JP2019138971A - 反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、半導体基板への転写性能及び洗浄耐性の向上を図ることができる反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを提供することを目的とする。【解決手段】反射型フォトマスクブランク1は、基板11と、基板11上に形成されて入射した光を反射する反射層13と、単層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下の酸化テルル膜15aを有し反射層13上に積層されて入射した光を吸収する吸収層15とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクに関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。フォトリソグラフィにおいては、転写パターンの最小解像寸法は、露光光源の波長に大きく依存し、波長が短いほど最小解像寸法を小さく出来る。このため、半導体デバイスの製造プロセスにおいて、従来の波長193nmのArFエキシマレーザー光を用いた露光光源から、波長13.5nmの極端紫外線(Extreme Ultra Violet:EUV)領域の露光光源に置き換わりつつある。
EUV領域の光に対して、ほとんどの物質が高い光吸収性をもつ。このため、EUV露光用のフォトマスク(EUVフォトマスク)は、従来の透過型のフォトマスクとは異なり、反射型のフォトマスクである(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、EUVリソグラフィに用いられる反射型露光マスクにおいて、下地基板上に2種類以上の材料層を周期的に積層させた多層膜を形成し、多層膜上に、窒化を含む金属膜からなるマスクパターン、または窒化金属膜と金属膜の積層構造からなるマスクパターンを形成することが開示されている。
また、EUVリソグラフィは、上述のとおり光の透過を利用する屈折光学系が使用できないことから、露光機の光学系部材もレンズではなく、反射型(ミラー)となる。このため、透過型のビームスプリッターを利用した偏向が不可能である。したがって、EUVフォトマスクへの入射光と反射光が同軸上に設計できない問題があり、通常、EUVリソグラフィでは、光軸をEUVフォトマスクの垂直方向から6度傾けてEUV光を入射し、マイナス6度の角度で反射する反射光を半導体基板に導く手法が採用されている。
特開2001−237174号公報
このように、EUVリソグラフィは、光軸を傾斜させることから、EUVフォトマスクに入射するEUV光がEUVフォトマスクのマスクパターン(吸収層パターン)の影になる射影効果と呼ばれる問題が発生する。この射影効果は、光軸を傾斜させるEUVリソグラフィの原理的課題である。
現在のEUVフォトマスクブランクには、タンタル(Ta)を主成分として膜厚60〜90nmの吸収層が用いられている。このようなEUVフォトマスクブランクから作製されたEUVフォトマスクを用いて露光を行った場合、入射方向とマスクパターンの向きの関係によっては、マスクパターンの影となるエッジ部分で、コントラストの低下が引き起こされる。特に半導体基板上のパターン寸法で20nm以下の微細パターンになると、このコントラストの低下が引き起こされた場合に、転写パターンの解像不良、ラインエッジラフネスの増加、及び線幅が所望の寸法に形成できないなどの問題が生じ、転写性能を悪化させる。
また、EUVフォトマスクは、使用前や使用後に洗浄されて繰り返し使用される。このため、EUVフォトマスクは、この洗浄によって転写性能が劣化しないように、洗浄に対する耐久性(洗浄耐性)を有する必要がある。
そこで、本発明の目的は、半導体基板への転写性能及び洗浄耐性の向上を図ることができる反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様による反射型フォトマスクブランクは、基板と、前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射層と、単層構造又は積層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下の酸化テルル膜を有し、前記反射層上に積層されて入射した光を吸収する吸収層とを備えることを特徴とする。
前記酸化テルル膜の膜厚は、16nm以上32nm以下であってもよい。
前記酸化テルル膜は、テルルに対する酸素の原子数比が1.0以上3.0以下の膜であってもよい。
前記酸化テルル膜は、テルル及び酸素で80%以上の原子数比を占める化合物材料を含んでいてもよい。
前記反射層からの反射光の強度をRmとし、前記吸収層からの反射光の強度をRaとし、前記反射層及び前記吸収層に基づく光学濃度をODとすると、前記光学濃度は、「OD=−log(Ra/Rm)」で規定され、かつ値が1以上であってもよい。
