以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る給排型換気装置1について説明する。図1は、給排型換気装置1を概略的に示す概略図である。給排型換気装置1は、箱形の筐体2(本体)の側面に室外側吹出口4及び室外側吸込口5を有し、また、この側面に対向した側面に室内側吸込口6及び室内側吹出口7を設けている。
また、給排型換気装置1は、室外側吸込口5と室内側吹出口7とを連通する給気風路8と、室内側吸込口6と室外側吹出口4とを連通する排気風路9とを備えている。室外側吸込口5から導入される新鮮な屋外空気(外気、給気空気)と、室内側吸込口6から導入される汚染された室内空気(排気空気)は、給気ファン12と排気ファン13との運転によりそれぞれ給気風路8と排気風路9とを流れる。
給気ファン12は、本発明の給気部を構成し、室外側吸込口5から吸い込んだ給気空気を、給気風路8を通して室内側吹出口7へ導くものである。室内側吹出口7へ導かれた空気は室内へ供給される。一方、排気ファン13は、本発明の排気部を構成し、室内側吸込口6から吸い込んだ排気空気を、排気風路9を通して室外側吹出口4へ導くものである。室外側吹出口4へ導かれた空気は、室外に排気される。
給気風路8と排気風路9とが交差する位置には、熱交換素子14が配置される。熱交換素子14は、本発明の熱交換部を構成するものであり、給気風路8を通過する給気空気と、排気風路9を通過する排気空気との間で全熱交換方式による熱交換を行う。熱交換素子14により、排気される空気の全熱(温度及び湿度)が給気される空気に供給される、または、給気される空気の全熱が排気される空気に供給される。
給気風路8において熱交換素子14よりも室外側吸込口5側に室外側温湿度センサ17が配設され、排気風路9において熱交換素子14よりも室内側吸込口6側に第1室内側温湿度センサ16が配設されている。室外側温湿度センサ17は、室外側吸込口5から吸い込まれる給気空気(屋外空気)の温度と湿度とを検出する。第1室内側温湿度センサ16は、室内側吸込口6から吸い込まれる排気空気(室内空気)の温度と湿度とを検出する。
また、給気風路8において熱交換素子14よりも室内側吹出口7側に加湿ユニット15が配設される。加湿ユニット15は、本発明の加湿部を構成するものであり、室外側吸込口5から吸い込んだ給気空気を加湿する。即ち、室内側吹出口7からはこの加湿ユニット15により加湿された給気空気が室内へ供給される。給排型換気装置1は、加湿ユニット15における加湿量を制御することにより、室内湿度が室内における目標とする湿度である目標湿度となるように制御する。
ここで、本実施形態における加湿ユニット15は、例えば遠心破砕方式によって破砕した水を空気に散布する水破砕式加湿ユニットである。水破砕式加湿ユニットは、破砕する水の量を調整することで、加湿量の調整を容易に行うことができる。
給排型換気装置1の内部または外部には、給排型換気装置1の動作を制御する制御部20が設けられている。制御部20は、例えば、給気ファン12の給気モータや排気ファン13の排気モータの電流及び/又は回転数を制御する。すなわち、給気モータ及び排気モータには例えばDCモータが利用可能である。また、制御部20は、加湿量制御部21と目標温湿度記憶部22(第1記憶部に該当)を備えている。目標温湿度記憶部22は、室内における目標湿度及び目標温度を記憶する。加湿量制御部21は、図2を参照して後述する加湿制御処理を実行することにより、室内湿度が目標温湿度記憶部22に記憶された目標湿度となるように、加湿ユニット15による加湿量を制御する。
次いで、図2を参照して加湿量制御部21にて実行される加湿制御処理について説明する。図2は、その加湿制御処理を示すフローチャートである。この加湿制御処理では、所定時間T後の室内における湿度を予測し、その予測結果と目標湿度との比較結果に基づいて加湿ユニット15による加湿量を制御する処理を、前記所定時間Tが経過する毎に実行する。
具体的には、加湿制御処理の実行が開始されると、まず、現在の風量・温湿度のおける家全体の気体中の水分量W_NOW(単位:g)と、目標とする温湿度における家全体の気体中の水分量W_TARGET(単位:g)とを次の式(1)及び式(2)により算出する(S1)。
W_NOW=Q×2×a(TH(RA))×RH(RA)/100・・・(1)
W_TARGET=Q×2×a(TH(RA_TARGET))×RH(RA_TARGET)/100・・・(2)
ここで、Q(単位:m3/h)は、給排型換気装置1が家全体を0.5回換気するために予め設定された設定換気風量である。即ち、設定換気風量Qで給排型換気装置1を2時間運転すると、家全体の換気が完了する。よって、設定換気風量Qに2(時間)を乗ずることで、家全体の体積を算出できる。なお、家全体の体積はあらかじめ制御部20に記憶されていてもよいし、例えば入力手段を介して使用者が設定できるようにしてもよい。
また、TH(RA)は、第1室内側温湿度センサ16により検出された室内側吸込口6から吸い込まれる室内空気(RA)の現在の温度(単位:℃)であり、a(TH(RA))は、その室内空気(RA)の現在の温度における飽和水蒸気量(単位:g/m3)である。RH(RA)は、第1室内側温湿度センサ16により検出された室内側吸込口6から吸い込まれる室内空気(RA)の現在の相対湿度(単位:%)である。また、TH(RA_TARGET)は、室内空気(RA)における目標とする温度(目標温度、単位:℃)であり、a(TH(RA_TARGET))は、目標温度における飽和水蒸気量(単位:g/m3)である。RH(RA_TARGET)は、目標温湿度記憶部22に記憶された室内空気(RA)における目標湿度(単位:%)である。
次いで、加湿制御処理では、家全体の流入・流出水分量を計算して、所定時間T後の家全体の水分量W_NEXT(推定値)を計算する(S2)。家全体の流入・流出水分量の計算では、まず、単位時間(ここでは、1時間)当たりに室内側吸込口6から吸い込まれる室内空気(RA)より流出する水分量OUT_RA(単位:g/h)を次の(3)式により計算する。また、家全体の流入・流出水分量の計算では、単位時間当たりに室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)により流入する水分量IN_SA(単位:g/h)を次の(4)式により計算する。
さらに、家全体の流入・流出水分量の計算では、単位時間当たりに相当隙間面積(C値)による流出入水分量INOUT_C(単位:g/h)を次の(5)式又は(6)式により計算する。具体的には、室内空気(RA)の温度TH(RA)が屋外空気(OA)の温度TH(OA)よりも高い場合、即ち、空気が室外へ流出する場合は、INOUT_Cを(5)式により計算する。一方、室内空気(RA)の温度TH(RA)が屋外空気(OA)の温度TH(OA)よりも低い場合、即ち、空気が室内へ流入する場合は、INOUT_Cを(6)式により計算する。
OUT_RA=Q_OUT×a(TH(RA))×RH(RA)/100・・・(3)
IN_SA=Q_IN×a(TH(SA))×RH(SA)/100・・・(4)
INOUT_C=C(TH(RA))×a(TH(RA))×RH(RA)/100・・・(5)
INOUT_C=C(TH(OA))×a(TH(OA))×RH(OA)/100・・・(6)
ここで、Q_OUTは、排気風路9により排気される風量である排気風量(単位:m3/h)であり、Q_INは、給気風路8により給気される風量である給気風量(単位:m3/h)である。また、TH(SA)は、室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の現在の温度(単位:℃)であり、a(TH(SA))は、その給気空気(SA)の現在の温度における飽和水蒸気量(単位:g/m3)である。RH(SA)は、室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の現在の湿度(単位:%)である。
