以下、図1〜図10を用いて本発明の実施形態に係る画像形成装置を説明する。画像形成装置として、プリンター100を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。なお、以下の説明では、給紙カセット51にセットされた用紙のうち、最上位の用紙を最上位用紙と称する。
(プリンター100)
次に、図1に基づき、実施形態に係るプリンター100の一例を説明する。図1は、実施形態に係るプリンター100の一例を示す図である。本説明では、画像形成装置がプリンター100である場合を説明する。なお、プリンター100は複合機のような印刷装置でもよい。
プリンター100は制御部1を含む。制御部1はプリンター100の動作を制御する。制御部1はCPU1a、計時部1b、画像処理回路1cを含む基板である。CPU1aはプリンター100に関する制御、演算を行う集積回路である。CPU1aは、記憶部2に記憶されるプログラム、データに基づきプリンター100の各部の制御、各種の演算処理を行う。計時部1bは時間を測る回路である。計時部1bのかわりにCPU1aが時間を測ってもよい。
コンピューター200から受信したプリントジョブデータに基づき、画像処理回路1cは印刷に用いる画像データを生成する。プリントジョブデータはページ記述言語で記述されたデータを含む。画像処理回路1cはページ記述言語で記述されたデータから画像データを生成する。また、プリントジョブデータに含まれる設定データに基づき、コンピューター200でなされた設定に応じて、画像処理回路1cは画像処理を画像データに施す。画像処理回路1cは、例えば、濃度変換、拡大、縮小のような画像処理を行う。
記憶部2はROM、RAM、HDDを含む。記憶部2はプリンター100の制御用の設定データ、画像データのようなデータや制御用のプログラムを記憶する。
プリンター100は操作パネル3を含む。操作パネル3は、表示パネル31(通知部に相当)、タッチパネル32(取得部に対応)、ハードキー33(取得部に対応)を含む。制御部1は、各種設定画面、操作用画像を表示パネル31に表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。制御部1は、使用者への通知を表示パネル31に表示させる。表示パネル31に対し、タッチパネル32が取り付けられる。タッチパネル32はタッチ位置を検知する。タッチパネル32の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。
プリンター100は印刷部4を含む。印刷部4は、給紙部5、用紙搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cを含む。制御部1は、給紙部5、用紙搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cの動作を制御する。制御部1は、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着のような印刷関連処理を制御する。
印刷ジョブのとき、制御部1は、用紙を1枚ずつ給紙部5に供給させる。制御部1は、供給された用紙を用紙搬送部4aに搬送させる。制御部1は、画像データに基づくトナー像を画像形成部4bに形成させる。制御部1は、搬送される用紙へのトナー像の転写を画像形成部4bに行わせる。制御部1は用紙のトナー像を定着部4cに定着させる。用紙搬送部4aは定着後の用紙を機外に排出する。印刷済の用紙は排出トレイ(不図示)に排出される。
また、プリンター100は通信部6(通知部に相当)を含む。通信部6は、通信用の各種ソケット、通信用回路、通信用ソフトウェアを備える。通信部6は、ネットワークを介して、PCやサーバーのようなコンピューター200と通信する。通信部6は、コンピューター200から送信されたプリントジョブデータを受信する。制御部1は、受信したプリントジョブデータに基づく印刷を印刷部4に行わせる。また、通信部6は、ネットワークを介して、他のプリンター100と通信できる。
(給紙部5)
次に、図2〜図4に基づき、実施形態に係る給紙部5を説明する。図2、図3は実施形態に係る給紙部5の一例を示す図である。図4は実施形態に係る昇降機構7の一例を示す図である。
