JP3903619B2 - 筆記具用油性インキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ収容部を有し、このインキ収容部内のインキを外部から視認する事が出来るボールペン、マーキングペンなどの筆記具に好適に用いられる筆記具用油性インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筆記具には、筆記具本体である軸筒の一端にペン先を取り付け、軸筒内部にインキ収容部を形成し、インキ収容部内のインキをペン先に導出する、所謂インキ内蔵型筆記具や、軸筒の内部をインキ収容部となし、その一端にペン先を取り付けたもの(所謂、リフィル)を筆記具本体である軸筒の中に挿入、固定して用いる、所謂リフィル型筆記具といったものが知られている。
上記の筆記具は、そのインキ残量が外から確認できるように、筆記具本体の軸筒や、リフィルの軸筒を透明又は半透明な材質で形成したり、軸筒の一部を透明又は半透明となしたりしている。
このような筆記具に用いられる油性インキは、着色材と有機溶剤とを主成分としている。
【0003】
着色材に油溶性染料を使用した場合、液体状態のインキ中に入射した光は染料に吸収されてしまい、筆記具の外から見たインキ収容部中のインキの色は筆跡と非常に異なってしまう。例えば、青色、緑色、黄緑色、空色、紫色、茶色などは黒色と区別がつきにくく、橙色、桃色などは、赤色と区別がつきにくい。
そこで、通常は、尾栓やキャップ等を筆跡と同じ色にすることによってインキの色表示を行なうことがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に、インキ残量が外から確認できるように、筆記具本体の軸筒や、リフィルの軸筒を透明又は半透明な材質で形成したり、軸筒の一部を透明又は半透明となしたりしている筆記具に染料インキを用いた場合、インキ収容部内のインキの色が青色や緑色が黒色と区別がつきにくいのでは、店頭などでの展示効果が低く、美観が低いという欠点がある。また、尾栓やキャップを各色揃えなければならなくコストアップに繋がりやすいという問題もある。
そこで本発明は、外部よりインキ色の視認が可能な筆記具用油性インキを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、インキ収容部を有し、このインキ収容部内のインキを外部から視認することが可能な筆記具に用いる筆記具用油性インキにおいて、前記油性インキが、油溶性染料と、粒子径が0.06μm以下である酸化チタンと、有機溶剤とを含むことを特徴とする筆記具用油性インキを要旨とするものである。
【0006】
以下、詳細に説明する。
本発明に係るインキ収容部を有し、このインキ収容部内のインキを外部から視認することが可能な筆記具は、上記したように筆記具本体である軸筒内に直接インキ収容部を形成した所謂インキ内蔵型であってもよいし、軸筒内をインキ収容部となし、一端にペン先を取付けたリフィルを筆記具本体である軸筒内に挿入、固定する所謂リフィル型であってもよい。更には、インキ収容部内に繊維収束体などのインキ吸蔵体を配置したものであってもよい。
筆記具の外部からインキ収容部内のインキが見えるようにするためには、所謂インキ内蔵型の場合、本体である軸筒を透明又は半透明な材質で成形することが必要であり、リフィル型の場合、リフィル及び筆記具本体を透明又は半透明な材質で成形することが必要である。勿論、リフィルや筆記具本体の一部のみを透明又は半透明となしてもよい。この透明又は半透明な材質としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネイト、ポリブタジエン、アイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸繊維素樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、エチレン酢ビコポリマー、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂の透明或は半透明のグレードのものをそれぞれ使用できる。尚、上記リフィルや筆記具本体の軸筒は横断面が円形だけでなく、楕円形や四角など異形であってもよい。
【0007】
油性インキに用いる油溶性染料は、着色材であり、従来公知の造塩染料や油溶性染料などが使用できる。
油溶性染料としては、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株)製)、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株)製)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.社製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、独国、BASF社製)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701(以上、オリエント化学工業(株)製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)などが例示できる。
更に、C.I.ベーシックブルー1、同7、同8、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、C.I.ベーシックレッド1などの塩基性染料と、C.I.アシッドイエロー23、同36などから選ばれる酸性染料との造塩染料なども用いることができる。
上記例示した油溶性染料は、1種又は2種以上混合して使用でき、その使用量は筆記具用油性インキ全量に対して0.2〜45重量%が好ましい。
【0008】
酸化チタンは、本筆記具用油性インキの色を外から視認できるよう用にするために使用するものであって、市販されている酸化チタンが使用出来る。又、粒子径は0.06μm以下が好ましく、それ以上大きいと酸化チタンの沈降が起こり層分離してしまう。その具体例としては、ナノテック(粒子径:0.06μm、シーアイ化成(株)製)などが挙げられる。その使用量は油性インキ全量に対して固型分で1〜20重量%が好ましい。20重量%より多いとそれ以上の効果は認められず,1重量%より少ないと効果が認められない。
【0009】
