JP7441762B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、ペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを筆記具に備えた注入機構により注入することで、筆記しながら描線の濃度若しくは色相を変化させ、筆記履歴などを判別したりすることができる筆記具に関する。
一般に、フェルトペン、サインペン、マーカーなどの筆記具の多くは、使い捨てのものが主流であり、インクを消費しきった段階で捨てられており、インクだけを再度補充して引き続き使いたいというニーズがある。
このような筆記具などとしては、例えば、特許文献1には、インクタンクと、インクタンクに収納されたインクと、筆記部と、筆記時にインクが流通するインク流路が形成した弁機構からなる筆記具において、第1の流路とは異なる箇所で第2の流路を設け、インク補充には、双方の流路を開放して外部とインクタンクを連通させ、第1の流路と第2の流路のいずれか一方の流路を経由してインクを補充する共に、他方の流路から空気を放出して、インクを補充可能とし、しかも、インクの補充は筆記具とは別体の補充具とセットになった筆記具セットが開示され、
また、特許文献2には、インクを含浸状態に保持可能なペン先と、先端部において前記ペン先を突出状態に保持する軸筒部材と、前記軸筒部材内に設けられ、前記ペン先との間でインク流通可能なインク保持体と、を有するインクペンに対してインクを補充するためのインク補充器具であって、インクが液体状態で貯留されるインク容器本体部と、前記インク容器本体部から延出するように設けられた管状インク連通部材と、前記管状インク連通部材の延出側端部を覆うように設けられた中詰部材と、前記中詰部材を覆うと共にペン先用開口部を有する被覆部と、前記ペン先用開口部を開閉可能に塞ぐキャップ部材と、を備えたことを特徴とするインク補充器具が開示されている。
更に、特許文献3には、第1マーカーペンから第2マーカーペンにインクまたは染料などを運ぶための装置であって、連結部材を使用することで接触させ、インクを交換する技術が開示され、
また、特許文献4には、塗布具の本体と、塗布部を本体の先端から突き出させて設けられる塗布芯と、塗布芯の基部に接触すると共に、筆記用或いは化粧用の塗布液を保持しうる柱状の第一液保持体と、塗布芯の塗布部を被装するキャップと、キャップで塗布部を被装した状態でその塗布部と接触しうる柱状の第二液保持体と、からなるペン型塗布具において、上記第一液保持体の外周面に隙間を形成させ、上記本体との該隙間が第一液保持体の両端間を結ぶ空気路となると共に、該空気路が塗布部の周囲に形成される本体の空気路口と連通し、また上記第二液保持体の外周面に隙間を形成させて、上記キャップとの該隙間が第二液保持体の両端間を結ぶ空気路となると共に、上記キャップで塗布部を被装した状態で該空気路が上記本体の空気路口と連通しうることを特徴とするペン型塗布具が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1~3に開示の筆記具やインク補充具などは、ペン先へのインクの補充の際に、特定の部材ないしペン体が必要であり、また、そのインク補充方法なども煩雑兼複雑であることから、思い立ってからすぐ充填できない、また、充填後すぐに使用できないなどの課題があるのが現状である。
上記特許文献4に開示のペン型塗布具は、本発明の近接技術を開示するものであるが、塗布後にキャップを装着すると、自動的にキャップ内の第二液保持体から同濃度の塗布液が塗布具本体の第一液保持体へ毛管力により補充されて長時間の安定した塗布或いは筆記ができるものであるが、筆記描線の濃度若しくは色相を変化させるものでなく、また、使用者の操作により補充(注入)するものでなく、本発明とは技術思想(構成及びその作用効果)が異なるものである。
一方、特許文献5には、インク収容管内に、2種以上の相異なる色調の剪断減粘性水性顔料インクを充填して、インクの消費につれて段階的に色彩の異なる筆跡を描くことができる多色水性ボールペンが開示され、特許文献6には、時間の経過の後も、安定して、グラデーション効果の高い筆跡を与える中芯式多色マーキングペンとそのためのインクが開示され、特許文献7には、筆跡の色が複数色のマーブル模様を形成したり、筆記の途中で筆跡の色が変化したり、多色の筆跡を形成することを可能とする水性ボールペン用レフィールが開示されている。
更に、特許文献8には、キャップが挿入された際にフェルトペン先と接し毛管現象によりペン本体に内蔵された中綿に含浸されたインクを吸引可能な吸収体が内部に嵌込まれているキャップを備えたフェルトペンにおいて、前記吸収体がインクに含有されたアルミフレーク、ガラスフレーク、酸化チタン、パールなどの粒径が大きく比重の重い含有物を吸引、保持しうることを特徴とするフェルトペンが開示されている。
上記特許文献5~7は、インク収容管内に2種以上の異なる色調等のインクを各形態毎に充填したものであり、また、上記特許文献8は、キャップ内に嵌め込まれた吸収体により、インクに含有されたアルミフレーク、酸化チタン、パールなどの粒径が大きく比重の重い含有物を吸引、保持しうるものである。これらの各特許文献5~8は、ペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを筆記具に備えた注入機構により注入するものでなく、本発明とは技術思想(構成及びその作用効果)が異なるものである。
