JP2019138775A - 磁界センサ素子及び磁界センサ装置 - Google Patents

磁界センサ素子及び磁界センサ装置 Download PDF

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【課題】ファラデー効果を利用して磁界を検出する磁界センサ素子及び磁界センサ装置であって、温度特性に優れ、小型で、光学系がシンプルなものを提供する。【解決手段】磁界センサ素子(1)は、入射光を伝搬する入射用光ファイバ(20)と、平均粒径が2nm以上かつ10nm未満の強磁性金属の微粒子(31)が金属フッ化物の誘電体(32)中に分散しており、入射光を透過させるグラニュラー膜(30)と、グラニュラー膜を透過した光をグラニュラー膜に向けて反射する反射膜(40)と、反射膜で反射しグラニュラー膜を透過した戻り光を伝搬する出射用光ファイバ(20)とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、磁界センサ素子及び磁界センサ装置に関する。
ファラデー効果による光の変調を利用して電流磁界を計測する磁界センサ装置が提案されている。ファラデー効果とは、磁界の方向と平行に直線偏光が伝搬するときに偏光面が回転する現象のことである。こうした磁界センサ装置(磁界センサ素子)のヘッド部には、磁界に応じて光変調を生じる感応素子が配置されている。その感応素子の例として、鉄ガーネット結晶や鉛ファイバ、高複屈折ファイバ等が提案されている。例えば、特許文献1には、磁性ガーネットのファラデー効果を利用した磁気光学効果型の電磁界センサが記載されている。
特許文献2には、磁気光学材料と誘電体材料よりなり、周期的に繰り返し構造を有する多層膜であって、繰り返し周期が多層膜の中心を対称として反転した構造の多層膜ファラデー回転子よりなる多層膜磁界感応素子となし、外部から負荷される磁界によって透過率又は反射率が変化する性能を有する磁界感応素子が記載されている。
また、特許文献3には、絶縁体マトリックスとnmサイズの金属グラニュールからなるナノグラニュラー構造を有する薄膜誘電体が記載されている。特許文献4には、フッ化物マトリックスとnmサイズの磁性金属グラニュールからなるナノグラニュラー構造を有する透光性磁性体が記載されている。
国際公開第2007/000947号 特開2000−206218号公報 特開2012−069428号公報 特開2017−098423号公報
磁界センサ装置の感応素子として各種光ファイバを用いた場合、ベルデ定数が小さく電線等に多数周回させる必要があるため、センサヘッドを小型化することは難しい。特許文献1,2で提案されたファラデー効果型の磁界感応素子は、キュリー温度が200℃〜300℃の磁性ガーネットを用いており、高温環境下で磁化が大きく低下するため、温度特性が悪い。また、磁性ガーネットは結晶材料であるため、センサヘッド(ファイバ端)に直接成膜することが難しく、特に特許文献2の磁界感応素子では、化合物の正確な組成制御も必要である。光をプローブにした従来のファラデー効果型の磁界センサ装置は、高い電磁ノイズ耐性を有するものの、広い温度範囲で動作可能で小型かつ軽量の磁界センサ装置は未だ実現されていない。
そこで、本発明は、ファラデー効果を利用して磁界を検出する磁界センサ素子及び磁界センサ装置であって、温度特性に優れ、小型で、光学系がシンプルなものを提供することを目的とする。
入射光を伝搬する入射用光ファイバと、平均粒径が2nm以上かつ10nm未満の強磁性金属の微粒子が金属フッ化物の誘電体中に分散しており、入射光を透過させるグラニュラー膜と、グラニュラー膜を透過した光をグラニュラー膜に向けて反射する反射膜と、反射膜で反射しグラニュラー膜を透過した戻り光を伝搬する出射用光ファイバとを有することを特徴とする磁界センサ素子が提供される。
上記の磁界センサ素子では、グラニュラー膜の光透過率が20%以上かつ30%以下であることが好ましい。
上記の磁界センサ素子では、強磁性金属が、Fe及びCoの少なくとも一方を含み、金属フッ化物がMgF又はYFであることが好ましい。
上記の磁界センサ素子では、グラニュラー膜中における強磁性金属の体積Mと金属フッ化物の体積Fとの比M/(M+F)が0.2よりも大きくかつ0.5未満であることが好ましい。
上記の磁界センサ素子では、入射用光ファイバと出射用光ファイバは同一の光ファイバであり、グラニュラー膜は光ファイバの端面に形成され、反射膜はグラニュラー膜上に形成されていることが好ましい。
あるいは、上記の磁界センサ素子では、入射用光ファイバと出射用光ファイバは同一の光ファイバであり、磁界センサ素子は、光ファイバの出射端部に配置された光コリメータと、光コリメータとグラニュラー膜の間に配置されたλ/4板とをさらに有し、グラニュラー膜は、光ファイバの出射端部から離間して配置され、光コリメータは、光ファイバを伝搬してきた光を平行光として空間に出射するとともに、反射膜からの空間伝搬光である反射光を光ファイバに入射させることが好ましい。
あるいは、上記の磁界センサ素子では、入射用光ファイバと出射用光ファイバは同一の光ファイバであり、磁界センサ素子は、光ファイバで構成される経路の途中に挿入されたλ/4板をさらに有し、グラニュラー膜は、光ファイバで構成される経路の途中に挿入され、反射膜は光ファイバの端面に形成されていることが好ましい。
あるいは、上記の磁界センサ素子では、光分岐部を有し入射用光ファイバと出射用光ファイバとが接続される平面光波回路をさらに有し、グラニュラー膜は平面光波回路の端面に形成され、反射膜はグラニュラー膜上に形成され、出射用光ファイバは偏波保持光ファイバであり、調心されて平面光波回路に接続されていることが好ましい。
また、上記のいずれかの磁界センサ素子と、入射用光ファイバに入射光として直線偏光を導入する発光装置と、出射用光ファイバから導出された戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、S偏光成分及びP偏光成分を受光して電気信号に変換し、電気信号を処理する受光装置とを有することを特徴とする磁界センサ装置が提供される。
