JP2012107781A - 調湿装置及び調湿方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2風路のぞれぞれに位置し、両風路間を相互に所定の周期で繰り返し移動するように駆動される水分の吸脱着機能を有する調湿体を備えた調湿装置において、調湿体を介して両風路間で生じる熱交換による除加湿能力の低下を低減する調湿装置及び調湿方法を提供する。
【解決手段】調湿装置は、両風路を流れる気体の調湿体90位置での温度差が所定値よりも小さいかどうかを判定する温度判定部35と、調湿体90を両風路間で相互に所定の周期で駆動する調湿体駆動部91と、調湿体駆動部91の駆動を制御する調湿体駆動制御部33を備え、調湿体駆動制御部33は、温度判定部35による判定が「小さくない」場合、両風路間での調湿体90の駆動の周期を変えず、「小さい」場合、調湿能力増強の目的で両風路間での調湿体90の駆動の周期を短縮するように調湿体駆動部91を制御する。
【選択図】図6

Description

本発明は、気体中の水分の吸着と水分の脱着による気体中への水分の放出とを行う調湿体により、気体中の水分量を調整する調湿装置、及び調湿方法に関するものである。
気体中の水分量を調整する装置として、デシカントロータを調湿体として使用したものがある。この調湿体はロータ状に形成され、回転軸方向に通気性を持たせたハニカム構造やコルゲート構造を有し、これらの構造の内表面に吸着剤が塗布されている。調湿体の吸着剤に吸着されている水分量と調湿体を通過する気体の湿度とに応じて、気体中の水分を吸着するか、又は脱着作用により吸着剤に吸着された水分を気体中に放出する。この吸着・脱着作用を利用して気体の湿度を調整することができる。調湿体を利用した除湿装置の例は特許文献1、2、3に、除加湿装置の例は特許文献4に記載されている。
特許文献1の請求項1には、「ハニカム状除湿材からなるロータ(調湿体)と、このロータをその中心軸の周りに3乃至12rphの回転速度で回転駆動する駆動手段と、前記ロータの回転通過域を少なくとも除湿処理ゾーン、・・・再生処理ゾーン、・・・に分割する分割手段と、前記除湿処理ゾーンにて処理空気を前記ロータに通過させる処理空気導入手段と、・・・・空気を加熱した後、前記再生処理ゾーンに導入する再生用加熱空気導入手段と、・・・・を有することを特徴とする乾式除湿装置」と、調湿体を利用した除湿装置の構成が記載されている。また、請求項2では、「除湿ロータの回転速度が速い場合には大風量で、また、前記回転速度が遅い場合には小風量で、前記除湿ロータの回転速度に対応させて再生用加熱空気が再生処理ゾーンを通過するときの風量を制御することを特徴とする・・・乾式除湿装置」と、除湿の際に調湿体の回転速度と再生用加熱空気の風量を関係づけている。
特許文献2の請求項1には、「・・・前記被除湿空気中の水分含有率が低い低湿域では低速で、また、前記水分含有率が高い高湿域では高速で、前記被除湿空気の水分含有率に対応させて前記除湿ロータの回転速度を制御する」除湿装置の記載がある。
特許文献3の請求項1には、「ガス収着ロータ(吸湿体と同じ)を駆動回転可能に軸支し、ロータの回転に伴って該ロータの各部分に処理気体と再生用気体とを交互に通過せしめ、処理気体又は再生用気体のロータへの流入口とロータからの流出口とにおける圧力差に応じてロータの回転数を制御するように構成したことを特徴とするガス収着機」と記載され、処理気体、再生用気体のいずれについてもその風量とともにロータの回転数を上げることが記載されている。
特許文献4の請求項3には「円盤状である・・・・吸着素子及び該吸着素子(調湿体)を回転させる回転駆動機構を有する除加湿装置と、・・・」と、調湿体の除加湿装置への利用が記載されている。
特許第2659652号公報 特開平5−200231号公報 特開平3−38214号公報 特開2009−106893号公報
除湿装置では、一般に、再生処理ゾーンの気体の温度は除湿処理ゾーンの気体の温度よりも高く両ゾーン間で温度差が存在する。また、加湿装置では、除湿装置の場合の再生処理ゾーンが加湿処理ゾーンとなり、除湿装置の場合の除湿処理ゾーンが調湿体に対して加湿のための水分を供給する役割を負うことになるので、両ゾーン間の温度差は同様に存在する。
従って、調湿体の両ゾーンのそれぞれに存在する部位の温度は異なる。調湿体は両ゾーンに跨って回転駆動されており、この温度差のある調湿体が回転することにより両ゾーン間で熱交換が生じる。調湿体の回転速度が増加すると、吸着作用の時間と脱着作用の時間の切り替えが早くなるために、調湿体による熱交換量が増加し、両ゾーンのそれぞれにおいて調湿体を通過する気体の温度差がより小さくなる。
その結果、調湿体による水分の吸着・脱着特性が劣化する。吸着・脱着特性とは、調湿体を所定の速度で通過するガスに対して、単位時間当たり調湿体が吸着又は脱着する水分量をいう。従って、特許文献1乃至3に記載されているように調湿体の回転速度を大きくすると、この吸着・脱着特性の劣化により、調湿体での単位時間当たりの気体中の水分増減量が低下し、調湿装置は、期待する調湿性能を達成できない場合がある。なお、以下ではゾーンを風路と呼ぶ。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、風路間で生じる熱交換による除加湿能力の低下を低減することが可能な調湿装置及び調湿方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る調湿装置は、相互間で隔離された第1の風路及び第2の風路と、第1の風路に気体を流すための第1の送風機と、第2の風路に気体を流すための第2の送風機と、第1の送風機及び第2の送風機の風量をそれぞれ所定の風量V及びVに制御する送風機制御部と、第1の風路を流れる気体を加熱又は冷却する加熱/冷却部と、調湿体と、調湿体を駆動する調湿体駆動部と、温度取得部と、温度判定部と、調湿体駆動部を制御する調湿体駆動制御部と、を備える。
調湿体は、第1及び第2の風路のそれぞれに位置し、第1の風路においては前記加熱/冷却部の下流に配置され、第1及び第2の風路を流れる気体を通過させる構造を有すると共に、通過させる気体に対して、第1及び第2の風路を流れる気体の通過させる位置での温度の違いにより、第1及び第2の風路の一方において水分の吸着又は脱着機能を有し、他方において一方の吸着又は脱着機能とは反対の機能を有する。
調湿体駆動部は、第1及び第2の風路の調湿体が、第1の風路と第2の風路との間を互いに所定の周期Fで繰り返し移動するように調湿体を駆動する。
温度取得部は、第1及び第2の風路の調湿体位置での気体の温度t及びtを取得する。
温度判定部は、気体の温度tとtとの差である温度差の絶対値が所定の温度判定値よりも小さいかどうかを判定する。
調湿体駆動制御部は、温度判定部の判定結果に基づき、温度差の絶対値が温度判定値以上の場合は、周期Fをそのままとし、温度差の絶対値が温度判定値よりも小さい場合は、所定の周期Fを短縮した周期とし、短縮した周期Fで調湿体を駆動するように調湿体駆動部を制御する。
本発明の調湿装置では、調湿体の駆動周期を短縮することにより調湿能力を増強する場合に、調湿体で水分吸着を行う風路と水分脱着を行う風路との間の温度差が所定値以下であることを判定した後、調湿体の駆動周期を短縮するので、両風路間での熱交換量を抑制することができ、その結果、調湿装置の調湿能力の低下を低減することができる。
本発明の実施形態1に係る調湿装置の概略構成例を示すブロック図である。 実施形態1に係る調湿装置の風路を形成する装置本体の概要を示す斜視図である。 実施形態1に係る調湿装置に使用される調湿体の水分平衡吸着量の空気中相対湿度依存性を示す図である。 実施形態1に係る調湿装置を冷媒回路を使って除湿装置としたときの装置本体の構成と各種センサの配置の概要を示すブロック図である。 実施形態1に係る調湿装置を冷媒回路を使って加湿装置としたときの装置本体の構成と各種センサの配置の概要を示すブロック図である。 実施形態1に係る調湿装置の詳細構成例を示すブロック図である。 実施形態1に係る調湿装置の調湿体における吸着時、脱着時の水分移動速度の風速依存性を示す図である。 実施形態1に係る調湿装置の調湿体における水分移動速度の時間変化を風速をパラメータとして示した図である。 実施形態1に係る調湿装置の調湿体における水分吸着量の時間変化を風速をパラメータとして示した図である。 実施形態1に係る調湿装置の調湿体の回転駆動による風路間の熱交換を示す図である。 実施形態1に係る調湿装置の調湿体における水分移動速度の温度依存性を示したものである。 実施形態1に係る調湿装置の運転制御手順を示すフロー図である。 本発明の実施形態2に係る調湿装置の詳細構成例を示すブロック図である。 実施形態2に係る調湿装置の運転制御手順を示すフロー図である。 実施形態2の変形例に係る調湿装置の詳細構成例を示すブロック図である。
