JP2019138693A - 位置検出装置および位置検出方法 - Google Patents

位置検出装置および位置検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正確なアブソリュート値で絶対位置の算出できる位置検出装置を提供すること。【解決手段】磁気スケール2はアブソリュートパターンが第1ピッチP1の半ピッチずれた第1アブソリュートトラック21と第2アブソリュートトラック22を備える。インクリメンタル信号は、第1アブソリュート値出力部37の第1アブソリュート値出力時点Atoから第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点からインクリメントを開始する。算出部44は、インクリメンタル信号INCの値がゼロから中央値に達するまでの第1期間T1では、絶対位置の算出に第1アブソリュート値ABS1を用い、インクリメンタル信号INCの値が中央値となった時点から最大値に達するまでの第2期間T2では、絶対位置の算出に第2アブソリュート値ABS2を用いる。【選択図】図4

Description

本発明は、相対移動する磁気スケールの位置を磁気センサ装置により検出する位置検出装置、および、位置検出装置の位置検出方法に関する。
アブソリュート値を出力する位置検出装置として、磁気センサ装置と、磁気センサ装置に対して相対移動する磁気スケールと、を備えるものが知られている。磁気スケールは、相対移動方向に所定のピッチでアブソリュートパターンが形成されたアブソリュートトラックと、アブソリュートトラックと並列で、アブソリュートパターンに対応するピッチでインクリメンタルパターンが形成されたインクリメンタルトラックと、を備える。磁気センサ装置は、アブソリュートトラックを読み取ってアブソリュート値を出力するアブソリュート値出力部と、インクリメンタルトラックを読み取って周期的なインクリメンタル信号を出力するインクリメンタル信号出力部と、アブソリュート値とインクリメンタル信号に基づいて磁気スケールの絶対位置を算出する算出部と、を備える。アブソリュート値出力部は、アブソリュートパターンを読み取るためのアブソリュート信号取得用の感磁素子を備え、インクリメンタル信号出力部は、インクリメンタルパターンを読み取るためのインクリメンタル信号取得用の感磁素子を備える。
アブソリュートパターンは着磁領域と無着磁領域を一定ピッチの非繰り返しパターンで配列したものである。アブソリュート信号取得用の感磁素子は感磁方向を相対移動方向に向けた複数の磁気抵抗素子を備える。複数の磁気抵抗素子は、非繰り返しパターンと同一のピッチで相対移動方向に配列されており、磁気スケールと磁気センサが相対移動する際に複数の領域の磁界を検出する。アブソリュート値出力部は、各磁気抵抗素子から出力される信号が所定の閾値以上の領域の論理値を1、所定の閾値を超えない領域を論理値の0とする複数ビットのM系列の不規則循環乱数コードを出力する。算出部は、インクリメンタル信号の位相およびアブソリュート値に基づいて磁気スケールまたは磁気センサ装置の絶対位置を算出する。
特許文献1の位置検出装置は、所定のピッチ毎に存在するアブソリュートパターンの各パターン領域(着磁領域または無着磁領域)の境界付近の出力を正確に取得するために、アブソリュートトラックに、アブソリュートパターンを有する第1トラックと、第1トラックと並列に設けられて着磁領域および無着磁領域がアブソリュートパターンと反対に配列された着磁パターンを備え第2トラックと、を備える。また、アブソリュート値出力部として、第1トラックのアブソリュートパターンを読み取って第1信号を出力する第1信号出力部と、第2トラックの着磁パターンを読み取って第2信号を出力する第2信号出力部と、を備える。算出部は、第1信号と第2信号との差動信号に基づいてアブソリュート値を取得し、取得したアブソリュート値とインクリメンタル信号の値(位相)に基づいて絶対位置を算出する。特許文献1の構成では、第1信号と第2信号との差動信号は、アブソリュートパターンの着磁領域で基準電位以上となり、無着磁領域で基準電位以下となる。従って、基準電位を閾値とすれば、着磁領域と無着磁領域とが隣り合うアブソリュートパターンのパターン部分において、着磁領域と無着磁領域の境界付近のアブソリュート値を正確に取得できる。
特開2017−102089号公報
特許文献1の技術では、着磁領域と着磁領域とが隣り合うアブソリュートパターンのパターン部分では、2つのパターン領域(着磁領域と着磁領域)の境界において差動信号が基準電位となる。従って、基準電位を閾値としたときに、アブソリュート値を正確に取得できない場合が発生する。正確なアブソリュート値を取得できなければ、算出部による絶対位置の算出が困難となる。
以上の点に鑑みて、本発明の課題は、正確なアブソリュート値に基づいて絶対位置を算出できる位置検出装置を提供することにある。また、正確なアブソリュート値に基づいて絶対位置を算出できる位置検出装置の位置検出方法を提案することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、着磁領域と無着磁領域とが第1ピッチで配列されたアブソリュートパターンを有するアブソリュートトラック、および、着磁領域と無着磁領域とが交互に配列されたインクリメンタルパターンを有し前記アブソリュートトラックと並列に設けられたインクリメンタルトラックを備える磁気スケールと、相対移動する前記磁気スケールの前記アブソリュートトラックを読み取ってアブソリュート値を出力するアブソリュート値出力部、相対移動する前記磁気スケールの前記インクリメンタルトラックを読み取ってゼロから所定の最大値まで変化する周期的なインクリメンタル信号を出力するインクリメンタル信号出力部、および、前記アブソリュート値および前記インクリメンタル信号に基づいて絶対位置を算出する算出部を備える磁気センサ装置と、を有する位置検出装置において、前記アブソリュートトラックは、前記アブソリュートパターンを有する第1トラックと、前記第1トラックに対して相対移動方向で前記第1ピッチの半分の第2ピッチずれた前記アブソリュートパターンを有し、前記第1トラックと並列に設けられた第2トラックと、を備え、前記アブソリュート値出力部は、前記第1トラックを読み取って第1アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力部と、前記第2トラックを読み取って第2アブソリュート値を出力する第2アブソリュート値出力部と、を備え、前記インクリメンタル信号がインクリメントを開始するインクリメント開始時点は、前記第1アブソリュート値出力部が新たな前記アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点に設定されており、前記算出部は、前記インクリメンタル信号が0となる時点から前記インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでの第1期間では前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでの第2期間では前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いることを特徴とする。
本発明によれば、アブソリュートトラックにおいて、第1アブソリュート値を取得するための第1トラックのアブソリュートパターンと、第2アブソリュート値を取得するための第2トラックのアブソリュートパターンとは、磁気スケールと磁気センサ装置との相対移動方向で半ピッチ(第2ピッチ)ずれている。また、インクリメンタル信号出力部が出力するインクリメンタル信号は、第1アブソリュート値出力部が新たなアブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力時点から第1ピッチの1/4ピッチだけ磁気スケールと磁気センサ装置とが相対移動した時点からインクリメントを開始する。さらに、アブソリュート値とインクリメンタル信号に基づいて絶対位置を算出する算出部は、インクリメンタル信号のインクリメント開始時点からインクリメンタル信号が中央値に達するまでの第1期間では絶対位置の算出に第1アブソリュート値を用い、インクリメンタル信号が中央値となった時点からインクリメンタル信号が最大値に達するまでの第2期間では絶対位置の算出に第2アブソリュート値を用いる。これにより、算出部は、絶対位置を算出する際に、第1トラックのアブソリュートパターンにおいて第1ピッチ毎に存在する各パタ