上記の磁界センサ素子及び磁界センサ装置は、温度特性に優れ、小型で、光学系がシンプルであり、ファラデー効果を利用して磁界を検出することができる。
磁界センサ装置1の全体構成図である。 グラニュラー膜30での偏光面の回転について説明する図である。 グラニュラー膜30の模式図である。 信号処理部70の例を示すブロック図である。 他の磁界センサ素子10Aの斜視図、断面図及び分解断面図である。 他の磁界センサ素子10Bの平面図及び断面図である。 他の磁界センサ素子10Cの平面図である。 グラニュラー膜30の磁化の温度特性を示すグラフである。 グラニュラー膜の成膜温度と膜中の磁性体粒子の平均粒径との関係を示すグラフである。 異なる温度で成膜されたグラニュラー膜の磁化の温度特性を示すグラフとグラニュラー膜の断面写真である。 グラニュラー膜の透過率と磁界センサ素子の出力のSN比との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、磁界センサ素子及び磁界センサ装置について説明する。ただし、本発明は図面又は以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1は、磁界センサ装置1の全体構成図である。磁界センサ装置1は、磁界センサ素子10と、発光装置50と、ハーフミラー53と、受光装置60とを有する。磁界センサ素子10は、光ファイバ20と、グラニュラー膜30と、反射膜40とを有する。発光装置50は、発光素子51と、偏光子52とを有し、光ファイバ20に入射光として直線偏光を導入する。受光装置60は、λ/2板62と、偏光分離素子64と、受光素子66S,66Pと、信号処理部70とを有し、光ファイバ20から導出された戻り光を受光する。
磁界センサ装置1では、光ファイバ20の後端側(発光装置50側)の端面は、発光装置50と受光装置60に光学的に接続されている。発光装置50は直線偏光を出射し、その直線偏光は、ハーフミラー53を透過して、後端側の端面から光ファイバ20に入射する。光ファイバ20に入射した直線偏光は、光ファイバ20を経由してグラニュラー膜30を透過し、反射膜40で反射し、再びグラニュラー膜30を透過して戻り光となる。この戻り光は、再び光ファイバ20を伝搬し、ハーフミラー53を経由して、受光装置60に入る。
図2は、グラニュラー膜30での偏光面の回転について説明する図である。図2の上側では、発光装置50からの入射光と反射膜40で反射した戻り光を矢印で示している。光の進行方向に直交する平面をXY面と定義し、グラニュラー膜30への入射前の(A)における偏光方向がY方向であるとする。グラニュラー膜30は、強磁性金属の微粒子31(以下、磁性体粒子31という)(図1を参照)を有し、磁界の存在下において、直線偏光がグラニュラー膜30を透過する際に、(B)に示すように、ファラデー効果により偏光面がθだけ回転する。その後、入射光が反射膜40で反射して再度グラニュラー膜30を透過する際に、(C)に示すように、ファラデー効果により偏光面がさらに回転し、ファラデー回転角がθよりも大きいθになる。
ファラデー回転角の大きさは磁界の強さによって変化するため、受光装置60で戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、それらを受光してそれぞれの強度を求めることで、周囲の磁界を検出することができる。その磁界が導体を流れる電流によって生じている場合には、その電流値を測定することができる。
光ファイバ20は、発光装置50からの入射光である直線偏光をグラニュラー膜30まで伝搬し、グラニュラー膜30を透過して反射膜40で反射した戻り光を受光装置60まで伝搬する。光ファイバ20は、磁界センサ素子10の入射用光ファイバであるとともに、出射用光ファイバでもある。図1の符号21は光ファイバ20のコアであり、符号22は光ファイバ20のクラッドである。光ファイバ20は、シングルモード光ファイバであってもよいが、偏波保持光ファイバであることが好ましい。光ファイバ20が偏波保持光ファイバであれば、直線偏光を一定強度に保持した状態で伝搬してグラニュラー膜30に入射させ、反射膜40で反射して再度グラニュラー膜30を透過した戻り光を一定強度に保持した状態で伝搬することができる。光ファイバ20の直径は特に限定されないが、125μmのものが一般的に使用されている。
図3は、グラニュラー膜30の模式図である。グラニュラー膜30は、図1に示すように、光ファイバ20の先端側(発光装置50とは反対側)の端面27に形成されている。グラニュラー膜30では、図3に示すように、ナノオーダの磁性体粒子31が誘電体32から安定的に相分離した状態で誘電体32中に分散している。例えば最表層等のごく一部では酸化物が形成されていてもよいが、グラニュラー膜30では、全体として、磁性体粒子31が、バインダとなる誘電体と化合物を作らずに、単独で薄膜中に分散している。グラニュラー膜30内における磁性体粒子31の分布は、完全に一様でなくてもよく、多少偏っていてもよい。誘電体32として透明性が高いものを用いれば、誘電体32中に磁性体粒子31が光の波長よりも小さいサイズで存在することにより、グラニュラー膜30は光透過性を有する。
グラニュラー膜30は、単層のものに限らず、グラニュラー膜と誘電体膜とが交互に積層した多層膜であってもよい。グラニュラー膜30を多層膜とすれば、グラニュラー膜30内での多重反射によって、より大きなファラデー回転角が得られる。
磁性体粒子31の材質は、ファラデー効果を生じるものであればよく、特に限定されないが、磁性体粒子31の材質としては、強磁性金属である鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)並びにこれらの合金が挙げられる。その合金としては、例えば、FeNi合金、FeCo合金、FeNiCo合金、NiCo合金が挙げられる。Fe、Co及びNiの単位長さ当たりのファラデー回転角は、従来のファラデー回転子に適用されている磁性ガーネットに比べて2〜3桁近く大きく、検出が容易である。