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る調湿装置の概略構成例を示すブロック図である。以下では気体を空気として説明する。図1に示すように、調湿装置1は、装置本体2、制御部3、制御部3への入力手段である入力部4、表示手段である表示部5、制御に使用する各種データを格納する記憶部6を備える。
装置本体2は、風路A、Bを備える。風路とは装置本体2内を通る空気の流通路のことを指す。風路A、Bにはその一方から他方に空気を流通させるためにそれぞれ送風機7、7が設置されている。また、風路A、Bにはそれぞれ加熱/冷却部8、8が設置され、また調湿部9が設置される。更に、風路A、Bのそれぞれには複数の位置での空気の温湿度をそれぞれ計測する複数の温湿度センサ20、20、所定の部位の温度を計測する温度センサ21、21、風路A、Bの空気の風速をそれぞれ計測する風速センサ22、22が設置される。なお、風速がわかれば風量は決定できるので以下では風速センサーから風量を測定できるとする。調湿部9は、風路A、Bに跨って設置され水分の吸着・脱離機能を備える調湿体90と、調湿体90を風路A、B間で回転駆動する調湿体駆動部91とを備える。
送風機7は風路Aに、送風機7は風路Bにそれぞれ空気を流通させるために設置される。いずれも風量の制御が可能なものである。風量制御は、送風機ファンを回転させるモータにDCモータを用いて回転数を制御することにより実現してもよいし、ACモータを用いてインバータ制御により電源周波数を変化させて回転数を制御することにより実現してもよい。
加熱/冷却部8は風路Aに、加熱/冷却部8は風路Bに設置され、いずれも調湿体90の上流に設置される。各風路を流れる空気はこの加熱/冷却部8、8を通過する際に一方により加熱され、他方により冷却される。それぞれが加熱、冷却機能を備えて状況に応じていずれかを選択して使用する。加熱部としてはヒータ、冷却部としてはブラインクーラ等が使用できる。冷媒を圧縮機で圧縮して冷凍サイクルを形成して循環させる冷媒回路を利用して、その中に設置されている凝縮器としての熱交換器を加熱部、蒸発器としての熱交換器を冷却部としてもよい。このような熱交換器を採用する場合は、冷媒の流れる方向を切り替えることにより熱交換器を凝縮器又は蒸発器に切り替えることができるため、加熱/冷却部8、8として適している。
調湿体90は、風路A、風路Bに跨って設置され、空気の流れる方向に回転軸を有して回転するロータであり、ハニカム構造若しくはコルゲート構造等を有し、風路A、Bの空気の流れる方向に通気性を持つ。調湿体90は、これを通過する空気と接する調湿体90の内表面において空気との間で水分の吸着機能又は脱離機能を有する。吸着・脱離機能を持たせるためにはこの内表面にゼオライト、メソポーラスシリカ、又は高分子吸着剤等の吸着剤を塗布、表面処理、又は含浸などにより担持するか、この内表面を形成する構造材を細孔の形成された例えばアルミニウム等の材料とすればよい。このような構成により調湿体はそこを通過する空気との間で水分の吸着と脱着を繰り返すことが可能となる。以下では簡便化のために吸着剤を担持したもので代表させて説明するが、これに限定されるものではなく水分の脱吸着特性を有するものであればどのようなものであってもよい。
調湿体駆動部91は、例えばモーターなどを使用し、その回転駆動力をベルトや歯車を介して調湿体90に伝達して調湿体90を回転駆動する。モータとしてDCモータを用いれば回転数制御、すなわち調湿体90の回転速度の制御が可能である。ACモータを使用してもよい。この場合は、インバータ制御により電源周波数を変化させて回転数を変化させ、調湿体90の回転速度を制御することができる。この回転速度の制御は制御部3において行われる。
制御部3は、入力部4から入力された運転開始指示、除湿/加湿の選択指示、目標湿度等に従って調湿装置1の運転を開始し、装置本体2の送風機7、7、加熱/冷却部8、8、調湿体駆動部91の運転制御を行う。また、上記各種センサからの信号は、制御部3に入力され、記憶部6に格納されている各種データ等を利用して所定の演算を実行し、温湿度、風量のデータを作成し、表示部5に必要なデータを表示させ、また得られた温湿度、風量のデータに基づいて、装置本体2の送風機7、7、及び加熱/冷却部8、8、調湿体駆動部91の制御を行う。制御部3は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)や演算処理のためにデータを入れておくためのメモリ、及び入出力インターフェス等で構成されている。コンピュータを使用してもよい。入出力インターフェスは入力部4、表示部5、記憶部6との間でのデータの入出力のために使用する。
入力部4は、調湿装置1の運転者が運転開始指示、除湿/加湿の選択指示、目標湿度等を調湿装置1に入力する装置である。操作装置のキーボードやスイッチ等を総称したものである。表示装置を利用してタッチパネル形式で入力する機能を備えたものであってもよい。
表示部5は、表示装置であり、制御部3からの出力を調湿装置の運転状態や各部の温湿度、風量等を表示するために使用する。入力部4とともに操作装置に装備してもよい。
記憶部6は、制御部3で各種センサーの計測値から温度、相対湿度、絶対湿度、風量等の物理量を求める際に使用する、演算式若しくは換算用のデータテーブル、更に後述する各種判定用の数値等を格納する。具体的にはハードディスク装置、光デイスク装置、半導体メモリ装置などが考えられる。
図2は、実施形態1に係る調湿装置の風路を形成する装置本体の概要を示す斜視図である。図2において、装置本体2は、最外部が筐体(内部が判別できるように透かした状態で番号を付さずに示す)となっており、その両端面には空気の吸引口10、10、及び空気の吹出口11、11が取り付けられている。筐体内には、吸引口10から吹出口11に向かう空気の風路Aと、吸引口10から吹出口11に向かう空気の風路Bとを形成し、互いの風路を互いに対して隔離するための隔壁12〜14が備えられる。外気OAは、送風機7(図2では図示を省略)により吸引口10を経由して吸引され、風路Aを矢印で示す方向に通過し、吹出口11から室内への給気SAとして吹き出す。一方、室内空気RAは、もう一つの送風機7により吸入口10を介して吸引され、風路Bを矢印で示す方向に通過し、吹出口11から排気EAとして室外に吹き出す。
風路A、Bには空気の流れの上流からそれぞれ加熱/冷却部8、8、調湿体90が配置される。調湿体90は両風路に跨って配置され、隔壁15により調湿体90の外周部がシールされ、両風路を流れる空気が、必ず、調湿体90の各風路に位置する部位を通過するように各風路を制限している。
加熱/冷却部8、8は、その一方が冷却部、他方が加熱部として使用される。例えば加熱/冷却部8を冷却部とし、加熱/冷却部8を加熱部として使用した場合は、加熱/冷却部8を通過した空気は冷却され温度が下がり、相対湿度が高くなって調湿体90の風路Aに位置する部位を通過する。一方、加熱/冷却部8を通過した空気は加熱されて温度が上がり、相対湿度が低くなって調湿体90の風路Bに位置する部位を通過する。
図3に示すように、調湿体90の吸着剤の水分の平衡吸着量は空気中の相対湿度とともに増加する。従って、調湿体90の風路Aに位置する部位では空気中の水分を吸着し、調湿体90の風路Bに位置する部位では空気に対して、吸着していた水分を脱着し、空気中に水分を供給する。すなわち、調湿装置1の風路Aから吹き出す給気SAは除湿され、風路Bから吹き出す排気EAは加湿される。これを調湿体90側から見ると、調湿体90の風路Aに位置する部位には水分が吸着し、風路Bに位置する部位からは水分が脱着する。
