JP2019148789A - 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスクの製造方法、及び表示装置の製造方法 - Google Patents

位相シフトマスクブランク、位相シフトマスクの製造方法、及び表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】位相シフト効果を十分に発揮できる断面形状に位相シフト膜をパターニング可能な透過率の高い位相シフトマスクブランクを提供する。【解決手段】透明基板上に位相シフト膜と、該位相シフト膜上にエッチングマスク膜とを有する位相シフトマスクブランクであって、前記位相シフトマスクブランクは、前記エッチングマスク膜を所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版であって、前記位相シフト膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有し、酸素の含有率が510原子%以上70原子%以下であり、前記界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。【選択図】図7

Description

本発明は、位相シフトマスクブランクおよびこれを用いた位相シフトマスクの製造方法、並びに表示装置の製造方法に関する。
近年、LCD(Liquid Crystal Display)を代表とするFPD(Flat Panel Display)等の表示装置では、大画面化、広視野角化とともに、高精細化、高速表示化が急速に進んでいる。この高精細化、高速表示化のために必要な要素の1つが、微細で寸法精度の高い素子や配線等の電子回路パターンの作製である。この表示装置用電子回路のパターニングにはフォトリソグラフィが用いられることが多い。このため、微細で高精度なパターンが形成された表示装置製造用の位相シフトマスクが必要になっている。
例えば、特許文献1には、モリブデンシリサイドを含む薄膜をウェットエッチング時に、透明基板の損傷が最小化されるようにリン酸、過酸化水素、フルオロ化アンモニウムを水に希釈したエッチング溶液で、モリブデンシリサイドを含む薄膜をウェットエッチングするフラットパネルディスプレイ用ブランクマスク及びこれを用いたフォトマスクが開示されている。
また、特許文献2には、パターンの精密度を向上させることを目的として、位相反転膜104が、同一のエッチング溶液にエッチング可能な互いに異なる組成の膜からなり、異なる組成の各膜がそれぞれ1回以上積層された少なくとも2層以上の多層膜又は連続膜の形態で形成してなる位相反転ブランクマスク及びフォトマスクが開示されている。
韓国特許出願公開第10−2016−0024204号公報 特開2017−167512号公報
近年、この種の表示装置製造用の位相シフトマスクブランクとして、2.0μm未満の微細パターンを確実に転写可能とするため、露光光に対する位相シフト膜の透過率が10%以上、さらには20%以上の光学特性を有する位相シフト膜として、酸素を一定以上の比率(5原子%以上、さらには10原子%以上)で含有してなる位相シフト膜を用いることが検討されている。しかしながら、このような酸素の含有率を5原子%以上、さらには10原子%以上とした位相シフト膜を、ウェットエッチングによりパターニングした場合、位相シフト膜とその上に形成されたエッチングマスク膜との界面にウェットエッチング液が浸入し、界面部分のエッチングが早く進行することが分かった。形成された位相シフト膜パターンのエッジ部分の断面形状は、傾斜を生じ、裾を引くテーパー形状となった。
位相シフト膜パターンのエッジ部分の断面形状がテーパー形状である場合、位相シフト膜パターンのエッジ部分の膜厚が減少するに従い、位相シフト効果が薄れる。このため、位相シフト効果を十分に発揮することができず、2.0μm未満の微細パターンを安定して転写することができない。位相シフト膜中の酸素の含有率を5原子%以上、さらには10原子%以上とすると、位相シフト膜パターンのエッジ部分の断面形状を厳密に制御することが難しく、線幅(CD)を制御することが非常に困難であった。
このため、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、ウェットエッチングにより、位相シフト効果を十分に発揮できる断面形状に位相シフト膜をパターニング可能な透過率の高い位相シフトマスクブランク、位相シフト効果を十分に発揮できる位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクの製造方法、並びにこの位相シフトマスクを用いた表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らはこれらの問題点を解決するために位相シフト膜パターンのエッジ部分の断面形状を垂直化する方法を鋭意検討した。遷移金属と、ケイ素と、酸素を含有する位相シフト膜と、エッチングマスク膜との界面の状態について実験及び考察を行った結果、位相シフト膜とエッチングマスク膜との間の界面に存在する、遷移金属の酸化物が、浸み込みの要因となっていることを突き止めた。そして、本発明者はさらに検討を行い、位相シフト膜との界面に形成された組成傾斜領域において、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であるように、位相シフト膜及びエッチングマスク膜を構成することが、界面に存在する、遷移金属の酸化物を抑制でき、界面における浸み込みを抑制できることを見出した。本発明は、以上のような鋭意検討の結果なされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)透明基板上に位相シフト膜と、該位相シフト膜上にエッチングマスク膜とを有する位相シフトマスクブランクであって、
前記位相シフトマスクブランクは、前記エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版であって、
前記位相シフト膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有し、酸素の含有率が5原子%以上70原子%以下であり、
前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、前記酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、
前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
(構成2)前記位相シフト膜は、複数の層で構成されていることを特徴とする構成1に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成3)前記位相シフト膜は、単一の層で構成されていることを特徴とする構成1に記載の位相シフトマスクブランク。
(構成4)前記位相シフト膜は、窒素を含有することを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成5)前記位相シフト膜は、窒素の含有率が2原子%以上60原子%以下であることを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成6)前記位相シフト膜の膜応力は、0.2GPa以上0.8GPa以下であることを特徴とする構成1から5のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成7)前記エッチングマスク膜は、クロム系材料から構成されることを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成8)前記エッチングマスク膜は、窒素、酸素、炭素の少なくともいずれか1つを含有することを特徴とする構成1から7のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成9)前記透明基板は矩形状の基板であって、該透明基板の短辺の長さは300mm以上であることを特徴とする構成1から8のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
(構成10)構成1から9のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクを準備する工程と、
前記位相シフトマスクブランクの上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターンを形成し、該レジスト膜パターンをマスクとして、ウェットエッチングにより前記エッチングマスク膜をパターニングして、前記エッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする、位相シフトマスクの製造方法。
(構成11)構成1から9のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクを用い、または構成10に記載の位相シフトマスクの製造方法によって製造された位相シフトマスクを用い、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
本発明に係る位相シフトマスクブランクによれば、ウェットエッチングにより、位相シフト効果を十分に発揮できる断面形状に位相シフト膜をパターニング可能で透過率の高い位相シフトマスクブランクを得ることができる。また、ウェットエッチングにより、CDバラツキの小さい断面形状に位相シフト膜をパターニング可能な位相シフトマスクブランクを得ることができる。
また、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法によれば、上述した位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造する。このため、位相シフト効果を十分に発揮できる位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを製造することができる。また、CDバラツキの小さい位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを製造することができる。この位相シフトマスクは、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応することができる。
また、本発明に係る表示装置の製造方法によれば、上述した位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクまたは上述した位相シフトマスクの製造方法によって得られた位相シフトマスクを用いて表示装置を製造する。このため、微細なラインアンドスペースパターンやコンタクトホールを有する表示装置を製造することができる。
位相シフトマスクブランクの膜構成を示す模式図である。 位相シフトマスクの製造工程を示す模式図である。 実施例1の位相シフトマスクブランクに対する深さ方向の組成分析結果を示す図である。 実施例1の位相シフトマスクの断面写真である。 比較例1の位相シフトマスクブランクに対する深さ方向の組成分析結果を示す図である。 比較例1の位相シフトマスクの断面写真である。 実施例1と比較例1の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向のO/Siの比(ケイ素に対する酸素の含有比率)を示す図である。 実施例2の位相シフトマスクブランクに対する深さ方向の組成分析結果を示す図である。 実施例2の位相シフトマスクの断面写真である。 実施例2、3の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向のO/Siの比(ケイ素に対する酸素の含有比率)を示す図である。 実施例3の位相シフトマスクブランクに対する深さ方向の組成分析結果を示す図である。 実施例3の位相シフトマスクの断面写真である。
実施の形態1.
