JP2019147922A - 水性インク組成物および筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂粒子単独で十分な白の発色性や隠蔽性を有するとともに、遅光性を発揮させることが可能な、水性インク組成物およびこの組成物を用いた筆記具を提供する。【解決手段】水性インク組成物は、白色顔料として、スチレン系樹脂からなる扁平かつ中空の樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子の内部に水を包含しており、かつ、前記樹脂粒子の含有量は20量%以上60質量%以下の範囲内である。また、筆記具は、筒状の本体部と、前記本体部に内蔵され、前記水性インク組成物が含浸されるインク吸収体と、前記インク吸収体に接触するように、前記本体部の前端側に取り付けられた芯体と、を備え、前記インク吸収体の気孔率は、80%以上95%以下の範囲内である。【選択図】図1

Description

本発明は、水性インク組成物およびこの組成物を用いた筆記具、特に、いわゆる中綿式のマーキングペンのインクとして好適な水性インク組成物に関する。
一般に、マーキングペンのインクに用いるインク組成物には、隠蔽性を高め、筆跡の不透明性を得るため、酸化チタン等の無機顔料が配合されている。ただし、酸化チタン等の無機顔料は、隠蔽性が高いものの、比重が大きく沈降しやすいという問題があった。無機顔料が沈降すると、毛細管現象によりペン先からの吐出されるインク中の無機顔料の含有量が少なくなるため、隠蔽性の劣るインクが吐出され、筆跡の十分な不透明性が得られない。また、無機顔料が沈降しないように、インクの粘度を高くするための増粘剤がインク組成物に配合される場合もある。しかし、この場合には、ペン先からのインク吐出性が低下したり、ペン先にインク詰まりが生じるという問題がある。特に、中綿式のマーキングペンにおいては、上記の問題が顕著になる。
そのため、近年では、白色の着色剤や隠蔽剤として、比重の小さな中空の樹脂粒子をインク組成物に配合させることが提案されている(例えば、特許文献1および2を参照)。このような中空の樹脂粒子は、粒子内部に水等の溶剤を包含しており、この溶剤がインクの乾燥時に蒸発することで、内部に空気を包含する中空の樹脂粒子となる。この中空の樹脂粒子に入射した光は、外側の樹脂層と内部の空気との間で光散乱を起こし、白色に見える。このとき、インク組成物が他の着色剤を含んでいれば、中空の樹脂粒子により隠蔽性を発揮する。
ところが、上記特許文献1および2の技術では、中空の樹脂粒子単独では、十分な隠蔽性(白の発色性)を得ることができない場合があった。特に、中空の樹脂粒子は、筆記直後には内部に溶剤を含んだ状態であるため、インクの乾燥後には十分な隠蔽性を有するとしても、筆記直後から十分な隠蔽性を発揮できないという問題があった。これに対して、酸化チタン等の無機顔料よりも比重が小さく、かつ、筆記直後から十分な隠蔽性を発揮できるように、中実の扁平樹脂粒子を水性顔料インク組成物の隠蔽剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開昭63−243179号公報 特開2010−53265号公報 特開平7−3200号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された技術は、いずれも、樹脂粒子単独で十分な白の発色性または隠蔽性を発揮するとは必ずしもいえず、酸化チタン等の無機顔料(隠蔽剤)を用いずに、十分な隠蔽性を有する水性インク組成物が求められていた。特に、黒地の紙やボード等に筆記した場合に、優れた白の発色性を有するかどうかは十分に検討されていない。
また、本発明者らが検討したところによれば、従来問題となっていた筆記直後から十分な白の発色性や隠蔽性を発揮できないことが、逆に、新たなマーキングペン等の筆記具の特徴となり得ることが判明した。この新たな筆記具の特徴は、筆記直後には完全に発色せず、あたかも白熱電球に光が灯るように徐々に色が浮き出るようにして、タイムラグをもって完全に発色する性質(以下、「遅光性」と称する)を有することである。この遅光性を有する筆記具は、特定の消費者の嗜好に合致する可能性がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂粒子単独で十分な白の発色性や隠蔽性を有するとともに、遅光性を発揮させることが可能な、水性インク組成物およびこの組成物を用いた筆記具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水性インク組成物に、スチレン系樹脂からなる扁平かつ中空の樹脂粒子を配合し、この樹脂粒子の内部に水を包含させ、かつ、樹脂粒子の含有量を所定の範囲内とすることにより、樹脂粒子単独で十分な白の発色性や隠蔽性を有するとともに、遅光性を発揮できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、白色顔料として、スチレン系樹脂からなる扁平かつ中空の樹脂粒子を含有し、前記樹脂粒子は、内部に水を包含しており、前記樹脂粒子の含有量は、20質量%以上60質量%以下の範囲内である、水性インク組成物である。
前記樹脂粒子の含有量が、25質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましく、30質量%以上45質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
