JP2019143543A - スクロール流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮工程途中に中間圧の冷媒を確実に導入でき、圧縮機効率の向上を図ることが可能なスクロール流体機械を提供することを目的とする。【解決手段】スクロール圧縮機1は、固定スクロール18と、旋回スクロール19とを備え、第1端板18a又は第2端板19aに、圧縮室20内の流体圧力よりも高圧の流体を圧縮室20内に供給するインジェクションポート26が設けられ、圧縮室20の密閉が開始された後、圧縮室20の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設定され、インジェクションポート26を介して圧縮室20内に供給される冷媒が有する圧力Pinjと吸入圧力Psとの差圧P1に対する第1領域での冷媒の圧力Pmと吸入圧力Psとの差圧P2の割合が、20%以上100%未満であるとき、第1領域が開始されるように第1領域が設定され、インジェクションポート26が第1領域に設けられることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、スクロール流体機械に関するものである。
一般に、端板上に渦巻状の壁体が設けられた固定スクロール部材と旋回スクロール部材とを噛み合わせ、公転旋回運動を行わせて流体を圧縮又は膨張するスクロール流体機械が知られている。スクロール流体機械のうちスクロール圧縮機は、例えば空気調和機などに適用される冷凍サイクルを循環する冷媒を圧縮する装置である。
また、冷凍サイクルとして、ヒートポンプの能力向上やCOP(coefficient of performance)向上のため、冷媒を2段に分けて圧縮する2段圧縮冷凍サイクルが用いられる場合がある。2段圧縮冷凍サイクルは、エコノマイザ(気液分離器)が二つの膨張弁の間に設けられ、中間圧を有する冷媒をエコノマイザから圧縮過程の途中へ導入する。この冷凍サイクルは、ガスインジェクションサイクル、又は、エコノマイザーサイクルとも呼ばれる。
特開2006−312898号公報
上述した2段圧縮冷凍サイクルを実現するためには、圧縮機の構造として、以下の3通りのいずれかが必要とされる。(1)高段圧縮部と低段圧縮部を1台の圧縮機の内部に収容する二段圧縮機において、低段圧縮部の吐出側と高段圧縮部の吸入側の間に中間圧の冷媒を導入する。(2)圧縮部を一つのみ備える単段圧縮機を2台直列に接続し、低段圧縮機の吐出側と高段圧縮機の吸入側の間に中間圧の冷媒を導入する。(3)圧縮部を一つのみ備える単段圧縮機において、圧縮部の圧縮工程途中に中間圧の冷媒を導入する。
上記(1)の場合、高段圧縮部と低段圧縮部を内部に収容する二段圧縮機が必要であるため、圧縮機単体の構造が複雑になる。上記(2)の場合、圧縮機が2台必要であるため、冷凍サイクルを構成するシステムが複雑になり、システムの大型化を招く。上記(3)の場合、圧縮部において中間圧の冷媒が導入されている間も圧縮室内の容積が減少し、冷媒の圧縮が進行する。そのため、圧縮室内の冷媒の圧力が高まり、導入前の冷媒の圧力との差が低下して、十分な量の冷媒を導入できない場合がある。この場合、ヒートポンプの能力向上やCOPの向上を十分に図ることができない。
上述した特許文献1では、スクロール圧縮機の壁体の上縁に壁体段付き部が形成され、壁体には、壁体段付き部よりも渦巻き方向の中心側に高さが高い高部位、外周端側に高さが低い低部位が形成される。また、壁体が立設される端板の一側面に端板段付き部が形成され、一側面には端板段付き部よりも渦巻き方向の中心側に面が低い低面部、外周端側で面が高い高面部が形成される。端板段付き部は、壁体段付き部に対向する位置に形成される。また、低面部における端板段付き部の近傍領域に、圧縮室内の流体圧力よりも高圧の流体を圧縮室内に供給する流体供給部(インジェクションポート)が設けられている。
特許文献1の構成では、渦巻き方向の中心側に移動する圧縮室が壁体段付き部及び端板段付き部を通過する際に、圧縮室の容積減少率を緩やかにする、又は、容積を増加させることができる。また、流体供給部が低面部における端板段付き部の近傍領域に設けられている。
特許文献1では、旋回スクロール部材の旋回によって圧縮室の密閉が開始される時(吸入締め切り時)から、圧縮室の容積の減少率が緩やかな区間、又は、容積が増加する区間として設定された区間までの間隔が短い。そのため、冷媒が圧縮室に導入されることで、圧縮室内の圧力が早期に中間圧力(インジェクション圧力)まで高まるため、導入後の圧力で圧縮を行う期間が長くなり、無駄な圧縮動力が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮工程途中に中間圧の冷媒を確実に導入でき、圧縮機効率の向上を図ることが可能なスクロール流体機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスクロール流体機械は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るスクロール流体機械は、第1端板上に渦巻状の第1壁体が設けられた第1スクロール部材と、前記第1端板に向かい合うように配置された第2端板上に渦巻状の第2壁体が設けられ、該第2壁体が前記第1壁体と噛み合って圧縮室を形成するように相対的に公転旋回運動を行う第2スクロール部材とを備え、前記第1端板又は前記第2端板に、前記圧縮室内の流体圧力よりも高圧の流体を前記圧縮室内に供給する流体供給部が設けられ、前記第1端板、前記第1壁体、前記第2端板及び前記第2壁体の形状によって、前記圧縮室の密閉が開始された後、前記圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設定され、前記流体供給部を介して前記圧縮室内に供給される前記流体が有する圧力Pinjと前記圧縮室へ吸入される直前の前記流体が有する吸入圧力Psとの差圧P1に対する前記第1領域での前記圧縮室内の前記流体の圧力Pmと前記吸入圧力Psとの差圧P2の割合が、20%以上100%未満であるとき、前記第1領域が開始されるように前記第1領域が設定され、前記流体供給部が前記第1領域に設けられることを特徴とする。