実施の形態1では、位相シフトマスクブランクについて説明する。この位相シフトマスクブランクは、エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をウェットエッチングにより透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版である。
図1は位相シフトマスクブランク10の膜構成を示す模式図である。
図1に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30と、位相シフト膜30上に形成されたエッチングマスク膜40とを備える。
透明基板20は、露光光に対して透明である。透明基板20は、表面反射ロスが無いとしたときに、露光光に対して85%以上の透過率、好ましくは90%以上の透過率を有するものである。透明基板20は、ケイ素と酸素を含有する材料からなり、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)などのガラス材料で構成することができる。透明基板20が低熱膨張ガラスから構成される場合、透明基板20の熱変形に起因する位相シフト膜パターンの位置変化を抑制することができる。また、表示装置用途で使用される位相シフトマスクブランク用透明基板20は、一般に矩形状の基板であって、該透明基板の短辺の長さは300mm以上であるものが使用される。本発明は、透明基板の短辺の長さが300mm以上の大きなサイズであっても、透明基板上に形成される例えば2.0μm未満の微細な位相シフト膜パターンを安定して転写することができる位相シフトマスクを提供可能な位相シフトマスクブランクである。
位相シフト膜30は、遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有する遷移金属シリサイド系材料で構成される。遷移金属として、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)などが好適である。また、位相シフト膜30は、窒素を含有してもよい。窒素を含有すると、屈折率を上げられるため、位相差を得るための膜厚を薄くできる点で好ましい。また、位相シフト膜30に含まれる窒素の含有率を多くすると複素屈折率の吸収係数が大きくなり、高い透過率を実現できなくなる。位相シフト膜30に含まれる窒素の含有率は、2原子%以上60原子%以下が好ましい。より好ましくは、2原子%以上50原子%以下、さらに好ましくは、5原子%以上30原子%以下が望ましい。
遷移金属シリサイド系材料としては、例えば、遷移金属シリサイドの酸化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化物、遷移金属シリサイドの酸化炭化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化炭化物が挙げられる。また、遷移金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)、ジルコニウムシリサイド系材料(ZrSi系材料)、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料(MoZrSi系材料)であると、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状が得られやすいという点で好ましい。
位相シフト膜30は、透明基板20側から入射する光に対する反射率(以下、裏面反射率と記載する場合がある)を調整する機能と、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能とを有する。
位相シフト膜30は、スパッタリング法により形成することができる。
露光光に対する位相シフト膜30の透過率は、位相シフト膜30として必要な値を満たす。位相シフト膜30の透過率は、露光光に含まれる所定の波長の光(以下、代表波長という)に対して、好ましくは、10%〜70%であり、より好ましくは、15%〜65%であり、さらに好ましくは20%〜60%である。すなわち、露光光が313nm以上436nm以下の波長範囲の光を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、その波長範囲に含まれる代表波長の光に対して、上述した透過率を有する。例えば、露光光がi線、h線およびg線を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、i線、h線およびg線のいずれかに対して、上述した透過率を有する。
位相シフト膜30の透過率は、位相シフト膜30に含まれる遷移金属とケイ素の原子比率で調節することができる。位相シフト膜30の透過率を上記透過率とするために、遷移金属とケイ素の原子比率は、1:1以上1:15以下となるように構成している。位相シフト膜30の耐薬性(洗浄耐性)を高めるために、遷移金属とケイ素の原子比率は、1:2以上1:15以下が好ましく、さらに好ましくは、1:4以上1:10以下がさらに望ましい。
透過率は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
露光光に対する位相シフト膜30の位相差は、位相シフト膜30として必要な値を満たす。位相シフト膜30の位相差は、露光光に含まれる代表波長の光に対して、好ましくは、160°〜200°であり、より好ましくは、170°〜190°である。この性質により、露光光に含まれる代表波長の光の位相を160°〜200°変えることができる。このため、位相シフト膜30を透過した代表波長の光と透明基板20のみを透過した代表波長の光との間に160°〜200°の位相差が生じる。すなわち、露光光が313nm以上436nm以下の波長範囲の光を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、その波長範囲に含まれる代表波長の光に対して、上述した位相差を有する。例えば、露光光がi線、h線およびg線を含む複合光である場合、位相シフト膜30は、i線、h線およびg線のいずれかに対して、上述した位相差を有する。
位相差は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
位相シフト膜30の裏面反射率は、365nm〜436nmの波長域において15%以下であり、10%以下であると好ましい。また、位相シフト膜30の裏面反射率は、露光光にj線が含まれる場合、313nmから436nmの波長域の光に対して20%以下であると好ましく、17%以下であるとより好ましい。さらに好ましくは15%以下であることが望ましい。また、位相シフト膜30の裏面反射率は、365nm〜436nmの波長域において0.2%以上であり、313nmから436nmの波長域の光に対して0.2%以上であると好ましい。
裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
位相シフト膜30が上記の位相差及び透過率となるように、また、必要に応じて、位相シフト膜30が上記の裏面反射率となるように、位相シフト膜30に含まれる酸素の含有率が調節されている。具体的には、位相シフト膜30は、酸素の含有率が5原子%以上70原子%以下となるように構成されている。位相シフト膜30に含まれる酸素の含有率は、10原子%以上70原子%以下が好ましい。この位相シフト膜30は複数の層で構成されていてもよく、単一の層で構成されていてもよい。単一の層で構成された位相シフト膜30は、位相シフト膜30中に界面が形成され難く、断面形状を制御しやすい点で好ましい。一方、複数の層で構成された位相シフト膜30は、成膜のし易さ等の点で好ましい。
また、位相シフト膜30に含まれる窒素や酸素の軽元素については、位相シフト膜30の膜厚方向において均一に含まれていても、また、段階的または連続的に、増加または減少していても良い。なお、上記窒素の含有率および酸素の含有率は、位相シフト膜30の膜厚の50%以上の領域において、上述した所定の含有率となっていることが好ましい。
また、位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30は、耐薬性(洗浄耐性)の高いことが要求される。この位相シフト膜30の耐薬性(洗浄耐性)を高めるために、膜密度を高めると効果的である。位相シフト膜30の膜密度と膜応力は相関があり、耐薬性(洗浄耐性)を考慮すると、位相シフト膜30の膜応力は、高い方が好ましい。一方で、位相シフト膜30の膜応力は、位相シフト膜パターンを形成したときの位置ずれや、位相シフト膜パターンの喪失を考慮する必要がある。以上の観点から位相シフト膜30の膜応力は、0.2GPa以上0.8GPa以下が好ましく、0.4GPa以上0.8GPa以下であることがさらに好ましい。
エッチングマスク膜40は、位相シフト膜30の上側に配置され、位相シフト膜30をエッチングするエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなる。また、エッチングマスク膜40は、露光光の透過を遮る機能を有してもよいし、さらに、位相シフト膜30側より入射される光に対する位相シフト膜30の膜面反射率が350nm〜436nmの波長域において15%以下となるように膜面反射率を低減する機能を有してもよいエッチングマスク膜40は、例えばクロム系材料から構成される。クロム系材料として、より具体的には、クロム(Cr)、又は、クロム(Cr)と、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちの少なくともいずれか1つを含有する材料が挙げられる。又は、クロム(Cr)と、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちの少なくともいずれか1つとを含み、さらに、フッ素(F)を含む材料が挙げられる。例えば、エッチングマスク膜40を構成する材料として、Cr、CrO、CrN、CrF、CrCO、CrCN、CrON、CrCON、CrCONFが挙げられる。
