JP2024075149A - 変位検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変位を検出するために用いられる信号に位相ズレが存在する場合でも当該信号の振幅を短時間で求めることが可能な変位検出装置を提供する。
【解決手段】変位検出装置100は、スケール1と、センサヘッド2と、処理装置3と、を備える。スケール1には、磁気応答部12と非磁気応答部11とが交互に配列される。センサヘッド2は、出力信号を出力する二次コイル22を有する。処理装置3は、センサヘッド2に対するスケール1の相対変位、及び、相対変位の変化速度のうち少なくとも一方である変位情報を演算して出力する。処理装置3は、処理対象の信号に対して、第1時刻における第1信号値と、第1時刻に対して1/4周期シフトさせた第2時刻における第2信号値と、を求め、第1信号値と第2信号値との二乗和平方根を処理対象の信号の振幅として算出する。
【選択図】図1
【解決手段】変位検出装置100は、スケール1と、センサヘッド2と、処理装置3と、を備える。スケール1には、磁気応答部12と非磁気応答部11とが交互に配列される。センサヘッド2は、出力信号を出力する二次コイル22を有する。処理装置3は、センサヘッド2に対するスケール1の相対変位、及び、相対変位の変化速度のうち少なくとも一方である変位情報を演算して出力する。処理装置3は、処理対象の信号に対して、第1時刻における第1信号値と、第1時刻に対して1/4周期シフトさせた第2時刻における第2信号値と、を求め、第1信号値と第2信号値との二乗和平方根を処理対象の信号の振幅として算出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、主として、測定対象物の変位情報を検出する変位検出装置に関する。
特許文献1の位置検出装置は、多極磁石と、2つのホール素子(磁気センサ)と、を備える。2つのホール素子に対して多極磁石が相対移動することにより、2つのホール素子は磁束の変化に基づく信号をそれぞれ出力する。位置検出装置は、2つのホール素子が出力した信号に基づいて位置信号を出力する。また、位置検出装置は、2つの信号の振幅を一定にするため、2つの信号の二乗和平方根で、2つの信号をそれぞれ除算する。
電磁誘導現象を利用した変位検出装置では、変位を検出するために、信号の振幅が必要になることがある。また、信号に位相ズレが含まれている場合は、位相ズレ量を特定して補正した後に、振幅を算出する必要がある。しかし、位相ズレ量を特定するために時間が掛かることもあり、改善が求められていた。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、変位を検出するために用いられる信号に位相ズレが存在する場合でも当該信号の振幅を短時間で求めることが可能な変位検出装置を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成の変位検出装置が提供される。即ち、変位検出装置は、スケールと、センサヘッドと、処理装置と、を備える。前記スケールは、変位検出方向に所定の検出ピッチで磁気応答部と非磁気応答部とが交互に配列される。前記センサヘッドは、サイン関数、コサイン関数、マイナスサイン関数及びマイナスコサイン関数で表現される出力信号のそれぞれを出力する少なくとも4つの磁気検出素子を有する。前記処理装置には前記磁気検出素子の前記出力信号が入力され、前記処理装置は、前記センサヘッドに対する前記スケールの相対変位、及び、前記相対変位の変化速度のうち少なくとも一方である変位情報を演算して出力する。前記処理装置は、前記コサイン関数と前記マイナスコサイン関数の差分に基づく第1差動信号、及び、前記サイン関数と前記マイナスサイン関数の差分に基づく第2差動信号を生成する。前記処理装置は、前記コサイン関数の前記出力信号及び前記マイナスコサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方、又は、前記第1差動信号に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。前記処理装置は、前記サイン関数の前記出力信号及び前記マイナスサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方、又は、前記第2差動信号に対して前記振幅算出処理を行って振幅を算出する。前記処理装置は、前記振幅算出処理の後に、前記第1差動信号及び前記第2差動信号に基づいて前記スケールの前記変位情報を出力する。前記処理装置が行う前記振幅算出処理は、処理対象の信号に対して、第1時刻における第1信号値と、前記第1時刻に対して1/4周期シフトさせた第2時刻における第2信号値と、を求め、前記第1信号値と前記第2信号値との二乗和平方根を処理対象の信号の振幅とする処理である。