この構成によれば、第1スクロール部材と第2スクロール部材が相対的に公転旋回運動を行い、第2壁体が第1壁体と噛み合うことによって圧縮室が形成される。そして、公転旋回運動によって、圧縮室の密閉が開始された後、圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設定されている。
また、第1端板又は第2端板に流体供給部が設けられ、流体供給部は、圧縮室内の流体圧力よりも高圧の流体を圧縮室内に供給する。そして、圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域に流体供給部が設けられることから、圧縮室内の圧力変化が緩やかな又は略一定の過程において、供給される流体との圧力差を所定以上に維持したまま、流体を圧縮室へ供給できる。
さらに、第1領域は、前記流体供給部を介して前記圧縮室内に供給される前記流体が有する圧力Pinjと前記圧縮室へ吸入される直前の前記流体が有する吸入圧力Psとの差圧P1に対する前記第1領域での前記圧縮室内の前記流体の圧力Pmと前記吸入圧力Psとの差圧P2の割合が、20%以上100%未満であるとき、第1領域が開始されるように設定されていることから、第1領域において圧縮室内の圧力が流体供給部を介して導入される流体の圧力よりも低くなるため、圧縮室内へ流体を確実に導入できる。
上記発明において、前記第1壁体及び前記第2壁体の少なくとも一方は、渦巻方向の外周側から内周側に向かって該壁体の高さが連続的に増加する第1壁体傾斜部を有し、前記第1端板及び前記第2端板の少なくとも一方は、前記第1壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が該第1壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する第1端板傾斜部を有し、前記第1壁体傾斜部及び前記第1端板傾斜部の位置及び形状によって、前記第1領域の少なくとも一部が設定されてもよい。
この構成によれば、第1壁体傾斜部における壁体の高さが渦巻方向の外周側から内周側に向かって連続的に増加し、第1端板傾斜部において、第1壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が第1壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する。これにより、公転旋回運動時、壁体の渦巻形状に応じて圧縮室の幅が減少すると共に、圧縮室の高さ、すなわち、端板間の対向面間距離が増加する。したがって、第1壁体傾斜部及び第1端板傾斜部の位置及び形状によって、圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域の少なくとも一部が設定される。外周側から吸い込まれた流体が内周側に向かうにしたがい、第1領域では、圧縮室内の圧力が略一定に維持される。
さらに、壁体の高さが連続的に増加するようになっており、従来の壁体及び歯底に段部が設けられた段付きスクロール流体機械に比べて、流体漏れを少なくすることができる。
第1壁体傾斜部及び第1端板傾斜部の傾斜は、滑らかに接続された傾斜に限定されるものではなく、小さな段差が階段状に接続されており、第1壁体傾斜部を全体としてみれば連続的に傾斜しているものも含まれる。第1壁体傾斜部及び第1端板傾斜部は、第1スクロール及び第2スクロールの両側に設けてもよいし、いずれか一方に設けてもよい。一方の壁体に第1壁体傾斜部を設け、他方の端板に第1端板傾斜部を設けた場合には、他方の壁体と一方の端板は平坦としてもよいし、従来の段付き形状と組み合わせた形状としてもよい。
上記発明において、前記第1領域の前に前記圧縮室の容積が減少する第2領域と、前記第1領域の後に前記圧縮室の容積が減少する第3領域とが設定されてもよい。
この構成によれば、圧縮室の容積が減少する第2領域が第1領域の前において設定されることによって、第1領域の前の第2領域において、流体が内周側に向かうにしたがい、圧縮室内の圧力が上昇する。圧力が上昇した流体は、第1領域では、内周側に向かうにしたがい、圧縮室内の圧力が略一定に維持される。そして、圧縮室の容積が減少する第3領域が第1領域の後において設定されることによって、第1領域の後の第3領域において、流体が内周側に向かうにしたがい、圧縮室内の圧力が再び上昇する。
上記発明において、前記第1壁体及び前記第2壁体の少なくとも一方は、渦巻方向の外周側から内周側に向かって該壁体の高さが連続的に減少する第2壁体傾斜部を有し、前記第1壁体及び前記第2壁体の少なくとも一方は、前記壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が該第2壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する第2端板傾斜部を有し、前記第2壁体傾斜部及び前記第2端板傾斜部の位置及び形状によって、前記第2領域及び前記第3領域のそれぞれの少なくとも一部が設定されてもよい。