エッチングマスク膜40は、スパッタリング法により形成することができる。
エッチングマスク膜40が露光光の透過を遮る機能を有する場合、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが積層する部分において、露光光に対する光学濃度は、好ましくは3以上であり、より好ましくは、3.5以上、さらに好ましくは4以上である。
光学濃度は、分光光度計もしくはODメーターなどを用いて測定することができる。
エッチングマスク膜40は、機能に応じて組成が均一な単一の膜からなる場合であってもよいし、組成が異なる複数の膜からなる場合であってもよいし、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合であってもよい。
なお、図1に示す位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備えているが、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備え、エッチングマスク膜40上にレジスト膜を備える位相シフトマスクブランクについても、本発明を適用することができる。
また、位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加する領域を含むように構成している。より具体的には、上記組成傾斜領域において、少なくとも位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から、透明基板20側に向かう深さ方向において、酸素の割合が段階的および/または連続的に増加する領域を有している。
そして、位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であるように構成している。この界面は、位相シフトマスクブランク10をX線光電子分光法により組成分析を行ったときに、位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置とする。
位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率は、3.0以下であることが求められ、2.8以下であることが好ましく、さらに好ましくは、2.5以下、より一層好ましくは、2.0以下であることが望ましい。なお、位相シフト膜30と組成傾斜領域との膜質連続性の観点から、上記ケイ素に対する酸素の含有比率は、0.3以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5以上であることが好ましい。
次に、この実施の形態の位相シフトマスクブランク10の製造方法について説明する。図1に示す位相シフトマスクブランク10は、以下の位相シフト膜形成工程とエッチングマスク膜形成工程とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.位相シフト膜形成工程
先ず、透明基板20を準備する。透明基板20は、露光光に対して透明であれば、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)などのいずれのガラス材料で構成されるものであってもよい。
次に、透明基板20上に、スパッタリング法により、位相シフト膜30を形成する。
位相シフト膜30の成膜は、位相シフト膜30を構成する材料の主成分となる遷移金属とケイ素を含むスパッタターゲット、又は遷移金属とケイ素と酸素及び/又は窒素を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、上記不活性ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。
位相シフト膜30の組成及び厚さは、位相シフト膜30が上記の位相差及び透過率となるように調整される。位相シフト膜30の組成は、スパッタターゲットを構成する元素の含有比率(例えば、遷移金属の含有率とケイ素の含有率との比)、スパッタガスの組成及び流量などにより制御することができる。位相シフト膜30の厚さは、スパッタパワー、スパッタリング時間などにより制御することができる。また、スパッタリング装置がインライン型スパッタリング装置の場合、基板の搬送速度によっても、位相シフト膜30の厚さを制御することができる。このように、位相シフト膜30の酸素の含有率が5原子%以上70原子%以下となるように制御を行う。
位相シフト膜30が、それぞれ組成の均一な単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を変えずに1回だけ行う。位相シフト膜30が、組成の異なる複数の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、成膜プロセス毎にスパッタガスの組成及び流量を変えて複数回行う。スパッタターゲットを構成する元素の含有比率が異なるターゲットを使用して位相シフト膜30を成膜してもよい。位相シフト膜30が、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を成膜プロセスの経過時間と共に変化させながら1回だけ行う。成膜プロセスを複数回行う場合、スパッタターゲットに印加するスパッタパワーを小さくすることができる。
2.表面処理工程
遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有する遷移金属シリサイド材料からなる位相シフト膜30を形成した後の位相シフト膜30の表面は酸化されやすく、遷移金属の酸化物が生成されやすい。遷移金属の酸化物の存在によるエッチング液による浸み込みを抑制するため、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程を行う。
位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程としては、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法、アッシング等のドライ処理で表面処理する方法などが挙げられる。
後述するエッチングマスク膜形成工程の後、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域で、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、さらに、位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が3.0以下となれば、どのような表面処理工程を行っても構わない。
例えば、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法においては、酸性またはアルカリ性の水溶液の濃度、温度、時間を適宜調整することにより、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整することができる。酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法としては、透明基板20上に位相シフト膜30が形成された位相シフト膜付き基板を、上記水溶液に浸漬する方法や、位相シフト膜30上に上記水溶液を接触させる方法などが挙げられる。
3.エッチングマスク膜形成工程
位相シフト膜30の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理を行った後、スパッタリング法により、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を形成する。
このようにして、位相シフトマスクブランク10が得られる。
エッチングマスク膜40の成膜は、クロム又はクロム化合物(酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等)を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。
エッチングマスク膜40が、組成の均一な単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を変えずに1回だけ行う。エッチングマスク膜40が、組成の異なる複数の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、成膜プロセス毎にスパッタガスの組成及び流量を変えて複数回行う。エッチングマスク膜40が、厚さ方向に組成が連続的に変化する単一の膜からなる場合、上述した成膜プロセスを、スパッタガスの組成及び流量を成膜プロセスの経過時間と共に変化させながら1回だけ行う。
このように位相シフト膜30とエッチングマスク膜40の成膜プロセス、および位相シフト膜30の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理を行うことで、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40を成膜することができる。
なお、位相シフト膜30の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理について説明したが、位相シフト膜30の成膜プロセスにおいて、成膜プロセスの後半に、位相シフト膜30の表面が表面酸化されにくいガス種に変更、または、上記ガス種を添加することなどにより、上記組成傾斜領域における酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下としても構わない。