前記樹脂粒子が、中央部が陥没した形状であることが好ましい。
前記樹脂粒子の平均粒径が、0.4μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。
前記水性インク組成物の25℃での粘度が、10mPa・s以上25mPa・s以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明は、筒状の本体部と、前記本体部に内蔵され、前述した水性インク組成物が含浸されるインク吸収体と、前記インク吸収体に接触するように、前記本体部の前端側に取り付けられた芯体と、を備え、前記インク吸収体の気孔率は、80%以上95%以下の範囲内である、筆記具である。
前記芯体の気孔率が、55%以上75%以下の範囲内であることが好ましい。
前記インク吸収体が樹脂繊維を含み、前記樹脂繊維の繊維径が、3デニール以上5デニール以下の範囲内であることが好ましい。
前記インク吸収体および前記芯体が樹脂繊維を含み、前記インク吸収体の樹脂繊維の繊維径が、前記芯体の樹脂繊維の繊維径よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、水性インク組成物が特定の樹脂粒子を所定の含有量で含むことにより、樹脂粒子単独で十分な白の発色性や隠蔽性を有するとともに、遅光性を発揮させることが可能となる。また、この水性インク組成物をマーキングペン等の筆記具用のインクとして用いることにより優れたインク吐出性を有する。
本発明の好適な実施形態に係る筆記具の一例としての中綿式マーキングペンを示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造または機能を有するものとする。
[水性インク組成物の組成]
本実施形態の水性インク組成物は、不透明の白色顔料として、筆記後にインクが乾燥することで白く発色する樹脂粒子(有機顔料)を含有する。ここで、本実施形態では、白色顔料として酸化チタン等の無機顔料を配合することを必ずしも禁止するものではない。しかし、水性インク組成物を後述する好適な粘度範囲内にするとともに、分散剤、増粘剤等の沈降防止剤を配合することなくインク吐出性を良好にするためには、酸化チタン等の白色無機顔料を含有しないことが好ましい。このように、本実施形態の水性インク組成物は、樹脂粒子のみで白く発色し、不透明性を有することができ、特に、黒地の紙等に本実施形態のインク組成物を含む筆記具により筆記することで、良好な白の発色性を有するとともに、筆跡が徐々に浮き出るように白く発色する遅光性を発揮できる。特に、酸化チタン等の白色無機顔料を有さないことにより、遅光性が良好に発現する。
本実施形態の樹脂粒子は、後述するように扁平かつ中空の樹脂粒子であることから、酸化チタン等の無機顔料よりも比重が小さい。したがって、当該樹脂粒子は、水中でも良好に分散でき、沈降しにくい。その結果、分散剤、増粘剤等の沈降防止剤を水性インク組成物中に配合することが不要になり、インク組成物の製造が容易になる。また、沈降防止剤や追加の白色顔料(無機顔料等)を水性インク組成物中に配合する必要がないことから、成分が少なくなり、低コストでのインク組成物の製造が可能となる。
(樹脂粒子の発色原理)
本実施形態の樹脂粒子は、後述するように扁平形状の粒子の内部に孔を有する中空粒子であり、この中空部分に水を包含する状態で水中に分散されている。すなわち、水性インク組成物中では、白色顔料として用いる樹脂粒子は、内部に水を包含している。この樹脂粒子を含有する水性インク組成物をマーキングペン等の筆記具のインクとして用い、この筆記具で紙等の筆記媒体に筆記すると、インクの乾燥時に樹脂粒子中の水が蒸発し、樹脂粒子は、内部に空気を包含する中空粒子となる。この中空の樹脂粒子に光が入射すると、外側の樹脂層と内部の空気との境界面で入射光が屈折および反射することで光散乱を起こし、筆跡が白く発色したように視認される。このとき、樹脂粒子中の水が蒸発するまでにタイムラグがあることから、筆記直後には筆跡が完全に発色せず(白の発色が弱く)、あたかも白熱電球に光が灯るように徐々に色が浮き出るようにして(筆記した文字や図柄等が浮き上がるように見える。)、完全に発色する。したがって、本実施形態の水性インク組成物を用いた筆記具を用いて筆記した場合、筆跡が浮き上がるように視認される。このような性質を本発明では、「遅光性」と呼ぶこととする。
ここで、本発明における「遅光性」が優れているといえるためには、例えば、紙、布、金属、ガラス等の筆記媒体に筆記したときに、筆記直後から完全に発色する(それ以上色が濃くならなくなる状態になる)までの時間が、1秒以上であることが好ましく、2秒以上であることがより好ましい。また、完全に発色するまでの時間があまりに長すぎると筆記具の用途として好ましくないため、6秒以下であることが好ましい。このような好ましい遅光性を発揮させるためには、樹脂粒子中に包含された水の蒸発速度をコントロールすることが重要である。このような蒸発速度をコントロール可能なパラメータとしては、例えば、水性インク組成物中の樹脂粒子の含有量、樹脂粒子の粒径、樹脂粒子内部の孔の大きさ(空隙率)、水性インク組成物中の保湿剤と樹脂粒子の含有比等が挙げられる。これらのパラメータの好適範囲については後述する。
以下、本実施形態の水性インク組成物の組成、物性および用途について詳述する。
