JP2019148789A - 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスクの製造方法、及び表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、パターンの精密度を向上させることを目的として、位相反転膜104が、同一のエッチング溶液にエッチング可能な互いに異なる組成の膜からなり、異なる組成の各膜がそれぞれ1回以上積層された少なくとも2層以上の多層膜又は連続膜の形態で形成してなる位相反転ブランクマスク及びフォトマスクが開示されている。
前記位相シフトマスクブランクは、前記エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版であって、
前記位相シフト膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有し、酸素の含有率が5原子%以上70原子%以下であり、
前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、前記酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、
前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。
前記位相シフトマスクブランクの上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターンを形成し、該レジスト膜パターンをマスクとして、ウェットエッチングにより前記エッチングマスク膜をパターニングして、前記エッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする、位相シフトマスクの製造方法。
実施の形態1では、位相シフトマスクブランクについて説明する。この位相シフトマスクブランクは、エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をウェットエッチングにより透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版である。
図1に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30と、位相シフト膜30上に形成されたエッチングマスク膜40とを備える。
遷移金属シリサイド系材料としては、例えば、遷移金属シリサイドの酸化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化物、遷移金属シリサイドの酸化炭化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化炭化物が挙げられる。また、遷移金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)、ジルコニウムシリサイド系材料(ZrSi系材料)、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料(MoZrSi系材料)であると、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状が得られやすいという点で好ましい。
位相シフト膜30は、透明基板20側から入射する光に対する反射率(以下、裏面反射率と記載する場合がある)を調整する機能と、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能とを有する。
位相シフト膜30は、スパッタリング法により形成することができる。
位相シフト膜30の透過率は、位相シフト膜30に含まれる遷移金属とケイ素の原子比率で調節することができる。位相シフト膜30の透過率を上記透過率とするために、遷移金属とケイ素の原子比率は、1:1以上1:15以下となるように構成している。位相シフト膜30の耐薬性(洗浄耐性)を高めるために、遷移金属とケイ素の原子比率は、1:2以上1:15以下が好ましく、さらに好ましくは、1:4以上1:10以下がさらに望ましい。
透過率は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
位相差は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
また、位相シフト膜30に含まれる窒素や酸素の軽元素については、位相シフト膜30の膜厚方向において均一に含まれていても、また、段階的または連続的に、増加または減少していても良い。なお、上記窒素の含有率および酸素の含有率は、位相シフト膜30の膜厚の50%以上の領域において、上述した所定の含有率となっていることが好ましい。
また、位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30は、耐薬性(洗浄耐性)の高いことが要求される。この位相シフト膜30の耐薬性(洗浄耐性)を高めるために、膜密度を高めると効果的である。位相シフト膜30の膜密度と膜応力は相関があり、耐薬性(洗浄耐性)を考慮すると、位相シフト膜30の膜応力は、高い方が好ましい。一方で、位相シフト膜30の膜応力は、位相シフト膜パターンを形成したときの位置ずれや、位相シフト膜パターンの喪失を考慮する必要がある。以上の観点から位相シフト膜30の膜応力は、0.2GPa以上0.8GPa以下が好ましく、0.4GPa以上0.8GPa以下であることがさらに好ましい。
エッチングマスク膜40は、スパッタリング法により形成することができる。
光学濃度は、分光光度計もしくはODメーターなどを用いて測定することができる。
そして、位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であるように構成している。この界面は、位相シフトマスクブランク10をX線光電子分光法により組成分析を行ったときに、位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置とする。
位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率は、3.0以下であることが求められ、2.8以下であることが好ましく、さらに好ましくは、2.5以下、より一層好ましくは、2.0以下であることが望ましい。なお、位相シフト膜30と組成傾斜領域との膜質連続性の観点から、上記ケイ素に対する酸素の含有比率は、0.3以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5以上であることが好ましい。
以下、各工程を詳細に説明する。
先ず、透明基板20を準備する。透明基板20は、露光光に対して透明であれば、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO2−TiO2ガラス等)などのいずれのガラス材料で構成されるものであってもよい。
位相シフト膜30の成膜は、位相シフト膜30を構成する材料の主成分となる遷移金属とケイ素を含むスパッタターゲット、又は遷移金属とケイ素と酸素及び/又は窒素を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、上記不活性ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。
遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有する遷移金属シリサイド材料からなる位相シフト膜30を形成した後の位相シフト膜30の表面は酸化されやすく、遷移金属の酸化物が生成されやすい。遷移金属の酸化物の存在によるエッチング液による浸み込みを抑制するため、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程を行う。
位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程としては、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法、アッシング等のドライ処理で表面処理する方法などが挙げられる。
後述するエッチングマスク膜形成工程の後、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域で、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、さらに、位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が3.0以下となれば、どのような表面処理工程を行っても構わない。
