(1)概要
本実施形態に係るインターホンシステム1は、図1に示すように、インターホン親機10と、インターホン子機20と、制御装置30と、を備えている。本実施形態では、インターホンシステム1が集合住宅用のインターホンシステムである場合を例として説明する。また、ここでは、インターホン親機10の概要について説明し、インターホン子機20及び制御装置30については、後述する「(2)構成」にて説明する。
インターホン親機10は、例えば、集合住宅の住戸である施設内(第1エリアA1)に設置される室内親機である。インターホン子機20は、例えば、集合住宅のロビーなどの共用スペース(第2エリアA2)に設置されるロビーインターホンである(図3参照)。インターホン親機10とインターホン子機20とは、制御装置30を介して互いに通信可能に構成されている。これにより、本実施形態に係るインターホンシステム1では、インターホン親機10とインターホン子機20との間で通話可能となる。
インターホン親機10は、通信部11と、制御部12と、を備えている。通信部11は、インターホン親機10が設けられているエリア、すなわち利用者が利用する第1エリアA1(ここでは、居住者が住む住戸)に設けられている。通信部11は、第2エリアA2(ここでは、共用スペース)に設置されたインターホン子機20(ここでは、ロビーインターホン)が来訪者B1(図6A参照)による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機20との間で通信可能に構成されている。つまり、インターホン親機10は、来訪者B1がインターホン子機20を操作して呼出を行うことで、インターホン子機20との間で通信を行うことができる。言い換えれば、インターホン親機10は、呼出を受けていない状態においては、利用者(ここでは、居住者)による操作を受け付けても、インターホン子機20との間で通信を行うことができない。本開示でいう「呼出」は、インターホン子機20を操作して来訪者B1が訪問先の第1エリアA1(ここでは、住戸)を呼び出すこと、つまり、来訪者B1が訪問先の第1エリアA1にいる利用者を呼び出すことをいう。また、本開示でいう「来訪者」は、住戸の居住者であって、外出先から帰宅するためにロビーを訪れる人も含む。
制御部12は、維持機能を有している。維持機能は、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持する機能である。通話状態は、インターホン子機20及び通信部11(インターホン親機10)を介して来訪者B1と利用者との間で通話を行う状態である。解錠操作は、第1エリアA1と第2エリアA2との間の開口部(出入口)4を開閉する開閉部材(扉)5を解錠するための操作である。このように、本実施形態では、通話状態において利用者が解錠操作をし忘れた場合でも、受付状態にて利用者が解錠操作を行うことが可能である。つまり、本実施形態では、利用者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、開閉部材5を解錠することができる、という利点がある。
(2)構成
以下、本実施形態に係るインターホンシステム1に含まれるインターホン親機10、インターホン子機20、及び制御装置30について図1〜図3を用いて詳細に説明する。以下の説明では、特に断りのない限り、「利用者」を「居住者」、「開口部」を「出入口」、「開閉部材」を「扉」として説明する。インターホンシステム1は、1つの建物が有する1以上のロビーにそれぞれ設置される1以上のインターホン子機20と、1つの建物に入居する複数の住戸のそれぞれに設置される複数のインターホン親機10と、を有している。1以上のインターホン子機20は、それぞれ来訪者B1の操作によって呼出を行うことにより、複数のインターホン親機10のうちの任意のインターホン親機10と通信することが可能である。
以下では、1以上のインターホン子機20のうち1台のインターホン子機20のみについて説明する。残りのインターホン子機20については、この1台のインターホン子機20と同じ構成であるため、説明を省略する。また、以下では、複数のインターホン親機10のうち、上記の1台のインターホン子機20と通信可能な1台のインターホン親機10について説明する。残りのインターホン親機10については、この1台のインターホン親機10と同じ構成であるため、説明を省略する。
(2.1)インターホン親機
まず、インターホン親機10の構成について説明する。インターホン親機10は、図1に示すように、通信部11と、制御部12と、表示部13と、操作部14と、通話部15と、を備えている。