ーン領域の境界を検出することにより取得された第1アブソリュート値を用いることがなく、第2トラックのアブソリュートパターンにおいて第1ピッチ毎に存在する各パターン領域の境界を検出することにより取得された第2アブソリュート値を用いることもない。従って、算出部は、絶対位置の算出に、正確なアブソリュート値(第1アブソリュート値または第2アブソリュート値)を用いることができる。
本発明において、前記インクリメンタルトラックは、前記相対移動方向でN極とS極とを前記第2ピッチで交互に着磁したインクリメンタルパターンを備えるものとすることができる。このようにすれば、アブソリュート値が取得される周期とインクリメンタル信号の周期を一致させることが容易である。
本発明において、前記インクリメンタル信号を補正するインクリメンタル信号補正部を有し、前記インクリメンタル信号補正部は、前記第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点を基準インクリメント開始時点として、前記基準インクリメント開始時点に対して実際の前記インクリメンタル信号のインクリメンタル開始時点がずれているずれ量を取得し、前記ずれ量に基づいて前記インクリメンタル信号の位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号を生成し、前記算出部は、前記絶対位置の算出に前記補正インクリメンタル信号を用いるとともに、前記補正インクリメンタル信号が0となる時点から当該補正インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記補正インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記補正インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いるものとすることができる。このようにすれば、磁気センサ装置の設置姿勢が磁気スケールの相対移動方向に対して傾斜することなどに起因して、インクリメンタル信号出力部から実際に出力されるインクリメント信号がインクリメントを開始するインクリメント開始時点が予め定めた基準インクリメント開始時点に対してずれた場合には、インクリメンタル信号補正部が、そのずれ量に基づいてインクリメンタル信号の位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号を生成する。また、算出部は、絶対位置の算出に、補正インクリメンタル信号を用いる。これにより、算出部により算出される絶対位置が正しい値となる。
本発明において、前記インクリメンタル信号補正部は、前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値から異なる値に変化した第1時点の前記インクリメンタル信号の第1値、および、前記第1時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値に戻る第2時点の前記インクリメンタル信号の第2値に基づいて、前記ずれ量を取得するものとすることができる。このようにすれば、ずれ量を容易に取得できるので、インクリメンタル信号補正部による補正インクリメンタル信号の生成が容易となる。
本発明において、前記インクリメンタル信号補正部は、前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値から同一の値に変化した第3時点の前記インクリメンタル信号の第3値、および、前記第3時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値に戻る第4時点の前記インクリメンタル信号の第4値に基づいて、前記ずれ量を取得するものとすることができる。このようにすれば、ずれ量を容易に取得できるので、インクリメンタル信号補正部による補正インクリメンタル信号の生成が容易となる。
次に、本発明は、着磁領域と無着磁領域とが第1ピッチで配列されたアブソリュートパターンを有するアブソリュートトラック、および、着磁領域と無着磁領域とが交互に配列されたインクリメンタルパターンを有し前記アブソリュートトラックと並列に設けられた
インクリメンタルトラックを備える磁気スケールと、相対移動する前記磁気スケールの前記アブソリュートトラックを読み取ってアブソリュート値を出力するアブソリュート値出力部、および、相対移動する前記磁気スケールの前記インクリメンタルトラックを読み取ってゼロから所定の最大値まで変化する周期的なインクリメンタル信号を出力するインクリメンタル信号出力部備える磁気センサ装置と、を有し、前記アブソリュート値および前記インクリメンタル信号に基づいて絶対位置を算出する位置検出装置の位置検出方法において、予め、前記アブソリュートトラックとして、前記アブソリュートパターンを有する第1トラックと、前記第1トラックに対して相対移動方向で前記第1ピッチの半分の第2ピッチずれた前記アブソリュートパターンを有し、前記第1トラックと並列に設けられた第2トラックと、を備えるとともに、前記アブソリュート値出力部として、前記第1トラックを読み取って第1アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力部と、前記第2トラックを読み取って第2アブソリュート値を出力する第2アブソリュート値出力部と、を備え、前記インクリメンタル信号がインクリメントを開始するインクリメント開始時点を、前記第1アブソリュート値出力部が新たな前記アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点に設定しておき、前記インクリメンタル信号が0となる時点から前記インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでの第1期間では前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでの第2期間では前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いることを特徴とする。
本発明によれば、アブソリュートトラックにおいて、第1アブソリュート値を取得するための第1トラックのアブソリュートパターンと、第2アブソリュート値を取得するための第2トラックのアブソリュートパターンとは、磁気スケールと磁気センサ装置との相対移動方向で半ピッチ(第2ピッチ)ずれている。また、インクリメンタル信号を、第1アブソリュート値出力時点から第1ピッチの1/4ピッチだけ磁気スケールと磁気センサ装置とが相対移動した時点からインクリメントを開始するものとしている。そして、絶対位置を算出する際には、インクリメンタル信号のインクリメント開始時点からインクリメンタル信号が中央値に達するまでの第1期間では絶対位置の算出に第1アブソリュート値を用い、インクリメンタル信号が中央値となった時点からインクリメンタル信号が最大値に達するまでの第2期間では絶対位置の算出に第2アブソリュート値を用いる。従って、絶対位置を算出する際には、第1トラックのアブソリュートパターンにおいて第1ピッチ毎に存在する各パターン領域の境界を検出することにより取得された第1アブソリュート値を用いることがなく、第2トラックのアブソリュートパターンにおいて第1ピッチ毎に存在する各パターン領域の境界を検出することにより取得された第2アブソリュート値を用いることもない。よって、正確なアブソリュート値(第1アブソリュート値または第2アブソリュート値)を取得でき、絶対位置を確実に算出できる。
本発明において、前記インクリメンタルトラックに、前記相対移動方向でN極とS極とを前記第2ピッチで交互に着磁したインクリメンタルパターンを備えるものとすることができる。このようにすれば、アブソリュート値が取得される周期とインクリメンタル信号の周期を一致させることが容易である。
本発明において、前記第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点を基準インクリメント開始時点として、前記基準インクリメント開始時点に対して実際の前記インクリメンタル信号のインクリメンタル開始時点がずれているずれ量を取得し、前記ずれ量に基づいて前記インクリメンタル信号の位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号を生成し、前記絶対位置の算出に前記補正インクリメンタル信号を用いるとともに、前記補正インク
