JP2019143852A - 喫煙室 - Google Patents
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健康増進法によって定められた通り、受動喫煙の防止措置が努力義務とされ、これに伴い「職場における喫煙対策のためのガイドライン(平成15年5月)」が改定されて、職場の空気環境の基準として、喫煙室内のタバコの粉塵や匂い及びガス成分が、喫煙室内から喫煙室外に漏出しないためには、喫煙室の出入口など喫煙室と非喫煙エリアの境界部分において、非喫煙エリアから喫煙室に向かって0.2m/sの進入風を発生させることが有効であるとされている。
しかしながら、近年は、加えて、次のような要請がある。
喫煙室から排気される空気は、近年では健康対策や匂い除去の観点から、粉塵除去用のフィルターや匂いおよびTVOC(total Volatile Organic Compounds、総揮発性有機化合物)等ガス成分除去用のフィルターを通して清浄化する要請がある。特に、排気先が人の活動エリア近辺の場合、高性能のフィルター、例えば粉塵およびTVOC除去性能が90%以上ある濾過装置が求められることもある。
本発明は、上記課題を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなる。すなわち、
空気濾過ユニットと、負圧発生装置と、開口部とを備えた喫煙室であって、
前記空気濾過ユニットは、第1の濾過ユニットと第2の濾過ユニットを有し、
前記第1の濾過ユニットは、前記第2の濾過ユニットより濾過性能が高く、
前記第1の濾過ユニットの吸気口は前記喫煙室の天井側に配置され、前記第2の濾過ユニットの吸気口は前記喫煙室の床側に配置され、
前記第1の濾過ユニットの排出口及び前記第2ユニットの排出口は、前記負圧発生装置に接続され、
前記開口部は出入口を兼ねており、
前記負圧発生装置が発生した負圧を利用して室内の空気を空気濾過ユニットを通過させて清浄化し室外に排気するとともに、前記開口部から室内に室外の空気を給気することを特徴とする。
このため、第1濾過ユニットは、天井側に設けられた吸気口から発生源に近い上昇する煙を捉えて能率よく喫煙室室内の煙草の煙を含んだ空気の濾過ができるとともに、第2濾過ユニットは、床側に設けられた吸気口から喫煙室内に拡散した煙を捉えて濾過するので、第1濾過ユニットよりも性能が低いフィルターを用いることができ、進入空気量を確保しつつ、全体として除去効率を低下せずに、フィルターの消費量を低減できる。
さらに、第1吸気口と第2吸気口との間に灰皿を置くための棚部を備え、
前記第1吸気口は、前記棚部より上側に、前記第2吸気口は、前記棚部より下側に配置されていることが好ましい。
また、さらに灰皿を備え、前記第1吸気口は、前記灰皿の高さより上側に、前記第2吸気口は、前記灰皿の高さより下側に設けられていることが好ましい。
さらに、加えて、前記喫煙室は、水平断面がほぼ矩形形状であって、その内部に前記空気濾過ユニットがその長辺のほぼ中央に前記開口部と相対するように配置され、
前記空気濾過ユニットの正面パネルの中央部は、平面状であって水平方向の幅が出入口の幅より狭く、前記中央部の左右は階段状の落差部に続いて平面状の平面部が出入口を向くようにして水平方向に複数回繰り返され左右ほぼ対称に伸びており、
前記濾過ユニットは、前記第1濾過ユニットの吸気口と前記第2濾過ユニットの吸気口をそれぞれ複数有し、
前記第1濾過ユニットの吸気口は、前記中央部と、前記平面部の最上部に配置されるともに前記落差部に配置され、
前記第2吸気口は、前記落差部に配置されていることが好ましい。
第1濾過ユニットは、天井側に(または、棚部より上に、または、灰皿より上に)設けられた吸気口のうち平面部から発生源に近い上昇する煙を能率よく捉えるとともに落差部から室内に拡散する煙を能率よく濾過するとともに、第2濾過ユニットは、床側に(または、棚部より下に、または、灰皿より下に)設けられた吸気口から喫煙室内に拡散した煙を捉えて能率よく濾過することができる。そして、第2濾過ユニットは、第1濾過ユニットより性能が低いフィルターを用いることができるので、進入空気量を確保しつつ、全体として除去効率を低下せずに、フィルターの消費量を低減できる。
また、前記開口部は、引き戸により開閉可能であって、前記引き戸は、パンチングメタルで形成されていることが、好ましい。
本発明は、これらの喫煙室の換気方法であって、
1)前記負圧発生装置を駆動して負圧を発生させ、