通信部11は、インターホン子機20と通信するための通信インタフェースである。通信部11は、例えばツイストペア線等からなる2線式の伝送路を介して、制御装置30及びインターホン子機20と電気的に接続されている。通信部11は、インターホン子機20との間で音声信号及び制御信号などの種々の信号が双方向に伝送可能となるように、インターホン子機20(後述する通信部21)との間で双方向に通信可能に構成されている。本実施形態では、既に述べたように、通信部11は、インターホン子機20が来訪者B1による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機20との間で通信可能に構成されている。したがって、インターホン親機10がインターホン子機20と双方向に通信可能なのは、原則、インターホン親機10及びインターホン子機20を介して来訪者B1と居住者とが通話している期間である。
制御部12は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部12として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリーカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
制御部12は、インターホン子機20との間で通話が可能な状態である場合に、通話部15のマイクロホンから居住者の音声のデータ(音声信号)を受信すると、受信した音声信号を、通信部11を介してインターホン子機20へ送信する。また、制御部12は、インターホン子機20との間で通話が可能な状態である場合に、インターホン子機20から来訪者B1の音声信号を受信すると、受信した音声信号を通話部15のスピーカ151に出力する。このときスピーカ151は、受信した音声信号を基に音声を出力する。
また、制御部12は、インターホン子機20から通信部11を介して画像信号を受けて、画像処理を行う。この場合、表示部13は、制御部12で処理された画像を表示する。ここで、画像信号は、インターホン子機20の撮像部23(後述する)で撮影された画像(映像を含む)のデータを含んでいる。つまり、制御部12は、通信部11にて画像信号を受信した場合、インターホン子機20にて撮影された画像を表示部13に表示することが可能である。
制御部12は、維持機能を有している。維持機能は、既に述べたように、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持する機能である。通話状態は、例えば通話終了信号をインターホン親機10が通信部11から送信したときに終了する。通話終了信号は、居住者がインターホン親機10の操作部14にて通話を終了する操作を行うことで、通信部11から送信される。本実施形態では、通話状態において、居住者が操作部14の通話釦141(後述する)を押操作することにより、通話状態が終了する。
また、本実施形態では、制御部12は、通話状態において解錠操作がなされていない場合に、通話状態が終了した後に受付状態を維持する。つまり、通話状態において解錠操作がなされた場合には、制御部12は、通話状態が終了した後に受付状態を維持せず、待機状態へ移行する。本開示でいう「待機状態」とは、インターホン親機10が呼出を待ち受けている状態である。待機状態においては、制御部12は、解錠操作を受け付けない。つまり、待機状態においては、居住者が操作部14の解錠釦142を押操作しても、扉5を解錠することはできない。
制御部12は、例えば通話が終了した時点から一定時間(例えば、数十秒間)、受付状態を維持する。制御部12は、受付状態にて解錠操作を受け付けると、通信部11を介して制御装置30へ解錠信号を送信する。本実施形態では、受付状態において、居住者が操作部14の解錠釦142(後述する)を押操作すると、制御部12が解錠操作を受け付ける。制御部12は、通話が終了してから一定時間が経過すると、受付状態から待機状態へ移行させる。
表示部13は、例えば液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの薄型のディスプレイ装置である。表示部13は、インターホン子機20から送信される画像信号に基づいて、画像を表示する。
操作部14は、居住者の操作による入力を受け付ける入力装置である。操作部14は、通話釦141と、解錠釦142と、を有している(図2参照)。通信部11が呼出信号をインターホン子機20から受信している状態で、通話釦141に対して所定の操作(ここでは、押操作)がなされると、インターホン親機10とインターホン子機20との間で通話可能な状態となる。また、通信部11が呼出信号をインターホン子機20から受信している状態、又は通話状態で、解錠釦142に対して所定の操作(ここでは、押操作)がなされると、通信部11から解錠信号が制御装置30へ送信される。ここで、「呼出信号をインターホン子機20から受信している状態」とは、インターホン子機20からの呼出がある状態をいう。また、呼出信号は、来訪者B1がインターホン子機20にて呼出を開始する操作を行うことで、インターホン子機20から送信される。