誘電体32としては、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化イットリウム(YF)等のフッ化物(金属フッ化物)が好ましい。あるいは、誘電体32として、酸化タンタル(Ta)、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、五酸化二ニオビウム(Nb)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化ハフニウム(HfO)、三酸化二アルミニウム(Al)等の酸化物を用いてもよい。誘電体32と磁性体粒子31との良好な相分離のためには、酸化物よりもフッ化物の方が好ましく、フッ化マグネシウムは透過率が高いので、特に好ましい。
反射膜40は、図1〜図3に示すように、グラニュラー膜30上に形成されており、グラニュラー膜30を透過した光をグラニュラー膜30に向けて反射する。反射膜40としては、例えば、Ag(銀)膜、Au(金)膜、Al(アルミニウム)膜又は誘電体多層膜ミラー等を用いることができる。特に、反射率の高いAg膜や耐食性が高いAu膜が成膜上簡便で好ましい。反射膜40の厚さは、98%以上の十分な反射率を確保できる大きさであればよく、例えばAg膜の場合には、50nm以上かつ200nm以下であることが好ましい。反射膜40を用いてグラニュラー膜30内で光を往復させることにより、ファラデー回転角を大きくすることができる。
発光素子51は、例えば、半導体レーザ又は発光ダイオードである。具体的には、発光素子51として、ファブリペローレーザー、スーパールミネッセンスダイオード等を好ましく用いることができる。
偏光子52は、発光素子51が発した光を直線偏光にするための光学素子であり、その種類は特に限定されない。偏光子52で得られる直線偏光は、光ファイバ20に導入される。
ハーフミラー53は、発光装置50からの直線偏光を光ファイバ20に導入するとともに、磁界センサ素子10からの戻り光を受光装置60に送る。直線偏光を光ファイバ20へ導入するための光学素子は、ハーフミラー53に限らず、光ファイバを結合分岐するための光カプラや、光を分割するビームスプリッタ、又は光サーキュレータであってもよい。
λ/2板62は、磁界センサ素子10からの戻り光の偏光成分間にλ/2(180°)の位相差を与え、偏光方向を回転させて出射させるものであり、偏光分離素子64の手前側に配置されている。λ/2板62としては、複屈折材料等を利用した一般的なものを使用できる。あるいは、λ/2板62の代わりに、λ/4板を磁界センサ素子10内に配置しても同様の効果が得られる。この場合、λ/4板をグラニュラー膜30と反射膜40との間に挿入することが望ましく、そうすれば、λ/4板の内部を光が往復することで、λ/4板が反射型のλ/2板として機能する。
偏光分離素子64は、λ/2板62で位相変調された戻り光のS偏光成分65SとP偏光成分65Pとを分離する。偏光分離素子64としては、プリズム型、平面型、ウェッジ基板型又は光導波路型等の偏光ビームスプリッタ(PBS)を用いることができる。
受光素子66SはS偏光成分65Sを受光し、受光素子66PはP偏光成分65Pを受光して、それぞれ電気信号に変換(光電変換)する。受光素子66S,66Pとしては、例えばPINフォトダイオード等を用いることができる。
図4は、信号処理部70の例を示すブロック図である。信号処理部70は、増幅器71P,71Sと、除算回路(アナログIC)72,73と、差動増幅回路74とを有し、受光素子66S,66Pにより光電変換された電気信号から2つの偏光成分の強度を差分検出し、その数値を電流値に置き換える。増幅器71Pは、受光素子66Pにより光量LpのP偏光成分65Pから得られた電気信号Epを増幅する。増幅器71Sは、受光素子66Sにより光量LsのS偏光成分65Sから得られた電気信号Esを増幅する。除算回路72は、増幅された電気信号Epで電気信号Esを除算し、その出力値を差動増幅回路74のマイナス側に入力する。除算回路73は、増幅された電気信号Esで電気信号Epを除算し、その出力値を差動増幅回路74のプラス側に入力する。差動増幅回路74は、除算回路73,74の出力値を差動増幅して最終的な電流値に変換する。
図5(A)〜図5(C)は、それぞれ、他の磁界センサ素子10Aの斜視図、断面図及び分解断面図である。図5(B)では、図5(A)のVB−VB線に沿った磁界センサ素子10Aの断面を示している。磁界センサ素子10Aは、光コリメータを用いた一軸型空間結合系のセンサ素子であり、光ファイバ20と、保護部材25と、回転スリーブ26と、グラニュラー膜30と、透明基板33と、λ/4板34と、反射膜40と、光コリメータ80とを有する。このうち、グラニュラー膜30と反射膜40は、図1の磁界センサ素子10のものと同じである。グラニュラー膜30と反射膜40は、薄膜なので、図示を分かり易くするために、図5(B)では省略されている。磁界センサ装置1では、磁界センサ素子10に代えて磁界センサ素子10Aを用いてもよい。
光ファイバ20は、発光装置50から入射した直線偏光を伝搬する入射用光ファイバであるとともに、戻り光を受光装置60まで伝搬する出射用光ファイバでもある。保護部材25は、光ファイバ20の出射端部(図1の発光装置50とは反対側の端部)を覆う部材であり、回転スリーブ26は、保護部材25の一端部に取り付けられた円筒形の部材である。保護部材25及び回転スリーブ26の材質としては、例えば、ガラス、セラミック、金属、合成樹脂が挙げられる。
光コリメータ80は、光ファイバ20の出射端部において、保護部材25と回転スリーブ26により覆われるように配置されており、キャピラリ81と、鏡筒82と、コリメートレンズ83とを有する。キャピラリ81は、光ファイバ20の出射端部が取り付けられる部材であり、鏡筒82は、キャピラリ81の端部を取り囲む円筒形の部材である。コリメートレンズ83は、鏡筒82の端部に埋め込まれており、光ファイバ20を伝搬してきた光をコリメート光(平行光)として回転スリーブ26内の空間に出射するとともに、その出射光の反射光を光ファイバ20に入射させる。