また、C(TH(RA))は、その絶対値が、第1室内側温湿度センサ16により検出された室内空気(RA)の現在の温度において相当隙間面積(C値)により室外へ流出する風量(単位:m3/h)であり、負の値とされる。また、TH(OA)は、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる屋外空気(OA)の現在の温度(単位:℃)である。C(TH(RA))は、その絶対値が、屋外空気(OA)の現在の温度において相当隙間面積(C値)により室内へ流入する風量(単位:m3/h)であり、正の値とされる。a(TH(RA))は、屋外空気(OA)の現在の温度における飽和水蒸気量(単位:g/m3)である。RH(OA)は、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる屋外空気(OA)の現在の相対湿度(単位:%)である。
なお、S2の処理では、単位時間当たりに流入する水分量の計算において、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる屋外空気(OA)の現在の温湿度を用いるのではなく、室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の現在の温湿度を用いている。これは、熱交換素子14において、給気空気と排気空気との間で温度及び湿度の交換が行われるため、実際に室内に給気される空気の温湿度とは、室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の現在の温湿度となるからである。
一方で、給排型換気装置1は、給気風路8において熱交換素子14よりも室内側吹出口7側に温湿度を検出するためのセンサを設けていない。S2の処理では、熱交換素子14の温度交換率ηTと湿度交換率ηHとを用いて、室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の現在の温度TH(SA)と湿度RH(SA)とを、次の式(7)及び式(8)から計算する。
TH(SA)=(1−ηT)TH(OA)+ηT×TH(RA)・・・(7)
RH(SA)=(1−ηH)RH(OA)+ηH×RH(RA)・・・(8)
これにより、給気風路8において熱交換素子14よりも室内側吹出口7側に温湿度を検出するためのセンサを設けなくても、第1室内側温湿度センサ16と室外側温湿度センサ17とを設けるだけで、室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の現在の温湿度を得ることができるので、給排型換気装置1のコストの増加を抑えることができる。
なお、給排型換気装置1において、熱交換素子14は必ずしも設けられていなくてもよく、この場合、単位時間当たりに流入する水分量の計算は、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる屋外空気(OA)の現在の温湿度を用いて行ってもよい。
所定時間T後の家全体の水分量W_NEXTは、S1の処理により算出した現在の家全体の水分量W_NOWと、S2の処理にて算出した単位時間当たりの家全体の流入・流出水分量OUT_RA,IN_SA,INOUT_Cとに基づいて、次の(9)式により計算する。
W_NEXT=W_NOW+(IN_SA−OUT_RA+INOUT_C)×T・・・(9)
次いで、加湿制御処理では、内乱・外乱判定処理を実行する(S101)。この内乱・外乱判定処理の詳細については図4を参照して後述する。
次いで、加湿制御処理では、S1の処理により算出した現在の家全体の水分量W_NOWと、目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETとを比較する(S3)。その結果、現在の家の水分量W_NOWが目標の家全体の水分量W_TARGET以上の場合は(S3:No)、加湿ユニット15の加湿をオフするか、又は、加湿量を低減する(S6)。そして、所定時間T経過後に、S1の処理に戻り、再びS1からの処理を実行する。
一方、S3の処理の結果、現在の家の水分量W_NOWが目標の家全体の水分量W_TARGET未満の場合は(S3:Yes)、次いで、S2の処理により算出された所定時間T後の家全体の水分量W_NEXTと、S1の処理により算出された目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETとを比較する(S4)。その結果、所定時間T後の家の水分量W_NEXTが目標の家全体の水分量W_TARGET以上の場合は(S4:No)、加湿ユニット15の加湿をオフするか、又は、加湿量を低減する(S7)。そして、所定時間T経過後に、S1の処理に戻り、再びS1からの処理を実行する。
一方、S4の処理の結果、所定時間T後の家の水分量W_NEXTが目標の家全体の水分量W_TARGET未満の場合は(S3:No)、加湿ユニット15の加湿をオンするか、又は、加湿量を増加する(S5)。そして、所定時間T経過後に、S1の処理に戻り、再びS1からの処理を実行する。
なお、S5、S6及びS7の処理において増減させる加湿ユニット15の加湿量H(単位:g/h)は、次の(9)式により算出する。
H=((W_TARGET−W_NOW)−(IN_SA−OUT_RA+INOUT_C)×T)/T・・・(10)
ここで、(10)式にて算出した加湿量Hがゼロ以下となる場合は、これ以上加湿すると目標湿度を超える可能性があることを意味するので、加湿ユニット15の加湿をオフする。また、(10)式にて算出した加湿量Hが、加湿ユニット15をフル運転させた場合の最大加湿量を超えた場合は、加湿ユニット15を最大加湿量でフル運転させる。
次に、図3を参照して、加湿量制御部21が図2に示す加湿制御処理を実行した場合の作用について説明する。図3は、所定時間T毎の室内空気(RA)の相対湿度及び屋外空気(OA)の水分量の変化と、加湿制御処理により所定時間T毎に決定した加湿ユニット15の加湿量と、各所定時間Tにおいて決定した加湿ユニット15の加湿量によって推定される室内空気(RA)の湿度(推定湿度)の変化とを示した図である。
まず、図3(a)を参照して、時刻(i)における加湿制御処理の作用を説明する。時刻(i)では、現状の加湿量で加湿ユニット15を運転し続けると、室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度を超えるため、加湿量Hを低減させる。このとき、加湿量Hは、上記した(10)式により算出する。即ち、加湿量Hは、現時点での流入水分量及び流出水分量と目標湿度とに基づいて算出されるので、流入水分量及び流出水分量に大きな変化がない限り、所定時間T後には室内空気(RA)の湿度を目標湿度へ近づけることができる。
次いで、図3(b)を参照して、時刻(i)から所定時間T経過後の時刻(ii)における加湿制御処理の作用を説明する。図3(b)に示す例では、時刻(ii)において、屋外空気(OA)の水分量が時刻(i)よりも下がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度に到達していない。一方、時刻(i)で設定した加湿量Hで加湿ユニット15を運転し続けると、室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度を超えるため、加湿量Hを更に低減させる。この場合も加湿量Hは上記した(10)式により算出する。
次いで、図3(c)を参照して、時刻(ii)から所定時間T経過後の時刻(iii)における加湿制御処理の作用を説明する。図3(c)に示す例では、時刻(iii)において、屋外空気(OA)の水分量が時刻(ii)よりも更に下がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度に到達していない。一方、時刻(ii)で設定した加湿量Hで加湿ユニット15を運転し続けると、室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度に到達しないため、加湿量Hを増加させる。この場合も、加湿量Hは上記した(10)式により算出する。
次いで、図3(d)を参照して、時刻(iii)から所定時間T経過後の時刻(iv)における加湿制御処理の作用を説明する。図3(d)に示す例では、時刻(iv)において、屋外空気(OA)の水分量が時刻(ii)より上がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度を超えているので、加湿量Hを低減させる。この場合も、加湿量Hは上記した(10)式により算出する。