また、本実施形態では、操作部14は、表示部13の表示面に設置されるタッチパッドを含んでいる。つまり、表示部13と操作部14とは、タッチパネルを構成している。したがって、操作部14は、表示部13に表示される操作用のアイコンを居住者がタッチすることでも、入力を受け付けることが可能である。
通話部15は、スピーカ151及びマイクロホンを含んでおり、インターホン子機20との間で通話可能に構成されている。本実施形態では、スピーカ151は、インターホン子機20を介して来訪者B1が発した音声を出力するだけでなく、呼出時において呼出音も出力する。また、本実施形態では、スピーカ151は、制御部12に制御されることにより、受付状態である旨(又は、扉5が解錠されていない旨)を表す音声メッセージを出力する場合もある。
(2.2)インターホン子機
次に、インターホン子機20の構成について説明する。インターホン子機20は、図1に示すように、通信部21と、制御部22と、撮像部23と、操作部24と、通話部25と、表示部26と、を有している。
通信部21は、インターホン親機10と通信するための通信インタフェースである。通信部21は、伝送路を介して制御装置30及びインターホン親機10の通信部11と電気的に接続されている。通信部21は、インターホン親機10との間で音声信号及び制御信号などの種々の信号が双方向に伝送可能となるように、インターホン親機10の通信部11との間で双方向に通信可能に構成されている。
制御部22は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部22として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリーカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
制御部22は、インターホン親機10との間で通話が可能な状態である場合に、通話部25のマイクロホンから来訪者B1の音声のデータ(音声信号)を受信すると、受信した音声信号を、通信部21を介してインターホン親機10へ送信する。また、制御部22は、インターホン親機10との間で通話が可能な状態である場合に、インターホン親機10から居住者の音声信号を受信すると、受信した音声信号を通話部25のスピーカに出力する。このときスピーカは、受信した音声信号を基に音声を出力する。また、制御部22は、撮像部23で撮影した画像のデータを含む画像信号を、通信部21を介してインターホン親機10に送信する。
撮像部23は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサ等の撮像素子を有し、被写体(来訪者B1等)を撮影するためのカメラである。本実施形態では、来訪者B1がインターホン子機20を操作する際に少なくとも来訪者B1の顔を撮影できるように、撮像部23の撮影エリア(視野)は、インターホン子機20の前方に設定される。したがって、撮像部23は、来訪者B1のみならず、来訪者B1の背景(つまり、第2エリアA2)を撮影する。本実施形態では、撮像部23は動画を撮影するカメラであるが、静止画を撮影するカメラであってもよい。また、本実施形態では、撮像部23はカラー画像を撮影するカメラであるが、モノクローム画像を撮影するカメラであってもよい。
操作部24は、来訪者B1の操作による入力を受け付ける入力装置である。操作部24は、例えば来訪者B1が訪問先の住戸の部屋番号を入力するためのテンキースイッチ、来訪者B1が訪問先の住戸を呼び出すための第1釦、及び来訪者B1が呼出を終了するための第2釦を有している。操作部24に対して所定の操作(例えば、第1釦の押操作)がなされると、インターホン子機20は、呼出信号を通信部21からインターホン親機10へ送信する。
通話部25は、スピーカ及びマイクロホンを含んでおり、インターホン親機10との間で通話可能に構成されている。なお、通話部25のスピーカは、例えばインターホン親機10から居住者の音声信号以外の音声信号を受信した場合に、この音声信号に基づく音声を出力してもよい。
表示部26は、例えば液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイなどの薄型のディスプレイ装置である。表示部26は、例えば来訪者B1が操作部24にて訪問先の住戸の部屋番号を入力したときに、入力した部屋番号を表す画像を表示する。
(2.3)制御装置
次に、制御装置30の構成について説明する。制御装置30は、インターホン親機10及びインターホン子機20と通信を行うための通信インタフェースを有している。
制御装置30は、インターホン子機20から送信された信号を受信すると、受信した信号に含まれる識別番号(例えば、住戸番号)のインターホン親機10に対して、受信した信号を送信する。インターホン子機20から送信される信号は、例えば呼出信号、画像信号及び来訪者の音声信号などである。このとき、制御装置30は、送信元のインターホン子機20の識別番号を記憶する。制御装置30は、例えば呼出が終了したとき、又は通話が終了したときに、記憶していた識別番号を破棄する。
