JP2019139027A - 光変換体の製造方法、光変換体の製造装置、および光変換体 - Google Patents

光変換体の製造方法、光変換体の製造装置、および光変換体 Download PDF

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Abstract

【課題】外部からの水分や酸素の浸入を防止することが可能な光変換体および光変換体の製造方法、製造装置を提供する。【解決手段】光変換膜1の露出面全体にバリア膜2を形成させて光変換体10を製造する方法であり、光変換フィルム1aを分割して複数の光変換膜1を得る、第1分割工程と、光変換膜1の表面に対してドライ成膜法によりバリア膜2を形成させる表面成膜工程と、光変換膜1の裏面に対してドライ成膜法によりバリア膜2を形成させる裏面成膜工程と、を有し、第1分割工程では、光変換膜1の側面にあたる光変換フィルム1aの切り口が光変換フィルム1aの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する光変換膜1同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって光変換フィルム1aを分割する。【選択図】図4

Description

本発明は、外部からの水分や酸素の浸入を防止可能な光変換体の製造方法、光変換体の製造装置、および光変換体に関するものである。
近年、液晶ディスプレイにおいて色再現性の向上(色域の拡大)に伴い、光変換材料として量子ドットが注目されている。量子ドットを含む光変換体にバックライトから青色の光が入射すると、サイズの異なる2種類の量子ドットによって赤色光と緑色光に変換され放出される。またその際、変換されず通過する青色光と併せて、鋭いピークをもったRGB光源を作り出すことができ、色域の大幅な拡大が可能と見込まれている。
しかし量子ドットには、水分や酸素に接触すると光酸化反応により発光強度が低下するという問題がある。
特許文献1には、量子ドットを水分や酸素から保護するために、量子ドットを含む光変換フィルムにバリアフィルムをラミネートし接着する構成が記載されている。
特開2015−65158号公報
しかしながら、特許文献1記載のものは、ラミネートしたバリアフィルムの側面端部において量子ドットが含まれる光変換体が露出しており、ここから水分や酸素が浸入するという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決して、外部からの水分や酸素の浸入を防止することが可能な光変換体および光変換体の製造方法、製造装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の光変換体の製造方法は、光変換膜の露出面全体にバリア膜を形成させて光変換体を製造する方法であり、光変換フィルムを分割して複数の前記光変換膜を得る、第1分割工程と、前記光変換膜の表面に対してドライ成膜法によりバリア膜を形成させる表面成膜工程と、前記光変換膜の裏面に対してドライ成膜法によりバリア膜を形成させる裏面成膜工程と、を有し、前記第1分割工程では、前記光変換膜の側面にあたる前記光変換フィルムの切り口が前記光変換フィルムの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する前記光変換膜同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって前記光変換フィルムを分割することを特徴としている。
上記光変換体の製造方法によれば、外部からの水分や酸素の浸入を防止する光変換体を形成することができる。具体的には、第1分割工程では、光変換膜の側面にあたる光変換フィルムの切り口が光変換フィルムの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する光変換膜同士の境界部分にあたる箇所を除去することにより、表面成膜工程および裏面成膜工程のうち少なくとも光変換膜の側面と鈍角の傾斜を有する面へのバリア膜の形成が行われる際に、光変換膜の側面にも効率的にバリア膜が形成されるため、光変換膜の側面を始め全露出面をバリア膜で覆うことができ、光変換体の外部からの水分や酸素の浸入を防止することができる。