調湿体90が2風路間に跨って設置され両者間で回転するので調湿体90の所定の部位に着目すると、その部位は回転の半周期は風路Aに他の半周期には風路Bに存在することになる。すなわち、調湿体90の当該部位は回転の半周期毎に上記吸着と脱着を繰り返すことになる。
加熱/冷却部8、8の加熱、冷却機能を逆にする制御を行えば一方の風路で除湿、加湿の選択ができる。例えば、冷媒を圧縮機で圧縮して循環させ冷凍サイクルを構成する冷媒回路に採用される2台の熱交換器をそれぞれ加熱/冷却部8、8に使用すると、四方弁を使って冷媒の流れる方向を逆方向に切り替えることで熱交換器を凝縮器又は蒸発器として使用することができる。凝縮器は加熱部に、蒸発器は冷却部として機能する。加熱/冷却部8、8として熱交換器を使用した場合、熱交換器8、8と呼ぶこととにする。
図4は、実施形態1に係る調湿装置を冷媒回路を使って除湿装置としたときの装置本体の構成と各種センサの配置の概要を示すブロック図である。図中、図1、2と同じ構成要素は、図1、2と同じ番号を付す。この例では風路Aが空気の除湿経路として使用される。風路Bは調湿体90の除湿機能の回復を図るための経路である。
図4では加熱/冷却部8、8は冷媒回路の熱交換器8、8を使って構成される。冷媒回路は図4で破線で示す冷媒の流れる冷媒流路80と、この冷媒流路に沿って配置される圧縮機81、四方弁82、風路A、Bにそれぞれ加熱/冷却部8、8として設置される2台の熱交換器8、8、2台の熱交換器8、8の間に設置される膨張弁83で構成される。熱交換器8、8は、各風路において調湿体90の上流側にそれぞれ配置される。
圧縮機81は、気体状の冷媒(二酸化炭素、炭化水素、若しくはヘリウムなどの自然冷媒、HFC410A若しくはHFC407Cなどの塩素を含まない冷媒、又は既存製品に使用されているR22若しくはR134aなどのフロン系冷媒)を加圧・圧縮して、冷媒流路80に送り出す。圧縮機81にはレシプロ型、ロータリー型、スクロール型、又はスクリュー型等の圧縮機が使用される。圧縮機は、その運転周波数fを制御することにより熱交換器8、8の温度を変えることができるため、fは制御対象となる。
四方弁82は、圧縮機81から送り出された冷媒の流れる方向を切り替えて逆転させるための弁である。
熱交換器8、8は一方が冷却部(蒸発器)、他方が加熱部(凝縮器)であり、四方弁82による冷媒の流れる方向の切り替えで冷却部、加熱部の役割が逆転する。
膨張弁83は、熱交換器8と熱交換器8との間に配置され、絞りの開度に応じて冷媒を断熱膨張させて冷却する。絞りの開度を制御することにより冷却部(蒸発器)の役割を有する熱交換器の温度を制御することができ、それにより熱交換器を通過する調湿対象空気の温度を制御することができる。減圧弁や電子式膨張弁などを利用することができる。
圧縮機81はガス状の冷媒を圧縮し高温高圧の状態にして四方弁82を経由して熱交換器8、又は熱交換器8に通す。この例では四方弁82を経由した高温高圧のガス状冷媒はまず風路Bの熱交換器8に入る。風路Bを流れる空気は熱交換器8を通過するときに熱交換を行う。このとき熱交換器8を流れる冷媒は空気により冷却され凝縮して液化する。この相変化により熱交換器8を流れる冷媒は、そこを通過する空気を加熱する。従って熱交換器8は凝縮器となり加熱部として機能する。
液化した冷媒は熱交換器8を出た後、膨張弁83で断熱膨張し冷却される。冷却された冷媒は風路Aの熱交換器8を通る。風路Aを流れる空気は熱交換器8を通過するときに熱交換を行う。このとき熱交換器8を流れる液化した冷媒は空気により加熱され蒸発しガス状になる。この相変化により熱交換器8を流れる冷媒は、そこを通過する空気を冷却する。従って熱交換器8は蒸発器となり冷却部として機能する。
ガス状になった冷媒は圧縮機81に戻され、圧縮されこれまでの工程を繰り返す。
従って、図4に示す構成によれば風路Aが除湿機能を有し風路Bは調湿体90の水分吸着機能を回復させ維持するための風路となる。
図4に示す各種センサは、調湿装置1の制御に用いられる。温湿度センサ20Aa〜20Acは風路Aに、温湿度センサ20Ba〜20Bcは風路Bに設置され、それぞれ設置位置の温度及び湿度(温湿度)を計測する。図1に示す温湿度センサ20、20はそれぞれ温湿度センサ20Aa〜20Ac及び20Ba〜20Bcを総称したものである。20Aaは外気OAの温度と湿度、20Abは熱交換器8通過後、調湿体90通過前の空気の温度と湿度、20Acは調湿体90通過後の空気の温度と湿度を計測する。20Ba〜20Bcは風路Aに対応する風路Bの各位置での空気の温湿度−温度、湿度−を計測する。風路Aでの調湿体90の位置での温湿度は温湿度センサ20Ab、20Acの少なくとも一方による温度計測値、湿度計測値から、また、風路Bでの調湿体90の近傍の温湿度は温湿度センサ20Bb、20Bcの少なくとも一方による温度計測値、湿度計測値から得ることができる。
温度センサ21、21はそれぞれ熱交換器8、8の温度を、温度センサ21は圧縮機81の出口での冷媒の吐出温度を計測する。風速センサ22、22はそれぞれ、送風機7、7の空気吹出口に設置され、風路A、Bの空気の風量V、Vを計測する。
これらのセンサからの信号は制御部3に入力される。制御部3では、これらのセンサから得られた温度、湿度、風量の情報から制御アクチュエータである圧縮機81、膨張弁83、送風機7、7、調湿体駆動部91の制御を行う。
図5は、実施形態1に係る調湿装置を冷媒回路を使って加湿装置としたときの装置本体の構成と各種センサの配置の概要を示すブロック図である。図4と異なる点は、四方弁82の制御により、冷媒流路を流れる冷媒の方向が図4の場合の逆向きになっている点だけである。従って、熱交換器8、8の機能は図4の場合と逆転し、熱交換器8は加熱部(=凝縮器)、熱交換器8Bは冷却部(=蒸発器)となる。
図6は、実施形態1に係る調湿装置の詳細構成例を示すブロック図で、特に制御部3の詳細を示す。図中、図1、2、4、5と同じ構成要素は、図1、2、4、5と同じ番号を付す。温湿度センサ20及び20はそれぞれ図4、5に示す温湿度センサ20Aa〜20Ac及び20Ba〜20Bcの総称である。
制御部3は、温湿度・風量等算定部30、送風機制御部31、冷媒回路制御部32、調湿体駆動制御部33、湿度判定部34、及び温度判定部35を備える。温湿度センサ20、20、温度センサ21、21、21、及び風速センサ22、22からの信号は制御部3に入力される。
温湿度・風量等算定部30は、各種センサから制御部3に入力された信号から各部の温度、相対湿度(又は絶対湿度)、及び送風機7、7による風量を算定し、送風機制御部31、冷媒回路制御部32、湿度判定部34、及び温度判定部35に算定結果を送る。入力信号をそれぞれの物理量に変換するときの変換式は数式若しくはデータテーブルの形式で例えばあらかじめ記憶部6に格納されており、温湿度・風量等算定部30は、この格納された変換式又はデータテーブルを読み出して各種センサからの入力信号を上記各物理量(温度、湿度、風量)に変換する。
送風機制御部31は調湿装置1の動作開始時に制御部3からの指示により送風機7、7による風路A、Bへの送風を開始するとともに、それぞれの風量V、Vをあらかじめ設定されているVA0、VB0(通常運転時の風量)に設定する。また、後述するように、湿度判定部34の判定結果に基づき風量V、Vを通常運転時の風量VA0、VB0に対してそれぞれΔV、ΔV増加する。通常運転時の風量VA0、VB0は例えば記憶部6に格納されており、送風機制御部31はこれを読み出して利用する。
冷媒回路制御部32は調湿装置1の動作開始時に制御部3からの指示により圧縮機81を起動し、初期設定された所定の運転周波数fで運転するとともに、圧縮機81の起動後、所定の運転制御要領に従って圧縮機81の運転周波数f、及び/又は膨張弁83の絞りの開度を制御する(通常運転時の冷媒回路運転条件)。なお、運転開始時又はその後除湿、加湿運転の指示に従って四方弁82による冷媒の流れ方向の切り替え制御を行う。除湿、加湿運転の指示は例えば入力部4からの入力による。また、各温湿度センサ、温度センサの計測値に基づき所定の制御方式で冷媒回路の運転を制御する。