また、制御装置30は、インターホン親機10から送信された信号を受信すると、受信した信号に含まれる識別番号が、このインターホン親機10に対して呼出を行っているインターホン子機20の識別番号と一致するか否かを判断する。一致する場合、制御装置30は、受信した信号をインターホン子機20へ送信する。一方、一致しない場合、制御装置30は、受信した信号を破棄する。インターホン親機10から送信される信号は、例えば居住者の音声信号などである。
また、制御装置30は、第1エリアA1と第2エリアA2との間の出入口(開口部)4を開閉する扉(開閉部材)5の施錠及び解錠の制御を行う(図3参照)。例えば、制御装置30は、インターホン親機10から解錠信号を受信すると、扉5の解錠を行う。そして、制御装置30は、扉5を解錠してから一定時間経過後、扉5の施錠を行う。
(3)動作
以下、本実施形態のインターホンシステム1の動作について説明する。以下では、インターホン子機20及びインターホン親機10を介して来訪者B1と居住者とが通話している状態、つまり通話状態にあると仮定する。また、以下では、通話状態において、居住者が解錠操作を行っていない、つまり扉5の解錠をし忘れていると仮定する。
(3.1)第1動作例
まず、インターホンシステム1の第1動作例について図4を用いて説明する。通話状態において、居住者は、来訪者B1と話し終えると、インターホン親機10の操作部14の通話釦141を押操作する(S1)。これにより、インターホン親機10から制御装置30へ通話終了信号が送信される。通話終了信号は、通話の終了を要求するための信号であり、送信元のインターホン親機10の識別番号と、送信先のインターホン子機20の識別番号と、を含んでいる。
通話終了信号を受信した制御装置30は、受信した通話終了信号を、送信先のインターホン子機20に対して送信する。このとき、制御装置30は、通話終了信号に含まれるインターホン親機10の識別番号を、通話終了信号を受信してから一定期間(つまり、受付状態が維持されている期間)が経過するまでの間、記憶する(S2)。
通話終了信号を受信したインターホン子機20は、通話を終了する(S3)。また、通話終了信号を送信したインターホン親機10も、通話を終了する(S4)。ここでは、インターホン親機10は、通話終了信号を送信した時点で、通話を終了する。そして、インターホン親機10は、通話を終了してから一定期間、受付状態を維持する(S5)。受付状態において、居住者は、扉5を解錠し忘れていることに気付くと、インターホン親機10の操作部14の解錠釦142を押操作する(S6)。これにより、インターホン親機10から制御装置30へ解錠信号が送信される。解錠信号は、送信元のインターホン親機10の識別番号を含んでいる。
解錠信号を受信した制御装置30は、解錠信号に含まれるインターホン親機10の識別番号と、一時的に記憶しているインターホン親機10の識別番号とを照合する(S7)。識別番号が一致する場合、制御装置30は、扉5を解錠する(S8)。一方、識別番号が一致しない場合、制御装置30は、解錠信号を破棄する。上述のように、第1動作例では、制御部12は、受付状態において解錠操作を受け付けると、開閉部材(扉)5を解錠する。
ここで、比較例のインターホンシステムとの比較を交えて、本実施形態のインターホンシステム1(つまり、インターホン親機10)の利点について説明する。比較例のインターホンシステムは、インターホン親機の制御部が維持機能を有していない点で、本実施形態のインターホンシステム1と相違する。
比較例のインターホンシステムでは、通話状態において、居住者が解錠操作を行わずに誤って通話終了の操作を行った場合、または解錠操作と勘違いして通話終了の操作を行った場合、制御部は、受付状態へ移行せずに待機状態へ移行する。既に述べたように、待機状態においては、居住者が解錠釦を押操作しても、扉を解錠することはできない。このような場合、居住者は、扉が解錠されないことに気付いた来訪者から再度呼び出してもらい、再び来訪者と通話しない限り、解錠操作を行うことができない。
一方、本実施形態のインターホンシステム1では、インターホン親機10の制御部12は、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持している。このため、仮に居住者が解錠操作を行わずに誤って通話終了の操作を行った場合、または解錠操作と勘違いして通話終了の操作を行ったとしても、居住者が受付状態において解錠操作を行うことで、扉5を解錠することが可能である。つまり、本実施形態では、居住者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、扉5を解錠することができる、という利点がある。このため、本実施形態では、扉5を解錠するために来訪者B1に再度呼び出してもらう等の手間を省くことができる。