給紙部5は複数枚の用紙を収容する。給紙部5は用紙を一枚ずつ送り出す。給紙部5は、給紙カセット51、ピックアップローラー52(給紙回転体に相当)、昇降機構7、上限センサー80(位置検知部に相当)を含む。給紙カセット51はプリンター100から引き出すことができる。給紙カセット51を引き出して、用紙補給やセットする用紙を変更することができる。
給紙カセット51は、用紙トレイ53、幅規制カーソル対54(図2では一方のみ可視)、後端規制カーソル55を含む。用紙トレイ53上に用紙(用紙束)がセットされる。用紙トレイ53は上下方向に回動可能である。用紙トレイ53の上流側端部(図2での左側端部)に回動軸53aが設けられる。回動軸53aは、給紙カセット51の底面に設けられる。用紙トレイ53の用紙搬送方向下流側端部(図2での右側端部)が自由端となる。用紙トレイ53の用紙搬送方向下流側端部が昇降する。
搬送方向と垂直な方向で幅規制カーソル対54をスライド移動させることができる。幅規制カーソル対54の各幅規制カーソルは連動する。各幅規制カーソルはセットされた用紙と接し、位置を規制する。また、搬送方向に沿って後端規制カーソル55をスライド移動させることができる。後端規制カーソル55はセットされた用紙と接する。後端規制カーソル55は用紙の後端の位置を規制する。
用紙トレイ53の下流側下方に昇降機構7が設けられる。昇降機構7は、用紙トレイ53を昇降させる。昇降機構7は、上昇モーター71(図3参照)、駆動シャフト72、押し上げ部材73を含む。押し上げ部材73は板状である。押し上げ部材73は駆動シャフト72に取り付けられる。駆動シャフト72は上昇モーター71の駆動を受け回転する。押し上げ部材73を回動させるとき、制御部1は上昇モーター71を動作させる。その結果、駆動シャフト72が回転する。押し上げ部材73の先端部が上昇する。押し上げ部材73の回動により用紙トレイ53の下流側端部が上昇する。
図4を用いて、昇降機構7を説明する。上昇モーター71は、給紙カセット51の外側(本体側)に設けられる。駆動シャフト72の長手方向は用紙搬送方向と垂直な方向である。駆動シャフト72は、継手部74を介して、上昇モーター71と連結される。制御部1は上昇モーター71を駆動させる。上昇モーター71が回転すると、継手部74も回転する。継手部74が回転すると、駆動シャフト72と押し上げ部材73が回転する。給紙を行うとき、制御部1は、用紙トレイ53が上昇する方向に、上昇モーター71(駆動シャフト72、押し上げ部材73)を回転させる。
給紙カセット51を前方に引き出したとき、継手部74と駆動シャフト72の連結が外れる。その結果、駆動伝達経路が分断される。給紙カセット51の取り外し(連結解除)により、用紙トレイ53は重力の作用により自動的に下降する。昇降機構7は、重力を利用して用紙トレイ53を下降させる。最終的に、用紙トレイ53と押し上げ部材73は、下限位置まで下降する。用紙トレイ53及び押し上げ部材73は倒れ伏す。
また、給紙カセット51を取り付けたとき、継手部74に駆動シャフト72が差し込まれる。継手部74により、上昇モーター71と駆動シャフト72が連結される。後述の開閉検知センサー83の出力に基づき、制御部1は給紙カセット51が装着されたことを認識する。給紙を開始するまでに、制御部1は、上昇モーター71を駆動させる。制御部1は、ピックアップローラー52(用紙トレイ53)を上限位置まで上昇させる。制御部1は、1又は複数枚、給紙を行うごとに一時的に上昇モーター71を回転させる。用紙の消費により少し降下したピックアップローラー52が再び上限位置に持ち上げられる。
ピックアップローラー52は、用紙トレイ53の上側の位置に設けられる。ピックアップローラー52は、用紙トレイ53の用紙搬送方向の中央よりも、下流側に設けられる。ピックアップローラー52はホルダー56により回転可能に指示される。ホルダー56には回動軸57が設けられる。回動軸57により、ホルダー56は上下動可能である。ホルダー56の上下動により、ピックアップローラー52も上下方向で移動可能である。言い換えると、ピックアップローラー52は上下方向で揺動できる。
給紙時、制御部1は給紙モーター58を回転させる。これにより、ピックアップローラー52が回転する。ピックアップローラー52により、用紙は下流へと送られる。用紙搬送部4aには、複数の搬送ローラー対が設けられる。各搬送ローラー対により用紙が搬送される複数の用紙に連続して印刷を行うとき、制御部1は、紙間が一定となるように、ピックアップローラー52の回転と一時停止を繰り返す。