調湿体駆動制御部33は調湿装置1の動作開始時に制御部3からの指示により調湿体駆動部91を起動させて調湿体90の回転速度R(rpm)を初期設定値である回転速度Rとして調湿体90を回転駆動するとともに、後述するように湿度判定部34の判定結果に基づき、回転速度RをRからΔR増加させて調湿体90を回転駆動する。回転速度Rは例えば定格運転など通常運転時の条件として設定されている回転速度である。なお、回転速度Rの逆数を回転周波数Fとして、通常運転時の回転速度Rの逆数を通常運転時の回転周波数Fとして、調湿体駆動制御部33は回転周波数Fを制御するとしてもよい。
また、調湿体駆動制御部33は、後述するように温度判定部35の判定結果に基づき回転速度RをR+ΔRからΔR増加させて調湿体90を回転駆動する。
湿度判定部34は、入力部4から入力された目標湿度Hと、上記温湿度センサの計測信号から温湿度・風量等算定部30を介して得られた調湿対象空気の湿度値H(いずれも絶対湿度とする)とから湿度差ΔHをΔH=H−Hとして求め、ΔHの絶対値があらかじめ定めた湿度判定値αよりも大きいかどうか、ΔHの絶対値が湿度判定値αよりも大きい場合は、どの程度大きいかを判定する。どの程度大きいかは、ΔHの絶対値=k・αとしてk(>1)を求める。調湿対象空気の湿度値Hは、例えば図4に示す室内空気RA用の温湿度センサ20Baの計測値から得られる温度TBa、湿度HBaに基づきあらかじめ記憶部6に格納されている湿り空気線図データを利用して求めることができる。湿度判定値αはあらかじめ記憶部6に格納してある値(変更設定可)を読み出して使用する。
湿度判定部34は、判定結果を送風機制御部31及び調湿体駆動制御部33に送る。ΔHがαよりも大きいという判定結果の場合は、算定したkを判定結果に含める。
この判定結果を受けて、送風機制御部31は調湿装置1による調湿を加速するために、送風機7、7の風量V、Vを(1)式、(2)式に示すように初期設定値VA0、VB0よりもそれぞれΔV、ΔV大きくする。更に、調湿体駆動制御部33は、調湿体90の回転速度Rを(3)式に示すように、初期設定値Rに対して、風速Vに基づき決定されるΔR増加させて調湿体90を回転駆動する。
=VA0+ΔV=VA0+(k/k)×ΔVAmax (1)
=VB0+ΔV=VB0+(k/k)×ΔVBmax (2)
ΔV:風路Aの供給風量増分
ΔV:風路Bの供給風量増分
ΔVAmax=VAmax−VA0:風路Aの最大風量増分
ΔVBmax=VBmax−VB0:風路Bの最大風量増分
Amax:風路Aの最大風量
Bmax:風路Bの最大風量
≧k>1、k≧kのときはk=k
: あらかじめ設定された上限倍率
R=R+ΔR (3)
=R+(ΔV/ΔVAmax)×ΔRmax1
ΔRmax1=Rmax1−R:調湿体50の最大回転速度増分
max1:風量に起因する調湿体回転速度の最大値。
ΔHの絶対値が大きいとき、すなわち目標湿度と調湿対象空気の湿度との差が大きいときは除加湿能力を増加させる必要がある。風量を大きくするのは、調湿体90の吸着剤とそこを通過する空気との間の水分移動速度が空気の風速に依存して大きくなり、除加湿能力が増強されるためである。ここで水分移動速度は下記(4)式で定義される量である。
∂Q/∂t=K|Qsat−Q| (4)
∂Q/∂t:水分移動速度
K:比例係数(水分移動係数)*風速に依存する。
sat:空気の相対湿度で決まる吸着剤の平衡吸着量
Q:吸着剤の水分吸着量
(1)式、(2)式に示す供給風量増分ΔV、ΔVはそれぞれの風路での最大風量増分ΔVAmax、ΔVBmaxにあらかじめ設定されたkの上限kに対するkの割合を乗じて算定する。上限kはあらかじめ設定され例えば記憶部6に格納され、送風機制御部31は、これを読み出して使用する。
ΔVAmax、ΔVBmaxの算定に必要なVAmax、VBmaxは図7から決定することができる。図7は、実施形態1に係る調湿装置の調湿体における吸着時、脱着時の水分移動速度の風速依存性を示す図である。図7から水分移動速度は所定の風速を超えるとほとんど増加しなくなることがわかる。従って、エネルギー効率の観点から最大風速を図7にVmaxとして示す風速、例えば水分移動速度飽和値の90%に相当する風速、に対応する風量設定するのが現実的である。また、余り風速が小さいと除加湿能力が小さすぎるので、ある程度の風速を維持する必要がある。このような理由で風速の制御範囲は上限5m/sとするのが好ましい。このときは風量VAmax、VBmaxに対応する風速はともに5m/sに設定することができる。
風量VA0、VB0は通常運転時(定格運転時)の調湿条件に基づいて設定する。ただし、風速が1m/s以下になると除加湿能力が大きく減少するので1m/s以上となるように設定するのが望ましい。
風量VAmax、VBmaxは送風機7、7の仕様に基づいて設定しても良い。このような設定ではエネルギー効率については考慮していない。
算定された風量VAmax、VBmax、VA0、VB0は記憶部6に格納し、必要に応じて読み出して使用する。これらに代えてΔVAmax、ΔVBmaxを記憶部6に格納してもよい。
次に、ΔHの絶対値が大きいとき、すなわち目標湿度と調湿対象空気の湿度との差が大きいとき、(3)式に示すように調湿体90の回転速度Rを大きくする理由について説明する。図8は、実施形態1に係る調湿装置の調湿体における吸着時の水分移動速度の時間変化を風速をパラメータとして示した図である。図示するように風速が大きいと初期においては水分移動速度は大きいが、時間と共に急速に減少する。すなわち、風速が大きいと調湿体90は水分を短時間で吸着し、その結果、より短時間で飽和する。このことは図9に明瞭に示されている。脱着の場合も同様である。すなわち脱着の場合の水分移動速度の時間変化は図8と類似のものとなる。違いは空気温度の違いの影響のみである。脱着の場合の図9に対応した特性は、図9の平衡状態として示されている水分吸着量から始まり、上下逆転した特性になる。すなわち風速−すなわち風量−が大きいと、吸着の場合も脱着の場合も調湿体90と空気との間の水分のやりとりは短時間で平衡状態に収束する。従って、調湿体90の回転速度を風量に合わせてΔR大きくすることにより吸着能力、又は脱着能力を維持し、それによって除湿能力、又は加湿能力を高い状態に維持することができる。
ΔRは風量に起因する調湿体90の最大回転速度増分ΔRmax1に最大風量増分に対する供給風量増分の比を乗じることにより求める。
ΔRmax1の算定に必要なRmax1は図7から次のようにして決定される。図中Vmaxは送風機7、7に対して定められた最大風速であり、詳細は(1)式、(2)式の説明で述べている。このVmaxに対応する風量は送風機に依存するとして風路AではVAmax、風路BではVBmaxとしているが共通の値にしても良い。一方、水分移動速度は吸着時の方が脱着時よりも小さい。これは脱着時の方が吸着時よりも空気温度が高く設定されるためである。従って、調湿体90の最大回転速度を決定するのは吸着時の水分移動速度である。最大風速Vmaxに対応した吸着時の最大水分移動速度はτmax1である。調湿体90に使用されている吸着剤の仕様から、飽和水分吸着量WSATが算定でき、これと最大水分移動速度τmax1から吸着剤が飽和するまでの最小時間Tmin1が算定できる。吸着過程は調湿体90が半回転する間なので、半回転に要する時間がTmin1に等しくなるときの回転速度を風速に係る最大回転速度Rmax1とする。
(3)式で除湿装置、加湿装置で表式を変えたのは、除湿装置の場合の吸着経路は風路A、加湿装置の場合の吸着経路は風路Bであることに起因している。それぞれのΔRmax1も風路A、Bに対応して最大風量VAmax、VBmaxから算定したものを使用する。
ここでは回転速度R(rpm)を使って説明したが、回転周期Fとしてもよい。この場合はFの逆数がRと等しいとすればよい。
次に温度判定部35は、風路A及び風路Bのそれぞれの調湿体90の位置での空気温度TrA、TrBを取得し、両者の温度差ΔT=TrA−TrBを求め、ΔTの絶対値が、あらかじめ定めた温度判定値βよりも小さいかどうかを判定する。温度判定値βはあらかじめ記憶部6に格納してある値(変更設定可)を読み出して使用する。