(3.2)第2動作例
次に、インターホンシステム1の第2動作例について図5を用いて説明する。通話状態において、居住者は、来訪者B1と話し終えると、インターホン親機10の操作部14の通話釦141を押操作する(S11)。これにより、インターホン親機10から制御装置30へ通話終了信号が送信される。通話終了信号は、通話の終了を要求するための信号であり、送信元のインターホン親機10の識別番号と、送信先のインターホン子機20の識別番号と、を含んでいる。
通話終了信号を受信した制御装置30は、受信した通話終了信号を、送信先のインターホン子機20に対して送信する。このとき、制御装置30は、通話終了信号に含まれるインターホン親機10の識別番号と、インターホン子機20の識別番号とを、通話終了信号を受信してから一定期間(つまり、受付状態が維持されている期間)が経過するまでの間、記憶する(S12)。
通話終了信号を受信したインターホン子機20は、通話を終了する(S13)。また、通話終了信号を送信したインターホン親機10も、通話を終了する(S14)。ここでは、インターホン親機10は、通話終了信号を送信した時点で、通話を終了する。そして、インターホン親機10は、通話を終了してから一定期間、受付状態を維持する(S15)。受付状態において、居住者は、扉5を解錠し忘れていることに気付くと、インターホン親機10の操作部14の通話釦141を押操作する(S16)。これにより、インターホン親機10から制御装置30へ通話要求信号が送信される。通話要求信号は、通話対象であったインターホン子機20との通話を再度要求する信号であり、このインターホン子機20の識別番号を含んでいる。つまり、受付状態においては、インターホン親機10は、通話対象であったインターホン子機20の識別番号を記憶している。
通話要求信号を受信した制御装置30は、通話要求信号に含まれるインターホン子機20の識別番号と、一時的に記憶しているインターホン子機20の識別番号とを照合する(S17)。識別番号が一致する場合、制御装置30は、通話要求信号の送信元のインターホン親機10と、通話対象であったインターホン子機20と、にそれぞれ通話信号を送信する。これにより、通話対象であったインターホン子機20とインターホン親機10とが、再び通話状態となる(S18,S19)。一方、識別番号が一致しない場合、制御装置30は、通話要求信号を破棄する。
そして、再度の通話状態において、居住者は、インターホン親機10の操作部14の解錠釦142を押操作する(S20)。これにより、インターホン親機10から制御装置30へ解錠信号が送信される。解錠信号を受信した制御装置30は、扉5を解錠する(S21)。上述のように、第2動作例では、制御部12は、受付状態において、通話を開始するための通話操作を受け付けると、通話状態を再開させる。そして、制御部12は、通話状態において解錠操作を受け付けると、開閉部材(扉)5を解錠する。
第2動作例においても、結果として、受付状態にて通話操作を受け付けることにより、間接的に解錠操作を受け付けている。したがって、第2動作例では、第1動作例と同様に、居住者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、扉5を解錠することができる、という利点がある。更に、第2動作例では、扉5を解錠する前に再度、来訪者B1と通話することにより、扉5を不意に解錠する場合と比較して、来訪者B1に安心感を与えることができる、という利点がある。
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、インターホン親機10と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る制御方法は、インターホン親機10として機能する機器の制御方法である。インターホン親機10は、利用者が利用する第1エリアA1に設けられて、第2エリアA2に設置されたインターホン子機20が来訪者B1による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機20との間で通信可能に構成されている。この制御方法は、維持ステップを有する。維持ステップは、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持するステップである。通話状態は、インターホン子機20及び通信部11を介して来訪者B1と利用者との間で通話を行う状態である。解錠操作は、第1エリアA1と第2エリアA2との間の開口部4を開閉する開閉部材5を解錠するための操作である。