なお、図1に示す位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備えているため、位相シフトマスクブランク10を製造する際に、エッチングマスク膜形成工程を行う。また、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を備え、エッチングマスク膜40上にレジスト膜を備える位相シフトマスクブランクを製造する際は、エッチングマスク膜形成工程後に、エッチングマスク膜40上にレジスト膜を形成する。
この実施の形態1の位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40を構成している。これにより、効果的に位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面におけるエッチング液の浸み込みを抑制することができ、パターン断面の垂直化に寄与でき、優れたCD均一性を有する位相シフト膜パターンが形成された位相シフトマスクを得ることができる。また、位相シフトマスクにおいて、位相シフト膜パターン上にエッチングマスク膜パターンが残存する場合には、位相シフトマスクに貼り付けられるペリクルや表示装置基板との反射の影響を抑えられる。また、この実施の形態1の位相シフトマスクブランク10は、断面形状が良好であり、CDバラツキが小さく透過率の高い位相シフト膜パターンを、ウェットエッチングにより形成することができる。従って、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる位相シフトマスクブランクが得られる。
実施の形態2.
実施の形態2では、位相シフトマスクの製造方法について説明する。
図2は位相シフトマスクの製造方法を示す模式図である。
図2に示す位相シフトマスクの製造方法は、図1に示す位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスクを製造する方法であり、以下の位相シフトマスクブランク10の上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターン50を形成し(第1のレジスト膜パターン形成工程)、該レジスト膜パターン50をマスクとして、ウェットエッチングによりエッチングマスク膜40をパターニングして、エッチングマスク膜パターン40aを形成する工程(第1のエッチングマスク膜パターン形成工程)と、該エッチングマスク膜パターン40aをマスクとして、位相シフト膜30をウェットエッチングにより透明基板20上に位相シフト膜パターン30aを形成する工程(位相シフト膜パターン形成工程)と、を含む。そして、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程とをさらに含む。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.第1のレジスト膜パターン形成工程
第1のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30に形成するパターンである。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図2(a)に示されるように、エッチングマスク膜40上に第1のレジスト膜パターン50を形成する。
2.第1のエッチングマスク膜パターン形成工程
第1のエッチングマスク膜パターン形成工程では、先ず、第1のレジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をエッチングして、第1のエッチングマスク膜パターン40aを形成する。エッチングマスク膜40は、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。エッチングマスク膜40をエッチングするエッチング液は、エッチングマスク膜40を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。具体的には、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、図2(b)に示されるように、第1のレジスト膜パターン50を剥離する。場合によっては、第1のレジスト膜パターン50を剥離せずに、次の位相シフト膜パターン形成工程を行ってもよい。
3.位相シフト膜パターン形成工程
第1の位相シフト膜パターン形成工程では、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、図2(c)に示されるように、位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜パターン30aとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。位相シフト膜30をエッチングするエッチング液は、位相シフト膜30を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化水素アンモニウムと塩化水素とを含むエッチング液が挙げられる。
4.第2のレジスト膜パターン形成工程
第2のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、第1のエッチングマスク膜パターン40aを覆うレジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30にパターンが形成されている領域の外周領域を遮光する遮光帯パターン、及び位相シフト膜パターンの中央部を遮光する遮光帯パターンである。なお、レジスト膜に描画するパターンは、露光光に対する位相シフト膜30の透過率によっては、位相シフト膜パターン30aの中央部を遮光する遮光帯パターンがないパターンの場合もある。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図2(d)に示されるように、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に第2のレジスト膜パターン60を形成する。
5.第2のエッチングマスク膜パターン形成工程
第2のエッチングマスク膜パターン形成工程では、第2のレジスト膜パターン60をマスクにして第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングして、図2(e)に示されるように、第2のエッチングマスク膜パターン40bを形成する。第1のエッチングマスク膜パターン40aは、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングするエッチング液は、第1のエッチングマスク膜パターン40aを選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第2のレジスト膜パターン60を剥離する。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
なお、上記説明ではエッチングマスク膜40が、露光光の透過を遮る機能を有する場合について説明したが、エッチングマスク膜40が単に、位相シフト膜30をエッチングする際のハードマスクの機能のみを有する場合においては、上記説明において、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程は行われず、位相シフト膜パターン形成工程の後、第1のエッチングマスク膜パターンを剥離して、位相シフトマスク100を作製する。
この実施の形態2の位相シフトマスクの製造方法によれば、実施の形態1の位相シフトマスクブランクを用いるため、断面形状が良好であり、CDバラツキが小さい位相シフト膜パターンを形成することができる。従って、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる。このように製造された位相シフトマスクは、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、上述した位相シフトマスクブランク10を用いて製造された位相シフトマスク100を用い、または上述した位相シフトマスク100の製造方法によって製造された位相シフトマスク100を用いる工程(マスク載置工程)と、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程(パターン転写工程)とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
1.載置工程
載置工程では、実施の形態2で製造された位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する。ここで、位相シフトマスクは、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
2.パターン転写工程
パターン転写工程では、位相シフトマスク100に露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する。露光光は、365nm〜436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、365nm〜436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
この実施の形態3の表示装置の製造方法によれば、CDエラーを抑制でき、高解像度、微細なラインアンドスペースパターンやコンタクトホールを有する、高精細の表示装置を製造することができる。
実施例1.