rA、TrBは、例えば図4の温湿度センサ20Ab若しくは20Acの少なくともいずれかの計測値、及び温湿度センサ20Bb若しくは20Bcの少なくともいずれかの計測値から得ることができる。具体例として、例えばTrAは温湿度センサ20Abで計測した温度TAb、TrBは温湿度センサ20Bcで計測した温度TBcとする。TrAは温湿度センサ20Acで計測した温度TAc、TrBは温湿度センサ20Bcで計測した温度TBcとしてもよいし、TrAは温湿度センサ20Abと20Acで計測した温度の平均値((TAb+TAc)/2)、TrBは温湿度センサ20Bbと20Bcで計測した温度の平均値((TBb+TBc)/2)としてもよい。
温度判定部35は判定結果を調湿体駆動制御部33に送る。判定結果が温度判定値βよりも小さい場合、調湿装置1による調湿動作を加速するために、調湿体駆動制御部33は、調湿体90の回転速度Rを、(5)式に示すように、先に設定したR+ΔRよりもΔR大きくする。
R=R+ΔR+ΔR (5)
=R+ΔR+(TrA/TrB)×ΔRmax2 :除湿装置として使用する場合
=R+ΔR+(TrB/TrA)×ΔRmax2 :加湿装置として使用する場合
ΔRmax2=Rmax2−R
max:調湿体90の位置での空気の最高温度
rA:風路Aの調湿体90の位置での空気の温度
rB:風路Bの調湿体90の位置での空気の温度
max2:温度に関する調湿体回転速度の最大値。
ΔTの絶対値が温度判定値βよりも小さい場合に調湿体90の回転速度Rを更にΔR大きくする理由は次の通りである。調湿体90は風路Aと風路Bとに跨って設置され両風路間で回転している。除湿装置を例にすると調湿体90が風路Aで空気中の水分を吸着しやすいように風路Aの空気は熱交換器8で冷却され相対湿度が高くなっている。一方、風路Bでは調湿体90に吸着された水分が脱着しやすいように風路Bの空気は加熱され相対湿度が低下している。図10は、実施形態1に係る調湿装置の調湿体の回転駆動による風路間の熱交換を示す図である。図10に示すように、風路Aにある調湿体90の部位には冷却された温度TrAの空気が、一方風路Bにある調湿体90の部位には加熱された温度TrBの空気が、それぞれ通過するために風路Aにある調湿体90の温度は風路Bにある調湿体90の温度よりも低温となる。加湿装置の場合は、風路Aで加熱処理し風路Bで冷却処理する点が異なるだけで調湿体90の回転により熱交換が起こるという点は共通している。この調湿体90が風路AとBとの間で回転すると、この調湿体90の回転を介して風路AとBとの間で熱交換が発生する。回転速度が上昇すると、一回転する際にそれぞれの風路に存在する時間の切り替えが早くなるため調湿体90を介して熱を他方の風路に持ち込む量が増え除加湿効率を低下させる。この低下の程度は風路Aの空気の温度TrAと風路Bの空気の温度TrBの違いが小さいほど小さくなる。このため、温度の違いが小さい場合は回転速度を大きくすることにより除加湿能力を増強させることができる。このような温度の違いにより回転速度を増加させる閾値が温度判定値βであり、あらかじめ所定値に設定しておく。温度差が温度判定値βより小さければ熱交換量は小さいので回転速度をΔR増加し、温度差がβより大きければ回転速度を増加しない。
ΔRについてはこれを固定値としてあらかじめ記憶部6に格納し、読み出して使用することができる。
また、回転速度増加分ΔRについては、温度に起因する回転速度増分ΔRmax2を算定し、あらかじめ例えば記憶部6に格納しておき、これを読み出して、例えば「低温部の調湿体位置での空気温度/高温部の調湿体位置での空気温度」、すなわち除湿装置の場合はTrA/TrBを、加湿装置の場合はTrB/TrAを乗じて算定してもよい。記憶部6に格納するデータをΔRmax2に代えて、Rmax2とRとしてもよい。
ΔRmax2の算定に必要なRmax2は図11から下記のようにして決定される。図11は、実施形態1に係る調湿装置の調湿体における水分移動速度の温度依存性を示したものである。温度とは調湿体90の位置での空気の温度である。Tmaxは調湿体90の位置での空気の最高温度で、風量と冷媒回路の仕様から算定される。τmax2は温度Tmaxに対応した水分移動速度である。τmax2と、調湿体90に使用されている吸着剤の仕様から決定される吸着できる水分飽和量とから吸着水分が飽和するまでの最小時間が算定できる。この最小時間が吸湿体90を半回転させる時間に等しいときが温度に関する調湿体回転速度の最大値Rmax2となる。
なお、ΔRの算定の際、ΔRmax2に乗じる数値をTrB/TrA以外の関係式によりTrA、TrBを反映させた値にしてもよいし、空気温度ではなく、調湿体90の風路A、及び風路Bにそれぞれ位置する部分の温度分布から演算した値にしてもよい。ただし、この場合は調湿体90の温度分布を取得する手段が別途必要になる。
ここでは回転速度R(rpm)を使って説明したが、回転周期Fとしてもよい。この場合はFの逆数がRと等しいとすればよい。
なお、図4、5、6で説明した温湿度センサや温度センサの計測結果は、冷媒回路の運転制御や、調湿後の空気の温湿度の確認のために利用することができる。
本実施形態1の調湿装置1の動作及び運転制御手順を図6及び図12に基づき説明する。図12は実施形態1に係る調湿装置の運転制御手順を示すフロー図である。制御部3は、運転開始の信号を例えば入力部4を介して受け、これにより調湿装置1の運転を開始する。このときの運転は初期設定された条件に従った通常時運転である(図12のST1)。この運転開始信号には除湿/加湿の選択信号及び目標湿度Hも含まれ得る。含まれていない場合は初期設定値に従う。初期設定値は記憶部6に格納されている。
通常時の運転の内容(図12のST1)は次の通りである。制御部3は、運転開始信号を受けて、冷媒回路制御部32、送風機制御部31、調湿体駆動制御部33を介して、それぞれ冷媒回路、送風機7、7、調湿体駆動部91の運転を開始する。送風機7、7の運転により、風路A、Bにはそれぞれ空気が流入する。風路Aに流入する空気が除湿又は加湿対象空気で、風路Bに流入する空気が調湿体90の除湿又は加湿機能を再生するための空気である。このときの各機器の運転条件はあらかじめ記憶部6に格納されている初期設定値(圧縮機81の運転周波数f、膨張弁83の絞り開度、送風機風速VA0、VB0、調湿体90の回転速度R)を読み出して使用する。冷媒回路制御部32は、除湿/加湿の選択信号に従って、四方弁82を制御して冷媒の流れ方向を切り替える。
除湿装置として使用する場合は、四方弁82により冷媒流路が図4に示されるように切り替えられた結果、熱交換器8が凝縮器、すなわち加熱部、熱交換器8が蒸発器、すなわち冷却部となる。加湿装置として使用する場合は熱交換器8が凝縮器、すなわち加熱部、熱交換器8が蒸発器、すなわち冷却部となる。
風路Aに流入した空気は、まず熱交換器8を通過し冷媒との間で熱交換が行われる。その結果、熱交換器8を通過した空気は除湿装置の場合は冷却され低温となり、加湿装置の場合は加熱され高温となる。
一方、風路Bに流入した空気は、まず熱交換器8を通過し冷媒との間で熱交換が行われる。その結果、熱交換器8を通過した空気は除湿装置の場合は加熱され高温となり、加湿装置の場合は冷却され低温となる。
風路Aの空気、及び風路Bの空気はその後、それぞれ調湿体90の風路Aに位置する部位、及び風路Bに位置する部位を通過する。
除湿装置の場合は調湿体90の風路Aに位置する部位を通過する空気は冷却され相対湿度が高くなっているため、空気中の水分は調湿体90の吸着剤に吸着され空気は除湿される。この除湿された空気が装置外に供給される。一方、調湿体90の風路Bに位置する部位を通過する空気は加熱され相対湿度が低くなっているため、吸着剤に吸着されている水分が脱着され、空気中に供給される。この加湿された空気は装置外に排気される。
調湿体90は風路AとBに跨って設置され回転しているため、所定の周期で風路Aと風路Bとの間を行き来している。そのため調湿体90の風路Aに位置する部位で除湿を行い、当該部位が回転により風路Bに来たときは吸着剤に吸着された水分が脱着される。そのため吸着体90に吸着された水分が飽和することが防止され、除湿機能を維持することができる。
加湿装置の場合は風路Aと風路Bの役割が逆転するだけで事情は同じである。以上が通常時の調湿装置1の運転の内容(図12のST1)である。
温湿度・風量等算定部30は、温湿度センサ20Aaの計測値から空気の湿度Hを算定し、その結果を湿度判定部34に送る(図12のST2)。