前記反射層は、多層反射膜と、前記多層反射膜上に形成されたキャッピング膜とを含んでいてもよい。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様による反射型フォトマスクは、基板と、前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射層と、単層構造又は積層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下であって所定パターンが形成された酸化テルル膜を有し、前記反射層上に積層されて入射した光を吸収する吸収層とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、半導体基板への転写性能及び洗浄耐性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを説明する図であって、EUV光の波長における各金属材料の光学定数を示すグラフである。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランクのEUV光における反射率のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランクのEUV光の波長におけるOD値のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクのリソグラフィ特性の1つであるHVバイアス値のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクの各OD値におけるHVバイアス値のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態による反射型フォトマスクの膜厚におけるパターンコントラストのシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態の実施例による反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の実施例による反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の実施例による反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ,本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクについて説明する。本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、半導体の製造工程において、極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)を使用したリソグラフィで使用される。本発明で提案する、テルル(Te)と酸素(O)を含む層を吸収層に用いる有効性について、TeとOを含む層の特性に基づいて説明する。
(本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの概略構成)
本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク1は、EUV光を反射し、反射光を転写用試料に照射する反射型フォトマスクを形成するためのフォトマスクブランクである。
図1に示すように、本実施形態による反射型フォトマスクブランク1は、基板11と、基板11上に形成されて入射した光を反射する反射層13とを備えている。また、反射型フォトマスクブランク1は、単層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下の酸化テルル(TeO)膜15aを有し反射層13上に積層されて入射した光を吸収する吸収層15を備えている。本実施形態では、吸収層15に設けられた酸化テルル膜15aは、単層構造を有しているが、複数の酸化テルル膜が積層された積層構造を有していてもよい。この場合、積層される複数の酸化テルル膜は、テルル(Te)に対する酸素(O)の原子数比が異なっていてもよい。
反射層13は、多層反射膜13aと、多層反射膜13a上に形成されたキャッピング膜13bとを含んでいる。多層反射膜13aは、例えばシリコン(Si)膜とモリブデン(Mo)膜とを積層した積層膜131を複数有している。複数の積層膜131は互いに積層されている。キャッピング膜13bは、多層反射膜13aを保護するための保護膜としての機能を発揮する。キャッピング膜13bは、例えばルテニウム(Ru)で形成されている。
本発明の一実施形態による反射型フォトマスクは、反射型フォトマスクブランク1の吸収層15に、半導体基板や半導体ウェハ(不図示)上に転写されるパターンを形成するための吸収層パターン(所定パターンの一例)151が加工されることによって形成される。このため、図2に示すように、反射型フォトマスク2は、基板11と、基板11上に形成されて入射した光を反射する反射層13とを備えている。また、反射型フォトマスク2は、単層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下であって吸収層パターン151が形成された酸化テルル(TeO)膜15aを有し反射層13上に積層されて入射した光を吸収する吸収層15を備えている。本実施形態では、反射型フォトマスク2の吸収層15に設けられた酸化テルル膜15aは、単層構造を有しているが、複数の酸化テルル膜が積層された積層構造を有していてもよい。この場合、積層される複数の酸化テルル膜は、テルル(Te)に対する酸素(O)の原子数比が異なっていてもよい。なお、反射型フォトマスク2に設けられた反射層13は、図1に示す反射型フォトマスクブランク1に設けられた反射層13と同様の構成を有しているため、説明は省略する。
(吸収層の光吸収性の説明)
吸収層は、ドライエッチングされて所定の露光転写パターンである吸収層パターンが形成された後に、反射型フォトマスクに照射されたEUV光を吸収する層である。吸収層は、課題となる射影効果を低減するために薄く形成される必要がある。反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクに備えられる吸収層の形成材料として従来一般に使用されているTa(タンタル)は、単に薄く形成された場合、EUV光の吸収性が充分でなく、吸収層の領域における反射率が高くなってしまう。このため、吸収層の薄膜化とEUV光の光吸収性を同時に達成する為には、既存の吸収層材料よりもEUV光に対して高い光吸収性を有する材料が必要である。
