(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る吐出容器1Hの構成を、図1乃至図7を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る吐出容器1Hの構成を一部省略して示す断面図、図2は同吐出容器1Hに用いられるキャップ11Hの構成であって内容物100を吐出する状態を示す断面図、図3はキャップ11Hの構成であって吐出容器1Hを傾けて内容物100を吐出する状態を示す断面図、図4はキャップ11Hの構成であって内容物100の吐出後の状態を示す断面図である。図5は、キャップ11Hの流入口203と流通溝205,207と流通口209,211とを拡大して示すとともに、第2流路69における内容物100の流れの一例を矢印で示す断面図である。図6は、キャップ11Hの壁部63Hにおける流通溝205,207と流通口209の構成を示す平面図である。図7は、キャップ11Hに用いられる逆止弁53の構成を示す平面図である。
図1に示すように、吐出容器1Hは、容器本体10と、キャップ11Hと、を備えている。吐出容器1Hは、容器本体10内に液状の内容物100を収容するとともに、容器本体10に押圧力を印加して容器本体10を変形させることで、内容物100を適量吐出可能に構成されている。
ここで、内容物100とは、例えば、醤油、オリーブ油やサラダ油等の食用油、ポン酢、ソース、だし汁、ドレッシング、化粧水、シャンプー及びリンス等の液状物である。
容器本体10は、開口端にキャップ11Hが固定される有底筒状に構成される。容器本体10は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料により成形される有底筒状の容器である。容器本体10は押圧力により弾性変形し、弾性変形によって容器本体10の容積が減少する。容器本体10の容積は、押圧を解除することで復元する。容器本体10は、内容物100を収容可能に構成される。
容器本体10は、有底筒状の胴部31と、胴部31と連続して一体に設けられた円筒状の口部32Hと、を備えている。
口部32Hは、胴部31の端部に連続して一体に設けられる。口部32Hは、口部32Hの端部に形成され、外方に向かって円環状に突出する突起部32cを有する。
キャップ11Hは、キャップ本体41Hと、キャップ本体41Hとヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備えている。キャップ11Hは、キャップ本体41Hの一部、ヒンジ42及び蓋体43が射出成形により一体に構成される。キャップ11Hのキャップ本体41Hは、容器本体10の口部32Hに着脱自在に設けられる。
キャップ本体41Hは、口部32Hと固定される基部51Hと、基部51Hに取り付けられた略有底筒状の固定部材65とを備えている。
基部51Hは、ヒンジ42及び蓋体43と一体に成形される。基部51H、ヒンジ42及び蓋体43は、例えば、ポリエチレンにより構成される。
基部51Hは、開口する円盤状の壁部63Hと、壁部63Hの平面状の表面における当該開口の縁に設けられた円筒状のノズル部72とを備えている。ノズル部72は、例えば、キャップ11Hの中心軸Cに対して偏心して配置されている。例えば、ノズル部72は、ヒンジ42とキャップ11Hの中心軸Cを挟んで相対する位置に配置されている。ノズル部72は、先端の開口が内容物100を吐出する吐出口を構成する。ノズル部72は、内容物100を目的箇所に吐出する。
基部51Hは、第1係合筒621と第2係合筒623と第3係合筒61とを、壁部63Hの裏面において同心軸上に所定の間隔を設けて備えている。吐出容器1Hが、容器本体10の底が下方に、キャップ11Hが上方に位置する、所謂直立姿勢であるときに、第1係合筒621と第2係合筒623と第3係合筒61とは、壁部63Hの内面である裏面から胴部31に向かって垂下している。第1係合筒621の内径の内側には、偏心するノズル部72の開口部が構成される。第1係合筒621は、第2係合筒623よりも小径に構成される。第2係合筒623は、第3係合筒61よりも小径に構成される。
第2係合筒623の外径は口部32Hの端部の内径と略同一径に構成され、第3係合筒61の内径は口部32Hの突起部32cの外径と略同一径に構成される。第3係合筒61と第2係合筒623との間には口部32Hの端部が嵌まり込み、口部32Hが第3係合筒61と第2係合筒623とに係合する。口部32Hは、第3係合筒61と第2係合筒623と壁部63Hとによって密閉される。また第3係合筒61は、開口する端部側の内周面に、突起部32cと係合する環状の突起部61aを有する。