次いで、図3(e)を参照して、時刻(iv)から所定時間T経過後の時刻(v)における加湿制御処理の作用を説明する。図3(e)に示す例では、時刻(v)において、屋外空気(OA)の水分量が時刻(iv)よりも下がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度を下回っているので、加湿量Hを増加させる。この場合も、加湿量Hは上記した(10)式により算出する。
次いで、図3(f)を参照して、時刻(v)から所定時間T経過後の時刻(vi)における加湿制御処理の作用を説明する。図3(e)に示す例では、時刻(v)において、屋外空気(OA)の水分量が時刻(iv)よりも上がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度を超えているので、加湿量Hを増加させる。この場合も、加湿量Hは上記した(10)式により算出する。以後、所定時間Tが経過する毎に、加湿制御処理は、以上のような処理を繰り返す。
このように、第1実施形態に係る給排型換気装置1は、加湿量制御部21が加湿制御処理を実行することにより、室内空気(RA)への流入水分量及び流出水分量と、目標湿度とに基づいて、加湿ユニット15による加湿量Hを制御するので、室内空気の湿度制御を効率よく行い、室内空気の湿度を一定とすることができる。
また、家全体の湿度制御を行おうとした場合、家全体の体積が大きいため、加湿による湿度変動には多くの時間がかかる。よって、単に現時点の湿度に基づいて加湿量を変更すると、室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度を上回ってしまうおそれがある。これに対し、図2に示す加湿制御処理では、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積とに基づいて、所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)を予測する。そして、その予測結果と目標とする家全体の水分量(目標湿度)とを比較して、その比較結果に基づいて加湿量を変更することによって、室内空気(RA)の相対湿度を目標湿度に効率よく近づけることができる。特に、家全体の体積に基づいて加湿量が制御されるので、室内空気(RA)の相対湿度を目標湿度により確実に近づけることができる。
また、所定時間T毎に、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積とに基づいて、所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)を予測するので、屋外空気(OA)に含まれる水分量が変化しても、その変化を所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)の予測に反映させることができる。よって、屋外空気(OA)に含まれる水分量が変化しても、内空気(RA)の相対湿度が目標湿度から離れてしまうことを抑制できる。なお、所定時間Tは長すぎると、室内空気(RA)の相対湿度の応答性が悪くなる。よって、所定時間Tは10分〜1時間が好ましい。
また、加湿量の制御において、室内の相当隙間面積(C値)も考慮されるので、室内空気の相対湿度を精度よく目標湿度に近づけることができる。特に、相当隙間面積に関連して短時間当たりに室内に流入又は流出する水分変動量にも基づいて、所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)を予測するので、その水分量の予測を精度よく行うことができ、室内空気(RA)の相対湿度を目標湿度により効率よく近づけることができる。
更に、加湿量の制御において、熱交換素子14により交換された水分量をも考慮されるので、室内空気の相対湿度を精度よく目標湿度に近づけることができる。特に、熱交換素子14により交換された水分量にも基づいて、所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)を予測するので、その水分量の予測を精度よく行うことができ、室内空気(RA)の相対湿度を目標湿度により効率よく近づけることができる。
次に、図4及び図5を参照して、加湿量制御部21により実行される加湿制御処理の一処理である内乱・外乱判定処理(S101)の詳細について説明する。図4は、その内乱・外乱判定処理(S101)を示すフローチャートである。また、図5は、所定時間T毎の室内空気(RA)の相対湿度及び屋外空気(OA)の水分量の変化と、加湿制御処理により所定時間T毎に決定した加湿ユニット15の加湿量とを示した図である。
内乱・外乱判定処理(S101)では、室内空気(RA)の温湿度に対する内乱又は外乱の発生を判定し、内乱又は外乱が発生していると判定される場合は、対応する制御を実行する。ここで、内乱とは、屋内の特定室内における急な温湿度の変化を指し、床暖房のオン/オフ、扉や窓の開閉、洗濯物の部屋干し等の要因によって生ずるものである。また、外乱とは、屋外における急な温湿度の変化を指し、例えばゲリラ豪雨等の要因によって生ずるものである。
内乱・外乱判定処理(S101)では、まず、W_NEXT_PASTが、W_NOWとほぼ等しいか否かを判断する(S102)。ここで、W_NEXT_PASTは、所定時間T前に実行されたS2(図2)の処理で算出された、W_NEXTの値である。W_NEXTは、その算出が行われる時点から所定時間T後の家全体の水分量の推定値である。つまり、W_NEXT_PASTは、所定時間T前の時点で推定された現在の家全体の水分量の推定値である。一方、W_NOWは、S101の処理の直前に実行されたS1(図2)の処理にて算出された、現在の家全体の水分量である。S102では、W_NEXT_PASTが、W_NOWを中心として所定範囲に含まれる場合に、それらがほぼ等しいと判断する。
W_NEXT_PASTがW_NOWとほぼ等しいと判断される場合は(S102:Yes)、現在の家全体の水分量が、所定時間T前に推定された家全体の水分量となっているので、内乱や外乱はなかったと判定し、そのまま内乱・外乱判定処理(S101)を終了して、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
一方、W_NEXT_PASTがW_NOWと等しくないと判断される場合は(S102:No)、次いで、IN_SA_NOWが、IN_SA_PASTとほぼ等しいか否かを判断する(S103)。ここでIN_SA_NOWは、S101の処理の直前に実行されたS2(図2)の処理にて算出された、単位時間当たりに室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)により流入する水分量IN_SAの値(現在値)である。一方、IN_SA_PASTは、所定時間T前に実行されたS2(図2)の処理で算出された、単位時間当たりに室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)により流入する水分量IN_SAの値(過去値)である。S103では、IN_SA_NOWがIN_SA_PASTを中心として所定範囲に含まれる場合に、それらがほぼ等しいと判断する。
IN_SA_NOWがIN_SA_PASTとほぼ等しいと判断される場合は(S103:Yes)、図5(a)に示すように、屋外から給気される給気空気に含まれる水分量に大きな変化がない場合と判断できる。よってこの場合、W_NEXT_PASTとW_NOWとの相違は、屋内の特定室内における急な温湿度の変化に伴う内乱によるものであると判定し、その内乱に対する特定の制御を行う(S104)。そして、S104の処理後、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3の処理へ移行する。S105の内乱に対する特定の制御としては、一時的に換気風量の増加を行うことで、家全体の使途度をより早く一定にする制御が例示される。この風量変更を実施後は、0.5回換気となるように風量を調整する構成としてもよい。
