JP2019142053A - 立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置 - Google Patents

立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】立体造形物を壊すことなく、容易に立体造形物を製造する立体造形物の製造方法の提供。【解決手段】下地層を形成する下地層形成工程と、下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形工程と、を含み、前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有する立体造形物の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置に関する。
近年、立体造形物(三次元造形物)を造形する方式として、種類や物性の異なる複数の光硬化性樹脂組成物のそれぞれをノズルから液滴で吐出させて、ノズルと造形ステージの相対位置を移動させながら液滴を所定位置に配置し、液滴を合一して膜を形成した状態で平滑化した後、光エネルギーを付与することで光造形を行う材料噴射造形方式(マテリアルジェット方式)が知られている。
マテリアルジェット方式では、モデル部を積層して立体物を造形する場合に原理的に造形が困難な形状(例えば、オーバーハング部を有する形状など)がある。その際、形状支持用にサポート部を同時に造形し、モデル部を支持する方法が採用されている。例えば、サポート部をモデル部と同じ材料で造形し、切削や研磨等の後加工により除去する方法(例えば、特許文献1参照)、水溶性の硬化性材料でサポート部を造形し、水に溶解させることによりサポート部を除去する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、立体造形物を壊すことなく、容易に立体造形物を製造する立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、下地層を形成する下地層形成工程と、下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形工程と、を含み、前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有する。
本発明によると、立体造形物を壊すことなく、容易に立体造形物を製造する立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、下地層の形成方法の一例を示す概略図である。 図2は、図1の下地層の形成方法で形成された下地層上に立体造形物を造形した状態の一例を示す概略図である。 図3は、下地層の形成方法の他の一例を示す概略図である。 図4は、図3の下地層の形成方法で形成された下地層上に立体造形物を造形した状態の一例を示す概略図である。 図5は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す平面概略図である。 図6は、図5の立体造形物の製造装置の一例を示す側面概略図である。 図7は、図5の立体造形物の製造装置の一例を示す副走査方向(Y方向)の概略断面図である。 図8は、図5の立体造形物の製造装置の一例を示す主走査方向(X方向)の概略断面図である。 図9は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置の制御部の一例を示すブロック図である。
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、下地層を形成する下地層形成工程と、下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形工程と、を含み、前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有し、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の立体造形物の製造装置は、下地層を形成する下地層形成手段と、下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形手段と、を有し、前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置は、従来技術では、造形ステージから立体造形物を取り除く際に、下地層をヘラ等で剥離すると、下地層を構成する材料の微細な粉が発生したり、下地層が剛直であるため剥離の際に立体造形物を破損してしまうことがあるという知見に基づくものである。
<下地層形成工程及び下地層形成手段>
下地層形成工程は、下地層を形成する工程である。より具体的には、造形ステージ上に、モデル部形成材料及びサポート部形成材料を用いて下地層を形成する。下地層形成工程は、下地層形成手段により実施される。
下地層は、造形ステージと立体造形物との間に設けられる。
造形ステージは、複数の吐出孔よりモデル部形成材料及びサポート部形成材料からなる液滴を所定位置に吐出する液体吐出ヘッドと対向配置されており、造形ステージと液体吐出ヘッドとは互いに相対的に移動可能である。
下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有する。これにより、造形ステージから立体造形物を取り除く際に、下地層を構成する材料の微細な粉が発生したり、立体造形物を壊すことなく、容易に立体造形物を製造することができる。
第一の領域、及び第二の領域は、下地層を構成する同一層に存在してもよく、異なる層に存在していてもよい。
第一の領域、及び第二の領域が積層されていることが、破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を形成する点から好ましい。
前記第一の領域と前記第二の領域の一方がサポート部形成材料からなり、他方がモデル部形成材料からなることが、破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を形成する点から好ましい。