位相が1/4周期異なる2つの信号の信号値の二乗和平方根は振幅に等しい。従って、位相ズレが存在する場合であっても、位相ズレ量を特定することなく短時間で振幅を算出できる。
前記の変位検出装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記処理装置は、前記第1差動信号に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。前記処理装置は、前記第2差動信号に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。前記処理装置は、前記第1差動信号の振幅と、前記第2差動信号の振幅と、に基づいて、前記スケールの前記変位情報を出力する。
これにより、差動信号を生成する前の出力信号の振幅を短時間で算出できる。
前記の変位検出装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記処理装置は、前記コサイン関数の前記出力信号及び前記マイナスコサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方に対して振幅算出処理を行って第1振幅を算出する。前記処理装置は、前記サイン関数の前記出力信号及び前記マイナスサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方に対して前記振幅算出処理を行って第2振幅を算出する。前記処理装置は、前記第1振幅と前記第1差動信号に基づいて前記第1時刻での前記第1差動信号の振幅を算出する。前記処理装置は、前記第2振幅と前記第2差動信号に基づいて前記第1時刻での前記第2差動信号の振幅を算出する。
これにより、差動信号を生成した後に振幅を短時間で算出できる。
前記の変位検出装置においては、前記処理装置は、arctan演算により前記スケールの前記変位情報を算出することが好ましい。
これにより、簡単な演算で変位情報を得ることができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す変位検出装置100は、測定対象物の所定の方向での変位を検出する。以下の説明では、測定対象物の変位(変位情報)が検出される方向を変位検出方向と称する。
変位とは、基準位置に対する現在位置の変化量である。基準位置は、例えば初期位置である。基準位置の位置情報を定義することにより、基準位置と変位とに基づいて測定対象物の位置を算出できる。従って、変位検出装置100は、位置検出装置として使用可能である。
変位検出装置100は、主として、スケール1と、センサヘッド2と、処理装置3と、を備える。
スケール1及びセンサヘッド2のうち何れかが、測定対象物に取り付けられる。例えば、スケール1が図略の可動部材に取り付けられ、センサヘッド2が、測定対象物である図略の固定部材に取り付けられる。可動部材は、変位検出方向と平行な経路に沿って直線的に移動可能である。
また、測定対象物である固定部材にスケール1が取り付けられ、可動部材にセンサヘッド2が取り付けられてもよい。更に、スケール1とセンサヘッド2の両方が、互いに相対変位する可動部材にそれぞれ取り付けられてもよい。この場合、変位検出装置100は、測定対象物(即ち、スケール1及びセンサヘッド2)の相対変位を検出する。
スケール1は、測定対象物が当該スケール1の長手方向における変位を検出するための目盛として用いられる。スケール1は、可動部材の移動に伴うセンサヘッド2の移動ストロークを含むように、当該移動ストロークと平行な方向に細長く形成されている。スケール1は、細長いブロック状に形成されてもよいし、細長い棒状に形成されてもよい。
スケール1は、非磁気応答部11と、磁気応答部12と、を備える。非磁気応答部11は、例えば、顕著な磁性を有しない金属、又は、磁性を有しないプラスチック等の材料から構成されている。磁気応答部12は、例えば、強磁性を有する金属等から構成されている。非磁気応答部11及び磁気応答部12は、スケール1の長手方向において、交互に配列されている。隣接する非磁気応答部11同士の間隔、及び、隣接する磁気応答部12同士の間隔は、予め定められた検出ピッチC0である。従って、スケール1は、長手方向で検出ピッチC0毎に、磁気応答性の有無又は強弱が交互に繰返し現れる。