一方、S103の処理の結果、IN_SA_NOWがIN_SA_PASTと等しくないと判断される場合は(S103:No)、図5(b)に示すように、屋外から給気される給気空気に含まれる水分量に大きな変化があった場合と判断できる。よってこの場合、W_NEXT_PASTとW_NOWとの相違は、屋外における急な温湿度の変化に伴う外乱によるものであると判定し、その外乱に対する特定の制御を行う(S105)。そして、S105の処理後、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3の処理へ移行する。S105の外乱に対する特定の制御としては、一時的に換気風量を低減することで室外からの温湿度の影響を緩和する制御が例示される。この風量変更を実施後は、0.5回換気となるように風量を調整する構成としてもよい。
なお、本実施形態の給排型換気装置1は熱交換素子14を設けており、熱交換素子14にて水分も交換される。そのため、S103の処理では、室内空気に流入する単位時間当たりの水分量(IN_SA)として、熱交換素子14を通過した後の室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)の温湿度に基づいて算出したものを用いている。ただし、上述した通り、給排型換気装置1において熱交換素子14は必ずしも設けられていなくてもよく、この場合、S103の処理は、室内空気に流入する単位時間当たりの水分量として、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる屋外空気(OA)の現在の温湿度に基づいて算出したもの用いてもよい。
なお、内乱の判定は、S103の処理に代えて、特定室内における急激な乾燥や湿りを検知することで判断してもよい。また、外乱の判定は、S103の処理に代えて、外気の急激な乾燥・湿りを検知してもよい。
(第2実施形態)
次いで、図6及び図7を参照して第2実施形態に係る給排型換気装置1について説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1は、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積とに基づいて、所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)を予測し、その予測結果と目標とする家全体の水分量(目標湿度)とを比較して、その比較結果に基づいて加湿量を変更した。これに対し、第2実施形態に係る給排型換気装置1は、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積と、目標湿度に基づいて、室内空気(RA)の湿度が目標湿度に到達する到達時間を予測し、その予測した到達時間に基づいて加湿部を制御する。
以下、第2実施形態に係る給排型換気装置1について、第1実施形態に係る給排型換気装置1と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
図6は、第2実施形態に係る給排型換気装置1の加湿量制御部21により実行される加湿制御処理を示すフローチャートである。
この加湿制御処理では、まず、現在の風量・温湿度のおける家全体の水分量W_NOW(単位:g)と、目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGET(単位:g)とを第1実施形態と同様に上記の式(1)及び式(2)により算出する(S11)。
次いで、加湿制御処理では、家全体の流入・流出水分量を計算する(S2)。具体的には、S2の処理では、単位時間(ここでは、1時間)当たりに室内側吸込口6から吸い込まれる室内空気(RA)より流出する水分量OUT_RA(単位:g/h)を第1実施形態と同様に上記の(3)式により計算する。また、S2の処理では、単位時間当たりに室内側吹出口7から吹出される給気空気(SA)により流入する水分量IN_SA(単位:g/h)を第1実施形態と同様に上記の(4)式により計算する。さらに、S2の処理では、単位時間当たりに相当隙間面積(C値)による流出入水分量INOUT_C(単位:g/h)を第1実施形態と同様に上記の(5)式又は(6)式により計算する。
なお、給排型換気装置1において、熱交換素子14は必ずしも設けられていなくてもよく、この場合、単位時間当たりに流入する水分量の計算は、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる屋外空気(OA)の現在の温湿度を用いて行ってもよい。
次いで、加湿制御処理では、S11の処理により算出した現在の家全体の水分量W_NOWと、目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETとを比較する(S13)。その結果、現在の家の水分量W_NOWが目標の家全体の水分量W_TARGET未満の場合は(S13:Yes)、加湿ユニット15が最大加湿量でフル運転となるように制御する(S14)。
そして、目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETに到達するまでの到達時間T_TARGETを次の(11)式により算出(予測)し、その算出したT_TARGET時間、加湿ユニット15を最大加湿量でフル運転させる(S15)。
T_TARGET=(W_TARGET−W_NOW)/(IN_SA−OUT_RA+INOUT_C+H)・・・(11)
ここで、Hは、S14の処理又は後述のS16の処理により制御された加湿ユニット15における加湿量である。
T_TARGET時間が経過するとS11の処理に戻る。
一方、S13の処理の結果、現在の家の水分量W_NOWが目標の家全体の水分量W_TARGET以上の場合は(S13:No)、加湿ユニット15における加湿量をゼロにするか、または、加湿運転そのものを停止させる制御を行う(S16)。
そして、目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETに到達するまでの到達時間T_TARGETを上記の(11)式により算出(予測)し、その算出したT_TARGET時間、加湿ユニット15を加湿量ゼロで運転させるか停止させたままとする(S17)。そして、T_TARGET時間が経過するとS11の処理に戻る。
なお、S17の処理により算出した時間T_TARGETが負の値となることがある。これは、給気空気(SA)からの流入水分量IN_SAが多いためであり、この場合は加湿ユニット15における加湿量をゼロにしても、現在の家の水分量を目標の水分量に落とすことは制御的に困難である。よって、この場合は、予め定められた所定時間経過した後に、S11の処理へ戻る。
次に、図7を参照して、加湿量制御部21が図6に示す加湿制御処理を実行した場合の作用について説明する。図7は、この場合の室内空気(RA)の相対湿度及び屋外空気(OA)の水分量の変化と、加湿制御処理により決定した加湿ユニット15の加湿量と、決定した加湿ユニット15の加湿量によって推定される室内空気(RA)の湿度(推定湿度)の変化とを示した図である。
まず、図7(a)を参照して、時刻(i)における加湿制御処理の作用を説明する。時刻(i)では、現在の室内の相対湿度に相当する家の水分量W_NOWが目標湿度に相当する目標の家全体の水分量W_TARGET未満となっている。この場合、加湿ユニット15が最大加湿量でフル運転されるように制御される。そして、最大加湿量で加湿された場合に目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETに到達するまでの時間T_TARGET(i)が算出され、そのT_TARGET(i)時間、加湿ユニット15が最大加湿量でフル運転される。これにより、流入水分量及び流出水分量に大きな変化がない限り、T_TARGET(i)時間後には目標湿度へ近づけることができ、目標湿度まで最短時間で到達が可能となる。
次いで、図7(b)を参照して、時刻(i)からT_TARGET(i)時間経過後の時刻(ii)における加湿制御処理の作用を説明する。図7(b)に示す例では、時刻(i)から時刻(ii)までの間に屋外空気(OA)の水分量が下がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度に到達していない。そこで、引き続き加湿ユニット15が最大加湿量でフル運転されるように制御される。そして、最大加湿量で加湿された場合に目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETに到達するまでの時間T_TARGET(ii)が算出され、そのT_TARGET(ii)時間、加湿ユニット15が最大加湿量でフル運転される。