(樹脂粒子の樹脂種)
本実施形態の樹脂粒子の材料としては、スチレン系樹脂が用いられる。スチレン系樹脂としては、一般に、スチレンを単独重合させて得られるプラスチックであるポリスチレン、スチレンと他のモノマーとを共重合させて得られるプラスチックであるスチレン共重合樹脂などがある。ポリスチレンとしては、主に、非晶性で無色透明の汎用ポリスチレン(GPPS:General Purpose Polystylene)と、GPPSにゴム成分を加えた乳白色の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS:High Impact Polystylene)がある。スチレン共重合樹脂としては、例えば、スチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体であるアクリル−スチレン共重合体、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体であるAS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、スチレンとアクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等がある。
本実施形態の樹脂粒子の材料としては、上記一般的なスチレン系樹脂を特に制限なく用いることができる。ただし、本実施形態の樹脂粒子の材料として使用するスチレン系樹脂としては、屈折率および反射率を高くして光散乱が起こりやすくすることで白の発色性を向上させるとともに、粒子径や形状のコントロールがしやすいように、透明性が高く、かつ、成形加工性および成形時の寸法安定性に優れる樹脂が好適である。このような樹脂としては、例えば、GPPS、アクリル−スチレン共重合体、AS樹脂等が好適であり、特に高い透明性を有し、かつ、成形時の寸法安定性にも優れることから、GPPSおよびAS樹脂等がより好適である。
(樹脂粒子の形状)
本実施形態の水性インク組成物に白色顔料として用いられる樹脂粒子は、扁平かつ中空の樹脂粒子である。樹脂粒子の形状が、扁平形状を有し、かつ、内部に孔を有する中空粒子であることにより、優れた白の発色性および遅光性を発揮できる。中空だが扁平形状でない真球状中空粒子や、扁平形状だが中実の扁平中実粒子では、十分な白の発色性と遅光性を両立させることができない。
<扁平>
ここで、本発明における「扁平」とは、粒子の最大径Rmaxと粒子の厚みtとの比(Rmax/t)が1より大きければ特に制限はされず、例えば、円盤状(円盤の表面が平坦な場合のみならず、表面が丸みや凹凸を有する場合も含む。)、楕円球状等であってよい。本実施形態では、樹脂粒子が、円盤状の中央部が陥没した形状、特に、円盤の一方の面の周縁部よりも中央部が凹んでいる赤血球のような形状であることが好ましい。樹脂粒子が、中央部が陥没した形状を有することにより、白の発色性および遅光性をさらに向上させることができる。
<中空>
また、中空状の樹脂粒子の孔を適切な大きさとすることで、樹脂粒子内部に包含される水の蒸発速度を上述した好適範囲(筆記直後から完全に発色するまでの時間が1秒以上6秒以下)とすることができるため、遅光性をさらに向上できる。このような適切な孔の大きさは、例えば、空隙率で50%以上80%以下である。
(樹脂粒子の粒子径)
本実施形態の樹脂粒子の平均粒径は、0.4μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。樹脂粒子の平均粒径を0.4μm以上とすることにより、白の発色性および遅光性を高めることができる。一方、樹脂粒子の平均粒径を10μm以下とすることにより、後述するマーキングペン等の筆記具のインクとして本実施形態の水性インク組成物を使用した際、芯体(ペン先)からのインク吐出性を高めることができる。
なお、本実施形態の樹脂粒子の平均粒径は、樹脂粒子の最大径の平均値であり、動的光散乱法またはレーザー回折法により測定することができる。
(樹脂粒子の含有量)
本実施形態の水性インク組成物中における樹脂粒子の含有量は、20質量%以上60質量%以下の範囲内である。樹脂粒子の含有量が20質量%未満であると、白の発色性が不十分になるとともに、遅光性が悪化する(すなわち、筆記後すぐに発色してしまう)。一方、樹脂粒子の含有量が60質量%を超えると、遅光性が悪化する(すなわち、筆記直後から完全に発色するまでに時間がかかり過ぎる)とともに、インクの吐出性が低下する(すなわち、樹脂粒子がペン先から吐出されにくくなり、インク中の樹脂粒子の濃度が低下する)。白の発色性および隠蔽性を高めるとともに、遅光性を向上させるためには、樹脂粒子の含有量が25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。一方、遅光性を向上させるとともに、インクの吐出性を高めるためには、樹脂粒子の含有量が50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。
ここで、本実施形態の水性インク組成物は、顔料として、樹脂粒子(白色顔料)のみを含有する場合だけでなく、他の着色顔料を含有していてもよい。この場合、着色顔料の種類によって発色性に差がでるため、十分な発色性(隠蔽性)を有することを条件として、各着色顔料による発色性の差に応じて樹脂粒子の含有量を変更してもよい。例えば、黒色との色差が大きい色ほど樹脂粒子の含有量を多くすること、彩度の低い色ほど樹脂粒子の含有量を多くすること、あるいは、明度の低い色ほど樹脂粒子の含有量を多くすることなどができる。