第1係合筒621は、後述する第2流通溝207を除く第1係合筒621の外周面から外方に向かって突出する突起部621eを有する。
壁部63Hは、外周縁の一部に、より具体的には基部51Hの外周面との稜部の一部に設けられたヒンジ42を有する。また、壁部63Hは、例えば円環状の突起である係合部63bを有する。係合部63bは、例えば、壁部63Hの表面から軸方向に突出するとともにその先端部が径方向で外方に突出する突起である。
固定部材65は、例えば、ポリプロピレンにより構成される。固定部材65は、略円環板状の底壁64Hと、底壁64Hの外周縁に設けられた円筒状の外周壁647とを備えている。
底壁64Hは、底壁64Hの径方向における底壁64Hの中央または略中央に設けられた吐出口64aと、吐出口64aの周囲に設けられた弁座64bと、弁座64bの外周囲に設けられて、底壁64Hの表面から軸方向に突出するとともにその先端部が径方向で外方に突出する円環状の突起である突起部641aとを備えている。また底壁64Hは、突起部641aの外周囲に設けられた環状の固定溝部643をさらに備えている。底壁64Hは、弁座64bを含む弁座部を構成する。
底壁64Hは、少なくとも壁部63H側の底壁64Hの主面(表面)の一部又は主面の全部が、固定溝部643側よりも吐出口64a側で壁部63H側に位置するように、底壁64Hの主面が傾斜する。即ち、底壁64Hは、弁座64b及び固定溝部643が、軸方向で異なる位置に配置される。より具体的には、吐出容器1Hが直立姿勢であるときに、弁座64bは、固定溝部643の底面よりも上方に配置される。弁座64bは、例えば、吐出口64aの内周面が軸方向に対して傾斜することで構成される。
突起部641aの内径は、吐出口64aの基部の内径よりも大径に構成される。
固定溝部643は、円筒状の窪みであり、その底面が円環状の平面に構成される。固定溝部643の底面は、吐出容器1Hが直立姿勢であるときに、弁座64bよりも下方に配置される。固定溝部643の外方における底壁64Hの底面(表面)645は、円環状の平面に構成される。
外周壁647は、底壁64Hの底面645の外周囲に設けられている。外周壁647は、底壁64Hに一体に設けられている。外周壁647の内径は、第1係合筒621の外径と略同一径に構成される。外周壁647の外径は、第2係合筒623の内径よりも小径に構成される。外周壁647は、第1係合筒621と第2係合筒623との間に配置されている。外周壁647は、開口する端部側の内周面に、第1係合筒621の突起部621eと係合する環状の突起部647aを有している。
キャップ本体41Hは、ノズル部72と容器本体10の内部とを連通する吐出用の第1流路67(図2参照)上に配置された弁室54と、弁室54に内装され、第1流路67を開閉する逆止弁53とを備えている。この第1流路67は、容器本体10内から吐出口64aと後述する隣り合う弾性片82の間と弁室54とノズル部72とを介して吐出容器1Hの外部に内容物100を吐出させるための流路である。
弁室54は壁部63H及び底壁64Hの間に逆止弁53を収容可能であり、逆止弁53は弁室54において開閉のために移動可能となっている。弁室54は、逆止弁53の後述する弁体83と、壁部63Hの内面(裏面)と、底壁64Hと外周壁647とを有する固定部材65と、逆止弁53の後述する支持部81Hと、第1係合筒621とによって囲まれて構成されており、略円柱状に構成される。
図1乃至5と図7とに示すように、逆止弁53は、逆止弁53の中央または略中央に配置されて第1流路67を開閉する弁体83と、弁体83の外周から外方に延びる複数の弾性片82と、複数の弾性片82に接続される円筒状の支持部81Hとを有する。逆止弁53は、例えばポリエチレンにより構成される。
弁体83は、円形状に構成され、弁座64bと当接する当接面83aを有する。当接面83aの面方向は、弁座64bの面方向と同一方向に構成される。弁体83は、第1流路67を開閉するために吐出口64aを開閉する。
弾性片82は、帯状の小片状に構成される。弾性片82は、弁体83に接続されている。弾性片82は、支持部81Hの内周面に等間隔で複数配置される。本実施形態においては、弾性片82は、4つ設けられる。複数の弾性片82は、隣り合う弾性片82の間に内容物100を吐出するための吐出用の第1流路67の一部を構成する。複数の弾性片82は、弁体83を弁座64bに向かって常時付勢する。複数の弾性片82は、容器本体10の内圧が大気圧よりも高くなり、且つ、初動する圧力が弁体83に加えられると、弁体83は弁座64bから離間する方向に移動可能に構成される。弁体83が弁座64bに当接または弁座64bから離れることで、弁体83は吐出口64aを開閉する。