また、前記光変換フィルムの裏面が第1の支持フィルムに貼り付けられた状態とする第1貼り付け工程をさらに有し、前記裏面成膜工程、前記第1貼り付け工程、前記第1分割工程、前記表面成膜工程の順に実施され、前記第1分割工程では前記第1の支持フィルムまでは分割しないようにしても良い。
こうすることにより、第1分割工程を実施した後も第1の支持フィルムによって全ての光変換膜がつながっているため、その後の表面および側面へのバリア膜の形成を容易に実施することができる。
また、前記光変換フィルムの裏面が第1の支持フィルムに貼り付けられた状態とする第1貼り付け工程と、全ての前記光変換膜の表面に1枚の第2の支持フィルムをまとめて貼り付ける第2貼り付け工程と、前記第1の支持フィルムを剥がす第1剥離工程と、をさらに有し、前記第1貼り付け工程、前記第1分割工程、前記表面成膜工程、前記第2貼り付け工程、前記第1剥離工程、前記裏面成膜工程の順に実施され、前記第1分割工程では前記第1の支持フィルムまでは分割しないようにしてもよい。
こうすることにより、第1分割工程を実施した後も第1の支持フィルムもしくは第2の支持フィルムによって全ての光変換膜がつながっているため、その後の表面、裏面および側面へのバリア膜の形成を容易に実施することができる。
また、上記課題を解決するために本発明の光変換体の製造装置は、光変換膜の露出面全体にバリア膜を形成させて光変換体を製造する装置であり、光変換フィルムを分割して複数の前記光変換膜を得る、分割手段と、前記光変換膜の表面および裏面に対してドライ成膜法によりバリア膜を形成させる成膜手段と、を有し、前記分割手段は、前記光変換膜の側面にあたる前記光変換フィルムの切り口が前記光変換フィルムの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する前記光変換膜同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって前記光変換フィルムを分割することを特徴としている。
上記光変換体の製造装置によれば、外部からの水分や酸素の浸入を防止する光変換体を形成することができる。具体的には、分割手段は、光変換膜の側面にあたる光変換フィルムの切り口が光変換フィルムの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する前記光変換膜同士の境界部分にあたる箇所を除去することにより、光変換膜の側面と鈍角の傾斜を有する面へのバリア膜の形成が行われる際に、光変換膜の側面にも効率的にバリア膜が形成されるため、光変換膜の側面を始め全露出面をバリア膜で覆うことができ、光変換体の外部からの水分や酸素の浸入を防止することができる。
また、上記課題を解決するために本発明の光変換体は、光変換膜の露出面全体にバリア膜が形成された光変換体であり、光変換膜の側面は表面もしくは裏面に対して鈍角の傾斜を有することを特徴としている。
本発明の光変換体によれば、光変換膜の側面は表面もしくは裏面に対して鈍角の傾斜を有することにより、光変換膜の表面および裏面へのバリア膜の形成時に側面にもバリア膜が形成されやすいため、光変換膜の側面を始め全露出面をバリア膜で覆うことができ、光変換体の外部からの水分や酸素の浸入を防止することができる。
本発明の光変換体および光変換体の製造方法、光変換体の製造装置によれば、外部からの水分や酸素の浸入を防止することが可能である。
本発明の実施例1における光変換体の製造装置の構成を説明する模式図である。 本発明の実施例1における光変換体の製造方法を説明する模式図である。 本発明の実施例1における光変換体の製造方法の続きを説明する模式図である。 本発明の実施例2における光変換体の製造方法を説明する図である。 本発明の実施例2における光変換体の製造装置の構成を説明する模式図である。