湿度判定部34は、湿度Hデータ及び入力された目標湿度HからΔHの絶対値を求めΔHの絶対値が湿度判定値αよりも大きいかどうかを判定する。αよりも大きい場合はその大きさの程度を示すk値も算定する。判定結果はk値を含めて送風機制御部31及び調湿体駆動制御部32に送られる(図12のST3)。
送風機制御部31は、湿度判定部34から送付された判定結果からΔHの絶対値が湿度判定値αよりも大きい場合(図12のST3;YES)は、除加湿能力を増強するために、送風機7、7の風量を初期設定値よりもそれぞれΔV、ΔV大きく設定するとともに、調湿体90の回転速度Rを初期設定値RよりもΔR大きく設定する(図12のST4)。この場合の風量の設定例は(1)式、(2)式に示されている。
ΔHの絶対値が湿度判定値αよりも大きくない場合(図12のST3;NO)は、ST2に戻る。状況の変化がなければST1で設定した通常時の運転制御を続けることになる。
温湿度・風量等算定部30は、温湿度センサ20Ab、20Ac、20Bb、20Bc等の計測値から、調湿体90の位置における風路A、風路Bでの空気の温度TrA、TrBを求めて温度判定部35に送る(図12のST5)。温度TrA、TrBの導出に使用する温湿度センサ20Ab、20Ac、20Bb、20Bc等の計測は熱交換器8、8の温度が十分に安定してから行う。
温度判定部35は、得られた温度TrA、TrBから、その差ΔTの絶対値を算定し、あらかじめ設定されている温度判定値βより小さいかどうかを判定する。判定結果は調湿体駆動制御部33に送られる(図12のST6)。
調湿体駆動制御部33は、ΔTの絶対値が温度判定値βより小さい場合(図12のST6;YES)は、調湿体90の回転速度Rを(5)式に示す値ΔRだけ大きく設定する(図12のST7)。
送風機制御部31は送風機7、7の風量V、VがST4で設定した風量になるように運転制御し、調湿体駆動制御部33は、調湿体90の回転速度がST7で設定した回転速度になるように調湿体駆動部91を運転制御し(図12のST8)、ST2に戻る。
ΔTの絶対値が温度判定値β以上の場合は(図12のST6;NO)、送風機制御部31は送風機7、7の風量V、Vが、ST4で設定した風量になるように運転制御し、調湿体駆動制御部33は、調湿体90の回転速度がST4で設定した回転速度になるように調湿体駆動部91を運転制御し(図12のST8)、ST2に戻る。なお、送風機制御部31は、風速センサ22、22の計測値から得られる風速データに基づいて風速が設定値になるように送風機7、7を制御する。
図12において、ST3とST4、又はST4を省略することは可能である。省略してもST7の措置により除加湿能力の増強を期待できる。
なお、図4、5、6の温湿度センサ20Aa〜20Ac、20Ba〜20Bcのうち温湿度センサ20Aa、20Ba設置箇所以外の位置での温湿度については必ずしも温湿度センサを設置しなくても、圧縮機81の運転周波数、熱交換器8の仕様、熱交換器に設置した温度センサ21、21の計測値、調湿体90の仕様から演算することにより求めることが可能である。風量情報についても同様である。更に、排気EAの温湿度情報は制御に使用しないので、その意味でも温湿度センサー20Bcは省略することができる。また、温湿度センサーにより得られる温度・湿度情報は、測定領域温度情報と、相対湿度、絶対湿度、露点、及び湿球温度のいずか1つの情報とがわかれば得ることができるので、例えば乾球温度計と湿球温度計など二つのセンサーによって測定してもよい。従ってセンサー種類、設置数、配置は図4、5、6に示すものに限定されない。
例えば、温湿度センサ20Ab、20Bbの位置での温湿度情報は次のような手順で演算により求めることができる。まず、冷媒回路の冷凍サイクル側の冷却・加熱能力は、圧縮機81の運転状態(運転周波数などの情報)、熱交換器8、8の温度情報(温度センサ21、21の計測値による)から算定する。また、熱交換器8、8の温度(温度センサ21、21の計測値による)とフィンピッチ等の仕様、熱交換器8、8への流入空気の温湿度(湿度センサ20Aa、20Baによる計測値による)から、温度効率とエンタルピー効率を概算することができる。熱交換器8、又は8の通過前後の空気の温度差は、温度効率にその熱交換器に流入する空気温度とその熱交換器温度との差を乗じた値に等しいとして熱交換器8、又は8を通過後の空気の温度、すなわち温湿度センサ20Ab、又は20Bb位置での空気温度を得ることができる。また、熱交換器8、又は8を通過前後の空気のエンタルピー差は、エンタルピー効率に流入空気のエンタルピーと当該熱交換器側のエンタルピーとの差を乗じた値に等しいとしてその熱交換器通過後の空気のエンタルピーを求めることができ、以上の結果から熱交換器8、又は8を通過後の空気の湿度を求めることができる。なお、熱交換器側のエンタルピーは湿度を100%として熱交換器8、又は8の温度(温度センサ21、21の計測値による)から算定することができる。なお、熱交換器8、又は8が凝縮器の場合は通過空気の絶対湿度は変化しないので温度効率だけからその熱交換器を通過後の温湿度を計算することができる。
また、調湿体90通過後の、すなわち温湿度センサ20Ac、20Bcの位置での空気の温湿度情報は上記の手順で求めた温湿度センサ20Ab、20Bbの位置での温湿度情報と調湿体90の仕様(吸着剤の塗布量、同吸着等温線)から計算できる。
風量は、冷媒回路の冷凍サイクルの熱交換能力(顕熱交換能力)が、風量、温度効率、及び熱交換器の温度と流入空気の温度の差の積に等しいことを利用して求めることができる。熱交換器8、8の温度は温度センサ21、21から、流入空気の温度は温湿度センサ20Ab、20Bbから得ることができ、温度効率、冷凍サイクルの顕熱能力も計算することができる。
実施形態1によれば、両風路の調湿体90位置での空気の温度TrA、TrBの差ΔTの絶対値が所定値βよりも小さいかどうかを判定し、「小さい」と判定されたときに、調湿体90の回転速度Rを所定値ΔR増加させることとした。その結果、風路間の熱交換(熱漏洩)の影響が少ない時に除加湿能力を増強させることが可能となる。すなわち、ΔRの増加に伴う両風路間の熱交換量は低く抑えられ、回転速度の増加ΔRによる除加湿能力の増強に対してマイナス要因となる両風路間の熱交換量の増加による除加湿能力の低下は大きなものにはならない。従ってトータルの効果として除加湿能力(調湿能力)を増強することができる。
更にこのΔRを温度TrA、TrBの比で1より小さい値(すなわちTrA/TrBとTrB/TrAの小さい方)に比例させることにより、温度の違いを反映させて回転速度を増加させるので熱交換量の増加をより小さくすることができる。そのため除加湿能力の低下もより小さくでき、その結果、トータルの効果として除加湿能力(調湿能力)をより効率よく増強することができる。
このように温度に関する判定と判定結果に基づき調湿体の回転速度の制御を行うことにより風路A、Bの温度条件を考慮した形で高い除加湿能力(調湿能力)を維持することが可能となる。
なお、調湿対象空気の湿度Hと目標湿度Hとの差ΔHの絶対値が、所定値αより大きいとき、風路A、Bの風量をΔV、ΔV増加し、併せて調湿体90の回転速度RをΔR増加させることにより(図12のST4)、調湿体90の除加湿能力の飽和を防止し、より一層の除加湿能力(調湿能力)の増強を図ることができる。
更に、ΔHの絶対値がαを超える場合に、その程度をαに対する倍率kで表し、このk値に比例して風量増加分ΔV、ΔVを決定し、調湿体90の回転速度増加量Rを風量増加分ΔVに比例して決定したので、目標湿度との乖離の程度に合わせて除加湿能力を増強することができる。従って、除加湿能力(調湿能力)の増強をより経済的に実行することができる。
調湿体90は風路A、B間に跨って設置され両風路間で回転する構成としたが、回転によらずに風路A、B間を互いに一定周期で相互に移動するものであればどのような構成のものであってもよい。一例として風路A、B間を互いに平行な動きにより相互移動する2個の調湿体が考えられる。このときはこれまで説明してきた調湿体90の回転速度の逆数である回転周期を2個の調湿体90の平行移動の周期に置き換えて運転制御する。このように構成された調湿体90であればこれまでの説明は全て成立し、同様の効果を奏することができる。
