JP2019138935A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温でトナーを定着でき、優れた光沢均一性および定着分離性を有する画像を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂を含有し、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カンボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および第2の結晶性樹脂の多価カンボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす。

【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置においては、消費電力の低減化、印刷の高速化、および適応可能な紙の種類の拡大等の目的からトナー画像定着時の熱エネルギーの低減が求められている。
この熱エネルギー低減に対して、定着部において定着ニップを形成する加熱部材として薄層の定着ベルトをその内周面に配置されたニップ形成部材で加圧ローラーに押圧する、いわゆるパッド定着方式の技術がある。パッド定着方式では従来の加熱ローラー方式と比較して熱エネルギーを効率よくトナー層に伝えることができるため、より少ない消費電力でトナーを定着することが可能になる。
しかし、パッド定着方式においては、定着ベルトと内周面で接するニップ形成部材(以下、パッドと称する)との摺動が生じる。そうすると、押し付けたパッドとベルトとの間で密着性に微妙な差が生じる。このため画像上のトナーの付着量が多い部分と少ない部分ができて、画像面側でも用紙に対するグリップ力にも差が生じる。このため、トナーに与えられる圧力や熱エネルギーにばらつきが生じて定着された画像の光沢が不均一になる画像あれが発生する可能性がある。
一方で、画像定着時の熱エネルギーの低減のもう一つの達成手段として、トナーの低温定着性を向上させることができる技術があり、具体的には、シャープメルト性に優れる結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂を結着樹脂に用いる方法が知られている。
例えば、特許文献1では、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とを含む結着樹脂を含有するトナーが提案されている。結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とを混合して用いることで、熱定着時に結晶性ポリエステル樹脂の融点を超えるときに結晶成分が溶融し、非晶性成分へ相溶する。これにより、非晶性樹脂の熱溶融を促進し、低温での定着が可能となる。
しかし、トナーに結晶性樹脂を含有させると、トナーが可塑化され柔らかくなってしまうため、定着後の記録材の分離性が低下してしまうという問題があった。よって、トナーの定着分離性を向上させることができる技術が求められている。
特開2006−251564号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、低温でトナーを定着でき、優れた光沢均一性および定着分離性を有する画像を得ることができる画像形成装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、低温でトナーを定着でき、優れた光沢均一性および定着分離性を有する画像を得ることができる画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
1.トナーを収容し、感光体上に形成された静電潜像を前記トナーで現像する現像部と、
形成されたトナー画像を記録材上に転写する転写部と、
前記トナー画像が表面に形成された前記記録材を定着ニップに通過させ、前記記録材の表面上に前記トナー画像を定着させる定着部と、を有する画像形成装置であって、
前記定着部は、
内周面および外周面を有し、周方向に沿って回転移動可能な加熱部材と、
非回転の対向面を有し、前記対向面が前記加熱部材の内周面に接触するように配置されたニップ形成部材と、
前記加熱部材の外周面に接触するように配置され、前記加熱部材を介して前記対向面に押圧されることで、前記加熱部材の外周面との間に前記定着ニップを形成する加圧部材とを有し、
前記トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂を含有し、
前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす、画像形成装置。
2.前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂、前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂の総質量に対して1〜35質量%である、上記1に記載の画像形成装置。
3.前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))と、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))とが、下記式(5)の関係を満たす、上記1または2に記載の画像形成装置。
4.前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数C1(acid)および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(6)および(7)の関係を満たす、上記1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
5.前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との質量比(第1の結晶性樹脂/第2の結晶性樹脂)が60/40〜1/99である、上記1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
6.前記トナーが、コアシェル構造を有する、上記1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
7.前記非晶性樹脂がスチレンアクリル樹脂である、上記1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
8.前記定着部が、前記定着ニップが形成されている位置とは異なる位置で前記加熱部材を加熱する加熱部を有する、上記1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
9.前記ニップ形成部材の前記対向面は、前記加熱部材を介して前記加圧部材に押圧されることで前記定着ニップの形状を規定するニップ形成範囲を含み、
前記ニップ形成範囲には、前記定着ニップの側に向かって突出する形状を有する凸部が設けられていることを特徴とする、上記1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
10.感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する工程と、
形成されたトナー画像を記録材上に転写する工程と、
前記記録材の表面上に前記トナー画像を定着させる工程と、を有する画像形成方法であって、前記トナー画像を定着させる工程は、
内周面および外周面を有し、周方向に沿って回転移動可能な加熱部材と、
非回転の対向面を有し、前記対向面が前記加熱部材の内周面に接触するように配置されたニップ形成部材と、
前記加熱部材の外周面に接触するように配置され、前記加熱部材を介して前記対向面に押圧されることで、前記加熱部材の外周面との間に前記定着ニップを形成する加圧部材と、を有する定着部に前記記録材を通過させることを含み、
前記トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂と、を含有し、
前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす、画像形成方法。
本発明によれば、低温でトナーを定着でき、優れた光沢均一性および定着分離性を有する画像を得ることができる画像形成装置を提供することができる。
本発明によれば、さらに、低温でトナーを定着でき、優れた光沢均一性および定着分離性を有する画像を得ることができる画像形成方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る定着部を示す部分拡大図である。 本発明の一実施形態に係る定着部の一部(定着ニップNの付近)を示す拡大図である。 本発明の一実施形態に係るニップ形成部材を示す斜視図である。
本発明の画像形成装置は、トナーを収容し、感光体上に形成された静電潜像を前記トナーで現像する現像部と、前記現像されたトナー画像を記録材上に転写する転写部と、未定着画像が表面に形成された記録材を定着ニップに通過させ、前記記録材の表面上に画像を定着させる定着部と、を有し、
前記定着部は、内周面および外周面を有し、周方向に沿って回転移動可能な加熱部材と、非回転の対向面を有し、前記対向面が前記加熱部材の内周面に接触するように配置されたニップ形成部材と、前記加熱部材の外周面に接触するように配置され、前記加熱部材を介して前記対向面に押圧されることで、前記加熱部材の外周面との間に前記定着ニップを形成する加圧部材とを有し、
前記トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂を含有し、前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たすことを特徴とする。
本発明の効果の発現機構または作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。なお、本発明は、以下のメカニズムに限定されない。
本発明の画像形成装置は、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーおよびパッド定着システムの使用により、低温でトナーを定着することを実現できる。さらに、本発明におけるトナーは、2種の結晶性ポリエステル樹脂を含有しており、そのモノマー成分の炭素数において上記式(1)〜(4)の関係を満たすため、結晶性成分のドメインの肥大化が抑制される。かようなトナーを、パッド定着システムを有する画像形成装置に用いると、微分散化した結晶性成分のドメインが画像表面上においてより均一に染み出すことにより、ニップ形成部材の押圧時に画像表面に生じる圧力のバラツキを抑え、面方向においてより均一にトナーの溶融が行われ、画像光沢を均一化でき、画像あれの低減を可能とする。また、ローラーと比較してパッドは記録材に接触する部分の曲率が低いため、記録材の追従性が抑えられ、良好な定着分離性を有することができる。
以上のように、本発明によれば、パッド定着システムと上記式(1)〜(4)を満たすトナーとを組み合わせることで、低温でトナーを定着でき、優れた光沢均一性および定着分離性を有する画像を得ることができる画像形成装置が提供される。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<画像形成装置>
図1は、本発明を用いた一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、画像形成部10A〜10D、中間転写ベルト21、給紙ローラー22、タイミングローラー23、転写ローラー24、クリーニング部25、排紙ローラー26、および定着部30を備える。