(高吸収材料の欠点の説明)
図3は、各金属材料のEUV光の波長における光学定数を示すグラフである。図3の横軸は屈折率nを示し、縦軸は消衰係数kを示している。図3に示すように、消衰係数kの高い材料には、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、テルル(Te)、インジウム(In)などが存在する。これらの金属材料の消衰係数は、0.07から0.08の範囲にあり、従来の吸収層の形成材料であるTaの消衰係数0.041に対して約2倍と大幅に大きい。このため、これらの金属材料によって形成される吸収層は、高い光吸収性が可能となる。しかしながら、これらの金属材料は、元素のハロゲン化物の揮発性が低くドライエッチング性が悪いという問題を有している。このため、これらの金属材料で形成された吸収層を備える反射型フォトマスクブランクを作製したとしても、この吸収層に吸収層パターンをパターニングできず、その結果、この反射型フォトマスクブランクを反射型フォトマスクに加工が出来ないという問題が生じる。あるいは、これらの金属材料の融点が低いために反射型フォトマスク作製時やEUV露光時の熱に耐えられず、実用性に乏しい反射型フォトマスクとなってしまうという問題が生じる。
(本発明のTeO膜の説明)
上述の欠点を回避するため、本発明の反射型フォトマスクブランクおよび反射型フォトマスクの吸収層は、テルルの酸化物であるTeO膜を有している。Te単体では、融点が450℃付近であり、熱的安定性と洗浄耐性に問題がある。一方、TeO膜の融点は、700℃以上に出来る。これにより、TeO膜は、反射型フォトマスク作製時やEUV露光時の熱に充分な耐性を持つ。さらに、TeO膜は、TeとOとの化学結合により化学的にも安定であるため、反射型フォトマスク作製時や使用前後に用いられる酸性の洗浄液やアルカリ性の洗浄液に対して充分な耐性を有する。
また、TeO膜は、化学的に安定している一方で、フッ素系ガスを用いたドライエッチングが可能であるため、反射型フォトマスクブランクを反射型フォトマスクに加工することが出来る。これは、Teとフッ素(F)の化合物であるフッ化テルルの揮発性が、図3に示すTe以外の高吸収材料と比較して高いためである。
(本発明のTeO膜のテルルに対する酸素の原子数比(O/Te比)の説明)
本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランクおよび反射型フォトマスクに備えられた吸収層のTeO膜は、Teに対する酸素の原子数比(O/Te比)が1.0以上3.0以下の膜である。TeOは、O/Te比が1.0〜3.0においては、EUV光に対する光学定数(消衰係数、屈折率)がTe単体と比べてほとんど変化しないため、Te単体と同様の光吸収性を維持できる。一方、O/Te比が1.0未満になると、洗浄耐性が悪くなる。さらに、後述の実施例において説明するが、O/Te比が3.0を超えるTeO膜を形成することができないことが確認できた。
実際に、O/Te比が1.0以上3.0以下の範囲で酸素の含有量を変化させたTeO膜サンプルを複数作製し、EUV光波長(13.5nm)における光学定数を測定すると、いずれも屈折率nの値が0.950〜0.980の範囲にあり、消衰係数kの値が0.068〜0.075の範囲にある、という結果が得られた。屈折率n及び消衰係数kのこれらの値の範囲は、図3に示すTe単体の値(屈折率nが0.973、消衰係数kが0.075)を含んでいる。したがって、TeOは、O/Te比が1.0以上3.0以下においてはTe単体と光学定数がほとんど変化しないことが分かる。
(TeO膜とTa膜との反射率、OD及び膜厚の比較)
図4は、EUV光の波長におけるEUV光反射率に関し、TeO膜を有する吸収層と、従来のTa膜を有する吸収層とを比較したグラフである。図4の横軸は吸収層の膜厚(nm)を示し、縦軸はEUV光反射率(%)を示している。また、図5は、マスクの基本性能を示す光学濃度(Optical Density:OD)の値に関し、TeO膜を有する吸収層と、Ta膜を有する吸収層とを比較したグラフである。図5の横軸は吸収層の膜厚(nm)を示し、縦軸はOD値を示している。EUV光反射率及びOD値は、TeO膜の光学定数(屈折率nが0.963、消衰係数kが0.072)を基に算出されている。
OD値は、吸収層で反射したEUV光と反射層で反射したEUV光とのコントラスト(反射光の強度比)であり、以下の式(1)により導出される。式(1)において、反射層の領域で反射したEUV光の反射光強度が「Rm」で表され、吸収層の領域で反射したEUV光の反射光強度が「Ra」で表され、OD値が「OD」で表されている。
OD=−log(Ra/Rm)・・・(1)
反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクにおいて一般に、OD値は高いほど良い。図4に示すEUV光反射率及び図5に示すOD値は、各々吸収層の下には厚さ2.5nmのRuによるキャッピング層(保護層)、さらにその下にはSiとMoを一対とする積層膜を複数(例えば40対)積層させた多層反射膜、その下に平坦な合成石英基板、さらに合成石英基板の裏面には窒化クロム(CrN)から成る裏面導電層が存在する反射型フォトマスクブランクに対して、各層の光学定数(屈折率、消衰係数)及び膜厚を用いて計算されている。つまり、OD値は、図1に示す反射型フォトマスクブランク1及び図2に示す反射型フォトマスク2のそれぞれの基板11の裏面に裏面導電層が設けられた構成に基づいて計算されている。しかしながら、本発明の反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの多層反射層、キャッピング層、裏面導電層及び基板の材料や膜厚は、これらに限定されるものではない。