以下、本発明の実施例1を図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例1における光変換体の製造装置の構成を説明する模式図である。図2は、本発明の実施例1における光変換体の製造方法を説明する模式図である。
光変換体製造装置100は、図1に示すように、第1貼り付け手段110、第1分割手段120、表面成膜手段130、第2貼り付け手段140、第1剥離手段150、裏面成膜手段160、および第2分割手段170を備えており、所定方向に引き出されることにより搬送される第1の支持フィルム上に第1貼り付け手段110によって光変換フィルム1aが形成され、第1分割手段120によりその光変換フィルム1aが分割されて複数の光変換膜1が形成される。次に表面成膜手段130によって光変換膜1の表面にバリア膜2が形成され、第2貼り付け手段140によってバリア膜2が形成された光変換膜1の表面に第2の支持フィルム4が貼り付けられ、第1剥離手段150によって第1の支持フィルム3が剥離される。そして、裏面成膜手段160によって光変換膜1の裏面にもバリア膜2が形成され、第2分割手段170によって第2の支持フィルム4ごと光変換膜1が個々に分割される。
ここで、本説明では第1の支持フィルム3などが搬送される方向をX軸方向、水平面上でX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向と直交する方向、すなわち鉛直方向をZ軸方向と呼ぶ。
なお、図1に示す光変換体製造装置100は、光変換フィルム1aの形成から個々の光変換膜1への分断まで一連の流れで実施するよう模式的に示されているが、それに限らず、光変換体製造装置100は複数の装置群に分割されたシステムであって、1つの装置群で所定の工程まで完了した時点で一度ワークを回収し、別の装置群であらためて続きの工程を行うようなものであっても良い。
第1貼り付け手段110は、塗布ヘッド111と、硬化手段112とを備えている。
塗布ヘッド111は、Y軸方向に幅広の形状を有したノズルを備え、巻き出しロール31から巻き出されてX軸方向に搬送される第1の支持フィルム3上に対し、当該ノズルから光変換膜1の材料をY軸方向に一定の幅で、また一定の厚さに連続して吐出する。
硬化手段112は、塗布ヘッド111によって塗布された光変換膜1の材料をたとえば加熱により硬化させる。
これら塗布ヘッド111および硬化手段112により、X軸方向およびY軸方向の寸法が光変換膜1のX軸方向およびY軸方向の寸法の複数倍の大きさを有する光変換フィルム1aが第1の支持フィルム3に貼り付けられた状態で形成される。
なお、本説明では、光変換フィルム1aおよび後述の光変換膜1において、第1の支持フィルム3と接している面を裏面と呼び、その反対側の面を表面と呼ぶ。
また、上記の通り光変換フィルム1aの裏面が第1の支持フィルム3に貼り付けられた状態とする工程を、本説明では第1貼り付け工程と呼ぶ。
なお、本実施例では、第1の支持フィルム3に光変換膜1の材料を塗布して硬化させることによって光変換フィルム1aの裏面が第1の支持フィルム3に貼り付けられた状態としているが、これに限らず、長尺のシート状の光変換フィルム1aをローラで巻き出し、この光変換フィルム1aを第1の支持フィルム3に貼り合わせていっても良い。
第1分割手段120は、レーザカッター121により光変換フィルム1aを切断して、たとえば液晶ディスプレイに対応した大きさの複数の光変換膜1へと分割する。図1ではレーザカッター121により光変換フィルム1aがX軸方向に切断される例を示しているが、Y軸方向に関しても同様にレーザカッター121が光変換フィルム1aを切断している。ここで、レーザカッター121は光変換フィルム1aのみ切断し、第1の支持フィルム3までは切断していない。こうすることにより、光変換フィルム1aが複数の光変換膜1へと分割された状態であっても、第1の支持フィルム3が引き続きX軸方向に搬送されることにより全ての光変換膜1が同時にX軸方向に搬送されるため、複数の光変換体の製造にかかる以降の工程を同時に容易に実施することができる。
また、上記の通り光変換フィルム1aを分割して複数の光変換膜1を得る工程を、本説明では第1分割工程と呼ぶ。