次いで、図7(c)を参照して、時刻(ii)からT_TARGET(ii)時間経過後の時刻(iii)における加湿制御処理の作用を説明する。図7(c)に示す例では、時刻(ii)から時刻(iii)までの間に屋外空気(OA)の水分量が上がったため、結果として室内空気(RA)の相対湿度が目標湿度よりも高くなっている。そこで、加湿ユニット15が加湿量ゼロで運転、又は、加湿ユニット15の加湿が停止されるように制御される。そして、加湿量ゼロで加湿又は加湿停止された場合に目標とする温湿度における家全体の水分量W_TARGETに到達するまでの時間T_TARGET(iii)が算出され、そのT_TARGET(iii)時間、即ち、時刻(iv)となるまで、加湿ユニット15が加湿量ゼロで運転、又は、加湿ユニット15が停止される。以後、加湿制御処理は、以上のような処理を繰り返す。
このように、第2実施形態に係る給排型換気装置1は、加湿量制御部21が加湿制御処理を実行することにより、室内空気(RA)への流入水分量及び流出水分量と、目標湿度とに基づいて、加湿ユニット15による加湿量Hを制御するので、室内空気の湿度制御を効率よく行い、室内空気の湿度を一定とすることができる。
また、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積と、目標湿度とに基づいて、室内空気(RA)の湿度が目標湿度に到達する到達時間が予測され、その予測された到達時間に基づいて加湿部が制御されるので、目標湿度まで最短時間で到達が可能となる。なお、屋外空気(OA)に含まれる水分量が大きく変化した場合、予測された到達時間経過後の室内空気(RA)の湿度が目標湿度から大きくずれる可能性がある。そのため、予測された到達時間の半分又は1/4等の時間が経過すると、改めて目標湿度までの到達時間を算出(予測)して、加湿ユニット15を制御するようにしてもよい。これにより、加湿制御を細かく行うことができるので、精度良い制御を行うことができる。
また、加湿量の制御において、室内の相当隙間面積(C値)も考慮されるので、室内空気の相対湿度を精度よく目標湿度に近づけることができる。特に、相当隙間面積に関連して短時間当たりに室内に流入又は流出する水分変動量にも基づいて、目標湿度への到達時間を予測するので、その予測を精度よく行うことができる。よって、室内空気(RA)の相対湿度を目標湿度により効率よく近づけることができる。
更に、加湿量の制御において、熱交換素子14により交換された水分量をも考慮されるので、室内空気の相対湿度を精度よく目標湿度に近づけることができる。特に、熱交換素子14により交換された水分量にも基づいて、目標湿度への到達時間を予測するので、その予測を精度よく行うことができる。よって、室内空気(RA)の相対湿度を目標湿度により効率よく近づけることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
例えば、第2実施形態では、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積と、目標湿度に基づいて、室内空気(RA)の湿度が目標湿度に到達する到達時間を予測し、その予測した到達時間に基づいて加湿部を制御する場合について説明した。しかしながら、この場合、室内空気(RA)の湿度が目標湿度に近くなると、室内空気(RA)の湿度が目標湿度に到達するまでの到達時間(予測時間)が短くなり、過剰頻度で加湿ユニット15の加湿量の制御が行われることとなる。
そこで、室内空気(RA)の湿度が目標湿度に到達するまでの到達時間(予測時間)が所定時間Tよりも短い場合は、第1実施形態と同様の加湿量の制御、即ち、単位時間当たりの流入水分量と、単位時間当たりの流出水分量と、室内の体積とに基づいて、所定時間T後の家全体の水分量(室内空気の湿度)を予測し、その予測結果と目標とする家全体の水分量(目標湿度)とを比較して、その比較結果に基づいて加湿量を変更するようにしてもよい。これにより、室内空気(RA)の湿度が目標湿度と大きく異なっている場合は、第2実施形態と同様の加湿量の制御を行うことで、早く湿度の調整を行うことができる。一方、室内空気(RA)の湿度が目標湿度と大きく異なっている場合は、第1実施形態と同様の加湿量の制御を行うことで、所定時間T毎に加湿量の制御が行われることになり、過剰頻度での加湿量の制御を抑制できる。
(第3実施形態)
次いで、図8及び図9及び図10を参照して第3実施形態に係る給排型換気装置1について説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1は、内乱・外乱判定処理の判定結果に基づいて、換気風量のみを制御する。これに対し、第3実施形態に係る給排型換気装置1は、換気風路及び換気風量を制御する。
以下、第3実施形態に係る給排型換気装置1について、第1実施形態に係る給排型換気装置1と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
図8に示すように、排気風路9上に風路切替ダンパ23が設けられる。
加湿量制御部21は、第1実施形態の図1の構成に加え、湿度予測部に基づき算出された過去予測水分量を記憶する第2記憶部と、過去に流入水分量算出部に基づき算出された過去流入水分量を記憶する第3記憶部とを備える。
風路切替ダンパ23により、排気風路9を、熱交換素子14を経由しないバイパス風路24に切り替えることができる。
また、図9に示すように、給気風路8上に風路切替ダンパ23を設けてもよい。この場合、風路切替ダンパ23により、給気風路8を、熱交換素子14を経由しないバイパス風路24に切り替えることができる。
本実施形態の給排型換気装置1は、熱交換部(熱交換素子14)で熱交換を行うモード(熱交換モード)と、給気風路8または排気風路9にバイパス風路24を設けることにより熱交換部で熱交換を行わないモード(バイパスモード)を有する。
なお、図8及び図9の風路切替ダンパ23は熱交換素子14の上流側でも下流側でもよい。
図10は、第3実施形態に係る給排型換気装置1の加湿量制御部21により実行される内乱・外乱判定処理を示すフローチャートである。
この内乱・外乱判定処理(S101)では、加湿制御処理が安定した後、図4のフローチャートにて前述した内乱・外乱判定処理を用いて内乱・外乱の判定を行い、その判定結果に基づいて風路切替ダンパ23、給気ファン12と排気ファン13による換気風量を制御する処理を、所定時間Tが経過する毎に実行する。
内乱・外乱判定処理(S101)では、まず加湿量制御部21が風路切替ダンパ23を熱交換モード(バイパス風路24が閉)となるよう制御する(A1)。
次いで、後述する給気ファン12及び排気ファン13の回転数変更による換気風量の増減を所定時間Tの経過後に調整する(A2)。換気風量の調整は、設定換気風量Qまたは0.5回換気となるよう調整してもよい。
次いで、第2記憶部に記憶しているW_NEXT_PASTが、W_NOWとほぼ等しいか否かを判断する(S102)。詳細は図4のS102と同一のため説明は割愛する。W_NEXT_PASTがW_NOWとほぼ等しいと判断される場合は(S102:Yes)、現在の家全体の水分量が、所定時間T前に推定された家全体の水分量となっているので、内乱や外乱はなかったと判定し、風量調整による流入水分量及び流出水分量の再計算(A6)を行い、内乱・外乱制御処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
一方、W_NEXT_PASTがW_NOWと等しくないと判断される場合は(S102:No)、次いで、IN_SA_NOWが、第3記憶部に記憶しているIN_SA_PASTとほぼ等しいか否かを判断する(S103)。詳細は図4のS103と同一のため説明は割愛する。
IN_SA_NOWがIN_SA_PASTとほぼ等しいと判断される場合は(S103:Yes)、図5(a)に示すように、屋外から給気される給気空気に含まれる水分量に大きな変化がない場合と判断できる。よって、この場合、W_NEXT_PASTとW_NOWとの相違は、屋内の特定室内における急な温湿度の変化に伴う内乱によるものであると判定する。そこで、特定室内における急な温湿度変化を緩和させるために、所定時間Tが経過するまで給気ファン12及び排気ファン13による風量を増加する(A3)。
