JP2019147329A - 立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、立体造形プログラム及び立体造形物の製造装置の洗浄方法 - Google Patents

立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、立体造形プログラム及び立体造形物の製造装置の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】立体造形物の品質の低下を抑制するとともに、立体造形物を製造する際の廃液の量を抑制することができる立体造形物の製造方法の提供。【解決手段】複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造方法であって、吐出手段により造形用材料を吐出させる吐出工程と、所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる放出工程と、を含む、ことを特徴とする立体造形物の製造方法である。【選択図】図8

Description

本発明は、立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、立体造形プログラム及び立体造形物の製造装置の洗浄方法に関する。
3次元の立体物(立体造形物)を造形する技術として、付加製造(AM:Additive Manufacturing)と呼ばれる技術が知られている。この技術は、立体造形物の積層方向について薄く切った断面形状を算出し、算出した断面形状に従って層状造形物(造形層)を形成して積層することにより立体造形物を製造する技術である。
立体造形物を製造する装置として、材料噴射造形方式(マテリアルジェット方式)の造形装置が知られている。このマテリアルジェット方式の製造装置は、立体造形物を形成するモデル材(モデル部形成材料)を造形領域に吐出し、造形領域以外の領域に形状支持用のサポート材(サポート部形成材料)を吐出する。次に、モデル材及びサポート材を硬化させて、モデル材が硬化したモデル部の造形物とサポート材が硬化したサポート部の造形物とを含む層状造形物を造形し、係る層状造形物を順次積層する。そして、層状造形物を積層してなる造形物から、サポート部の造形物を除去することにより、モデル部からなる立体造形物を製造する。
また、立体造形物を製造するマテリアルジェット方式以外の装置として、接着剤噴射造形方式(バインダージェット方式)のものが知られている。このバインダージェット方式の製造装置は、粉末材料に対して接着材を吐出し粉末材料を固化することで、粉末材料と接着材とを含む層状造形物を造形し、係る層状造形物を順次積層する。そして、層状造形物の周りの粉末材料を除去することにより、立体造形物を製造する。
立体造形物を製造する装置として、ハイスピードシンタリング方式の装置も知られている。このハイスピードシンタリング方式の製造装置は、インクを噴射した箇所を局所的に加熱して溶融(焼結)し、立体造形物を製造する。
これらの方式において、モデル材などの造形用材料を吐出する吐出手段の吐出不良を発生させないように、立体造形物の製造中に定期的に吐出手段のメンテナンス(洗浄)を行う技術が知られている(例えば、特許文献1)。吐出手段のメンテナンスで消費される造形用材料は、廃液として処理される。
本発明は、立体造形物の品質の低下を抑制するとともに、立体造形物を製造する際の廃液の量を抑制することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、
複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造方法であって、
吐出手段により造形用材料を吐出させる吐出工程と、
所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる放出工程と、を含む。
本発明によると、立体造形物の品質の低下を抑制するとともに、立体造形物を製造する際の廃液の量を抑制することができる立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、立体造形物の製造装置の要部正面の一例を示す模式図である。 図2は、造形手順を説明するための層状造形物の構成の一例を示す模式図である。 図3は、立体造形物の製造装置の要部平面の一例を示す模式図である。 図4は、立体造形物の製造装置の要部側面の一例を示す模式図である。 図5は、立体造形物の製造装置の制御部を説明するためのブロック図である。 図6は、層状造形物の造形する際の様子の一例を示す模式図である。 図7は、複数の隣接する層状造形物の造形データの一例を示す模式図である。 図8は、立体造形プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
(立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、立体造形プログラム及び立体造形物の製造装置の洗浄方法)
本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形プログラムを読み出して実行することで、本発明の立体造形物の製造方法を実行する装置として動作する。すなわち、本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形物の製造方法と同様の機能をコンピュータに実行させる本発明の立体造形プログラムを有する。なお、本発明の立体造形プログラムは、本発明の立体造形物の製造装置によって実行されることに限定されるものではない。例えば、本発明の立体造形プログラムは、他のコンピュータ又はサーバによって実行されてもよく、本発明の立体造形物の製造装置、他のコンピュータ、及びサーバのいずれかが協働して実行されてもよい。また、本発明の立体造形物の製造装置の洗浄方法は、本発明の立体造形物の製造装置に対して実行されることに限定されるものではなく、公知の立体造形物の製造装置に対して実行されてもよい。
つまり、本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形物の製造方法を実施することと同義であるので、主に本発明の立体造形物の製造装置の説明を通じて本発明の製造方法の詳細についても明らかにする。また、本発明の立体造形プログラムは、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、本発明の立体造形物の製造装置として実現させることから、本発明の製造装置の説明を通じて本発明の立体造形プログラムの詳細についても明らかにする。加えて、本発明の立体造形物の製造装置の洗浄方法は、本発明の立体造形物の製造方法の一部分であるので、本発明の立体造形物の製造装置の説明を通じて本発明の立体造形物の製造装置の洗浄方法についても明らかにする。
本発明の立体造形物の製造装置は、複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造装置であって、造形用材料を吐出する吐出手段と、所定の層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する吐出箇所数の割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる制御を行う制御手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の立体造形物の製造方法は、複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造方法であって、吐出手段により造形用材料を吐出させる吐出工程と、所定の層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する吐出箇所数の割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる放出工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を有する。
立体造形物の製造方法は立体造形物の製造装置により好適に行うことができ、吐出工程は吐出手段により好適に行うことができ、放出工程は制御手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
本発明は、立体造形物の製造中において定期的に吐出手段を洗浄するメンテナンスを行う従来技術では、立体造形物の形状などによらず定期的にメンテナンスを行うため、必要以上に洗浄して余分な廃液を発生させている問題があるという知見に基づくものである。
具体的には、立体造形物の製造装置が吐出手段を有しており、吐出手段の複数の吐出孔から造形用材料の液滴を吐出して立体造形物を製造する場合を考えてみる。この場合、吐出頻度が低い吐出孔の開口部近傍の造形用材料は、大気に晒されているため乾燥してしまい、造形用材料が高粘度化あるいは皮膜を形成することにより、吐出孔の吐出不良の原因となることがある。造形用材料の乾燥による吐出不良が発生すると、例えば、24時間以上の長い時間が必要となる立体造形物の製造を行う場合には、立体造形物の平坦性が悪化しやすくなり、立体造形物の品質が低下してしまう。このため、一定時間以上吐出孔から造形用材料を吐出しない場合には、吐出不良の発生を抑制するために立体造形物の製造の途中で吐出孔をメンテナンスする必要がある。吐出孔のメンテナンスとして、吐出孔から造形用材料を一定量放出するパージを行うことにより、吐出孔の開口部近傍に形成された高粘度化した造形用材料や造形用材料の皮膜などを排出することができる。パージにより吐出孔から放出された造形用材料は、廃液として処理される。この廃液の量が多いと、廃液を処理するコストが余計に必要となるだけでなく、立体造形物を製造する際に廃液を頻繁に処理する必要があり立体造形物を製造するための工程が煩雑になるという問題がある。
本発明の立体造形物の製造装置は、立体造形物の品質の低下を抑制するとともに、立体造形物を製造する際の廃液の量を抑制することができる。
<吐出手段及び吐出工程>
吐出手段は、造形用材料を吐出する。
吐出工程は、吐出手段により造形用材料を吐出させる。
吐出手段としては、造形用材料を吐出する手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ヘッドなどが挙げられる。
ヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧電素子(ピエゾ素子)型ヘッド、熱膨張(サーマル)型ヘッドなどが挙げられる。また、ヘッドには、複数の吐出孔にそれぞれ圧電素子などを設けるようにし、吐出孔ごとに吐出を制御できるようにしてもよい。なお、以下では「吐出孔」を「チャネル」と称することがある。
<<層状造形物>>
層状造形物とは、吐出手段から吐出された造形用材料を硬化して層状に形成した造形物を意味する。層状造形物は、立体造形物の各層を成す。
<<造形用材料>>
造形用材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、立体造形物の造形方式によって選択しても良い
立体造形物の造形方式としては、例えば、マテリアルジェット方式、バインダージェット方式、ハイスピードシンタリング方式などが挙げられる。
マテリアルジェット方式とは、ヘッドから吐出した造形用材料を硬化して積層することにより、立体造形物を造形する方式である。
バインダージェット方式とは、ヘッドから造形用材料の結合剤を噴射し、造形用材料を一層ずつ固化して積層することにより、立体造形物を造形する方式である。
ハイスピードシンタリング方式とは、ヘッドから造形用材料を噴射した箇所を局所的に加熱し溶融(焼結)して積層することにより、立体造形物を造形する方式である。
造形用材料としては、マテリアルジェット方式で立体造形物を製造する場合には、例えば、立体造形物となるモデル部を形成するモデル材、及び、製造時にモデル部を支持するサポート部を形成するサポート材などが挙げられる。
また、造形用材料としては、バインダージェット方式で立体造形物を製造する場合には、例えば、粉末材料を固化する接着材などが挙げられる。
加えて、造形用材料としては、ハイスピードシンタリング方式で立体造形物を製造する場合には、例えば、セラミックス粒子を含む造形材、造形材を硬化する成分を含有する硬化材と、金属イオン又は金属錯体を含有するセラミックス着色用インクなどが挙げられる。
なお、モデル材、サポート材及び接着材についての詳細は後述する。
造形用材料の色については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。そのため、本発明の立体造形物の製造装置は、吐出手段により色の異なる複数の造形用材料が混合するように吐出することで、部分ごとに着色されたフルカラーの立体造形物を製造することができる。
<制御手段及び放出工程>
制御手段は、所定の層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する吐出箇所数の割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる制御を行う。
放出工程では、所定の層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する吐出箇所数の割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる。
放出工程においては、制御手段が吐出手段を制御することで、吐出手段に造形用材料を放出させる。
制御手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
また、制御手段は、各種プログラムを実行し、立体造形物の製造装置全体の動作を制御する。
<<立体造形物>>
立体造形物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、工業製品の試作品、射出成形やプレス成形に用いる型、治工具、建築模型などが挙げられる。
後述する吐出箇所数及び非吐出箇所数は、立体造形物の3次元データに基づいて算出することが好ましい。
立体造形物の3次元データとは、造形しようとする立体造形物を3次元モデルで表したデータである。
3次元データとしては、例えば、3次元CAD(Computer−aided Design)で設計された3次元形状のサーフェイスデータやソリッドデータなどが挙げられる。他の3次元データとしては、3次元スキャナやディジタイザで取り込んだ3次元形状のサーフェイスデータやソリッドデータなどが挙げられる。なお、3次元データは、例えば、3次元モデルの表面が三角形の集合体として表現されたSTL(Standard Triangulated Language)フォーマットに変換されていてもよい。
制御手段は、層状造形物における吐出箇所及び非吐出箇所を設定するため、入力された3次元データから3次元モデルの底面を特定し、底面と平行方向に3次元モデルがスライスされた切断面を示す2次元データを生成してもよい。
底面を特定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3次元モデルを3次元座標系に配置したときに、長さが最も短くなる方向をZ軸とし、Z軸に直交する面と3次元モデルとの接点を底面とする方法などが挙げられる。制御手段は、底面を特定することにより、3次元モデルのX−Y面、X−Z面、Y−Z面への投影面積を求め、求めた投影面積が収まるブロック形状を一層の厚みでX−Y面と平行に輪切り(スライス)にすることができる。なお、3次元データに対するこれらの処理は、制御手段以外が行ってもよく、本発明の立体造形物の製造装置に造形データ作成装置を設ける形態も好ましい。
所定の層状造形物における吐出箇所数とは、所定の層状造形物を造形する際に、吐出手段が造形用材料を吐出する箇所の数を意味する。この吐出箇所数は、3次元データから算出することができる。吐出箇所数は、上述した3次元データから生成した2次元データのピクセル数の単位で算出することが好ましい。
所定の層状造形物における非吐出箇所数とは、所定の層状造形物を造形する際に、吐出手段が造形用材料を吐出しない箇所の数を意味する。この非吐出箇所数は、3次元データから算出することができる。吐出箇所数と同様に、非吐出箇所数は、上述した3次元データから生成した2次元データのピクセル数の単位で算出することが好ましい。
吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計は、所定の層状造形物を造形する際に、吐出手段が造形用材料を吐出することができる箇所の数を意味する。
吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計は、上述した3次元データから生成した2次元データのピクセル数の単位で算出することが好ましい。この場合、吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計は、吐出手段が走査する範囲の総ピクセル数となる。
また、吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計は、造形する層状造形物によって変化し、例えば、層状造形物の面積が小さくなると、吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計は少なくなる。
吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する吐出箇所数の割合(以下、この割合を「吐出割合」と称することもある)とは、所定の層状造形物を造形する際に、吐出手段が造形用材料を吐出する割合を意味する。
吐出割合は、立体造形物の製造装置においては、制御手段が吐出手段から造形用材料を放出させる条件を決定するためのパラメータとなる。吐出割合は、0から1の間の値を取り、吐出割合が高い(1に近い)場合は、吐出箇所数が大きく、吐出手段の多くの吐出孔から造形用材料が吐出されることになり、吐出孔の開口部近傍の造形用材料が乾燥しにくい条件となる。また、吐出割合が低い(0に近い)場合は、吐出箇所数が小さく、造形用材料が吐出される吐出孔が少ないため、吐出孔の開口部近傍の造形用材料が乾燥しやすい条件となる。
また、吐出割合は、造形用材料が複数であれば、造形用材料ごとに算出することが好ましい。例えば、マテリアルジェッティング方式で立体造形物を製造する場合には、モデル材及びサポート材のそれぞれの吐出割合を算出することにより、各造形用材料の乾燥を抑制することができる。
制御手段は、上述した吐出割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる制御を行う。
吐出手段から造形用材料を放出させる制御としては、吐出割合として、所定数の隣接する層状造形物における吐出箇所数の割合を算出し、算出した吐出割合が所定値以下となる場合に、吐出手段に造形用材料を放出させることが好ましい。こうすることで、吐出割合が低くなり、吐出孔の開口部近傍の造形用材料が乾燥しやすい条件となったときに、適切なタイミングで吐出手段に造形用材料を放出させて、ノズルの状態を維持することができる。
隣接する層状造形物における所定数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定でき、例えば、100とすることなどが挙げられ、製造する立体造形物の形状や吐出する造形用材料の種類に応じて設定することが好ましい。
吐出割合における所定値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定でき、例えば、20%や30%などが挙げられ、造形用材料の物性に応じて設定することが好ましい。造形用材料の物性は、造形用材料の組成や温度により変化する。
造形用材料の物性としては、例えば、粘度、粘度変化率、乾燥性などが挙げられる。これらの中でも所定値は、造形用材料の乾燥性に応じて設定することがより好ましい。具体的には、乾燥性の高い造形用材料を吐出して立体造形物を製造する場合には、所定値を高く設定(例えば40%など)する。
このように、立体造形物の製造装置は、造形用材料の物性に応じた所定値を用いることで、より適切なタイミングで吐出手段に造形用材料を放出させて、吐出孔の状態を維持することができる。
また、放出させる制御として、吐出割合に対して、吐出手段から放出させる造形用材料の量を相反させて行うことが好ましい。具体的には、吐出割合が20%と30%の場合を比較したときに、20%の場合の方が吐出手段に放出させる造形用材料の量が多くなるようにする。
このように、立体造形物の製造装置は、吐出割合に対して吐出手段から放出させる造形用材料の量を相反させて行うことで、吐出割合が低い場合でも、より確実に吐出手段の状態を維持することができる。
吐出手段が造形用材料を放出する区画は、造形ステージの外であることが好ましい。
造形ステージとは、層状造形物が積層されて立体造形物が造形されるステージを意味する。