図4から分かるように、Ta膜に対してTeO膜は、例えば同じ膜厚の場合、EUV光反射率を半分以下に低くできる。また、Ta膜に対してTeO膜は、同じ反射率の場合に膜厚を半分以下に低減できる。このようにTeO膜は、EUV光の波長における高吸収層を構成する構成要素として有効である。
図5から分かるように、1以上のOD値を得るためには、Ta膜は少なくとも40nm以上の膜厚が必要であるのに対して、TeO膜は約16nmの膜厚でよい。このように、TeO膜は、OD値という観点からも、Ta膜と比較して、吸収層の全体の厚さを低減できる構成要素として有効であることが分かる。
また、2以上のOD値を得るためには、Ta膜は少なくとも70nm以上の膜厚が必要であるのに対して、TeO膜は32nmの膜厚でよい。このように、TeO膜は、2以上のOD値においても、Ta膜と比較して、吸収層の全体の厚さを低減できる構成要素として有効であることが分かる。従来の吸収層では、70nm(OD値が2)程度の膜厚のTa膜が標準的に用いられている。
このように、TeO膜を吸収層に用いることで、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの基本性能を示すOD値を維持したまま、吸収層を薄くすることが可能になる。
(Ta膜及びTeO膜のHVバイアスの比較)
次に、射影効果の影響を評価するために、Ta膜とTeO膜のそれぞれで、膜厚を変更したときに、HVバイアス値がどのように変化するかをシミュレーションにより比較した。図6は、このHVバイアス値のシミュレーション結果を示すグラフである。図6の横軸は、反射型フォトマスクに設けられた吸収層の膜厚(nm)を示し、縦軸は、HVバイアス値(nm)を示している。
HVバイアス値は、マスクパターンの向きに依存した転写パターンの線幅差、つまり、水平(Horizontal:H)方向の線幅と垂直(Vertical:V)方向の線幅との差のことである。H方向の線幅は、入射光と反射光が作る面(以下、「入射面」と称する場合がある)に直交する線状パターンの線幅を示し、V方向の線幅は、入射面に平行な線状パターンの線幅を示している。つまり、H方向の線幅は、入射面に平行な方向の長さであり、V方向の線幅は、入射面に直交する方向の長さである。
射影効果により影響を受けるのは、H方向の線幅であり、転写パターンのエッジ部のコントラスト低下やH方向の線幅の減少が生じる。射影効果の影響を受けたパターンは、転写後の線幅が所望の線幅よりも小さくなる。一方、V方向の線幅は、射影効果の影響をほとんど受けない。このため、入射面に垂直な方向の転写パターンの線幅と入射面に平行な方向の転写パターンの線幅とで、線幅差(HVバイアス)が生じる。
本シミュレーションに用いたパターンは、半導体基板上で16nmのLS(ライン(Line)とスペース(Space)の比が1:1)となるサイズで、マスクパターンを設計したものである。EUVリソグラフィでは通常、4分の1の縮小投影露光であるため、EUVフォトマスク(すなわち反射型フォトマスク)の吸収層に形成される吸収層パターンは、入射面に平行な方向及び垂直な方向のいずれもパターンサイズが64nmのLSパターンとなる。図6に示すように、半導体基板上に形成される転写パターンのHVバイアス値は、Ta膜及びTeO膜のいずれで構成された吸収層であっても、膜厚が厚いほど大きくなることが分かる。
ここで、OD値が2付近となるTa膜(膜厚70nm)及びTeO膜(膜厚32nm)のそれぞれのHVバイアス値を比較したところ、図7に示すように、HVバイアス値は、Ta膜では10.5nmと非常に大きいが、TeO膜では3.4nmと大幅に低減でき、改善されている。さらに、OD値が1となるTa膜(膜厚40nm)及びTeO膜(膜厚16nm)を比較しても、HVバイアス値は、Ta膜では3.2nmであり、TeO膜では1.6nmであって低減され、改善されている。このように、本発明の反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクでは、吸収層の形成材料にTeOを用いることで、射影効果の影響(HVバイアス)を大幅に低減できることが分かる。
(Ta膜及びTeO膜におけるNILSの比較(TeO膜の膜厚範囲の説明))
射影効果の影響は、NILS(Normalized Image Log Slope)と呼ばれるパターンコントラストにも現れる。NILSは転写パターンの光強度分布から得られる明部と暗部の傾きを示す特性値である。NILSの値が大きい方が、パターン転写性が良い。TaとTeOのそれぞれの吸収層材料の光学定数を用いて、計算によりNILSを評価した結果を図8に示している。図8の横軸は、吸収層の膜厚(nm)を示し、縦軸はNILSを示している。図8の、「TeO−X」はTeO膜における転写パターンのX方向(V方向の線幅の方向)のNILSを示し、「TeO−Y」はTeO膜における転写パターンのY方向(H方向の線幅の方向)のNILSを示し、「Ta−X」はTa膜における転写パターンのX方向のNILSを示し、「Ta−Y」はTa膜における転写パターンのY方向のNILSを示している。
図8に示すように、OD値が2付近のTa膜(膜厚70nm)のNILSは、X方向(V方向の線幅の方向)が1.5であり、Y方向(H方向の線幅の方向)が0.2である。このように、射影効果の影響を受けるH方向の線幅の方向に対応するY方向のNILSが大幅に悪化する。
このような、X方向とY方向のパターンコントラスト(NILS)の大きな差が、上述したように、Ta膜の大きなHVバイアス値を引き起こしている。一方、OD値が2付近のTeO膜(膜厚32nm)では、X方向のNILSが1.4となり、Y方向のNILSが0.9となる。このように、TeO膜は、Ta膜と比較して、Y方向のNILSが大幅に改善するため、パターン転写性が向上し、HVバイアス値も小さくなる。