サポート部形成材料及びモデル部形成材料としては、造形工程と同様なものを用いることができる。
下地層の平均厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm以上5mm以下が好ましい。
下地層の破断伸度は、30MPa以上であることが好ましく、サポート部形成材料からなる層(サポート部)の破断伸度より大きい。これにより、造形ステージから立体造形物を剥離する際に、下地層を構成する材料の微細な粉を発生させず、立体造形物を壊すことなく、立体造形物を容易に剥離することができる。
ここで、破断伸度は、JIS K7161に記載される引張試験方法であり、対象形状はTypeIVダンベル片の標線間距離は25mm、厚さ4mmの形状を造形した。破断伸度は、引張破断時の試料長さと破断時の試料長さより求めることができる。
下地層のショアA硬度は、70以下であることが好ましく、立体造形物(モデル部)のショアA硬度よりも低いことが好ましい。下地層のショアA硬度が立体造形物のショアA硬度よりも低いことにより、剥離の際に造形物を破壊することなく、下地層と剥離されるという利点がある。
ここで、ショアA硬度は、JIS K6253に記載される方法であり、デュロメーター(タイプA)を用い、評価サンプルは、下地層又はモデル部(立体造形物)と同じ製造方法により厚さ10mmの試験片を造形し、これらのショアA硬度を測定する。
下地層形成方法には、以下の第1の下地層形成方法と第2の下地層形成方法とがある。
<<第1の下地層の形成方法>>
第1の下地層形成方法は、モデル部形成材料及びサポート部形成材料を硬化する前に同じ位置に着弾させて、その後、モデル部形成材料及びサポート部形成材料を硬化させる方法である。
この場合、モデル部形成材料とサポート部形成材料とを混合してなる下地層が立体造形物と接して造形されることが、立体造形物の造形ステージからの剥離性の点から好ましい。
ここで、第1の下地層形成方法は、図1に示すように、ヘッド160と造形ステージ161の相対位置を移動しながらモデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sを、同一箇所162に着弾させ、ローラ163により平滑化し、紫外線照射装置164で硬化して層を形成する。この際、モデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sは硬化前に混合するため、硬化後の層はモデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sをそれぞれ単独の硬化物とは異なる物性を示す。
上記層形成を複数回繰り返して行い、図2に示す所定の厚さの下地層171を得る。図2中170は立体造形物、172はサポート部である。
<<第2の下地層の形成方法>>
第2の下地層形成方法は、下地層が、サポート部形成材料を含むサポート材層とモデル部形成材料を含むモデル材層とを配置してなる多層構造に形成する方法である。この場合、モデル部形成材料を含むモデル材層が立体造形物と接して造形されることが、立体造形物の造形ステージからの剥離性の点から好ましい。
第2の下地層形成方法は、図3に示すように、第1層目はヘッド160と造形ステージ161の相対位置を移動しながらモデル部形成材料Mからなるモデル材層を形成する。第1の下地層形成方法とは異なり、モデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sを同じ場所に着弾することはない。続いて、第2層目以降は、サポート部形成材料Sが50%以上の面積を有する層、第3層目はモデル部形成材料Mからなる層、というように層毎にパターンを変える。このような構成により、図4に示すような下地層181を形成する。この下地層181は、モデル部形成材料M及びサポート部形成材料Sをそれぞれ単独の硬化物とは異なる物性を示す。即ち、下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域が積層されている。
<造形工程及び造形手段>
造形工程は、下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する工程であり、造形手段により実施される。
造形される立体造形物は、下地層の上方であればよく、下地層に接している場合と、下地層に接していない場合の両方を含む。
下地層形成工程で形成された下地層の上にモデル部形成材料を用いてモデル部(立体造形物)を形成する。この場合、下地層上にサポート部形成材料からなる層を1層形成し、サポート部形成材料からなる層上にモデル部を形成することが、下地層とモデル部との剥離性の点から好ましい。
<<モデル部形成材料>>
モデル部形成材料は、モデル部を形成するための材料である。また、モデル部形成材料は、モデル部を構成する液膜を成膜する。更に、モデル部形成材料は、モデル部を構成する部分を造形することができる。
本発明において、モデル部とは、本発明の立体造形物を造形する本体を構成する部を意味する。
モデル部形成材料としては、硬化性液体材料を、立体造形物を造形する本体を構成する上で求められる性能に基づいて、適宜選択して付与することにより得ることができる。また、硬化性液体材料を同一位置に付与することにより、得られる液膜中のモデル部形成材料の含有量を適宜調整することができる。
モデル部形成材料は、光や熱等のエネルギーを付与することにより硬化する液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、単官能モノマー、多官能モノマー等の重合性モノマー、オリゴマーを含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。好ましくはインクジェット用プリンター等に用いられるインク吐出ヘッドで吐出できる粘度や表面張力等の液物性を有する。
また、モデル部形成材料としては、重合性モノマーを好適に用いることができる。
−重合性モノマー−
重合性モノマーとしては、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−単官能モノマー−−