なお、本実施形態における樹脂粒子の含有量は、内部に水が包含されていない中空の状態の樹脂粒子の水性インク組成物全体に対する含有量のことを意味する。
(水性インク組成物中の他の成分)
本実施形態の水性インク組成物は、白の発色性(隠蔽性)、遅光性、インク吐出性を阻害しない範囲で、樹脂粒子以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、着色剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。なお、水性インク組成物の分散媒としては水を用いるが、水溶性有機溶媒を水と併用してもよい。
<着色剤>
着色剤としては、水性の無機顔料または有機顔料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、カーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドレン系顔料、アゾメチン系顔料等が、着色剤として用いられる。また、着色剤として、上記顔料のほかに、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アントラキノン系染料、銅フタロシアニン系染料等の水溶性染料を併用してもよい。これらの着色剤の含有量は特に制限されるものではないが、例えば、水性インク組成物全体に対して、0.5質量%以上20質量%以下含有することができる。
<保湿剤>
保湿剤は、水性インク組成物の乾燥を抑制するとともに、筆記具からのインクの吐出性を向上させる役割を有する。そのため、保湿剤は、水性インク組成物全体に対して、5質量%以上30質量%以下含有することが好適である。このような保湿剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等を用いることができる。
また、本実施形態では、樹脂粒子と保湿剤との含有比率(樹脂粒子:保湿剤)を、質量比で6:1〜3:2の範囲とすることが好ましい。樹脂粒子と保湿剤の含有比率を上記範囲にすることで、水性インク組成物の遅光性をさらに高めることができる。
<界面活性剤>
界面活性剤は、水性インク組成物の筆記媒体への濡れ性を向上させるとともに、樹脂粒子を水中に良好に分散させる役割を有する。本実施形態において、界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、水性インク組成物全体に対して0.20質量%以上3.00質量%以下の範囲である。界面活性剤の含有量が0.20質量%未満であると、添加効果が不十分となるおそれがある。一方、界面活性剤の含有量が3.00質量%を超えると、界面活性剤の粘度依存性(水性インク組成物の粘度が上昇すること)によりインクの吐出性が低下し、それに伴って、発色性が低下するとともに、遅光性も悪化する(完全に発色するまでの時間が早くなる)。
(水性インク組成物の粘度)
本実施形態の水性インク組成物の粘度は、25℃において、10mPa・s以上25mPa・s以下の範囲内であることが好ましい。本実施形態の水性インク組成物では、白色顔料である樹脂粒子が高濃度で含有されているにもかかわらず、増粘剤等を配合する必要がない。したがって、樹脂粒子が沈降しにくいにもかかわらず、水性インク組成物を上記のように低粘度とすることができる。なお、一般的な水性顔料インクの粘度は、30mPa・s〜50mPa・s程度である。このように、水性インク組成物の粘度が低いことから、本実施形態の水性インク組成物は、筆記具用のインクとして使用した場合に、インクの吐出性に優れ、吐出されたインク中にも十分な量の樹脂粒子(白色顔料)が含まれていることから、白の発色性(隠蔽性)にも優れる。特に、中綿式のマーキングペン用のインクとして本実施形態の水性インク組成物を使用した場合に、上記効果はより顕著になる。
なお、本実施形態の粘度としては、試料である水性インク組成物を25℃に保ち、BLアダプタを用いて30回転で回転させながら、BL型粘時計により測定した値を用いることとする。
(水性インク組成物の用途)
以上説明した組成を有する本実施形態の水性インク組成物は、マーキングペン等の筆記具用のインクとして好適に使用される。ここで、「マーキングペン」とは、いわゆる中綿式または直液式のインク貯蔵体から毛細管現象によって先端のペン先にインクを誘導するペンのことをいう。また、本実施形態の水性インク組成物は、上述したように粘度が低いことから、中綿式のマーキングペン用のインクとして特に好適に使用することができる。中綿式のマーキングペン用のインクとして用いることが可能となると、以下のような利点がある。第1に、直液式のマーキングペンは、部品点数が多くなるため、コストが高くなる傾向にあるが、中綿式のマーキングペンは、部品点数を減らせるため、低コストで製造できる。第2に、中綿式のマーキングペンは、ボールペン等の筆記具よりも多量のインクを充填することができるため、筆記距離が長くなる傾向にある。第3に、従来の不透明インクを用いたマーキングペンは、ほとんど直液式のものであったため、ペンを振ったりすることにより、インク貯蔵体に含まれるインクを撹拌した後に、ノックをしてからようやくインクが吐出して筆記が可能になる。これに対して、中綿式のマーキングペンでは、インクの撹拌およびノック等の準備が必要なく、すぐに筆記が可能である。第4に、中綿式のマーキングペンは、ボールペンや直液式のマーキングペン等の筆記具と比べ、なめらかな筆記感が得られる。