センサヘッド2は、図1に示すように、磁気応答部12と所定の間隔をあけて配置されている。例えば、スケール1は細長い棒状であり、センサヘッド2は筒状であり、センサヘッド2にスケール1が差し込まれる。ただし、センサヘッド2の形状は、この例に限定されない。センサヘッド2は、一次コイル21と、複数の二次コイル(磁気検出素子)22と、を備える。二次コイル22は、本実施形態においては4つ設けられている。なお、一次コイル21を省略することができる。
一次コイル21は、交流磁界を発生させるために用いられる。一次コイル21に交流電流を流すと、その周囲に、向き及び強さが周期的に変化する磁界が発生する。処理装置3により生成された励磁波をDA変換して得られた周期的な励磁信号(A・sinωt)が、当該一次コイル21に印加されている。励磁信号の周期を励磁周期と称する。図1に示すように、一次コイル21は、センサヘッド2において、二次コイル22よりもスケール1から遠い側の部分に配置されている。
4つの二次コイル22は、図1に示すように、スケール1の長手方向と平行な方向に並べて配置されている。二次コイル22は、センサヘッド2において、一次コイル21よりもスケール1に近い側の部分に配置されている。4つの二次コイル22には、磁気応答部12で強められた磁界によって発生した誘導電流が流れる。センサヘッド2は、この誘導電流に基づく電気信号(例えば電圧信号)を検出して出力する。
図1に示すように、当該4つの二次コイル22は、変位検出方向において予め定められた単位ピッチC1毎に並べて配置されている。当該単位ピッチC1は、前述の検出ピッチC0との間で以下の関係を有する。具体的には、以下の式にて示すように、単位ピッチC1は、検出ピッチC0の整数倍と、検出ピッチC0の1/4と、の和となるように設定される。
C1=(n+1/4)・C0
ただし、nは整数である。本実施形態においては、n=0であるが、これに限定されない。
C1=(n+1/4)・C0
ただし、nは整数である。本実施形態においては、n=0であるが、これに限定されない。
以下の説明においては、当該4つの二次コイルのそれぞれを特定するために、図1に示す左側から順に、第1コイル22a、第2コイル22b、第3コイル22c、及び第4コイル22dと呼ぶことがある。
ここで、各二次コイル22で出力する信号(例えば、電圧信号)について、簡単に説明する。一次コイル21に交流電流を流すと、一次コイル21には、向き及び強さが周期的に変化する磁界が発生する。一方、二次コイル22には、コイルの磁界の変化を妨げる向きの誘導電流が発生する。一次コイル21の近傍に強磁性体が存在すると、この強磁性体は、一次コイル21が発生させる磁界を強めるように作用する。この作用は、強磁性体が一次コイル21に近づく程大きくなる。
磁気応答部12に着目すると、センサヘッド2がスケール1の長手方向一側から他側へ相対移動するにつれて、一次コイル21から磁気応答部12までの距離、及び、二次コイル22から磁気応答部12までの距離が変化する。具体的には、これらの距離は、センサヘッド2の移動につれて徐々に小さくなり最小値を超えた後は徐々に大きくなる。二次コイル22に発生する誘導電流は交流電流であるが、その振幅の大きさは、当該二次コイル22と、磁気応答部12と、の位置関係に応じて異なる。
磁気応答部12は実際には検出ピッチC0毎に並べて配置されるので、振幅の大きさの変化は、検出ピッチC0毎に繰り返される。即ち、横軸にセンサヘッド2の位置をとり、縦軸に振幅の大きさをとると、振幅と位置との関係は、検出ピッチC0を周期とする周期曲線(具体的には、正弦曲線y=sinθ)となる。このθを求めることができれば、繰返し単位である検出ピッチC0の中でスケール1がセンサヘッド2に対してどの位置にあるかを取得することができる。
しかし、正弦曲線y=sinθの1周期分を考えると、特別な場合を除いてyに対応するθの値は2つ考えられ、ただ1つに定まらない。そこで、本実施形態では、二次コイル22を、最も近い磁気応答部12との位置関係が検出ピッチC0の1/4ずつ実質的にズレるように、上述の単位ピッチC1で定められる間隔をあけて4つ配置している。
図1に示すように、第1コイル22a、第2コイル22b、第3コイル22c、第4コイル22dのそれぞれは、互いに検出ピッチC0の1/4だけ離れているので、互いに位相が90°ズレている電圧信号(出力信号)を出力する。即ち、第1コイル22aが出力する電圧信号をcos+相と表現した場合、第2コイル22bはsin+相の電圧信号を出力し、第3コイル22cはcos-相の電圧信号を出力し、第4コイル22dはsin-相の電圧信号を出力する。これらの信号は、それぞれ、コサイン関数の出力信号、サイン関数の出力信号、マイナスコサイン関数の出力信号、マイナスサイン関数の出力信号に相当する。