Y方向のNILS(パターンコントラスト)の低下は、HVバイアスに影響するだけでなく、転写パターンのラインエッジラフネスの増大に繋がり、最悪の場合、解像出来ないという大きな問題も引き起こす。
図8に示すように、膜厚が16nm以上32nm以下のTeO膜であれば、Y方向のNILSを、最高値を含み相対的に高い値に出来る。膜厚が16nm以上32nm以下のTeO膜におけるY方向のNILSは、シミュレーションを行った膜厚が14〜70nmの範囲のTa膜におけるY方向のNILS以上である。さらに、膜厚が32nmより厚く45nm以下の範囲のTeO膜は、OD値が2となる膜厚70nmのTa膜よりもY方向のNILSを高く出来る。
[本実施態様による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクについて]
本発明の一実施態様の反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、膜厚が16nm以上32nm以下(図8に「OD=1〜2の範囲」として表された範囲)のTeO膜を含む吸収層を有していてもよい。これにより、本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、膜厚が16nm以上32nm以下のTeO膜を含まない吸収層を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクと比較して、射影効果の影響を小さくできるため、Y方向のNILSを高くできる。
また、16nm以上32nm以下のTeO膜を含む吸収層を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、Ta膜を含む吸収層を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクと比較して、射影効果の影響を大幅に改善できる。
(TeO膜を形成する化合物材料がTe及びOを80%以上含んでもよいことの説明)
本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの吸収層に備えられるTeO膜は、テルル(Te)と酸素(O)とで80%以上の原子数比を占める化合物材料を含む膜であり、残り20%は他の材料が混ざっていても良い。これは、TeO膜に占めるテルル及び酸素の割合が80%未満の場合、TeO膜が持つEUV光の吸収性が低下してしまうためである。これに対し、TeO膜に占めるテルル及び酸素の割合が80%以上であれば、TeO膜が持つEUV光の吸収性の低下はごく僅かである。これにより、テルル(Te)と酸素(O)とで80%以上の原子数比を占める化合物材料を含むTeO膜は、EUVマスクの吸収層としての性能の低下を防止できる。
テルル及び酸素以外の材料として、シリコン(Si)、スズ(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)などの金属や、窒素や炭素などの軽元素が、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの目的に応じてTeO膜に混合されても良い。例えば、SnをTeO膜に入れることで、TeO膜は、透明性を確保しながら導電性を有することが可能となる。このため、波長190〜260nmの遠紫外線(Deep Ultra Violet:DUV)光を用いたマスクパターン検査において、検査性を向上することが可能となる。あるいは、窒素や炭素をTeO膜に混合した場合、TeO膜のドライエッチングの際のエッチングスピードを高めることが可能となる。本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクにおいては、テルルと酸素以外にTeO膜に混合させる材料は、特に限定されない。
(OD値が1以上であることの説明)
本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、上述の式(1)によって規定されるOD値が1以上であってもよい。OD値が1未満のTeO膜(膜厚16nm未満)で、露光シミュレーションを行ったところ、吸収層と多層反射層のコントラストが足りず、半導体基板や半導体ウェハに転写パターンが形成されにくいことが判明した。よってパターンが形成できたとしてもラインエッジラフネスの悪化が想定される。Ta膜の場合も同様であることが判明した。
以上のように、本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクによれば、膜厚が16nm以上32nm以下のTeO膜を含む吸収層を有することで、射影効果の影響を低減できる。また、本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、Ta膜からなる吸収層を有する従来品と比べて、転写パターンのY方向において高いNILSが得られる。そのため、転写パターンの解像性向上やラインエッジラフネスの低減が実現出来る。また、本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクでは、X方向とY方向のNILSが近づくため、HVバイアス値も低減でき、マスクパターンに忠実な転写パターンが得られる。