図3に示すように、各給紙部5は、給紙モーター58、上限センサー80(位置検知部に相当)、残量センサー81、セットセンサー82、開閉検知センサー83を含む。残量センサー81、上限センサー80、セットセンサー82、開閉検知センサー83の出力は、制御部1に入力される。
残量センサー81は、給紙カセット51(用紙トレイ53)にセットされた用紙の残量レベルを検知するための部分である。残量センサー81の出力に基づき、制御部1は、給紙カセット51内の用紙残量レベルを認識する。
上限センサー80は、用紙トレイ53により持ち上げられたピックアップローラー52が上限位置に達したことを検知するためのセンサーである。用紙トレイ53の下流側端部の上昇により、ピックアップローラー52と最上位用紙が接する。さらに用紙トレイ53を上昇させると、ピックアップローラー52も持ち上げられる。つまり、用紙トレイ53は用紙とピックアップローラー52を持ち上げる。上限センサー80がピックアップローラー52の上限到達を検知したとき、用紙トレイ53も上限位置となる。ピックアップローラー52が上限位置にあるとき、最上位用紙の位置は給紙可能な位置となる。上限センサー80は、用紙トレイ53にセットされた用紙のうち、最上位の用紙である最上位用紙の位置を検知するためセンサーでもある。
ピックアップローラー52と用紙を圧接するため、上昇モーター71の動作後、上限センサー80がピックアップローラー52の上限到達の検知から所定時間経過後、制御部1は、上昇モーター71を停止させる。所定時間は、例えば、1〜数秒である。このように、制御部1は、上限センサー80の出力に基づき最上位用紙が給紙可能位置に達したことを認識する。給紙可能位置は、ピックアップローラー52と最上位用紙が接する位置である。さらに、給紙可能位置は、ピックアップローラー52が上限位置まで押し込まれているときの最上位用紙の位置といえる。
上限センサー80は、例えば、透過型の光センサーである。上限センサー80は、ピックアップローラー52が上限位置にあるときと無いときで信号の出力レベル(HighレベルとLowレベル)が変化する。例えば、ホルダー56に突起59が設けられる。ピックアップローラー52が上限位置に到達したとき、突起59は上限センサー80(光センサー)の発光部と受光部の光路を遮る。制御部1は、上限センサー80の出力に基づき、ピックアップローラー52の上限到達を認識する。
セットセンサー82は、用紙がセットされているか否かを検知するためセンサーである(例えば、光センサー)。用紙がセットされているときのセットセンサー82の出力レベルは、セットされていないときと異なる(HighレベルとLowレベル)。セットセンサー82の出力に基づき、制御部1は、給紙カセット51に用紙がセットされているか否かを認識できる。用紙無し、を検知したときとき、制御部1は用紙切れを表示パネル31に表示させる。
開閉検知センサー83は、給紙カセット51が開けられているか否かを検知するためのセンサーである。開閉検知センサー83の出力レベル(HighとLow)は、給紙カセット51が開状態のときと、閉状態のときとで異なる。開閉検知センサー83の出力に基づき、制御部1は、給紙カセット51が開けられているか(引き出されているか)、閉じられているか(装着されているか)か、を認識できる。
(特定用紙のセット)
次に、図5を用いて、特定用紙がセットされたときの問題点の一例を説明する。図5は、実施形態に係るプリンター100での特定用紙のセット状態の一例を示す図である。
用紙トレイ53に封筒や薬袋のような袋状の用紙がセットされることがある。袋状の用紙は1枚の用紙を加工して作成される。例えば、1枚の用紙内にのりしろ(折り返し部分)が設けられる。また、袋状になるように折り目が設けられる。袋状に折りたたみ、糊付けすることにより、袋状の用紙が作成される。
袋状の用紙は、折り返し部分(のりしろ部分)により、厚さが不均一となる。袋状の用紙では、通常、袋の底部分(開口のある辺と対向する辺の部分)に折り返しが設けられる。従って、袋の底部分が他の部分よりも厚くなる。袋状の用紙のように、厚さが不均一な用紙を、以下、特定用紙と称する。