画像形成部10A〜10Dの各々は、感光体11、帯電部12、露光部13、現像部14、クリーニング部15を有する。画像形成部10A〜10Dの各々によって形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト21上に順々に転写され、中間転写ベルト21上で合成される。
感光体11は帯電部12によって全面が帯電されたのち、露光部13によって画像データに応じた露光により感光体11に潜像が形成される。ここでは、色ごとの画像形成部10A〜10Dによって各色の潜像が形成される。
現像部14は、それぞれの画像形成部10A〜10Dに対応した色のトナーを収容している。感光体11に形成された潜像は、現像部14により各色のトナーによって現像される。各色は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)である。
現像された各色のトナー画像は中間転写ベルト21上に転写され(一次転写)、順次重ねられてフルカラーのトナー画像が形成される。
中間転写ベルト21上のトナー画像は、中間転写ベルト21と転写ローラー24との間で記録材20(たとえば用紙)の表面に転写される。記録材20の表面には、未定着画像10が形成されることになる。このため中間転写ベルト21は転写部となる。
記録材20は、給紙ローラー22およびタイミングローラー23によって搬送される。
記録材20上の未定着画像10は定着部30に搬送されて定着される。
≪定着部≫
図2は、本実施形態における定着部を示す部分拡大図である。
定着部30は、加熱部材31、加熱部32、ニップ形成部材33、潤滑剤塗布部材34、支持部材35、および加圧部材36を備える。定着部30は、未定着画像10が表面20Aに形成された記録材20を定着ニップNに通過させ、加圧および加熱によって、未定着画像10を記録材20の表面20A上に定着させる。
加熱部材31は、内周面31Aおよび外周面31Bを有する。加熱部材31は、無端ベルトであり、周方向(矢印DR方向)に沿って回転移動する。加熱部32、ニップ形成部材33、潤滑剤塗布部材34、支持部材35は、いずれも加熱部材31の内周面31Aの側に配置される。
加熱部32は、熱源32Aおよび加熱ローラー32Bを有する。熱源32Aは、たとえばハロゲンヒーターやカーボンヒーターから構成され、通電されることで、加熱ローラー32Bを介して加熱部材31を加熱する。
加熱部32は、定着ニップNが形成されている位置とは異なる位置で加熱部材31を加熱するように配置されている。加熱部材31の周方向(矢印DR)で見た場合、加熱部材31は、周方向における定着ニップNとは異なる位置(ここでは、定着ニップNの反対側の位置)で加熱部32によって加熱される。このように加熱部32を定着ニップNが形成されている位置とは異なる位置に配置することで、光沢均一性を良好にすることができる。
潤滑剤塗布部材34は、後述する定着ニップNの長手方向(図2において紙面に対して垂直な方向)に沿って延在する形状を有する。潤滑剤塗布部材34は、加熱部材31の内周面31Aに接触するように配置され、潤滑剤を内周面31Aに供給する。潤滑剤は、加熱部材31の回転移動によって、加熱部材31の内周面31Aとニップ形成部材33との間に供給される。
支持部材35も、定着ニップNの長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)に沿って延在する形状を有する。支持部材35の長手方向における両端は、定着部30の筐体(図示せず)などに固定される。ニップ形成部材33は、支持部材35を介して定着部30の筐体などに固定される。
加圧部材36からの押圧力は、定着ニップNを介してニップ形成部材33に付与される。支持部材35は、ニップ形成部材33の裏面側からニップ形成部材33を支持することによりこの押圧力に対抗する。支持部材35は、ニップ形成部材33を所定の位置に固定するとともに、ニップ形成部材33が所定の位置からずれることを防止している。
加圧部材36は、加熱部材31の外周面31Bに接触するように配置される。加圧部材36は、ニップ形成部材33(より具体的には、ニップ形成部材33の対向面33A)を、加熱部材31を介して押圧する。加圧部材36の外周面と加熱部材31の外周面31Bとの間に、所望のニップ幅を有する定着ニップNが形成される。
加圧部材36は、芯金36Aと、芯金36Aの外表面を取り囲むように設けられた弾性層36Bとを有する。弾性層36Bは、たとえば、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどから形成される。弾性層36Bの表層には、たとえばPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(Tetrafluoroetylene−Perfluoroalkylvinylether Copolymer))、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene))等の離型層が設けられていてもよい。
加圧部材36の長手方向における両端には、図示しない駆動機構が接続されている。加圧部材36は図2中の矢印方向(時計回り方向)に回転する。加圧部材36の回転力により、加熱部材31は従動回転する。なお、加圧部材36の内部に熱源(たとえばハロゲンヒーターやカーボンヒーター)が設けられていてもよい。
ニップ形成部材33は、耐熱性を有する樹脂部材から形成することができる。たとえば、LCP(液晶ポリマー)、ポリイミド樹脂、PAI(ポリアミドイミド樹脂)などが用いられる。
≪ニップ形成部材≫
図3は、定着部の一部(定着ニップNの付近)を示す拡大図である。図4は、ニップ形成部材33を示す斜視図である。
ニップ形成部材33は、パッドと称されていて、このパッドを持つ定着部(定着装置)は、パット定着システムと称されている。
ニップ形成部材33は、支持部材35(図3)から見て加圧部材36の側に配置されるニップ形成部材33は、耐熱性を有する樹脂部材を用いることが好ましい。たとえば、LCP(液晶ポリマー)、ポリイミド樹脂、PAI(ポリアミドイミド樹脂)などが用いられる。
ニップ形成部材33は、非回転の対向面33Aを有している。対向面33Aは、ニップ形成部材33のうち、加熱部材31を介して加圧部材36に対向する部分である。ニップ形成部材33は、対向面33Aの一部または全部が、加熱部材31の内周面31Aに接触するように配置される。
対向面33Aは、上流端部33A1と下流端部33A2との間に形成される(図3および図4)。上流端部33A1は、対向面33Aのうち、加熱部材31の周方向(矢印DR)におけるもっとも上流側に位置する部分である。下流端部33A2は、対向面33Aのうち、加熱部材31の周方向(矢印DR)におけるもっとも下流側に位置する部分である。
対向面33Aの外縁の一部を規定している上流端部33A1および下流端部33A2は、いずれも、定着ニップNの長手方向(矢印AR)(図4参照)に対して平行な方向に沿って延在する形状である。対向面33Aのうち、後述する凸部33Cが設けられている箇所を除いた部分は、平坦な表面形状を有している。詳細は後述するが、対向面33Aのうちの凸部33Cが設けられている箇所を除いた部分とは、図4において斜線のハッチングが付与されている、2つの平坦領域33BFに対応している。
≪ニップ形成範囲≫
対向面33Aは、定着ニップNの形状を規定するニップ形成範囲33Bを含んでいる。
ニップ形成範囲33Bは、対向面33Aの一部分である。ニップ形成範囲33Bは、対向面33Aのうちの定着ニップNの形状を規定する(定着ニップNの形成に供される)部分であり、ニップ形成部材33の対向面33Aが加熱部材31を介して加圧部材36に押圧された際に、加圧部材36によって押圧される。
ニップ形成範囲33Bは、上流端部33B1と下流端部33B2との間に形成される(図3および図4)。上流端部33B1は、ニップ形成範囲33Bのうち、加熱部材31の周方向(矢印DR)におけるもっとも上流側に位置する部分である。下流端部33B2は、ニップ形成範囲33Bのうち、加熱部材31の周方向(矢印DR)におけるもっとも下流側に位置する部分である。
ニップ形成範囲33Bの外縁の一部を規定している上流端部33B1および下流端部33B2は、いずれも、定着ニップNの長手方向(矢印AR)(図4参照)に対して平行な方向に沿って延在する形状を有している。
≪凸部≫
ニップ形成範囲33Bには、定着ニップNの側に向かって突出する形状を有する凸部33Cを設けてもよい。凸部33Cは、加熱部材31の周方向におけるニップ形成範囲33Bの下流端部33B2および上流端部33B1以外の位置に設けられている。つまり、凸部33Cは、下流端部33B2および上流端部33B1に重ならない位置に設けられている。
図4に示すように、凸部33Cは、定着ニップNの長手方向に対して平行な方向に沿って直線状に延在する形状を有している。このような構成に限られず、凸部33Cは、その両端に比べて、その中央が周方向における前方や後方に位置するように、湾曲線の延在形状を有するように構成することも可能である。このような構成に限られず、凸部33Cは、定着ニップNの長手方向に対して平行な方向に沿って、比較的短めの長さを有する複数の直線部分が断続的に存在するように構成することも可能である。湾曲線の構成や、断続線の構成によれば、後述するせん断力を、長手方向の各位置において異ならせることが可能となる。
図3を参照して、定着ニップNの長手方向(図4に示す矢印AR)に対して直交する面方向の断面形状を見た場合、加熱部材31の周方向において、凸部33Cの上流側に位置する対向面33Aの部分(上流側の平坦領域33BF)と凸部33Cとの間には、第1変曲点33C1が形成されている。加熱部材31の周方向において、凸部33Cの下流側に位置する対向面33Aの部分(下流側の平坦領域33BF)と凸部33Cとの間には、第2変曲点33C2が形成されている。
なお、ここでいう変曲点とは、曲線が上に凸の状態と上に凹の状態とで変わる点をいい、この点で引いた接線を境界として、曲線の一方と他方とが異なる側にあるものとする。
つまり、曲線の凹凸の状態が変わる点が変曲点である。言い換えれば、変曲点を有する曲線は、少なくとも1つ以上の凹および凸が存在する曲線であるといえる。
凸部33Cは、半円の断面形状を有している。第1変曲点33C1と第2変曲点33C2との間の距離、すなわち凸部33Cの周方向(矢印DR)における幅は、たとえば10mmである。凸部33Cの突出方向における高さは、たとえば0.5mmである。図1〜図4では、図示上の便宜のため、凸部33Cを実際のものより大きく表示しているが、凸部33Cの幅や高さは、これらの値や、これらの図に示される大きさおよび形状に限定されるものではない。
このように構成された定着部30によれば、定着ニップN内の周方向(図3に示す矢印DR)における一部分に凸部33Cを設けることで、圧接力を局所的に大きくすることができる。これにより、記録材20上の溶融したトナーが急激に記録材20内へ染み込むとともに、凸部33Cに対応する箇所において加熱部材31とトナー表面との間にせん断力(ずり力)が発生し、凸部33Cに対応する箇所においてトナーにせん断力が付与されるため、トナーと記録材20の表面20Aとの結びつきをより強固にできる。
しかも、本実施形態においては、凸部33Cが、加熱部材31の周方向におけるニップ形成範囲33Bの下流端部33B2および上流端部33B1以外の位置に設けられている。このような凸部33Cの存在によって、加熱部材31は、定着ニップN内を回転移動する際に局所的に変形することとなり、このように変形された加熱部材31によって、定着ニップN内に、局所的に圧接力が大きくなる箇所が形成される。
この点について、仮に、ニップ形成範囲33Bの上流端部33B1の位置に凸部33Cを設けた場合、すなわちニップ形成範囲33Bの上流端部33B1に重なるように凸部33Cを設けた場合、凸部33Cの存在は、カール品質に影響することが懸念される。一方、仮に、ニップ形成範囲33Bの下流端部33B2の位置に凸部33Cを設けた場合、すなわちニップ形成範囲33Bの下流端部33B2に重なるように凸部33Cを設けた場合、オフセットに影響することが懸念される。