ここで、本発明では、光変換膜1の側面にあたる光変換フィルム1aの切り口が光変換フィルム1aの表面および裏面に対して垂直ではなく傾斜を有するように、レーザカッター121は、光変換フィルム1aにおける隣接する光変換膜1同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって、光変換フィルム1aを分割する。実施例1では、光変換膜1の表面と側面とが鈍角の傾斜を有するように光変換フィルム1aを分割するが、光変換膜1の裏面と側面とが鈍角の傾斜を有するように光変換フィルム1aを分割しても良い。
表面成膜手段130は、ドライ成膜法によって薄膜を形成させる装置である。本説明ではプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜を行うプラズマCVD装置であり、この表面成膜手段130によってバリア膜2が光変換膜1の表面に接触するように成膜される。
このバリア膜2は、無機物からなり透明な性質を有している。具体的には、シリコン系膜であってもよく、Si並びにO(酸素)及び/又はN(窒素)を含んでいてもよい。つまりバリア膜2は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜であってもよい。具体的には、たとえば原料ガスとしてHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガス、プラズマ形成ガスとして酸素ガスが供給されることにより、シリコン酸化膜が形成され、また、原料ガスとしてHMDSガス、プラズマ形成ガスとしてアルゴンガスおよび水素ガスが供給されることにより、シリコン窒化膜が形成される。
このようなバリア膜2が光変換膜1と接触するように形成されることにより、光変換膜1への水分や酸素の浸入をバリア膜2が防止する。
また、上記の通りドライ成膜法により光変換膜1の表面にバリア膜2を形成させる工程を、本説明では表面成膜工程と呼ぶ。
第2貼り付け手段140では、巻き出しローラ41から巻き出されてX軸方向に搬送される第2の支持フィルム4がバリア膜2が形成された光変換膜1の表面側に貼り付けられる。この第2の支持フィルム4は、全ての光変換膜1の表面にまとめて貼り付けられる。
また、上記の通り1枚の第2の支持フィルム4が全ての光変換膜1の表面に貼り付けられる工程を本説明では第2貼り付け工程と呼ぶ。
第1剥離手段150では、巻き取りローラ32により第1の支持フィルム3が巻き取られる。ここで第1の支持フィルム3は光変換膜1の裏面から剥がされるが、第2貼り付け手段140において代わりに第2の支持フィルム4が貼り付けられたことにより、全ての光変換膜1が同時にX軸方向に搬送される形態は継続される。
また、上記の通り第1の支持フィルム3が光変換膜1の裏面から剥がされる工程を第1剥離工程と呼ぶ。
ここで、光変換膜1が第2の支持フィルム4に貼り付いたまま第1の支持フィルム3を剥がすためには、第1の支持フィルム3と光変換膜1との間の粘着力が第2の支持フィルム4とバリア膜2との間の粘着力より小さい必要があるが、第1の支持フィルム3がたとえば光照射によって粘着力が変化する部材であった場合、第1剥離工程においてこのような条件を形成しやすいため、好ましい。また、光変換膜1の破損を防ぐために、剥離する際の第1の支持フィルム3の粘着力は0.1N/25mm以下が好ましい。
裏面成膜手段160は、表面成膜手段130と同様、本説明ではプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置であり、この表面成膜手段130によってバリア膜2が光変換膜1の裏面に接触するように成膜される。
この裏面成膜手段150によって形成されるバリア膜2は、表面成膜手段130によって形成されるバリア膜2と同種のバリア膜であり、たとえば表面成膜手段130によって光変換膜1の表面にシリコン酸化膜が形成されておれば、裏面成膜手段150でも同様にシリコン酸化膜が光変換膜1の裏面に形成される。
また、上記の通りドライ成膜法により光変換膜1の裏面にバリア膜2を形成させる工程を、本説明では裏面成膜工程と呼ぶ。