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、先ず、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
その後、合成石英ガラス基板を、主表面を下側に向けてトレイ(図示せず)に搭載し、インライン型スパッタリング装置のチャンバー内に搬入した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、まず、第1チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、二酸化炭素ガス(CO)、窒素(N)ガスとの混合ガス(Ar:20sccm、CO:10sccm、N:20sccm)を導入し、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:4)に6.0kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素と炭素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化炭化物を堆積させた。そして、膜厚202nmの位相シフト膜30を成膜した。また、透明基板20に位相シフト膜30を形成した後、チャンバーから取り出して、位相シフト膜30の表面を、アルカリ系水溶液で位相シフト膜30の表面処理を行った。なお、表面処理条件は、アルカリ濃度0.7%、温度30度、表面処理時間1200秒とした。
次に、表面処理後の位相シフト膜30付きの透明基板20を第2チャンバー内に搬入し、第2チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N)ガスとの混合ガス(Ar: 65sccm、N:15sccm)を導入した。そして、クロムからなる第2スパッタターゲットに1.5kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、位相シフト膜30上にクロムと窒素を含有するクロム窒化物(CrN)を形成した(膜厚15nm)。次に、第3チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスとメタン(CH:4.9%)ガスの混合ガス(30sccm)を導入し、クロムからなる第3スパッタターゲットに8.5kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングによりCrN上にクロムと炭素を含有するクロム炭化物(CrC)を形成した(膜厚60nm)。最後に、第4チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスとメタン(CH:5.5%)ガスの混合ガスと窒素(N)ガスと酸素(O)ガスとの混合ガス(Ar+CH:30sccm、N:8sccm、O:3sccm)を導入し、クロムからなる第4スパッタターゲットに2.0kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングによりCrC上にクロムと炭素と酸素と窒素を含有するクロム炭化酸化窒化物(CrCON)を形成した(膜厚30nm)。以上のように、位相シフト膜30上に、CrN層とCrC層とCrCON層の積層構造のエッチングマスク膜40を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
得られた位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30(位相シフト膜30の表面をアルカリ系水溶液で表面処理した位相シフト膜30)について、レーザーテック社製のMPM−100により透過率、位相差を測定した。位相シフト膜30の透過率、位相差の測定には、同一のトレイにセットして作製された、合成石英ガラス基板の主表面上に位相シフト膜30が成膜された位相シフト膜付き基板(ダミー基板)を用いた。位相シフト膜30の透過率、位相差は、エッチングマスク膜40を形成する前に位相シフト膜付き基板(ダミー基板)をチャンバーから取り出し、測定した。その結果、透過率は22.1%(波長:365nm)位相差は161度(波長:365nm)であった。なお、アルカリ系水溶液により表面処理した位相シフト膜30の膜厚は、成膜直後の膜厚から減少して183nmであった。
また、位相シフト膜30につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.46GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、得られた位相シフトマスクブランクについて、島津製作所社製の分光光度計SolidSpec−3700により、膜面反射率、光学濃度を測定した。位相シフトマスクブランク(エッチングマスク膜40)の膜面反射率は8.3%(波長:436nm)、光学濃度ODは4.0(波長:436nm)であった。このエッチングマスク膜は、膜表面での反射率が低い遮光膜として機能することが分かった。
また、得られた位相シフトマスクブランク10について、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の組成分析を行った。図3は実施例1の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向の組成分析結果を示す。図3は、位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜30側のエッチングマスク膜40と、位相シフト膜30の組成分析結果を示している。図3の横軸はエッチングマスク膜40の最表面を基準とした位相シフトマスクブランク10のSiO換算の深さ(nm)を示し、縦軸は含有率(原子%)を示している。図3において、各曲線は、ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の含有率変化をそれぞれ示している。
図3に示されるように、位相シフトマスクブランク10に対するXPSによる深さ方向の組成分析結果において、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40の界面(位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置)と、エッチングマスク膜40から位相シフト膜30に向かってクロムの割合が減少し、初めてクロムの含有率が0原子%となる位置までの領域である組成傾斜領域では、位相シフト膜30に起因する酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に単調増加していた。
また、図7は、実施例1と比較例1の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向のO/Siの比(ケイ素に対する酸素の含有比率)を示す図である。図7に示されるように、実施例1の位相シフトマスクブランクは、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が2.0であり、3.0以下であった。この界面は、位相シフトマスクブランク10をエッチングマスク膜40側からX線光電子分光法により組成分析を行ったときに、位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属(この場合はモリブデン)の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置とする。
エッチングマスク膜40に起因するクロム(Cr)が消失してから透明基板20に起因する酸素(O)ピークが出現するまで(位相シフト膜30に起因するモリブデン(Mo)が急激に減少する前まで)の位相シフト膜30の組成均一領域では、モリブデン(Mo)の含有率が平均12原子%、ケイ素(Si)の含有率が平均23原子%、窒素(N)の含有率が平均13原子%、酸素(O)の含有率が平均40原子%、炭素(C)の含有率が平均12原子%であり、それぞれの含有率の変動が、3原子%以下であった。
B.位相シフトマスクおよびその製造方法
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスク100を製造するため、先ず、位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、エッチングマスク膜上に、ラインパターンの幅が1.8μmおよびスペースパターンの幅が1.8μmのラインアンドスペースパターンのレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンをマスクにして、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むクロムエッチング液によりエッチングマスク膜をウェットエッチングして、第1のエッチングマスク膜パターン40aを形成した。
その後、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素との混合溶液を純水で希釈したモリブデンシリサイドエッチング液により位相シフト膜30をウェットエッチングして、位相シフト膜パターン30aを形成した。
その後、レジスト膜パターンを剥離した。
その後、レジスト塗布装置を用いて、第1のエッチングマスク膜パターン40aを覆うように、フォトレジスト膜を塗布した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に、遮光帯を形成するための第2のレジスト膜パターン60を形成した。
その後、第2のレジスト膜パターン60をマスクにして、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むクロムエッチング液により、転写パターン形成領域に形成された第1のエッチングマスク膜パターン40aをウェットエッチングした。