単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、アクリル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能モノマーとしては、重合させることにより、有機ポリマーを得ることができる。
単官能モノマーの含有量としては、モデル部形成材料全量に対して、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。
上記以外の単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
−−多官能モノマー−−
多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二官能モノマー、三官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
二官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
三官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−オリゴマー−
オリゴマーとしては、上記モノマーの低重合体や末端に反応性不飽和結合基を有するものを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安定化剤、表面処理剤、重合開始剤、着色剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
−−表面処理剤−−
表面処理剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、クマロン樹脂、脂肪酸エステル、グリセライド、ワックスなどが挙げられる。
−−重合開始剤−−
重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点から、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。
アゾ系開始剤としては、例えば、VA−044、VA−46B、V−50、VA−057、VA−061、VA−067、VA−086、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(以上、DuPont Chemical社製)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(以上、和光純薬工業株式会社製)などが挙げられる。
過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(商品名:Perkadox 16S、Akzo Nobel社製)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(商品名:Lupersol 11、Elf Atochem社製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名:Trigonox 21−C50、Akzo Nobel社製)、過酸化ジクミルなどが挙げられる。
過硫酸塩開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
レドックス(酸化還元)開始剤としては、例えば、過硫酸塩開始剤とメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組合せ、有機過酸化物と第3級アミンとに基づく系(例えば、過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンとに基づく系)、有機ヒドロパーオキシドと遷移金属とに基づく系(例えば、クメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートとに基づく系)などが挙げられる。
重合開始剤の含有量としては、モデル部形成材料全量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。含有量が、10質量%以下であると、硬化反応を阻害することを防止できる。
−着色剤−
着色剤としては、モデル部形成材料中に溶解又は安定に分散し、更に熱安定性に優れた染料及び顔料が適している。これらの中でも、溶解性染料(Solvent Dye)が好ましい。また色の調整等で2種類以上の着色剤を適時混合することが可能である。
モデル部形成材料の含有量としては、モデル部を構成する液膜においてはモデル部を構成する液膜全量に対して、80質量%以上100質量%以下が好ましい。
<<サポート部形成材料>>
サポート部形成材料は、サポート部を形成するための材料である。また、サポート部形成材料は、サポート部を構成する液膜を成膜する。
本発明において、サポート部とは、モデル部が固化するまでの時間、立体造形物を所定の位置に保持するために、モデル部の重力方向に対する支持部に配置され、モデル部と接し、下方向でモデル部を支持する部を意味する。
サポート部を構成する液膜としては、モデル部形成材料を、モデル部の重力方向において支持する性能に基づいて、適宜選択して付与することにより得ることができる。
サポート部形成材料は、光や熱等のエネルギーを付与することにより硬化する液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。サポート部形成材料の組成は、モデル部形成材料の組成と同一でもよいし、異なっていてもよい。
<硬化工程及び硬化手段>
硬化工程は、造形工程において吐出したサポート部材料及びモデル部材料を硬化する工程である。硬化工程は硬化手段により実施される。
硬化工程に用いられる硬化手段としては、例えば、紫外線(UV)照射ランプ、電子線などが挙げられる。液膜を硬化する手段には、オゾンを除去する機構が具備されることが好ましい。
紫外線(UV)照射ランプの種類としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド、LEDなどが挙げられる。