支持部81Hは、円筒状に構成される。支持部81Hの一端は、固定溝部643に嵌め込まれ、固定溝部643に固定される。支持部81Hは、弁室54側から固定溝部643に挿入される。そして支持部81Hは、固定溝部643に嵌合及び固定される。支持部81Hの内径は、突起部641aの外径と略同一径に構成される。支持部81Hは、支持部81Hの内周面に、突起部641aと係合する環状の突起部811aを有する。
逆止弁53の支持部81Hが固定部材65の固定溝部643に嵌め込まれて逆止弁53の当接面83aが固定部材65の弁座64bに当接するため、固定部材65は、逆止弁53を保持するホルダーである。
蓋体43は、ヒンジ42を介してキャップ本体41Hと一体に構成される。蓋体43は、有底円筒状に構成される。蓋体43は、壁部63Hの表面に対向する底面43eと、壁部63Hの外周縁に一体に設けられる外周壁43dとを有している。蓋体43は、底面43eに一体に設けられる円筒状の筒部43cと、外周壁43dの内周面に設けられ、係合部63bと係合する凸状の被係合部43aと、底面43eに一体に設けられ、ノズル部72を閉塞する密封リング43bと、を有している。
筒部43cの外径は、外周壁43dの内径よりも小径に構成され、ノズル部72の外径よりも大径に構成される。筒部43cの長さは、底面43eから壁部63Hの表面までの長さと略同一である。換言すると、筒部43cは、蓋体43が基部51Hに対して閉じられた際に、壁部63Hの表面と当接可能な長さに構成される。
密封リング43bは、円筒状に構成され、その外径がノズル部72の内径と略同一径に構成され、筒部43cの内径よりも小径に構成される。
次に、図1乃至図6に示す嵌合状態における、各構成部材の配置関係について説明する。嵌合状態では、支持部81Hが底壁64Hの固定溝部643に嵌め込まれて、外周壁647の突起部647aと第1係合筒621の突起部621eとの係合によって固定部材65が基部51Hに取り付けられた状態を示す。
支持部81Hは、固定溝部643の底面から壁部63Hの裏面までの長さよりも短く構成されており、壁部63Hの裏面から離れている。
第1係合筒621の外径は外周壁647の内径と略同一径に構成されており、第1係合筒621の外周面は外周壁647の内周面に当接(接合)している。第1係合筒621が外周壁647の内部に配置されるように、外周壁647は容器本体10の内部側から第1係合筒621に嵌合及び固定される。詳細には、第1係合筒621は、支持部81Hと外周壁647との間に配置されて、突起部621eと突起部647aとの係合によって外周壁647と嵌合する。第1係合筒621は、壁部63Hの裏面から底面645に向かって延びている。第1係合筒621は、壁部63Hの裏面から底面645までの長さと略同一に構成されており、第1係合筒621の開口している端部は底面645と当接(接合)している。嵌合時におけるキャップ11Hの中心軸C方向における基部51Hへの固定部材65の移動はこの当接によって規制されている。第1係合筒621の開口している端部が底面645と当接すると同時に、突起部647aは突起部621eと係合し、係合によって第1係合筒621は外周壁647と嵌合し、嵌合によって固定部材65は基部51Hに取り付けられる。
第1係合筒621は、キャップ11Hの中心軸C方向における外周壁647の開口している端部の端面から底面645との同一平面までの長さよりも長く構成されている。第1係合筒621が底面645と当接して固定部材65は基部51Hに取り付けられた際に、外周壁647の開口する端部の先端面は、先端面に対向する壁部63Hの裏面との間に第1流通口209を構成する。第1流通口209は、端部の先端面と壁部63Hの裏面との間のクリアランスとして形成され、環状に構成されている。
またキャップ11Hの中心軸C方向において底壁64Hがノズル部72から離れる方向に移動すると、突起部647aと突起部621eとの係合が解除され、固定部材65は基部51Hから取り外される。