2)発生した負圧を利用して前記喫煙室の空気を第1濾過ユニット及び第2濾過ユニットを通過させて清浄化するとともに清浄化した空気を喫煙室外に排出し、
3)あらかじめ定めた速度の進入風を開口部で得ることを特徴とする。
各空気濾過ユニット61、62の排気口61b、62bは、ダクト61d、62dを介して負圧発生装置であるファン2に接続されている。清浄になった空気8は、ダクト61d、62dを通り、ファン2から排出される。なお、各ダクト61d、62dは途中で合わさってもよい。また、ダクト61d、62d及びファン2は、空気濾過ユニット60と一体であってもよいし、別体であってもよい。
図1に示すように、第1濾過ユニットの吸気口61aは、天井3側に設けられている。これに対し、第2濾過ユニットの吸気口62aは、床4側に設けられている。
各濾過ユニット61、62は、内部にそれぞれフィルター部61c、62cを有し、ダクト61d、62dを介して負圧発生装置であるファン2に接続されている。
ファン2が生成した負圧により、各吸気口61a,61bから吸引された喫煙室内の煙草の煙を含んだ空気7は、フィルター部61c、62cで、清浄化される。フィルター部61c、62cは、粒子を除去するための集塵フィルター61c1と匂い等を発する気体を吸着する脱臭フィルター61c2を組み合わせて用いている。
さらに細かい粒子を除去するフィルターは、HEPAフィルターまたは準HEPAフィルターを使用することができる。HEPAフィルターは、規定風量11.5m3/分で99.97%(計数法)除去できるものを用いることができ、準HEPAフィルターは、規定風量11.5m3/分で99.0%(計数法)除去できるものを用いることができる。
ファン2は、負圧を発生し、喫煙室内の煙草の煙7を周囲の空気とともに吸気口から吸引し、フィルター部を通過させて清浄にした空気8を喫煙室外に排出する送風機である。それとともに、喫煙室内を負圧にすることにより、開口部5から、開口部に必要な0.2m/sの進入風9を作るものである。負圧発生装置としてのファン2は、開口5から進入する空気量を賄う容量および圧力を有することができれば、そのほかは特に限定がない。
ファン2は喫煙室1の外に置いているが、喫煙室の屋上に置いてもよい。
なお、喫煙室1内に人感センサーを設けて、喫煙室内の人の有無を検出し、これにより、負圧発生装置の運転を自動的に制御するようにしてもよい。
このように、負圧発生装置2が発生した負圧を利用して室内の空気7を空気濾過ユニット60を通過させて清浄化し喫煙室外に排気するとともに、前記開口部5から室内に室外の空気を給気する。
このため、第1濾過ユニット61は、天井側に設けられた吸気口61aから発生源に近い上昇する煙を捉えて能率よく喫煙室室内の煙草の煙を含んだ空気の濾過ができるとともに、第2濾過ユニット62は、床側に設けられた吸気口62aから喫煙室内に拡散した煙を捉えて濾過するので、第1濾過ユニットに比べて性能が低い簡易なフィルターを用いることができ、進入空気量を確保しつつ、全体として除去効率を低下せずにフィルターの消費量を低減できる。
これにより、棚部Sに灰皿が置かれた場合であっても、灰皿から上がる煙草の煙は、天井3側に設けられた第1濾過ユニット61の吸気口61aから上昇する煙を捉えて能率よく喫煙室室内の煙草の煙を含んだ空気7の濾過ができる。また、さらに灰皿を備える場合は、灰皿から上がる煙草の煙は、天井3側に設けられた第1濾過ユニット61の吸気口61aから上昇する煙を捉えて能率よく喫煙室内の空気の濾過ができる。
図2に示すように、本例の喫煙室100は、開口部105を有するとともにその水平方向の断面はほぼ矩形形状である。この喫煙室100は、建築物、車両、船舶、航空機などの内部に設けてもよく、部屋の一部を間仕切りなどにより閉鎖空間として仕切ってもよい。床面103から立ち上がる柱120及び柱120に架け渡された梁121はアルミ型材等必要な強度を有するものを用い、その間をポリカーボネート製等の壁121で仕切り、天井104によって囲んで閉鎖空間を作っている。
この喫煙室100の内部に空気濾過ユニット160がその長辺のほぼ中央に前記開口部105と相対するように配置されている。
図3は、図2に示す本例の空気濾過ユニット160の斜視図である。
図3に示すように、本例の空気濾過ユニット160の正面パネルPの中央部Cは、平面状であってその左右方向の幅は出入口105の幅よりやや狭くなっている。中央部Cの左右は奥行方向に階段状の段差が設けられた落差部Rがあり、続いて平面状の平面部Fが出入口を向くようにして角度が付けられ左右方向にほぼ対称に伸び、落差部Rと平面部Fは左右にもう1回ずつ繰り返されて延びている。