超高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効であり、Pb、Sn、Fe等の金属のハロゲン化物が用いられ、重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。
硬化に用いられるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FusionSystem社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販品などを用いることができる。
また、硬化性液体材料としてラジカル重合性モノマー、オリゴマーを使用する場合には、成膜、硬化工程を実施する環境における酸素濃度が低いことが好ましく、例えば、窒素等で置換された空間であることが特に好ましい。
<除去工程及び除去手段>
本発明の立体造形物の製造方法は、除去工程を更に含むことが好ましい。
除去工程は、形成されたサポート部を除去する工程である。除去工程は除去手段により実施される。
除去工程は、トリミングする方法、液体に溶解させる方法、液体に浸漬して除去する方法、温度を加える方法、超音波振動する方法、撹拌によるエネルギーを与える方法などの補助的処理を行うことができ、これらを適宜組み合せて行ってもよい。
これらの中でも、液体に溶解させる方法が好ましく、サポート部が液体に浸漬されて溶解する方法がより好ましい。
液体としては、例えば、水、有機溶剤などが挙げられる。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形体の研磨工程、成形体の清浄工程などが挙げられる。その他の工程は、その他の手段により実施される。
立体造形物の製造方法においては、各工程を複数回繰り返すものである。繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状などに応じて異なり一概には規定できないが、1層あたりの平均厚みとしては、5μm以上50μm以下が好ましい。平均厚みが、5μm以上50μm以下であると、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であり、立体造形物の高さ分だけ積層することができる。
以下、本発明の立体造形物の製造方法の具体的な実施形態について説明するが、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
図5〜図8は、本発明の立体造形物を造形する立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。
この立体造形物の製造装置は、材料噴射造形装置であり、造形液10が固化された層状造形物である造形層30が形成される造形部1と、造形ステージ24に対して造形液10を吐出して造形層30を造形する造形ユニット5とを備えている。
造形部1は、造形層30が積層されて立体造形物が造形される造形槽22を有する。造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降可能となっており、造形ステージ24上に、造形層30が積層された立体造形物が造形される。
造形ステージ24は、後述するモータ28によって矢印Z方向(高さ方向)に昇降可能である。
造形ユニット5は、造形ステージ24上の造形層30に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備える。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された造形液付与手段である2つ(1つ又は3つ以上でもよい)液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」ともいう。)52a、52bを備える。
キャリッジ51は、ガイド部54及び55に移動可能に保持されている。ガイド部54及び55は、両側の側板70、70に昇降可能に保持される。
キャリッジ51は、後述するX方向走査機構550を構成するX方向走査モータによってプーリ及びベルトを介して主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に往復移動が可能である。
2つのヘッド52a、52b(以下、区別しないときは「ヘッド52」という。)は、造形液を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ2列配置されている。一方のヘッド52aの2つのノズル列は、造形液10としてモデル部形成材料を吐出する。他方のヘッド52bの2つのノズル列は、造形液10としてサポート部形成材料を吐出する。なお、ヘッド構成はこれに限るものではない。なお、上述の吐出工程は、液体吐出ユニット50の2つのヘッド52a、52bでそれぞれ造形液10を吐出することにより行われる。
これら各々の液を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介してヘッド52a、52bに供給される。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51に平坦化ローラ12と、造形液硬化手段700とを搭載する。キャリッジ51の走査方向(X方向)かつ造形ステージ24を形成するときのキャリッジの移動方向に沿って、キャリッジ51に造形液硬化手段700、平坦化ローラ12、及びヘッド52が、この順に配置される。
造形液硬化手段700は、ヘッド52から吐出された造形液10(モデル部形成材料、サポート部形成材料)を硬化する。造形液10を硬化する手段としては、紫外線(UV)照射ランプ、電子線等が挙げられる。紫外線により発生するオゾンを除去する機構が具備されることが好ましい。ランプの種類としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド、LEDランプ等がある。超高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたUVランプは、短波長領域の照射が可能である。メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効的である。Pb、Sn、Feなどの金属のハロゲン化物が用いられ、光開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。造形液10を硬化することに有効であるランプであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、上述の硬化工程は、造形液硬化手段700で造形液10を硬化することにより行われる。