以下、本発明の一実施形態の実施例による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクについて図9から図11並びに表1及び表2を用いて説明する。表1は、本実施例および比較例による反射型フォトマスクブランクの各サンプルブランクのマスク特性及び反射型フォトマスクの各サンプルマスクのリソグラフィ特性を示す表である。表2は、酸化テルル膜の膜厚を変化させた場合の、本実施例による反射型フォトマスクブランクの各サンプルブランクのマスク特性及び反射型フォトマスクの各サンプルマスクのリソグラフィ特性を示す表である。表1及び表2に示す「NILS−X」はX方向のNILSを示し、「NILS−Y」はY方向のNILSを示している。また、表1及び表2の「解像性」欄に記載された「OK」は転写パターンの解像が確認されたことを示している。さらに、表1及び表2の「LER」欄に記載された「−」は、ラインエッジラフネスを測定できなかったことを示している。
(反射型フォトマスクブランク作製の説明)
図9に示すように、例えば合成石英などの低熱膨張特性を有する基板11の上に、シリコン(Si)とモリブデン(Mo)を一対とする積層膜131が40対(合計の膜厚が280nm)積層されて形成された多層反射膜13aを形成する。なお、図9では、理解を容易にするため、多層反射膜13aは、3対の積層膜131で図示されている。次に、多層反射膜13aの上にルテニウム(Ru)で形成されたキャッピング膜13bを膜厚が2.5nmとなるように成膜した。これにより、基板11上には、多層反射膜13a及びキャッピング膜13bを有する反射層13が形成される。キャッピング膜13bの上に酸化テルルを成膜して酸化テルル膜15aを有する吸収層15を形成し、反射型フォトマスクブランク3を作製した。反射型フォトマスクブランク3は、サンプルブランクとして複数個、作製した。基板11上へのそれぞれの膜の成膜は、スパッタリング装置を用いた。酸化テルル膜15a中の酸素含有量は、スパッタリング中にチャンバーに導入する酸素の量で制御した。当該酸素量の制御は、酸化テルル膜15aの形成時の反応性スパッタリング法において実施した。各サンプルの膜厚は透過電子顕微鏡によって測定し、O/Te比はXPS(X線光電子分光測定法)によって測定し、それぞれ確認した。
吸収層15の組成を確認した結果、反射型フォトマスクブランク3のそれぞれのサンプルブランクは、O/Te比が0から3.0の範囲で出来上がっており、3.0より大きいO/Te比の酸化テルル膜15aは成膜できなかった。ここで、O/Te比が0(酸素なし)、1.0、2.0、2.5及び3.0のサンプルについて成膜レートを確認して、各々のサンプルのOD値が2又は1になるように膜厚を計算して成膜した。作製したODの狙い値が2と1の反射型フォトマスクブランク3のサンプルブランクの膜厚は、O/Te比が0の酸化テルル膜15a(すなわちテルル単体の膜(Te膜))では30nmと16nmであり、O/Te比が1の酸化テルル膜15a(TeO1.0膜)では31nmと16nmであり、O/Te比が2の酸化テルル膜15a(TeO2.0膜)では31nmと17nmであり、O/Te比が2.5の酸化テルル膜15a(TeO2.5膜)では31nmと17nmであり、O/Te比が3.0の酸化テルル膜15a(TeO3.0膜)では32nmと17nmであることを確認した。また、図9に示すように、基板11の裏面には窒化クロム(CrN)で形成された裏面導電層31が100nmの膜厚で成膜された。
(反射率測定とODの算出)
上記のO/Te比のTe膜およびTeO膜について、反射層13領域の反射率Rmと、吸収層15領域の反射率Raを、EUV光による反射率測定装置で測定した。その測定結果から、マスク特性であるOD値を計算した結果、表1に示すように、反射型フォトマスクブランク3の全てのサンプルブランクは概ねOD値が2と1に作製できていることが分かった。このことからも、O/Te比が1.0以上3.0以下の範囲の膜組成であれば、酸化テルル膜15aを有する吸収層15は、テルル単体のテルル膜を有する吸収層と同じ膜厚で同等のマスク特性(EUV反射率及びこのEUV反射率から計算されるOD値)が得られることが分かる。
Figure 2019138971
(比較例としてのTa膜を吸収層に含むサンプルブランクについて)
比較例として従来品に用いられる既存膜であるTa膜についても、反射型フォトマスクブランク3と同様の方法で反射型フォトマスクブランクのサンプルブランクを作製した。OD値が2又は1を達成するために、Ta膜の膜厚は、70nmと40nmの膜厚で作製された。Ta膜がこの膜厚で作製された反射型フォトマスクブランクのサンプルブランクをEUV光による反射率測定装置で測定した結果、OD値は、狙い通りに2付近と1付近であることが確認された。
(反射型フォトマスク作製)
図10に示すように、本発明の一実施形態の実施例による反射型フォトマスク4は、図9に示す反射型フォトマスクブランク3の吸収層15に吸収層パターン151が形成された構成を有している。
ここで、反射型フォトマスク4の作製方法について図11を用いて説明する。図11に示すように、上記のように作製した反射型フォトマスクブランク3に備えられた吸収層15上に、ポジ型化学増幅レジストR15a(SEBP9012:信越化学社製)を120nmの膜厚に塗布する。次いで、電子線描画機(JBX3030:日本電子社製)によってポジ型化学増幅レジストR15aに所定のパターンを描画する。その後、ポジ型化学増幅レジストR15aに110℃、10分のPEB処理を施し、次いでスプレー現像(SFG3000:シグマメルテック社製)する。これにより、図11(a)に示すように、吸収層パターン151(図10参照)と同一形状のレジストパターンR151を有するレジストマスクR15を形成した。