リメンタル信号が0となる時点から当該補正インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記補正インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記補正インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いるものとすることができる。このようにすれば、磁気センサ装置の設置姿勢が磁気スケールの相対移動方向に対して傾斜することなどに起因して、インクリメンタル信号出力部から実際に出力されるインクリメント信号がインクリメントを開始するインクリメント開始時点が、予め定めた基準インクリメント開始時点に対してずれた場合には、そのずれ量に基づいてインクリメンタル信号の位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号が生成され、絶対位置の算出に、補正インクリメンタル信号が用いられる。従って、算出部により算出される絶対位置が正しい値となる。
本発明において、前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値から異なる値に変化した第1時点の前記インクリメンタル信号の第1値、および、前記第1時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値に戻る第2時点の前記インクリメンタル信号の第2値に基づいて、前記ずれ量を取得するものとすることができる。このようにすれば、ずれ量を容易に取得できるので、補正インクリメンタル信号の生成が容易となる。
本発明において、前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値から同一の値に変化した第3時点の前記インクリメンタル信号の第3値、および、前記第3時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値に戻る第4時点の前記インクリメンタル信号の第4値に基づいて、前記ずれ量を取得するものとすることができる。このようにすれば、ずれ量を容易に取得できるので、補正インクリメンタル信号の生成が容易となる。
本発明によれば、インクリメンタル信号がゼロとなるインクリメント開始時点で算出部が参照するアブソリュート値は、第1トラックのアブソリュートパターンにおいて第1ピッチ毎に存在する各パターン領域の境界を検出することにより取得されたものではなく、第2トラックのアブソリュートパターンにおいて第1ピッチ毎に存在する各パターン領域の境界を検出することにより取得されたものでもない。従って、正確なアブソリュート値(第1アブソリュート値または第2アブソリュート値)を取得することができ、絶対位置を確実に算出できる。
本発明を適用した磁気式エンコーダ装置の説明図である。 磁気スケールの磁気トラックと磁気センサ装置のセンサ基板の説明図である。 磁気式エンコーダ装置の制御系のブロック図である。 磁気センサ装置が取得する各信号および値の説明図である。 絶対位置の算出動作のフローチャートである。 変形例の磁気式エンコーダ装置の制御系のブロック図である。 変形例の磁気センサ装置が取得する各信号および値の説明図である。 変形例の絶対位置の算出動作のフローチャートである。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した位置検出装置の実施の形態である磁気式エンコーダ装置を説明する。
図1は、本発明を適用した磁気式エンコーダ装置の説明図である。図2(a)は磁気ス
ケールに設けられた磁気トラックの説明図であり、図2(b)は磁気トラックを読み取る磁気センサ装置のセンサ基板の説明図である。
図1に示すように、本例の磁気式エンコーダ装置1(位置検出装置)は磁気スケール2と、磁気スケール2を読み取る磁気センサ装置3と、を備える。磁気スケール2は、当該磁気スケール2と磁気センサ装置3の相対移動方法に延びる磁気トラック5を備える。磁気センサ装置3は、磁気スケール2が相対移動する際に、磁気スケール2の表面に形成された磁界の変化を検出して、磁気スケール2または磁気センサ装置3の絶対移動位置を出力する。以下の説明では、磁気スケール2と磁気センサ装置3との相対移動方向をX方向、X方向と直交する直交方向をY方向とする。
磁気センサ装置3は、非磁性材料からなるホルダ7と、ホルダ7から延びたケーブル8を備える。ホルダ7は磁気スケール2と対向する対向面9を備える。対向面9には開口部9aが設けられている。開口部9aには磁気センサ10が配置されている。図2(b)に示すように、磁気センサ10は、シリコン基板やセラミックグレース基板などのセンサ基板11と、センサ基板11において磁気スケール2と対向する基板面に形成された複数の感磁素子12、13と、を備える。感磁素子12、13は、例えば、パーマロイ膜を感磁膜として備える磁気抵抗素子を有するものである。感磁素子12、13は、磁気スケール2と所定の隙間を介して対向する。
磁気式エンコーダ装置1は、磁気スケール2および磁気センサ装置3の一方が固定体の側に配置され、他方が移動体の側に配置される。本例では、磁気スケール2が移動体の側に配置され、磁気センサ装置3が固定体の側に配置される。
(磁気スケール)
図2(a)に示すように、磁気トラック5は、磁気スケール2と磁気センサ装置3の相対移動方向であるX方向に延びるアブソリュートトラック15と、インクリメンタルトラック16と有する。アブソリュートトラック15と、インクリメンタルトラック16とは並列に設けられており、X方向に平行に延びる。アブソリュートトラック15は、並列に設けられた第1アブソリュートトラック21(第1トラック)と第2アブソリュートトラック22(第2トラック)と、を備える。インクリメンタルトラック16は、並列に設けられた第1インクリメンタルトラック17と、第2インクリメンタルトラック18と、を備える。
第1アブソリュートトラック21は、第1ピッチP1で形成された第1アブソリュートパターン21aを有する。第1アブソリュートパターン21aは、着磁した着磁領域と無着磁の無着磁領域を第1ピッチP1の非繰り返しパターン(擬似ランダムパターン)で配列したものである。1つのパターン領域を構成する各着磁領域はX方向にN極とS極を備える。アブソリュートトラック15の第2アブソリュートトラック22は、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aに対して相対移動方向で第1ピッチP1の半分の第2ピッチP2ずれた第2アブソリュートパターン22aを有する。本例では、第1ピッチP1は0.8mmであり、第2ピッチP2は0.4mmである。
ここで、第1アブソリュートパターン21aおよび第2アブソリュートパターン22aは、連続するnピッチ分のパターン領域における着磁領域と無着磁領域の配列により磁気スケール2上の絶対位置を示すM系列の不規則循環乱数コードを表現する。より具体的には、着磁領域を論理値の1とし、無着磁領域を論理値の0としたときに、連続するnの領域における1と0との配列によってM系列の不規則循環乱数コードを値で示す。本例では、nは6である。
第1インクリメンタルトラック17は、第1ピッチP1の半分の第2ピッチP2で形成された第1インクリメンタルパターン17aを有する。第1インクリメンタルパターン17aは、X方向にN極とS極を第2ピッチP2で交互に着磁したものである。第2インクリメンタルトラック18は、第2ピッチP2で形成された第2インクリメンタルパターン18aを有する。第2インクリメンタルパターン18aは、X方向にN極とS極を第2ピッチP2で交互に着磁したものであり、第1インクリメンタルパターン17aとはN極とS極との着磁の順番が逆である。従って、Y方向では、第1インクリメンタルパターン17aのN極と第2インクリメンタルパターン18aのS極とが隣り合う。また、Y方向では、第1インクリメンタルパターン17aのS極と第2インクリメンタルパターン18aのN極とが隣り合う。
(磁気センサ装置)
磁気センサ10のセンサ基板11は、図2(b)に示すように、磁気スケール2と対向する基板面にアブソリュート信号取得用の感磁素子12と、インクリメンタル信号取得用の感磁素子13と、を備える。アブソリュート信号取得用の感磁素子12と、インクリメンタル信号取得用の感磁素子13とは、Y方向に配列されている。