本実施形態の定着部30においては、下流端部33B2および上流端部33B1以外の位置に、1つの凸部33Cが設けられている。したがって、定着温度を低くした場合であっても凸部33Cの存在によって画像品質(すなわち定着品質)の低下を抑制することができ、さらに凸部33Cが下流端部33B2および上流端部33B1以外の位置に設けられている。このため、凸部33Cの存在に起因してカール品質やオフセットの悪化が生じることもほとんどない。また、第1変曲点33C1や第2変曲点33C2の存在によって、より局所的に圧分布を変化させることができる。
この凸部33Cを設けたことで、より一層定着エネルギーを低減することができ、かつ光沢均一性を良好にすることができる。
<トナー>
次にトナーについて説明する。本実施形態で使用されるトナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂とを含有し、前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす。
本発明において、多価カルボン酸成分の炭素数とは、カルボキシ基の炭素を含む炭素数をいい、多価アルコール成分の炭素数とは、ヒドロキシ基からつながる炭素数をいう。
本発明に係るトナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂とを含有する。
また、本発明に係るトナーは、その他必要に応じて、着色剤および荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
なお、本発明において、結着樹脂(非晶性樹脂、第1の結晶性樹脂、第2の結晶性樹脂)および離型剤を含み、外添剤を含まない粒子をトナー母体粒子ともいう。トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子といい、トナー粒子の集合体をトナーという。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子として用いることが好ましい。
本発明に係る第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂である。よって、以下では、第1の結晶性樹脂を「第1の結晶性ポリエステル樹脂」とも称し、第2の結晶性樹脂を「第2の結晶性ポリエステル樹脂」とも称する。また、「第1の結晶性ポリエステル樹脂」および「第2の結晶性ポリエステル樹脂」をまとめて、単に「結晶性ポリエステル樹脂」とも称する。
本発明において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)およびその誘導体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)およびその誘導体との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、上記吸熱特性を満たす樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は特に制限されないが、55〜90℃の範囲内であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点が上記範囲であることにより、十分な低温定着性が得られる。このような観点から、より好ましくは60〜85℃の範囲内である。なお、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、樹脂組成によって制御することができる。また、本明細書中、樹脂の融点は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明において、前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂と前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との総質量に対して1〜35質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることがさらに好ましい。結晶性樹脂の含有量が1質量%以上である場合には、低温定着性が十分に発揮でき、結晶性樹脂の含有量が35質量%以下である場合には、過剰量の結晶性成分による耐熱保存性の低下が避けられる。
(式(1)および式(2)について)
本発明では、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂が、上記式(1)および式(2)の関係を満たすことを特徴とする。これらの関係を満たすことにより、すなわち、多価アルコール成分の炭素数よりも多価カルボン酸成分の炭素数が多くなることで、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂の溶解度パラメーター(SP値)が小さくなり、定着時に非晶性樹脂と相溶しやすくなる。その結果、低温定着性が良好となる。
(式(3)について)
本発明に係るトナーに含まれる第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂が、上記式(3)の関係を満たすことを特徴とする。多価アルコール成分の炭素数が異なる2種類の結晶性樹脂を使用することにより、結晶性成分のドメインの肥大化を抑制し、トナー中に結晶性成分が均一に分散して溶融時にムラなく染み出すため、光沢均一性の低下が抑制される。
(式(4)について)
第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数を一致させることにより、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂の融点を近いものとすることができ、完全に均一化しない範囲で第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂との相溶性を高めることができる。よって、光沢均一性がより向上できる。
本発明の好ましい一実施例においては、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))と、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))とが、さらに下記式(5)の関係を満たす。
上記式(5)を満たす場合、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂の相溶性が高くなりすぎず、微分散化したドメインを形成しやすくなる。よって、パッド定着システムを有する画像形成装置に用いると、微分散化した結晶性成分のドメインが画像表面上においてより均一に染み出すことにより、面方向においてより均一にトナーの溶融が行われ、画像光沢を均一化でき、画像あれの低減を可能とする。
本発明の好ましい一実施例においては、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(6)および(7)の関係を満たす。
前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、10以上であれば、離型剤との親和性が高くなり、トナーを高温で保管した際の離型剤のブリードアウトを抑制することができる。
本発明の好ましい一実施例においては、前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との質量比(第1の結晶性樹脂/第2の結晶性樹脂)が60/40〜1/99の範囲内である。上記質量比が60/40以下である場合は、離型剤と親和性のある成分が多くなりすぎず、ドメインの形成に影響を与えず。また、当該観点から、前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との質量比の値(第1の結晶性樹脂/第2の結晶性樹脂)が30/70〜1/99の範囲内であることがより好ましい。
≪多価アルコール成分≫
本発明に係る第1の結晶性ポリエステル樹脂および第2の結晶性ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコール;などが挙げられる。また、これらの誘導体を用いてもよい。上記多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
≪多価カルボン酸成分≫
本発明に係る第1の結晶性ポリエステル樹脂および第2の結晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、スベリン酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、1,9−ノナンジカルボン酸(ウンデカン二酸)、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11−ウンデカンジカルボン酸(トリデカン二酸)、1,12−ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸(ペンタデカン二酸)、1,14−テトラデカンジカルボン酸(ヘキサデカン二酸)などを用いることができる。また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いてもよい。上記多価カルボン酸は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、1500〜25000の範囲内であることが好ましく、3000〜20000の範囲内であることがより好ましい。このような範囲であれば、低温定着性をより向上させることができる。上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価アルコールおよび多価カルボン酸を重縮合する(エステル化する)ことにより製造することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。入手容易性等を考慮すると、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩や、テトラノルマルブチルチタネート(オルトチタン酸テトラブチル)、テトライソプロピルチタネート(チタンテトライソプロポキシド)、テトラメチルチタネートなどを用いることが好ましい。これらは単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重縮合(エステル化)の温度は特に限定されるものではないが、150〜250℃の範囲内であることが好ましい。また、重縮合(エステル化)の時間は特に限定されるものではないが、0.5〜15時間の範囲内であることが好ましい。重縮合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
本発明のトナーは、結着樹脂として、上記第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂に加え、非晶性樹脂を含む。
また、非晶性樹脂の含有量は、前記非晶性樹脂と前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との総質量に対して、65〜99質量%の範囲内であることが好ましく、70〜98質量%の範囲内であることがより好ましく、80〜90質量%の範囲内であることがさらに好ましい。このような範囲内とすると、低温定着性に優れると共に、形成される画像の濃度もまた向上する。