処理装置3は、第1コイル22a、第2コイル22b、第3コイル22c、第4コイル22dから出力された電圧信号を処理し、センサヘッド2に対するスケール1の相対変位を算出して出力する。処理装置3は、図1に示すように、アナログ回路部31と、FPGA32と、を備える。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
アナログ回路部31は、アナログ回路及び電子部品から構成される。上述したDA変換を行う電子部品は、アナログ回路部31に実装されている。アナログ回路部31には、2つの差動増幅器と、2つのAD変換器と、が実装されている。以下では、これらを区別するために、第1差動増幅器、第2差動増幅器、第1AD変換器、第2AD変換器と称する。
第1差動増幅器は、第1コイル22a及び第3コイル22cのそれぞれの出力の差分を増幅するために用いられる。第1差動増幅器は、第1コイル22a及び第3コイル22cから出力された電圧信号の差分を増幅して、第1差動信号y1として出力する。
センサヘッド2に対するスケール1の変位を表す位相をθとしたとき、上記第1差動信号y1は、以下の式で表すことができる。
y1=acosθ・sinωt
y1=acosθ・sinωt
当該第1差動信号y1は、図略のフィルタにより処理された後、第1AD変換器によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、FPGA32に入力される。
第2差動増幅器は、第2コイル22b及び第4コイル22dのそれぞれの出力の差分を増幅するために用いられる。第2差動増幅器は、第2コイル22b及び第4コイル22dから出力された電圧信号の差分を増幅して、第2差動信号y2として出力する。
センサヘッド2に対するスケール1の変位を表す位相をθとしたとき、上記第2差動信号y2は、以下の式で表すことができる。
y2=asinθ・sinωt
y2=asinθ・sinωt
当該第2差動信号y2は、上記第1差動信号y1と同じように、図略のフィルタにより処理された後、第2AD変換器によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、FPGA32に入力される。
図1には、FPGA32のブロック内に、振幅算出、arctan演算、フィルタ等の機能ブロックが記載されている。これらの機能ブロックは、FPGAがプログラムを実行して信号処理を行うことにより実現される機能を示している。
FPGA32は、第1AD変換器から入力された第1差動信号y1に対して振幅算出処理を行って、第1差動信号y1の振幅を算出する。同様に、FPGA32は、第2AD変換器から入力された第2差動信号y2に対して振幅算出処理を行って、第2差動信号y2の振幅を算出する。なお、振幅算出処理の詳細は後述する。
次に、FPGA32は、振幅算出処理を行うことで振幅を算出した第1差動信号y1及び第2差動信号y2に対して、arctan演算を行う。具体的には、FPGA32は、デジタル信号の第2差動信号y2を第1差動信号y1で除算する。この結果は、tanθの値に相当する。その後、FPGA32は、計算結果のarctanの値を求める。これにより、センサヘッド2に対するスケール1の変位を表す位相θを、スケール1の相対変位情報として得ることができる。θは厳密には位相であるが、実質的には、センサヘッド2に対するスケール1の相対変位を示している。従って、以下ではθを変位と呼ぶことがある。
FPGA32により求められた変位θは、高周波成分を除くためにフィルタに入力される。これにより、ノイズ等を除去することができる。フィルタ処理後の値は、直線性較正等の後処理を経た後、位置情報として処理装置3から出力される。
次に、一次コイル21と二次コイル22の間に生じる位相ズレについて簡単に説明する。一次コイル21に印加された励磁信号と、二次コイル22の出力(第1差動信号y1及び第2差動信号y2)の間には、図3に示すように、位相ズレ量dが発生する。具体的には、第1差動信号y1及び第2差動信号y2の位相が、励磁信号に対して、位相ズレ量dだけ遅れる。この位相ズレ量dは、コイル設計の違い、配線部の抵抗要因(配線の種類、長さ、引き回し)等に基づいて生じるものである。位相ズレ量dの大きさは、温度等の周辺環境によって様々に変化する。
上述のように、第2差動信号y2を第1差動信号y1で除算することにより、tanθが計算される。このとき、2つの信号値がゼロ付近であると、tanθの精度が低下する。これを考慮すれば、第1差動信号y1のピークの信号値と、第2差動信号y2のピークの信号値と、が取得され、これらを用いてarctan演算が行われることが好ましい。また、ピークの信号値とは、言い換えれば、信号の波形の振幅に相当する。