この構成によれば、第2壁体傾斜部における壁体の高さが外周側から内周側に向かって減少し、第2端板傾斜部において、第2壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が第2壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する。したがって、第2壁体傾斜部及び第2端板傾斜部の位置及び形状によって、圧縮室の容積が減少する第2領域及び第3領域のそれぞれの少なくとも一部が設定される。これにより、外周側から吸い込まれた流体は内周側に向かうにしたがい、壁体の渦巻形状に応じた圧縮室の幅の減少によって圧縮されるだけでなく、圧縮室の高さ、すなわち、端板間の対向面間距離の減少によって更に圧縮されることになる。これにより、三次元圧縮が可能となり、小型化を実現することができる。
本発明によれば、圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる領域が設定されるため、圧縮工程途中に中間圧の冷媒を確実に導入でき、さらに、圧縮室内の圧力上昇を抑制できるため、圧縮機効率の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る冷凍サイクルを示す構成図である。 本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の要部を示す部分縦断面図である。 本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の固定スクロールを示す縦断面図であり、図4のIII-III線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る固定スクロールを示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る固定スクロールの壁体の歯先及び端板を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る固定スクロールの壁体及び端板を渦巻方向に展開して示した側面図である。 本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の旋回スクロールを示す縦断面図であり、図8のVII-VII線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る旋回スクロールを示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る旋回スクロールの壁体の歯先及び端板を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る旋回スクロールの壁体及び端板を渦巻方向に展開して示した側面図である。 本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機のチップシール隙間を示す側面図であり、(a)はチップシール隙間が相対的に小さい状態を示し、(b)はチップシールが相対的に大きい状態を示す。 圧縮室の容積と旋回角の関係を示すグラフ、及び、圧縮室の圧力と旋回角の関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
冷凍サイクル10は、図1に示すように、冷媒(流体)を圧縮するスクロール圧縮機1と、圧縮された冷媒の熱を外部に放熱する凝縮器2と、凝縮器2から流出した冷媒を減圧する高圧側に設けられる第1膨張弁3と、減圧された冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離するエコノマイザ(気液分離器)4と、液冷媒を更に減圧する低圧側に設けられる第2膨張弁5と、減圧された冷媒に熱を吸収させる蒸発器6と、エコノマイザ4からガス冷媒をスクロール圧縮機1に導くインジェクション流路7などを備える。
スクロール圧縮機1は、密閉型圧縮機であり、図2に示すように、内部に密閉空間を有するハウジング11と、ハウジング11内に配置され、密閉空間内に取り込まれた冷媒を圧縮するスクロール圧縮機構12と、スクロール圧縮機構12に回転力を伝達する回転軸と、回転軸を介してスクロール圧縮機構12の旋回スクロール19を公転旋回運動させる電動モータを主たる要素として構成されている。
ハウジング11は、底部が下部カバーによって密閉され、下部カバーの上部には、上下方向に長い円筒状の中間カバー13を備えている。中間カバー13の上部には、ディスチャージカバー14及び上部カバー15が設けられて、ハウジング11が密閉されており、このディスチャージカバー14と上部カバー15間に、圧縮された高圧のガスが吐出される吐出チャンバー16が形成されている。
ハウジング11内には、スクロール圧縮機構12が組み込まれるとともに、その下方にステータとロータとからなる電動モータが設置されている。電動モータは、ステータがハウジング11に固定設置されることによって組み込まれ、ロータには、回転軸が固定されている。
スクロール圧縮機構12は、ハウジング11に対して固定設置されている固定スクロール18と、摺動自在に支持され、固定スクロール18と噛み合わされることにより圧縮室20を形成する旋回スクロール19などを備える。
ハウジング11の側面には、冷媒を吸入する吸入口(図示せず。)が、密閉空間に連通するように形成されており、上部カバー15の頭頂側には、吐出チャンバー16と連通し、圧縮された冷媒ガスを吐出する吐出口15aが形成されている。