第2分割手段170は、レーザカッター171により第2の支持フィルム4を切断する。この切断位置は、レーザカッター121により光変換フィルム1a切断された位置と同じであり、このレーザカッター171によって光変換膜1は個々に分断される。
また、上記の通り第2の支持フィルム4を切断して複数の光変換膜1を分断する工程を、本説明では第2分割工程と呼ぶ。
次に、図2および図3を参照しながら、実施例1における光変換体の製造方法を説明する。
まず、ロール状に巻かれた第1の支持フィルム3が引き出され、その第1の支持フィルム3に貼り付けられた状態となるように、図2(a)に示すように光変換フィルム1aが形成される(第1貼り付け工程)。
ここで、光変換フィルム1aは、本実施例では樹脂中に量子ドットを含んだ量子ドット樹脂フィルムである。量子ドットは青色光に対して赤色を発光する量子ドット及び緑色を発光する量子ドットを含んでいる。その結果、量子ドット樹脂フィルムである光変換フィルム1aに青色光を照射すると、赤色及び緑色が発光するとともに青色光はそのまま透過して、RGBの光の三原色に変換される。
次に、図2(b)に示す通り、光変換フィルム1aの表面側から光変換フィルム1aを分割して複数の光変換膜1を得る(第1分割工程)。
ここで、本発明では、前述の通り、この第1分割工程では、光変換膜1の側面にあたる光変換フィルム1aの切り口が光変換フィルム1aの表面および裏面に対して垂直ではなく傾斜を有するように、光変換フィルム1aにおける隣接する光変換膜1同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって、光変換フィルム1aを分割する。具体的には、実施例1では光変換膜1の表面と側面とが作る角度(図2(b)に示す角度α)が鈍角となるように、光変換フィルム1aを分割する。このように傾斜を設けるような分割は、図2(b)に示すX軸方向だけでなく、Y軸方向にも同様に実施される。
また、この第1貼り付け工程でパーティクルが発生する場合は、粘着ローラなどでそのパーティクルを除去する工程が次の表面成膜工程との間に入れられていても良い。
なお、この第1分割工程では、第1の支持フィルム3までは分割しない。こうすることにより、光変換フィルム1aが複数の光変換膜1へと分割された状態であっても、第1の支持フィルム3が搬送されることにより全ての光変換膜1が同時に搬送されるため、複数の光変換体の製造にかかる以降の工程を同時に容易に実施することができる。ただし、複数の光変換膜1に確実に分割させるために、図2(b)に示すように、分断しない程度の切り込みを第1の支持フィルム3に加えるのは構わない。
次に、光変換膜1の表面に対してドライ成膜法によりバリア膜2を形成させる(表面成膜工程)。
ここで、実施例1では先の第1分割工程によって光変換膜1の表面と側面とが鈍角の傾斜を有しているため、図2(c)に示すように、光変換膜1の表面にバリア膜2が形成されると同時に光変換膜1の側面にも充分な厚みのバリア膜2が形成される。このように光変換膜1の側面にも充分な厚みのバリア膜2を形成するために、光変換膜1の表面と側面とが作る角度αは、100度以上150度以下であることがさらに好ましい。
なお、光変換フィルム1aは、X軸方向だけでなくY軸方向にも光変換膜1の表面と側面とが鈍角の傾斜を有するように分割されているため、Y軸方向の光変換膜1の側面にもバリア膜2が形成される。
これに対し、仮に光変換膜1の表面と側面とが作る角度αが直角もしくは鋭角であった場合、プラズマにより分解された原料ガスは光変換膜1の側面へ回り込みにくく、この表面成膜工程では光変換膜1の側面に充分な厚みのバリア膜2を形成することは困難である。
一方、光変換膜1の表面と側面とが作る角度αが鋭角であった場合は、光変換膜1の裏面と側面とが作る角度の方が鈍角になるため、後述の裏面成膜工程において光変換膜1の側面にバリア膜2が形成される。このような実施形態であっても、光変換膜1の側面へのバリア膜2の形成は可能である。
次に、図2(d)に示すように、バリア膜2が形成された全ての光変換膜1の表面に1枚の第2の支持フィルム4が貼り付けられる(第2貼り付け工程)。