例えば、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法においては、酸性またはアルカリ性の水溶液の濃度、温度、時間を適宜調整することにより、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整することができる。酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法としては、透明基板20上に位相シフト膜30が形成された位相シフト膜付き基板を、上記水溶液に浸漬する方法や、位相シフト膜30上に上記水溶液を接触させる方法などが挙げられる。
3.エッチングマスク膜形成工程
位相シフト膜30の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理を行った後、スパッタリング法により、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を形成する。
このようにして、位相シフトマスクブランク10が得られる。
実施の形態2では、位相シフトマスクの製造方法について説明する。
図2に示す位相シフトマスクの製造方法は、図1に示す位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスクを製造する方法であり、以下の位相シフトマスクブランク10の上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターン50を形成し(第1のレジスト膜パターン形成工程)、該レジスト膜パターン50をマスクとして、ウェットエッチングによりエッチングマスク膜40をパターニングして、エッチングマスク膜パターン40aを形成する工程(第1のエッチングマスク膜パターン形成工程)と、該エッチングマスク膜パターン40aをマスクとして、位相シフト膜30をウェットエッチングにより透明基板20上に位相シフト膜パターン30aを形成する工程(位相シフト膜パターン形成工程)と、を含む。そして、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程とをさらに含む。
以下、各工程を詳細に説明する。
第1のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30に形成するパターンである。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図2(a)に示されるように、エッチングマスク膜40上に第1のレジスト膜パターン50を形成する。
第1のエッチングマスク膜パターン形成工程では、先ず、第1のレジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をエッチングして、第1のエッチングマスク膜パターン40aを形成する。エッチングマスク膜40は、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。エッチングマスク膜40をエッチングするエッチング液は、エッチングマスク膜40を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。具体的には、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、図2(b)に示されるように、第1のレジスト膜パターン50を剥離する。場合によっては、第1のレジスト膜パターン50を剥離せずに、次の位相シフト膜パターン形成工程を行ってもよい。
第1の位相シフト膜パターン形成工程では、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、図2(c)に示されるように、位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜パターン30aとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。位相シフト膜30をエッチングするエッチング液は、位相シフト膜30を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化水素アンモニウムと塩化水素とを含むエッチング液が挙げられる。
第2のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、第1のエッチングマスク膜パターン40aを覆うレジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30にパターンが形成されている領域の外周領域を遮光する遮光帯パターン、及び位相シフト膜パターンの中央部を遮光する遮光帯パターンである。なお、レジスト膜に描画するパターンは、露光光に対する位相シフト膜30の透過率によっては、位相シフト膜パターン30aの中央部を遮光する遮光帯パターンがないパターンの場合もある。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図2(d)に示されるように、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に第2のレジスト膜パターン60を形成する。
第2のエッチングマスク膜パターン形成工程では、第2のレジスト膜パターン60をマスクにして第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングして、図2(e)に示されるように、第2のエッチングマスク膜パターン40bを形成する。第1のエッチングマスク膜パターン40aは、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングするエッチング液は、第1のエッチングマスク膜パターン40aを選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第2のレジスト膜パターン60を剥離する。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
なお、上記説明ではエッチングマスク膜40が、露光光の透過を遮る機能を有する場合について説明したが、エッチングマスク膜40が単に、位相シフト膜30をエッチングする際のハードマスクの機能のみを有する場合においては、上記説明において、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程は行われず、位相シフト膜パターン形成工程の後、第1のエッチングマスク膜パターンを剥離して、位相シフトマスク100を作製する。
実施の形態3では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、上述した位相シフトマスクブランク10を用いて製造された位相シフトマスク100を用い、または上述した位相シフトマスク100の製造方法によって製造された位相シフトマスク100を用いる工程(マスク載置工程)と、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程(パターン転写工程)とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
載置工程では、実施の形態2で製造された位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する。ここで、位相シフトマスクは、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