スクロール圧縮機構12は、吸入配管及び吸入口を介してハウジング11内に吸い込まれた冷媒ガスを、ハウジング11内部に対して開口されている外周側の吸入口21から圧縮室20内に吸い込み、圧縮する。圧縮された冷媒ガスは、固定スクロール18の中心部に設けられている吐出ポート22及びディスチャージカバー14に設けられている吐出口23を介して吐出チャンバー16内に吐出され、更に、上部カバー15に設けられ、吐出チャンバー16と連通している吐出管24を介して圧縮機の外部へと送出されるようになっている。
また、ディスチャージカバー14には、外部からスクロール圧縮機構12の圧縮室20の内部へ中間圧の冷媒を導入するインジェクション管25が上部カバー15を貫通して設けられる。インジェクション管25及びインジェクションポート(流体供給部)26を介して冷媒が圧縮室20へ供給される。
リード弁27は、薄板状部材であって、吐出ポート22の出口部に設けられ、吐出ポート22を開閉する。リード弁27は、冷媒の流れを一方向のみに規定する。リード弁27が設けられることによって、冷媒は、圧縮室20から吐出チャンバー16側に流れる。
固定スクロール18は、図2に示されているように、略円板形状の端板(第1端板)18aと、端板18aの一側面上に立設された渦巻状の壁体(第1壁体)18bとを備えている。旋回スクロール19は、図2に示されているように、略円板形状の端板(第2端板)19aと、端板19aの一側面上に立設された渦巻状の壁体(第2壁体)19bとを備えている。各壁体18b,19bの渦巻形状は、例えば、インボリュート曲線やアルキメデス曲線を用いて定義されている。
固定スクロール18と旋回スクロール19は、その中心O1,O2を旋回半径ρだけ離し、壁体18b,19bの位相を180°ずらして噛み合わされ、両スクロール18,19の壁体18b、19bの歯先と歯底間に常温で僅かな高さ方向のクリアランス(チップクリアランス)を有するように組み付けられている。これにより、両スクロール18,19間に、その端板18a,19aと壁体18b、19bとにより囲まれて形成される複数対の圧縮室20がスクロール中心に対して対称に形成される。旋回スクロール19は、図示しないオルダムリング等の自転防止機構によって固定スクロール18の周りを公転旋回運動する。
図2に示すように、向かい合う両端板18a,19a間の対向面間距離Lが、渦巻状の壁体18b,19bの外周側から内周側に向かって、連続的に減少又は増加するように、壁体18b,19bにおける歯先の傾斜や端板18a,19aにおける歯底面の傾斜が設定されている。
図3,図5及び図6に示すように、固定スクロール18の壁体18bには、外周側から内周側に向かって、壁体平坦部18b1、第2壁体傾斜部18b2、壁体平坦部18b3、第1壁体傾斜部18b4、壁体平坦部18b5、第2壁体傾斜部18b6、壁体平坦部18b7が順に設けられている。また、図3,図4及び図6に示すように、固定スクロール18の歯底面には、外周側から内周側に向けて、端板平坦部18a1、第2端板傾斜部18a2、端板平坦部18a3、第1端板傾斜部18a4、端板平坦部18a5、第2端板傾斜部18a6、端板平坦部18a7の順に設けられている。
図7,図9及び図10に示すように、旋回スクロール19の壁体19bには、外周側から内周側に向かって、壁体平坦部19b1、第2壁体傾斜部19b2、壁体平坦部19b3、第1壁体傾斜部19b4、壁体平坦部19b5、第2壁体傾斜部19b6、壁体平坦部19b7が順に設けられている。また、図7,図8及び図10に示すように、旋回スクロール19の歯底面には、外周側から内周側に向けて、端板平坦部19a1、第2端板傾斜部19a2、端板平坦部19a3、第1端板傾斜部19a4、端板平坦部19a5、第2端板傾斜部19a6、端板平坦部19a7の順に設けられている。
旋回スクロール19の壁体19bに設けられた壁体平坦部19b1,19b3,19b5,19b7は、それぞれ、外周側から内周側に向かって、高さが一定である。すなわち、旋回スクロール19の中心O2(図2参照)を通る軸線方向の寸法が一定とされている。なお、以下、壁体や歯底の高さは、中心O1,O2を通る軸線方向の寸法を意味する。
図10に示されているように、旋回スクロール19の壁体19bの最外周側と最内周側には、それぞれ、高さが一定とされた壁体平坦部19b1,19b7が設けられている。これら壁体平坦部19b1,19b7は、図8に示すように、旋回スクロール19の中心O2(図2参照)まわりに180°(例えば180°以上360°以下、好ましくは210°以下)の領域にわたって設けられている。
旋回スクロール19の端板19aの歯底についても同様に、高さが一定とされた端板平坦部19a1,19a7が設けられている。これら端板平坦部19a1,19a7についても、旋回スクロール19の中心O2まわりに180°(例えば180°以上360°以下、好ましくは210°以下)の領域にわたって設けられている。
図4に示すように、固定スクロール18についても、旋回スクロール19と同様に、壁体平坦部18b1,18b7及び端板平坦部18a1,18a7が設けられている。壁体平坦部18b1,18b7及び端板平坦部18a1,18a7についても、固定スクロール18の中心O1まわりに180°(例えば180°以上360°以下、好ましくは210°以下)の領域にわたって設けられている。