次に、レジストマスクR15をエッチングマスクとして用い、各々フッ素系ガスあるいは塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより、酸化テルル膜15aのパターニングを行い、図11(b)に示すように、吸収層15に吸収層パターン151を形成した。次に、レジストマスクR15の剥離を行い、本実施例による反射型フォトマスク4(図10参照)を作製した。本実施例において、吸収層15に形成した吸収層パターン151は、反射型フォトマスク4上で64nmLS(ラインアンドスペース)の形状を有している。反射型フォトマスク4は、酸化テルル膜15aのO/Te比が0、1.0、2.0,2.5及び3.0かつOD値が1及び2のそれぞれについて作製した。さらに、上述の比較例としてのTa膜を有する吸収層を備える反射型フォトマスク対しても、反射型フォトマスク4と同様の方法によって、反射型フォトマスク4に形成した吸収層パターン151と同一形状の吸収層パターンを、Ta膜を有する吸収層に形成し、比較例としての反射型フォトマスクのサンプルマスクを作製した。
(ウェハ露光評価)
次いで、上記の手順で作製した本実施例による反射型フォトマスク4のサンプルマスクを用いて、EUV光露光装置(NXE3300B:ASML社製)で、EUV用ポジ型化学増幅レジストを塗布した半導体ウェハ(不図示)上に反射型フォトマスク4のサンプルマスクで反射した反射光によって、パターンを転写露光し、レジストに転写パターンを形成し、電子線寸法測定機により転写パターンの観察、線幅測定及びラインエッジラフネス(Line Edge Roughness:LER)測定を実施した。ラインエッジラフネスは、転写パターンの側面のガタツキである。ラインエッジラフネスの測定結果は、表1の「LER」欄に示されている。
(HVバイアス)
半導体ウェハに形成されたレジストパターンからリソグラフィ特性を確認した。表1の「リソグラフィ特性」欄に示すように、本実施例では、確認したリソグラフィ特性は、上述のラインエッジラフネス、HVバイアス及び解像性である。転写パターンのX方向の寸法と、射影効果の影響を受ける転写パターンのY方向との寸法を測定し、これらの寸法の差を算出してHVバイアス値を確認した。その結果、表1に示すように、薄膜化による射影効果の低減効果が見られた。具体的に、OD値が2付近において、HVバイアス値は、Te膜では膜厚30nmで3.1nmであり、TeO1.0では膜厚31nmで3.3nmであり、TeO2.0膜では膜厚31nmで3.6nmであり、TeO2.5膜では膜厚31nmで3.7nmであり、TeO3.0膜では膜厚32nmで3.8nmである。Te膜及びTeO膜を有する吸収層を備える場合のHVバイアス値は、比較例としてのTa膜を有する吸収層を備える場合のHVバイアス値の70nm膜厚で11.1nmと比較して大幅に改善していることを確認した。また、表1に示すように、OD値が1においては、Te膜では16nm膜厚で1.5nm、TeO1.0膜では16nm膜厚で1.7nm、TeO2.0膜では17nm膜厚で1.8nm、TeO2.5膜では17nm膜厚で1.8nm、そしてTeO3.0膜では17nm膜厚で1.8nmと、既存膜であるTa膜の40nm膜厚で3.5nmより良好な結果が得られた。
(ラインエッジラフネス)
転写パターンのラインエッジラフネス(LER)を確認した。表1に示すように、Ta膜の膜厚が70nmの反射型フォトマスクで形成した転写パターンは未解像によりラインエッジラフネスを計測することができなかった。また、Ta膜の膜厚が40nmの反射型フォトマスクで形成した転写パターンは、ラインエッジラフネスが4.2nmであった。反射型フォトマスク4では、Te膜及びTeO膜の膜厚によらず、転写パターンのラインエッジラフネスが3.8nm以下と良好であることを確認した。
(洗浄耐性)
ウェハ転写評価後に反射型フォトマスク4の硫酸過水洗浄およびアンモニア過水洗浄に対する耐性評価を行った。Te膜は、硫酸過水により溶解してしまい、吸収層パターン151が消失してしまった。これにより、Te膜を有する吸収層を備えた反射型フォトマスクは、洗浄耐性が無いことを確認した。TeO膜を有する吸収層を備えた反射型フォトマスク4は、O/Te比によらずにいずれも、硫酸過水の洗浄において吸収層パターンが問題なく残っていた。以上より、酸化テルルであれば、膜特性として安定しており、洗浄耐性も向上していることが確認できた。
(吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚16〜32nmの範囲について)
吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚が16nmから32nmの範囲では、ラインエッジラフネス及びY方向のNILSが優れるとともに、OD値が同レベルでのHVバイアスが向上する。ここで、OD値の同レベルとは、所定のOD値(本例では、1又は2)に対して±0.2の範囲をいう。具体的には、表1に示すように、吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚が16nmから32nmの範囲では、ラインエッジラフネスが3.6nmから3.8nm、かつY方向のNILSが0.7から0.9となる。このように、酸化テルル膜の膜厚が当該範囲では、ラインエッジラフネス及びY方向のNILSの両方の数値が良好である点において、Ta膜よりも優れている。また、吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚が16nmから32nmの範囲であって、かつOD値が1と同レベルの場合には、HVバイアスが1.7nm又は1.8nmとなり、OD値が1.1のTa膜のHVバイアス3.5nmより向上している。さらに、吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚が16nmから32nmの範囲であって、かつOD値が2と同レベルの場合には、HVバイアスが3.3nmから3.8nmとなり、OD値が1.8のTa膜のHVバイアス11.1nmより向上している。
(酸化テルル膜の膜厚の評価)