特開2011-173340号公報(特許請求の範囲、図14、図15等) 特開2017-114100号公報(特許請求の範囲、図3等) 特表2008-526542号公報(特許請求の範囲、図1~図4) 特開2004-9381号公報(特許請求の範囲、図1~図4) 特開平9-267593号公報(特許請求の範囲、図1等) 特表2004-27081号公報(特許請求の範囲、図1等) 特開2019-206118号公報(特許請求の範囲、図1) 実用新案登録第3141860号公報(実用新案登録請求の範囲、図1~図4)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状などに鑑み、これを解消しようとするものであり、簡便な操作によってペン先側に別インクを注入(補充)し、筆記描線の色相若しくは濃度を変化させることにより、筆記者が筆記後に筆記した履歴などを把握できる筆記具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために鋭意検討した結果、インクを含浸状態に保持可能なペン先と、先端部において前記ペン先を突出状態に保持する軸筒部材と、前記軸筒部材内に設けられ前記ペン先との間でインク流通可能なインク保持体と、前記ペン先を包囲するキャップとを有する筆記具であって、該筆記具内にペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを注入する注入機構などを設けることにより、上記目的の筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具は、インクを含浸状態に保持可能なペン先と、先端部において前記ペン先を突出状態に保持する軸筒部材と、前記軸筒部材内に設けられ前記ペン先との間でインク流通可能なインク保持体と、前記ペン先を包囲するキャップとを有する筆記具であって、該筆記具にペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを注入する注入機構と操作部とが設けられ、該操作部を操作して注入することにより筆記描線の濃度若しくは色相を変化させることを特徴とする。
前記注入機構は、インク保持体を有するキャップ内に配置され、キャップに設置された操作部を操作することにより、ペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを注入することが好ましい。
前記軸筒部材内に搭載されたインクと注入機構に搭載されたインクとは、同系統の色相で、濃度が異なることが好ましい。
前記注入機構は、インクを注入するための操作時間によって、注入するインク量が決定されることが好ましい。
本発明によれば、筆記具に設けられた操作部を操作することにより、ペン先側に濃度若しくは色相が異なる別インクを注入することができると共に、注入された状態で筆記をすることで濃度若しくは色相が変化した筆記描線を得ることができ、筆記者が筆記した順番・履歴などを把握することができる筆記具が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
本発明の実施形態の一例を示す筆記具の非補充時の概略縦断面図である。 図1の非補充時の要部拡大断面図である。 本発明の実施形態の一例を示す筆記具の補充時の概略図である。 図3の補充時の要部拡大図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1~図4は、本発明の実施形態の一例を示す筆記具を示す各図面であり、図1は筆記具の非補充時の概略縦断面図、図2は図1の非補充時の要部拡大断面図、図3は筆記具の補充時の概略図、図4は図3の補充時の要部拡大図である。
本実施形態の筆記具Aは、図1~図4に示すように、筆記具本体となる軸部材10と、該軸部材10内に収容されるインクを貯留するインク保持体20と、ペン先30と、該ペン先30を包囲するキャップ40とを備えており、前記軸部材10の先端部に固着した先軸15を介してペン先30を突出状態に保持すると共に、前記キャップ40を軸部材10の一方の端部に着脱自在に取り付けられる構成となっている。
筆記具本体となる軸部材10は、筒状に形成されており、例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(以下、上記各々の樹脂を単に「各樹脂」という)等で形成されるものであり、先端部方向はペン先30を保持する先軸15を取り付けるための先細状の保持部11が一体に形成されており、他方の後端側の開口部12には尾栓13が嵌合により固着されている。この軸部材10内にはインクを貯留するインク保持体20を収容している。
先軸15は、棒状のペン先30の筆記部となる先端側31を突出状態に固着保持すると共に、後方側32はインク保持体20の前方側に挿着されている。この先軸15は、軸部材10の保持部11に嵌合により固着されている。
インク保持体20は、水性インク、油性インク、熱変色性インクなどの筆記具用インク組成物を含浸したものであり、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる繊維束、フェルト等の繊維束を加工したもの、また、スポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体を含むものである。このインク保持体20は、上記筆記具本体となる軸部材10に収容される構成となっている。
インク保持体20に含浸させる筆記具用インク組成物の組成は、特に限定されず、筆記具(サインペン、マーキングペン、フェルトペンなど)の用途等に応じて、水性インク、油性インク、熱変色性インクなどの好適な配合処方とすることができ、例えば、アンダーラインペン等ではインクに蛍光色素、例えば、ベーシックバイオレット11、ベーシックイエロー40などを用いることができ、また、熱変色性マイクロカプセル顔料などを含有させることができる。
本発明において、インク保持体20に含浸させる好ましい筆記具用インク組成物としては、少なくとも、着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性溶剤と、水とを含有するものが挙げられる。この着色樹脂微粒子の分散液としては、少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子であって、前記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量が着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、30質量%以上であると共に、前記塩基性染料又は油溶性染料の含有量が全ポリマー成分に対して、15質量%以上である着色樹脂微粒子が水に分散されているものが挙げられる。