また、本実施形態の水性インク組成物は、黒地の筆記媒体に筆記するマーキングペン用のインクとして特に好適であり、このような筆記媒体に筆記することで、良好な白の発色性および遅光性が顕著に得られる。筆記媒体の種類としては、特に制限されないが、本実施形態の水性インク組成物は、例えば、黒い紙や布地、ブラックボード等の黒色の筆記媒体、ガラス、アクリル板等の透明な筆記媒体などに筆記するための筆記具用のインクとして好適である。
[水性インク組成物の製造方法]
以上、本実施形態の水性インク組成物の組成について詳細に述べた。続いて、上述した組成を有する水性インク組成物の製造方法について述べる。
本実施形態の水性インク組成物は、所定量の樹脂粒子、必要に応じて、白以外の着色顔料、保湿剤、界面活性剤、防腐剤等の成分を分散媒に添加し、これらの成分を混合および撹拌して分散媒に分散または溶解させることにより得ることができる。撹拌方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、メカニカルスターラー、マグネティックスターラー等の撹拌装置を用いることができる。
なお、スチレン系樹脂からなる樹脂粒子は、当該樹脂粒子を直接他の成分とともに水中に分散させてもよいし、スチレン系樹脂からなる樹脂粒子を水に分散させた樹脂エマルジョンを予め用意しておき、当該樹脂エマルジョンを他の成分とともに水中に分散させてもよい。
[筆記具の構成]
続いて、図1を参照しながら、本実施形態に係る筆記具の一例としての中綿式マーキングペン10(以下、単に「マーキングペン10」と記載する場合がある。)の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る筆記具の一例としての中綿式マーキングペン10の構成の概略を示す断面図である。
図1に示すように、中綿式マーキングペン10は、本実施形態の本体部の一例としての本体軸11と、本実施形態のインク吸収体の一例としての中綿13と、本実施形態の芯体の一例としてのペン先15と、を備える。後述するように、中綿13に含浸されたインクは、毛細管現象によって中綿13からペン先15に伝わり、ペン先15を筆記媒体の筆記面に当てることにより、筆記できるようになっている。
(本体軸11の構成)
本体軸11は、筒状の形状を有しており、内部に中綿13が収容されている。本体軸11の材質は、プラスチック製、ガラス製、金属製等、特に限定されない。
(中綿13の構成)
中綿13は、本体軸11に内蔵されており、上述した水性インク組成物が含浸される。中綿13は、樹脂の長繊維を収束させ、捲縮をかけながら筒状に成形することにより得られる。中綿13は、インク吐出性を向上させるため、その気孔率が、80%以上95%以下の範囲内となっている。このように、マーキングペン10は、中綿13の気孔率が高く、中綿13を構成する繊維の密度が低いため、樹脂粒子や着色剤が繊維のすき間に挟まって、ペン先15から吐出されないようにすることを抑制できる。
また、中綿13を構成する樹脂繊維の繊維径は、3デニール以上5デニール以下の範囲内であることが好ましい。これにより、中綿13が、上記範囲の高い気孔率を有することができる。より好ましくは、繊維径が3.5デニール以上であり、さらに好ましくは、繊維径が4デニール以上である。
(ペン先15の構成)
ペン先15は、その後端部が中綿13の先端部に接触するように、本体軸11の前端側に取り付けられている。ペン先15は、その一部が本体軸11内部に収容されているが、先端部は本体軸11の先端部の穴(図示せず。)から外部に露出している。ペン先15の材質は、特に制限されず、例えば、繊維またはプラスチックである。ペン先15は、インク吐出性を向上させるため、その気孔率が、55%以上75%以下の範囲内となっている。このように、マーキングペン10は、ペン先15の気孔率が比較的高く、ペン先15が樹脂繊維で構成される場合、当該樹脂繊維の密度が低いため、樹脂粒子や着色剤が繊維のすき間に挟まって、ペン先15から吐出されないようにすることを抑制できる。なお、このペン先15の気孔率は、中綿13の気孔率よりも小さいことが好ましい。これにより、強い毛細管力で水性インク組成物中の樹脂粒子をペン先へ誘導することができる。
また、本実施形態の樹脂粒子は、酸化チタン等の無機顔料よりは比重が小さいものの、気候、使用状態、その他の条件によっては、水性インク組成物中の一部の樹脂粒子が中綿13内で沈降する場合もあり得る。たとえこのような場合であっても、本実施形態のインク組成物を用いた筆記具で筆記した場合に、色ムラを極力抑制するため、中綿13およびペン先15が、その材料としてともに樹脂繊維を含み、かつ、中綿13の樹脂繊維の繊維径がペン先15の樹脂繊維の繊維径よりも大きいことが好ましい。通常は、マーキングペンでは、中綿とペン先は、同じ繊維径の樹脂繊維が使用されるが、中綿13の樹脂繊維の繊維径をペン先15の樹脂繊維の繊維径よりも大きくする(より太い繊維を用いる)ことで、より強い毛細管力でインクをペン先へ誘導することができる。その結果、仮に、水性インク組成物中の一部の樹脂粒子が中綿13内で沈降したとしても、より確実に樹脂粒子をペン先15へ誘導して、ペン先15から吐出できる。
[筆記具の製造方法]