次に、光変換膜1の裏面から第1の支持フィルム3が剥がされる(第1剥離工程)。第1の支持フィルム3が剥がされることによって、図3(a)に示すように、これまで第1の支持フィルム3に接していた光変換膜1の裏面が露出する。なお、この第1剥離工程から先は、各光変換膜1は第2の支持フィルム4に貼り付いた状態で搬送される。
次に、先の第1剥離工程によって露出した光変換膜1の裏面に対してドライ成膜法によりバリア膜2を形成させる(裏面成膜工程)。この裏面成膜工程で形成させるバリア膜2は、表面成膜工程で形成させたバリア膜2と同種である。この裏面成膜工程によって、図3(b)に示すように、表面成膜工程において光変換膜1の表面および側面に形成されたバリア膜2と裏面成膜工程で形成されたバリア膜2とが合わさり、光変換膜1の表面、裏面、および側面全周囲をバリア膜2が覆う形態となる。
次に、光変換膜1同士を連結する第2の支持フィルム4およびバリア膜2を切断し、図3(c)に示すように光変換膜1を個別に分断する(第2分割工程)。最後に第2の支持フィルム4が剥がされることにより(第2剥離工程)、図3(d)に示すように光変換膜1の表面、裏面、および側面全周囲がバリア膜2で覆われた光変換体10が完成する。
ここで、光変換膜1からバリア膜2を剥がさないように第2の支持フィルム4を剥がすためには、第2の支持フィルム4とバリア膜2との間の粘着力が光変換膜1とバリア膜2との間の結合力より小さい必要があるが、第2の支持フィルム4がたとえば光照射によって粘着力が変化する部材であった場合、第2剥離工程でこのような条件を形成しやすいため、好ましい。また、光変換膜1の破損を防ぐために、剥離する際の第2の支持フィルム4の粘着力は0.1N/25mm以下が好ましい。
このように実施例1で製造された光変換体10は、光変換膜1の露出面全体がバリア膜2で覆われているから、光変換膜1への水分や酸素の浸入を防止することができ、光変換機能の劣化を防ぐことができる。特に、光変換膜1の側面全周囲がバリア膜2で覆われることにより、側面端部からの水分や酸素の浸入も防止することができる。また、バリア膜2は透明の物質で構成されているため、光変換体10は青色光を透過させ、量子ドットにより青色光の一部を赤色光及び緑色光に変換して出射するという機能を満足することができる。
また、従来技術は厚み100um程度のバリアフィルムで光変換膜(厚み100um程度)を挟むことにより光変換体を構成していたため、その厚みは300um程度になっていたが、本実施例では200nm程度の薄膜(バリア膜2)で光変換膜1を覆う構成であるため、光変換体10の寸法を従来よりも小さくすることができる。
本発明の実施例2における光変換体の製造方法について、図4を参照しながら説明する。
まず、図4(a)に示すようにシート状の光変換フィルム1aの裏面に対し、バリア膜2が形成される(裏面成膜工程)。
次に、バリア膜2が形成された光変換フィルム1aの裏面に第1の支持フィルム3を貼り付ける(第1貼り付け工程)。
次に、図4(c)に示す通り、光変換フィルム1aの表面側から光変換フィルム1aを分割して複数の光変換膜1を得る(第1分割工程)。
ここで、本発明では、前述の通り、この第1分割工程では、光変換膜1の側面にあたる光変換フィルム1aの切り口が光変換フィルム1aの表面および裏面に対して垂直ではなく傾斜を有するように、光変換フィルム1aにおける隣接する光変換膜1同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって、光変換フィルム1aを分割する。具体的には、実施例1では光変換膜1の表面と側面とが作る角度(図4(c)に示す角度α)が鈍角となるように、光変換フィルム1aを分割する。このように傾斜を設けるような分割は、図4(c)に示すX軸方向だけでなく、Y軸方向にも同様に実施される。
なお、この第1分割工程では、第1の支持フィルム3までは分割しない。こうすることにより、光変換フィルム1aが複数の光変換膜1へと分割された状態であっても、第1の支持フィルム3が搬送されることにより全ての光変換膜1が同時に搬送されるため、複数の光変換体の製造にかかる以降の工程を同時に容易に実施することができる。