用いる(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーは、内包可能な染料の量を多くしても、色の濃い発色性に優れる安定な着色樹脂微粒子が得られる点、並びに、得られる着色樹脂微粒子が筆記具用などの色材として十分な描線の濃度となる点などから好ましく用いるものである。
なお、上記「(メタ)アクリル酸」の表記は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を表す。また、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの製造法は、既知であり、従来の製法、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルは、(メタ)アクリル酸と、シク
ロヘキサノールとを無機酸、有機スルホン酸、強酸性イオン交換樹脂等の触媒を用いてエステル化するエステル化法や、チタンや錫等を含む有機金属化合物を触媒に用いるエステル交換法により、製造することができる。
上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの他に、更に、発色性に優れる着色樹脂微粒子を得る点等から、好ましくは、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー以外の疎水性ビニルモノマー、水性モノマーを用いることができる。
疎水性ビニルモノマーとしては、例えば、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー以外のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン類などの少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
用いることができる疎水性ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、スチレン、メチルスチレン等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
用いることができる水性モノマーとしては、例えば、グリセリンモノメタクリレート、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-プロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-テトラメチレングリコール-モノメタクリレート、プロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノメタクリレート等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
用いる塩基性染料としては、例えば、ジ及びトリアリールメタン系染料;アジン系(ニグロシンを含む)、オキサジン系、チアジン系等のキノンイミン系染料;キサンテン系染料;トリアゾールアゾ系染料;チアゾールアゾ系染料;ベンゾチアゾールアゾ系染料;アゾ系染料;ポリメチン系、アゾメチン系、アザメチン系等のメチン系染料;アントラキノン系染料;フタロシアニン系染料等の塩基性染料などの少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、水溶性の塩基性染料が望ましい。
用いることができる具体的な塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロー(-1,-2,-9,-80等)、C.I.ベーシックオレンジ(-1,-2,-7,-34等)、C.I.ベーシックレッド(-1,-2,-3,-53等)、C.I.ベーシックバイオレット(-1,-2,-3,-39等)、C.I.ベーシックブルー(-1,-2,-5,-88等)、C.I.ベーシックグリーン(-1,-4,-6,-10等)、C.I.ベーシックブラウン(-1,-2,-4,-15等)、C.I.ベーシックブラック(-1,-2,-7,-8等)などのCOLOR INDEXに記載されている各No.の各色の染料が挙げられる。
また、これらの市販品も使用することができ、黄色塩基性染料では、AIZEN CATHILON YELLOW GLH(保土谷化学工業社製の商品名)等、赤色塩基性染料では、AIZEN CATHILON RED BLH、AIZEN CATHILON RED RHなど(以上、保土谷化学工業社製の商品名)、Diacryl Supra Brilliant Red 2Gなど(三菱化学社製の商品名)、Sumiacryl Red B(住友化学社製の商品名)等、青色塩基性染料では、AIZEN CATHILON TURQUOISE BLUE LH(保土谷化学工業社製の商品名)等、緑色塩基性染料では、Diacryl Supra Brilliant Green 2GL(三菱化学社製の商品名)等、茶色塩基性染料では、Janus Brown R(日本化学社製の商品名)、AIZEN CATHILON BROWN GH(保土谷化学工業社製の商品名)等が挙げられる。
また、用いる油溶性染料としては、一般に市販されているモノアゾ、ジスアゾ、金属錯塩型モノアゾ、アントラキノン、フタロシアニン、トリアリールメタン等が挙げられる。また、酸・塩基性染料等の官能基を疎水基で置換した造塩タイプ油溶性染料も使用することができる。
黄色系としては、C.I.ソルベントイエロー114、116;オレンジ系としては、C.I.ソルベントオレンジ67;赤色系としては、C.I.ソルベントレッド122、146;青色系としては、C.I.ソルベントブルー5、36、44、63、70、83、105、111;黒色系としては、C.I.ソルベントブラック3、7、27、29;等がそれぞれ挙げられる。
具体的な市販油溶性染料としては、青染料SBNブルー701(保土谷化学工業社製)、青染料オイルブルー650(オリエント化学工業社製)、青染料サビニールブルーGLS(クラリアント社製)、赤染料SOC-1-0100(オリエント化学工業社製)、オイルブラック860、オイルピンク314、オイルイエロー3G、バリファストピンク2310N、同レッド3312、同イエローCGHNnew、同イエロー1108、同ブラック3830(オリエント化学工業社製)等を挙げることができる。