X方向の一方側には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置される。
メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63で構成される。キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。ノズルに詰まった高粘度化した造形液を排出するためである。その後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出が行われない場合に、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、造形液10が乾燥すること、及び光による液体の硬化を防止する。
造形ユニット5は、ベース部7上に配置されたガイド部71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、後述するY方向走査機構552によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、ガイド部54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、後述するZ方向昇降機構551によってZ方向に昇降可能である。
ここで、造形部1の詳細について説明する。
造形槽11は、箱型形状をなし、上面が開放された槽を備える。造形槽22内部には、造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置される。造形ステージ24の上面は、水平に保持される。
キャリッジ51に搭載された平坦化ローラ12は、造形槽22の内寸よりも長い棒状部であり、キャリッジ51と共にステージ面に沿ってX方向(主走査方向)に往復移動が可能である。
平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、造形槽22の外側から造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら、造形ステージ24上に吐出された造形液10の表面を平坦化することで造形層30が形成される。
また、図6にも示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した造形液10を除去するための除去部である液体除去板13が配置されている。
液体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12と共に移動する。また、液体除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に回転するときにカウンタ方向でも、順方向での配置可能である。
なお、下地層の形成方法及び条件は、上述した立体造形物の製造方法における造形工程とは、モデル部形成材料とサポート部形成材料の配置が異なる以外は、同様であり、上記第1の下地層形成方法、又は第2の下地層形成方法により行われる。
次に、立体造形物の製造装置の制御部の概要について図9を参照して説明する。この図9は制御部のブロック図である。
制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、造形データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備える。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
また、制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F506を備えている。
造形データ作成装置600は、最終形態の造形物(立体造形物)を造形層ごとにスライスしたスライスデータである造形データを作成する本発明の立体造形物を造形するデータを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部
508を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。
なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動するモータ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動するモータ駆動部514を備えている。
制御部500は、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ26を駆動する516を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
制御部500は、上述したように、造形データ作成装置600から造形データを受領する。造形データは、目的とする立体造形物の形状をスライスしたスライスデータとしての各造形層30の形状データ(造形データ)を含む。
そして、主制御部500Aは、造形層30の造形データに基づいてヘッド52からの造形液の吐出を行わせる制御をする。
なお、造形データ作成装置600と立体造形物の製造装置601によって造形装置が構成される。
次に、造形の流れについて図8を参照して説明する
ここでは、造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、造形槽22の造形ステージ24をZ方向に下降させる。