第2濾過ユニットの吸気口161bは、すべての落差部Rのほぼ高さ方向全面に、配置されている。
図4を用いて空気濾過ユニット160の空気の流れを説明する。図4(a)は第1濾過ユニット161の水平方向の模式断面図である。図4(b)のB−B断面に相当するものである。
第1濾過ユニット161の吸気口161aに吸入された空気7は、図4(a)及び(b)に示すように、チャンバー161eを介してフィルター部161cを通過し、その背面の空気通路161dをとおって、喫煙室の屋上におかれたファン102から喫煙室外に清浄化した空気8として排出される。フィルター部161cは、集塵フィルター161c1と脱臭フィルター161c2が備えられている。
第2濾過ユニット162の吸気口162aに吸入された空気7は、第1濾過ユニット161と同様に、図4(b)に示すように、チャンバー(不図示)を介してフィルター部162cを通過し、その背面の空気通路162dをとおって、喫煙室100の屋上に置かれたファン102から喫煙室外に清浄化した空気8として排出される。なお、第2濾過ユニット162の水平方向の模式断面図は示さなかったが、図4(b)のA−A断面の主要部は、第1濾過ユニット161で示した図4(a)と同様である。
図6(a)はその水平断面の模式図であり、図6(b)は空気濾過ユニットの正面側の壁を取り外した正面の模式図である。図6(a)は、図6(b)のB−B断面に相当するものである。
負圧発生装置102により、負圧が発生すると、空気濾過ユニット160に設けられた第1濾過ユニット161の吸気口161aは、正面パネルPの中央部Cとその隣の平面部Fの最上部に設けられているため、発生源19から立ち上る煙7を能率よく吸気する。そして、正面パネルPの中央部Cは最上部以外には吸気口がないため、開口部5から進入した空気9は喫煙室100内に緩やかに引かれて正面パネルPに沿って正面右側には右回りの、正面左側には左回りの緩やかな旋回流20を生じさせる。このため、喫煙室100内に拡散する煙はこの緩やかな旋回流20にのって、落差部Rに設けられた吸気口161aから能率よく空気濾過ユニット160内に吸気される。一方、室外の空気が開口部5から給気されて進入風9が生じるため、この旋回流20は継続する。
同様に、負圧発生装置2により、負圧が発生すると、空気濾過ユニット160に設けられた第2濾過ユニット162の吸気口162aは、落差部Rにほぼ高さ方向全面にわたって設けられているため、開口部105から進入した空気9は喫煙室100内に緩やかに引かれて正面パネルPに沿って正面右側には右回りの、正面左側には左回りの緩やかな旋回流20が生じる。このため、喫煙室100内に拡散する煙7はこの緩やかな旋回流20にのって、落差部Rに設けられた吸気口162aから能率よく空気濾過ユニット160内に吸気される。一方、室外の空気が開口部から給気されて進入風9が生じるため、この旋回流20は継続する。なお、第2濾過ユニット162の水平方向の模式断面図は示さなかったが、図6(b)のA−A断面の空気の流れは、第1濾過ユニット161で示した図6(a)と同様である。
以上のように構成されているため負圧発生装置であるファン102が発生した負圧を利用して室内の空気7を空気濾過ユニット160を通過させて清浄化し喫煙室外に排気するとともに、開口部105から室外の空気を給気する。
このため、第1濾過ユニット161は、主として正面パネルP及び平面部Fの天井103側に設けられた吸気口161aから発生源19に近い上昇する煙を捉えて能率よく喫煙室室内の煙草の煙を含んだ空気の濾過ができるとともに、落差部Rから喫煙室内に拡散した煙を捉えることができる。
また、第2濾過ユニット162は、落差部Rに設けられた吸気口162aから喫煙室100内に拡散した煙を捉えて濾過するので、第1濾過ユニット161に比べて性能が低い簡易なフィルターを用いることができ、進入空気量を確保しつつ、全体として除去効率を低下せずにフィルターの消費量を低減できる。
本例の喫煙室の大きさとしては、3人から4人程度の人数収納可能とするもので、床から天井までが2m程度、奥行きが1m20cm程度、横幅が1m50cm程度である。開口は、出入口を兼ねることが多く、高さが1m80cmから2m程度、幅が60cmから70cm程度である。
出入口5から本例の禁煙室に入ってきた喫煙者は濾過ユニット160の吸込口に向かって喫煙をすることが期待される。喫煙者は、煙草を吸わない時は、おおむね胸の前で煙草をもち、煙草を吸うときに顔の前に持っていくことが多いと考えられる。したがって、平均的には、おおよそ1m50cmから60cm程度のところから煙草の煙(副流煙)が発生するものと考えられる。これは、このような喫煙室では、おおよそ高さ方向の3/4の地点であり、すくなくとも喫煙室の中間の高さより高い地点である。