アブソリュート信号取得用の感磁素子12は、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aから第1アブソリュート信号を取得するための第1磁気抵抗パターン31と、第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aから第2アブソリュート信号を取得するための第2磁気抵抗パターン32とを備える。第1磁気抵抗パターン31と第2磁気抵抗パターン32とはY方向に配列されてX方向に平行に延びる。磁気センサ装置3を磁気スケール2に対向させたときに、第1磁気抵抗パターン31は第1アブソリュートトラック21と対向し、第2磁気抵抗パターン32は第2アブソリュートトラック22と対向する。
第1磁気抵抗パターン31および第2磁気抵抗パターン32は、それぞれX方向に感磁方向を向けた姿勢でX方向に配列された複数の磁気抵抗素子を備える。複数の磁気抵抗素子は第1ピッチP1で配列されている。第1磁気抵抗パターン31は、X方向で連続する第1アブソリュートパターン21aの6つの領域のそれぞれの磁界を順次に検出して6系統の第1アブソリュート信号を出力する。同様に、第2磁気抵抗パターン32は、X方向で連続する第2アブソリュートパターン22aの複数の領域のそれぞれの磁界を順次に検出して6系統の第2アブソリュート信号を出力する。
インクリメンタル信号取得用の感磁素子13は、SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)、COS+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+b)、SIN−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−a)、COS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b)と、を備える。本形態では、SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)とCOS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b)とがX方向に配列されている。また、COS+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+b)とSIN−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−a)とがX方向に配列されている。SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)とCOS+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+b)とはY方向で隣り合う。COS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b)とSIN−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−a)とはY方向で隣り合う。磁気センサ装置3を磁気スケール2に対向させたときに、SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)とCOS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b)とは、第1インクリメンタルトラック17と対向し、SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)とCOS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b)とは第2インクリメンタルトラック18と対向する。
ここで、磁気センサ装置3に対して磁気スケール2が移動する際に磁気抵抗パターン3
4(+a)から出力される信号と、磁気抵抗パターン34(+b)から出力される信号とは互いに90°の位相差を有する。磁気抵抗パターン34(−a)から出力される信号と磁気抵抗パターン34(−b)から出力される信号とは互いに90°の位相差を有する。磁気抵抗パターン34(+a)から出力される信号と磁気抵抗パターン34(−a)から出力される信号とは180°の位相差を有する。磁気抵抗パターン34(+b)から出力される信号と磁気抵抗パターン34(−b)から出力される信号とは180°の位相差を有する。
図3は磁気式エンコーダ装置1の制御系を示す概略ブロック図である。図4は磁気スケール2の読み取りにより磁気センサ装置3が取得する各信号および値の説明図である。図4(a)は、第1アブソリュート値取得部および第2アブソリュート値取得部が取得するM系列の不規則循環乱数コードの説明図である。図4(b)は、M系列の不規則循環乱数コードに基づいて第1アブソリュート値出力部および第2アブソリュート値出力部が出力するアブソリュート値の説明図である。図4(c)はインクリメンタル信出力部が出力するインクリメンタル信号の説明図である。図5は絶対位置の算出動作のフローチャートである。
図3に示すように、磁気センサ装置3の制御系は、CPU、ROM、RAMなどを備える演算処理部40を備える。本例では、演算処理部40はセンサ基板11に実装されている。演算処理部40の入力側には、アブソリュート信号取得用の感磁素子12およびインクリメンタル信号取得用の感磁素子13が接続されている。演算処理部40は、アブソリュート値取得部41、インクリメンタル信号取得部42、および、絶対位置を算出する算出部44を備える。アブソリュート値取得部41は、第1アブソリュート値取得部45と、第2アブソリュート値取得部46と、を備える。
ここで、アブソリュート信号取得用の感磁素子12の第1磁気抵抗パターン31と第1アブソリュート値取得部45とは、第1アブソリュートトラック21を読み取って第1アブソリュート値ABS1を出力する第1アブソリュート値出力部37を構成する。アブソリュート信号取得用の感磁素子12の第2磁気抵抗パターン32と第2アブソリュート値取得部46とは、第2アブソリュートトラック22を読み取って第2アブソリュート値ABS2を出力する第2アブソリュート値出力部38を構成する。インクリメンタル信号取得用の感磁素子13とインクリメンタル信号取得部42とは、インクリメンタルトラック16を読み取ってインクリメンタル信号INCを出力するインクリメンタル信号出力部39を構成する。
第1アブソリュート値取得部45は、まず、図4(a)に示すように、第1磁気抵抗パターン31から出力される6系統の第1アブソリュート信号に基づいて6ビットの第1不規則循環乱数コードCORD1を取得する。次に、第1アブソリュート値取得部45は、図4(b)に示すように、取得した第1不規則循環乱数コードCORD1を整数の数列に置き換えて第1アブソリュート値ABS1を取得する。第1アブソリュート値取得部45が第1アブソリュート値ABS1を取得すると、第1アブソリュート値出力部37は第1アブソリュート値ABS1を出力する。
第2アブソリュート値取得部46は、図4(a)に示すように、第2磁気抵抗パターン32から出力される6系統の第2アブソリュート信号に基づいて6ビットの第2不規則循環乱数コードCORD2を取得する。そして、第2アブソリュート値取得部46は、図4(b)に示すように、取得した第2不規則循環乱数コードCORD2を整数の数列に置き換えて第2アブソリュート値ABS2を取得する。第2アブソリュート値取得部46が第2アブソリュート値ABS2を取得すると、第2アブソリュート値出力部38は第2アブソリュート値ABS2を出力する。図4(b)に示すように、第1アブソリュート値出力
部37からの第1アブソリュート値ABS1と、第2アブソリュート値出力部38からの第2アブソリュート値ABS2とは、磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動する際に、第2ピッチP2分の移動距離だけずれた時点で出力される。
インクリメンタル信号取得部42は、SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)からの信号およびSIN−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−a)からの信号に基づいて正弦波信号を取得する。また、インクリメンタル信号取得部42は、COS+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+b)からの信号およびCOS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b)から信号に基づいて余弦波信号を取得する。さらに、インクリメンタル信号取得部42は、正弦波信号および余弦波信号に基づいて内挿分割処理を行い、図4(c)に示すように、ゼロから所定の最大値まで変化する周期的なインクリメンタル信号INCを生成する。インクリメンタル信号取得部42によりインクリメンタル信号INCが生成されると、インクリメンタル信号出力部39は、インクリメンタル信号INCを出力する。