吸収層15が有する酸化テルル膜の膜厚の評価を行うために、O/Te比が2.0の酸化テルル膜の膜厚を12nmから50nmの範囲で変更させた反射型フォトマスクブランク3及び反射型フォトマスク4を作製し、リソグラフィ特性及び洗浄耐性を評価した。表2には、この評価結果が示されている。
Figure 2019138971
表2に示すように、酸化テルル膜の膜厚が16nmから45nmの範囲であると、半導体ウェハのレジストに形成された転写パターンのHVバイアス値が1.7nmから5.8nmの範囲に抑えられた。また、酸化テルル膜の膜厚が16nmから45nmの範囲であると、半導体ウェハのレジストに形成された転写パターンが未解像とならず、ラインエッジラフネスが3.6nmから4.0nmの範囲に抑えられた。
一方、酸化テルル膜の膜厚が12nmから14nmの範囲であると、半導体ウェハのレジストに形成された転写パターンのHVバイアス値は1.1nmから1.5nmの範囲に抑えられて良好であるものの、ラインエッジラフネスが4.2nmから4.4nmの範囲となり悪化する傾向にある。また、酸化テルル膜の膜厚が48nmから50nmの範囲であると、半導体ウェハのレジストに形成された転写パターンのHVバイアス値は6.4nmから8.4nmの範囲となって悪化する傾向にあり、ラインエッジラフネスも4.2nmから4.3nmの範囲となって悪化する傾向にある。
さらに、ウェハ転写評価後に反射型フォトマスク4の硫酸過水洗浄およびアンモニア過水洗浄に対する耐性評価を行った。膜厚が12nmから50nmの範囲の酸化テルル膜を有する吸収層に形成された吸収層パターンは、硫酸過水洗浄およびアンモニア過水洗浄によって消失しなかった。したがって、膜厚が12nmから50nmの範囲の酸化テルル膜を有する吸収層を備えた反射型フォトマスクは、洗浄耐性を有することが確認できた。
以上の評価結果より、吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚は、45nm以下であればよく、表1に示す評価結果と併せると、吸収層を構成する酸化テルル膜の膜厚の範囲は、16nm以上45nm以下であってもよい。膜厚が16nm以上45nm以下の範囲内の酸化テルル膜を有する吸収層を備えた反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、半導体基板や半導体ウェハへの転写性能及び洗浄耐性の向上を図ることができる。
以上説明したように、本発明の一実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクによれば、EUVリソグラフィの原理的課題である射影効果の影響を抑制できる。このため、本実施形態による反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、半導体基板上に露光パターン形成するための転写特性、すなわちリソグラフィ特性(HVバイアス、解像性、ラインエッジラフネス)を大幅に向上でき、同時にマスクの加工性及び洗浄耐性の向上も図ることができる。このように、本発明は、反射型のフォトマスクブランク及びフォトマスクにおいて極めて有効である。
1,3 反射型フォトマスクブランク
2,4 反射型フォトマスク
11 基板
13 反射層
13a 多層反射膜
13b キャッピング膜
15 吸収層
15a 酸化テルル膜
31 裏面導電層
131 積層膜
151 吸収層パターン
R15 レジストマスク
R15a ポジ型化学増幅レジスト
R151 レジストパターン

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射層と、
    単層構造又は積層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下の酸化テルル膜を有し、前記反射層上に積層されて入射した光を吸収する吸収層と
    を備えることを特徴とする反射型フォトマスクブランク。
  2. 前記酸化テルル膜の膜厚は、16nm以上32nm以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
  3. 前記酸化テルル膜は、テルルに対する酸素の原子数比が1.0以上3.0以下の膜であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の反射型フォトマスクブランク。
  4. 前記酸化テルル膜は、テルル及び酸素で80%以上の原子数比を占める化合物材料を含むこと
    を特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  5. 前記反射層からの反射光の強度をRmとし、前記吸収層からの反射光の強度をRaとし、前記反射層及び前記吸収層に基づく光学濃度をODとすると、前記光学濃度は、以下の式(1)で規定され、かつ値が1以上であること
    を特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の反射型フォトマスクブランク。
    OD=−log(Ra/Rm) ・・・(1)
  6. 前記反射層は、多層反射膜と、前記多層反射膜上に形成されたキャッピング膜とを含むこと
    を特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  7. 基板と、
    前記基板上に形成されて入射した光を反射する反射層と、
    単層構造又は積層構造を有し膜厚が16nm以上45nm以下であって所定パターンが形成された酸化テルル膜を有し、前記反射層上に積層されて入射した光を吸収する吸収層と
    を備えることを特徴とする反射型フォトマスク。
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