2、102:負圧発生装置(ファン)
3、103:天井
4、104:床
5、105:開口部
7:未清浄の空気
8:清浄にした空気
9:進入気流、進入風
19:煙の発生源(タバコ)
20:緩やかな旋回流
60、160:空気濾過ユニット
61、161:第1の濾過ユニット
62、162:第2の濾過ユニット
61a、62b、161a、162b:吸気口
61b、62b、161b、162b:排気口
61c、62c、161c、162c:フィルター部
61c1、62c1、161c1、162c1:集塵フィルター
61c2、62c、161c1、162c2:脱臭フィルター(吸着剤)
61d、62d、161d、162d:ダクト
161e:チャンバー、
120:柱
121:梁
205:引き戸
P:正面パネル
S:棚部
T:灰皿
C:正面パネルの中央部
R:落差部
Claims (6)
- 空気濾過ユニット(60)と、負圧発生装置(2)と、開口部(5)とを備えた喫煙室(1)であって、
前記空気濾過ユニット(60)は、第1の濾過ユニット(61)と第2の濾過ユニット(62)を有し、
記第1の濾過ユニット(61)は、前記第2の濾過ユニット(62)より濾過性能が高く、
前記第1の濾過ユニット(61)の吸気口(61a)は前記喫煙室の天井(3)側に配置され、前記第2の濾過ユニットの吸気口(62a)は前記喫煙室の床(4)側に配置され、
前記第1の濾過ユニットの排出口(61b)及び前記第2ユニットの排出口(62b)は、前記負圧発生装置(2)に接続され、
前記開口部(5)は出入口を兼ねており、
前記負圧発生装置(2)が発生した負圧を利用して室内の空気(7)を前記空気濾過ユニット(60)を通過させて清浄化し室外に排気するとともに、前記開口部(5)から室内に室外の空気(9)を給気する、喫煙室(1)。 - 請求項1に記載の喫煙室(1)であって、
さらに、第1吸気口(61a)と第2吸気口(61b)との間に灰皿を置くための棚部(S)を備え、
前記第1吸気口(61a)は、前記棚部(S)より上側に、前記第2吸気口(62a)は、前記棚部(S)より下側に配置されている、喫煙室(1)。 - 請求項1に記載の喫煙室(1)であって、
さらに灰皿(T)を備え、
前記第1吸気口(61a)は、前記灰皿(T)の高さより上側に、前記第2吸気口(62a)は、前記灰皿(T)の高さより下側に設けられている、喫煙室(1)。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の喫煙室(100)であって、
前記喫煙室(100)は、水平断面がほぼ矩形形状であって、その内部に前記空気濾過ユニット(160)がその長辺のほぼ中央に前記開口部(105)と相対するように配置され、
前記空気濾過ユニット(160)の正面パネル(P)の中央部(C)は、平面状であって水平方向の幅が出入口(105)の幅より狭く、前記中央部(C)の左右は階段状の落差部(R)に続いて平面状の平面部(F)が前記出入口(105)を向くようにして水平方向に複数回繰り返され左右ほぼ対称に伸びており、
前記空気濾過ユニット(160)は、前記第1濾過ユニットの吸気口(161a)と前記第2濾過ユニットの吸気口(161b)をそれぞれ複数有し、
前記第1濾過ユニットの吸気口(161a)は、前記中央部(C)と、前記平面部(F)の最上部に配置されるともに前記落差部(R)に配置され、
前記第2吸気口(161b)は、前記落差部(R)に配置されている喫煙室(100)。 - 請求項4に記載の喫煙室(200)であって、
前記開口部は、引き戸(205)により開閉可能であって、前記引き戸(205)は、パンチングメタルで形成されている喫煙室(200)。 - 請求項1〜5に記載の喫煙室(1、100、200)の換気方法であって、
1)前記負圧発生装置(2、102)を駆動して負圧を発生させ、
2)発生した負圧を利用して前記喫煙室(1、100、200)の空気(7)を第1濾過ユニット(161)及び第2濾過ユニット(162)を通過させて清浄化するとともに清浄化した空気(8)を喫煙室(1、100、200)外に排出し、
3)あらかじめ定めた速度の進入風(9)を前記開口部(105、205)で得ることを特徴とする、喫煙室の換気方法。
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