グラニュラー膜30は、透明基板33上に成膜され、光ファイバ20の出射端部から離間して、回転スリーブ26の端部に配置されている。透明基板33の材質としては、例えば、ガラス、水晶、合成樹脂が挙げられる。λ/4板34は、光コリメータ80とグラニュラー膜30との間に配置されており、直線偏光を円偏光又は楕円偏光に変換し、円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換する。反射膜40は、透明基板33のグラニュラー膜30とは反対側の面に形成されている。ただし、図示した形態とは異なり、グラニュラー膜30と反射膜40の両方を、透明基板33の片面に積層してもよい。この場合、透明基板33の保護部材25側の面に、反射膜40とグラニュラー膜30をこの順で積層するか、透明基板33の保護部材25とは反対側の面に、グラニュラー膜30と反射膜40をこの順で積層すればよい。
磁界センサ素子10Aでは、λ/4板34、グラニュラー膜30、透明基板33及び反射膜40は、この順で互いに密着しており、それらは回転スリーブ26内の空間の端部を塞いでいる。また、反射膜40は、コリメートレンズ83により集光された空間伝搬光LのビームウェストWの位置に合わせて配置されている。
磁界センサ素子10Aでは、光ファイバ20を伝搬してきた発光装置50からの直線偏光は、光コリメータ80のキャピラリ81を通過し、コリメートレンズ83を介して回転スリーブ26内の空間に出射される。その出射光は、λ/4板34を透過して円偏光に変換され、グラニュラー膜30及び透明基板33を透過し、反射膜40で反射し、再び透明基板33、グラニュラー膜30及びλ/4板34を透過して直線偏光に変換され、コリメートレンズ83を通過し、戻り光として光ファイバ20に入射する。磁界センサ素子10Aの周囲に磁界が印加されていると、光がグラニュラー膜30を透過する際に、その磁界の強度に応じて偏光面が回転する。
磁界センサ素子10Aでは、光ファイバ20を伝搬する直線偏光にλ/4板34でP波、S波の位相変調を生じさせる。磁界センサ素子10Aを使用する磁界センサ装置1では、予め、受光装置60で受光されるP偏光成分とS偏光成分の光強度が一致する状態をゼロ点としておく。これにより、外部磁界によってグラニュラー膜30で偏光面の回転が生じた場合、各偏光成分の光強度が直線的に変化するため、センサとして利用し易い。
図6(A)及び図6(B)は、他の磁界センサ素子10Bの平面図及び断面図である。図6(B)では、図6(A)のVIB−VIB線に沿った磁界センサ素子10Bの断面を示している。磁界センサ素子10Bは、センサヘッド基材16と、光ファイバ20B,21B,22Bと、グラニュラー膜30と、透明基板33と、λ/4板34と、反射膜40とを有する。このうち、グラニュラー膜30と反射膜40は、図1の磁界センサ素子10のものと同じである。磁界センサ装置1では、磁界センサ素子10に代えて磁界センサ素子10Bを用いてもよい。
センサヘッド基材16は、光ファイバ21B,22B、グラニュラー膜30、透明基板33、λ/4板34及び反射膜40を支持する部材である。センサヘッド基材16の材質としては、例えば、ガラス、セラミック、金属、合成樹脂が挙げられる。光ファイバ21B,22B、グラニュラー膜30、透明基板33、λ/4板34及び反射膜40は、例えば接着剤又は硬化型樹脂等でセンサヘッド基材16に固定されている。
光ファイバ20Bは、端部28で光ファイバ21Bに連結されている。光ファイバ20は、発光装置50からの直線偏光を光ファイバ21B,22Bに入射する入射用光ファイバであるとともに、光ファイバ21B,22Bからの戻り光を受光装置60まで伝搬する出射用光ファイバでもある。光ファイバ20Bは、シングルモード光ファイバであってもよいが、偏波保持光ファイバであることが好ましい。
光ファイバ21B,22Bは、特性や径が同種のシングルモード光ファイバである。光ファイバ21B,22Bは、元々1つに繋がっていた光ファイバをセンサヘッド基材16に固定した状態で切断したものであることが好ましい。光ファイバ21B,22Bは、光ファイバ21Bの光軸C1と光ファイバ22Bの光軸C2とが一致するように、センサヘッド基材16に固定されている。
グラニュラー膜30は、光ファイバ21B,22Bで構成された経路の途中に挿入された透明基板33上に設けられている。グラニュラー膜30の光入射面Mは、光ファイバ21B,22Bの光軸C1,C2に対して直交している。
λ/4板34は、光ファイバ21B,22Bで構成された経路の途中であって、グラニュラー膜30を挟んで反射膜40の反対側に配置されている。図示した例とは異なり、透明基板33を省略し、グラニュラー膜30をλ/4板34上に形成してもよい。この場合、部品点数を削減でき、透明基板33の分だけ部品の厚さが薄くなるので、磁界センサ素子10Bを小型化でき、組立て作業がより簡便になるとともに、光の損失が少なくなる。また、λ/4板34とグラニュラー膜30とは、図示した例では互いに密着しているが、間に光ファイバ21B,22Bを挟んで互いに離間していてもよい。
反射膜40は、光ファイバ21B,22Bで構成された経路の一方の端面に形成されている。反射膜40は、少なくとも光ファイバ22Bの端面27に設けられていればよく、端面27と面一に形成されたセンサヘッド基材16の先端面16Eの全体又は一部にまで広がっていてもよい。
磁界センサ素子10Bでは、光ファイバ20Bを伝搬してきた直線偏光は、端部28から光ファイバ21Bに入射し、光ファイバ21Bを伝搬し、λ/4板34を透過して円偏光に変換される。この円偏光は、グラニュラー膜30及び透明基板33を透過し、光ファイバ22Bを伝搬し、反射膜40で反射し、再び光ファイバ22Bを伝搬し、透明基板33、グラニュラー膜30及びλ/4板34を透過して直線偏光に変換される。この直線偏光は、光ファイバ21Bを伝搬し、戻り光として光ファイバ20Bに出力される。磁界センサ素子10Bの周囲に磁界が印加されていると、光がグラニュラー膜30を透過する際に、その磁界の強度に応じて偏光面が回転する。
磁界センサ素子10Bは、光軸を合わせるように各部品の形状精度を高くしたり、各部品を精度よく組み立てたりする必要がないため、簡便に製造することができ、また、光ファイバ21B,22Bの光軸が合っているため、光の損失を低減することができる。