特定用紙をセットし、特定用紙を用いて印刷することができる。しかし、セットした特定用紙の量や袋状の底部分の厚みにより、最上位用紙がピックアップローラー52と接する前に用紙トレイ53を持ち上げられなくなることがある。図5は、持ち上げられない場合の一例を示す。
特定用紙を束にした場合、袋の開口部分よりも袋の底部分の方が分厚くなる。特定用紙の束のうち、一部がラッパ状(漏斗状)に膨らむ。用紙束の分厚い部分を用紙搬送方向下流側に向けて用紙トレイ53にセットした場合、分厚い部分が上昇する。最上位用紙が給紙ローラーと接する前に、用紙束の分厚い部分が給紙部5(給紙カセット51)の上面を形成する部材に当たることがある。上面の部材は、例えば、カバーやフレームである。図5では、用紙と上面の当接部分Pを破線丸印で示している。
従来、画像形成装置では、用紙トレイを上昇させても、所定の時間内に用紙が給紙可能な位置に到達しない場合、エラー発生と扱われていた。そこで、プリンター100では、特定用紙がセットされているとき、適切に給紙できるようにする。
(特定用紙のセットの検知)
実施形態に係るプリンター100での特定用紙のセットの認識の一例を説明する。
プリンター100は、取得部を含む。取得部は、用紙トレイ53にセットされた用紙の用紙種類を取得する。取得部は、例えば、操作パネル3(タッチパネル32やハードキー33)である。操作パネル3は、使用する用紙の種類の設定を受け付ける。用紙トレイ53に封筒や薬袋をセットしたとき、使用者は、セットした用紙が特定用紙であることを操作パネル3に入力する。制御部1は、特定用紙がセットされたことを認識できる。
また、A型用紙(例えば、A4サイズ)やレターサイズのような厚さが均一な用紙を用紙トレイ53にセットすることもある。この場合、使用者は、厚さが均一な用紙をセットしたこと、及び、セットした用紙の厚さ(厚い、普通、薄い)を操作パネル3に入力できる。これにより、制御部1は、特定用紙以外の用紙がセットされたことも認識できる。このように、制御部1は、操作パネル3の出力に基づき、用紙種類を認識できる。
用紙種類を検知するためのメディアセンサー84が設けられてもよい(図3参照)。この場合、メディアセンサー84が取得部として機能する。例えば、給紙部5内、かつ、セットされた用紙の上方にメディアセンサー84を設けることができる。メディアセンサー84は、例えば、セットされた用紙の表面を読み取る。また、記憶部2は用紙種類を分類するための分類用データD2(図1参照)を記憶する。分類用データD2は、多数の用紙の表面画像と、表面画像に対応する用紙種類を定義したデータである。特定用紙を認識するため、分類用データD2は、封筒や薬袋の折り返し部分の表面画像を含む。制御部1は、セットされた用紙の表面を読み取って得られたデータと分類用データD2の各表面画像を比較する。制御部1は、最も一致度が高い表面画像を決定する。制御部1は、決定した表面画像に対応する用紙種類を、セットされた用紙の種類と判定する。
なお、メディアセンサー84は、給紙部5外に設けてもよい。例えば、給紙部5と画像形成部4bの間の搬送経路上(用紙搬送部4a)に設けてもよい。この場合、操作パネル3が用紙種類の自動判定処理の実行を受け付けてもよい。操作パネル3が用紙種類の自動判定処理の実行を受け付けたとき、制御部1は、1枚だけ用紙を用紙トレイ53にセットすることを表示パネル31に表示させる。使用者は1枚だけ用紙を用紙トレイ53にセットする。開閉検知センサー83の出力に基づき給紙カセット51の開閉を認識したとき、制御部1は、用紙トレイ53の上昇と給紙を行わせる。また、制御部1は、用紙を用紙搬送部4aに搬送させる。制御部1は、搬送される用紙をメディアセンサー84に読み取らせる。用紙種類の判定後、制御部1は、残りの用紙をセットすべきことを表示パネル31に表示させる。給紙カセット51の開閉を認識したとき、制御部1は、セットされた用紙の種類が、判定した用紙種類と扱う。
(用紙トレイ53の上昇処理)
次に、図6〜図10を用いて、実施形態に係るプリンター100での用紙トレイ53の上昇処理の一例を説明する。図6、図7は、実施形態に係るプリンター100での用紙トレイ53の上昇処理の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る第1メッセージM1の一例を示す図である。図9、図10は、実施形態に係る第2メッセージM2の一例を示す図である。