励磁信号をA・sinωtと表す場合、第1差動信号y1及び第2差動信号y2は、下記の式で表される。
y1=a・cosθ・sin(ωt+d)
y2=a・sinθ・sin(ωt+d)
この式におけるdが、上記の位相ズレ量を表す。
y1=a・cosθ・sin(ωt+d)
y2=a・sinθ・sin(ωt+d)
この式におけるdが、上記の位相ズレ量を表す。
ここで、位相ズレ量dを何らかの方法で求めることができれば、ωt+dの位相が90°又は270°となるタイミングで信号値を取得することにより、第1差動信号y1及び第2差動信号y2のピークの信号値を取得できる。しかし、位相ズレ量dを求めるためには、第1差動信号y1及び第2差動信号y2の信号値を複数回取得して解析を行う必要がある。そのため、位相ズレ量dの算出が完了するまでにある程度の時間が掛かる。その結果、位相ズレ量dの算出が完了するまでの間は変位検出装置100が変位情報を出力することができない。
これに対し、本実施形態のFPGA32は、振幅算出処理を行うことにより、位相ズレ量dを求めることなく、第1差動信号y1及び第2差動信号y2のピークの信号値(振幅)を取得する。以下、振幅算出処理について説明する。
初めに、位相ズレが存在しない状況について説明する。図2には、位相ズレが存在しない状況における、励磁信号と処理対象の信号の波形が示されている。処理対象の信号とは、振幅算出処理を行う対象の信号である。本実施形態では、第1差動信号y1と第2差動信号y2がそれぞれ処理対象の信号に相当する。また、処理対象の信号をB・sinωtと表す。Bが振幅であり、処理対象の信号が第1差動信号y1の場合はB=a・cosθであり、処理対象の信号が第2差動信号y2の場合はB=a・sinθである。また、時刻tのときの処理対象の信号の信号値を、時刻tの関数としてD(t)と表す。
振幅算出処理は、図2に示す式(1)により時刻tでの振幅(ピークの信号値)を算出する処理である。即ち、時刻tでの振幅は、時刻t-1での信号値と時刻tでの信号値との二乗和平方根として算出される。なお、時刻t-1が第1時刻、D(t-1)が第1信号値、時刻tが第2時刻、D(t)が第2信号値に対応する。時刻t-1は、時刻tを基準として過去の方向に1/4周期シフトさせた時刻である。位相ズレが存在しない場合は、時刻tでの位相は90°に相当するので、図2の数式に示すように、二乗和平方根の値はBとなる。また、1/4周期毎に振幅を算出する場合、2つの信号値の一方がピークであり、他方が0であるため、同様の計算となる。
また、式(1)には二乗和平方根が含まれるため、式(1)で算出される時刻tでの振幅は厳密には絶対値である。そのため、符号を特定する処理が必要となる場合がある。本実施形態では、1/4周期毎に振幅を算出するため、4回を1組として、各組の最初の信号値の符号を適用する。例えば、時刻tから時刻t+4までは時刻tのD(t)の符号を適用し、時刻t+4から時刻t+7までは時刻t4のD(t4)の符号を適用する。この方法で振幅に符号を適用する場合は、適切な符号を適用するために、位相ズレ量が180°以下であることが予め判明していることが好ましい。なお、符号を適用する方法は一例であり、本実施形態とは異なっていてもよい。
また、本実施形態では、振幅を算出する基準となる時刻tよりも過去に取得された信号値を用いる。これに代えて、振幅を算出する基準となる時刻tよりも1/4周期だけ未来に取得された信号値を用いてもよい。この場合、時刻t+1が到来した後に、時刻tでの振幅を算出することになる。
また、本実施形態では、1/4周期毎に振幅を算出するが、振幅を算出する頻度はこれに限られない。例えば、1/2周期毎に振幅を算出してもよい。
次に、位相ズレが存在する状況について説明する。図3には、励磁信号の波形と、位相ズレ量dが生じた処理対象の信号の波形と、が示されている。図3に示すように、位相ズレが生じているため、1/4周期の時点で取得した信号値D(t)はピークから外れている。しかし、上述した式(1)を用いることにより、処理対象の信号の振幅を算出できる。即ち、図3の式(1)に波形の式を代入することで式(2)が得られる。また、サイン関数を1/4周期シフトさせた関数はコサイン関数であることを用いて、式(2)から式(3)を導くことができる。更に、同位相のサイン関数の二乗とコサイン関数の二乗の和が1であることを用いて、式(3)から処理対象の信号の振幅を算出することができる。
つまり、本実施形態の振幅算出処理を用いることにより、位相ズレが存在する状況であっても位相ズレ量dを算出することなく、各時刻での振幅(ピークの信号値)を算出することができる。そのため、位相ズレ量dを算出する場合と比較して、短時間で変位情報を出力できる。