その後、第2のレジスト膜パターン60を剥離した。
このようにして、透明基板20上に、転写パターン形成領域に位相シフト膜パターン30aと、位相シフト膜パターン30aとエッチングマスク膜パターン40bの積層構造からなる遮光帯が形成された位相シフトマスク100を得た。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。以下の実施例1および比較例1において、位相シフトマスクの断面の観察には、走査型電子顕微鏡を用いた。図4は実施例1の位相シフトマスクの断面写真である。
図4に示されるように、実施例1の位相シフトマスクに形成された位相シフト膜パターンは、位相シフト効果を十分に発揮できる垂直に近い断面形状を有していた。また、位相シフト膜パターンには、エッチングマスク膜パターンとの界面と、基板との界面とのいずれにも浸み込みは見られなかった。また、裾幅が小さく、CDバラツキの小さい位相シフト膜パターンを有していた。詳細には、位相シフト膜パターンの断面は、位相シフト膜パターンの上面、下面および側面から構成される。この位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、53度であった。そのため、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む露光光、より具体的には、i線、h線およびg線を含む複合光の露光光において、優れた位相シフト効果を有する位相シフトマスクが得られた。
加えて、実施例1の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、53度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を上回るものであった。したがって、実施例1の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することが可能である。
位相シフトマスクの位相シフト膜パターンのCDばらつきを、セイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000により測定した。CDばらつきの測定は、基板の周縁領域を除外した1100mm×1300mmの領域について、11×11の地点で測定した。CDばらつきは、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:1.8μm、スペースパターンの幅:1.8μm)からのずれ幅である。実施例1および比較例1において、CDばらつきの測定には、同じ装置を用いた。
CDばらつきは0.096μmと良好であった。
このため、実施例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
実施例2.
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例2の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、先ず、インライン型スパッタリング装置の第1チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、ヘリウム(He)ガスと、窒素(N)ガスとの混合ガス(Ar:18sccm、He:50sccm、N:13sccm)を導入し、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に7.6kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化物を堆積させた。そして、膜厚150nmの位相シフト膜30を成膜した。
次に、透明基板20に位相シフト膜30を形成した後、表面処理せずに、実施例1と同様に、位相シフト膜30上に、CrN層とCrC層とCrCON層の積層構造のエッチングマスク膜40を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
得られた位相シフトマスクブランクの位相シフト膜について、レーザーテック社製のMPM−100により透過率、位相差を測定した。位相シフト膜の透過率、位相差の測定には、同一のトレイにセットして作製された、合成石英ガラス基板の主表面上に位相シフト膜30が成膜された位相シフト膜付き基板(ダミー基板)を用いた。位相シフト膜の透過率、位相差は、エッチングマスク膜を形成する前に位相シフト膜付き基板(ダミー基板)をチャンバーから取り出し、測定した。その結果、透過率は27.0%(波長:405nm)、位相差は178度(波長:405nm)であった。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.21GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、得られた位相シフトマスクブランクについて、島津製作所社製の分光光度計SolidSpec−3700により、膜面反射率、光学濃度を測定した。位相シフトマスクブランク(エッチングマスク膜40)の膜面反射率は8.3%(波長:436nm)、光学濃度ODは4.0(波長:436nm)であった。このエッチングマスク膜は、膜表面での反射率が低い遮光膜として機能することが分かった。
また、得られた位相シフトマスクブランク10について、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の組成分析を行った。図8は実施例2の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向の組成分析結果を示す。図8は、位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜30側のエッチングマスク膜40と、位相シフト膜30の組成分析結果を示している。図8の横軸はエッチングマスク膜40の最表面を基準とした位相シフトマスクブランク10のSiO換算の深さ(nm)を示し、縦軸は含有率(原子%)を示している。図8において、各曲線は、ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の含有率変化をそれぞれ示している。
図8に示されるように、位相シフトマスクブランク10に対するXPSによる深さ方向の組成分析結果において、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40の界面(位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置)と、エッチングマスク膜40から位相シフト膜30に向かってクロムの割合が減少し、初めてクロムの含有率が0原子%となる位置までの領域である組成傾斜領域では、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から酸素の割合が、深さ方向に向かって増加し、その後、減少していた。
また、図10は、実施例2と実施例3の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向のO/Siの比(ケイ素に対する酸素の含有比率)を示す図である。図10に示されるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が2.0であり、3.0以下であった。
エッチングマスク膜40に起因するクロム(Cr)が消失してから透明基板20に起因する酸素(O)ピークが出現するまで(位相シフト膜30に起因するモリブデン(Mo)が急激に減少する前まで)の位相シフト膜30の組成均一領域では、モリブデン(Mo)の含有率が平均8原子%、ケイ素(Si)の含有率が平均40原子%、窒素(N)の含有率が平均46原子%、酸素(O)の含有率が平均6原子%であった。位相シフト膜30において、モリブデン(Mo)の含有率の変動が最も小さく、2原子%以下、次いで、ケイ素(Si)の含有率の変動が3原子%以下、窒素(N)の含有率の変動が4原子%以下、酸素(O)の含有率の変動が5原子%以下であった。
B.位相シフトマスクおよびその製造方法
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図9は実施例2の位相シフトマスクの断面写真である。
図9に示されるように、実施例2の位相シフトマスクに形成された位相シフト膜パターンは、位相シフト効果を十分に発揮できる垂直に近い断面形状を有していた。また、位相シフト膜パターンには、エッチングマスク膜パターンとの界面と、基板との界面とのいずれにも浸み込みは見られなかった。また、裾幅が小さく、CDバラツキの小さい位相シフト膜パターンを有していた。詳細には、位相シフト膜パターンの断面は、位相シフト膜パターンの上面、下面および側面から構成される。この位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、74度であった。そのため、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む露光光、より具体的には、i線、h線およびg線を含む複合光の露光光において、優れた位相シフト効果を有する位相シフトマスクが得られた。
また、CDばらつきは0.092μmと良好であった。
加えて、実施例2の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、74度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を上回るものであった。したがって、実施例2の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することが可能である。
このため、実施例2の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
実施例3.