図6のスタートは、用紙トレイ53の上昇を開始する時点である。用紙トレイ53の上昇開始時点は予め定められる。例えば、給紙カセット51が開けられたことの検知後、給紙カセット51が閉じられたことを検知した時点を上昇開始時点とできる。また、印刷ジョブを開始する時点を上昇開始時点としてもよい。また、プリンター100の主電源が入れられた時点を上昇開始時点としてもよい。プリンター100の省電力モードが解除された時点を上昇開始時点としてもよい。
まず、制御部1は、用紙がセットされているか否か(用紙トレイ53に用紙があるか否か)を確認する(ステップ♯1)。用紙がセットされていないとき(ステップ♯1のNo)、制御部1は本フローを終了させる(エンド)。用紙が無いのに用紙トレイ53を上昇させても無駄なためである。一方、用紙がセットされているとき(ステップ♯1のYes)、制御部1は、用紙トレイ53の上昇を昇降機構7に開始させる(ステップ♯2)。具体的に、制御部1は、上昇モーター71を回転させる。
次に、制御部1は、最上位用紙が給紙可能位置に到達したか否かを確認する(ステップ♯3)。言い換えると、制御部1は、ピックアップローラー52が上限位置まで持ち上げられたか否かを確認する。制御部1は、上限センサー80の出力に基づき、確認する。給紙可能位置に到達したとき(ステップ♯3のYes)、制御部1は給紙可能と判定する(ステップ♯4)。そして、制御部1は、本フローを終了させる(エンド)。この場合、制御部1は、上昇モーター71を停止させる。そして、制御部1は、給紙モーター58を回転させ、給紙を行わせる。
給紙可能位置に到達していないとき(ステップ♯3のNo)、制御部1は、上昇モーター71の回転開始(用紙トレイ53の上昇開始)から規定時間が経過したか否かを確認する(ステップ♯5)。規定時間は予め定められる。規定時間は、上昇モーター71の回転継続時間の上限値である。例えば、規定時間は、用紙未セットの用紙トレイ53の上昇開始から上限センサー80がピックアップローラー52の上限到達を検知するまでの所要時間にマージンを加えた時間とできる。
規定時間が経過していないとき(ステップ♯5のNo)、フローは、ステップ♯3に戻る。規定時間が経過したとき(ステップ♯5のYes)、制御部1は、上昇モーター71を停止させ、上昇不足発生と認識する(ステップ♯6)。上昇不足が発生したとき、制御部1は、認識している用紙種類が特定用紙か否かを確認する(ステップ♯7)。認識した用紙種類が特定用紙ではない場合(ステップ♯7のNo)、制御部1は、エラーメッセージを通知部に通知させる(ステップ♯8)。用紙の厚みが均一な用紙で上昇不足が発生した場合、昇降機構7の異常が考えられるためである。本フローは終了する(エンド)。
通知部は、例えば、表示パネル31である。また、通知部には、通信部6を用いることもできる(以下同様)。例えば、制御部1は、用紙トレイ53の上昇に異常があることを表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、予め定められたコンピューター200に向けて、用紙トレイ53の上昇に異常がある旨のメッセージを通知部に送信させる。予め定められたコンピューター200は、例えば、プリンター100の管理者のコンピューター200である。コンピューター200は、受信したメッセージをディスプレイに表示する。これにより、プリンター100から離れた人に異常を知らせることができる。
認識した用紙種類が特定用紙の場合(ステップ♯7のYes)、制御部1は、第1メッセージM1を通知済か否かを確認する(ステップ♯9)。第1メッセージM1をまだ通知していない場合(ステップ♯9のNo)、制御部1は、第1メッセージM1を通知部に通知させる(ステップ♯10)。第1メッセージM1は、用紙のセット向きを用紙搬送方向に対して逆向きにセットすることを促すメッセージである。第1メッセージM1は、特定用紙の薄い部分(用紙束の分厚くない方)を用紙搬送方向下流側(用紙トレイ53の上昇端側)にセットすべきことを知らせる内容でもよい。
特定用紙の束の分厚い部分が用紙トレイ53の上昇端側(用紙搬送方向下流側)にセットされている場合、分厚い部分が給紙カセット51の上面の部材にぶつかって上昇不足が生ずることがある。そこで、特定用紙のセット向きの切り替えを促す。特定用紙の束の薄い部分を、用紙トレイ53の上昇端側にセットすることを使用者に勧める。