一態様に係るプログラムは、インターホン親機10として機能する機器を制御するためのプログラムである。インターホン親機10は、利用者が利用する第1エリアA1に設けられて、第2エリアA2に設置されたインターホン子機20が来訪者B1による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機20との間で通信可能に構成されている。このプログラムは、コンピュータシステムに、維持ステップを実行させるためのプログラムである。維持ステップは、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持するステップである。通話状態は、インターホン子機20及び通信部11を介して来訪者B1と利用者との間で通話を行う状態である。解錠操作は、第1エリアA1と第2エリアA2との間の開口部4を開閉する開閉部材5を解錠するための操作である。
ここで、上記の「機器」は、インターホン親機10自体であってもよいし、インターホン親機10に通信可能に接続されて、インターホン親機10の代わりにインターホン親機10としての機能を発揮する機器であってもよい。このような機器は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、又はモニタ付副親機などがある。機器が携帯端末の場合は、例えばインターホン親機10としての機能を実行可能なアプリケーションを機器にインストールすることで、機器をインターホン親機10として機能させることが可能である。
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示におけるインターホン親機10は、例えば、制御部12等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部12等の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
上述の実施形態において、インターホン親機10の制御部12は、受付状態である旨を居住者(利用者)へ報知してもよい。例えば、制御部12は、受付状態において、「解錠操作が可能です」等のメッセージを表示部13に表示したり、上記のメッセージを音声にて通話部15のスピーカ151から出力したりしてもよい。この場合、居住者は、通話が終了した後であっても、来訪者B1からの再度の呼出を待たずに解錠操作を行うことが可能であることを把握しやすい、という利点がある。
また、上述の実施形態において、インターホン親機10の制御部12は、受付状態において扉(開閉部材)5が解錠されていない旨を利用者へ報知してもよい。例えば、制御部12は、受付状態において、「扉が解錠されていません」等のメッセージを表示部13に表示したり、上記のメッセージを音声にて通話部15のスピーカ151から出力したりしてもよい。この場合、居住者が扉5の解錠をし忘れていることを居住者に気付かせやすい、という利点がある。
上述の実施形態において、インターホン親機10は、表示部13を備えている。また、インターホン親機10の通信部11は、画像信号を受信することにより、インターホン子機20の撮像部23で撮影された画像(つまり、ロビー(第2エリアA2)にて撮影された画像)を、インターホン子機20を介して取得可能である。そこで、制御部12は、受付状態においてロビー(第2エリアA2)にて撮影された画像を表示部13に表示してもよい。この場合、居住者は、ロビー(第2エリアA2)の状況を把握しながら、扉5の解錠を行うか否かを判断しやすい、という利点がある。つまり、この場合、居住者は、ロビーに来訪者B1以外の第三者がいれば、第三者が立ち去るまで扉5の解錠を行わない等の判断を下すことが可能である。
また、インターホン親機10の通信部11がロビー(第2エリアA2)に設置された監視カメラで撮影された画像を含む画像信号を取得可能であれば、制御部12は、この画像を表示部13に表示してもよい。この場合、図6A及び図6Bに示すように、表示部13には、例えばロビーに留まっている来訪者B1と、解錠されず閉じられたままの扉5と、を含む画像131が表示される。この場合、居住者が、ロビー(第2エリアA2)の状況をより正確に把握しやすい、という利点がある。
また、図6Aに示すように、制御部12は、受付状態において、画像131の他に「解錠」等の解錠が可能であることを表すアイコン132を表示してもよい。この場合、居住者は、アイコン132をタッチする、又は解錠釦142を押操作することにより、解錠操作を行うことが可能である。
また、図6Bに示すように、制御部12は、受付状態において、画像131の他に「再通話」等の再度の通話が可能であることを表すアイコン132を表示してもよい。この場合、居住者は、アイコン132をタッチする、又は通話釦141を押操作することにより、来訪者B1と再度の通話を行う、つまり受付状態から再び通話状態へ移行させることが可能である。