ここで、インクリメンタル信号INCは、図4(c)に示すとおり、第1アブソリュート値出力部37が新たな第1アブソリュート値ABS1を出力する第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点からインクリメントを開始するものに予め設定されている。本例では、磁気スケール2において、インクリメンタルトラック16のインクリメンタルパターン17a、18aを、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aに対して1/4ピッチだけずらして設けている。これにより、インクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点を、第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点としている。また、本例では、最大値は8000であり、インクリメンタル信号INCは、ゼロから8000までをカウントする。
算出部44は、第1アブソリュート値ABS1および第2アブソリュート値ABS2、並びに、インクリメンタル信号INCに基づいて絶対位置を算出する。ここで、算出部44は、インクリメンタル信号INCが0となる時点からインクリメンタル信号INCがゼロと最大値の中央の中央値に達するまでの第1期間T1で絶対位置の算出に第1アブソリュート値ABS1を用い、インクリメンタル信号INCが中央値となったからインクリメンタル信号INCが最大値に達するまでの第2期間T2では絶対位置の算出に第2アブソリュート値ABS2を用いる。
本例では、インクリメンタル信号INCの最大値が8000である。従って、中央値は4000である。よって、図5に示すように、算出部44は、絶対位置の算出に際してインクリメンタル信号INCの値を監視し(ステップST1)、インクリメンタル信号INCの値が0から4000に達するまでの第1期間T1では(ステップST1:Yes)、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aから取得された第1アブソリュート値ABS1を用い、当該第1アブソリュート値ABS1とインクリメンタル信号INCの値(位相)に基づいて絶対位置を算出する(ステップST2)。一方、インクリメンタル信号INCの値が4000となってからインクリメンタル信号INCの値が8000に達するまでの第2期間T2では(ステップST1:No)、算出部44は、第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aから取得された第2アブソリュート値ABS2を用い、当該第2アブソリュート値ABS2とインクリメンタル信号INCの値(位相)に基づいて絶対位置を算出する(ステップST3)。すなわち、算出部44は、図4(b)において矢印で示すように、絶対位置の算出に際して、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とを、第2ピッチP2で交互に切り替えて用いる。
ここで、第1アブソリュートトラック21および第2アブソリュートトラック22のアブソリュートパターン21a、22aにおいて、第1ピッチP1毎に存在する各パターン領域の境界B(図4(a)、図4(b)参照)では、磁界が不安定となっている。従って、算出部44が絶対位置を算出する際に、アブソリュート値として、各パターン領域の境界Bを磁気抵抗素子によって検出することによって得られたアブソリュート値を用いると、アブソリュート値が正確ではなく、絶対位置を正確に算出できない場合が発生する。
このような問題に対して、本例では、アブソリュートトラック15において、第1アブソリュート値ABS1を取得するための第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aと、第2アブソリュート値ABS2を取得するための第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aとは、磁気スケール2と磁気センサ装置3とのX方向で半ピッチ(第2ピッチP2)ずれている。また、インクリメンタル信号INCは、第1アブソリュート値出力部37が新たな第1アブソリュート値ABS1を出力する第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点からインクリメントを開始する。そして、算出部44は、絶対位置の算出に際して、インクリメンタル信号INCの値が0から4000に達するまでの第1期間T1では、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aから取得された第1アブソリュート値ABS1を用い、当該第1アブソリュート値ABS1とインクリメンタル信号INCの値(位相)に基づいて絶対位置を算出する。一方、インクリメンタル信号INCの値が4000となってからインクリメンタル信号INCの値が8000に達するまでの第2期間T2では、算出部44は、第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aから取得された第2アブソリュート値ABS2を用いる。
従って、図4(b)、図4(c)に示すとおり、算出部44は、絶対位置を算出する際に、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aにおいて第1ピッチP1毎に存在する各パターン領域の境界Bを検出することにより取得された第1アブソリュート値ABS1を用いることがない。同様に、算出部44は、絶対位置を算出する際に、第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aにおいて第1ピッチP1毎に存在する各パターン領域の境界Bを検出することにより取得された第2アブソリュート値ABS2を用いることもない。よって、算出部44は、各アブソリュートパターン21a、22aにおける着磁領域と無着磁領域との配列の順番に拘わらず、正確なアブソリュート値(第1アブソリュート値ABS1または第2アブソリュート値ABS2)を用いて、絶対位置を算出できる。よって、算出部44は絶対位置を確実に算出できる。
(作用効果)
本例では、絶対位置の算出に際して、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aの各パターン領域の境界Bを検出した時点のアブソリュート値を採用しない。また、絶対位置の算出に際して、第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aの各パターン領域の境界Bを検出した時点のアブソリュート値も採用しない。従って、アブソリュート値(第1アブソリュート値ABS1または第2アブソリュート値ABS2)が正確であり、算出される絶対位置が正確になる。
また、本例では、第1、第2インクリメンタルトラック17、18は、それぞれX方向でN極とS極とを第2ピッチP2で交互に着磁したインクリメンタルパターン17a、18aを備える。従って、新たにアブソリュート値が取得される周期と、インクリメンタル信号INCの周期を一致させることが容易である。
(変形例)
上記の例において、磁気センサ装置3の演算処理部40に、インクリメンタル信号INCを補正するインクリメンタル信号補正部を備えることができる。インクリメンタル信号補正部43は、第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点を基準インクリメント開始時点I0として、基準インクリメント開始時点I0に対して実際のインクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0がずれているときに、インクリメンタル信号INCを補正するものである。