第1係合筒621の内径は、支持部81Hの外径よりも大径に構成されており、第1係合筒621の内周面は支持部81Hの外周面から離れている。第1係合筒621は、その内周面が支持部81Hの外周面と流入口203を構成する。流入口203は、支持部81Hの外周面と第1係合筒621の内周面との間のクリアランスとして形成され、円環状に構成される。流入口203は、弁室54に含まれる第1スペース201に接続されている。第1スペース201は、支持部81Hの先端面と壁部63Hの裏面との間と、流入口203の上方とに構成される。
基部51Hは、第1係合筒621の開口する端部に配置されて流入口203に接続された第1流通溝205と、第1係合筒621の外周面に配置されて第1流通溝205に接続された第2流通溝207とを備えている。第1流通溝205は、第1係合筒621と固定部材65の底壁64Hとの接合面である第1係合筒621の開口する端部に設けられている。第2流通溝207は、第1係合筒621と固定部材65の外周壁647との接合面である第1係合筒621の外周面に設けられている。このような接合面は、弁室54の外周部分を構成している。
流通溝205,207は、係合筒621の表面に凹状に設けられている。第1流通溝205の底面は底面645に対向しており、第2流通溝207の底面は外周壁647の内周面に対向している。第2流通溝207は、第1流通溝205から壁部63Hの裏面にまで延びている。
第2係合筒623の内径は、外周壁647の外径よりも大径に構成される。したがって、第2係合筒623の内周面は、外周壁647の外周面から離れている。第2係合筒623は、その内周面の一部が外周壁647の外周面と第2流通口211を構成する。第2流通口211は、外周壁647の外周面と第2係合筒623の内周面との間のクリアランスとして形成され、環状に構成されている。第2流通口211は、第1流通口209を介して第2流通溝207に接続されており、また容器本体10に開口している。
このような流入口203と流通溝205,207と流通口209,211とで構成された第2流路69は、第1流路67とは別の流路であり、弁室54の外周部分に配置されており、弁室54と容器本体10の内部とを連通する。この第2流路69は、内容物100の吐出後にノズル部72及び弁室54に残留した内容物100を、容器の復元力で生じた吸引力によって容器本体10内に戻す吸引用の流路である。
流通溝205,207は、キャップ11Hの中心軸Cからみてヒンジ42側とは反対側方向の弁室54の外周部分に配置される。流通溝205,207は、ヒンジ42から離れてノズル部72の近くに配置される。流通溝205,207は、キャップ11Hの中心軸Cの軸回り方向の一部に配置される。
流通溝205,207と流通口209,211とは逆止弁53の剛性よりも高い剛性を有する基部51Hに形成される。流通溝205,207と流通口209,211とは、剛性の高い基部51H及び固定部材65の取り付けによって重なった場所に配置される。重なった場所は、第1係合筒621と、底面645と、外周壁647と、壁部63Hと、第2係合筒623とを含む。
ヒンジ42が上向きでノズル部72が下向きとなる傾斜姿勢(図3参照)において、第2流路69は、内容物100が自重により弁室54内へ極力通過しない流路抵抗を生じさせる開口面積及び流路長に構成される。流通溝205,207それぞれの開口面積は、内容物100の流体特性(例えば、粘度)に合わせて適切に構成される。例えば、流通溝205,207それぞれの開口面積は、0.1mm2〜2.0mm2に構成される。例えば、流通溝205,207それぞれの深さは、0.1mm〜0.5mmに構成される。
流入口203と流通口209,211とは、流通溝205,207のそれぞれよりも大きい開口面積である。
次に、このように構成された吐出容器1Hの使用方法について説明する。
先ず、内容物100が充填された吐出容器1Hは、例えば、容器本体10が下方及びキャップ11Hが上方の直立姿勢で保管される。使用時、即ち、内容物100を吐出するときは、先ず、使用者は、吐出容器1Hを把持し、蓋体43を開けて、ノズル部72を吐出先へ向ける。次いで、使用者は、内容物100を吐出する間、容器本体10を押圧し、容器本体10に押圧力を印加する。
これにより容器本体10は弾性変形し、容器本体10の弾性変形に伴って、容器本体10内が圧縮され、容器本体10内の圧力が増加する。容器本体10内の圧力が大気圧よりも高くなり、且つ、弁体83が初動する圧力が弁体83に加えられると、弁体83が内容物100に押圧されて弁座64bから離れる。これにより、図2に矢印で示すように、内容物100は、第1流路67において、吐出口64aから、隣り合う弾性片82の間を通って弁室54へ流れて、ノズル部72から吐出される。