図10に示すように、旋回スクロール19の壁体19bに設けられた第1壁体傾斜部19b4は、外周側から内周側に向かって高さが連続的に増加する。図6に示すように、この第1壁体傾斜部19b4の歯先が対向する固定スクロール18の端板18a上の歯底面には、第1壁体傾斜部19b4の傾斜に応じて傾斜する第1端板傾斜部18a4が設けられている。同様に、図6に示すように、固定スクロール18の壁体18bに設けられた第1壁体傾斜部18b4も、外周側から内周側に向かって連続的に増加し、図10に示すように、この第1壁体傾斜部18b4の歯先に対向する旋回スクロール19の端板19a上の歯底面には、第1壁体傾斜部18b4の傾斜に応じて傾斜する第1端板傾斜部19a4が設けられている。第1壁体傾斜部18b4,19b4及び第1端板傾斜部18a4,19a4の渦巻方向の長さは、中心O1,O2回りに20°以上、好ましくは180°以上に相当する長さとされている。
これにより、旋回スクロール19の公転旋回運動時、壁体18b,19bの渦巻形状に応じて圧縮室20の幅が減少すると共に、圧縮室20の高さ、すなわち、端板18a,19a間の対向面間距離が増加する。したがって、第1壁体傾斜部18b4,19b4及び第1端板傾斜部18a4,19a4の渦巻方向の位置及び形状(例えば傾斜角度や渦巻方向の長さ)によって、圧縮室20の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域の少なくとも一部が設定される。外周側の吸入口21から吸い込まれた流体が内周側に向かうにしたがい、第1領域では、圧縮室20内の圧力が略一定に維持される。
なお、第1領域は、渦巻方向にわたって、1つの第1壁体傾斜部18b4,19b4又は第1端板傾斜部18a4,19a4のみが設けられることによって設定されてもよいし、複数の第1壁体傾斜部18b4,19b4又は第1端板傾斜部18a4,19a4が直列に配置されることによって設定されてもよい。複数の第1壁体傾斜部18b4,19b4又は第1端板傾斜部18a4,19a4が直列に配置される場合は、それぞれの傾斜角度を異ならせたり、間に壁体平坦部又は端板平坦部を設けたりすることによって実現される。
また、吸入締め切り時における容積と、第1領域における容積との比は、0.5以上1以下(好ましくは0.6以上0.8以下)とする。これにより、ヒートポンプシステムにおけるCOPをより最適にすることができる。
固定スクロール18の端板18aには、圧縮室20内の流体圧力よりも高圧の冷媒を圧縮室20内に供給するインジェクションポート26が設けられる。旋回スクロール19が公転旋回運動をして、旋回スクロール19の壁体19bの歯先が、インジェクションポート26上へ移動して両者が重なると、圧縮室20とインジェクションポート26の連通が閉じられる。反対に、旋回スクロール19の壁体19bの歯先が、インジェクションポート26上から移動してインジェクションポート26が開口すると、圧縮室20とインジェクションポート26とが連通する。インジェクションポート26は、上述した圧縮室20の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域に設けられる。これにより、圧縮室20内の圧力変化が緩やか又は略一定の過程において、インジェクションポート26から供給される冷媒との圧力差を所定以上に維持したまま、冷媒を圧縮室20へ供給できる。第1領域では、中間圧冷媒のインジェクション工程が行われる。
第1領域は、インジェクションポート26を介して圧縮室20内に供給される冷媒が有する圧力(中間圧力)Pinjと吸入口21に吸入される直前の冷媒が有する圧力(吸入圧力)Psとの差圧P1に対する第1領域での圧縮室20内の冷媒の圧力Pmと吸入圧力Psとの差圧P2の割合が、20%以上(好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上)100%未満であるとき、第1領域が開始されるように設定されるとよい。これにより、第1領域において圧縮室20内の圧力がインジェクションポート26を介して導入される冷媒の圧力よりも低くなるため、圧縮室20内へ冷媒を確実に導入できる。
なお、上記関係は、以下の式で表される。
0.2≦P2/P1=(Pm−Ps)/(Pinj−Ps)<1
旋回スクロール19の壁体19bに設けられた第2壁体傾斜部19b2,19b6は、外周側から内周側に向かって高さが連続的に減少する。この第2壁体傾斜部19b2,19b6の歯先が対向する固定スクロール18の端板18a上の歯底面には、第2壁体傾斜部19b2,19b6の傾斜に応じて傾斜する第2端板傾斜部18a2,18a6が設けられている。同様に、固定スクロール18の壁体18bに設けられた第2壁体傾斜部18b2,18b6も、外周側から内周側に向かって連続的に減少し、この第2壁体傾斜部18b2,18b6の歯先に対向する旋回スクロール19の端板19a上の歯底面には、第2壁体傾斜部18b2,18b6の傾斜に応じて傾斜する第2端板傾斜部19a2,19a6が設けられている。
これにより、旋回スクロール19の公転旋回運動時、壁体18b,19bの渦巻形状に応じて圧縮室20の幅が減少すると共に、圧縮室20の高さ、すなわち、端板18a,19a間の対向面間距離が減少する。したがって、第2壁体傾斜部18b2,18b6,19b2,19b6及び第2端板傾斜部18a2,18a6,19a2,19a6の渦巻方向の位置及び形状(例えば傾斜角度や渦巻方向の長さ)によって、圧縮室20の容積が減少する第2領域及び第3領域のそれぞれの少なくとも一部が設定される。外周側の吸入口21から吸い込まれた冷媒は内周側に向かうにしたがい、壁体18b,19bの渦巻形状に応じた圧縮室20の幅の減少によって圧縮されるだけでなく、圧縮室20の高さ、すなわち、端板18a,19a間の対向面間距離の減少によって更に圧縮されることになる。これにより、三次元圧縮が可能となり、小型化を実現することができる。