図7は、他の磁界センサ素子10Cの平面図である。磁界センサ素子10Cは、平面光波回路11と、光ファイバ19と、光ファイバ20Cと、グラニュラー膜30と、反射膜40とを有する。このうち、グラニュラー膜30と反射膜40は、図1の磁界センサ素子10のものと同じである。磁界センサ装置1では、磁界センサ素子10に代えて磁界センサ素子10Cを用いてもよい。
平面光波回路11は、ガラス等のベース基材に形成された光導波路であり、光分岐部12と、光経路13,14,15と、接続部17,18とを有する。光分岐部12では、光経路13,14,15が互いにY字型に分岐しており、光経路14は平面光波回路11の一端面側に、光経路13,15はその一端面に対向する他端面側に、それぞれ配置されている。接続部17は光経路13の端部に、接続部18は光経路15の端部に、それぞれ形成されている。平面光波回路11の光経路14側(接続部17,18とは反対側)の端面には、グラニュラー膜30と反射膜40が形成されている。接続部17,18とグラニュラー膜30及び反射膜40とは、平面光波回路11の対向する端面に限らず、隣接する端面にそれぞれ設けられていてもよい。
光ファイバ19は、発光装置50からの直線偏光を平面光波回路11まで伝搬する入射用光ファイバであり、屈折率整合された接着剤を用いて、接続部17で平面光波回路11に接続されている。光ファイバ19は、シングルモード光ファイバであってもよいし、偏波保持光ファイバであってもよい。
光ファイバ20Cは、平面光波回路11から出射する戻り光を、偏光状態を乱すことなく受光装置60に伝搬する出射用光ファイバであり、屈折率整合された接着剤を用いて、接続部18で平面光波回路11に接続されている。光ファイバ20Cは、偏波保持光ファイバであることが好ましく、調心されて平面光波回路11に接続されている。
磁界センサ素子10Cでは、磁界の印加がない状態で、接続部18において、平面光波回路11からの戻り光の偏波面に対して光ファイバ20Cを軸方向に回転させることで、受光装置60で受光されるP偏光成分とS偏光成分の光強度が均等になるように調整されている。このため、波長板を平面光波回路11内に設ける必要ないので、波長板により生じ得る損失を抑制することができる。
グラニュラー膜30は、平面光波回路11の光経路14側の端面に形成され、反射膜40は、グラニュラー膜30上に形成されている。
磁界センサ素子10Cでは、発光装置50からの直線偏光は、光ファイバ19を経由して接続部17から光経路13に入射し、図7中の矢印の方向に進み、光分岐部12及び光経路14を経由してグラニュラー膜30を透過する。その際、磁界センサ素子10Cの周囲に磁界が印加されていると、その磁界の強度に応じて偏光面が回転する。グラニュラー膜30を透過した光は、反射膜40で反射し、再びグラニュラー膜30を透過し、光経路14に戻り、光分岐部12及び光経路15を経由して、接続部18から出射して光ファイバ20Cに入り、光ファイバ20Cを伝搬する。
磁界センサ素子10Cでは、特に平面光波回路11内において、ねじりや曲げ等による外乱に対しても偏波面が保持され易いので、ファラデー回転により生じた位相変調を正確に伝搬することができる。また、光ファイバ19から平面光波回路11に入った直線偏光は、従来型の分岐カプラで分岐されずに、そのまま平面光波回路11を伝搬することができる。さらに、磁界センサ素子10Cでは、上記の通り、平面光波回路11内に波長板を設けなくてもよいので、波長板による損失を受けずに光強度を検出することができる。
磁界センサ素子10,10A〜10Cでは、磁界の存在下において、光がグラニュラー膜30を往復する間にファラデー効果が発生し、これによりファラデー回転角が大きくなるので、その分、受光装置60で検出される各偏光成分の光強度も大きくなる。その結果、偏光分離した光が伝搬中にクロストーク内に潜って検出できないおそれがないので、グラニュラー膜30の近傍に偏光分離のための光学素子を配置する必要がない。このため、磁界センサ素子のヘッド部を小型化することができ、ファラデー効果を利用した測定をシンプルな光学系で実現することができる。
磁性ガーネットのキュリー温度は200℃〜300℃程度であるため、キュリー温度に近い高温環境下では磁化が低下し、ファラデー効果も低下する。このため、磁性ガーネットを用いる従来のファラデー効果型の磁界センサは、高温環境下では感度が低下し、動作が困難になる。一方、磁性体粒子31として用いられる上記の強磁性金属のキュリー温度は1000℃程度と高く、センサ感度の温度特性は、磁性体粒子31の磁化の温度特性のみに依存する。
図8は、グラニュラー膜30の磁化の温度特性を示すグラフである。グラフの横軸は印加された磁界H(kOe)を、縦軸は磁化M(kG)を表す。図8では、350℃で成膜されたCo−MgF(磁性体粒子がCo、誘電体がMgF)のグラニュラー膜について、周囲温度を室温(r.t.)、150℃及び350℃として測定した結果を重ねて示している。グラフから分かるように、Co−MgFのグラニュラー膜では、周囲温度による磁化変動が小さく、350℃まで加熱しても、ほとんど飽和磁化が低下しない。特に、グラフの原点付近の線形領域は周囲温度によりほとんど変化しないため、Co−MgFのグラニュラー膜を用いた磁界センサ素子10,10A〜10Cでは、高温環境下でもセンサ感度が実質的に低下しない。
磁界センサ素子10,10A〜10Cは、温度特性に優れており、実用上広い温度範囲でセンサ感度が一定に保たれるので、パワーエレクトロニクス回路用の電流センサ等としての使用に適している。また、上記のグラニュラー膜30で構成される磁界感応素子は、干渉型、強度変調型等の光学方式を問わず、ファラデー効果を利用した磁界センサ素子(磁界センサ装置)に適用可能である。
図9は、グラニュラー膜の成膜温度と膜中の磁性体粒子の平均粒径との関係を示すグラフである。図10(A)及び図10(B)は、異なる温度で成膜されたグラニュラー膜の磁化の温度特性を示すグラフとグラニュラー膜の断面写真である。図9の横軸は成膜温度T(℃)を、縦軸は磁性体粒子の平均粒径d(nm)を表す。図9の縦線は、平均粒径の誤差範囲を表す。図10(A)の横軸は印加された磁界H(kOe)を、縦軸は磁化M(kG)を表す。グラニュラー膜は蒸着又はスパッタリングによって基板上に成膜することができ、図9〜図10(B)では、基板温度を室温(<70℃)、250℃、350℃及び450℃としてCoとMgFを基板上に蒸着させて作製されたCo−MgFのグラニュラー膜についての結果を示している。