造形ステージとしては、造形する途中あるいは造形した立体造形物を支持することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
また、造形ステージの外の区画には、吐出手段に放出させる液滴が製造中の立体造形物に飛散しないようにする観点から、メンテナンス区画を設けることが好ましい。さらに、メンテナンス区画には、放出した造形用材料の回収を容易にする観点から、廃液タンクなどを設置することがより好ましい。
なお、吐出手段から造形用材料を放出する手法としては、造形用材料を一定量放出できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。吐出手段から造形用材料を放出する手法としては、例えば、吐出手段により造形用材料を加圧して放出する手法(加圧パージ)、吐出手段の吐出孔にキャップを密着させて造形用材料を吸引する手法(吸引パージ)、スプレー状に噴霧する手法などが挙げられる。
上述した立体造形物の製造装置が行う各種処理は、立体造形物の製造装置を形成する制御手段を有するコンピュータにより実行される。
コンピュータとしては、記憶、演算、制御などの装置を備えた機器であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーソナルコンピュータなどが挙げられる。
<その他の手段及びその他の工程>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化手段、平坦化手段、払拭手段などが挙げられる。
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化工程、平坦化工程、払拭工程などが挙げられる。
硬化工程は硬化手段により好適に行うことができ、平坦化工程は平坦化手段により好適に行うことができ、払拭工程は払拭手段により好適に行うことができる。
硬化手段としては、造形用材料を硬化することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、紫外線(UV)照射機構、焼成機構、焼結機構、マイクロ波照射機構などが挙げられる。また、ここでいう造形用材料を硬化するとは、造形用材料を固化することも含まれる。
なお、本発明の立体造形物の製造装置は、造形用材料が特段の処理を行わなくとも経時的に硬化する材料である場合などにおいては、硬化手段を有していなくてもよい。
マテリアルジェット方式で立体造形物を製造する場合には、硬化手段としては、紫外線照射機構が好ましく、紫外線照射機構が吐出手段と一体となっていることがより好ましい。また、紫外線照射機構を用いる場合、紫外線照射により発生するオゾンを除去するオゾン除去機構を更に備えることが好ましい。
紫外線照射機構としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効であり、Pb、Sn、Feなどの金属のハロゲン化物が用いられ、重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。
バインダージェット方式で立体造形物を製造する場合には、硬化手段としては、焼成機構が好ましい。バインダージェット方式の場合に硬化手段を焼成機構とすると、粉末材料と接着材を含む層状造形物を、立体造形物の製造に必要な数を積層した後、焼成機構により焼成することで、立体造形物の強度を高めることができる。
平坦化手段としては、造形用材料を平坦化できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ローラ、ブラシ、ブレードなどが挙げられる。
平坦化手段が造形用材料を平坦化することにより、層状造形物の平均厚みの精度や平坦性を確保することができる。
払拭手段としては、吐出手段を払拭できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイパなどが挙げられる。ワイパの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の軟質のゴムなどが好ましい。
払拭手段が吐出手段を払拭するタイミングとしては、例えば、吐出手段が造形用材料を放出した後などが挙げられる。
また、払拭手段に加え、払拭手段で払拭した吐出手段の付着物を回収する回収機構を備えることも好ましい。回収機構としては、付着物を回収して貯めておくことができる容器であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下では、造形用材料として用いられるモデル材、サポート材及び接着材について説明する。
<<モデル材>>
モデル材は、モデル部を構成する部分を造形することができる。
本発明において、モデル部とは、立体造形物を造形する本体を構成する部を意味する。
モデル材は、光や熱等のエネルギーを付与することにより硬化する液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。モデル材は、単官能モノマー、多官能モノマー等の重合性モノマー、オリゴマー、光重合開始剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
モデル材は、インクジェット用プリンター等に用いられる造形用材料吐出ヘッドで吐出できる粘度や表面張力等の液物性を有することが好ましい。
−重合性モノマー−
重合性モノマーとしては、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−単官能モノマー−−
単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、アクリル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記以外の単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
−−多官能モノマー−−
多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二官能モノマー、三官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
二官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
三官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−オリゴマー−
オリゴマーとしては、上記モノマーの低重合体や末端に反応性不飽和結合基を有するものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−光重合開始剤−
光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、重合禁止剤、着色剤などが挙げられる。
−−界面活性剤−−
界面活性剤としては、例えば、分子量200以上かつ5,000以下、具体的には、PEG型非イオン界面活性剤[ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1〜40モル付加物、ステアリン酸EO1〜40モル付加物等]、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素含有界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等)、変性シリコーンオイル[ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−重合禁止剤−−
重合禁止剤としては、例えば、フェノール化合物[ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物[ジラウリルチオジプロピオネート等]、リン化合物[トリフェニルフォスファイト等]、アミン化合物[フェノチアジン等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−着色剤−−
着色剤としては、前記モデル材中に溶解又は安定に分散し、更に熱安定性に優れた染料及び顔料が適している。これらの中でも、溶解性染料(Solvent Dye)が好ましい。また色の調整等で2種類以上の着色剤を適時混合することが可能である。
<<サポート材>>
サポート材は、サポート部を構成する部分を造形することができる。
本発明において、サポート部とは、モデル部が固化するまでの時間、立体造形物を所定の位置に保持するために、モデル部の重力方向に対し支持する部分に配置され、モデル部と接し、モデル部を下方向から支持する部を意味する。
サポート材(形状支持用液体)は、水素結合能を有するモノマー(A)と、水素結合能を有する溶媒(B)と、重合開始剤(C)と、を含み、前記水素結合能を有する溶媒(B)が、炭素数3以上6以下のジオール、カルボン酸化合物、アミン化合物、エステル化合物、ケトン化合物、及びウレア化合物から選択される少なくとも1種であり、更に必要に応じてその他の成分を含む。
サポート材は、サポート材の溶解性を高めると、除去は容易になる一方でサポート性能が不足し、また、造形装置を大型化して造形体積を大きくする場合、形状支持能力が不足するという問題がある。
サポート材は、水崩壊性を有することが好ましい。なお、前記水崩壊性とは、水に浸漬したときに、硬化物が細かく分解され、当初有していた形状や性質を維持できなくなることを意味する。
サポート材は、次の条件1を満たすことが好ましい。
<条件1>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm照射して得た、縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物を、20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置すると、少なくとも一方向が1mm以下の大きさの固体であるか、完全に溶解している。
なお、前記縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物としては、以下のようにして作製することができる。
縦20mm×横20mm×高さ5mmのシリコーンゴム型に形状支持用液体を流し込み、紫外線照射装置(装置名:SubZero−LED、インテグレーション・テクノロジー株式会社製)により、紫外線を照射量500mJ/cm(照度:100mW/cm、照射時間:5秒間)にて照射して縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物であるサポート材(2g)を得ることができる。