次いで、W_NOWがW_TARGETより小さいか且つIN_SA_NOWがIN_OA_NOWより小さいか判断する(A4)。ここで、外気水分量IN_OA_NOWは現在の室外側吸込口5から流入する外気(OA)の温湿度により下記算出式(12)により算出される。
IN_OA_NOW=Q_IN×a(TH(OA))×RH(OA)/100・・・(12)
また、TH(OA)は、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる室外空気(OA)の現在の温度(単位:℃)であり、a(TH(OA))は、その室外空気(OA)の現在の温度における飽和水蒸気量(単位:g/m3)である。RH(OA)は、室外側温湿度センサ17により検出された室外側吸込口5から吸い込まれる室外空気(OA)の現在の相対湿度(単位:%)である。
一方、S103の処理の結果、IN_SA_NOWがIN_SA_PASTと等しくないと判断される場合は(S103:No)、図5(b)に示すように、屋外から給気される給気空気に含まれる水分量に大きな変化があった場合と判断できる。よってこの場合、W_NEXT_PASTとW_NOWとの相違は、屋外における急な温湿度の変化に伴う外乱によるものであると判定する。そこで、室外空気流入による室内温湿度変化を緩和するために、給気ファン12による風量を減少する(A8)、その後、風量減少による流入水分量及び流出水分量の再計算(A6)を行い、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。なお、(A8)では給気ファン12による換気風量を減少したが、この時、排気ファン13による換気風量も減少させてもよい。
A4の処理の結果、W_NOWがW_TARGETより小さい且つIN_SA_NOWがIN_OA_NOWより小さいと判断される場合は(A4:Yes)、熱交換素子14による熱交換をさせないことで効果的に目標湿度へ到達できると判断できる。そのため、風路切替ダンパ23を動作させバイパスモード(バイパス風路24が開)へ切替を行う(A5)。その後、風量減少による流入水分量及び流出水分量の再計算(A6)を行い、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
一方、A4の処理の結果、W_NOWがW_TARGETより小さい且つIN_SA_NOWがIN_OA_NOWより小さいと判断されない場合は(A4:No)、W_NOWがW_TARGETより大きいか且つIN_SA_NOWがIN_OA_NOWより大きいか判断する(A7)。
A7の処理の結果、W_NOWがW_TARGETより大きい且つIN_SA_NOWがIN_OA_NOWより大きいと判断される場合は(A7:Yes)、熱交換素子14による熱交換をさせないことで効果的に目標湿度へ到達できると判断できる。そのため、風路切替ダンパ23を動作させバイパスモード(バイパス風路24が開)へ切替を行う(A5)。その後、風量減少による流入水分量及び流出水分量の再計算(A6)を行い、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
一方、A7の処理の結果、W_NOWがW_TARGETより小さいか且つIN_SA_NOWがIN_OA_NOWより小さいと判断されない場合は(A7:No)、熱交換素子による熱交換をすることで効果的に目標湿度へ到達できると判断できる。そのため、風路切替ダンパ23は動作させず熱交換モードで運転を継続する。その後、風量減少による流入水分量及び流出水分量の再計算(A6)を行い、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
(第4実施形態)
次いで、図11及び図12を参照して、第4実施形態に係る給排型換気装置1について説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1は、給気風路8から室内に給気される空気の給気温度を算出して加湿量を制御している。これに対し、第4実施形態に係る給排型換気装置1は、給気風路8から室内に給気される空気の温湿度を、温湿度センサで測定し、加湿量及び給気温度を制御する。
以下、第4実施形態に係る給排型換気装置1について、第1実施形態に係る給排型換気装置1と相違する点を中心に説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
第4実施形態に係る給排型換気装置1は、図11に示すように、給気風路8上に第2室内側温湿度センサ18及びヒータ19が設けられる。
図12は、第4実施形態に係る給排型換気装置1の加湿量制御部21により実行される加湿制御処理を示すフローチャートである。
この加湿制御処理では、加湿制御処理の実行が開始されると、まず第1実施形態と同様にS1及びS2及びS3及びS4の処理を実行する。その結果、W_NOWがW_TARGET以上の場合(S3:No)、または、W_NEXTがW_TARGET以上の場合(S4:No)の場合は、加湿ユニット15の加湿をオフするか、又は、加湿量を低減する(S6、S7)。
一方、S4の処理の結果、W_NEXTがW_TARGET以下である場合(S4:Yes)は、上記(7)式にて求められるTH(SA)と、第2室内側温湿度センサ18の測定温度TH_meas(SA)との差を算出し、所定温度Taと比較する(S41)。
なお、TH(SA)は加湿ユニット15により加湿されていない場合に、室内側吹出口7から室内に給気される空気の推定温度である。TH_meas(SA)は加湿ユニット15により加湿された後の温度を示している。TH(SA)とTH_meas(SA)を比較することで、給気温度(測定温度TH_meas(SA))が加湿に伴う気化熱の影響で低下しているかを判定することが可能となる。S41の処理の結果、TH(SA)とTH_meas(SA)の差がTa以上である場合(S41:Yes)、加湿による気化熱の影響で給気温度が低下していると判断できる。そのため、室内での冷風感を防止するためにヒータをONさせることで給気温度を上昇させる(S41a)。
一方、S41の処理の結果、TH(SA)とTH_meas(SA)の差がTaより小さい場合(S41:No)、加湿に伴う気化熱の影響で室内側吹出口7から室内に給気される空気の給気温度が低下していない、または、加湿中ではないと判断し、ヒータをOFFする(S41b)。
なお、Taの値は、気化熱の影響により給気温度(SA)が下がると想定される温度の間で設定することが望ましい。具体的には、2℃から8℃の間がよい。
次いで、S41a及びS41bを実行した後に、加湿ユニット15の加湿をオンするか、または、加湿量を増加するか、または加湿量を維持する(S5a)。
なお、S5a、S6及びS7の処理において増減させる加湿ユニット15の加湿量H(単位:g/h)は、上記(10)式により算出する。また、(10)式にて算出した加湿量Hが、加湿ユニット15をフル運転させた場合の最大加湿量を超えた場合は、加湿ユニット15を最大加湿量でフル運転させる。なお、ヒータがOFFの場合、ヒータをONすることで最大加湿量を増加させてもよい。この場合、W_TARGETの到達時間を、より短時間で実現できる。
一方、S6、S7の処理を実行した後、加湿ユニット15が加湿中であるかを判定する(S42)。その結果、加湿中である場合(S42:Yes)、上記(7)式にて求められるTH(SA)と、第2室内側温湿度センサ18の測定温度TH_meas(SA)との差を算出し、Taと比較する(S43)。S43の処理の結果、TH(SA)とTH_meas(SA)の差がTa以上である場合(S43:Yes)、加湿による気化熱の影響で給気温度が低下していると判断することができ、ヒータをONすることで給気温度を上昇させ、給気空気の冷風感を抑制することが可能となる(S43a)。
次いで、S43の処理の結果、ヒータをONした場合(S43a)、ヒータがOFFであった場合と比較して、加湿量が増加する可能性がある。そのため、加湿量を低減、または、維持する制御を実行する(S43c)。これは、S6、S7の処理を実行したときに、ヒータがOFFの状態で加湿ユニット15の加湿量H(単位:g/h)を決定していた場合、S6,S7の処理で設定した加湿量と、S43aの処理後の実際の加湿量が異なるためである。