用いる着色樹脂微粒子の分散液は、少なくとも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、塩基性染料又は油溶性染料とで構成される着色樹脂微粒子が水に分散されているものであり、その製造法としては、例えば、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーに、または、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーとこれ以外の疎水性ビニルモノマーなどを含む混合モノマーに、上記塩基性染料又は油溶性染料を溶解し、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などを重合開始剤として、また還元剤を更に併用した重合開始剤とし、更にトリアリルイソシアヌレート、イソシアヌル酸トリアリル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ジトリメチロールプロパンアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、メトキシ化ビスフェノールAメタクリレート、ペンタエリスリトールメタクリレート、ジトリメチロールプロパンメタクリレート、ジペンタエリスリトールメタクリレート、エトキシ化ポリグリセリンメタクリレートなどの架橋剤や、必要に応じて、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)-アルキルエーテル硫酸アンモニウム、エーテルサルフェート、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、ポリアクリル酸アンモニウム、スチレン-マレイン酸コポリマーアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などの重合性界面活性剤(乳化剤)を用いて乳化重合することなどにより製造することができる。また、上記染色は重合と同時に行ったが、重合後に塩基性染料又は油溶性染料を溶解して染色を行っても良い。
上記トリアリルイソシアヌレートなどの架橋剤を用いると、着色樹脂微粒子の耐熱性、機械的特性、耐加水分解性、耐候性が向上できるので好ましい。
上記乳化重合の際には、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーなどに、更に、ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーなどを適宜量混合して乳化重合を行ってもよい。このジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーを更に、混合して乳化重合したものでは、分散液中の水分が揮発したとしても安定性が損なわれにくく、更に安定性に優れた水性インク用の着色樹脂微粒子の分散液などが得られるものとなる。
用いることができるジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーには、ジシクロペンタニルアクリレートモノマー、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートモノマー、ジシクロペンテニルメタクリレートを含むものである。
また、上記乳化重合の際には、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー、これ以外の上記疎水性ビニルモノマーなど、上記ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーの他に、エポキシ基、ヒドロキシメチルアミド基、イソシアネート基などの反応性架橋基を有するモノマーや2つ以上のビニル基を有する多官能性モノマーを適宜量配合して架橋してもよい。
前記着色樹脂微粒子を構成するポリマー成分のうち、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は、着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、30質量%以上であることが必要であり、好ましくは、30~95質量%、更に好ましくは、30~70質量%であることが望ましい。
なお、上記「全ポリマー成分」とは、着色樹脂微粒子を構成する重合性成分をいい、具体的には、用いる(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと、用いる他のモノマー成分と、後述する架橋剤の合計量をいう。
上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量を全ポリマー成分に対して、30質量%以上とすることにより、本発明の効果を発揮せしめることができ、一方、この含有量が30質量%未満であると、経時安定性が劣ることとなり、好ましくない。
また、前記水性インク用着色樹脂微粒子を構成するポリマー成分のうち、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー以外の他のモノマー成分の含有量は、用いる(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと後述する架橋剤との合計量の残部となるものである。
好ましくは、他のモノマー成分の含有量は、本発明の効果を更に発揮せしめる点、分散性の点、反応性の点から、全ポリマー成分に対して、5~85質量%とすることが望ましい。
上記塩基性染料又は油溶性染料の含有量は、発色性、十分な描線濃度を得る点、安定性などの点から、全ポリマー成分に対して、好ましくは、15質量%以上とすることが必要であり、好ましくは、15~50質量%、更に好ましくは、15~40質量%とすることが望ましい。
この染料の含有量を15%以上とすることにより、十分な発色性、十分な描線濃度を発揮せしめることができ、一方、染料の含有量が15質量%未満であると、発色性が十分でないものとなる。