図8は、表示パネル31に表示される第1メッセージM1の一例を示す。制御部1は、第1メッセージM1を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、予め定められたコンピューター200に向けて、第1メッセージM1を通知部に送信させてもよい。コンピューター200は、受信したメッセージを第1ディスプレイに表示する。これにより、プリンター100から離れた人に、特定用紙によって上昇不足が生じたことを知らせることができる。
そして、制御部1は、給紙カセット51が開閉されたか否かの確認を続ける(ステップ♯11ステップ♯11のNo→ステップ♯11)。給紙カセット51の開閉がなされたとき(ステップ♯11のYes)、制御部1は、印刷に用いる印刷用画像データD1を180度回転させる(ステップ♯12)。制御部1は、用紙トレイ53にセットされた特定用紙の用いる印刷用画像データD1を回転させる。記憶部2は、当該印刷用画像データD1を記憶している。制御部1は、記憶部2に記憶される印刷用画像データD1の回転処理を行う。そして、制御部1は、用紙トレイ53の再上昇を昇降機構7に行わせる(ステップ♯13)。具体的に、制御部1は、上昇モーター71の回転を再開させる。そして、フローは、ステップ♯3に戻る。
ループによりステップ♯9に戻ってきたとき、ステップ♯9はYesとなる。規定時間、昇降機構7が再上昇を行っても上昇不足が発生したとき(ステップ♯9のNo)、制御部1は、再上昇後の最上位用紙の位置が判定位置に達しているか否かを確認する(ステップ♯14)。
制御部1は、上限センサー80の出力に基づき、最上位用紙が判定位置に達しているか否かを確認する。この確認により、制御部1は、給紙可能位置に近い位置まで最上位用紙が持ち上げられているか否かを判定する。判定位置は予め定められる。判定位置は給紙可能位置よりも低い。判定位置は、用紙トレイ53に用紙が満杯までセットされたときの未上昇の特定用紙の位置よりも高い位置に設定できる。
上限センサー80は透過型光センサーである。上限センサー80の出力値は、突起59による遮光の程度(受光部の受光量)の大小で変化する。例えば、記憶部2は、第1範囲B1、第2範囲B2、第3範囲B3を記憶する(図1参照)。第1範囲B1は、突起59が発光部から受光部への光を遮っていないと扱う上限センサー80の出力値の範囲である。第2範囲B2は、突起59が光路を遮っていて、用紙が給紙可能位置となるまで持ち上げられたと扱う上限センサー80の出力値の範囲である。言い換えると、第2範囲B2は、給紙可能と判定するほど突起59が光路を遮っているときの上限センサー80の出力値の範囲である。第3範囲B3は、第1範囲B1と第2範囲B2の間の範囲である。第3範囲B3は、例えば、突起59が発光部から受光部への光路を一部遮っているときの上限センサー80の出力値を含む。
なお、図3に示すように、判定位置まで最上位用紙が到達しているかを検知するための判定用センサー85を別途設けてもよい。この場合、判定用センサー85の出力は、制御部1に入力される。制御部1は、判定用センサー85の出力に基づき、再上昇後の最上位用紙の位置が判定位置に達しているか否かを確認する。専用のセンサーを設けるので、制御部1は正確に判定できる。
再上昇後の最上位用紙の位置が判定位置に達しているとき(ステップ♯14のYes)、制御部1は、第1枚数を含む第2メッセージM2を通知部に通知させる(ステップ♯15)。第2メッセージM2は、用紙トレイ53からの特定用紙の一部の取り出しを促すメッセージである。第1枚数は、用紙トレイ53から取り出すべき枚数を示す。第1枚数は、例えば、数枚〜十数枚とされる。
図9は、第1枚数を含む第2メッセージM2の表示例を示す。制御部1は、第1枚数を含む第2メッセージM2を表示パネル31に表示させる。図9では、第1枚数は5枚となっている。また、制御部1は、予め定められたコンピューター200に向けて、第1枚数を含む第2メッセージM2を通知部に送信させてもよい。コンピューター200は、受信したメッセージをディスプレイに表示する。プリンター100から離れた人に、プリンター100の状態を知らせることができる。
再上昇後の最上位用紙の位置が判定位置に達していないとき(ステップ♯14のNo)、制御部1は、再上昇を繰り返しても特定用紙が判定位置に到達しなかった回数が異常通知回数に到達したか否かを確認する(ステップ♯16)。異常通知回数は予め定められる。例えば、異常通知回数は1回である。異常通知回数は、複数回としてもよいが、2〜3回で十分と考えられる。ステップ♯16により、再上昇を行っても、用紙トレイ53が上昇していないことを確認する。