ここで、上述の「解錠」のアイコン132、又は「再通話」のアイコン132は、いずれも通話状態において解錠操作が行われずに通話が終了した場合にのみ表示部13に表示されるのが好ましい。つまり、制御部12は、通話状態においては表示されないアイコン132を、受付状態において表示部13に表示することにより、解錠操作が行われていない旨を居住者に報知することが可能である。上述の「解錠」のアイコン132、及び「再通話」のアイコン132は、両方とも表示部13に表示させてもよい。
上述の実施形態において、インターホン親機10の制御部12は、利用者が解錠操作を行った場合でも、一定時間(例えば、数秒間)、受付状態を更に維持してもよい。受付状態を更に維持する時間は、例えば扉5を解錠してから自動的に施錠されるまでの時間よりも長いことが好ましい。また、制御部12は、この時間において、ロビー(第2エリアA2)にて撮影された画像を表示部13に表示するのが好ましい。この態様では、以下の問題を解消し得る。すなわち、例えば、配送業者が荷物を置いた状態で通話を行っていた場合、荷物を持ち直している間に扉5が再び施錠されてしまう可能性がある。このような状況を居住者が把握することができれば、解錠操作を再び行うことで、配送業者が再度の呼出を行わずとも、配送業者を住戸(第1エリアA1)へ案内することが可能である。
上述の実施形態において、インターホン親機10の制御部12は、利用者が解錠操作を行った後に、ロビー(第2エリアA2)で撮影された画像を表示部13に表示してもよい。この場合、制御部12は、利用者による1回目の解錠操作により、扉5を解錠してもよいし、利用者による2回目の解錠操作により、扉5を解錠してもよい。後者の場合、利用者による1回目の解錠操作は、表示部13に画像を表示させる操作に相当する。後者の場合、居住者は、ロビーの画像を見ながら扉5を解錠するか否かを判断することが可能である。例えば、1回目の解錠操作で扉5を解錠した場合、来訪者B1以外の第三者がロビーにいれば、第三者を住戸(第1エリアA1)に案内してしまう可能性がある。一方、2回目の解錠操作で扉5を解錠する場合には、ロビーに第三者がいるか否かを把握することができるので、第三者を住戸に案内してしまう可能性を低減することができる。
上述の実施形態では、制御装置30が扉5の施錠及び解錠を行っているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、インターホン親機10が扉5の施錠及び解錠を行う構成であってもよい。この場合、扉5は、例えばインターホン親機10から送信された解錠信号を受信することにより、解錠を行えばよい。また、例えば、インターホン子機20が扉5の施錠及び解錠を行う構成であってもよい。この場合、インターホン子機20は、例えばインターホン親機10から送信された解錠信号を受信することにより、扉5の解錠を行えばよい。
上述の実施形態において、インターホン親機10及びインターホン子機20が、それぞれ制御装置30の機能を代替する場合、制御装置30はインターホンシステム1に必須の構成要件ではない。つまり、インターホンシステム1は、インターホン親機10と、インターホン子機20と、を備えていればよい。
上述の実施形態では、インターホン子機20はロビーインターホンであるが、これに限定する趣旨ではない。例えば、インターホン子機20は、住戸の外玄関に設置されるインターホンであってもよい。また、上述の実施形態では、インターホンシステム1は集合住宅に適用されているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、インターホンシステム1は、オフィス、工場等の非住宅、又は戸建てに適用されてもよい。つまり、インターホンシステム1においては、利用者が利用する第1エリアA1にインターホン親機10が、第1エリアA1とは異なる第2エリアA2にインターホン子機20が設置されていればよい。
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係るインターホン親機(10)は、通信部(11)と、制御部(12)と、を備える。通信部(11)は、利用者が利用する第1エリア(A1)に設けられて、第2エリア(A2)に設置されたインターホン子機(20)が来訪者(B1)による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機(20)との間で通信可能に構成されている。制御部(12)は、維持機能を有する。維持機能は、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持する機能である。通話状態は、インターホン子機(20)及び通信部(11)を介して来訪者(B1)と利用者との間で通話を行う状態である。解錠操作は、第1エリア(A1)と第2エリア(A2)との間の開口部(出入口)(4)を開閉する開閉部材(扉)(5)を解錠するための操作である。
この態様によれば、利用者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、開閉部材(5)を解錠することができる、という利点がある。