次に、光変換膜1の表面に対してドライ成膜法によりバリア膜2を形成させる(表面成膜工程)。
ここで、実施例1では先の第1分割工程によって光変換膜1の表面と側面とが鈍角の傾斜を有しているため、図4(d)に示すように、光変換膜1の表面にバリア膜2が形成されると同時に光変換膜1の側面にも充分な厚みのバリア膜2が形成される。なお、X軸方向だけでなくY軸方向にも光変換膜1の表面と側面とが鈍角の傾斜を有するように分割されているため、Y軸方向の光変換膜1の側面にもバリア膜2が形成される。そして、先の裏面成膜工程によって光変換膜1の裏面に形成されたバリア膜2と合わさり、光変換膜1の表面、裏面、および側面全周囲をバリア膜2が覆う形態となる。
次に、光変換膜1同士を連結する第1の支持フィルム3およびバリア膜2を切断して光変換膜1を個別に分断し、最後に第1の支持フィルム3が剥がされることにより、図4(e)に示すように、光変換膜1の表面、裏面、および側面全周囲がバリア膜2で覆われた光変換体10が完成する。
図5は、実施例2にかかる光変換体製造装置の一例である。
光変換体製造装置200は、フィルム巻き出し手段210、第1貼り付け手段230、第1分割手段240、表面成膜手段250、第2分割手段260を有している。
フィルム巻き出し手段210では、巻き出しロール211により長尺のシート状の光変換フィルム1aが巻き出され、裏面成膜手段220では、図4(a)に示す通り裏面成膜工程が行われ、光変換フィルム1aが分割される前に片面にバリア膜2が形成される。
第1貼り付け手段230では、巻き出しロール231から第1の支持フィルム3が巻き出されて図4(b)に示す通り第1貼り付け工程が行われ、光変換フィルム1aのバリア膜2が形成された面(裏面)が第1の支持フィルム3に貼り付けられる。
第1分割手段240では、レーザカッター241によって図4(c)に示す通り第1分割工程が行われ、複数の光変換膜1に分割される。
表面成膜手段250では、図4(d)に示す通り表面成膜工程が行われ、光変換膜1の露出面全体にバリア膜2が形成された形態となる。
第2分割手段260では、レーザカッター261により光変換膜1が個々に分断され、さらに支持フィルム3が剥がされることにより、図4(e)に示す通り光変換体10が完成する。
この実施例2では実施例1と同様に光変換膜1の露出面全体にバリア膜2が形成された光変換体10を実施例1より少ない工程で製造することができる。これに対し、実施例1では、光変換膜1の側面にバリア膜2を形成できる機会が表面成膜工程、裏面成膜工程の2回あり、程度は少ないものの裏面成膜工程でも光変換膜1の側面にバリア膜2を形成することができるため、実施例2よりもバリア性の高い光変換体10となる可能性がある。
以上の実施例1および2に代表される本発明の光変換体の製造方法では、第1分割工程では、光変換膜1の側面にあたる光変換フィルム1aの切り口が光変換フィルム1aの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する光変換膜1同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって光変換フィルム1aを分割することによって、光変換膜1の側面全周を含めた露出面全体がバリア膜2で覆われ、外部からの水分や酸素の浸入を防止することが可能な光変換体10を簡易な工程で製造することが可能である。
また、本発明の光変換体の製造方法およびそれを実現するための光変換体の製造装置により製造された光変換体10は、光変換膜1の露出面全体にバリア膜が形成された光変換体10であり、光変換膜1の側面は表面もしくは裏面に対して鈍角の傾斜を有する形態となり、上記の通り簡易な工程で製造することが可能である。
ここで、本発明の光変換体の製造方法、光変換体の製造装置、および光変換体は、以上で説明した形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、実施例1における第1貼り付け手段110は、塗布ヘッド111と硬化手段112で構成したが、必ずしもこれに限定されず、他の手段によって光変換膜1を形成してもよい。例えば、プラズマCVD装置や蒸着装置やUV硬化装置等を用いて形成することができる。