また、サポート材は、次の条件2を満たすことが好ましい。
<条件2>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm照射して得た硬化物が、25℃環境下にて1%圧縮時の圧縮応力が、2.0kPa以上の固体であり、前記固体2gを20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置したときの残存固体の体積が50体積%以下である。なお、残存固体の体積は、アルキメデス法により測定することができる。
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm照射して得た硬化物が、前記各条件を満たすことにより、形状支持用サポート材の機能を向上することができる。
また、紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm照射して得た硬化物の、25℃環境下における1%圧縮時の圧縮応力としては、0.5kPa以上であることが好ましい。前記1%圧縮時の圧縮応力が、0.5kPa以上であると、形状支持用サポート材の機能を向上することができる。
なお、前記1%圧縮時の圧縮応力としては、形状を支持するモデル材の大きさ等にも影響され、前記モデル材の大きさが大きい場合は、形状支持の点から、2.0kPa以上が好ましい。
また、前記1%圧縮時の圧縮応力は、万能試験機(装置名:AG−I、株式会社島津製作所製、ロードセル1kN、1kN用圧縮ジグ)を用いて測定することができる。
前記紫外線照射装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、装置名:AG−I(株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
前記照射量500mJ/cmにおいては、照度が100mW/cm、照射時間が5秒間であることが好ましい。
<水素結合能を有するモノマー(A)>
前記水素結合能を有するモノマー(A)は、水素結合能を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化物の水崩壊性を向上する点から、単官能モノマーが好ましい。
前記水素結合能を有するモノマー(A)としては、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基、スルホ基等を有するモノマーなどが挙げられる。
前記水素結合能を有するモノマー(A)の重合反応としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、配位重合、開環重合などが挙げられる。これらの中でも、重合反応の制御の点から、ラジカル重合が好ましい。そのため、前記水素結合能を有するモノマー(A)としては、エチレン性不飽和モノマーが好ましく、水溶性単官能エチレン性不飽和モノマー、水溶性多官能エチレン性不飽和モノマーがより好ましく、硬化物の水崩壊性を向上する点から、水溶性単官能エチレン性不飽和モノマーが特に好ましい。
<<水素結合能を有する水溶性単官能エチレン性不飽和モノマー>>
前記水素結合能を有する水溶性単官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、単官能ビニルアミド基含有モノマー[N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等];単官能水酸基含有(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等];水酸基含有(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(C1〜4)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(C1〜4)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、PEG−PPGブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等];(メタ)アクリルアミド誘導体[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等]、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、光反応性の点から、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドがより好ましく、人体への皮膚低刺激性の点から、アクリロイルモルホリン(分子量:141.17)、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(分子量:115.15)が特に好ましい。
<<水素結合能を有する水溶性多官能エチレン性不飽和モノマー>>
前記水素結合能を有する水溶性多官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、二官能基のモノマーとして、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート;三官能以上のモノマーとして、トリアリルイソシアネート、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素結合能を有するモノマー(A)の分子量としては、70以上2,000以下が好ましく、100以上500以下がより好ましい。前記分子量が、70以上2,000以下であると、液体吐出方式に最適な粘度に調整することができる。
前記水素結合能を有するモノマー(A)の含有量としては、サポート材全量に対して、30質量%以上60質量%以下が好ましい。前記含有量が、30質量%以上60質量%以下であると、形状支持用サポート材として十分な圧縮応力と、水崩壊性とを両立することができる。
<水素結合能を有する溶媒(B)>
前記水素結合能を有する溶媒(B)は、水素結合能を有するモノマー(A)と水素結合能を有し、水素結合能を有するモノマー(A)と水素結合を形成することにより、形状支持用サポート材の機能を発揮することができる。
前記水素結合能を有する溶媒(B)は、炭素数3以上6以下のジオール、カルボン酸化合物、アミン化合物、エステル化合物、ケトン化合物、及びウレア化合物から選択される少なくとも1種である。これらの中でも、炭素数3以上6以下のジオールが好ましい。
<<炭素数3以上6以下のジオール>>
前記炭素数3以上6以下のジオールとしては、水溶性アクリルモノマーと反応性がないこと、光硬化時のラジカル重合反応を阻害しないこと、常温にて流動性があり、水に可溶な材料であることが好ましい。
また、前記炭素数3以上6以下のジオールとしては、単官能性、多官能性のいずれも使用することができる。
前記炭素数3以上6以下のジオールとしては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
前記炭素数としては、3以上6以下であり、3以上5以下が好ましい。前記炭素数が、3以上であると、1%圧縮時の圧縮応力を向上でき、6以下であると、形状支持用液体の粘度を低くすることができる。
なお、前記炭素数3以上6以下のジオールの炭素鎖としては、直鎖でもよく、枝分かれしていてもよい。
<<カルボン酸化合物>>
前記カルボン酸化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキシル酸等の直鎖脂肪族酸;イソブチル酸、t−ブチル酸、イソペンチル酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキシル酸等の各種分岐型脂肪族カルボン酸;安息香酸、ベンゼンスルホン酸等の芳香族系カルボン酸;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水への溶解性の点から、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、乳酸が好ましく、ブタン酸、乳酸がより好ましい。
<<アミン化合物>>
前記アミン化合物としては、例えば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン等の1〜3級アミン;エチレンジアミン等の2価アミン;トリエチレンジアミン等の3価アミン;ピリジン、アニリン等の脂肪族系アミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水素結合による架橋強度、及び水への溶解性の点から、2価又は3価の1級アミンが好ましく、エチレンジアミンがより好ましい。
<<エステル化合物>>
前記エステル化合物としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等の単官能エステル;コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等の多官能脂肪族エステル;テレフテル酸ジメチル等の多官能芳香族エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水への溶解度、造形中の蒸発や臭気、及び安全性の点から、アジピン酸ジメチルが好ましい。
<<ケトン化合物>>
前記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等の単官能ケトン、アセチルアセトン、2,4,6−ヘプタトリオン等の多官能ケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、揮発性や水への溶解度の点から、アセチルアセトンが好ましい。
前記水素結合能を有する溶媒(B)の含有量としては、形状支持用液体全量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましい。前記含有量が、10質量%以上50質量%以下であると、形状支持用サポート材として十分な圧縮応力と、水崩壊性とを両立することができる。
[質量比(A/B)]
前記(A)の含有量(質量%)と、前記(B)の含有量(質量%)との質量比(A/B)が、0.3以上2.5以下が好ましく、0.5以上2.5以下がより好ましい。前記質量比(A/B)が、0.3以上2.5以下であると、1%圧縮時の圧縮応力を向上できる。