上記必要に応じて用いることができる重合性界面活性剤としては、上記乳化重合に通常用いられる重合性界面活性剤であれば特に制限はないが、例えば、重合性界面活性剤としては、アニオン系またはノニオン系などの重合性界面活性剤であり、アデカ(株)製のアデカリアソープNE-10、同NE-20、同NE-30、同NE-40、同SE-10N、花王(株)製のラテムルS-180、同S-180A、同S-120A、三洋化成工業(株)製のエレミノールJS-20、第一工業製薬社製のアクアロンKH-10などの少なくとも1種が挙げられる。これらの重合性界面活性剤の使用量は、上記モノマー全量に対して、0~50質量%、好ましくは、0.1~50質量%が望ましい。
また、上記トリアリルイソシアヌレートなどの架橋剤の含有量は、上記モノマー全量に対して、0~50質量%、好ましくは、0.1~25質量%が望ましい。
好ましい態様としては、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーに、上述の塩基性染料又は油溶性染料を溶解し、乳化重合することにより、または、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマーと他のモノマー成分を含む混合モノマーの重合後に塩基性染料又は油溶性染料を溶解して染色することにより、樹脂固形分として20~50質量%の着色樹脂微粒子が水に分散されている水性インク用着色樹脂微粒子の分散液が得られることとなる。
この着色樹脂微粒子の分散液は、従来よりも十分な発色性、経時安定性などに優れた機能を有する色材となるものであり、本発明の筆記具、例えば、サインペンやマーキングペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物の色材として有用となるものである。
また、得られる水性インク用着色樹脂微粒子の分散液における着色樹脂微粒子の平均粒子径は、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルモノマー、用いる他のモノマー種、含有量、重合の際の重合条件等により変動するものであるが、好ましくは、20~300nm、更に好ましくは、40~150nm、更に好ましくは、60~110nmであることが望ましい。
上記好ましい平均粒子径の範囲とすることにより、サインペンやマーキングペンなどの筆記具のペン先において目詰まりすることなく、更に、保存安定性などに優れたものとなる。
なお、本発明で規定する「平均粒子径」は、散乱光強度分布によるヒストグラム平均粒子径であり、本発明(後述する実施例を含む)では、粒度分布測定装置〔FPAR1000(大塚電子社製)〕にて、測定した値D50の値である。
本発明の筆記具において、インク保持体20に含浸させる好ましい筆記具用インク組成物は、少なくとも、上記構成の着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性有機溶剤と、水とを含有するものである。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジ オール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル1,3-ブタンジオール、2メチルペンタン -2,4-ジオール、3-メチルペンタン-1,3,5トリオール、1,2,3-ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどのグリセロール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどのグリコールの低級アルキルエーテル、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダリジノンなどの少なくとも1種が挙げられる。
その他にも、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトン類などの水溶性溶剤を混合することもできる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具種により変動するものであり、インク組成物全量に対して、1~40質量%、描線乾燥性を更に向上させる点から、10質量%以下としたインク組成に対して特に有効であり、より好ましくは、3~8質量%とすることが望ましい。
水(水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水、純水など)の含有量は、インク組成物全量に対して30~90質量%が好ましく、より好ましくは40~60質量%である。
また、着色樹脂粒子の含有量は、筆記具種、流出機構(ペン芯、ボールペン)等により変動するものであるが、固形分量で、筆記具用水性インク組成物全量に対して、1~30質量%が好ましい。
好ましく用いる上記筆記具用水性インク組成物には、必要に応じて防腐剤もしくは防黴剤、pH調整剤、消泡剤などを適宜選択して使用することができる。
例えば、pH調整剤として、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、トリポリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などの少なくとも1種が挙げられる。
防腐剤もしくは防黴剤として、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2-ベンズイソチアゾリン3-オン、2,3,5,6-テトラクロロ-4(メチルフォニル)ピリジン、安息香酸やソルビン酸やデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩、ベンズイミダゾール系化合物などの少なくとも1種が挙げられる。
潤滑剤としてリン酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリアルキレングリコール誘導体、脂肪酸アルカリ塩、ノニオン系界面活性剤、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのフッ素系界面活性剤、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物などのポリエーテル変性シリコーンなどの少なくとも1種が挙げられる。