図4〜6では図1、2に記載の加熱/冷却部8、8を熱交換器8、8として説明した。熱交換器8、8の場合は冷媒回路に四方弁82を採用して冷媒の流路を切り替えることで一方の熱交換器を凝縮器/蒸発器の間で選択することができる。そのため調湿装置1は除湿装置としても加熱装置としても使用することができる。熱交換器を使用しない場合は、通常加熱/冷却部8、8は加熱、冷却のいずれかの機能しか有していないので調湿装置1は除湿専用装置又は加湿専用装置としての使用になる。しかし、このような場合でも両機能を選択できるようにするためには風路A、Bにそれぞれ引き込む空気をダンパ等の手段により互いに入れ替えればよい。
これまで調湿装置1の調湿対象を空気としたが、空気に限定する必要はなく調湿対象は各種の気体とすることができる。空気以外の気体に対しても、実施形態1に係る発明は空気の場合と同様に機能し、これまで説明してきた効果と同様の効果を奏する。
なお、図2に示す調湿装置本体2では、外気OAを風路Aに取り込み、除湿又は加湿を行って給気SAとして例えば室内に供給し、一方その室内空気RAを風路Bに取り込み、調湿体90の再生を行い、除湿又は加湿された空気等の気体を室外に排気するとしていた。すなわち調湿装置1は換気を目的としたものでもあった。しかし、風路Aへの気体の取り込み及び供給ルートと風路Bへの気体の取り込み及び供給ルートとは完全に独立に設定してもよく、装置は換気空調の目的に限定されるものではない。換気空調目的の装置でなくてもこれまでの説明は効果を含めてそのまま成立する。
実施形態2
図13は実施形態2に係る調湿装置の詳細構成例を示すブロック図である。図13に示す構成は図6に示す構成において、制御部3に調湿体評価部36と停止条件判定部37とを付け加えたものである。その他の構成は図6と同じである。
調湿体評価部36は、調湿体90の吸着水分量を算定する。吸着水分量は、風路A及びBのそれぞれについて調湿体90を通過する前後の空気の絶対湿度の差から一方の風路における調湿体90への水分吸着量(正数とする)と他方の風路における水分の脱着量(負数とする)とを算定し、両風路について吸着量と脱着量を符号を考慮して合算した値である。この値は調湿体90への総水分吸着量に相当する。
停止条件判定部37は、制御部3を介しての入力部4からの指示により、調湿装置1を除湿装置として使用するのか加湿装置として使用するのかを認識できる。除湿装置として使用する場合は、総水分吸着量が停止条件値Sよりも大きいと停止条件を満たすと判定し、加湿装置として使用する場合は、合算値が停止条件値Sよりも小さいと停止条件を満たすと判定する。Sは、調湿体90にこれ以上の水分吸着量があると、除湿装置として使用する場合に、風量や調湿体90の回転速度を増加することにより除湿能力を増強する運転(除湿能力増強運転と呼ぶ)を行うには除湿余力が小さすぎると判断する水分吸着量であり、Sは、これ以下の水分吸着量では、加湿装置として使用する場合に、風量や調湿体90の回転速度を増加することにより加湿能力を増強する運転(加湿能力増強運転と呼ぶ)を行うには加湿余力が小さすぎると判断する水分吸着量である。S、Sともあらかじめ設定し、例えば記憶部6に格納して、必要に応じて読み出して使用する。なお、除湿能力増強運転、加湿能力増強運転を総称して除加湿能力増強運転と呼ぶ。
停止条件判定部37は、判定結果を送風機制御部31と調湿体駆動制御部33に送る。
送風機制御部31、及び調湿体駆動制御部33は、停止条件判定部37から停止条件を満たすという判定結果を受けると、除加湿能力増強運転を取りやめ、通常運転を行う。
図14は、実施形態2に係る調湿装置の運転制御手順を示すフロー図である。図12との違いはST3とST4との間に停止条件を満たすかどうかを判定するST10を挿入したことである。停止条件を満たせば(図14のST10;YES)ST4、ST7に関する運転条件の変更、すなわち除加湿能力増強運転への変更、を停止し、通常運転を行う。この停止条件を満たさなければ(図14のST10;NO)ST4以下の手順、すなわち除加湿能力増強運転を実行する。なお、ST3とST10の順序は入れ替えてもよい。
図15は、実施形態2の変形例に係る調湿装置の詳細構成例を示すブロック図である。調湿装置1は、図15に示すように、調湿体90の重量を計測する調湿体重量計測部38を備える。調湿体重量計測部38は例えば調湿体90の回転中心軸に感圧素子を配置して調湿体90の重量を計測する。調湿体重量計測部38の計測値は制御部3に送られ、温湿度・風量等算定部30で、調湿体90の重量が算定される。調湿体評価部36は、この重量算定値から水分吸着量が0と想定されるときの調湿体90の重量(あらかじめ記憶部6に格納)を差し引いた値を調湿体90の総水分吸着量とする。その他の構成とその機能は図13と同じである。
実施形態2の変形例に係る調湿装置の運転制御手順を示すフロー図は、図14に示すものと同じである。ただし、この変形例では、既に説明したとおり、ST10の停止条件を満たすかどうかの判定時に行う総水分吸着量の算定の方法が異なるだけである。
このような停止条件の判定を行うことにより、除加湿余力がある場合にのみ除加湿能力増強運転を実行することができる。除加湿能力増強運転は装置に負担をかけるので、停止条件の判定により、装置への無用な運転負担を低減することができる。
なお、実施形態2の他の変形例として、図13の構成において調湿体評価部36を運転時間を計測するタイマーに置き換え、条件判定部37は、運転時間が所定の時間を超えた場合に停止条件を満たすと判定してもよい。この変形例では調湿装置1を所定の時間運転した後には、調湿装置1に負担をかける除加湿能力増強運転を行わずに通常運転のみとする。このような構成によっても装置への運転負担を低減することができる。この変形例に係る調湿装置の運転制御手順を示すフロー図は、図14に示すものと同じである。
なお、実施形態1の各種バリエーションは実施形態2においても同様に成立し、実施形態1に記載の効果と同様の効果を奏することができる。
1 調湿装置
2 装置本体
3 制御部
4 入力部
5 表示部
6 記憶部
、7 送風機
、8 加熱/冷却部(熱交換器)
9 調湿部
10、10 吸込口
11、11 吹出口
12〜15 隔壁
20、20、20Aa〜20Ac、20Ba〜20Bc 温湿度センサ
21、21、21 温度センサ
22、22 風速センサ
30 温湿度・風量等算定部
31 送風機制御部
32 冷媒回路制御部
33 調湿体駆動制御部
34 湿度判定部
35 温度判定部
36 調湿体評価部
37 停止条件判定部
38 調湿体重量計測部
80 冷媒流路
81 圧縮機
82 四方弁
83 膨張弁
90 調湿体
91 調湿体駆動部
A 風路(外気導入経路)
B 風路(排気放出経路)
EA 排気
OA 外気
RA 室内空気
SA 室内導入空気(給気)

Claims (16)

  1. 相互間で隔離された第1の風路及び第2の風路と、
    前記第1の風路に気体を流すための第1の送風機と、
    前記第2の風路に気体を流すための第2の送風機と、
    前記第1の送風機及び前記第2の送風機の風量をそれぞれ所定の風量V及びVに制御する送風機制御部と、
    前記第1の風路を流れる気体を加熱又は冷却する加熱/冷却部と、
    前記第1及び第2の風路のそれぞれに位置し、前記第1の風路においては前記加熱/冷却部の下流に配置され、前記第1及び第2の風路を流れる気体を通過させる構造を有すると共に、前記通過させる気体に対して、前記第1及び第2の風路を流れる気体の前記通過させる位置での温度の違いにより、前記第1及び第2の風路の一方において水分の吸着又は脱着機能を有し、他方において前記一方の吸着又は脱着機能とは反対の機能を有する調湿体と、
    前記第1及び第2の風路の前記調湿体が、前記第1の風路と前記第2の風路との間を互いに所定の周期Fで繰り返し移動するように前記調湿体を駆動する調湿体駆動部と、
    前記第1及び第2の風路の前記調湿体位置での前記気体の温度t及びtを取得する温度取得部と、
    前記気体の温度tとtとの差である温度差の絶対値が所定の温度判定値よりも小さいかどうかを判定する温度判定部と、
    前記温度判定部の判定結果に基づき、前記温度差の絶対値が前記温度判定値以上の場合は、前記周期Fをそのままとし、前記温度差の絶対値が前記温度判定値よりも小さい場合は、前記周期Fを短縮した周期とし、短縮した前記周期Fで前記調湿体を駆動するように前記調湿体駆動部を制御する調湿体駆動制御部と、