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例3の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、先ず、インライン型スパッタリング装置の第1チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、ヘリウム(He)ガスと、窒素(N)ガスと、一酸化窒素ガス(NO)との混合ガス(Ar:18sccm、He:50sccm、N:13sccm、NO:4sccm)を導入し、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に7.6kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化物を堆積させた。そして、膜厚140nmの位相シフト膜30を成膜した。そして、透明基板20に位相シフト膜30を形成した後、チャンバーから取り出して、実施例1と同じ条件にて、位相シフト膜30の表面を、アルカリ系水溶液で位相シフト膜30の表面処理を行った。
次に、実施例1と同様に、位相シフト膜30上に、CrN層とCrC層とCrCON層の積層構造のエッチングマスク膜40を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
得られた位相シフトマスクブランクの位相シフト膜について、レーザーテック社製のMPM−100により透過率、位相差を測定した。位相シフト膜の透過率、位相差の測定には、同一のトレイにセットして作製された、合成石英ガラス基板の主表面上に位相シフト膜30が成膜された位相シフト膜付き基板(ダミー基板)を用いた。位相シフト膜の透過率、位相差は、エッチングマスク膜を形成する前に位相シフト膜付き基板(ダミー基板)をチャンバーから取り出し、測定した。その結果、透過率は33.0%(波長:365nm)、位相差は169度(波長365nm)であった。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.26GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、得られた位相シフトマスクブランクについて、島津製作所社製の分光光度計SolidSpec−3700により、膜面反射率、光学濃度を測定した。位相シフトマスクブランク(エッチングマスク膜40)の膜面反射率は8.3%(波長:436nm)、光学濃度ODは4.0(波長:436nm)であった。このエッチングマスク膜は、膜表面での反射率が低い遮光膜として機能することが分かった。
また、得られた位相シフトマスクブランク10について、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の組成分析を行った。図11は実施例3の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向の組成分析結果を示す。図11は、位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜30側のエッチングマスク膜40と、位相シフト膜30の組成分析結果を示している。図11の横軸はエッチングマスク膜40の最表面を基準とした位相シフトマスクブランク10のSiO換算の深さ(nm)を示し、縦軸は含有率(原子%)を示している。図8において、各曲線は、ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の含有率変化をそれぞれ示している。
図11に示されるように、位相シフトマスクブランク10に対するXPSによる深さ方向の組成分析結果において、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40の界面(位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置)と、エッチングマスク膜40から位相シフト膜30に向かってクロムの割合が減少し、初めてクロムの含有率が0原子%となる位置までの領域である組成傾斜領域では、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から酸素の割合が、深さ方向に向かって増加し、その後、減少していた。
また、図10に示されるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が2.4であり、3.0以下であった。
エッチングマスク膜40に起因するクロム(Cr)が消失してから透明基板20に起因する酸素(O)ピークが出現するまで(位相シフト膜30に起因するモリブデン(Mo)が急激に減少する前まで)の位相シフト膜30の組成均一領域では、モリブデン(Mo)の含有率が平均7原子%、ケイ素(Si)の含有率が平均38原子%、窒素(N)の含有率が平均46原子%、酸素(O)の含有率が平均9原子%であった。位相シフト膜30において、モリブデン(Mo)の含有率の変動が最も小さく、1原子%以下、次いで、ケイ素(Si)の含有率の変動が2原子%以下、酸素(O)の含有率の変動が3原子%以下、窒素(N)の含有率の変動が4原子%以下であった。
B.位相シフトマスクおよびその製造方法
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図12は実施例3の位相シフトマスクの断面写真である。
図12に示されるように、実施例3の位相シフトマスクに形成された位相シフト膜パターンは、位相シフト効果を十分に発揮できる垂直に近い断面形状を有していた。また、位相シフト膜パターンには、エッチングマスク膜パターンとの界面と、基板との界面とのいずれにも浸み込みは見られなかった。また、裾幅が小さく、CDバラツキの小さい位相シフト膜パターンを有していた。詳細には、位相シフト膜パターンの断面は、位相シフト膜パターンの上面、下面および側面から構成される。この位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、79度であった。そのため、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む露光光、より具体的には、i線、h線およびg線を含む複合光の露光光において、優れた位相シフト効果を有する位相シフトマスクが得られた。
また、CDばらつきは、0.094μmと良好であった。
加えて、実施例3の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、79度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を上回るものであった。したがって、実施例2の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することが可能である。
このため、実施例2の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
比較例1.