本発明において、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。このとき、ガラス転移温度(Tg)が、30〜80℃の範囲内であることが好ましく、40〜65℃の範囲内であることが特に好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。上記ガラス転移温度は、当業者であれば、樹脂の組成によって制御することが可能である。
非晶性樹脂としては、本技術分野における従来公知の非晶性樹脂が用いられうるが、中でも、非晶性ポリエステル樹脂またはビニル樹脂が好ましく、これらの樹脂を混合して用いてもよい。特に、帯電量の環境安定性に優れるという観点から、非晶性樹脂は、ビニル樹脂を含むことが好ましい。
≪ビニル樹脂≫
ビニル樹脂とは、少なくともビニル単量体を用いた重合により得られる樹脂である。ビニル樹脂として、具体的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合体樹脂(スチレンアクリル樹脂)などが挙げられる。
中でも、ビニル樹脂としては、スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いて形成されるスチレンアクリル共重合体樹脂が好ましい。すなわち、本発明に係る非晶性樹脂は、スチレンアクリル樹脂を含むことが好ましい。
スチレンアクリル共重合体樹脂(スチレンアクリル樹脂)は、帯電量の環境安定性に優れるため、本発明に係る非晶性樹脂として特に好適である。なお、ビニル樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
ビニル樹脂を形成するビニル単量体としては、下記のものから選択される1種または2種以上を用いることができる。
(1)スチレン単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンおよびこれらの誘導体など。
(2)(メタ)アクリル酸エステル単量体
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル(n−ブチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの誘導体など。
(3)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど。
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど。
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど。
(6)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど。
(7)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など。
また、ビニル単量体としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を有する単量体を用いることが好ましい。具体的には、以下のものがある。
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
さらに、リン酸基を有する単量体としてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、ビニル単量体として多官能性ビニル類を使用し、架橋構造を有するビニル樹脂としてもよい。
多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
ビニル樹脂の製造方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫酸塩、過硫化物、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。
また、分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
また、ビニル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量は、重量平均分子量(Mw)で10000〜100000の範囲内であると好ましい。
本発明に係る非晶性樹脂は、ビニル樹脂を含んでいることが好ましく、スチレンアクリル樹脂を含んでいることがより好ましい。ビニル樹脂(特にスチレンアクリル樹脂)は、非晶性ポリエステル樹脂と比較して、極性の高い官能基が少なく、吸湿性が低いため、高温高湿環境下における転写性が良好となる。したがって、画像濃度むらの環境依存性を低減しやすい。また、環境に依存せず、良好な画像濃度を得ることができる。
非晶性樹脂中のスチレンアクリル樹脂の含有量は特に制限されない。上記のように、画像濃度むらの環境依存性を低減するという観点からは、スチレンアクリル樹脂の含有量は、非晶性樹脂の全量に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
≪離型剤≫
本発明に係る離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができ、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
中でも、トナーの内部に結晶性樹脂を存在させやすくし、帯電性を向上させるという観点から、疎水性の高い炭化水素系ワックス類を用いることが好ましい。
離型剤の含有量は、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂と、非晶性樹脂と、離型剤とを合計した全質量に対し、1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、4〜13質量%の範囲内であることがより好ましく、5〜10質量%の範囲内であることが特に好ましい。このような範囲内とすると、低温定着性に優れると共に、形成される画像の濃度もまた向上する。
また、離型剤の融点は、電子写真方式におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃の範囲内であることが好ましい。
≪着色剤≫
本発明のトナーは、ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナーまたはシアントナーである場合、それぞれ下記に示すブラック系着色剤、イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤またはシアン系着色剤を含有する。
(ブラック系着色剤)
ブラックトナーに用いられる着色剤としては、カーボンブラックを含む。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、またはランプブラックなどが使用される。
さらに、ブラックトナーは、カーボンブラックに加えて、磁性体、染料、その他の顔料などをさらに含んでいてもよい。磁性体としては鉄、ニッケル、またはコバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、または、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。また、その他の顔料としてはチタンブラック、アニリンブラックなどを用いることができる。
(イエロー系着色剤)
イエロートナーに用いられるオレンジまたはイエロー用の着色剤としては、特に制限されない。例えば、有機顔料として、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー44、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー81、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー103、C.I.ソルベントイエロー104、C.I.ソルベントイエロー112、C.I.ソルベントイエロー162等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(マゼンタ系着色剤)
マゼンタトナーに用いられるマゼンタまたはレッド用の着色剤としては、特に制限されない。例えば、有機顔料として、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド81;4、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、ソルベントレッド11、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド58、C.I.ソルベントレッド68、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド122等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(シアン系着色剤)
シアントナーに用いられるグリーンまたはシアン用の着色剤としては、特に制限されない。例えば、有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントブルー76、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー69、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー95等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
各着色剤の含有量は、トナー母体粒子100質量部に対し1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、3〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。また、このような範囲であると画像の色再現性を確保できる。
着色剤(粒子)の大きさとしては、特に制限されないが、体積基準のメジアン径が、10〜1000nmの範囲内であることが好ましく、50〜500nmの範囲内であることがより好ましく、80〜300nmの範囲内であることが特に好ましい。このような範囲であると高い色再現性を得ることができるほか、高画質に必要な小径トナーの形成に適している点で好ましい。
なお、着色剤(粒子)の体積基準のメジアン径は、例えば、マイクロトラック(登録商標、以下同じ)粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
≪荷電制御剤≫
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じて他の内添剤を含んでもよい。このような内添剤としては、荷電制御剤が挙げられる。
荷電制御剤の例としては、例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やアルミニウムによる金属錯体(サリチル酸金属錯体)、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物、および、含フッ素4級アンモニウム塩化合物などを挙げることができる。
荷電制御剤の含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.5〜5質量部の範囲内であることがより好ましい。
<トナーの形態>
本発明に係るトナー(トナー母体粒子)は、いわゆる単層構造を有するものであってもよいし、コアシェル構造(コア粒子の表面にシェル層を形成する樹脂を凝集、融着させた形態)を有するものであってもよい。ただし、低温定着性がより良好となる観点から、コアシェル構造を有するものであることが好ましい。
なお、コアシェル構造は、シェル層がコア粒子を完全に被覆した構造のものに限定されるものではなく、例えば、シェル層がコア粒子を完全に被覆せず、所々コア粒子が露出しているものも含む。