    を備えた調湿装置。
  2. 短縮した前記周期Fは、短縮前の前記周期Fの逆数に、前記気体の温度t及びtに依存して決定される成分を加えたものの逆数に等しい値である、ことを特徴とする請求項1に記載の調湿装置。
  3. 前記気体の温度t及びtに依存して決定される成分は、前記気体の温度t及びtの比t/tとt/tのうちその値が1よりも小さくなる方の比に比例した成分である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の調湿装置。
  4. 湿度を制御する対象場所での前記気体の湿度Hを計測する湿度計測部と、
    計測された前記気体の湿度Hと所定の目標湿度Hとの湿度差の絶対値が所定の湿度判定値よりも大きいかどうかを判定する湿度判定部と、を備え、
    前記送風機制御部は、前記湿度判定部の判定結果に基づき、前記湿度差の絶対値が前記湿度判定値以下の場合は、前記第1及び第2の送風機のそれぞれの風量V及びVをそのままとし、前記湿度差の絶対値が前記湿度判定値を超える場合は、前記第1の送風機の風量VをΔV増加し、前記第2の送風機の風量VをΔV増加するように前記第1及び第2の送風機の運転を制御し、
    前記調湿体駆動制御部は、前記湿度判定部の判定結果に基づき、前記湿度差の絶対値が前記湿度判定値以下の場合は、前記周期Fをそのままとし、前記湿度差の絶対値が前記湿度判定値を超える場合は、短縮した前記周期Fを更に短縮した周期とし、更に短縮した前記Fで前記調湿体を駆動するように前記調湿体駆動部を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調湿装置。
  5. 前記湿度判定部による判定結果は、前記湿度差の絶対値が前記湿度判定値を超える場合に、k=前記湿度判定値/前記湿度差の絶対値、で定義されるkを含み、
    前記ΔV及びΔVは、前記kに比例して決定され、
    更に短縮した前記周期Fは、短縮した前記周期Fの逆数に、前記ΔVに比例した成分を加えたものの逆数に等しい値である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の調湿装置。
  6. 前記送風機制御部は、前記調湿体を通過する気体の風速が5m/sを超える場合は、5m/sになるように前記風量の増加分ΔV、ΔVを設定して前記第1の送風機、及び前記第2の送風機の運転を制御する、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の調湿装置。
  7. 前記調湿体は、前記第1及び第2の風路に跨って回転する回転体で構成され、前記調湿体駆動部は、前記調湿体を前記周期Fで回転駆動する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の調湿装置。
  8. 前記調湿体は、前記第1及び第2の風路のそれぞれに位置する2台の可動の調湿体で構成され、
    前記調湿体駆動部は、前記第1及び第2の風路間で、前記周期Fで前記2台の調湿体を繰り返し相互に平行移動するように駆動する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の調湿装置。
  9. あらかじめ設定する停止条件を満たすかどうかを判定する停止条件判定部を備え、
    前記送風機制御部は、該停止条件判定部が、前記停止条件を満たすと判定したときは、前記ΔV、ΔVの風量増加の設定を行わないで前記第1及び第2の送風機の運転を制御し、
    前記調湿体駆動制御部は、該停止条件判定部が、前記停止条件を満たすと判定したときは、短縮した前記周期F又は更に短縮した前記周期Fへの前記調湿体の駆動周期短縮の設定を行わないで前記調湿体駆動部の運転を制御する、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の調湿装置。
  10. 前記停止条件判定部は、前記調湿体全体の総水分吸着量を算定し、前記調湿装置が除湿器として運転されているときは、該総水分吸着量が、所定の値Sよりも大きいとき、前記停止条件を満たすと判定し、前記調湿装置が加湿器として運転されているときは、該総水分吸着量が、所定の値Sよりも小さいとき、前記停止条件を満たすと判定する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の調湿装置。
  11. 前記両風路のそれぞれにおいて、前記調湿体を通過する前後の気体の温度及び相対湿度を取得する温湿度取得部を備え、
    前記停止条件判定部は、前記温湿度取得部で得られた前記調湿体を通過する前後の気体の温度及び相対湿度から、前記両風路のそれぞれにおいて、前記調湿体に吸着又は脱着した水分の量を求めることにより前記総水分吸着量を算定する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の調湿装置。
  12. 前記調湿体の重量を計測する調湿体重量計測部を備え、
    前記停止条件判定部は、前記調湿体重量計測部で得られた前記調湿体の重量から、あらかじめ設定されている水分吸着がないときの前記調湿体の重量を差し引いて前記総水分吸着量を算定する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の調湿装置。
  13. 前記調湿装置の運転時間を計測する運転時間計測部を備え、
    前記停止条件判定部は、前記運転時間計測部で計測した時間が、あらかじめ設定された上限時間を超えたとき前記停止条件を満たしたと判定する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の調湿装置。
  14. 冷媒の流れる冷媒流路、前記冷媒を圧縮して前記冷媒流路に流す圧縮機、前記冷媒の流れる2台の熱交換器、及び前記2台の熱交換器の間に配設され、前記冷媒を断熱膨張させる膨張弁とで構成される冷媒回路と、
    前記冷媒回路の運転を制御する冷媒回路制御部と、を備え、
    前記第1及び第2の風路の加熱/冷却部は、それぞれ前記2台の熱交換器で構成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の調湿装置。
  15. 前記冷媒回路は、前記圧縮機の前記冷媒出口と、前記冷媒流路上、前記出口に近い側の前記熱交換器との間に、前記圧縮機の前記冷媒出口以降の前記冷媒の流れる方向を逆転させる弁を備え、
    前記冷媒回路制御部は、前記弁の開閉を制御することにより前記冷媒の流れる方向を制御する、
    ことを特徴とする請求項14に記載の調湿装置。
  16. 相互間で隔離された第1及び第2の風路のそれぞれに所定の風量の気体を流す第1及び第2の送風ステップと、
    前記第1の風路を流れる気体を加熱又は冷却する加熱/冷却ステップと、
    前記第1及び第2の風路のそれぞれに位置し、前記第1の風路においては前記加熱/冷却ステップを実行する部位の下流に設置され、前記第1及び第2の風路を流れる気体を通過させると共に、前記通過させる気体に対して、前記第1及び第2の風路を流れる気体の前記通過させる位置での温度の違いにより、前記第1及び第2の風路の一方において水分の吸着又は脱着機能を有し、他方において前記一方の吸着又は脱着機能とは反対の機能を有する調湿体を、前記第1の風路と前記第2の風路との間を互いに所定の周期Fで繰り返し移動するように駆動する調湿体駆動ステップと、
    前記第1及び第2の風路の前記調湿体位置での前記気体の温度t及びtを取得する温度取得ステップと、
    前記気体の温度tとtとの差である温度差の絶対値が所定の温度判定値よりも小さいかどうかを判定する温度判定ステップと、
    前記温度判定ステップでの判定結果に基づき、前記温度差の絶対値が前記温度判定値以上の場合は、前記周期Fをそのままとし、前記温度差の絶対値が前記温度判定値よりも小さい場合は、前記周期Fを短縮した周期とし、短縮した前記周期Fで前記調湿体を駆動するように前記調湿体駆動部を制御する調湿体駆動制御ステップと、
    を備えた調湿方法。
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