その後、図8に示すように液体吐出ユニット50のヘッド52b及び52aから造形ステージ24上に造形液10(モデル部形成材料、サポート部形成材料)の液滴を吐出して造形層30を形成する(造形液吐出工程)。平坦化ローラ12は、造形ステージ24上に形成された造形層30の表面を平坦にし(平坦化工程)、造形液硬化手段700は、平坦化ローラ12によって表面が平坦にされた造形層30を、紫外線照射によって重合硬化する(造形層硬化工程)。以上の工程により、造形層30上に所要形状の造形層30を積層形成する。
キャリッジ51にヘッド52a及び52b、平坦化ローラ12、及び造形液硬化手段700が搭載されているので、図8においてキャリッジ51のX方向(主走査方向)の矢印で示した左方に移動しながら、ヘッド52による造形液吐出工程、平坦化ローラ12による平坦化工程、造形液硬化手段700による造形層硬化工程が順次実行される。
次いで、上述したヘッド52による造形液吐出工程、平坦化ローラ12による平坦化工程、造形液硬化手段700による造形層硬化工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物(立体造形物)の一部を構成する。以後、造形液吐出工程、平坦化工程、造形層硬化工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<サポート部形成材料の調製>
アクリロイルモルホリン(ACMO、KJケミカルズ株式会社製)50質量部、1,5−ヘキサンジオール50質量部、ポリオキシプロピレングリコール15質量部、反応開始剤(商品名:イルガキュア819、BASF社製)3質量部、及び重合禁止剤として1,4−ベンゾキノン0.05質量部を混合し、フィルター(商品名:メンブレンフィルター、メルクミリポア社製、平均孔径:0.8μm)を通過させて、サポート部形成材料を得た。
<モデル部形成材料の調製>
イソボルニルアクリレート(共栄化学株式会社製)65質量部に、ウレタンアクリレート(分子量2,000、日本合成化学株式会社製、UV−1700B)33質量部を添加しビーカーにて混合し、反応開始剤(BASF社製、イルガキュア819)2質量部を添加して、混合し、フィルター(商品名:メンブレンフィルター、メルクミリポア社製、平均孔径:0.8μm)を通過させて、モデル部形成材料を得た。
<第1の下地層の形成方法>
図1に示すように、ヘッド160と造形ステージ161の相対位置を移動しながらモデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sを、同一箇所162に着弾させ、ローラ163により平滑化し、紫外線照射装置164で硬化して層を形成した。この際、モデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sは硬化前に混合するため、硬化後の層はモデル部形成材料M及びサポート部形成材料Sをそれぞれ単独の硬化物とは異なる物性を示す。
上記層形成を複数層行い、図2に示すような下地層171を得た。
<第2の下地層の形成方法>
図3に示すように、第1層目はヘッド160と造形ステージ161の相対位置を移動しながらモデル部形成材料Mからなるモデル材層を形成した。上記第1の下地層形成方法とは異なり、モデル部形成材料Mとサポート部形成材料Sを同じ場所に着弾することはない。続いて、第2層目以降は、サポート部形成材料Sが50%以上の面積を有する層、第3層目はモデル部形成材料Mからなる層、といったように層毎にパターンを変えた。このような構成により、図4に示すような下地層181を形成した。この下地層181は、モデル部形成材料M及びサポート部形成材料Sをそれぞれ単独の硬化物とは異なる物性を示す。
<立体造形物の製造方法>
以上のように形成した下地層の上に、上記サポート部形成材料からなる層を1層形成し、その上にモデル部形成材料からなるモデル材層を造形して立体造形物を製造した。
なお、本実施例では、モデル部形成材料の形状を評価するため、立体造形物の製造において、サポート部形成材料を使用しなかった。
<破断伸度の測定方法>
JIS K7161に記載される引張試験方法であり、対象形状はTypeIVダンベル片の標線間距離は25mm、厚さ4mmの形状を造形した。破断伸度は、引張破断時の試料長さと破断時の試料長さより求められる。
なお、上記サポート部形成材料だけでダンベル形状を作製して上記方法で測定した引張伸度は2.3%であった。
<ショアA硬度の測定方法>
JIS K6253に記載される方法であり、デュロメーター(タイプA)を用い、評価サンプルは、下地層又は立体造形物と同じ製造方法で厚さ10mmの試験片を造形し、これらのショアA硬度を測定した。
なお、上記モデル部形成材料からなるモデル部(立体造形物)のショアA硬度は95であった。
(実施例1)
上記第1の下地層形成方法により100層からなる下地層を形成した(下地層の平均厚み2mm)後、下地層上に上記立体造形物の製造方法により高さ10mm、X50mm、Y50mmの立体造形物を形成した。その後、ヘラを用いて造形ステージから造形体(下地層と立体造形物の組み合わせ)を剥離した。剥離の際に下地層のサポート部形成材料又はモデル部形成材料の粉は発生しなかった。剥離した造形体を水に4時間浸漬した結果、下地層と立体造形物は容易に剥離された。
実施例1の下地層の破断伸度は4.2%であり、サポート部形成材料からなる層の引張伸度2.3%より大きかった。
また、実施例1の下地層のショアA硬度は60であり、モデル部(立体造形物)のショアA硬度95よりも低かった。
(実施例2)
上記第2の下地層形成方法により100層からなる下地層を形成した(下地層の平均厚み2mm)後、下地層上に上記立体造形物の製造方法により高さ10mm、X50mm、Y50mmの造形物を形成した。その後、ヘラを用いて造形ステージから造形体(下地層と造形物の組み合わせ)を剥離した。剥離の際に下地層のサポート部形成材料又はモデル部形成材料の粉は発生しなかった。剥離した造形体を水に4時間浸漬した結果、下地層と立体造形物は容易に剥離された。
形成された下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有しており、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域が積層されていた。