また、高温高湿環境下における帯電性を向上させるという観点から、本発明に係るトナー(トナー母体粒子)は、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂が表面に露出せず、トナー(トナー母体粒子)の内部に含有されると共に、非晶性樹脂がトナー(トナー母体粒子)表面に露出した形態であると好ましい。このようなトナーの形態は、上述のように、第1の結晶性樹脂および第2の結晶性樹脂を形成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の炭素数によって制御することができる。また、後述するように、乳化凝集法によりトナー母体粒子を製造する際、各樹脂の添加のタイミング等によってもまたトナー母体粒子の形態を制御することができる。
上述のトナー(トナー母体粒子)の形態(コアシェル構造の断面構造や結晶性ポリエステル樹脂の存在位置)は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プローブ顕微鏡(SPM)等の公知の手段を用いて確認することが可能である。
<トナー母体粒子の平均円形度>
低温定着性を向上させるという観点から、トナー母体粒子の平均円形度は0.920〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.940〜0.995の範囲内であることがより好ましい。
ここで、上記平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行う。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
<トナー母体粒子の粒子径>
トナー母体粒子の粒子径は、体積基準のメジアン径(D50)で3〜10μmであると好ましい。体積基準のメジアン径を上記範囲とすることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できると共に、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。また、トナー流動性も確保できる。ここで、トナー母体粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、例えば、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
トナー母体粒子の体積基準のメジアン径は、後述のトナーの製造時の凝集・融着工程における凝集剤の濃度や溶剤の添加量、または融着時間、さらには樹脂成分の組成等によって制御することができる。
<外添剤>
本発明に係るトナーは、帯電性能や流動性、またはクリーニング性を向上させる観点から、トナー母体粒子表面に公知の無機粒子や有機粒子などの粒子、滑剤等を外添剤として含有することが好ましい。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子およびチタニア粒子などの無機酸化物粒子や、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、またはチタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などが挙げられる。
また、滑剤としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら外添剤は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸またはシリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであってもよい。外添剤は、単独でもまたは2種以上混合したものでも用いることができる。
上記の中でも、外添剤として、シリカ粒子(球形シリカ)、アルミナ粒子およびチタニア粒子などの無機酸化物粒子が好ましく用いられる。
外添剤の添加量(2種以上使用する場合は、その合計量)は、外添剤を含むトナー全体の質量を100質量%として、好ましくは0.05〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲内である。
外添剤の粒子径は特に制限されないが、数平均一次粒子径が2〜800nm程度の無機微粒子や数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の有機微粒子等の粒子が好ましい。なお、本明細書中、「数平均一次粒子径」とは、外添剤粒子の走査電子顕微鏡写真を2値化処理し、1万個について水平フェレ径を算出し、その平均を取った値をいう。
<トナーの製造方法>
本発明に係るトナーの製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、粒子径の均一性、形状の制御性、コアシェル構造形成の容易性の観点からは、乳化凝集法を採用することが好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂や離型剤の疎水性を利用して、トナー母体粒子中の結晶性ポリエステル樹脂が所望の位置となるように制御しやすいという観点からも、乳化凝集法を用いることが好ましい。以下、乳化凝集法について説明する。
≪乳化凝集法≫
乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう)の分散液を、離型剤の粒子(以下、「離型剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望の粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に着色剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。また、上記結着樹脂粒子の分散液、離型剤粒子の分散液に対し、着色剤粒子の分散液の形態で着色剤を添加してもよい。
乳化凝集法により本発明のトナーを製造する場合、好ましい実施形態による製造方法は、
(a)結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、非晶性樹脂粒子分散液および離型剤粒子分散液、さらに必要に応じて着色剤粒子分散液を調製する工程(以下、調製工程とも称する)
(b)結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、非晶性樹脂粒子分散液および離型剤粒子分散液、さらに必要に応じて着色剤粒子分散液を混合して凝集・融着させる工程(以下、凝集・融着工程とも称する)
を含む。
以下、工程(a)〜(b)、およびこれらの工程以外に任意で行われる工程(c)〜(g)について詳述する。
(a)調製工程
工程(a)は、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程、非晶性樹脂粒子分散液調製工程および離型剤粒子分散液調製工程、さらに必要に応じて着色剤粒子分散液調製工程を含む。
(a−1)結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程は、結着樹脂を構成する結晶性ポリエステル樹脂として、上記式(1)〜(4)の関係を満たす第1の結晶性ポリエステル樹脂および第2の結晶性ポリエステル樹脂を合成し、第1の結晶性ポリエステル樹脂および第2の結晶性ポリエステル樹脂を水性媒体中に微粒子状に分散させて第1の結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液および第2の結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液を調製する工程である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は上記記載したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液は、例えば、溶剤を用いることなく、水系媒体中において分散処理を行う方法、または結晶性ポリエステル樹脂を酢酸エチルやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶解させて溶液とし、分散機を用いて当該溶液を水系媒体中に乳化分散させた後、脱溶剤処理を行う方法などが挙げられる。
本発明において、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
結晶性ポリエステル樹脂はその構造中にカルボキシ基を含むため、当該カルボキシ基をイオン解離させて、水相に安定に乳化させて乳化を円滑に進めるためにアンモニア、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。さらに、水系媒体中には、分散安定剤が溶解されていてもよく、また油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
分散安定剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。また、分散安定性の向上のための樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリスチレン−アクリロニトリル樹脂粒子などが挙げられる。
このような上記分散処理は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、分散機としては、特に限定されるものではなく、ホモジナイザー、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機アルティマイザー、乳化分散機などが挙げられる。
分散の際には、溶液を加熱することが好ましい。加熱条件は特に限定されるものではないが、通常60〜200℃程度である。
このように準備された結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、60〜1000nmの範囲内が好ましく、80〜500nmの範囲内であることがより好ましい。なお、このメジアン径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさなどによって制御することができる。
また、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液における結晶性ポリエステル樹脂粒子の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲内が好ましく、15〜40質量%の範囲内がより好ましい。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制し、トナー特性を向上させることができる。
(a−2)非晶性樹脂粒子分散液調製工程
非晶性樹脂粒子分散液調製工程では、非晶性樹脂の水系分散液を準備する。上述のとおり、非晶性樹脂としては、ビニル樹脂が好適に用いられるため、以下では、ビニル樹脂粒子分散液の調製方法(調製工程)を説明する。
ビニル樹脂粒子分散液の調製工程では、ビニル樹脂の水系分散液を準備する。水系媒体中でたとえば乳化重合を行い、ビニル樹脂を得た場合には、重合反応後の液をそのままビニル樹脂粒子分散液として用いることができる。
または、単離したビニル樹脂を必要に応じて粉砕した後、界面活性剤の存在下、超音波分散機などを用いて水系媒体中にビニル樹脂を分散させる方法を用いることもできる。前記水系媒体および前記界面活性剤の例は、上記(a−1)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