本発明において、インク保持体20に含浸させる好ましい筆記具用水性インク組成物は、上記構成の水性インク用着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性溶剤、その他の各成分などを筆記具用(サインペン用、マーキングペン用等)インクの用途に応じて適宜組み合わせて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の撹拌機により撹拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって調製されることとなる。
ペン先30は、図1に示すように、先端側が筆記部31となるものであり、例えば、樹脂からなる繊維束芯の一端を半円球状に研磨して得ることができるが、紙面等に筆記可能な形状であれば、特に限定されず、例えば、ボールペンのペン先であってもよいものである。
このペン先30は、インク保持体20に含浸される筆記具用インク組成物を毛管力により先端側の筆記部31に効率よく供給するものである。
キャップ40は、図1及び図2に示すように、ペン先30を包囲すると共に、ペン先30側から濃度若しくは色相が異なる別インクを注入する注入機構と操作部とを有する構成となっている。
すなわち、このキャップ40は、ペン先30側から濃度若しくは色相が異なる別インクの注入を行うための操作部41と、インクを液体状態で貯留できる注入機構となるインク保持具45と、操作部41を後方に付勢させるための弾発体42と、それらを覆うためのキャップ上部43と、キャップ上部43と連結しかつ軸部材10の先端側外周部14と着脱自在に取り付けるための部材となるキャップ下部44とから構成されている。
操作部41は、凹状で、閉鎖部となる頂部41aが押圧部となるものであり、内部の筒状部41bにインク保持具45の略半分を収納保持するものであり、外周部に段部41cが形成されている。この段部41cに、キャップ上部43の一方の端部となる開口した取付部43aが取り付けられており、他方の端部となる開口部43bはキャップ下部44の縮径となる縮径部44aの周状段部44bに嵌合により固着されている。この縮径部44a内に前記インク保持具45の下段部側を保持している。
前記弾発体42は、コイル状となっており、インク保持具45の外周に装着されている。このコイル状の弾発体42は、操作部41の下端側となる端部面41dと縮径部44aの上端側の端部面44cに保持されることとなる。
このキャップ40の構成により、キャップ40の一端は、操作部41の頂部41aで閉鎖され、他端は開口部44dとなっており、軸部材10と嵌合、圧入などにより着脱自在となっている。本実施形態では、使用者の操作の簡便さの観点から、好ましくは嵌合で着脱自在することが望ましく、図2の図示符号44e…は嵌合片である。
インク保持具45は、注入機構を構成するものとなり、上記インク保持体20と同様に、上述の筆記具用インク組成物を含浸したものであり、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる繊維束、フェルト等の繊維束を加工したもの、また、スポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体等から構成されている。
本実施形態では、これらの繊維束や多孔体を保護する点等から、その外周部には、図示しないが樹脂製の薄肉状の外筒体を有している。
このインク保持具45に含浸されるインクは、上述のインク保持体20に含浸されるインク、すなわち、少なくとも、着色樹脂微粒子の分散液と、水溶性溶剤と、水とを含有するものを用いることができ、前記軸筒部材10内のインク保持体20に搭載されたインクと注入機構となるインク保持具45に搭載されたインクとは、使用目的などにより、濃度若しくは色相が異なる別インクとするものであるが、同系統の色相で、濃度が異なるものが好ましい。上記「同系統の色相」としては、例えば、24等分にされた色相環において、インク色を群青色(色相:240°)としたときに、インク保持具45に搭載されたインクは隣接した色相、〔色相:225°、コバルトブルー、または、色相:255°、ヒヤシンス〕とするものなどが挙げられる。
また、操作部41は、使用時の直感的な観点から、インク保持具45に貯留されたインクと同系統の色で着色されていることが望ましい。
図3は、図1、図2で示した筆記具Aにおいて、操作部41を押圧しインクをペン先30から注入(補充)した際の状態図であり、図4は補充時の要部拡大図である。
インク注入方法について説明すると、注入時には、筆記具の前方、ペン先30を略上方に向け、キャップ40におけるキャップ下部44と軸筒部材10の先端内筒面とを略嵌合し相互に固定されると同時に、操作部41を押圧することで、操作部41に連結されたインク保持具45が連動し、ペン先30の筆記部31と接続することでインク保持具のインクをペン先30に毛管力により注入(補充)することができる。また、操作部41を押圧することで、操作部41とキャップ上部43の間に空気の流通可能な隙間流路が形成される。このことからキャップ40内部の空気が大気に開放され、吸引動作などをせず連続的にインクが注入(補充)することができる構成となっている。
本実施形態では、軸筒部材10に中綿となるインク保持体20を備えたフェルトペン、サインペン、マーカーなどの筆記具において、キャップ40に別途中綿などのインク貯留部となるインク保持具45を設け、キャップ40の注入機構45と操作部41とによりペン先30側からインクを注入(補充)するできるものとなる。
キャップ40は、キャップ上部43、キャップ下部44により、全体が円筒状の胴部となり、内部の弾発体42により後端に付勢された操作部41と操作部41に接続されたインク貯留部となるインク保持具45によって構成されており、前記軸筒部材10にキャップ40が装着されている際は、軸筒部材10とインク保持具45とは接続せず、インクの補充は行われず、また、この時弾発体42により後端に付勢した操作部41と円筒状の胴部の間に空気流路は閉鎖されていることから、操作時以外はシールされる構成となっている。