<重合開始剤(C)>
前記重合開始剤(C)としては、光(特に、波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記重合開始剤(C)としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、紫外線照射装置の紫外線波長に合わせた重合開始剤を選択することが好ましい。
前記重合開始剤(C)の含有量としては、サポート材全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
前記液状のサポート材(形状支持用液体)の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が、20mN/m以上であると、造形の際に吐出が不安定(吐出方向が曲がる、吐出しない)になることを防止でき、45mN/m以下であると、造形用の吐出ノズル等に液体を充填する際に、容易に充填することができる。
なお、前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
−粘度−
前記液状のサポート材(形状支持用液体)の粘度としては、25℃にて100mPa・s以下であり、25℃にて、3mPa・s以上70mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上50mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が、100mPa・s以下であると、吐出安定性を向上できる。
なお、前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)を用いて25℃の環境下にて測定することができる。
−粘度変化率−
前記液状のサポート材(形状支持用液体)としては、50℃にて2週間放置した前後の粘度変化率が±20%以下であることが好ましく、±10%以下がより好ましい。前記粘度変化率が、±20%以下であると、保存安定性が適正であり、吐出安定性が良好となる。
前記50℃にて2週間放置した前後の粘度変化率としては、以下のようにして測定することができる。
前記形状支持用液体をポリプロピレン製広口瓶(50mL)に入れて、50℃の恒温槽中に2週間放置した後、恒温槽から取り出して室温(25℃)になるまで放置して、粘度測定を行う。恒温槽に入れる前の形状支持用液体の粘度を保存前粘度、恒温槽から取り出した後の形状支持用液体の粘度を保存後粘度とし、下記式により粘度変化率を算出することができる。なお、前記保存前粘度及び前記保存後粘度は、例えば、R型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
粘度変化率(%)=[(保存後粘度)−(保存前粘度)]/(保存前粘度)×100
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、重合禁止剤、形状支持用液体に分散可能な鉱物、前記(A)成分とは別に重合性モノマー、熱重合開始剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
−溶媒−
前記溶媒としては、例えば、アルコール、エーテル化合物、トリオール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒のSP値としては、水崩壊性の点から、18MPa1/2以上が好ましく、23MPa1/2以上がより好ましい。
前記溶媒の含有量としては、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
−−重合禁止剤−−
前記重合禁止剤としては、例えば、フェノール化合物[ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物[ジラウリルチオジプロピオネート等]、リン化合物[トリフェニルフォスファイト等]、アミン化合物[フェノチアジン等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合禁止剤の含有量としては、形状支持用液体全量に対して、圧縮応力の点から、通常30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましい。
−−形状支持用液体に分散可能な鉱物−−
前記形状支持用液体に分散可能な鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、スチーブンサイト等のスメクタイト;バーミキュライト;ベントナイト;カネマイト、ケニアナイト、マカナイト等の層状ケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記層状粘土鉱物としては、天然の鉱物として産するものであってもよいし、化学合成法によって製造されたものであってもよい。
前記層状粘土鉱物としては、表面を有機処理してもよい。
前記層状粘土鉱物等の層状無機物は、有機カチオン性化合物により処理されて、層間の陽イオンが4級塩等のカチオン性基とイオン交換され得る。
前記層状粘土鉱物の陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等の金属カチオンなどが挙げられる。
有機カチオン性化合物により処理された層状粘土鉱物は、上記ポリマーや上記重合性モノマーに膨潤、分散しやすくなる。
前記有機カチオン性化合物により処理された層状粘土鉱物としては、例えば、ルーセンタイトシリーズ(コープケミカル株式会社製)などが挙げられる。前記ルーセンタイトシリーズ(コープケミカル株式会社製)としては、例えば、ルーセンタイトSPN、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSTNなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−重合性モノマー−−
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、イソボルニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートなどを挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−熱重合開始剤−−
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。ただし、保存安定性の点から熱重合開始剤より光重合開始剤が好ましい。
前記アゾ系開始剤としては、例えば、VA−044、VA−46B、V−50、VA−057、VA−061、VA−067、VA−086、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO64)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(いずれもDuPont Chemical社から入手可能)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬工業株式会社より入手可能)などが挙げられる。
前記過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobel社から入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochem社から入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobel社から入手可能)、過酸化ジクミルなどが挙げられる。
前記過硫酸塩開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記レドックス(酸化還元)開始剤としては、例えば、前記過硫酸塩開始剤とメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組み合わせ、前記有機過酸化物と第3級アミンに基づく系(例えば、過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系)、有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系(例えば、クメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系)などが挙げられる。
−−着色剤−−
前記着色剤としては、例えば、顔料、染料などが挙げられる、
前記顔料としては、例えば、有機顔料、無機顔料などが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、アジン顔料、昼光蛍光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、金属酸化物(酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等)、カーボンブラックなどが挙げられる。
−−酸化防止剤−−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール化合物〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄化合物(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルホスファイト等)、アミン化合物(オクチル化ジフェニルアミン等)などが挙げられる。
−−連鎖移動剤−−
前記連鎖移動剤としては、例えば、炭化水素[炭素数6以上24以下の化合物、例えば、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、不飽和脂肪族炭化水素(1−ブテン、1−ノネン等)];ハロゲン化炭化水素(炭素数1以上24以下の化合物、例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素等);アルコール(炭素数1以上24以下の化合物、例えば、メタノール、1−ブタノール等);チオール(炭素数1以上24以下の化合物、例えば、エチルチオール、1−オクチルチオール等);ケトン(炭素数3以上24以下の化合物、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等);アルデヒド(炭素数2以上18以下の化合物、例えば、2−メチル−2−プロピルアルデヒド、1−ペンチルアルデヒド);フェノール(炭素数6以上36以下の化合物、例えば、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等);キノン(炭素数6以上24以下の化合物、例えば、ヒドロキノン等);アミン(炭素数3以上24以下の化合物、例えば、ジエチルメチルアミン、ジフェニルアミン);ジスルフィド(炭素数2以上24以下の化合物、例えば、ジエチルジスルフィド、ジ−1−オクチルジスルフィド等)などが挙げられる。