ビニル樹脂粒子分散液中のビニル樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、60〜1000nmの範囲内が好ましく、80〜500nmの範囲内であることがより好ましい。なお、このメジアン径は、重合時の機械的エネルギーの大きさなどによってコントロールすることができる。
ビニル樹脂粒子分散液におけるビニル樹脂粒子の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲内とすることが好ましく、15〜40質量%の範囲内とすることがより好ましい。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制し、トナー特性を向上させることができる。
(a−3)離型剤粒子分散液調製工程
離型剤粒子分散液調製工程は、離型剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて離型剤粒子の分散液を調製する工程である。
当該水系媒体は上記(a−1)で説明したとおりであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
離型剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記(a−1)において説明したものを用いることができる。
離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径は、10〜300nmの範囲内であることが好ましい。
離型剤粒子分散液における離型剤粒子の含有量は、分散液全体に対して5〜45質量%の範囲内とすることが好ましく、8〜30質量%の範囲内とすることがより好ましい。このような範囲であると、ホットオフセット防止および分離性確保の効果が得られる。
(a−4)着色剤粒子分散液調製工程
着色剤粒子分散液調製工程は、必要に応じて行われる工程であり、着色剤を水性媒体中に微粒子状に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。
当該水系媒体は上記(a−1)で説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用した分散機で行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記(a−1)において説明したものを用いることができる。
着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、10〜300nmの範囲内であることが好ましい。
着色剤粒子分散液における着色剤の含有量は、分散液全体に対して5〜45質量%の範囲内であることが好ましく、10〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。このような範囲であると、色再現性確保の効果がある。
(b)凝集・融着工程
この凝集・融着工程は、水系媒体中で前述の第1の結晶性ポリエステル樹脂粒子、第2の結晶性ポリエステル樹脂粒子、非晶性樹脂粒子、および離型剤粒子、ならびに必要に応じて着色剤粒子を凝集させ、凝集させると同時にこれら粒子を融着させる工程である。
この工程では、まず、第1の結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液、第2の結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液、非晶性樹脂粒子分散液、および離型剤粒子分散液、さらに必要に応じて着色剤粒子分散液を混合し、水性媒体中にこれら粒子を分散させる。クリアトナーを製造する場合には、着色剤粒子分散液を添加せずに凝集・融着工程を行う。
次に、凝集剤を添加した後、非晶性樹脂粒子のガラス転移点以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩や第2族の金属の塩などの金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価または三価の金属塩を用いることが特に好ましい。これら凝集剤は単独でも、または2種以上を組み合わせても用いることができる。
前記凝集剤の使用量は、特に制限されないが、トナー母体粒子を構成する結着樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部の範囲内であり、より好ましくは1〜15質量部の範囲内である。
凝集工程においては、凝集剤を添加した後、加熱により速やかに昇温させることが好ましく、昇温速度は0.05℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、凝集用分散液が所望の温度に到達した後、当該凝集用分散液の温度を一定時間、好ましくは体積基準のメジアン径が4.5〜7.0μmになるまで保持して、融着を継続させることが肝要である。
乳化凝集法によってコアシェル構造を有するトナーを得る場合には、まず、コア部用の結着樹脂粒子と、必要に応じて着色剤および/または離型剤とを凝集・融着させてコア部(コア粒子)を作製し、次いで、コア部の分散液中にシェル部用の樹脂粒子を添加して、コア部表面にシェル部用の結着樹脂粒子を凝集・融着させて、コア部表面を被覆するシェル部を形成することにより得ることができる。
(c)熟成工程
この工程は、必要に応じて行われるものであって、当該熟成工程においては、凝集・融着工程によって得られた会合粒子を熱エネルギーにより所望の形状になるまで熟成させてトナー母体粒子を形成させる熟成処理が行われる。
熟成処理は、具体的には、会合粒子が分散された系を加熱撹拌し、会合粒子の形状を所望の円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間などを調整することにより、行われる。
(d)冷却工程
この工程は、トナー母体粒子の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理の条件としては、1〜20℃/分の冷却速度で冷却することが好ましい。冷却処理の具体的な方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法などを例示することができる。
(e)濾過・洗浄工程
この工程は、冷却されたトナー母体粒子の分散液から当該トナー母体粒子を固液分離し、固液分離によって得られたトナーケーキ(ウェット状態にあるトナー母体粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去して洗浄する工程である。
固液分離には、特に限定されずに、遠心分離法、ヌッチェなどを使用して行う減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用して行う濾過法などを用いることができる。
(f)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥する工程であり、一般的に行われる公知のトナー母体粒子の製造方法における乾燥工程に従って行うことができる。
具体的には、トナーケーキの乾燥に使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
(g)外添剤の添加工程
この工程は、トナー母体粒子に対して外添剤を添加する場合に必要に応じて行う工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、サンプルミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
≪現像剤≫
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積平均粒子径としては20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの体積平均粒子径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定することができる。
二成分現像剤は、上記のキャリアとトナーとを、混合装置を用いて混合することにより作製することができる。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合器等が挙げられる。
二成分現像剤を作製する際のトナーの配合量は、キャリアとトナーとの合計100質量%に対して、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
<画像形成方法>
本発明に係る画像形成方法は、
感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する工程と、
形成されたトナー画像を記録材上に転写する工程と、
前記記録材の表面上に前記トナー画像を定着させる工程と、を有する画像形成方法であって、
前記トナー画像を定着させる工程は、
内周面および外周面を有し、周方向に沿って回転移動可能な加熱部材と、
非回転の対向面を有し、前記対向面が前記加熱部材の内周面に接触するように配置されたニップ形成部材と、
前記加熱部材の外周面に接触するように配置され、前記加熱部材を介して前記対向面に押圧されることで、前記加熱部材の外周面との間に前記定着ニップを形成する加圧部材と、を有する定着部に前記記録材を通過させることを含み、
前記トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂と、を含有し、
前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす、画像形成方法。
≪帯電工程・静電潜像形成工程≫
感光体11は帯電部12によって全面が帯電されたのち(帯電工程)、露光部13によって画像データに応じた露光により感光体11に潜像が形成される(静電潜像形成工程)。ここでは、色ごとの画像形成部10A〜10Dによって各色の潜像が形成される。
≪現像工程≫
現像部14に、それぞれの画像形成部10A〜10Dに対応した色のトナーが収容されており、感光体11に形成された潜像は、現像部14に収容された各色のトナーによって現像される。各色は、前述した着色剤のように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等がある。
≪転写工程≫
前記転写工程においては、現像された各色のトナー画像は中間転写ベルト21上に転写され(一次転写)、順次重ねられてフルカラーのトナー画像が形成される(転写工程)。
≪定着工程≫
前記定着工程においては、記録材20上の未定着画像(トナー画像)tは定着部30に搬送されて定着される(定着工程)。
上記各工程のより詳細な説明は、前述した画像形成装置の現像部、転写部および定着部の説明を参考することができる。ここでは、各工程の詳細な説明を省略する。
<記録材>
記録材(記録媒体、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、または、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、またはそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例により、さらに本発明を説明する。しかしここに挙げた実施例は本発明の適用例であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[各分析条件]
<非晶性樹脂のガラス転移温度および結晶性樹脂の融点>