図10(B)の断面写真では、グラニュラー膜中の磁性体粒子(Co)の平均粒径も併記している。基板温度を室温(<70℃)、250℃、350℃及び450℃として作製されたCo−MgFのグラニュラー膜におけるCoの平均粒径(直径)は、それぞれ、2.9nm、4.0nm、6.8nm及び10.6nmである。これらの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により撮影されたグラニュラー膜の断面写真上で各磁性体粒子の粒径を計測し、それらを平均化して得られた値である。断面写真上の黒い部分はCoに、白い部分はMgFに、それぞれ相当する。図10(B)から分かるように、平均粒径は成膜温度(成膜中の基板温度)によって変化し、基板温度が高いほど大きくなる。グラニュラー膜中の磁性体粒子の平均粒径は、主に成膜時の基板温度や基板の回転速度の調整、あるいはポストアニールによっても制御することができる。
グラニュラー膜を磁界センサ装置の感応素子として使用するためには、磁界を印加したときに、磁界に対して磁化が線形に変化することが望ましい。また、磁化の温度特性にヒステリシスがあると、交流磁界に対して磁界センサ素子を使用したときに測定誤差が生じるため、ヒステリシスはない方が望ましい。
図10(A)から分かるように、成膜温度が低いほど、ヒステリシスは小さいが、磁界に対する磁化の線形領域は狭い。一方、成膜温度が高いほど、磁界に対する磁化の線形領域は広いが、ヒステリシスは大きい。特に、成膜温度が450℃以上で、平均粒径が10nm以上になると、ヒステリシスが大きく、さらに、高温では飽和磁化が減少しファラデー効果も小さくなるため、好ましくない。また、グラニュラー膜の成膜温度の下限は70℃程度なので、平均粒径を2nmよりも小さくすることは難しい。したがって、Co−MgFのグラニュラー膜の場合、線形性と軟磁性(ヒステリシスが小さいこと)を両立するには、膜中に分散している磁性体粒子の平均粒径は、2nm以上かつ10nm未満であることが好ましく、成膜温度が250℃の場合の4nm程度であることが最も好ましい。
また、Co−MgFの場合、グラニュラー膜中における強磁性金属Coの体積Mと金属フッ化物MgFの体積Fとの比M/(M+F)は、0.2よりも大きくかつ0.5未満であることが好ましい。体積比M/(M+F)が0.5(すなわち、M:(M+F)=1:2)のときにはCoがMgF内で最密充填し、それよりもCoが多くなるとグラニュラー膜ではなくなると考えられるため、0.5は体積比M/(M+F)の上限と考えられる。体積比M/(M+F)が0.5未満になると、Coの微粒子同士の間隔が大きくなり、透過率が大きくなるため、ファラデー効果で変調した透過光を有効に取り出すことが可能となる。また、体積比M/(M+F)は、0.2以下になると強磁性金属の割合が少な過ぎてファラデー効果の検出が困難になるので、それよりも大きい値であることが好ましい。
以下では、成膜温度と膜厚を変化させて複数のグラニュラー膜を作製し、その特性を測定した実験結果について説明する。
室温(<70℃)に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.50になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が0.25μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は3.0nmであり、このグラニュラー膜を使用した磁界センサ装置(図1の信号処理部70)の出力信号のS/N比(SNR)は0.51であった。以下で示すS/N比の値は、全て、後述する比較例2でのS/N比のdB値を1とした相対値である。磁界を一方向とその逆方向に交互にかけたときの磁化曲線の幅をΔH(Oe)とし、ΔHが10Oe未満、10Oe以上100Oe未満、100Oe以上の場合をそれぞれヒステリシス「無」、「小」、「大」と定義すると、このグラニュラー膜はヒステリシス「無」であった。
磁化飽和時にこのグラニュラー膜に波長1550nmの光を入射させたところ、透過率は30%であった。また、膜厚1μm当たりのファラデー回転角θ(deg/μm)と膜厚1μm当たりの透過光の損失量Ploss(dB/μm)との比θ/Plossで定義される性能指数FOM(Figure Of Merit)を求めたところ、0.067deg/dBであった。ここで、Plossは、波長1550nmの光が膜厚1μmの薄膜を透過したときの透過光強度をI、入射光強度をIとして、−10log(I/I)で求められる量である。例えば磁界センサ素子では、磁化飽和時において波長1550nmの光を入射させたときに、性能指数FOMが0.05deg/dB以上であれば、センサとしての性能は十分である。
室温(<70℃)に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.33になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が0.75μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は2.9nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.64であり、ヒステリシスは「無」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は29%、性能指数FOMは0.089deg/dBであった。
室温(<70℃)に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.25になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が2.00μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は2.5nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.64であり、ヒステリシスは「無」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は28%、性能指数FOMは0.065deg/dBであった。