さらに、弁室54は、弁体83と、壁部63Hの内面(裏面)と、底壁64Hと外周壁647とを有する固定部材65と、支持部81Hと、第1係合筒621とにより構成され、弁室54の内径が吐出口64a及びノズル部72の開口よりも大径の空間である。また、流通溝205,207の開口面積が容器本体10の復元時にノズル部72や弁室54に残存する内容物100を容器本体10内に吸引できる最小限の開口面積に設定されることで、流通溝205,207の流路抵抗が大きくなる。このため、吐出容器1Hが図3に示す傾斜姿勢を取った場合、内容物100が流通溝205,207を通って、弁室54の空間に漏洩する量を極力少なくできるとともに、内容物100が漏洩しても、当該漏洩した内容物100が直ちにノズル部72から外部に滴下することがない。このため、吐出容器1Hは、液だれを極力防止できる。
次に、内容物100の吐出後について説明する。使用者は、所望の内容物100を吐出させた後、容器本体10の押圧を解除する。容器本体10の押圧を解除することで、弁体83は、弾性片82の復元力で弁座64bと当接し、容器本体10は、元の形状に復元する。併せて、容器本体10の形状が復元することから、容器本体10内の空間が負圧となる。
これにより、空気が、ノズル部72と弁室54と吸引用の第2流路69とをこの順で流れ、容器本体10内の空間に吸気される。
併せて、弁室54及びノズル部72に残存する内容物100が、図4及び図5に矢印で示すように、弁室54から、吸引用の第2流路69を通って、容器本体10内に吸い込まれて、容器本体10内に戻るサックバックが生じる。このように、容器本体10の形状が復元するまで、弁室54に残存した内容物100及び空気が容器本体10内に吸い込まれる。結果、使用後にノズル部72や弁室54に内容物100が残存することを極力防止できる。このため、次回使用時に吐出容器1Hをノズル部72が下向きとなる姿勢としても、使用時のノズル部72から液だれすることを防止できる。
また吸引用の第2流路69は、弁室54から容器本体10内に直線状に延びている構成ではなく、折れ曲がりによって流路抵抗を大きく構成されている。このため、次回使用時に吐出容器1Hをノズル部72が下向きとなる姿勢としても、容器本体10の内容物100がノズル部72から液だれすることを防止できる。
ヒンジ42が上向きでノズル部72が下向きとなる傾斜姿勢で内容物100が吐出された後、弁室54とノズル部72とに残存する内容物100は、ヒンジ42側とは反対側方向の弁室54の外周部分に配置される第2流路69側に自重によって流れ落ちるため、第2流路69側を通じて容器本体10の内部に吸引され易くなる。
流通溝205,207を係合筒621の表面に凹状に設けることで、流通溝205,207をヒンジ42側とは反対側方向の弁室54の外周部分に容易に位置決めできる。
固定溝部643から逆止弁53を取り外し、第1係合筒621から固定部材65を取り外した構成のキャップにすれば、ドレッシングのような内容物100の粘度が高くサックバックが必要ない通常のキャップとしてキャップ11Hを使用できる。
流通溝205,207は、2部品の接合面に形成されているので、流通溝205,207の開口精度を安定できる。
なお第1流通溝205と第2流通溝207とのそれぞれの数は、1つに限定される必要はなく、1以上でもよい。
例えば、複数(例えば2つ)の第1流通溝205と、第1流通溝205と同数の第2流通溝207とが配置され、第2流通溝207のそれぞれは第1流通溝205のそれぞれに接続されてもよい。
または例えば、複数(例えば2つ)の第1流通溝205と、複数の第1流通溝205に接続された1つの第2流通溝207とが配置されてもよい。
キャップ11Hの周方向における第1流通溝205と第2流通溝207との相対位置、形状及び寸法等は、容器本体10の復元時に弁室54に残存する内容物100を吸引できれば、例えば、内容物100の流体特性や容器本体10の特性(例えば、復元力、弾性)により、上記機能を有する範囲で適宜設定できる。
本実施形態では、基部51Hへの固定部材65の固定は、突起部647aと突起部621eとの係合に限定される必要はない。第1係合筒621に雄螺子を設け、外周壁647に雌螺子を設け、雄螺子及び雌螺子の螺合によって取り付けが実施されてもよい。
またノズル部72は、キャップ11Hの中心軸C上に配置されていてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る吐出容器1Hに用いられるキャップ11Hの要部構成を、図8を用いて説明する。