非晶性樹脂(スチレンアクリル樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。まず、測定試料(樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、「ダイヤモンドDSC」のサンプルホルダーにセットした。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。そして、昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/分で200℃から0℃まで冷却する冷却過程、および昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によってDSC曲線を得た。この測定によって得られたDSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度(Tg)とした。
また、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、上記と同様にして得られたDSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における結晶性樹脂に由来する吸熱ピーク(半値幅が15℃以内である吸熱ピーク)のピークトップの温度を融点(Tc)とした。
<樹脂の重量平均分子量および数平均分子量>
各樹脂のGPCによる分子量(重量平均分子量および数平均分子量)は、以下のようにして測定した。
すなわち、装置「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流した。測定試料(樹脂)は、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させた。当該溶液の調製は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行うことにより行った。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出した。単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出した。上記検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製>
≪結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕の合成≫
窒素導入管、脱水管、撹拌装置および熱電対を装備した四つ口フラスコに下記の重縮合系樹脂の原料モノマーおよびエステル化触媒としてTi(O−n−Bu) 0.8質量部を入れ、180℃で4時間反応させた。
・ドデカンジオール 250質量部
・デカン二酸 250質量部
その後、毎時10℃で210℃まで昇温し、210℃で5時間保持した後、減圧下(8kPa)にて1時間反応させることで結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕は、数平均分子量(Mn)が4,500、融点が81℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液〔C1〕の調製≫
結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕30質量部を溶融させて溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、濃度0.37質量%の希アンモニア水(水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈したもの)を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cmの条件で運転し、その後、イオン交換水を加えて固形分量が20質量%となるように調整し体積基準のメジアン径が200nmの結晶性ポリエステル樹脂粒子を含む分散液〔C1〕を調製した。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液〔C2〕〜〔C9〕の調製≫
結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕の合成において、原料モノマーを表1のように変更した以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂〔C2〕〜〔C9〕を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液〔C1〕の調製で、結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕を〔C2〕〜〔C9〕に変更した以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液〔C2〕〜〔C9〕を得た。
<非晶性樹脂粒子分散液の調製>
≪非晶性樹脂粒子分散液〔B1〕の調製≫
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該反応容器の内温を80℃に昇温させた。昇温後、得られた混合液に過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、得られた混合液の温度を再度80℃とした。当該混合液に、下記組成からなる単量体混合液1を1時間かけて滴下後、80℃にて前記混合液を2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子の分散液a1を調製した。
(単量体混合液1)
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、当該溶液を80℃に加熱後、80質量部の樹脂粒子の分散液a1(固形分換算)と、下記組成からなる単量体および離型剤を90℃にて溶解させた単量体混合液2とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CLEARMIX」は同社の登録商標)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。下記ベヘン酸ベヘニルは、離型剤であり、その融点は73℃である。
(単量体混合液2)
スチレン 285質量部
n−ブチルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
ベヘン酸ベヘニル 190質量部
次いで、前記分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、得られた分散液を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子の分散液a2を調製した。
(3)第3段重合
さらに、樹脂粒子の分散液a2にイオン交換水400質量部を添加し、十分に混合した後、得られた分散液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、前記分散液を2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ビニル樹脂(スチレンアクリル樹脂)を含む非晶性樹脂粒子分散液〔B1〕を調製した。
(単量体混合液3)
スチレン 307質量部
n−ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
得られた非晶性樹脂粒子分散液〔B1〕について物性を測定したところ、非晶性樹脂粒子の体積基準のメジアン径(d50)は220nmであり、ガラス転移温度(Tg)は46℃であり、重量平均分子量(Mw)は32000であった。
≪非晶性樹脂粒子分散液〔B2〕の調製≫
両性化合物(アクリル酸)を含む下記組成からなる、単量体混合液6を滴下ロートに入れた。なお、ジ−t−ブチルパーオキサイドは、重合開始剤である。
(単量体混合液1)
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
アクリル酸 10質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 16質量部
また、下記の重縮合系セグメント(非晶性ポリエステルセグメント)の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
次いで、得られた溶液に、撹拌下で単量体混合液1を90分間かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて単量体混合液1の成分のうちの未反応のモノマーを四つ口フラスコ内から除去した。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を四つ口フラスコ内に0.4質量部投入し、当該四つ口フラスコ中の混合液を235℃まで昇温し、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)で1時間の条件で反応を行い、非晶性樹脂〔B2〕を得た。
100質量部の非晶性樹脂〔B2〕を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。
得られた混合液を、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)によって、V−LEVELが300μAの条件で30分間超音波分散した。
その後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を用いて前記混合液を減圧下で3時間撹拌して酢酸エチルを完全に除去した。こうして、固形分量が13.5質量%の非晶性樹脂粒子分散液〔B2〕を調製した。分散液における樹脂粒子の体積基準のメジアン径(d50)は160nmであった。
<着色剤粒子分散液の調製>
・ドデシル硫酸ナトリウム 90質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 200質量部
・イオン交換水 1600質量部
上記の成分を混合した溶液をウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で20分間処理することによりシアン着色剤粒子分散液〔Cy〕を調製した。得られたシアン着色剤粒子分散液〔Cy〕について、着色剤粒子の体積基準のメジアン径は180nmであった。
<トナー1および現像剤1の作製>
≪凝集・融着工程および熟成工程≫
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、288質量部の非晶性樹脂粒子分散液〔B1〕(固形分換算)および2000質量部のイオン交換水を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して当該反応容器中の分散液のpHを10(測定温度25℃)に調整した。
前記分散液に、30質量部の着色剤分散液(固形分換算)を投入した。次いで、凝集剤として塩化マグネシウム30質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて前記分散液に添加した。得られた混合液を80℃まで昇温し、40質量部の結晶性樹脂粒子分散液〔C1〕および93質量部の結晶性樹脂粒子分散液〔C5〕(固形分換算)を10分間かけて前記混合液に添加して凝集を進行させた。
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて前記混合液中で会合した粒子の粒径を測定し、当該粒子の体積基準のメジアン径d50が6.0μmになった時点で、37質量部のシェル用の非晶性樹脂粒子分散液〔B2〕(固形分換算)を前記混合液に30分間かけて投入した。得られた反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を前記反応液に添加して粒子成長を停止させた。
さらに、前記反応液を80℃に加熱し撹拌することにより、粒子の融着を進行させた。
≪冷却工程≫