圧縮室20の容積が減少する第2領域は、旋回スクロール19の公転旋回運動に伴う圧縮室20の移動方向において第1領域の前に設定され、第3領域は、圧縮室20の移動方向において第1領域の後に設定される。第2領域は、外周側にて壁体18b,19b同士が噛み合って圧縮室20を形成して締め切った後から、第1領域が開始するまでの領域である。第3領域は、第1領域が終了した後から、圧縮された冷媒の吐出ポート22からの吐出が終了するまでの領域である。
圧縮室20の容積が減少する第2領域が第1領域の前において設定されることによって、第1領域の前の第2領域において、冷媒が内周側に向かうにしたがい、圧縮室20内の圧力が上昇する。圧力が上昇した冷媒は、第1領域では、内周側に向かうが、圧縮室20内の圧力が略一定に維持される。そして、圧縮室20の容積が減少する第3領域が第1領域の後において設定されることによって、第1領域の後の第3領域において、冷媒が内周側に向かうにしたがい、圧縮室20内の圧力が再び上昇する。第2領域では、低段圧縮工程が行われ、第3領域では、高段圧縮工程が行われる。第1領域における圧縮室20の緩やかな容積変化又は略一定である容積変化とは、第2領域又は第3領域における圧縮室20の容積変化と比較して緩やか又は略一定であることをいう。
本実施形態では、第2領域による低段圧縮工程を経た後、第1領域によるインジェクション工程が設けられる。そのため、旋回スクロール19の公転旋回運動によって圧縮室20の密閉が開始される時(吸入締め切り時)から、圧縮室20の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域までの間隔が長い。そのため、冷媒が圧縮室に導入されることで、圧縮室内の圧力が早期に中間圧力(インジェクション圧力)まで高まるため、導入後の圧力で圧縮を行う期間が長くなり、無駄な圧縮動力が生じる。
以上より、エコノマイザ4からインジェクション流路7及びインジェクションポート26を介してスクロール圧縮機構12の圧縮過程の途中へ冷媒を導入する2段圧縮冷凍サイクルが実現される。また、圧縮室20の容積が減少する第2領域と第3領域の間に、圧縮室20の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設けられ、スクロール圧縮機構12を一つのみ備える単段のスクロール圧縮機1において、エコノマイザ4からスクロール圧縮機構12の圧縮工程途中に中間圧の冷媒を導入できる。
なお、本実施形態でいう第1壁体傾斜部18b4,19b4、第1端板傾斜部18a4,19a4、第2壁体傾斜部18b2,18b6,19b2,19b6及び第2端板傾斜部18a2,18a6,19a2,19a6における連続的という意味は、滑らかに接続された傾斜に限定されるものではなく、機械加工又は積層造形(AM)などによる製作時に不可避的に生じるような小さな段差が階段状に接続されており、傾斜部を全体としてみれば連続的に傾斜しているものも含まれる。ただし、いわゆる段付きスクロールのような大きな段差は含まれない。
第1壁体傾斜部18b4,19b4、第1端板傾斜部18a4,19a4、第2壁体傾斜部18b2,18b6,19b2,19b6及び第2端板傾斜部18a2,18a6,19a2,19a6には、コーティングが施されてもよい。コーティングとしては、例えば、リン酸マンガン処理やニッケルリンめっき等が挙げられる。
図6及び図10に示すように、第1壁体傾斜部18b4,19b4よりも外周側に配置される第2壁体傾斜部18b2,19b2の外周側端部18b8,19b8における歯先高さは、第1壁体傾斜部18b4,19b4の内周側端部18b9,19b9における歯先高さと同一であるとよい。これにより、第1壁体傾斜部18b4,19b4及び第2壁体傾斜部18b2,19b2を間に挟んで、一方の端部18b8,19b8と他方の端部18b9,19b9で測定を行うことができ、固定スクロール18又は旋回スクロール19の寸法測定を好適に行うことができる。
端板18a,19aについても、図6及び図10に示すように、第1端板傾斜部18a4,19a4よりも外周側に配置される第2端板傾斜部18a2,19a2の外周側端部18a8,19a8における歯底面高さは、第1端板傾斜部18a4,19a4の内周側端部18a9,19a9における歯底面高さと同一であるとよい。これにより、第1端板傾斜部18a4,19a4及び第2端板傾斜部18a2,19a2を間に挟んで、一方の端部18a8,19a8と他方の端部18a9,19a9で測定を行うことで、固定スクロール18又は旋回スクロール19の寸法測定を好適に行うことができる。
固定スクロール18の壁体18bの歯先には、チップシールが設けられる。チップシールは樹脂製とされており、対向する旋回スクロール19の端板19aの歯底に接触して流体をシールする。チップシールは、壁体18bの歯先に周方向にわたって形成されたチップシール溝18d内に収容されている。なお、旋回スクロール19の壁体19bの歯先に対しても同様に、チップシール溝19dが形成され、チップシール溝19d内にチップシールが設けられる。
両スクロール18,19が相対的に公転旋回運動を行うと、旋回直径(旋回半径ρ×2)分だけ歯先と歯底の位置が相対的にずれる。この歯先と歯底の位置ずれに起因して、傾斜部では、歯先と歯底との間のチップクリアランスが変化する。例えば、図11(a)ではチップクリアランスTが小さく、図11(b)ではチップクリアランスTが大きいことを示している。チップシール28は、このチップクリアランスTが旋回運動によって変化しても、背面から圧縮流体によって端板19aの歯底側に押圧されるので、追従してシールできるようになっている。
上述したスクロール圧縮機1は、以下のように動作する。