上述した構成を有するマーキングペン10は、例えば、以下のように製造することができる。
初めに、中綿13にインク(上述した本実施形態の水性インク組成物)を充填し、染め中綿とする。次いで、この染め中綿を筒状の本体軸11の内部に装填し、本体軸11の後端部を尾栓する。その後、本体軸11の先端部からペン先15を挿入し、先端部にキャップを装填する。ここで、中綿13およびペン先15は、例えば、以下のようにして製造できる。
(中綿13の製造方法)
まず、中綿13の材料となる樹脂繊維(例えば、長繊維)を集束させて繊維集束体とし、捲縮を付与しながら繊維集束体を金型(外被)に送り込み、サイズ調整のために外被の外径を絞りながら加熱融着させる。さらに、融着した繊維集束体を冷却する。冷却した繊維集束体を所望の長さに切断することで、中綿13が製造される。
(ペン先15の製造方法)
複数本の糸(例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の樹脂繊維からなる糸)を束ね、ボビンに巻いた糸をペン先の製造機に通す。製造機に通した糸の集束体に熱を加えて筒状に成形する。次いで、筒状の糸の集束体に結着樹脂(例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等)を含浸させる。樹脂を含浸させた筒状の糸の集束体を乾燥炉等に入れ、樹脂を乾燥・硬化させ、原棒とする。最後に、原棒を所望の長さに切断し、先端を研磨することで、ペン先15が製造される。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
次に、本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
[実験例1]
本実験例1では、以下のようにして実施例1−1〜1−13の水性インク組成物を製造し、製造した水性インク組成物の粘度、白の発色性(隠蔽性)および遅光性を評価した。
(水性インク組成物の製造)
白色顔料として、スチレン系樹脂からなる扁平かつ中空の樹脂粒子(平均粒径:0.4μm)を43.0〜45.0質量%含有する水性樹脂エマルジョンであるFUJI SP SAMPLE 1180(富士色素社製、20℃における比重:1.03)を使用して、以下のようにして水性インク組成物を製造した。なお、上記樹脂粒子は、中央部が陥没した赤血球型の形状を有している。
<実施例1−1>
白色顔料 86.30質量部、アクリル樹脂エマルジョン(商品名:BASFジャパン社製 Joncryl PDX−7100) 7.50質量部、グリセリン 5.00質量部、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名:第一工業製薬社製 ノイゲンP) 1.00質量部、および防腐剤として5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.20質量部を混合し、混合液をIKA撹拌機(機器名:EUROSTAR)を用いて、回転数900〜1000rpmで30分間撹拌することにより、実施例1−1の水性インク組成物を製造した。
<実施例1−2>
白色顔料 76.30質量部、アクリル樹脂エマルジョン(商品名:BASFジャパン社製 Joncryl PDX−7100) 7.50質量部、ブラック顔料ベースインクとしてFUJI SP BLACK 8112(富士色素社製) 10.0質量部、グリセリン 5.00質量部、界面活性剤 1.00質量部および防腐剤 0.20質量部を混合し、混合液を実施例1−1と同じ条件で撹拌することにより、実施例1−2の水性インク組成物を製造した。
<実施例1−3>
白色顔料 66.30質量部、アクリル樹脂エマルジョン(商品名:BASFジャパン社製 Joncryl PDX−7100) 7.50質量部、レッド顔料ベースインクとしてFUJI SP RED 5685(富士色素社製) 20.0質量部、グリセリン 5.00質量部、界面活性剤 1.00質量部および防腐剤 0.20質量部を混合し、混合液を実施例1−1と同じ条件で撹拌することにより、実施例1−3の水性インク組成物を製造した。
<実施例1−4>
白色顔料 81.30質量部、アクリル樹脂エマルジョン(商品名:BASFジャパン社製 Joncryl PDX−7100) 7.50質量部、ペールオレンジ顔料ベースインクとしてFUJI SP ORANGE 645(富士色素社製) 5.00質量部、グリセリン 5.00質量部、界面活性剤 1.00質量部および防腐剤 0.20質量部を混合し、混合液を実施例1−1と同じ条件で撹拌することにより、実施例1−4の水性インク組成物を製造した。
<実施例1−5〜1−11>
着色顔料ベースインクとして、ブラック顔料ベースインクの代わりに、それぞれ、ブルー顔料ベースインクとしてFUJI SP BLUE 6623(富士色素社製)、イエロー顔料ベースインクとしてFUJI SP YELLOW 4399(富士色素社製)、オレンジ顔料ベースインクとしてFUJI SP ORANGE 645(富士色素社製)、バイオレット顔料ベースインクとしてFUJI SP VIOLET 9603(富士色素社製)、ピンク顔料ベースインクとしてFUJI SP PINK 60E(富士色素社製)、ライトブルー顔料ベースインクとしてFUJI SP BLUE 32EおよびFUJI SP BLUE 6623(いずれも富士色素社製)、ライトグリーン顔料ベースインクとしてFUJI SP GREEN 7418およびFUJI SP GREEN 7404(いずれも富士色素社製)を使用した以外は、実施例1−2と同様にして実施例1−5〜1−11の水性インク組成物を製造した。