次に、図4を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
上記実施形態と本変形例では、振幅算出処理を行う対象が異なる。上記実施形態の処理対象の信号は、第1差動信号y1と第2差動信号y2である。これに対し、本変形例の処理対象の信号は、第1コイル22a、第2コイル22b、第3コイル22c、及び第4コイル22dの出力信号である。つまり、上記実施形態では第1差動信号y1及び第2差動信号y2を生成した後に振幅を算出するのに対し、本変形例では第1差動信号y1及び第2差動信号y2を生成する前に振幅を算出する。
詳細には、図4に示すように、第1コイル22a、第2コイル22b、第3コイル22c、及び第4コイル22dの出力信号は、それぞれ個別にAD変換されて、FPGA32に入力される。次に、FPGA32は、第1コイル22a、第2コイル22b、第3コイル22c、及び第4コイル22dの全ての出力信号に振幅算出処理を行う。次に、FPGA32は、上記実施形態と同様、第1差動信号y1と第2差動信号y2を生成する。
第1差動信号y1は、コサイン関数の出力信号と、マイナスコサイン関数の出力信号と、に基づいて既知の演算を行うことにより生成される。そのため、FPGA32は、コサイン関数の出力信号の振幅(第1振幅)と、マイナスコサイン関数の出力信号の振幅(第1振幅)と、に基づいて、第1差動信号y1の振幅を算出できる。FPGA32は、サイン関数の出力信号とマイナスサイン関数の出力信号とに対して同様の処理を行って、第2振幅を算出して、第2差動信号y2の振幅を算出する。以降の処理は上記実施形態と同じである。
本変形例では、FPGA32は、コサイン関数の出力信号、マイナスコサイン関数の出力信号、サイン関数の出力信号、及びマイナスサイン関数の出力信号の全てに対して振幅算出処理を行う。これに代えて、FPGA32は、コサイン関数の出力信号とマイナスコサイン関数の出力信号の一方のみに、振幅算出処理を行ってもよい。この場合、FPGA32は、コサイン関数の出力信号について、時刻tでの信号値であるD(t)と、振幅算出処理で算出した振幅Bと、の比率を算出する。次に、FPGA32は、第1差動信号y1の時刻tでの信号値であるD(t)に、先ほど算出した比率を適用することで、第1差動信号y1の振幅を算出する。FPGA32は、第2差動信号y2についても同じ処理を行って、第2差動信号y2の振幅を算出する。
以上に説明したように、上記実施形態の変位検出装置100は、スケール1と、センサヘッド2と、処理装置3と、を備える。スケール1には、変位検出方向に所定の検出ピッチC0で磁気応答部12と非磁気応答部11とが交互に配列される。センサヘッド2は、サイン関数、コサイン関数、マイナスサイン関数及びマイナスコサイン関数で表現される出力信号のそれぞれを出力する少なくとも4つの二次コイル22を有する。処理装置3には二次コイル22の出力信号が入力され、処理装置3は、センサヘッド2に対するスケール1の相対変位、及び、相対変位の変化速度のうち少なくとも一方である変位情報を演算して出力する。処理装置3は、コサイン関数とマイナスコサイン関数の差分に基づく第1差動信号y1、及び、サイン関数とマイナスサイン関数の差分に基づく第2差動信号y2を生成する。処理装置3は、コサイン関数の出力信号及びマイナスコサイン関数の出力信号の少なくとも一方、又は、第1差動信号y1に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。処理装置3は、サイン関数の出力信号及びマイナスサイン関数の出力信号の少なくとも一方、又は、第2差動信号y2に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。処理装置3は、振幅算出処理の後に、第1差動信号y1及び第2差動信号y2に基づいてスケール1の変位情報を出力する。処理装置3が行う振幅算出処理は、処理対象の信号に対して、第1時刻における第1信号値と、第1時刻に対して1/4周期シフトさせた第2時刻における第2信号値と、を求め、第1信号値と第2信号値との二乗和平方根を処理対象の信号の振幅とする処理である。
位相が1/4周期異なる2つの信号の信号値の二乗和平方根は振幅に等しい。従って、位相ズレが存在する場合であっても、位相ズレ量を特定することなく短時間で振幅を算出できる。
上記実施形態の変位検出装置100において、処理装置3は、第1差動信号y1に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。処理装置3は、第2差動信号y2に対して振幅算出処理を行って振幅を算出する。第1差動信号y1の振幅と、第2差動信号y2の振幅と、に基づいて、スケール1の変位情報を出力する。