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
比較例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。第1スパッタターゲット、第2スパッタターゲット、第3スパッタターゲット、第4スパッタターゲットとして、実施例1と同じスパッタターゲット材料を用いた。
そして、透明基板に位相シフト膜を形成した後、チャンバーから取り出して、位相シフト膜の表面を、純水で洗浄を行った。純水洗浄条件は、温度30度、表面処理時間300秒とした。
その後、実施例1と同じ方法により、エッチングマスク膜を成膜した。
このようにして、透明基板上に、位相シフト膜とエッチングマスク膜とが形成された位相シフトマスクブランクを得た。
得られた位相シフトマスクブランクの位相シフト膜(位相シフト膜の表面を純水洗浄した位相シフト膜)について、レーザーテック社製のMPM−100により透過率、位相差を測定した。位相シフト膜の透過率、位相差の測定には、同一のトレイにセットして作製された、合成石英ガラス基板の主表面上に位相シフト膜30が成膜された位相シフト膜付き基板(ダミー基板)を用いた。位相シフト膜の透過率、位相差は、エッチングマスク膜を形成する前に位相シフト膜付き基板(ダミー基板)をチャンバーから取り出し、測定した。その結果、透過率は20.0%(波長:365nm)位相差は176度(波長:365nm)であった。なお、純水洗浄処理した位相シフト膜の膜厚は、成膜直後の膜厚から減少して198nmであった。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.46GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、得られた位相シフトマスクブランクについて、島津製作所社製の分光光度計SolidSpec−3700により、膜面反射率、光学濃度を測定した。位相シフトマスクブランク(エッチングマスク膜)の膜面反射率は8.3%(波長:436nm)、光学濃度ODは4.0(波長:436nm)であった。このエッチングマスク膜は、膜表面での反射率が低い遮光膜として機能することが分かった。
また、得られた位相シフトマスクブランクについて、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の組成分析を行った。図5は比較例1の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向の組成分析結果を示す。図5は、位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜30側のエッチングマスク膜40と、位相シフト膜30の組成分析結果を示している。図5の横軸はエッチングマスク膜40の最表面を基準とした位相シフトマスクブランクのSiO換算の深さ(nm)を示し、縦軸は含有率(原子%)を示している。図5において、各曲線は、ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の含有率変化をそれぞれ示している。
図5に示されるように、位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向の組成分析結果において、上述した組成傾斜領域では、位相シフト膜に起因する酸素の割合が深さ方向に向かって急激に増加した後に、上述した組成均一領域における酸素の割合と同等の略一定の割合で推移していた。
また、図7に示されるように、位相シフト膜とエッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が6.4であり、3.0を上回る領域が存在していた。なお、エッチングマスク膜40に起因するクロム(Cr)が消失してから透明基板20に起因する酸素(O)ピークが出現するまでの位相シフト膜30の組成均一領域でのモリブデン、ケイ素、窒素、酸素、炭素の含有率は、実施例1とほぼ同じであった。
B.位相シフトマスクおよびその製造方法
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図6は比較例1の位相シフトマスクの断面写真である。
図6に示されるように、比較例1の位相シフトマスクに形成された位相シフト膜パターンは、直線的なテーパー形状であった。この位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、5度であった。従って、得られた位相シフトマスクでは、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む露光光、より具体的には、i線、h線およびg線を含む複合光の露光光において、十分な位相シフト効果が得られない。
また、CDばらつきは0.230μmであった。
なお、比較例1の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、5度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を下回るものであった。したがって、比較例1の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することは期待できない。
このため、比較例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを転写することはできないことが予想される。
また、図7に示されるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率は、いずれにおいても3.0を超えるものであった。
これらの点や、組成均一領域における実施例1及び比較例1の組成が略同一であること等を考慮すると、位相シフト膜とエッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域におけるケイ素に対する酸素の含有比率が3.0以下であることが、位相シフト効果を十分に発揮できる断面形状に位相シフト膜をパターニング可能な透過率の高い位相シフトマスクブランクを得るために重要な要素であると言える。
なお、上述の実施例では、遷移金属としてモリブデンを用いた場合を説明したが、他の遷移金属の場合でも上述と同等の効果が得られる。
また、上述の実施例では、表示装置製造用の位相シフトマスクブランクや、表示装置製造用の位相シフトマスクの例を説明したが、これに限られない。本発明の位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクは、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用等にも適用できる。
また、上述の実施例では、透明基板のサイズが、8092サイズ(800mm×920mm×10mm)の例を説明したが、これに限られない。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクの場合、大型(Large Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが、300mm以上である。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、330mm×450mm以上2280mm×3130mm以下である。
また、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用の位相シフトマスクブランクの場合、小型(Small Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが9インチ以下である。上記用途の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、63.1mm×63.1mm以上228.6mm×228.6mm以下である。通常、半導体製造用、MEMS製造用は、6025サイズ(152mm×152mm)や5009サイズ(126.6mm×126.6mm)が使用され、プリント基板用は、7012サイズ(177.4mm×177.4mm)や、9012サイズ(228.6mm×228.6mm)が使用される。
10…位相シフトマスクブランク、20…透明基板、30…位相シフト膜、
30a…位相シフト膜パターン、40…エッチングマスク膜、
40a…第1のエッチングマスク膜パターン、
40b…第2のエッチングマスク膜パターン、50…第1のレジスト膜パターン、
60…第2のレジスト膜パターン、100…位相シフトマスク

Claims (11)

  1. 透明基板上に位相シフト膜と、該位相シフト膜上にエッチングマスク膜とを有する位相シフトマスクブランクであって、
    前記位相シフトマスクブランクは、前記エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版であって、
    前記位相シフト膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有し、酸素の含有率が5原子%以上70原子%以下であり、
    前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、前記酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、
    前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
  2. 前記位相シフト膜は、複数の層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスクブランク。
  3. 前記位相シフト膜は、単一の層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスクブランク。
  4. 前記位相シフト膜は、窒素を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  5. 前記位相シフト膜は、窒素の含有率が2原子%以上60原子%以下であることを特徴とする請求項4記載の位相シフトマスクブランク。
  6. 前記位相シフト膜の膜応力は、0.2GPa以上0.8GPa以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  7. 前記エッチングマスク膜は、クロム系材料から構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  8. 前記エッチングマスク膜は、窒素、酸素、炭素の少なくともいずれか1つを含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  9. 前記透明基板は矩形状の基板であって、該透明基板の短辺の長さは300mm以上であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
  10. 請求項1から9のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクを準備する工程と、
    前記位相シフトマスクブランクの上にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターンを形成し、該レジスト膜パターンをマスクとして、ウェットエッチングにより前記エッチングマスク膜をパターニングして、前記エッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
    前記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする、位相シフトマスクの製造方法。
  11. 請求項1から9のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクを用い、または請求項10に記載の位相シフトマスクの製造方法によって製造された位相シフトマスクを用い、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
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