有機溶剤は、保湿又は溶解性などのために使用するものであり、その具体例をあげると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、チオジグリコール等のグリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等の油溶性有機溶剤を単独または2種以上混合して使用することができる。その使用量は筆記具用油性インキ全量に対して、30〜95重量%が好ましい。
【0010】
更に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリプロピレンオキサイド等の油溶性合成高分子物質、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、シェラック、ケトン樹脂などの粘度調整剤又は酸化チタンの分散安定剤や、樹脂などの筆跡保護剤を使用することができる。
【0011】
その他、界面活性剤、香料、消泡剤などの添加剤を必要に応じて1種又は2種以上混合して用いることもできる。
【0012】
本発明の筆記具用油性インキは、従来公知の撹拌機を用い上記成分を撹拌混合することで容易に得ることができる。
【0013】
【作用】
本発明に係る油性インキに用いている酸化チタンは、光散乱能力が高い。従って、本筆記具用油性は、インキ中に入射した光が酸化チタンによって反射されるので、染料インキであっても外部から見て色の視認性に優れたインキになっていると推測される。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0015】
上記成分を撹拌機で加熱撹拌(80℃、4時間)した後、温時圧濾過し黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0016】
実施例2
S.P.T.オレンジ6(染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 15重量部
スピロンレッドC−GH(染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 15重量部
スピロンイエローC−2GH(染料、保土ヶ谷化学工業(株)製)3重量部
ヘキシレングリコール 20重量部
ベンジルアルコール 16重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10重量部
ハロン110H(前述) 5重量部
ポリビニルピロリドン 1重量部
ナノテック(酸化チタン) 15重量部
上記成分を撹拌機で加熱撹拌(70℃、6時間)した後、温時圧濾過し赤色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0017】
実施例3
上記成分を撹拌機で加熱撹拌(80℃、3時間)した後、温時圧濾過し青色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0018】
実施例4
バリファーストブルール−#1605 7重量部
スピロンイエローC−2GH 3重量部
ノルマルプロピルアルコ−ル 71重量部
ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル 5重量部
ハロン80 10重量部
ナノテック(酸化チタン) 4重量部
上記各成分を配合し、撹拌機で2時間撹拌し緑色の油性インキを得た。
【0019】
上記各成分を配合し、撹拌機で2時間撹拌し赤色の油性インキを得た。
【0020】
比較例1
実施例1において、ナノテックを除きその分ベンジルアルコールを加えた以外、実施例1と同様になして黒色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0021】
比較例2
実施例2において、ナノテックを除きその分ベンジルアルコールを加えた以外、実施例2と同様になして赤色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0022】
比較例3
実施例3において、ナノテックを除きその分ベンジルアルコールを加えた以外、実施例3と同様になして青色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0023】
比較例4
実施例4において、ナノテックを除きその分ベンジルアルコールを加えた以外、実施例4と同様になして緑色の油性インキを得た。
【0024】
比較例5
実施例5において、ナノテックを除きその分ベンジルアルコールを加えた以外、実施例5と同様になして赤色の油性インキを得た。
【0025】
上記、実施例1、2、3及び比較例1、2、3で得られた油性インキは、リフイル型筆記具である市販のボールペン(製品符号:BK70、ぺんてる(株)製、インキ収納部材質はポリプロピレン、本体軸筒材質はアクリロニトリル・スチレン共重合樹脂であり、どちらも透明である。)に充填し、実施例4、5及び比較例4、5で得られた油性インキは、インキ内蔵型筆記具である市販の油性マーカー(ダンク、製品符号:NLF50、ぺんてる(株)製、インキ収納部材質:ポリプロピレンで透明である)に充填した。外観より、インキの色調を目視で確認したところ、実施例1〜5は、それぞれ筆跡と同等の色調であったが、比較例1、2,3はそれぞれ黒、赤、青であるが外観上区別出来ず、比較例4,5も緑、赤であるが外観上区別出来なかった。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の筆記具用油性インキは、従来の染料を用いた筆記具用油性インキと異なり、外部よりインキの視認が可能な生インキ式筆記具に使用した場合、インキ色の視認性に優れたものであるので、店頭などでの展示効果が高く、美観が良好であるといった長所を有している。
Claims (1)
- インキ収容部を有し、このインキ収容部内のインキを外部から視認することが可能な筆記具に用いる筆記具用油性インキにおいて、前記油性インキが、油溶性染料と、粒子径が0.06μm以下である酸化チタンと、有機溶剤とを含むことを特徴とする筆記具用油性インキ。
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- 1998-11-30 JP JP33903898A patent/JP3903619B2/ja not_active Expired - Fee Related
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