室温(<70℃)に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.20になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が3.25μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は2.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.29であり、ヒステリシスは「無」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は26%、性能指数FOMは0.035deg/dBであった。
250℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.33になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が0.75μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は4.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.63であり、ヒステリシスは「無」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は23%、性能指数FOMは0.089deg/dBであった。
350℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.50になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が0.25μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は9.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.30であり、ヒステリシスは「小」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は20%、性能指数FOMは0.030deg/dBであった。
350℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.33になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が2.50μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は6.8nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.89であり、ヒステリシスは「小」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は25%、性能指数FOMは0.198deg/dBであった。
350℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.25になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が5.00μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は6.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.99であり、ヒステリシスは「小」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は27%、性能指数FOMは0.255deg/dBであった。
350℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.33になるようにFeとMgFを蒸着させて、膜厚が0.75μmのFe−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のFeの平均粒径は5.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.55であり、ヒステリシスは「小」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は29%、性能指数FOMは0.060deg/dBであった。
350℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.25になるようにCoとYFを蒸着させて、膜厚が1.50μmのCo−YFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は6.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.74であり、ヒステリシスは「小」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は28%、性能指数FOMは0.132deg/dBであった。
(比較例1)450℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.50になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が1.25μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は11.0nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は0.82であり、ヒステリシスは「大」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は29%、性能指数FOMは0.175deg/dBであった。