第2の態様に係るインターホン親機(10)では、第1の態様において、制御部(12)は、受付状態において解錠操作を受け付けると、開閉部材(5)を解錠する。
この態様によれば、来訪者(B1)と再度、通話することなく、開閉部材(5)を解錠することができる、という利点がある。
第3の態様に係るインターホン親機(10)では、第1又は第2の態様において、制御部(12)は、受付状態において、通話を開始するための通話操作を受け付けると、通話状態を再開させる。制御部(12)は、通話状態において解錠操作を受け付けると、開閉部材(5)を解錠する。
この態様によれば、来訪者(B1)と通話した上で開閉部材(5)を解錠することができるので、開閉部材(5)を不意に解錠する場合と比較して、来訪者(B1)に安心感を与えることができる、という利点がある。
第4の態様に係るインターホン親機(10)では、第1〜第3のいずれかの態様において、制御部(12)は、受付状態である旨を利用者へ報知する。
この態様によれば、通話が終了した後であっても、来訪者(B1)からの再度の呼出を待たずに解錠操作を行うことが可能であることを利用者が把握しやすい、という利点がある。
第5の態様に係るインターホン親機(10)は、第1〜第4のいずれかの態様においては、表示部(13)を更に備える。通信部(11)は、第2エリア(A2)にて撮影された画像を、インターホン子機(20)を介して取得可能である。制御部(12)は、受付状態において第2エリア(A2)にて撮影された画像を表示部(13)に表示する。
この態様によれば、利用者が第2エリア(A2)の状況を把握しながら開閉部材(5)の解錠を行うか否かを判断しやすい、という利点がある。
第6の態様に係るインターホン親機(10)では、第1〜第5のいずれかの態様において、制御部(12)は、受付状態において開閉部材(5)が解錠されていない旨を利用者へ報知する。
この態様によれば、利用者が開閉部材(5)の解錠をし忘れていることを利用者に気付かせやすい、という利点がある。
第7の態様に係るインターホンシステム(1)は、第1〜第6のいずれかの態様のインターホン親機(10)と、インターホン子機(20)と、を備える。
この態様によれば、利用者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、開閉部材(5)を解錠することができる、という利点がある。
第8の態様に係る制御方法は、インターホン親機(10)として機能する機器の制御方法である。インターホン親機(10)は、利用者が利用する第1エリア(A1)に設けられている。インターホン親機(10)は、第2エリア(A2)に設置されたインターホン子機(20)が来訪者(B1)による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機(20)との間で通信可能に構成されている。この制御方法は、維持ステップを有する。維持ステップは、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持するステップである。通話状態は、インターホン子機(20)及びインターホン親機(10)を介して来訪者(B1)と利用者との間で通話を行う状態である。解錠操作は、第1エリア(A1)と第2エリア(A2)との間の開口部(4)を開閉する開閉部材(5)を解錠するための操作である。
この態様によれば、利用者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、開閉部材(5)を解錠することができる、という利点がある。
第9の態様に係るプログラムは、インターホン親機(10)として機能する機器を制御するためのプログラムである。インターホン親機(10)は、利用者が利用する第1エリア(A1)に設けられている。インターホン親機(10)は、第2エリア(A2)に設置されたインターホン子機(20)が来訪者(B1)による操作を受けることをトリガとして、インターホン子機(20)との間で通信可能に構成されている。このプログラムは、コンピュータシステムに、維持ステップを実行させるためのプログラムである。維持ステップは、通話状態が終了した後に、解錠操作を受け付ける受付状態を維持するステップである。通話状態は、インターホン子機(20)及びインターホン親機(10)を介して来訪者(B1)と利用者との間で通話を行う状態である。解錠操作は、第1エリア(A1)と第2エリア(A2)との間の開口部(4)を開閉する開閉部材(5)を解錠するための操作である。
この態様によれば、利用者が解錠操作を行わずに通話を終了した場合でも、開閉部材(5)を解錠することができる、という利点がある。
第2〜第6の態様に係る構成については、インターホン親機(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。