また、上記の説明ではドライ成膜法としてCVD法を使用しているが、これに限らず、たとえばスパッタ法、真空蒸着法などを使用しても良い。
また、実施例1における第1分割手段120は、レーザカッター121で構成するようにしたが、必ずしもこれに限定されず、他の手段によってバリア膜2及びバリアフィルム101を切断するように構成してもよい。例えば、金属やセラミックの刃物によるカッター等を用いて切断することができる。
1 光変換膜
1a 光変換フィルム
2 バリア膜
3 第1の支持フィルム
4 第2の支持フィルム
10 光変換体
31 巻き出しロール
32 巻き取りロール
41 巻き出しロール
100 光変換体製造装置
110 第1貼り付け手段
111 塗布ヘッド
112 硬化手段
120 第1分割手段
121 レーザカッター
130 表面成膜手段
140 第2貼り付け手段
150 第1剥離手段
160 裏面成膜手段
170 第2分割手段
171 レーザカッター
200 光変換体製造装置
210 フィルム巻き出し手段
211 巻き出しロール
220 裏面成膜手段
230 第1貼り付け手段
231 巻き出しロール
240 第1分割手段
241 レーザカッター
250 表面成膜手段
260 第2分割手段
261 レーザカッター

Claims (5)

  1. 光変換膜の露出面全体にバリア膜を形成させて光変換体を製造する方法であり、
    光変換フィルムを分割して複数の前記光変換膜を得る、第1分割工程と、
    前記光変換膜の表面に対してドライ成膜法によりバリア膜を形成させる表面成膜工程と、
    前記光変換膜の裏面に対してドライ成膜法によりバリア膜を形成させる裏面成膜工程と、
    を有し、
    前記第1分割工程では、前記光変換膜の側面にあたる前記光変換フィルムの切り口が前記光変換フィルムの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する前記光変換膜同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって前記光変換フィルムを分割することを特徴とする、光変換体の製造方法。
  2. 前記光変換フィルムの裏面が第1の支持フィルムに貼り付けられた状態とする第1貼り付け工程をさらに有し、前記裏面成膜工程、前記第1貼り付け工程、前記第1分割工程、前記表面成膜工程の順に実施され、前記第1分割工程では前記第1の支持フィルムまでは分割しないことを特徴とする、請求項1に記載の光変換体の製造方法。
  3. 前記光変換フィルムの裏面が第1の支持フィルムに貼り付けられた状態とする第1貼り付け工程と、全ての前記光変換膜の表面に1枚の第2の支持フィルムをまとめて貼り付ける第2貼り付け工程と、前記第1の支持フィルムを剥がす第1剥離工程と、をさらに有し、前記第1貼り付け工程、前記第1分割工程、前記表面成膜工程、前記第2貼り付け工程、前記第1剥離工程、前記裏面成膜工程の順に実施され、前記第1分割工程では前記第1の支持フィルムまでは分割しないことを特徴とする、請求項1に記載の光変換体の製造方法。
  4. 光変換膜の露出面全体にバリア膜を形成させて光変換体を製造する装置であり、
    光変換フィルムを分割して複数の前記光変換膜を得る、分割手段と、
    前記光変換膜の表面および裏面に対してドライ成膜法によりバリア膜を形成させる成膜手段と、
    を有し、
    前記分割手段は、前記光変換膜の側面にあたる前記光変換フィルムの切り口が前記光変換フィルムの表面もしくは裏面に対し鈍角の傾斜を有するように、隣接する前記光変換膜同士の境界部分にあたる箇所を除去することによって前記光変換フィルムを分割することを特徴とする、光変換体の製造装置。
  5. 光変換膜の露出面全体にバリア膜が形成された光変換体であり、
    光変換膜の側面は表面もしくは裏面に対して鈍角の傾斜を有することを特徴とする、光変換体。
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