図示しない電動モータ等の駆動源によって、旋回スクロール19が固定スクロール18回りに公転旋回運動を行う。これにより、各スクロール18,19の外周側から流体を吸い込み、各壁体18b,19b及び各端板18a,19aによって囲まれた圧縮室20に冷媒を取り込む。
まず、外周側にて壁体18b,19b同士が噛み合って圧縮室20を形成して締め切った後に、第2領域において、圧縮室20内の冷媒は外周側から内周側に移動するにしたがい圧縮され、図12に示すように、圧縮室20内の圧力が上昇する。圧縮された冷媒は、第1領域へ移動し、第1領域では、冷媒は内周側に向かう。そして、インジェクション管25及びインジェクションポート(流体供給部)26を介して、エコノマイザ4から中間圧の冷媒が圧縮室20へ供給される。第1領域では、図12に示すように、圧縮室20内の圧力変化が緩やか又は略一定であり、エコノマイザ4から供給される冷媒との圧力差を所定以上に維持したまま、流体を圧縮室20へ供給できる。
その後、冷媒は第3領域へ移動し、第3領域において、冷媒が内周側に向かうにしたがい圧縮され、図12に示すように、圧縮室20内の圧力が再び上昇する。圧縮された冷媒は、最終的に固定スクロール18に形成された吐出ポート22から吐出される。
以上の通り、本実施形態のスクロール圧縮機1によれば、以下の作用効果を奏する。
端板18a,19a間の対向面間距離が壁体18b,19bの外周側から内周側に向かって連続的に減少する傾斜を設けることとしたので、三次元圧縮が可能となり、小型化を実現することができる。
端板18a,19a間の対向面間距離が壁体18b,19bの外周側から内周側に向かって連続的に増加する傾斜を設けることとしたので、圧縮室20の密閉が開始された後、圧縮室20の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設定される。第1領域にインジェクションポート26が設けられることから、圧縮室20内の圧力変化が緩やかな又は略一定の過程において、供給される冷媒との圧力差を所定以上に維持したまま、冷媒を圧縮室20へ確実に供給できる。
端板18a,19a間の対向面間距離が壁体18b,19bの外周側から内周側に向かって連続的に減少する傾斜を設けることとしたので、三次元圧縮が可能となり、小型化を実現することができる。
さらに、傾斜部が連続的に増加又は減少するようになっており、従来の壁体及び歯底に段部が設けられた段付きスクロール流体機械に比べて、流体漏れを少なくすることができる。
各壁体18b,19bの歯先にチップシール28を設けることとしたので、旋回運動に応じて傾斜部における歯先と歯底との間のチップクリアランスT(図11参照)が変化しても、チップシールを追従させることができ、流体漏れを抑制することができる。
壁体18b,19b及び/又は端板18a,19aにコーティングを施すこととした。これにより、加工精度を出すのが難しい傾斜部の加工バラツキをコーティングの膜厚で補うことができ、流体漏れをさらに抑制することができる。
壁体18b,19b及び端板18a,19aの最外周部及び最内周部に壁体平坦部18b1,18b7,19b1,19b7及び端板平坦部18a1,18a7,19a1,19a7を設けることとした。これにより、壁体の歯先が傾斜していると計測点の設定が難しく計測精度を上げることが困難となることを回避して、形状測定を精度良く行うことができる。そして、スクロール形状の寸法管理やチップクリアランス管理が容易になる。
壁体平坦部18b1,18b7,19b1,19b7及び端板平坦部18a1,18a7,19a1,19a7を180°の領域にわたって設けることで、スクロール18,19の中心01,02を挟んだ両側の平坦部で測定を行うことができる。これにより固定スクロール18又は旋回スクロール19の形状寸法を好適に行うことができる。
また、平坦部の範囲が180°を大きく超えてしまうと、傾斜部の領域が減少し傾斜部の傾きφが大きくなってしまう。傾きφが大きくなると公転旋回運動時の旋回直径に起因するチップクリアランスTの変化量が大きくなり流体漏れが大きくなるおそれがある。したがって、壁体平坦部18b1,18b7,19b1,19b7及び端板平坦部18a1,18a7,19a1,19a7は180°の領域とされている。ただし、この180°は厳密なものではなく、流体漏れが大きくならない範囲で180°を多少(例えば30°程度)超えた角度は許容される。
傾斜部の傾きφを、渦巻状の壁体18b,19bが延在する周方向に対して一定となるようにした。これにより、公転旋回運動時の旋回直径に起因するチップクリアランスTを傾斜部の各位置において同等とすることができ、流体漏れを抑制することができる。
本実施形態では、第1壁体傾斜部18b4,19b4、第1端板傾斜部18a4,19a4、第2壁体傾斜部18b2,18b6,19b2,19b6及び第2端板傾斜部18a2,18a6,19a2,19a6を両スクロール18,19に設けることとしたが、いずれか一方に設けてもよい。
具体的には、一方の壁体(例えば旋回スクロール19の壁体19b)に第1壁体傾斜部19b4及び第2壁体傾斜部19b2,19b6を設け、他方の端板(例えば固定スクロール18の端板18a)に第1端板傾斜部19a4及び第2端板傾斜部19a2,19a6を設けた場合には、他方の壁体18bと一方の端板19aは平坦とする。
また、従来の段付き形状と組み合わせた形状、すなわち、固定スクロール18の端板18aに第1端板傾斜部18a4及び第2端板傾斜部18a2,18a6を設ける一方で、旋回スクロール19の端板19aに段部が設けられた形状と組み合わせてもよい。