図6は、インクリメンタル信号補正部を備える変形例の磁気式エンコーダ装置の制御系のブロック図である。図7は本例の磁気式エンコーダ装置において、磁気スケール2の読み取りにより磁気センサ装置3が取得する各信号および値の説明図である。図7(a)は、第1アブソリュート値取得部45および第2アブソリュート値取得部46が取得するM系列の不規則循環乱数コードの説明図である。図7(b)は、M系列の不規則循環乱数コードに基づいて第1アブソリュート値出力部37および第2アブソリュート値出力部38が出力するアブソリュート値の説明図である。図7(c)は実際にインクリメンタル信号出力部39が出力するインクリメンタル信号の説明図である。図7(d)はインクリメンタル信号補正部が生成する補正インクリメンタル信号の説明図である。図7は絶対位置の算出動作のフローチャートである。なお、本例の磁気式エンコーダ装置1Aは、演算処理部40の構成および処理が磁気式エンコーダ装置1と相違するが、他の構成は磁気式エンコーダ装置1と同一である。従って、対応する構成の説明は省略する。
まず、予め設定した基準インクリメント開始時点I0に対して、実際にインクリメンタル信号出力部39から出力されるインクリメンタル信号INCがずれる現象は、磁気センサ装置3の設置姿勢が磁気スケール2の相対移動方向であるX方向に対して傾斜しているときに発生する。すなわち、磁気式エンコーダ装置1は、磁気スケール2に、Y方向に配列されてX方向に延びるアブソリュートトラック15とインクリメンタルトラック16とを備える。一方、磁気センサ装置3に、Y方向に配列されたアブソリュート信号取得用の感磁素子12と、インクリメンタル信号取得用の感磁素子13と、を備える。従って、磁気センサ装置3の設置姿勢が、基準とする姿勢から磁気スケール2の相対移動方向に傾斜すると、アブソリュート信号取得用の感磁素子12の磁気抵抗パターン(第1磁気抵抗パターン31および第2磁気抵抗パターン32)と、インクリメンタル信号取得用の感磁素子13の磁気抵抗パターン(SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+a)、COS+信号検出用の磁気抵抗パターン34(+b)、SIN−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−a)、COS−信号検出用の磁気抵抗パターン34(−b))との配置がX方向にずれる。この結果、実際のインクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0が、基準インクリメント開始時点I0からずれる。
ここで、実際のインクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0が基準インクリメント開始時点I0からずれると、算出部44により算出される絶対位置が誤った値となるという問題がある。このような問題に対応するために、インクリメンタル信号補正部43は、インクリメンタル信号INCの位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号C_INCを生成する。
図6に示すように、インクリメンタル信号補正部43は、インクリメンタル信号出力部39と算出部44の間に設けられる。インクリメンタル信号補正部43の入力側には、第1アブソリュート値出力部37、第2アブソリュート値出力部38およびインクリメンタル信号出力部39が接続されている。インクリメンタル信号補正部43の出力側には、算出部44が接続されている。
図8に示すように、インクリメンタル信号補正部43は、まず、基準インクリメント開始時点I0に対して実際のインクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0がずれているずれ量Eを取得する(ステップST11)。換言すれば、インクリメンタル信号補正部43は、実際のインクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0が、第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点(基準インクリメント開始時点I0)からずれている位相のずれ量Eを取得する。
次に、インクリメンタル信号補正部43は、取得したずれ量Eに基づいてインクリメンタル信号INCの位相のずれを補正した補正した補正インクリメンタル信号C_INCを生成する(ステップST12)。補正インクリメンタル信号C_INCにおけるインクリメンタル開始時点は、基準インクリメント開始時点I0に一致するものとなる。
ここで、補正インクリメンタル信号C_INCが生成されると、算出部44は、補正インクリメンタル信号C_INCを用いて、絶対位置を算出する(ステップST13)。
より具体的には、図7(c)に示すように、インクリメンタル信号補正部43は、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値から異なる値に変化した第1時点t0のインクリメンタル信号INCの第1値INC1、および、第1時点t0の次に第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値に戻る第2時点t2のインクリメンタル信号INCの第2値INC2に基づいてずれ量Eを取得する。
すなわち、インクリメント開始時点It0が、基準インクリメント開始時点I0(第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点)と一致している場合には、第1アブソリュート値ABS1が新たに取得される時点は、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値から異なる値に変化した第1時点t0と、第1時点t0の次に第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値に戻る第2時点t2との中央の時点となる。従って、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値から異なる値に変化した第1時点t0のインクリメンタル信号INCの第1値INC1と最大値との差分(距離D1)と、第1時点t0の次に第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値に戻る第2時点t2のインクリメンタル信号INCの第2値INC2(ゼロからの第2値INC2までの距離D2)とは一致する。
一方、図7(b)、図7(c)に示すように、インクリメント開始時点It0が、基準インクリメント開始時点I0(第1アブソリュート値出力時点At0から第1ピッチP1の1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点)からずれている場合には、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値から異なる値に変化した第1時点t0のインクリメンタル信号INCの第1値INC1と最大値との差分(距離D1)と、第1時点t0の次に第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが同一の値に戻る第2時点t2のインクリメンタル信号INCの第2値INC2(距離D2)とは、異なる値となる。また、インクリメンタル信号INCの第1値INC1と最大値との差分(距離D1)と、第2値INC2(ゼロからの第2値INC2までの距離D2)との差が、第1アブソリュート値出力時点At0とインクリメンタル信号INCの位相とのずれ量Eに相当する。
従って、インクリメンタル信号補正部43は、図7(d)の矢印で示すように、ずれ量Eに相当する分だけ、インクリメンタル信号INCの位相をずらした補正インクリメンタ
ル信号C_INCを生成する。これにより、補正インクリメンタル信号C_INCにおけるインクリメンタル開始時点は、基準インクリメント開始時点I0に一致するものとなる。インクリメンタル信号INCと補正インクリメンタル信号C_INCとは、位相がずれているだけで、いずれもゼロから最大値(8000)までをカウントするものである。
なお、インクリメント開始時点It0が、基準インクリメント開始時点I0に対してずれていない場合には、ずれ量Eはゼロである。従って、インクリメンタル信号補正部43は、インクリメンタル信号INCの位相をずらすことなく、インクリメンタル信号INCをそのまま補正インクリメンタル信号C_INCとする。
ここで、インクリメンタル信号補正部43によるずれ量Eの取得は、磁気センサ装置3を固定体の側に配置して磁気スケール2を移動体の側に配置する磁気式エンコーダ装置1の設置時に行われる。すなわち、設置時に、固定体に対して移動体を移動させて磁気スケール2と磁気センサ装置3とを相対移動させると、インクリメンタル信号補正部43は、第1時点t0のインクリメンタル信号INCの第1値INC1と最大値との差分(距離D1)と、第2時点t2のインクリメンタル信号INCの第2値INC2(ゼロからの第2値INC2までの距離D2)とを取得して、ずれ量Eを算出する。その後は、インクリメンタル信号補正部43は、設置時に取得したずれ量Eに基づいて、補正インクリメンタル信号C_INCを生成する。