図8は、キャップ11Hの流入溝203aと流通溝213,205,207と流通口209,211とを拡大して示す断面図である。なお、本実施形態に係る吐出容器1Hの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1Hの構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、吸引用の第2流路に係る、流入溝の位置と流通溝の構成と支持部81Hの長さとが第1の実施形態とは異なり、これら以外の構成は第1の実施形態と同一である。
本実施形態の基部51Hは、第1係合筒621の内側で且つ壁部63Hの裏面に配置されて弁室54に接続された流入溝203aと、第1係合筒621の内周面に配置されて流入溝203aと第1流通溝205とに接続された第4流通溝213とをさらに備えている。
流入溝203aは、支持部81Hの開口している先端面の一部に対向している。直交方向において、流入溝203aの幅は、支持部81Hの先端面の幅よりも長く構成されている。
支持部81Hは、固定溝部643の底面から壁部63Hの裏面までの長さと略同一に構成され、支持部81Hの先端面は壁部63Hの裏面に当接(接合)している。流入溝203aは、支持部81Hと壁部63Hの裏面との接合面である壁部63Hの裏面に凹状に設けられている。
支持部81Hの外径は第1係合筒621の内径と略同一径に構成されており、支持部81Hの外周面は第1係合筒621の内周面に当接(接合)する。第4流通溝213は、第1係合筒621と支持部81Hとの接合面である第1係合筒621の内周面に凹状に設けられている。第4流通溝213の底面は、支持部81Hの外周面の一部に対向している。第4流通溝213は、流入溝203aから第1流通溝205にまで延びている。
本実施形態では、流入溝203aと第4流通溝213とは、第1流通溝205と第2流通溝207と第1流通口209と第2流通口211とともに、吸引用の第2流路69を構成する。
流入溝203aと流通溝213,205,207とは、キャップ11Hの中心軸Cからみてヒンジ42側とは反対側方向の弁室54の外周部分に配置される。流入溝203aと流通溝213,205,207とは、ヒンジ42から離れてノズル部72の近くに配置される。流入溝203aと流通溝213,205,207とは、キャップ11Hの中心軸Cの軸回り方向の一部に配置される。
ヒンジ42が上向きでノズル部72が下向きとなる傾斜姿勢において、第2流路69は、内容物100が自重により弁室54内へ極力通過しない流路抵抗を生じさせる開口面積及び流路長に構成される。例えば、流通溝213,205,207それぞれの開口面積は、0.1mm2〜2.0mm2に構成される。例えば、流通溝213,205,207それぞれの深さは、0.1mm〜0.5mmに構成される。
第1係合筒621は、第2流通溝207の底面からの外方に向かって突出する突起部621fを有する。このため、本実施形態の第2流通溝207における流路は、第1の実施形態の平坦な第2流通溝207における流路よりも突起部621fによって長くなる。直交方向において突起部621fは突起部621eよりも短く構成されており、突起部621fの突端は突起部621eの突端よりも内側に位置する。
このように構成された本実施形態の吸引用の第2流路69は流入溝203aと第4流通溝213と突起部621fとによって第1の実施形態よりも長くなり流路抵抗が大きく構成される。結果、内容物100が吸引用の流路を通過して弁室54に移動することを極力防止できることから、吐出容器1Hの使用時に液だれすることを極力防止できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る吐出容器1Hに用いられるキャップ11Hの要部構成を、図9を用いて説明する。
図9は、キャップ11Hの流入口203と流通溝205a,207a,209aと流通口211とを拡大して示す断面図である。なお、本実施形態に係る吐出容器1Hの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1Hの構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、吸引用の第2流路69に係る構成が第1の実施形態とは異なり、第2流路69に係る構成以外の構成は第1の実施形態と同一である。