判定位置に到達しなかった回数が異常通知回数に到達していないとき(ステップ♯16のYes)、制御部1は、第2枚数を含む第2メッセージM2を通知部に通知させる(ステップ♯17)。第2枚数も用紙トレイ53から取り出すべき枚数を示す。第2枚数は、第1枚数よりも多い。上昇の不足量が多いので、第1枚数よりも多い枚数を取り出すべきことを勧める。
図10は、第2枚数を含む第2メッセージM2の表示パネル31での表示例を示す。図10では、第2枚数は20枚となっている。このように、制御部1は、第2枚数を含む第2メッセージM2を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、予め定められたコンピューター200に向けて、第2枚数を含む第2メッセージM2を通知部に送信させてもよい。コンピューター200は、受信したメッセージをディスプレイに表示する。プリンター100から離れた人に、プリンター100の状態を知らせることができる。
未到達の累計回数が異常通知回数に到達したとき(ステップ♯16のYes)、制御部1は、昇降機構7のエラーメッセージを通知部に通知させる(ステップ♯18)。エラーメッセージ通知により、本フローは終了する(エンド)。再上昇を繰り返しても用紙トレイ53の上昇量が少ない又はゼロと認められるとき、制御部1はエラーを通知する。例えば、制御部1は、昇降機構7のエラーを表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、予め定められたコンピューター200に向けて、昇降機構7のエラーメッセージを通知部に送信させる。コンピューター200は、受信したエラーメッセージをディスプレイに表示する。
ステップ♯15、又は、ステップ♯17の後、制御部1は、給紙カセット51が開閉されたか否かの確認を続ける(ステップ♯19、ステップ♯19のNo→ステップ♯19)。セットされた特定用紙を減らすには、給紙カセット51の開閉が必要なためである。給紙カセット51の開閉がなされたとき(ステップ♯19のYes)、制御部1は、用紙トレイ53の再上昇を昇降機構7に行わせる(ステップ♯20)。具体的に、制御部1は、上昇モーター71の回転を再開させる。そして、フローは、ステップ♯3に戻る。
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、通知部(表示パネル31、通信部6)、給紙カセット51、給紙回転体(ピックアップローラー52)、昇降機構7、位置検知部(上限センサー80、判定用センサー85)、制御部1を含む。通知部はメッセージを通知する。給紙カセット51は用紙がセットされる用紙トレイ53を含む。給紙回転体は用紙トレイ53の上側の位置に設けられる。給紙回転体は上下方向で移動可能である。給紙回転体は給紙時に回転して接する用紙を送り出す。昇降機構7は用紙トレイ53の用紙搬送方向下流側の端部を昇降させる。位置検知部は、用紙トレイ53にセットされた用紙のうち、最上位の用紙である最上位用紙の位置を検知する。制御部1は、位置検知部の出力に基づき最上位用紙が給紙可能位置に達したことを認識する。給紙可能位置は、給紙回転体と最上位用紙が接し、かつ、給紙回転体が上限位置に達しているときの最上位用紙の位置である。制御部1は、昇降機構7が用紙トレイ53を規定時間上昇させても最上位用紙の給紙可能位置への到達を認識できない上昇不足が発生したとき、用紙のセット向きを用紙搬送方向に対して逆向きにセットすることを促す第1メッセージM1を通知部に通知させる。
用紙トレイ53の上昇端側に分厚い部分がくるように特定用紙がセットされている場合、分厚い部分が給紙カセット51の上面の部材に当たることがある。当たると、用紙トレイ53をそれ以上上昇させることができない。そこで、この構成によれば、厚さが不均一な用紙(袋状の用紙、特定用紙)をセットしている状態で、用紙を給紙可能位置まで持ち上げられない場合、特定用紙のセット向きの切り替えを促すことができる。言い換えると、特定用紙の束の分厚い部分(折り返し部分)によって用紙トレイ53の上昇が妨げられているとき、特定用紙のセット向きの確認を促すことができる。第1メッセージM1により、特定用紙の分厚くない部分を、用紙トレイ53の上昇端側とすることを促すことができる。言い換えると、用紙トレイ53とともに、特定用紙の分厚い方の端部が上昇しないように、特定用紙をセットすべきことを促すことができる。特定用紙を給紙できるようするための解決法を通知することができる。使用者に故障発生と誤解させることもない。