[サポート材の硬化後の支持力]
液状のサポート材(形状支持用液体)の硬化後の支持力(単に「サポート材の支持力」という。)としては、サポート材がモデル材を支える性能であり、1%圧縮時の圧縮応力で表すことができる。
前記サポート材の支持力としては、光造形品の造形精度、サポート材の溶解性の点から、25℃環境下で1%圧縮時の圧縮応力が0.5kPa以上が好ましく、2kPa以上がより好ましい。
前記サポート材の支持力としては、サポート材を構成する(A)、(B)の成分について、それらの種類および含有量を選択することにより、上記範囲に調整することができる。なお、1%圧縮時の圧縮応力は、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)を用いて測定することができる。
サポート材の支持力としては、前記(A)成分が重合したポリマーに対して、前記(B)成分が水素結合することにより高い支持力を担保していると考えられる。
[サポート材の除去性]
前述のとおり、サポート材の支持力は、水素結合に由来する。前記サポート材の支持力は、水に浸漬させることにより弱まり、崩壊して除去することが可能になる。また、前記(B)が低分子量であると、拡散が早く、短い時間にて除去することが可能となる。
−−溶解液−−
前記溶解液は、例えば、水素結合能を有するものが挙げられる。
前記溶解液としては、例えば、水、アルコールであるブタノールやヘキサノール、アミンであるヘキシルアミンやペンチルアミン、芳香族化合物であるベンゼンやトルエンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性の点から、水、アルコールが好ましい。
また、前記溶解液に添加物を加えてもよい。
前記添加物としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。前記界面活性剤の種類や量を調整することにより直鎖アルキル鎖に対する親和性を上げることができる。
前記溶解液は、サポート材を軟化させ、内部に浸透しやすくする点から、40℃以上が好ましいが、立体造形物の反りを予防する点から、40℃より低い温度を選択することもできる。
前記立体造形物の製造装置としては、ヒーターレスであることが好ましく、常温にて造形可能であることが好ましい。
<<接着材>>
接着材は、粉末材料に対して吐出され、固化することで粉末材料と接着材とを含む層状造形物を造形することができる。
接着材は、光や熱等のエネルギーを付与することや、経時的な変化により硬化する液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
接着材は、有機材料及び基材を含む粉末材料を接着する場合は、有機材料と架橋する架橋剤と、水溶性樹脂とを含み、安定化剤及び溶媒を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
接着材は、インクジェット用プリンター等に用いられる造形用材料吐出ヘッドで吐出できる粘度や表面張力等の液物性を有することが好ましい。
以下、本発明の立体造形物の製造装置の一実施形態ついて、マテリアルジェッティング方式に従う造形装置を例として説明するが、本発明は、この実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、立体造形物の製造装置の要部正面の一例を示す模式図である。
立体造形装置10は、材料噴射造形装置であり、層状造形物30(30A〜30E)が積層されて立体造形物が造形される造形ステージ14と、造形ステージ14上に層状造形物30を順次積層しながら造形する造形ユニット20とを備えている。
造形ユニット20は、モデル材を吐出する第1の吐出ヘッド11と、サポート材を吐出する第2の吐出ヘッド12と、活性エネルギー線としての紫外線を照射するUV照射ユニット13と、層状造形物30を平滑化するための平滑化部材である平滑化ローラ(平坦化ローラともいう)16を備えている。
ここでは、X方向において、第1の吐出ヘッド11を挟んで2つの第2の吐出ヘッド12を配置し、2つの第2の吐出ヘッド12の外側にそれぞれUV照射ユニット13を配置し、更に、UV照射ユニット13の外側にそれぞれ平滑化ローラ16を配置している。
造形ユニット20はX方向に往復移動されるとともに、造形ステージ14に対してY方向にも相対的に移動可能とされている。
造形ステージ14は、昇降手段15によってZ方向に昇降される。
次に、この立体造形装置10による造形手順の概要について図2を参照して説明する。
図2は、造形手順を説明するための層状造形物の構成の一例を示す模式図である。図2では、便宜上液滴形状を矩形状で示している。
図1に示した造形ユニット20をX方向に移動させながら、第1の吐出ヘッド11からモデル材301を造形領域(立体造形物を構成する領域)に吐出させ、第2ヘッド12からサポート材302を造形領域以外のサポート領域(造形後除去する領域)に吐出させる。
そして、UV照射ユニット13によって、モデル材301及びサポート材302上に紫外線を照射して硬化させ、モデル部の造形物17とサポート部の造形物18を含む1層分の層状造形物30を形成する。
この層状造形物30を繰り返し造形して順次積層し、モデル材301をサポート材302で支持しながらモデル材301からなる目的とする立体造形物を造形する。
例えば、図1の例では、層状造形物30A〜30Eの5層を積層した状態を示している。また、図2の例では、層状造形物30A〜30Cの3層を積層した状態を示している。
ここで、層状造形物30を複数層(固定値である必要はない。)積層する毎に、例えば10層積層する毎に、平滑化ローラ16を最表面の層状造形物30に押し付けて平滑化することで、層状造形物30の厚み精度や平坦性を確保することができる。
なお、平滑化部材として、平滑化ローラ16のようなローラ形状の部材を使用する場合、X方向における移動方向に対して、平滑化ローラ16を逆転させる方向で回転させることで、平滑化(平坦化)の効果がより有効に発揮される。
また、造形ユニット20と最表面の層状造形物30とのギャップを一定に保つために、ここでは、1層の層状造形物30を形成する毎に造形ステージ14を昇降手段15によって下降させている。なお、造形ユニット20を上昇させる構成でもよい。
また、立体造形装置10としては、モデル材301やサポート材302の回収、リサイクル機構などを備えることができる。
また、造形時の装置内の環境温度を制御することも好ましい。
図3は、立体造形物の製造装置の要部平面の一例を示す模式図である。図4は、立体造形物の製造装置の要部側面の一例を示す模式図である。
立体造形装置10において、造形ユニット20のユニットホルダ21は、X方向に配置されたガイド部材54、55に移動可能に保持されている。
また、造形ユニット20のX方向の一方側には、吐出ヘッド11及び12の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。
メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63で構成される。キャップ62は、吐出ヘッド11や12のノズル面(ノズルが形成された面)に密着して、ノズルから造形用材料を吸引し、ノズルに詰まった高粘度化した造形用材料を放出させる。放出された造形用材料は、廃液タンクにポンプで輸送される。その後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)及びノズル周辺の付着物を除去するため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形用材料の吐出がスムーズに行われるよう、吐出ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、造形用材料の乾燥による固化や、光による造形用材料の液体の硬化を抑制することができる。
また、造形ユニット20のユニットホルダ21を保持しているガイド部材54及び55は、両側の側板70、70に保持されている。側板70、70はベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット20はX方向と直交するY方向に往復移動可能である。
ステージ14は、昇降手段15によってZ方向に昇降される。昇降手段15は、ベース部材7上にX方向に配置されたガイド部材75、76上に移動可能に配置される。
第1の吐出ヘッド11には、カートリッジ装着部56に交換可能に装着されるカートリッジ60によって造形用材料が供給チューブなどを介して供給される。なお、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラーの造形用材料を使用する場合には、第1の吐出ヘッド11に各色の液滴を吐出する複数のノズル列を配置することができる。
次に、立体造形装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。図5は、立体造形物の製造装置の制御部を説明するためのブロック図である。
制御手段(制御部)500は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Reed Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503とを含む主制御部500Aを備えている。
CPU501は、立体造形装置10全体の制御を司る。ROM502は、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含む立体造形プログラム、その他の固定データを格納する。RAM503は、造形データ等を一時格納する。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM;Non−Volatile RAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC(Application Specific Integrated Circuit)505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F(Interface)506を備えている。