第1の実施形態では、流通溝205,207が第1係合筒621に配置されているが、本実施形態では、流通溝205a,207a,209aが固定部材65に配置されている。第1流通溝205aは、第1係合筒621と固定部材65の底壁64Hとの接合面である底面645に凹状に設けられている。第2流通溝207aは、第1係合筒621と固定部材65の外周壁647との接合面である外周壁647の内周面に凹状に設けられている。外周壁647の開口している端部は、壁部63Hの裏面と全周に渡って当接している。そして第3流通溝209aは、壁部63Hと固定部材65の外周壁647との接合面である外周壁647の開口する端部の先端面に凹状に配置されている。
第1流通溝205aの底面は第1係合筒621の開口する端部に対向しており、第2流通溝207aの底面は第1係合筒621の外周面に対向している。第2流通溝207aは、第1流通溝205aから外周壁647の開口する側の先端面にまで延びている。第3流通溝209aの底面は、壁部63Hの裏面に対向している。
流入口203と第1流通溝205aと第2流通溝207aと第3流通溝209aと流通口211とは、吸引用の第2流路69を構成する。
流通溝205a,207a,209aとは、キャップ11Hの中心軸Cからみてヒンジ42側とは反対側方向の弁室54の外周部分に配置される。流通溝205a,207a,209aとは、ヒンジ42から離れてノズル部72の近くに配置される。流通溝205a,207a,209aとは、キャップ11Hの中心軸Cの軸回り方向の一部に配置される。
流通溝205a,207a,209aと流通口211とは、逆止弁53の剛性よりも高い剛性を有する基部51H及び固定部材65の取り付けによって重なった場所に配置される。重なった場所は、第1係合筒621と、底面645と、外周壁647と、壁部63Hと、第2係合筒623とを含む。
ヒンジ42が上向きでノズル部72が下向きとなる傾斜姿勢において、第2流路69は、内容物100が自重により弁室54内へ極力通過しない流路抵抗を生じさせる開口面積及び流路長に構成される。例えば、流通溝205a,207a,209aそれぞれの開口面積は、0.1mm2〜2.0mm2に構成される。例えば、流通溝205a,207a,209aそれぞれの深さは、0.1mm〜0.5mmに構成される。
このように構成された第2流路69を有する吐出容器1Hは、第1の実施形態に係る吐出容器1Hと同様に、使用時の液だれを防止することが可能となる。
外周壁647の開口している端部が壁部63Hの裏面と全周に渡って当接し、第3流通溝209aが配置される構成は、他の実施形態に組み込まれてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る吐出容器1Hに用いられるキャップ11Hの要部構成を、図10と図11とを用いて説明する。
図10は本発明の第4の実施形態に係る吐出容器1Hの構成を一部省略して示す断面図である。図11は、吐出容器1Hに用いられるキャップ11Hの要部構成を示す平面図である。なお、本実施形態に係る吐出容器1Hの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1Hの構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、吸引用の第2流路69に係る構成が第1の実施形態とは異なり、第2流路69に係る構成以外の構成は第1の実施形態と同一である。
第1の実施形態では、流通溝205,207が第1係合筒621に凹状に配置されているが、本実施形態では、固定溝部649aと流入溝203bと流通溝205b,207b,209bと流通口211bとが固定部材65に凹状に配置されている。
第1流通溝205bは、支持部81Hと固定部材65の底壁64Hとの接合面である固定溝部649aの底面に凹状に設けられている。このような接合面は、弁室54の外周部分を構成している。
流入溝203bは、固定溝部649aの内側面(内周面)に設けられており、支持部81Hと固定溝部649aの径方向で中心側の内側面との接合面に凹状に配置されている。流入溝203bは、弁室54に接続される。
第1係合筒621の下端面は、支持部81Hの上端面と接合している。
支持部81Hの内径は、第1係合筒621の内径と略同一径に構成されている。支持部81Hの外径は、第1係合筒621の外径と略同一径に構成されている。