パターン転写工程では、位相シフトマスク100に露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する。露光光は、365nm〜436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、365nm〜436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、先ず、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、まず、第1チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、二酸化炭素ガス(CO2)、窒素(N2)ガスとの混合ガス(Ar:20sccm、CO2:10sccm、N2:20sccm)を導入し、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:4)に6.0kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素と炭素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化炭化物を堆積させた。そして、膜厚202nmの位相シフト膜30を成膜した。また、透明基板20に位相シフト膜30を形成した後、チャンバーから取り出して、位相シフト膜30の表面を、アルカリ系水溶液で位相シフト膜30の表面処理を行った。なお、表面処理条件は、アルカリ濃度0.7%、温度30度、表面処理時間1200秒とした。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、位相シフト膜30につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.46GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、図7は、実施例1と比較例1の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向のO/Siの比(ケイ素に対する酸素の含有比率)を示す図である。図7に示されるように、実施例1の位相シフトマスクブランクは、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が2.0であり、3.0以下であった。この界面は、位相シフトマスクブランク10をエッチングマスク膜40側からX線光電子分光法により組成分析を行ったときに、位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属(この場合はモリブデン)の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置とする。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスク100を製造するため、先ず、位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、エッチングマスク膜上に、ラインパターンの幅が1.8μmおよびスペースパターンの幅が1.8μmのラインアンドスペースパターンのレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンを剥離した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に、遮光帯を形成するための第2のレジスト膜パターン60を形成した。
その後、第2のレジスト膜パターン60を剥離した。
加えて、実施例1の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、53度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を上回るものであった。したがって、実施例1の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することが可能である。
CDばらつきは0.096μmと良好であった。
このため、実施例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例2の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.21GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、図10は、実施例2と実施例3の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向のO/Siの比(ケイ素に対する酸素の含有比率)を示す図である。図10に示されるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が2.0であり、3.0以下であった。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図9は実施例2の位相シフトマスクの断面写真である。
また、CDばらつきは0.092μmと良好であった。
加えて、実施例2の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、74度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を上回るものであった。したがって、実施例2の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することが可能である。
このため、実施例2の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例3の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、先ず、インライン型スパッタリング装置の第1チャンバー内を所定の真空度にした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、ヘリウム(He)ガスと、窒素(N2)ガスと、一酸化窒素ガス(NO)との混合ガス(Ar:18sccm、He:50sccm、N2:13sccm、NO:4sccm)を導入し、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に7.6kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化物を堆積させた。そして、膜厚140nmの位相シフト膜30を成膜した。そして、透明基板20に位相シフト膜30を形成した後、チャンバーから取り出して、実施例1と同じ条件にて、位相シフト膜30の表面を、アルカリ系水溶液で位相シフト膜30の表面処理を行った。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.26GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、得られた位相シフトマスクブランク10について、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の組成分析を行った。図11は実施例3の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる深さ方向の組成分析結果を示す。図11は、位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜30側のエッチングマスク膜40と、位相シフト膜30の組成分析結果を示している。図11の横軸はエッチングマスク膜40の最表面を基準とした位相シフトマスクブランク10のSiO2換算の深さ(nm)を示し、縦軸は含有率(原子%)を示している。図8において、各曲線は、ケイ素(Si)、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)の含有率変化をそれぞれ示している。
また、図10に示されるように、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が2.4であり、3.0以下であった。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図12は実施例3の位相シフトマスクの断面写真である。
また、CDばらつきは、0.094μmと良好であった。
加えて、実施例3の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、79度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を上回るものであった。したがって、実施例2の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することが可能である。
このため、実施例2の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
比較例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。第1スパッタターゲット、第2スパッタターゲット、第3スパッタターゲット、第4スパッタターゲットとして、実施例1と同じスパッタターゲット材料を用いた。