図5中、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物(立体造形物)を層状造形物毎にスライスされた切断面を示す2次元データ(造形データ)を作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構築されている。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O(Input/Output)507を備えている。
制御部500は、図3及び図4で示した造形ユニット20の第1の吐出ヘッド11を駆動制御するヘッド駆動制御部508と、第2の吐出ヘッド12を駆動制御するヘッド駆動制御部509を備えている。
制御部500は、造形ユニット20をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット20をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。
制御部500は、図4に示した造形ステージ14をZ方向に昇降させる昇降手段15を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。なお、Z方向への昇降は造形ユニット20を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、図1及び図3に示した平滑化ローラ16を回転駆動するモータ26を駆動するモータ駆動部516、第1の吐出ヘッド11、第2の吐出ヘッド12のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500は、UV照射ユニット13による紫外線照射を制御する硬化制御部519を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
制御部500は、上述したように、造形データ作成装置600から造形データを受信する。制御部500は、入力された造形データに従い立体造形物を造形するよう駆動処理される。これにより、立体造形装置10において、所望の立体造形物が造形される。
<吐出手段に造形用材料を放出させる制御の実施形態>
立体造形装置10の制御部500は、メンテナンスのために、第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12により造形用材料を放出させる制御を行う。以下、造形用材料を放出させる処理について、詳細に説明する。
図6は、所定の層状造形物を示す造形データの一例を示す模式図である。
造形データは、ピクセルの集合体として扱うことができる。
例えば、N層目(Nは、自然数とする)の層状造形物における造形データの総エリア400のピクセル数をDT(N)とする。また、N層目の層状造形物の造形データにおいて、モデル材が吐出されるピクセルの数をDM(N)とし、サポート材が吐出されるピクセルの数をDS(N)とする。
造形ユニット20により造形用材料が吐出される吐出エリア401のピクセル数(吐出箇所数)は、DT(N)又はDM(N)とすることができる。また、吐出箇所数は、DT(N)とDM(N)の和としてもよい。
非吐出エリア402のピクセル数(非吐出箇所数)は、DT(N)から、DT(N)とDM(N)の和を減算した数とする。
図7は、複数の隣接する層状造形物を示す造形データの一例を示す模式図である。図7では、層状造形物420から層状造形物423が隣接している様子を示している。
吐出割合の算出において、例えば、100層の隣接する層状造形物における吐出割合を算出する場合、M層目(Mは、自然数とする)からM+100層目までのモデル材の吐出割合は、下記数式1で表せる。
同様にして、例えば、100層の隣接する層状造形物における吐出割合を算出する場合、M層目からM+100層目までのサポート材の吐出割合は、下記数式2で表せる。
立体造形装置10の制御部500は、このようにして求めた吐出割合に応じて第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12から造形用材料(ここでは、モデル材及びサポート材)を放出させる制御(メンテナンス)を行う。
次に、第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12により造形用材料を放出させる制御を有し、本発明の立体造形物の製造方法と同様の機能をコンピュータに実行させる本発明の立体造形プログラムについて説明する。本発明の立体造形プログラムによる処理は、上述した立体造形装置10を構築する制御部500を有するコンピュータを用いて実行することができる。
図8は、立体造形プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS101では、制御部500は、I/F506が受信した立体造形装置10が造形する立体造形物についての造形データを受け付けると、処理をS102に移行する。
ステップS102では、制御部500は、操作パネル522を介して入力された第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12から吐出するモデル材及びサポート材の種類や物性などの情報を受け付けると、処理をS103に移行する。
ステップS103では、制御部500は、S101及びS102で受け付けた情報に基づき、100層の隣接する層状造形物における吐出割合を、モデル材及びサポート材でそれぞれ算出すると、処理をS104に移行する。
ステップS104では、制御部500は、まだ造形していない層状造形物の数が100層以上あるか否かを判定する。まだ造形していない層状造形物の数が100層以上ある場合には、処理をS105に移行する。一方、まだ造形していない層状造形物の数が100層未満である場合には、処理をS108に移行する。
ステップS105では、制御部500は、S101で受け付けた造形データに基づいて立体造形装置10により層状造形物を造形させる。そして、制御部500は、造形した層状造形物を積層させる処理を100回繰り返すことで、層状造形物を100層積み重ねさせると、処理をS106に移行させる。
ステップS106では、制御部500は、S105で造形させた100層の層状造形物における吐出割合が、予め定めた所定値以下であるか否かを判定する。吐出割合が所定値以下である場合には、処理をS107に移行する。一方、吐出割合が所定値より高い場合には、処理をS104に戻す。
ステップS107では、制御部500は、メンテナンス機構61により第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12のメンテナンスを行わせると、処理をS104に戻す。第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12のメンテナンスでは、第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12に造形用材料を放出させる処理の他に、第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12をワイパ63でワイピング(払拭)させてもよい。
ステップS108では、制御部500は、S101で受け付けた造形データに基づいて、立体造形装置10により層状造形物を造形させ、造形した層状造形物を積層させる処理を、全ての層状造形物を積層し終わるまで繰り返し、本処理を終了する。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
<モデル材の調製>
イソボルニルアクリレート(共栄化学株式会社製)60質量部、アクリロイルモルホリン(ACMO、KJケミカルズ株式会社製)10質量部、及びウレタンアクリレート(商品名:UV−1700B、日本合成化学工業株式会社製、分子量:2,000)30質量部をビーカーにて均一に混合した。その後、反応開始剤(商品名:イルガキュア819、BASF社製)2質量部を加え、さらに均一に混合し、フィルター(商品名:CCP−FX−C1B、ADVANTEC社製、平均孔径:3μm)を通過させてモデル材を得た。
<サポート材の調製>
アクリロイルモルホリン(ACMO、KJケミカルズ株式会社製)40質量部、ポリオキシプロピレングリコール60質量部、反応開始剤(商品名:イルガキュア819、BASF社製)3質量部、及び重合禁止剤(商品名:フェノチアジン、東京化成株式会社製)0.1質量部を均一に混合し、フィルター(商品名:CCP−FX−C1B、ADVANTEC社製、平均孔径:3μm)を通過させてサポート材を得た。
図1に示す立体造形物の製造装置において、インクジェットヘッド(商品名:MH2420、リコーインダストリー株式会社製)に通じる3つのタンクに、得られたモデル材及びサポート材を充填した。
本実施例では、第1の吐出ヘッド11及び第2の吐出ヘッド12のメンテナンスを、吐出割合が所定値以下となったと判定された場合に実行する。ここでは、適切な所定値を求めるため、チャネル抜け評価と造形物平坦性評価を行った。
<チャネル抜け評価>
チャネル抜け評価では、インクジェットヘッドのチャネル抜けの個数を評価する。
チャネル抜けとは、本実施例では、インクジェットヘッドのチャネル(吐出孔)から、正しく造形用材料が吐出されないことを意味する。
チャネル抜け評価として、モデル材及びサポート材の吐出割合を12%〜60%に設定した100層の造形を連続的にそれぞれ実施した。その後、造形物を除去し、造形物の高さより0.2mm低いステージを設置し、その上に厚さ0.1mmのOHPシートを固定した。固定したOHPシートに対して、インクジェットヘッドの全チャネルからモデル材及びサポート材の液滴を連続的に10滴吐出して直線状に画像チャートを描画した。
描画した画像チャートから、チャネルによりモデル材及びサポート材が正常に吐出しているかを判断した。判断基準としては、所定滴数がデータどおりに直線状に形成されているチャネルの数で判断を行い、直線ではなく曲がりや抜けを異常と判断した。
異常な吐出をした異常チャネルが少なくとも2チャネル以下である場合を〇、異常チャネルが2チャネルより多く、10チャネル以下の場合を△、異常チャネルが10チャネル多い又は隣接するチャネルが連続で異常吐出をした場合を×と判断した。本実施例で用いるインクジェットヘッドのチャネル数は384チャネルとした。