また、キャップ40のインクをペン先30に補充する際は、キャップ40を軸筒部材10に装着した状態で、キャップ40の先端にある操作部41を押圧することにより、操作部41に接続されたインク保持具45がペン先30と接触することでキャップ40のインク保持具45のインクが軸筒部材10のペン先30に注入されることとなる。
このインク保持具45に充填されたインクとインク保持体20に充填されたインクは濃度・色相が異なり、ペン先30側からインク保持具45のインクを補充した場合、インクの色がキャップに充填されたインクの色からペン先30側に補充された色へと徐々に変化していくこととなる。
このように構成される本発明の筆記具によれば、筆記具に設けられた操作部を操作することにより、ペン先30側に濃度若しくは色相が異なる別インクを注入することができると共に、注入された状態で筆記をすることで濃度若しくは色相が変化した筆記描線を得ることができ、筆記者が筆記した順番・履歴などを把握することができる今までにない優れた機能を有する筆記具が提供されることとなる。
したがって、ユーザー(使用者)の操作により、描線の変化を開始させることができ、書いた順番を認識しやすくなり、また、多色化することで、アート的な使い方もでき、更に、使用者の使い方により、一つの筆記具により、思考の整理を助けることができる役割も担うことができるものとなる。
また、好ましくは、本発明の筆記具のペン先に別インクを注入する際は、操作性、簡便性などから、ペン先30を鉛直上向きの姿勢で注入することが望ましい。
更に、ペン先を鉛直上向きの姿勢として、キャップ40に搭載された操作部41を押圧した状態について、押圧時間を変えることにより、ペン先30への注入量をコントロールすることができる。すなわち、予め、インク保持具45からペン先30への毛管力、インク注入時間、時間(時分秒、以下同様)当たりのインク注入量などを把握すれば、押圧時間当たりインク注入量を変えることにより、ペン先30への注入量をコントロールすることができるものとなる。
また、操作部41をキャップ40に搭載されたインクと同系色に着色し、さらに操作部41以外のキャップ40および軸筒部材10を別系統の色に着色することで、使用者は直感的に描線の色を把握することができるものとなる。
更にまた、軸筒部材10内に注入されたインク用の貯蔵部を設けることで、キャップ40からのインクを一定量以上注入できないようにするリミッター機能を搭載することができる。
本発明の筆記具は、上記実施形態などに限定されることなく、本発明の技術思想を変更しない範囲内で更に種々変更することができる。
上記実施形態の筆記具において、ペン先30を棒状のペン先としてが、砲弾形状であってもよいものである。
また、上記各実施形態では、筆記具用のインク(水性インク、油性インク、熱変色性インク)で説明したが、液状化粧料、液状薬剤、塗布液、修正液などの液状体としてもよいものである。
次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1~3〕
下記構成及び図1~図4に準拠する筆記具、下記組成の筆記具用インクを使用した。ペン先、筆記具の寸法等は下記に示す大きさ等を使用した。
(筆記具の構成)
軸筒10:ポリプロピレン製、長さ110mm、中央部内径8mm;外径10mm
インク保持体20:ポリエステル繊維束、気孔90%、φ5×10mm
ペン先30:ポリアセタール製、φ1.0×30mm
インク保持具45:ポリエステル繊維束、気孔率80%、φ6×80mm
弾発体42:ステンレス製、コイル状
尾栓13、操作部41、キャップ上部43、キャップ下部44は共にポリプロピレン製
(筆記具用インク組成)
(製造例1)
2リットルのフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、モノマー投入用1000ml分液漏斗を取り付け、温水槽にセットし、蒸留水329.5部、グリセリンモノメタクリレート〔ブレンマーGLM、日油社製〕5部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム〔アクリルエステルSEM-Na、三菱ケミカル社製〕5部、重合性界面活性剤〔ADEKA社製、アデカリアソープSE-10N、エーテルサルフェート〕20部及び過硫酸アンモニウム0.5部を仕込んで、窒素ガスを導入しながら、内温を50℃まで昇温した。
一方、メタクリル酸シクロヘキシルモノマー55部と、他のモノマーとして、メタクリル酸n-ブチル35部とからなる混合モノマーに、油溶性染料〔サビニールブルーGLS、クラリアント社製〕40部、架橋剤〔トリアリルイソシアヌレート、日本化成社製、「タイク(TAIC)」〕10部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、水性インク用着色樹脂微粒子の分散液(粒子1)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は、着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、50.0質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、36.4質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、40nmであった。
(製造例2)
上記製造例1において、蒸溜水を340.5部とし、メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの量を30部とし、メタクリル酸n-ブチルの量を45部とし、また、染料として、油溶性染料〔バリファストピンク2310N、オリエント化学工業社製〕20部、油溶性染料〔オイルピンンク 314、オリエント化学工業社製〕12部、油溶性染料〔バリファース レッド 3312、オリエント化学工業社製〕12部を用いた以外は、上記製造例1と同様にして、水性インク用着色微粒子水性分散液(粒子2)を得た。