<実施例1−12>
着色顔料ベースインクとして、レッド顔料ベースインクの代わりに、グリーン顔料ベースインクとしてFUJI SP GREEN 7404(富士色素社製)を使用した以外は、実施例1−3と同様にして実施例1−12の水性インク組成物を製造した。
<実施例1−13>
着色顔料ベースインクとして、ペールオレンジ顔料ベースインクの代わりに、ペールバイオレット顔料ベースインクとしてFUJI SP VIOLET 9603(富士色素社製)を使用した以外は、実施例1−4と同様にして実施例1−13の水性インク組成物を製造した。
(水性インク組成物の評価)
上述したように製造した水性インク組成物のうち、実施例1−1〜1−4の水性インク組成物について、粘度の測定方法および結果、ならびに、白の発色性(隠蔽性)および遅光性の評価方法および結果を示す。
<粘度の測定>
実施例1−1〜1−4の水性インク組成物を25℃に保ち、BLアダプタを用いて30回転で回転させながら、BL型粘時計により測定した。その結果を表1に示す。
<白の発色性(隠蔽性)の評価>
実施例1−1〜1−4の水性インク組成物をブラックノートNFB012−35(PILOT社製)の上にNo.6バーコータを用いて塗布した。水性インク組成物の乾燥後、色差計にて、CIE(国際照明委員会)によるL表色系におけるL値、a値およびb値を測定した。各値としては、色差計での3回の測定値(実測値)の平均値を採用した。また、参照用として、黒紙単体のL値、a値およびb値も同様に測定した。これらの測定結果を用いて、CIE76による色差ΔEを下記式(1)により算出した。
Figure 2019147922
上記式(1)において、ΔL、Δa、Δbは、それぞれ、以下の式により算出した値である。
ΔL=L (測定対象の色のL値)−L (黒紙単体のL値)
Δa=a (測定対象の色のa値)−a (黒紙単体のa値)
Δb=b (測定対象の色のb値)−b (黒紙単体のb値)
以上のようにして得られた色差ΔEの値を用いて、白の発色性(隠蔽性)を以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:ΔEが25以上
△:ΔEが8以上25未満
×:ΔEが8未満
(遅光性)
実施例1−1〜1−4の水性インク組成物をブラックノートNFB012−35(PILOT社製)の上にNo.6バーコータを用いて塗布した。塗布した水性インク組成物の色がそれ以上濃くならなくなった状態(完全発色状態)を目視にて確認し、水性インク組成物の塗布直後から完全発色状態になるまでの時間(完全発色時間)を測定した。このようにして測定した完全発色時間に基づき、遅光性を以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:完全発色時間が2秒以上6秒以下
△:完全発色時間が1秒以上2秒未満
×:完全発色時間が1秒未満、または、6秒超
Figure 2019147922
なお、本発明者は、実施例1−5〜1−13の水性インク組成物の粘度、発色性(隠蔽性)および遅光性についても、実施例1−1〜1−4と概ね同等の評価が得られたことを確認している。
[実験例2]
本実験例2では、以下のようにして実施例2−1〜2−5の中綿式マーキングペンを製造し、このマーキングペンの中綿に実施例1−1の水性インク組成物を含浸させ、インクの吐出性を評価した。
(マーキングペンの製造)
後述する中綿1〜5のそれぞれに実施例1−1の水性インク組成物を充填し、染め中綿とし、この染め中綿を樹脂製の本体軸の内部に装填し、本体軸の後端部を尾栓した。次いで、本体軸の先端部から、後述するペン先1〜3のいずれかを挿入し、先端部にキャップを装填することにより、実施例2−1〜2−5の中綿式マーキングペンを製造した。
<中綿1〜5の製造>
中綿1は、以下のようにして製造した。まず、樹脂繊維としてTW4D(A)を30本集束させて繊維集束体とし、捲縮を付与しながら繊維集束体を円筒形の金型(外被)に送り込み、サイズ調整のために外被を絞っていきながら、外径8φとなるように加熱融着させた。次いで、融着した繊維集束体に、サイズ調整のためのシボリを取り付けながら、繊維集束体を冷却した。さらに、冷却した繊維集束体を85mmの長さに切断することで、中綿1を製造した。中綿1のサイズは、8φ×85mmであり、気孔率は92.5%であり、内容積は3.840cmであった。中綿2〜5は、表2に示す樹脂繊維を表2に示す本数用いること以外は、中綿1と同様にして製造した。中綿2〜5の気孔率と内容積は、表2に示す通りであった。
なお、表2において、「TW4D(A)」とは、4デニールの繊維径のポリエステル長繊維を4本束ねた糸のことを意味している。また、「TW4D(N)」とは、4デニールの繊維径のポリエステル長繊維が1本のみであることを意味している。
Figure 2019147922
<ペン先1〜3の製造>
ペン先1は、以下のようにして製造した。まず、3デニールのポリエステル繊維束を樹脂繊維の糸とし、ボビンに巻いた糸をペン先の製造機に通し、熱を加えて4.5φの筒状に成形した。次いで、筒状の成形体にウレタン樹脂を含浸させた後に、この成形体を乾燥炉に入れ、樹脂を乾燥・硬化させ、原棒を得た。この原棒を22.8mmの長さに切断し、先端を研磨することで、ペン先1を製造した。ペン先1の気孔率は60%であった。ペン先2および3は、表3に示す樹脂繊維を、表3に示す結着樹脂を用いて表3に示すペン先サイズとすること以外は、ペン先1と同様にして製造した。ペン先2および3の気孔率は、表3に示す通りであった。