一方、S43の処理の結果、TH(SA)とTH_meas(SA)の差がTaより小さい場合(S43:NO)、加湿による気化熱の影響で給気温度が低下していない、または、加湿をしていないと判断し、ヒータをOFFする(S43b)。次いで、ヒータをOFFした場合(S43b)、ヒータがONであった場合と比較して、加湿量が減少する可能性がある。そのため、加湿量を増加、または、維持する制御を実行する(S43c)。これは、S6、S7の処理を実行したときに、ヒータがONの状態で加湿ユニット15の加湿量H(単位:g/h)を決定していた場合、S6,S7の処理で設定した目標値と異なるためである。
S42の処理の結果、加湿中でないと判定した場合(S42:No)は、TH(SA)と室内で冷風感を感じる所定温度TH0を比較する。TH(SA)がTH0以下である場合(S45:Yes)は、給気温度が低下しており、暖房運転中にも関わらず室内で冷風感を感じる。そのため、ヒータをONすることで給気温度(SA)を上昇させ、室内での冷風感を抑制することができる。ここで、TH0は、冷風感を感じる15℃〜20℃程度が望ましい。なお、TH(SA)の代わりにTH_meas(SA)を用いてもよい。これは、加湿中でない場合、TH(SA)とTH_meas(SA)は等しいためである。
一方、TH(SA)がTH0以上である場合(S45:No)は、ヒータをOFFさせる。そして、所定時間T経過後に、S1の処理に戻り、再びS1からの処理を実行する。
次いで、S5a、または、S43c、または、S43dの処理の後、TH_meas(SA)で測定した温度における給気空気の現在の飽和水蒸気量a(TH_meas(SA))(単位:g/m3)と、次の(13)式から算出される室内側吹出口から給気される空気の現在の水分量W(TH_meas(SA))(単位:g/m3)とを比較する。その結果、W(TH_meas(SA))がa(TH_meas(SA))に近い状態にあると判断した場合(S44:No)は、水分量が露点を越えダクト内に結露が発生する恐れがあるため、加湿量制御部が加湿量を抑制し、SAダクト内結露を防止する。
W(TH_meas(SA))=a(TH_meas(SA))×RH_meas(SA)/100・・・(13)
ここで、RH_meas(SA)は、第2室内側温湿度センサの18により測定される相対湿度である。また、(TH_meas(SA))がa(TH_meas(SA))に近い状態にあるとは、(TH_meas(SA))がa(TH_meas(SA))のWx%を超えている場合を指す。Wxは80%程度が望ましい。しかし、給排型換気装置1の設置される家の構造によって、室内側吹出口7から室内に繋がるダクト外部の温度は大きく変化するため、給排型換気装置1の設置環境に応じてWxを変更してもよい。一方、W(TH_meas(SA))がa(TH_meas(SA))のWx%以下の場合(S44:Yes)は結露の恐れが低いため、現在の加湿量を維持する。そして、所定時間T経過後に、S1の処理に戻り、再びS1からの処理を実行する。
なお、ヒータ19は、空気を加熱できるヒータであり、特に限定されるものではない。ヒータ19は、温調コイルなどであってもよい。
(第5実施形態)
次いで、図13及び図14を参照して第5実施形態に係る給排型換気装置1について説明する。第1実施形態に係る給排型換気装置1は内乱・外乱判定処理を過去に予測した水分量と現在の水分量を比較した際の判定結果に基づいて換気風量を制御する。これに対し、第5実施形態に係る給排型換気装置1は制御部20が記憶しているモータ電流もしくはモータの回転数の値を比較した際の判定結果に基づいて給気風量および排気風量を制御する。
以下、第5実施形態に係る給排型換気装置1について、第1実施形態に係る給排型換気装置1と相違する点を中心に説明する。第1実施形態にかかる給排型換気装置1と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
図13は第5実施形態に係る給排型換気装置1の制御部20が記憶している給気ファン12及び排気ファン13のモータ電流値による判定結果に基づいて実行される内乱・外乱判定処理を示すフローチャートである。
この内乱・外乱判定処理(S101)は、加湿制御処理が安定した後に実行する。
次いで、制御部20が記憶しているI_SA_PAST及びI_EA_PASTの算出を行う(S51a)。I_SA_PASTは制御部20が記憶している所定時間前の給気ファン12のモータ電流値を示す。I_EA_PASTは制御部20が記憶している所定時間前の排気ファン13のモータ電流値を示す。
次いで、制御部20が記憶しているI_SA_NOW及びI_EA_NOWの算出を行う(S52a)。I_SA_NOWは制御部20が記憶している現在の給気ファン12のモータ電流値を示す。I_EA_NOWは制御部20が記憶している現在の排気ファン13のモータ電流値を示す。
次いで、制御部20が記憶しているI_SA_PASTがI_SA_NOWとほぼ等しいか否かを判定する(S53a)。
I_SA__PASTがI_SA_NOWと異なると判定される場合は(S53a:NO)内乱もしくは外乱が発生したと判定しS54aの処理へ移行する。
また、I_SA_PASTがI_SA_NOWとほぼ等しいと判定される場合は(S53a:YES)S59aの処理へ移行する。
次いで、S53aにてI_SA_NOWとI_SA_PASTが異なると判定される場合(S53a:NO)、I_SA_NOWがI_SA_PASTより大きいか否かを判定する(S54a)。
I_SA_NOWがI_SA_PASTに対して小さいと判定される場合(S54a:NO)内乱により部屋が負圧化となり給気ファン12の仕事量が低下する、例えばレンジフードの駆動等、本発明の給排型換気装置1以外の要因により排気が行われたと判断できる。そこで所定時間が経過するまで給気ファン12より給気される風量を増加させる(S55a)。
また、I_SA_NOWがI_SA_PASTに対して大きいと判定される場合(S54a:YES)内乱もしくは外乱により部屋が正圧化となり給気ファン12の仕事量が増えたと判断できる。この際S56aの処理へ移行する。
次いで、W_NOWがW_TARGETに対して低いか否かを判定する(S56a)。W_NOWとW_TARGETは前述にて記載されている内容と同様のため説明を割愛する。
W_NOWがW_TARGETに対して高いと判定される場合(S56a:NO)、現在の部屋の水分量が目標の水分量に対して過加湿状態であると判断できる。この場合、給気ファン12の風量を低下する事で目標湿度に近づける処理を行う(S57a)。
また、W_NOWがW_TARGETに対して低いと判定される場合(S56a:YES)、内乱もしくは外乱により目標湿水分量より部屋の水分量が低いと判定し、給気風量を増加もしくは維持をする(S58a)。
S55a及びS57a及びS58aの処理後、変更後の給気風量のパラメータに基づいて流入水分量及び流出水分量の再計算(S65a)を行う。
S65aにて再計算を行った後、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
次いで、S53aにてI_SA_NOWとI_SA_PASTが等しいと判定される場合(S53a:YES)の処理(S59a)について説明する。
制御部20が記憶しているI_EA_PASTがI_EA_NOWとほぼ等しいか否かを判定する(S59a)。
I_EA_PASTがI_EA_NOWと異なると判定される場合は(S59a:NO)内乱もしくは外乱が発生したと判定しS60aの処理へ移行する。
また、I_EA_PASTがI_EA_NOWとほぼ等しいと判定される場合は(S59a:YES)内乱・外乱が無かったと判定しS3の処理へ移行する。S3の詳細は図4記載のS3と同様のため割愛する。
次いで、S59aにてI_EA_NOWとI_EA_PASTが異なると判定される場合(S59a:NO)、I_EA_NOWがI_EA_PASTより大きいか否かを判定する(S60a)。
I_EA_NOWがI_EA_PASTに対して小さいと判定される場合(S60a:NO)内乱により部屋が負圧化となり排気ファン13の仕事量が低下する、例えばレンジフードの駆動等、本発明の給排型換気装置1以外の要因により排気が行われたと判断できる。そこで所定時間が経過するまで排気ファン13より排気される風量を減少させる(S61a)。