前記メタクリル酸シクロヘキシルモノマーの含有量は着色樹脂微粒子を構成する全ポリマー成分に対して、31.6質量%、前記油溶性染料の含有量は全ポリマー成分に対して、46.3質量%であった。また、着色樹脂微粒子の平均粒子径は、82nmであった。
上記製造例1~2で得た各水性インク用着色樹脂微粒子の分散液は、樹脂固形分は20~40質量%であった。
上記製造例1~2により製造した各着色樹脂微粒子の分散液を用いて、下記に示す配合組成(全量100質量%)により常法によりインク保持体20に搭載する各筆記具用水性インク組成物となるインク1~3を調製した。
(インク1:濃青色)
インク組成:(全量100質量%)
各水性インク用着色樹脂微粒子の分散液(製造例1) 40質量%
pH調整剤(トリエタノールアミン) 1質量%
水溶性有機溶剤(エチレングリコール) 5質量%
イオン交換水 74質量%
(インク2:薄青色)
インク組成:(全量100質量%)
各水性インク用着色樹脂微粒子の分散液(製造例1) 20質量%
pH調整剤(トリエタノールアミン) 1質量%
水溶性有機溶剤(エチレングリコール) 5質量%
イオン交換水 74質量%
(インク3:赤色)
インク組成:(全量100質量%)
各水性インク用着色樹脂微粒子の分散液(製造例2) 40質量%
pH調整剤(トリエタノールアミン) 1質量%
水溶性有機溶剤(エチレングリコール) 5質量%
イオン交換水 74質量%
〔実施例1~3〕
上記インク1~3を用いて、下記実施例1~3の各筆記具を作製して、筆記描線の濃度若しくは色相の変化、筆記履歴などについて評価した。
(実施例1)
キャップ40のインク保持具45に搭載する注入(補充)用インクに、インク1(濃青色)を用い、軸筒部材10のインク保持体20のインクに、インク2(薄青色)を用いた筆記具を作製した。
この筆記具を用いて、補充用インクとなるインク1をペン先30に操作部41の操作により供給後(押圧時間:10秒)、ペン先30の筆記部31で紙面に筆記をすると、描線色は、はじめ濃青色であったが、徐々に薄青色に変化した。この実施例1の筆記具では、操作部41を操作することにより、ペン先30側に同系色の色相を注入することができると共に、注入された状態で紙面に筆記をすることで色相が変化した筆記描線を得ることができ、筆記者が筆記した順番・履歴などを把握することができることを確認した。
(実施例2)
キャップ40のインク保持具45に搭載する注入(補充)用インクに、インク2(薄青色)を用い、軸筒部材10のインク保持体20のインクに、インク1(濃青色)を用いた筆記具を作製した。
この筆記具を用いて、補充用インクとなるインク1をペン先30に操作部41の操作により供給後(押圧時間:10秒)、ペン先30の筆記部31で紙面に筆記をすると、描線色は、はじめ薄青色であったが、徐々に濃青色に変化した。この実施例2の筆記具では、操作部41を操作することにより、ペン先30側に同系色の色相を注入することができると共に、注入された状態で紙面に筆記をすることで色相が変化した筆記描線を得ることができ、筆記者が筆記した順番・履歴などを把握することができることを確認した。
(実施例3)
キャップ40のインク保持具45に搭載する注入(補充)用インクに、インク3(赤色)を用い、軸筒部材10のインク保持体20のインクに、インク2(濃青色)を用いた筆記具を作製した。
この筆記具を用いて、補充用インクとなるインク1をペン先30に操作部41の操作により供給後(押圧時間:10秒)、ペン先30の筆記部31で紙面に筆記をすると、描線色は、はじめ赤色であったが、徐々に赤紫色、青紫と変化し、最終的に濃青色に変化した。この実施例3の筆記では、操作部41を操作することにより、ペン先30側に別の色相となる赤色を注入することができると共に、注入された状態で紙面に筆記をすることで当初の濃青色と異なる赤紫色に色相が変化した筆記描線を得ることができ、筆記者が筆記した順番・履歴を認識しやすくなり、また、多色化することで、アート的な使い方もでき、更に、この実施例の筆記具により、例えば、マインドマップの各キーワード等を各色で記載してみると、思考の整理を助けることができる役割も担うことができることを確認した。
本発明では、ペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを筆記具に備えた注入機構により注入することで、筆記しながら描線の濃度若しくは色相を変化させ、筆記履歴などを判別したりすることができるフェルトペン、サインペン、マーカーなどに好適な筆記具が得られる。
10 軸筒部材
20 インク保持体
30 ペン先
40 キャップ
41 操作部
45 インク保持具(注入機構)

Claims (4)

  1. インクを含浸状態に保持可能なペン先と、先端部において前記ペン先を突出状態に保持する軸筒部材と、前記軸筒部材内に設けられ前記ペン先との間でインク流通可能なインク保持体と、前記ペン先を包囲するキャップとを有する筆記具であって、該筆記具にペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを注入する注入機構と操作部とが設けられ、該操作部を操作して注入することにより筆記描線の濃度若しくは色相を変化させることを特徴とする筆記具。
  2. 注入機構は、インク保持体を有するキャップ内に配置され、キャップに設置された操作部を操作することにより、ペン先側から濃度若しくは色相が異なる別インクを注入することを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  3. 軸筒部材内に搭載されたインクと注入機構に搭載されたインクとは、同系統の色相で、濃度が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具。
  4. 注入機構は、インクを注入するための操作時間によって、注入するインク量が決定されることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の筆記具。
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