(比較例2)450℃に保った基板上に、体積比M/(M+F)が0.33になるようにCoとMgFを蒸着させて、膜厚が6.00μmのCo−MgFのグラニュラー膜を作製した。膜中のCoの平均粒径は10.6nmであり、このグラニュラー膜の場合のS/N比は1.00(基準値)であり、ヒステリシスは「大」であり、実施例1と同じ条件下で透過率は27%、性能指数FOMは0.247deg/dBであった。
以上説明した、実施例1〜10及び比較例1,2の結果を表1にまとめて示す。表1から分かるように、強磁性金属の微粒子の平均粒径が2nm以上かつ10nm未満(特に9nm以下)であれば、磁化の温度特性の線形性と軟磁性を両立させられるので好ましい。さらに、グラニュラー膜中における強磁性金属の体積Mと金属フッ化物の体積Fとの比M/(M+F)が0.2よりも大きくかつ0.5未満(特に0.25以上かつ0.33以下)であれば、性能指数FOMが0.05deg/dB以上になり、センサとしての性能が確保されるため、より好ましい。
図11(A)及び図11(B)は、グラニュラー膜の透過率と磁界センサ素子の出力のSN比との関係を示すグラフである。グラフの横軸は印加された光の透過率(透過光強度と入射光強度との比)T(%)を、縦軸は磁界センサ装置(図1の信号処理部70)の出力信号のS/N比(SNR)を表す。縦軸の値は、上記の通り、比較例2のものを1とした相対値である。グラフ中の曲線a〜lは、それぞれ、実施例1〜10及び比較例1,2と同じ条件で作製されたグラニュラー膜についての、透過率(すなわち、膜厚)に応じたS/N比の変化を示している。
グラニュラー膜の膜厚が小さいほど、透過率は上がるがファラデー効果は小さくなり、逆に、膜厚が大きいほど、ファラデー効果は大きくなるが透過率は下がる。すなわち、ファラデー効果と透過率は反比例の関係にあり、どちらかが極端に大きくても小さくても好ましくない。図11(A)及び図11(B)に示したグラフから、どの成膜条件でも、透過率が概ね20%以上かつ30%以下の範囲内で、センサ出力のS/N比が最大化することが分かる。したがって、グラニュラー膜30の膜厚は、透過率(光透過率)が20以上かつ30%以下になるように制御されていることが好ましい。
1 磁界センサ装置
10,10A〜10C 磁界センサ素子
19,20,20B,20C,21B,22B 光ファイバ
30 グラニュラー膜
31 磁性体粒子
32 誘電体
40 反射膜
50 発光装置
60 受光装置

Claims (9)

  1. 入射光を伝搬する入射用光ファイバと、
    平均粒径が2nm以上かつ10nm未満の強磁性金属の微粒子が金属フッ化物の誘電体中に分散しており、前記入射光を透過させるグラニュラー膜と、
    前記グラニュラー膜を透過した光を前記グラニュラー膜に向けて反射する反射膜と、
    前記反射膜で反射し前記グラニュラー膜を透過した戻り光を伝搬する出射用光ファイバと、
    を有することを特徴とする磁界センサ素子。
  2. 前記グラニュラー膜の光透過率が20%以上かつ30%以下である、請求項1に記載の磁界センサ素子。
  3. 前記強磁性金属が、Fe及びCoの少なくとも一方を含み、
    前記金属フッ化物がMgF又はYFである、請求項2に記載の磁界センサ素子。
  4. 前記グラニュラー膜中における前記強磁性金属の体積Mと前記金属フッ化物の体積Fとの比M/(M+F)が0.2よりも大きくかつ0.5未満である、請求項3に記載の磁界センサ素子。
  5. 前記入射用光ファイバと前記出射用光ファイバは同一の光ファイバであり、
    前記グラニュラー膜は前記光ファイバの端面に形成され、
    前記反射膜は前記グラニュラー膜上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁界センサ素子。
  6. 前記入射用光ファイバと前記出射用光ファイバは同一の光ファイバであり、
    前記磁界センサ素子は、前記光ファイバの出射端部に配置された光コリメータと、前記光コリメータと前記グラニュラー膜の間に配置されたλ/4板と、をさらに有し、
    前記グラニュラー膜は、前記光ファイバの出射端部から離間して配置され、
    前記光コリメータは、前記光ファイバを伝搬してきた光を平行光として空間に出射するとともに、前記反射膜からの空間伝搬光である反射光を前記光ファイバに入射させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁界センサ素子。
  7. 前記入射用光ファイバと前記出射用光ファイバは同一の光ファイバであり、
    前記磁界センサ素子は、前記光ファイバで構成される経路の途中に挿入されたλ/4板をさらに有し、
    前記グラニュラー膜は、前記光ファイバで構成される経路の途中に挿入され、
    前記反射膜は前記光ファイバの端面に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁界センサ素子。
  8. 光分岐部を有し前記入射用光ファイバと前記出射用光ファイバとが接続される平面光波回路をさらに有し、
    前記グラニュラー膜は前記平面光波回路の端面に形成され、
    前記反射膜は前記グラニュラー膜上に形成され、
    前記出射用光ファイバは偏波保持光ファイバであり、調心されて前記平面光波回路に接続されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁界センサ素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁界センサ素子と、
    前記入射用光ファイバに前記入射光として直線偏光を導入する発光装置と、
    前記出射用光ファイバから導出された前記戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、前記S偏光成分及び前記P偏光成分を受光して電気信号に変換し、前記電気信号を処理する受光装置と、
    を有することを特徴とする磁界センサ装置。
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