実施例2の下地層の破断伸度は3.7%であり、サポート部形成材料からなる層の引張伸度2.3%より大きかった。
また、実施例2の下地層のショアA硬度は80であり、モデル部(立体造形物)のショアA硬度95よりも低かった。
(比較例1)
上記第2の下地層形成方法によりすべてサポート部形成材料からなる100層の下地層を形成した(下地層の平均厚み2mm)後、下地層上に上記立体造形物の製造方法により高さ10mm、X50mm、Y50mmの造形物を形成した。その後、ヘラを用いて造形ステージから造形体(下地層と造形物の組み合わせ)を剥離した。比較例1の下地層は剥離の際に破断し、破片が造形ステージ上に散乱した。破片はスライドレールなどにも飛散し、これらが蓄積することで装置故障の原因となりうる。
比較例1のサポート部形成材料からなる下地層の破断伸度は2.3%であり、サポート部形成材料からなる層の引張伸度2.3%と同じであった。
また、比較例1の下地層のショアA硬度は25であり、モデル部(立体造形物)のショアA硬度95よりも小さかった。
(比較例2)
上記第2の下地層形成方法によりモデル部形成材料からなる99層形成し、その上にサポート部形成材料からなる1層を形成し、合計100層の下地層を形成した(下地層の平均厚み2mm)。下地層上に上記立体造形物の製造方法により高さ10mm、X50mm、Y50mmの造形物を形成した。その後、ヘラを用いて造形ステージから造形体(下地層と造形物の組み合わせ)を剥離した。比較例2の下地層を剥離した際、硬いため造形物側にヒビが入ることが3回造形して1回発生した。
比較例2の下地層の破断伸度は2.0%であり、サポート部形成材料からなる層の引張伸度2.3%より小さかった。
また、比較例2の下地層のショアA硬度は95であり、モデル部(立体造形物)のショアA硬度95と同じであった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 下地層を形成する下地層形成工程と、
下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形工程と、を含み、
前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記第一の領域、及び前記第二の領域が積層されている前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記第一の領域と前記第二の領域の一方がサポート部形成材料からなり、他方がモデル部形成材料からなる前記<1>又は<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記下地層が前記立体造形物と接する前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記下地層のショアA硬度が、前記立体造形物のショアA硬度よりも低い前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 下地層を形成する下地層形成手段と、
下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形手段と、を有し、
前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<7> 前記第一の領域、及び前記第二の領域が積層されている前記<6>に記載の立体造形物の製造装置である。
<8> 前記第一の領域と前記第二の領域の一方がサポート部形成材料からなり、他方がモデル部形成材料からなる前記<6>又は<7>に記載の立体造形物の製造装置である。
<9> 前記下地層が前記立体造形物と接する前記<6>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<10> 前記下地層のショアA硬度が、前記立体造形物のショアA硬度よりも低い前記<6>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<6>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特表2003−535712号公報 特開2012−111226号公報
1 造形部
5 造形ユニット
10 造形液
12 平坦化ローラ(平坦化手段)
22 造形槽
24 造形ステージ
30 造形層(層状造形物)
50 液体吐出ユニット
51 キャリッジ
52 液体吐出ヘッド
500 制御部

Claims (6)

  1. 下地層を形成する下地層形成工程と、
    下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形工程と、を含み、
    前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記第一の領域、及び前記第二の領域が積層されている請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記第一の領域と前記第二の領域の一方がサポート部形成材料からなり、他方がモデル部形成材料からなる請求項1又は2に記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記下地層が前記立体造形物と接する請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記下地層のショアA硬度が、前記立体造形物のショアA硬度よりも低い請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 下地層を形成する下地層形成手段と、
    下地層の上方にモデル部形成材料の硬化物からなる立体造形物を造形する造形手段と、を有し、
    前記下地層は、少なくとも破断伸度が異なる第一の領域と第二の領域を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
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