKMnO4の消費量により測定した。
表1〜表3と図1とに、硫酸バリウムのDBP吸油量、平均二次粒子径、及び含有量と、ビスフェノール類縮合物、及びリグニンの含有量等に対して、サイクル寿命試験での寿命性能、及び寿命に達した後の電解液のKMnO4消費量を示す。また図3に、1440サイクル後の正極板の外観を示す。結果は、吸着量が13g/100g(ビスフェノール類縮合物を、ペースト化前に硫酸バリウムに吸着)での値を100%とする相対値で示す。また含有量の単位は正極活物質中のmass%である。
表1、図1に、硫酸バリウムの濃度を0.8mass%に固定し、吸着量を変化させた際の結果を示す。硫酸バリウムの平均二次粒子径と有機防縮剤吸着量とはDBP吸油量と共に増し、DBP吸油量が14mL/100g〜20mL/100gの範囲では、それぞれ3.8〜9.2μm、15〜21g/100gであった。
ビスフェノール類縮合物を硫酸バリウムに吸着させておくと、サイクル寿命は有機防縮剤吸着量と共に増し、寿命後のKMnO4消費量は、吸着量が大きくなると、小さくなった。なお図1でのグレーのマークは、リグニン0.2mass%と硫酸バリウムを0.8mass%含有するものを示す。
表2は、吸着量が17g/100gの硫酸バリウム0.8mass%の条件で、防縮剤であるビスフェノール類縮合物とリグニンとの含有量を変化させた際の結果を示す。表2には他に、吸着量が13g/100gの硫酸バリウムを0.8mass%とビスフェノール類縮合物を0.1mass%含有させた比較例を示す。吸着量が17g/100gの硫酸バリウムにビスフェノール類縮合物を吸着させると、硫酸バリウムに最適濃度(0.1mass%)のビスフェノール類縮合物を13g/100g吸着させた場合よりも、寿命性能が向上した。そしてビスフェノール類縮合物の濃度は、0.03mass%以上で0.25mass%以下が好ましく、特に0.05mass%以上で0.2mass%以下が好ましいことが分かる。
表3は、ビスフェノール類縮合物の濃度を0.1mass%に固定し、吸着量が17g/100gでの硫酸バリウム濃度を変化させた際の結果を示す。硫酸バリウム濃度を0.4mass%以上で1.2mass%以下とすると、吸着量が13g/100gの硫酸バリウム0.8mass%よりも寿命性能が向上し、特に硫酸バリウム濃度が0.6mass%以上で1.0mass%以下で寿命性能が著しく向上した。
寿命後の負極板を解体し、硫酸バリウムを遠心分離により抽出した。DBP吸油量が高い(吸着量が多い)ほど、ビスフェノール類縮合物に由来する茶色の呈色が強く、KMnO4消費量の測定と同様に、寿命に達するまでビスフェノール類縮合物が硫酸バリウムに吸着されていることが判明した。
図3に1440サイクル後の正極板の外観を示す。硫酸バリウムの吸着量が11g/100gでは正極活物質の脱落が著しく、13g/100gでも脱落が目立つが、15g/100gでは、脱落個所が13g/100gの場合の、1/2程度となった。そして17g/100gでは脱落個所はかなり少なく、19g/100gと21g/100gでは正極活物質の脱落は極く僅かであった。
補足
ビスフェノール類縮合物に加えて、リグニンスルホン酸を少量、例えば負極活物質に対して0.1mass%以下、加えても良い。本発明では、ビスフェノール類縮合物を硫酸バリウムに吸着させることにより負極活物質中に固定する。しかし、ビスフェノール類縮合物が全量硫酸バリウムに吸着されている必要はない。負極活物質中のビスフェノール類縮合物の濃度は蓄電池の使用と共に低下し、硫酸バリウムの二次粒子径も蓄電池の使用と共に減少し、これに伴ってDBP吸油量、有機防縮剤吸着量も変化する。そこでこれらの値が問題となる場合、蓄電池の寿命の初期での値を用いる。

Claims (9)

  1. 負極板と、
    正極板と、
    電解液と、を備え、
    前記負極板の負極電極材料が、無機硫酸塩と防縮剤とを含有し、
    前記無機硫酸塩は、平均二次粒子径が3.8μm以上であることを特徴とする、鉛蓄電池。
  2. 前記防縮剤の前記無機硫酸塩への吸着量は、15g/100g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記負極電極材料中の前記防縮剤が有機防縮剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記防縮剤の前記無機硫酸塩への吸着量は、15g/100g以上で21g/100g以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  5. 前記負極電極材料中の前記無機硫酸塩の含有量が0.4mass%以上で1.6mass%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  6. 前記負極電極材料中の前記防縮剤の含有量が0.03mass%以上で0.25mass%以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  7. 前記負極電極材料中の前記防縮剤が有機合成防縮剤であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  8. 前記負極電極材料中の前記防縮剤がビスフェノール類縮合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  9. 前記負極電極材料中の前記無機硫酸塩が硫酸バリウムであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。


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