外周壁647の内径は支持部81Hの外径と第1係合筒621の外径と略同一径に構成されており、外周壁の647の内周面は支持部81Hの外周面と第1係合筒621の外周面とに当接(接合)されている。外周壁647の外径は第2係合筒623の内径と略同一径に構成されており、外周壁647の外周面は第2係合筒623の内周面に当接(接合)されている。外周壁647は、第1係合筒621と第2係合筒623との間に嵌め込まれて、第1係合筒621と第2係合筒623とによって保持される。第2係合筒623は、第2係合筒623の内周面から内方に向かって突出する環状の突起部623aを有する。また外周壁647は、外周壁647の外周面に配置されて突起部623aと係合する環状の窪み部647bを有する。
固定部材65は、支持部81Hの外周面と第1係合筒621の外周面とに対向する外周壁647の内周面に配置されて第1流通溝205bに接続された第2流通溝207bと、壁部63Hに対向する外周壁647の開口する端部の一部に配置されて第2流通溝207bに接続された第3流通溝209bと、第2係合筒623の内周面に対向する外周壁647の外周面に配置されて第3流通溝209bに接続された第4流通溝215bとを備えている。第2流通溝207bは、外周壁647と第1係合筒621及び支持部81Hとの接合面である外周壁647の内周面に凹状に設けられている。第3流通溝209bは、壁部63Hの裏面と外周壁647の開口する端部との接合面である外周壁647の開口する端部に凹状に設けられている。第4流通溝215bは、第2係合筒623の内周面と外周壁647の外周面との接合面である外周壁647の外周面に凹状に設けられている。このような接合面は、弁室54の外周部分を構成している。
第2係合筒623は、その内周面の先端部の一部が外周壁647の外周面と流通口211bを構成する。流通口211bは、第4流通溝215bに接続されている。
流入溝203bと、第1流通溝205bと、第2流通溝207bと、第3流通溝209bと、第4流通溝215bと、流通口211bとは、吸引用の第2流路69を構成する。
流入溝203bと流通溝205b,207b,209b,215bと流通口211bとは、キャップ11Hの中心軸Cからみてヒンジ42側とは反対側方向の弁室54の外周部分に配置される。流入溝203bと流通溝205b,207b,209b,215bと流通口211bとは、ヒンジ42から離れてノズル部72の近くに配置される。流入溝203bと流通溝205b,207b,209b,215bと流通口211bとは、キャップ11Hの中心軸Cの軸回り方向の一部に配置される。
ヒンジ42が上向きでノズル部72が下向きとなる傾斜姿勢において、第2流路69は、内容物100が自重により弁室54内へ極力通過しない流路抵抗を生じさせる開口面積及び流路長に構成される。例えば、流入溝203bと流通溝205b,207b,209b,215bそれぞれの開口面積は、0.1mm2〜2.0mm2に構成される。例えば、流入溝203bと流通溝205b,207b,209b,215bそれぞれの深さは、0.1mm〜0.5mmに構成される。
このように構成された流入溝203bと流通溝205b,207b,209b,215bと流通口211bとを有する吐出容器1Hは、第1の実施形態に係る吐出容器1Hと同様に、使用時の液だれを防止することが可能となる。
吐出容器1Hは、直立状態において、底壁64Hの中央部よりも低い外周部に流入溝203bと第1流通溝205bとが構成されており、内容物100を吐出後、直立状態に戻した際に、ノズル部72と弁室54とに残留した内容物100が、流入溝203bからサックバックされ易く、残留量を低減することが出来る。さらに流入溝203bと第1流通溝205bとにおいて高低差が構成されている。このためサックバック後に弁室54内に内容物100が残留しても、残留した内容物100は、直立状態において、流入溝203bと第1流通溝205b付近に溜まる。次回使用時にノズル部72が下向きとなった場合であっても、流入溝203bと第1流通溝205b付近からノズル部72へ移動する残留する内容物100の移動距離は、吐出口64aからノズル部72に移動する次の内容物100の移動距離よりも長くなる。これにより、次の内容物100がノズル部72から吐出されるよりも前に、流入溝203bと第1流通溝205b付近に残留する内容物100がノズル部72から液だれすることを防止できる。
上述した実施形態では、吐出容器1Hのキャップ11Hは、キャップ本体41Hと、キャップ本体41Hとヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備える構成を説明したが、これに限定されない。例えば、キャップ11Hは、ヒンジ42を有さない構成であり、蓋体43がキャップ本体41Hに着脱自在であってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。