本実施形態では、壁体平坦部18b1,18b7,19b1,19b7及び端板平坦部18a1,18a7,19a1,19a7を設けることとしたが、内周側及び/又は外周側の平坦部を省略して第2壁体傾斜部18b2,19b2を壁体18b,19bの全体に延長して設けるようにしてもよい。
本実施形態では、第1領域の設定について、第1壁体傾斜部、第1端板傾斜部、第2壁体傾斜部及び第2端板傾斜部を形成する例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、段付きスクロール部材のように段差部によって、圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設定されてもよい。
本実施形態では、スクロール圧縮機として説明したが、膨張機として用いるスクロール膨張機に対しても本発明を適用することができる。
1 :スクロール圧縮機
2 :凝縮器
3 :第1膨張弁
4 :エコノマイザ
5 :第2膨張弁
6 :蒸発器
7 :インジェクション流路
10 :冷凍サイクル
11 :ハウジング
12 :スクロール圧縮機構
13 :中間カバー
14 :ディスチャージカバー
15 :上部カバー
15a :吐出口
16 :吐出チャンバー
18 :固定スクロール
18a :端板
18a1 :端板平坦部
18a2 :第2端板傾斜部
18a3 :端板平坦部
18a4 :第1端板傾斜部
18a5 :端板平坦部
18a6 :第2端板傾斜部
18a7 :端板平坦部
18a8 :外周側端部
18a9 :内周側端部
18b :壁体
18b1 :壁体平坦部
18b2 :第2壁体傾斜部
18b3 :壁体平坦部
18b4 :第1壁体傾斜部
18b5 :壁体平坦部
18b6 :第2壁体傾斜部
18b7 :壁体平坦部
18b8 :外周側端部
18b9 :内周側端部
18d :チップシール溝
19 :旋回スクロール
19a :端板
19a1 :端板平坦部
19a2 :第2端板傾斜部
19a3 :端板平坦部
19a4 :第1端板傾斜部
19a5 :端板平坦部
19a6 :第2端板傾斜部
19a7 :端板平坦部
19a8 :外周側端部
19a9 :内周側端部
19b :壁体
19b1 :壁体平坦部
19b2 :第2壁体傾斜部
19b3 :壁体平坦部
19b4 :第1壁体傾斜部
19b5 :壁体平坦部
19b6 :第2壁体傾斜部
19b7 :壁体平坦部
19b8 :外周側端部
19b9 :内周側端部
20 :圧縮室
21 :吸入口
22 :吐出ポート
23 :吐出口
24 :吐出管
25 :インジェクション管
26 :インジェクションポート
27 :リード弁
28 :チップシール

Claims (4)

  1. 第1端板上に渦巻状の第1壁体が設けられた第1スクロール部材と、
    前記第1端板に向かい合うように配置された第2端板上に渦巻状の第2壁体が設けられ、該第2壁体が前記第1壁体と噛み合って圧縮室を形成するように相対的に公転旋回運動を行う第2スクロール部材と、
    を備え、
    前記第1端板又は前記第2端板に、前記圧縮室内の流体圧力よりも高圧の流体を前記圧縮室内に供給する流体供給部が設けられ、
    前記第1端板、前記第1壁体、前記第2端板及び前記第2壁体の形状によって、前記圧縮室の密閉が開始された後、前記圧縮室の容積変化が緩やか又は略一定となる第1領域が設定され、
    前記流体供給部を介して前記圧縮室内に供給される前記流体が有する圧力Pinjと前記圧縮室へ吸入される直前の前記流体が有する吸入圧力Psとの差圧P1に対する前記第1領域での前記圧縮室内の前記流体の圧力Pmと前記吸入圧力Psとの差圧P2の割合が、20%以上100%未満であるとき、前記第1領域が開始されるように前記第1領域が設定され、
    前記流体供給部が前記第1領域に設けられることを特徴とするスクロール流体機械。
  2. 前記第1壁体及び前記第2壁体の少なくとも一方は、渦巻方向の外周側から内周側に向かって該壁体の高さが連続的に増加する第1壁体傾斜部を有し、
    前記第1端板及び前記第2端板の少なくとも一方は、前記第1壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が該第1壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する第1端板傾斜部を有し、
    前記第1壁体傾斜部及び前記第1端板傾斜部の位置及び形状によって、前記第1領域の少なくとも一部が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール流体機械。
  3. 前記第1領域の前に前記圧縮室の容積が減少する第2領域と、前記第1領域の後に前記圧縮室の容積が減少する第3領域とが設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール流体機械。
  4. 前記第1壁体及び前記第2壁体の少なくとも一方は、渦巻方向の外周側から内周側に向かって該壁体の高さが連続的に減少する第2壁体傾斜部を有し、
    前記第1壁体及び前記第2壁体の少なくとも一方は、前記壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が該第2壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する第2端板傾斜部を有し、
    前記第2壁体傾斜部及び前記第2端板傾斜部の位置及び形状によって、前記第2領域及び前記第3領域のそれぞれの少なくとも一部が設定されていることを特徴とする請求項3に記載のスクロール流体機械。

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