その後、トナー粒子の平均円形度の測定装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数:4000個)平均円形度が0.957になった時点で5℃/分の冷却速度で30℃に冷却した。
≪濾過・洗浄工程および乾燥工程≫
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子〔Cy1〕を得た。
≪外添剤の添加工程≫
得られたトナー粒子〔Cy1〕100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により回転翼周速35m/sec、32℃で20分間混合する外添剤処理工程後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、トナー1を得た。
≪現像剤の作製工程≫
トナー1に対して、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合樹脂(モノマー質量比=1:1)を被覆した体積平均粒子径30μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が6質量%となるようにして混合することにより、現像剤1を得た。
<トナー2〜9および現像剤2〜9の作製>
用いた樹脂種および含有比率を表2のように変更した以外は同様にしてトナー2〜9を作製し、各トナーから現像剤2〜9を得た。
<トナー10および現像剤10の作製>
トナー1の作製において、非晶性樹脂粒子分散液〔B2〕を用いなかった以外は同様にしてトナー10を作製し、トナー10から現像剤10を得た。
その中、トナー1〜6および10は、本発明に係るトナーであり、トナー7〜9は、比較例である。
<測定・評価>
本発明において画像形成装置の構成は、それぞれ以下のようにした。
・実施例1〜8および比較例1〜3
複写機「bizhub PRO(登録商標) C6501」(コニカミノルタ株式会社製)において、定着装置を、図1および図2に示すような構成で、かつ定着用ヒートローラーの表面温度を100〜200℃の範囲内で変更することができるよう改造し、上記の現像剤1〜10をそれぞれ装填した。
また、実施例8においては部材33Cを取り付けず、範囲Nにおいて部材33が均等に接するようにした。
・比較例4
複写機「bizhub PRO(登録商標) C6501」(コニカミノルタ株式会社製)において、定着装置を、定着用ヒートローラーの表面温度を100〜210℃の範囲内で変更することができるように改造したものに、上記の現像剤1を装填した。
≪定着温度≫
評価紙として、「NPi上質紙(128g/m)」(日本製紙株式会社製)を用い、常温常湿(温度20℃、相対湿度55%RH)において、トナー付着量8mg/10cmのベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を95℃から5℃刻みで増加させるよう変更しながら200℃まで繰り返し行った。次いで、各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、折り機で上記ベタ画像に荷重をかけるように折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、折り目を下記の評価基準に示す5段階にランク付けした。
ランク5:全く折れ目なし
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
ランク1:大きな剥離あり
ランク3となる定着実験のうち、最も定着温度の低い定着実験における定着温度を、最低定着温度として評価した。最低定着温度が150℃以下であれば合格である。
評価結果を表3に示す。
≪光沢均一性≫
評価紙として、「PODグロスコート紙(128g/m)(王子製紙社製)」上に、トナー付着量8mg/10cmのベタ画像を定着させ、そのベタ画像の最大光沢度と最小光沢度との差(Gloss差)を算出し、下記評価基準に従って評価した。◎〜△を合格とした。
評価結果を表3に示す。
◎:Gloss差≦3(最高光沢度と最低光沢度の差がほとんどわからない)
○:3<Gloss差≦8(最高光沢度と最低光沢度の差が少しあるが実用上問題ない)
△:8<Gloss差≦15(最高光沢度と最低光沢度の差があるが実用上問題ない)
×:15<Gloss差(最高光沢度と最低光沢度の差がはっきりしており、実用上問題がある)。
≪定着分離性≫
定着部の表面温度を190℃に設定し、常温常湿(温度20℃、相対湿度55%RH)において、縦送りで搬送したA4サイズの記録材「OKプリンス上質(52.3g/m)(王子製紙社製)」上に、トナー付着量8mg/10cmの加熱ローラーの軸方向に伸びる10cm幅のベタ帯状画像を定着させ、その分離性を下記評価基準に従って評価した。○および△を合格とした。
評価結果を表3に示す。
○:記録材がカールすることなく加熱ローラーと分離できる、画像劣化なし、
△:記録材が加熱ローラーと分離するが、画像上に白スジが観察される、
×:加熱ローラーヘの巻き付きが発生してしまい、当該加熱ローラーと分離できない。
表3に示した評価結果からわかるように、実施例1〜8と比較例1〜4を比較すると、ニップ形成部材と本発明に係るトナーを使用した実施例1〜8は、光沢均一性、定着温度、および定着分離性のいずれも比較例1〜3より良好であることがわかる。
また、比較例1〜3のように、トナーが式(1)〜(4)の少なくとも1つを満たさない場合には、実施例と比較して低温定着性および光沢均一性が低下したことがわかる。また、比較例4は、パッド定着システムを有していない画像形成装置を用いた例であり、定着分離性が実施例と比較すると低下している。
また、同じトナー1を使用している実施例1と実施例8を比較すると、ニップ形成部材33(パッド)に凸部33Cを設けた実施例1の方が最低定着温度が低い。このことから、いっそう定着温度を下げるためには凸部が有効であることがわかる。
10 未定着画像、
10A〜10D 画像形成部、
11 感光体、
12 帯電部、
13 露光部、
14 現像部、
20 記録材、
20A 表面、
21 中間転写ベルト、
22 給紙ローラー、
23 タイミングローラー、
24 転写ローラー、
15、25 クリーニング部、
26 排紙ローラー、
30 定着部、
31 加熱部材、
31A 内周面、
31B 外周面、
32 加熱部、
32A 熱源、
32B 加熱ローラー、
33 ニップ形成部材、
33A 対向面、
33A1、33B1 上流端部、
33A2、33B2 下流端部、
33B ニップ形成範囲、
33BF 平坦領域、
33C 凸部、
33C1 第1変曲点、
33C2 第2変曲点、
34 潤滑剤塗布部材、
35 支持部材、
36 加圧部材、
36A 芯金、
36B 弾性層、
100 画像形成装置。

Claims (10)

  1. トナーを収容し、感光体上に形成された静電潜像を前記トナーで現像する現像部と、
    形成されたトナー画像を記録材上に転写する転写部と、
    前記トナー画像が表面に形成された前記記録材を定着ニップに通過させ、前記記録材の表面上に前記トナー画像を定着させる定着部と、を有する画像形成装置であって、
    前記定着部は、
    内周面および外周面を有し、周方向に沿って回転移動可能な加熱部材と、
    非回転の対向面を有し、前記対向面が前記加熱部材の内周面に接触するように配置されたニップ形成部材と、
    前記加熱部材の外周面に接触するように配置され、前記加熱部材を介して前記対向面に押圧されることで、前記加熱部材の外周面との間に前記定着ニップを形成する加圧部材とを有し、
    前記トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂を含有し、
    前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす、画像形成装置。
  2. 前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂の含有量が、前記非晶性樹脂と前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との総質量に対して1〜35質量%である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))と、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))とが、下記式(5)の関係を満たす、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))と、前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))とが、下記式(6)および(7)の関係を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂との質量比(第1の結晶性樹脂/第2の結晶性樹脂)が60/40〜1/99である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記トナーが、コアシェル構造を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記非晶性樹脂がスチレンアクリル樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記定着部が、前記定着ニップが形成されている位置とは異なる位置で前記加熱部材を加熱する加熱部を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記ニップ形成部材の前記対向面は、前記加熱部材を介して前記加圧部材に押圧されることで前記定着ニップの形状を規定するニップ形成範囲を含み、
    前記ニップ形成範囲には、前記定着ニップの側に向かって突出する形状を有する凸部が設けられている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する工程と、
    形成されたトナー画像を記録材上に転写する工程と、
    前記記録材の表面上に前記トナー画像を定着させる工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記トナー画像を定着させる工程は、
    内周面および外周面を有し、周方向に沿って回転移動可能な加熱部材と、
    非回転の対向面を有し、前記対向面が前記加熱部材の内周面に接触するように配置されたニップ形成部材と、
    前記加熱部材の外周面に接触するように配置され、前記加熱部材を介して前記対向面に押圧されることで、前記加熱部材の外周面との間に前記定着ニップを形成する加圧部材と、を有する定着部に前記記録材を通過させることを含み、
    前記トナーは、非晶性樹脂と、離型剤と、第1の結晶性樹脂と、第2の結晶性樹脂と、を含有し、
    前記第1の結晶性樹脂および前記第2の結晶性樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とをモノマー成分とする結晶性ポリエステル樹脂であり、前記第1の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C1(alcohol))、前記第2の結晶性樹脂の多価アルコール成分の炭素数(C2(alcohol))、前記第1の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C1(acid))、および前記第2の結晶性樹脂の多価カルボン酸成分の炭素数(C2(acid))が、下記式(1)〜(4)の関係を満たす、画像形成方法。
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