そして、透明基板に位相シフト膜を形成した後、チャンバーから取り出して、位相シフト膜の表面を、純水で洗浄を行った。純水洗浄条件は、温度30度、表面処理時間300秒とした。
その後、実施例1と同じ方法により、エッチングマスク膜を成膜した。
このようにして、透明基板上に、位相シフト膜とエッチングマスク膜とが形成された位相シフトマスクブランクを得た。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.46GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量、位相差変化量ともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、図7に示されるように、位相シフト膜とエッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率の最大値が6.4であり、3.0を上回る領域が存在していた。なお、エッチングマスク膜40に起因するクロム(Cr)が消失してから透明基板20に起因する酸素(O)ピークが出現するまでの位相シフト膜30の組成均一領域でのモリブデン、ケイ素、窒素、酸素、炭素の含有率は、実施例1とほぼ同じであった。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図6は比較例1の位相シフトマスクの断面写真である。
また、CDばらつきは0.230μmであった。
なお、比較例1の位相シフト膜パターンの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、5度であり、オーバーエッチングにより断面制御を行うことが可能とされる下限の45度を下回るものであった。したがって、比較例1の位相シフト膜パターンを形成するに際し、オーバーエッチングを行うことにより、さらに断面形状を垂直化することは期待できない。
このため、比較例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを転写することはできないことが予想される。
これらの点や、組成均一領域における実施例1及び比較例1の組成が略同一であること等を考慮すると、位相シフト膜とエッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域におけるケイ素に対する酸素の含有比率が3.0以下であることが、位相シフト効果を十分に発揮できる断面形状に位相シフト膜をパターニング可能な透過率の高い位相シフトマスクブランクを得るために重要な要素であると言える。
また、上述の実施例では、表示装置製造用の位相シフトマスクブランクや、表示装置製造用の位相シフトマスクの例を説明したが、これに限られない。本発明の位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクは、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用等にも適用できる。
また、上述の実施例では、透明基板のサイズが、8092サイズ(800mm×920mm×10mm)の例を説明したが、これに限られない。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクの場合、大型(Large Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが、300mm以上である。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、330mm×450mm以上2280mm×3130mm以下である。
また、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用の位相シフトマスクブランクの場合、小型(Small Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが9インチ以下である。上記用途の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、63.1mm×63.1mm以上228.6mm×228.6mm以下である。通常、半導体製造用、MEMS製造用は、6025サイズ(152mm×152mm)や5009サイズ(126.6mm×126.6mm)が使用され、プリント基板用は、7012サイズ(177.4mm×177.4mm)や、9012サイズ(228.6mm×228.6mm)が使用される。
30a…位相シフト膜パターン、40…エッチングマスク膜、
40a…第1のエッチングマスク膜パターン、
40b…第2のエッチングマスク膜パターン、50…第1のレジスト膜パターン、
60…第2のレジスト膜パターン、100…位相シフトマスク
Claims (11)
- 透明基板上に位相シフト膜と、該位相シフト膜上にエッチングマスク膜とを有する位相シフトマスクブランクであって、
前記位相シフトマスクブランクは、前記エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版であって、
前記位相シフト膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有し、酸素の含有率が5原子%以上70原子%以下であり、
前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域では、前記酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、
前記位相シフト膜と前記エッチングマスク膜との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であることを特徴とする位相シフトマスクブランク。 - 前記位相シフト膜は、複数の層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、単一の層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、窒素を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、窒素の含有率が2原子%以上60原子%以下であることを特徴とする請求項4記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記位相シフト膜の膜応力は、0.2GPa以上0.8GPa以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記エッチングマスク膜は、クロム系材料から構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記エッチングマスク膜は、窒素、酸素、炭素の少なくともいずれか1つを含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記透明基板は矩形状の基板であって、該透明基板の短辺の長さは300mm以上であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランク。
- 請求項1から9のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクを準備する工程と、
前記位相シフトマスクブランクの上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターンを形成し、該レジスト膜パターンをマスクとして、ウェットエッチングにより前記エッチングマスク膜をパターニングして、前記エッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、前記位相シフト膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に位相シフト膜パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする、位相シフトマスクの製造方法。 - 請求項1から9のいずれか1つに記載の位相シフトマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクを用い、または請求項10に記載の位相シフトマスクの製造方法によって製造された位相シフトマスクを用い、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
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