<造形物平坦性評価>
造形物平坦性評価では、特定の吐出割合で立体造形物を製造した後に、別の立体造形物を製造して、後に製造した立体造形物の平坦性を評価する。
造形物平坦性評価では、まず、吐出割合を特定の値(12%〜60%)に設定した100層の立体造形物を連続的に製造する。その後、製造した立体造形物を除去し、そのまま次に、全てのチャネルが吐出する条件となる一辺が6.5cmである立方体の立体造形物を製造する。
造形物平坦性評価の判断基準としては、立方体の立体造形物の表面を目視で確認し、チャネル抜けによる凹が顕著または2か所以上確認された場合を×、チャネル抜けによる凹が1箇所確認された場合を△、チャネル抜けによる凹が確認されない場合を〇と判断した。
チャネル抜け評価と造形物平坦性評価の結果を表1に示す。
表1に示した結果から、モデル材及びサポート材において吐出不良が検出されなかった吐出割合の中で、吐出不良が検出されない値として、吐出割合を20%に、一回のメンテナンスで放出される造形用材料の量を3.2gに設定した。吐出不良が発生しない範囲で、できるだけ低い値を所定値として設定することで、無駄なメンテナンスをすることなく、効率的に立体造形物を製造することができる。
(実施例1)
上述したことを踏まえて、実施例1では、吐出割合が所定値以下となったと判定された場合に吐出手段のメンテナンスを実行するように制御し、所定値を20%に、造形用材料の放出量を3.2gに設定し、12,000の層状造形物からなる立体造形物を製造した。なお、吐出割合は、100層の隣接する層状造形物ごとに算出した値を用いた。製造した立体造形物の表層面は平滑であり、立体造形物の全体としての吐出割合は、20%である。実行したメンテナンスは、インクジェットヘッドから造形用材料を放出するパージ処理及びインクジェットヘッドをワイパで払拭する払拭処理である。
その結果、製造した立体造形物にチャネル抜けによる凹部などの異常箇所は検出されなかった。
(実施例2)
1〜300層までの吐出割合が40%、301〜400層までの吐出割合が30%、401〜600層までの吐出割合が10%となるような立体造形物を、実施例1と同様の条件で製造した。
製造した立体造形物の表層面は平滑である。
その結果、製造した立体造形物にチャネル抜けによる凹部などの異常箇所は検出されなかった。
(比較例1)
立体造形物の製造の途中で、メンテナンスを実行せずに、実施例2と同一形状の立体造形物を製造した。
その結果、チャネル抜けによる凹部が、立体造形物の上部の表面で検出された。
実施例1及び実施例2の結果から、本発明の立体造形物の製造方法を用いることにより、立体造形物の品質の低下を抑制するとともに、立体造形物を製造する際の廃液の量を抑制することができることが確認できた。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造方法であって、
吐出手段により造形用材料を吐出させる吐出工程と、
所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる放出工程と、を含む、
ことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記放出工程は、所定数の隣接する前記層状造形物における前記吐出箇所数の割合が所定値以下となる場合に行う前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記放出工程は、前記造形用材料の物性に応じて前記所定値を設定して行う前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記放出工程は、前記吐出箇所数の割合に対して、前記吐出手段から放出させる前記造形用材料の量を相反させて行う前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造装置であって、
造形用材料を吐出する吐出手段と、
所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる制御を行う制御手段と、を有する、
ことを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<6> 前記制御手段の前記制御は、所定数の隣接する前記層状造形物における前記吐出箇所数の割合が所定値以下となる場合に行う前記<5>に記載の立体造形物の製造装置である。
<7> 前記制御手段の前記制御は、前記造形用材料の物性に応じて前記所定値を設定して行う前記<6>に記載の立体造形物の製造装置である。
<8> 前記制御手段の前記制御は、前記吐出箇所数の割合に対して、前記吐出手段から放出させる前記造形用材料の量を相反させて行う前記<5>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<9> 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する処理をコンピュータに実行させる立体造形プログラムであって、
吐出手段により造形用材料を吐出させ、
所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする立体造形プログラムである。
<10> 前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる処理は、所定数の隣接する前記層状造形物における前記吐出箇所数の割合が所定値以下となる場合に行う前記<9>に記載の立体造形プログラムである。
<11> 前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる処理は、前記造形用材料の物性に応じて前記所定値を設定して行う前記<10>に記載の立体造形プログラムである。
<12> 前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる処理は、前記吐出箇所数の割合に対して、前記吐出手段から放出させる前記造形用材料の量を相反させて行う前記<9>から<11>のいずれかに記載の立体造形プログラムである。
<13> 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造装置の洗浄方法であって、
所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる放出工程と、を含む、
ことを特徴とする立体造形物の製造装置の洗浄方法である。
<14> 前記放出工程は、所定数の隣接する前記層状造形物における前記吐出箇所数の割合が所定値以下となる場合に行う前記<13>に記載の立体造形物の製造装置の洗浄方法である。
<15> 前記放出工程は、前記造形用材料の物性に応じて前記所定値を設定して行う前記<14>に記載の立体造形物の製造装置の洗浄方法である。
<16> 前記放出工程は、前記吐出箇所数の割合に対して、前記吐出手段から放出させる前記造形用材料の量を相反させて行う前記<13>から<15>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置の洗浄方法である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、前記<5>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置、前記<9>から<12>のいずれかに記載の立体造形プログラム、前記<13>から<16>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置の洗浄方法によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2015−221516号公報
10 立体造形装置
11 第1の吐出ヘッド
12 第2の吐出ヘッド
14 造形ステージ
20 造形ユニット
61 メンテナンス機構
500 制御手段

Claims (7)

  1. 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造方法であって、
    吐出手段により造形用材料を吐出させる吐出工程と、
    所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる放出工程と、を含む、
    ことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記放出工程は、所定数の隣接する前記層状造形物における前記吐出箇所数の割合が所定値以下となる場合に行う請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記放出工程は、前記造形用材料の物性に応じて前記所定値を設定して行う請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記放出工程は、前記吐出箇所数の割合に対して、前記吐出手段から放出させる前記造形用材料の量を相反させて行う請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造装置であって、
    造形用材料を吐出する吐出手段と、
    所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる制御を行う制御手段と、を有する、
    ことを特徴とする立体造形物の製造装置。
  6. 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する処理をコンピュータに実行させる立体造形プログラムであって、
    吐出手段により造形用材料を吐出させ、
    所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、前記吐出手段から前記造形用材料を放出させる、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする立体造形プログラム。
  7. 複数の層状造形物を積層することで立体造形物を製造する立体造形物の製造装置の洗浄方法であって、
    所定の前記層状造形物における吐出箇所数及び非吐出箇所数の合計に対する前記吐出箇所数の割合に応じて、吐出手段から造形用材料を放出させる放出工程と、を含む、
    ことを特徴とする立体造形物の製造装置の洗浄方法。

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