画像形成装置は、用紙トレイ53にセットされた用紙の用紙種類を取得する取得部(操作パネル3、メディアセンサー84)を含む。制御部1は、取得部の出力に基づき、用紙種類を認識する。制御部1は、認識した用紙種類が厚さ不均一な用紙として予め定められた特定用紙の場合、上昇不足が発生したとき、第1メッセージM1を通知部に通知させる。認識した用紙種類が特定用紙でない場合、上昇不足が発生したとき、エラーメッセージを通知部に通知させる。特定用紙(袋状の用紙)がセットされているときのみ、第1メッセージM1を通知部に通知させることができる。
画像形成装置は、取得部として、用紙種類を検知するためのメディアセンサー84を含む。メディアセンサー84により、特定用紙がセットされていることを正確に認識する(検知する)ことができる。
画像形成装置は、給紙カセット51の開閉を検知する開閉検知センサー83を含む。画像形成装置は、用紙トレイ53にセットされた用紙の印刷に用いる印刷用画像データD1を記憶する記憶部2も含む。制御部1は、開閉検知センサー83の出力に基づき、給紙カセット51の開閉を認識する。給紙カセット51の開閉がなされたとき、制御部1は、印刷用画像データD1を180度回転させる。第1メッセージM1により、特定用紙のセット向きの180度回転にあわせて、印刷用画像データD1を180度回転させることができる。封筒や薬袋のような用紙に、使用者が希望する文字、図形、記号を印刷することができる。使用者の想定する方向と逆方向(上下逆)での印刷を防ぐことができる。
制御部1は、開閉検知センサー83の出力に基づき、給紙カセット51の開閉を認識する。第1メッセージM1の通知後、給紙カセット51の開閉がなされたとき、制御部1は、用紙トレイ53の再上昇を昇降機構7に行わせる。規定時間、昇降機構7が再上昇を行っても上昇不足が発生したとき、制御部1は、用紙トレイ53の用紙の一部の取り出しを促す第2メッセージM2を通知部に通知させる。用紙トレイ53にセットする用紙の量を減らすことを提案することができる。セットされた特定用紙が少ないほど、特定用紙の一部が画像形成装置(給紙カセット51)の上面の部材と接しにくくなる。特定用紙が給紙可能位置となるまで用紙トレイ53を上昇させるための解決法を知らせることができる。
規定時間、昇降機構7が再上昇を行っても上昇不足が発生したとき、位置検知部の出力に基づき、制御部1は、再上昇後の最上位用紙の位置が予め定められた判定位置に達しているか否かを確認する。判定位置に達しているとき、制御部1は、取り出すべき枚数として第1枚数を第2メッセージM2に含める。判定位置に達していないとき、取り出すべき枚数として第2枚数を第2メッセージM2に含める。第1枚数は、第2枚数よりも少ない。再上昇後の特定位置が低いほど、多くの特定用紙を取り出すべきことを知らせることができる。最上位用紙が給紙可能位置となるまで用紙トレイ53を上昇させるための解決法を知らせることができる。
判定位置は、給紙可能位置よりも低く、用紙トレイ53に用紙が満杯までセットされたときの最上位用紙の位置よりも高い位置に設定される。再上昇により、最上位用紙が給紙可能位置に近い位置まで持ち上げられたか否かを確認することができる。
第2メッセージM2の表示後、給紙カセット51の開閉がなされたとき、制御部1は、再上昇を昇降機構7に行わせる。第2メッセージM2に応じて、特定用紙の枚数が減らされたとき、用紙トレイ53を再上昇させることができる。
再上昇を繰り返した場合、最上位用紙の判定位置への未到達の回数が予め定められた異常通知回数に到ったとき、制御部1は、昇降機構7のエラーを通知部に通知させる。再上昇を繰り返しても給紙可能位置への到達の見込みがない場合、昇降機構7の異常を使用者に知らせることができる。
画像形成装置は、給紙回転体により供給された用紙に印刷を行う印刷部4を含む。特定用紙を滑らかに給紙し、特定用紙に印刷できる画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。