また、I_EA_NOWがI_EA_PASTに対して大きいと判定される場合(S60a:YES)内乱もしくは外乱により部屋が正圧化となり排気ファン13の仕事量が増加したと判断できる。この際S62aの処理へ移行する。
次いで、S60aにてI_EA_NOWがI_EA_PASTに対して大きいと判定される場合(S60a:NO)、W_NOWがW_TARGETに対して低いか否かを判定する(S62a)。W_NOWとW_TARGETは前述にて記載されている内容と同様のため説明を割愛する。
W_NOWがW_TARGETに対して高いと判定される場合(S62a:NO)、現在の部屋の水分量が目標の水分量に対して過加湿状態であると判断できる。この場合、排気ファン13の風量を増加させる事で目標湿度に近づける処理を行う(S63a)。
また、W_NOWがW_TARGETに対して低いと判定される場合(S62a:YES)、内乱もしくは外乱により目標湿水分量より部屋の水分量が低いと判定し、排気風量を減少もしくは維持をする(S64a)
S61a及びS63a及びS64aの処理後、変更後の排気風量のパラメータに基づいて流入水分量及び流出水分量の再計算(S65a)を行う。
S65aにて再計算を行った後、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
次いで、図13の変形例である図14について説明する。
図14は第5実施形態の変形例に係る給排型換気装置1の制御部20が記憶している給気ファン12及び排気ファン13のモータの回転数による判定結果に基づいて実行される内乱・外乱判定処理を示すフローチャートである。
この内乱・外乱判定処理(S101)は、加湿制御処理が安定した後に実行する。
次いで、制御部20が記憶しているn_SA_PAST及びn_EA_PASTの算出を行う(S51b)。n_SA_PASTは制御部20が記憶している所定時間前の給気ファン12のモータの回転数を示す。n_EA_PASTは制御部20が記憶している所定時間前の排気ファン13のモータの回転数を示す。
次いで、制御部20が記憶しているn_SA_NOW及びn_EA_NOWの算出を行う(S52b)。n_SA_NOWは制御部20が記憶している現在の給気ファン12のモータの回転数を示す。n_EA_NOWは制御部20が記憶している現在の排気ファン13のモータの回転数を示す。
次いで、制御部20が記憶しているn_SA_PASTがn_SA_NOWとほぼ等しいか否かを判定する(S53b)。
n_SA__PASTがn_SA_NOWと異なると判定される場合は(S53b:NO)内乱もしくは外乱が発生したと判定しS54bの処理へ移行する。
またn_SA_PASTがn_SA_NOWとほぼ等しいと判定される場合は(S53b:YES)S59bの処理へ移行する。
次いで、S53bにてn_SA_NOWとn_SA_PASTが異なると判定される場合(S53b:NO)、n_SA_NOWがn_SA_PASTより大きいか否かを判定する(S54b)。
n_SA_NOWがn_SA_PASTに対して小さいと判定される場合(S54b:NO)内乱により部屋が負圧化となり給気ファン12の仕事量が低下したと判断できる。そこで所定時間が経過するまで給気ファン12より給気される風量を増加させる(S55b)。
また、n_SA_NOWがn_SA_PASTに対して大きいと判定される場合(S54b:YES)内乱もしくは外乱により部屋が正圧化となり給気ファン12の仕事量が増加したと判断できる。この際S56bの処理へ移行する。
次いで、W_NOWがW_TARGETに対して低いか否かを判定する(S56b)。W_NOWとW_TARGETは前述にて記載されている内容と同様のため説明を割愛する。
W_NOWがW_TARGETに対して高いと判定される場合(S56b:NO)、現在の部屋の水分量が目標の水分量に対して過加湿状態であると判断できる。この場合、給気ファン12の風量を低下する事で目標湿度に近づける処理を行う(S57b)。
また、W_NOWがW_TARGETに対して低いと判定される場合(S56b:YES)、内乱もしくは外乱により目標湿水分量より部屋の水分量が低いと判定し、給気風量を増加もしくは維持をする(S58b)。
S55b及びS57b及びS58bの処理後、変更後の給気風量のパラメータに基づいて流入水分量及び流出水分量の再計算(S65b)を行う。
S65bにて再計算を行った後、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
次いで、S53bにてn_SA_NOWとn_SA_PASTが等しいと判定される場合(S53b:YES)の処理(S59b)について説明する。
制御部20が記憶しているn_EA_PASTがn_EA_NOWとほぼ等しいか否かを判定する(S59b)。
n_EA_PASTがn_EA_NOWと異なると判定される場合は(S59b:NO)内乱もしくは外乱が発生したと判定しS60bの処理へ移行する。
また、n_EA_PASTがn_EA_NOWとほぼ等しいと判定される場合は(S59b:YES)内乱・外乱が無かったと判定しS3の処理へ移行する。S3の詳細は図4記載のS3と同様のため割愛する。
次いで、S59bにてn_EA_NOWとn_EA_PASTが異なると判定される場合(S59b:NO)、n_EA_NOWがn_EA_PASTより大きいか否かを判定する(S60b)。
n_EA_NOWがn_EA_PASTに対して小さいと判定される場合(S60b:NO)内乱により部屋が負圧化となり排気ファン13の仕事量が低下したと判断できる。そこで所定時間が経過するまで排気ファン13より排気される風量を増加させる(S61b)。
また、n_EA_NOWがn_EA_PASTに対して大きいと判定される場合(S60b:YES)内乱もしくは外乱により部屋が正圧化となり排気ファン13の仕事量が増加したと判断できる。この際S62bの処理へ移行する。
次いで、W_NOWがW_TARGETに対して低いか否かを判定する(S62b)。W_NOWとW_TARGETは前述にて記載されている内容と同様のため説明を割愛する。
W_NOWがW_TARGETに対して高いと判定される場合(S62b:NO)、現在の部屋の水分量が目標の水分量に対して過加湿状態であると判断できる。この場合、排気ファン13の風量を増加する事で目標湿度に近づける処理を行う(S63b)。
また、W_NOWがW_TARGETに対して低いと判定される場合(S62b:YES)、内乱もしくは外乱により目標湿水分量より部屋の水分量が低いと判定し、排気風量を減少もしくは維持をする(S64b)。
S61b及びS63b及びS64bの処理後、変更後の排気風量のパラメータに基づいて流入水分量及び流出水分量の再計算(S65b)を行う。
S65bにて再計算を行った後、内乱・外乱判定処理(S101)を終了し、加湿制御処理のS3(図2)の処理へ移行する。
また、上記各実施形態では、加湿ユニット15として水破砕式加湿ユニットを用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、加湿ユニット15として、風量により加湿量の調整を行うものであってもよい。また、加湿ユニット15の前段にヒータを設け、ヒータによる加温によって加湿ユニット15の加湿量を調整するものであってもよい。
なお、給気風路8において熱交換素子14よりも室内側吹出口7側に、室内側吹出口7から吹き出される空気の温度と湿度とを検出するセンサを設けていてもよい。また、排気風路9において熱交換素子14よりも室外側吹出口4側に、室外側吹出口4から吹き出される空気の温度と湿度とを検出するセンサを設けていてもよい。そして、加湿量を制御するにあたり、これらのセンサを適宜用いてもよい。これにより、例えば式(7)、式(8)による算出が不要となり、より精度よく加湿量を制御することができる。
また、室外側吹出口4、室外側吸込口5、室内側吸込口6及び室内側吹出口7は筐体2の同一側面、例えば天面に設けられていてもよい。
なお、C値による流入又は流出水分量は必ずしも考慮される必要がなく、気密性の高い住宅であればC値を考慮することなく上述の制御を行っても精度よく目標湿度を維持できる。
また、目標温湿度記憶部22は、目標温度記憶部と目標湿度記憶部(第1記憶部)に分割して設けてもよい。
以上、本発明に係る換気装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。