Figure 2019147922
<実施例2−1>
中綿1に実施例1−1の水性インク組成物を充填し、染め中綿とし、この染め中綿を樹脂製の本体軸の内部に装填し、本体軸の後端部を尾栓した。次いで、本体軸の先端部から、後述するペン先2のいずれかを挿入し、先端部にキャップを装填することにより、実施例2−1の中綿式マーキングペンを製造した。
<実施例2−2>
ペン先2の代わりにペン先3を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−2の中綿式マーキングペンを製造した。
<実施例2−3>
中綿1の代わりに中綿3を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−3の中綿式マーキングペンを製造した。
<実施例2−4>
中綿1の代わりに中綿3を用いたこと以外は、実施例2−2と同様にして、実施例2−4の中綿式マーキングペンを製造した。
<実施例2−5>
中綿1の代わりに中綿4を用い、ペン先2の代わりにペン先1を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−5の中綿式マーキングペンを製造した。
<実施例2−6>
中綿1の代わりに中綿5を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、実施例2−6の中綿式マーキングペンを製造した。
<実施例2−7>
中綿1の代わりに中綿5を用いたこと以外は、実施例2−2と同様にして、実施例2−7の中綿式マーキングペンを製造した。
(インク吐出性の評価)
実施例2−1〜2−7の中綿式マーキングペンを用いて、ブラックノートNFB012−35(PILOT社製)に筆記した際のインク吐出性を以下の基準で評価した。なお、インク吐出性の評価の際には、製造直後の水性インク組成物を用いたマーキングペンのインク吐出性だけでなく、40℃の恒温槽に3ヶ月放置した後の水性インク組成物を用いたマーキングペンのインク吐出性についても評価し、インクの分離、筆記時の色ムラ、筆記の不能等の不具合が生じない場合には、経時安定性が良いと評価した。一方、上記不具合が生じた場合には、経時安定性が悪いと評価した。その結果を表4に示す。
◎ :発色性の低下がなく、ペン先へのインク詰まりがなく、経時安定性が良い
○+:発色性の低下がなく、ペン先へのインク詰まりがないが、経時安定性が悪い
○ :発色性の低下がないが、ペン先へのインク詰まりがある
△ :発色性の低下がある
× :筆記ができない(インクが吐出されない)
Figure 2019147922
なお、本発明者は、実施例1−2〜1−13の水性インク組成物を用いて、実施例2−1〜2−5と同様に中綿式マーキングペンを製造し、これらの中綿式マーキングペンのインク吐出性を評価した結果、実施例2−1〜2−5と概ね同等の評価が得られたことを確認している。
10 (中綿式)マーキングペン
11 本体軸
13 中綿
15 ペン先

Claims (10)

  1. 白色顔料として、スチレン系樹脂からなる扁平かつ中空の樹脂粒子を含有し、
    前記樹脂粒子は、内部に水を包含しており、
    前記樹脂粒子の含有量は、20質量%以上60質量%以下の範囲内である、水性インク組成物。
  2. 前記樹脂粒子の含有量が、25質量%以上50質量%以下の範囲内である、請求項1に記載の水性インク組成物。
  3. 前記樹脂粒子の含有量が、30質量%以上45質量%以下の範囲内である、請求項1に記載の水性インク組成物。
  4. 前記樹脂粒子が、中央部が陥没した形状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  5. 前記樹脂粒子の平均粒径が、0.4μm以上10μm以下の範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  6. 25℃での粘度が、10mPa・s以上25mPa・s以下の範囲内である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  7. 筒状の本体部と、
    前記本体部に内蔵され、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性インク組成物が含浸されるインク吸収体と、
    前記インク吸収体に接触するように、前記本体部の前端側に取り付けられた芯体と、
    を備え、
    前記インク吸収体の気孔率は、80%以上95%以下の範囲内である、筆記具。
  8. 前記芯体の気孔率が、55%以上75%以下の範囲内である、請求項7に記載の筆記具。
  9. 前記インク吸収体が樹脂繊維を含み、
    前記樹脂繊維の繊維径が、3デニール以上5デニール以下の範囲内である、請求項7または8に記載の筆記具。
  10. 前記インク吸収体および前記芯体が樹脂繊維を含み、
    前記インク吸収体の樹脂繊維の繊維径が、前記芯体の樹脂繊維の繊維径よりも大きい、請求項7〜9のいずれか一項に記載の筆記具。
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