次に、絶対位置を算出する図8のステップST13では、算出部44は、補正インクリメンタル信号C_INCの値を監視し(ステップST21)、補正インクリメンタル信号C_INCが0となる時点から当該補正インクリメンタル信号C_INCがゼロと最大値の中央の中央値(4000)に達する第1期間T1では(ステップST21:Yes)、第1アブソリュート値ABS1と補正インクリメンタル信号C_INCとに基づいて絶対位置を算出する(ステップST22)。一方、補正インクリメンタル信号C_INCが中央値となった時点から補正インクリメンタル信号C_INCが最大値(8000)に達する第2期間T2では(ステップST21:No)、算出部44は、第2アブソリュート値ABS2と補正インクリメンタル信号C_INCとに基づいて絶対位置を算出する(ステップST22)。すなわち、算出部44は、図7(b)において矢印で示すように、絶対位置の算出に際して、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とを、第2ピッチP2移動する毎に、交互に切り替えて用いる。
本例によれば、磁気センサ装置3の設置姿勢が磁気スケール2の相対移動方向(X方向)に対して傾斜することなどに起因して、インクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0が、予め設定した基準インクリメント開始時点I0に対してずれた場合には、そのずれ量Eに基づいてインクリメンタル信号INCの位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号C_INCが生成される。また、絶対位置の算出には、補正インクリメンタル信号C_INCが用いられる。従って、算出部44により算出される絶対位置が正しい値となる。
また、本例においても、絶対位置の算出に際して、第1アブソリュートトラック21の第1アブソリュートパターン21aの各パターン領域の境界Bを検出した時点のアブソリュート値を採用しない。また、絶対位置の算出に際して、第2アブソリュートトラック22の第2アブソリュートパターン22aの各パターン領域の境界Bを検出した時点のアブソリュート値も採用しない。従って、絶対値の算出に用いるアブソリュート値(第1アブソリュート値ABS1または第2アブソリュート値ABS2)が正確であり、算出される絶対位置が正確になる。
さらに、本例の磁気式エンコーダ装置1Aは、磁気センサ装置3の設置姿勢が磁気スケ
ール2の相対移動方向(X方向)に対して傾斜することなどに起因して、インクリメンタル信号INCのインクリメント開始時点It0が、予め設定した基準インクリメント開始時点I0に対してずれた場合には、そのずれ量Eに基づいてインクリメンタル信号INCの位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号C_INCが生成され、補正インクリメンタル信号C_INCを用いて絶対位置が算出される。従って、磁気式エンコーダ装置1Aを設置する際に、磁気スケール2と磁気センサ装置3との位置関係を厳密に規定する必要がない。よって、磁気式エンコーダ装置1Aの設置作業が容易である。
なお、インクリメンタル信号補正部43は、図7(c)に示すように第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが異なる値から同一の値に変化した第3時点t3のインクリメンタル信号INCの第3値INC3、および、第3時点t3の次に第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが異なる値に戻る第4時点t4のインクリメンタル信号INCの第4値INC4に基づいて、ずれ量Eを取得することもできる。
この場合には、第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが異なる値から同一の値に変化した第1時点t0のインクリメンタル信号INCの第1値INC1と中央値との差分(距離D3)と、第1時点t0の次に第1アブソリュート値ABS1と第2アブソリュート値ABS2とが異なる値に戻る第2時点t2のインクリメンタル信号INCの第2値INC2と中央値との差分(距離D4)との差が、第1アブソリュート値出力時点At0とインクリメンタル信号INCの位相とのずれ量Eに相当する。
(その他の実施の形態)
なお、磁気式エンコーダ装置1、1Aでは、インクリメンタル信号出力部39は、2本のインクリメンタルトラック17、18を検出してインクリメンタル信号を出力しているが、1本のインクリメンタルトラックからインクリメンタル信号を出力する構成を採用してもよい。
また、磁気式エンコーダ装置1、1A上記の例において、インクリメンタル信号出力部39が出力するインクリメンタル信号がバーニア信号であってもよい。この場合には、磁気スケールに、ピッチの異なるインクリメンタルパターンが形成された2つのインクリメンタルトラックを設けておき、磁気センサ装置のインクリメンタル信号取得用の感磁素子13によって、波長の異なる2つのインクリメンタル信号を取得する。そして、インクリメンタル信号出力部39において、取得した2つのインクリメンタル信号に基づいて、これらのインクリメンタル信号の周期より長いバーニア信号を生成して、出力する。
ここで、バーニア信号の周期はアブソリュートパターンの第1ピッチPに対応する周期とする。また、バーニア信号は、第1アブソリュート値出力部37が新たな第1アブソリュート値ABS1を出力する第1アブソリュート値出力時点から第1ピッチPの1/4ピッチだけ磁気スケール2と磁気センサ装置3とが相対移動した時点からインクリメントを開始するものとする。
1・1A…磁気式エンコーダ装置(位置検出装置)、2…磁気スケール、3…磁気センサ装置、5…磁気トラック、7…ホルダ、8…ケーブル、9…対向面、9a…開口部、10…磁気センサ、11…センサ基板、12…アブソリュート信号取得用の感磁素子、13…インクリメンタル信号取得用の感磁素子、15…アブソリュートトラック、16…インクリメンタルトラック、17…第1インクリメンタルトラック、18…第2インクリメンタルトラック、17a…第1インクリメンタルパターン、18a…第2インクリメンタルパターン、21…第1アブソリュートトラック、21a…第1アブソリュートパターン、2
2…第2アブソリュートトラック、22a…第2アブソリュートパターン、31…第1磁気抵抗パターン、32…第2磁気抵抗パターン、34…磁気抵抗パターン、34…SIN−信号検出用の磁気抵抗パターン、34…COS+信号検出用の磁気抵抗パターン、34…COS−信号検出用の磁気抵抗パターン、34…SIN+信号検出用の磁気抵抗パターン、37…第1アブソリュート値出力部、38…第2アブソリュート値出力部、39…インクリメンタル信号出力部、40…演算処理部、41…アブソリュート値取得部、42…インクリメンタル信号取得部、43…インクリメンタル信号補正部、44…算出部、45…第1アブソリュート値取得部、46…第2アブソリュート値取得部、ABS1…第1アブソリュート値、ABS2…第2アブソリュート値、CORD1…第1不規則循環乱数コード、CORD2…第2不規則循環乱数コード、INC1…インクリメンタル信号INCの第1値、INC2…インクリメンタル信号INCの第2値、INC3…インクリメンタル信号INCの第3値、INC4…インクリメンタル信号INCの第4値、P1…第1ピッチ、P2…第2ピッチ、T1…第1期間、T2…第2期間

Claims (10)

  1. 着磁領域と無着磁領域とが第1ピッチで配列されたアブソリュートパターンを有するアブソリュートトラック、および、着磁領域と無着磁領域とが交互に配列されたインクリメンタルパターンを有し前記アブソリュートトラックと並列に設けられたインクリメンタルトラックを備える磁気スケールと、相対移動する前記磁気スケールの前記アブソリュートトラックを読み取ってアブソリュート値を出力するアブソリュート値出力部、相対移動する前記磁気スケールの前記インクリメンタルトラックを読み取ってゼロから所定の最大値まで変化する周期的なインクリメンタル信号を出力するインクリメンタル信号出力部、および、前記アブソリュート値および前記インクリメンタル信号に基づいて絶対位置を算出する算出部を備える磁気センサ装置と、を有する位置検出装置において、
    前記アブソリュートトラックは、前記アブソリュートパターンを有する第1トラックと、前記第1トラックに対して相対移動方向で前記第1ピッチの半分の第2ピッチずれた前記アブソリュートパターンを有し、前記第1トラックと並列に設けられた第2トラックと、を備え、
    前記アブソリュート値出力部は、前記第1トラックを読み取って第1アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力部と、前記第2トラックを読み取って第2アブソリュート値を出力する第2アブソリュート値出力部と、を備え、
    前記インクリメンタル信号がインクリメントを開始するインクリメント開始時点は、前記第1アブソリュート値出力部が新たな前記アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点に設定されており、
    前記算出部は、前記インクリメンタル信号が0となる時点から前記インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでの第1期間では前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでの第2期間では前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いることを特徴とする位置検出装置。
  2. 前記インクリメンタルトラックは、前記相対移動方向でN極とS極とを前記第2ピッチで交互に着磁したインクリメンタルパターンを備えることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
  3. 前記インクリメンタル信号を補正するインクリメンタル信号補正部を有し、
    前記インクリメンタル信号補正部は、前記第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点を基準インクリメント開始時点として、前記基準インクリメント開始時点に対して実際の前記インクリメンタル信号のインクリメンタル開始時点がずれているずれ量を取得し、前記ずれ量に基づいて前記インクリメンタル信号の位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号を生成し、
    前記算出部は、前記絶対位置の算出に前記補正インクリメンタル信号を用いるとともに、前記補正インクリメンタル信号が0となる時点から当該補正インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記補正インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記補正インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出装置。
  4. 前記インクリメンタル信号補正部は、前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値から異なる値に変化した第1時点の前記インクリメンタル信号の第1値、および、前記第1時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値に戻る第2時点の前記インクリメンタル信号の第2値に基づいて、前記ずれ
    量を取得することを特徴とする請求項3に記載の位置検出装置。
  5. 前記インクリメンタル信号補正部は、前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値から同一の値に変化した第3時点の前記インクリメンタル信号の第3値、および、前記第3時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値に戻る第4時点の前記インクリメンタル信号の第4値に基づいて、前記ずれ量を取得することを特徴とする請求項3に記載の位置検出装置。
  6. 着磁領域と無着磁領域とが第1ピッチで配列されたアブソリュートパターンを有するアブソリュートトラック、および、着磁領域と無着磁領域とが交互に配列されたインクリメンタルパターンを有し前記アブソリュートトラックと並列に設けられたインクリメンタルトラックを備える磁気スケールと、相対移動する前記磁気スケールの前記アブソリュートトラックを読み取ってアブソリュート値を出力するアブソリュート値出力部、および、相対移動する前記磁気スケールの前記インクリメンタルトラックを読み取ってゼロから所定の最大値まで変化する周期的なインクリメンタル信号を出力するインクリメンタル信号出力部備える磁気センサ装置と、を有し、前記アブソリュート値および前記インクリメンタル信号に基づいて絶対位置を算出する位置検出装置の位置検出方法において、
    予め、前記アブソリュートトラックとして、前記アブソリュートパターンを有する第1トラックと、前記第1トラックに対して相対移動方向で前記第1ピッチの半分の第2ピッチずれた前記アブソリュートパターンを有し、前記第1トラックと並列に設けられた第2トラックと、を備えるとともに、前記アブソリュート値出力部として、前記第1トラックを読み取って第1アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力部と、前記第2トラックを読み取って第2アブソリュート値を出力する第2アブソリュート値出力部と、を備え、前記インクリメンタル信号がインクリメントを開始するインクリメント開始時点を、前記第1アブソリュート値出力部が新たな前記アブソリュート値を出力する第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点に設定しておき、
    前記インクリメンタル信号が0となる時点から前記インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでの第1期間では前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでの第2期間では前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いることを特徴とする位置検出方法。
  7. 前記インクリメンタルトラックに、前記相対移動方向でN極とS極とを前記第2ピッチで交互に着磁したインクリメンタルパターンを備えることを特徴とする請求項6に記載の位置検出方法。
  8. 前記第1アブソリュート値出力時点から前記第1ピッチの1/4ピッチだけ前記磁気スケールと前記磁気センサ装置とが相対移動した時点を基準インクリメント開始時点として、前記基準インクリメント開始時点に対して実際の前記インクリメンタル信号のインクリメンタル開始時点がずれているずれ量を取得し、
    前記ずれ量に基づいて前記インクリメンタル信号の位相のずれを補正した補正インクリメンタル信号を生成し、
    前記絶対位置の算出に前記補正インクリメンタル信号を用いるとともに、前記補正インクリメンタル信号が0となる時点から当該補正インクリメンタル信号がゼロと前記最大値の中央の中央値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第1アブソリュート値を用い、前記補正インクリメンタル信号が前記中央値となった時点から前記補正インクリメンタル信号が前記最大値に達するまでは前記絶対位置の算出に前記第2アブソリュート値を用いることを特徴とする請求項6または7に記載の位置検出方法。
  9. 前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値から異なる値に変化した第1時点の前記インクリメンタル信号の第1値、および、前記第1時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが同一の値に戻る第2時点の前記インクリメンタル信号の第2値に基づいて、前記ずれ量を取得することを特徴とする請求項8に記載の位置検出方法。
  10. 前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値から同一の値に変化した第3時点の前記インクリメンタル信号の第3値、および、前記第3時点の次に前記第1アブソリュート値と前記第2アブソリュート値とが異なる値に戻る第4時点の前記インクリメンタル信号の第4値に基づいて、前記ずれ量を取得することを特徴とする請求項8に記載の位置検出方法。
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