これにより、差動信号を生成した後に振幅を短時間で算出できる。
上記変形例の変位検出装置100において、処理装置3は、コサイン関数の出力信号及びマイナスコサイン関数の出力信号の少なくとも一方に対して振幅算出処理を行って第1振幅を算出する。処理装置3は、サイン関数の出力信号及びマイナスサイン関数の出力信号の少なくとも一方に対して振幅算出処理を行って第2振幅を算出する。処理装置3は、第1振幅と第1差動信号y1に基づいて第1時刻での第1差動信号y1の振幅を算出する。処理装置3は、第2振幅と第2差動信号y2に基づいて第1時刻での第2差動信号y2の振幅を算出する。
これにより、差動信号を生成する前の出力信号の振幅を短時間で算出できる。
上記実施形態の変位検出装置100において、処理装置3は、arctan演算によりスケール1の変位情報を算出する。なお、この特徴は、上記実施形態に限られず、上記変形例にも適用されている。
これにより、簡単な演算で変位情報を得ることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
スケール1は、上述の構成に限定されず、互いに異なる磁気的な性質(磁性の強弱、発生する磁界の方向等)が繰り返されるのであれば、適宜の構成とすることができる。例えば、磁気応答部12が、強磁性体と弱磁性体/非磁性体を、当該スケール1の長手方向に交互に並べることで構成されてもよい。磁石のN極とS極を並べることで、磁気的な性質の変化の繰返しを実現してもよい。
磁気検出素子は、二次コイル22の代わりに、プリント基板の導電パターン、ホール素子等から構成されてもよい。
二次コイル22がスケール1(磁気応答部12)からの変位に応じた変化を捉えることが可能であれば、一次コイル21がスケール1に近い側に配置され、二次コイル22がスケール1から遠い側に配置されてもよい。
FPGA32は、tanθを計算する以外の方法で、θを得ることもできる。具体的には、公知のシフト回路により第2差動信号y2の位相が90°シフトされて、第1差動信号y1に加算される。加算後の信号は、周知の三角関数の加法定理により、asin(ωt+θ)と表すことができる。FPGA32は、この信号と、基準差動信号asinωtと、の位相差(具体的には、各信号がゼロと交差するタイミングの差)を計測することにより、θを得る。また、FPGA32は、PD(Phase-Digital)変換によってθを得ることもできる。
フィルタ処理部におけるスケール1の相対速度に対する判別は、リアルタイムで行われなくてもよい。例えば、予め設定された一定の時間間隔で判別が行われてもよいし、スケール1の相対速度に応じて変化する時間間隔で行われてもよい。
変位検出装置は、スケール1の相対変位に代えて、又はそれに加えて、相対変位の変化速度(変位情報)を出力することもできる。相対変位の変化速度とは、実質的に、スケール1の相対速度を意味する。相対変位の変化速度は、スケール1の現在の相対変位と、所定時間前の相対変位と、の差を計算することにより、容易に得ることができる。
1 スケール
2 センサヘッド
3 処理装置
100 変位検出装置
2 センサヘッド
3 処理装置
100 変位検出装置
Claims (4)
- 変位検出方向に所定の検出ピッチで磁気応答部と非磁気応答部とが交互に配列されたスケールと、
サイン関数、コサイン関数、マイナスサイン関数及びマイナスコサイン関数で表現される出力信号のそれぞれを出力する少なくとも4つの磁気検出素子を有するセンサヘッドと、
前記磁気検出素子の前記出力信号が入力され、前記センサヘッドに対する前記スケールの相対変位、及び、前記相対変位の変化速度のうち少なくとも一方である変位情報を演算して出力する処理装置と、
を備え、
前記処理装置は、
前記コサイン関数と前記マイナスコサイン関数の差分に基づく第1差動信号、及び、前記サイン関数と前記マイナスサイン関数の差分に基づく第2差動信号を生成し、
前記コサイン関数の前記出力信号及び前記マイナスコサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方、又は、前記第1差動信号に対して振幅算出処理を行って振幅を算出し、
前記サイン関数の前記出力信号及び前記マイナスサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方、又は、前記第2差動信号に対して前記振幅算出処理を行って振幅を算出し、
前記振幅算出処理の後に、前記第1差動信号及び前記第2差動信号に基づいて前記スケールの前記変位情報を出力し、
前記処理装置が行う前記振幅算出処理は、処理対象の信号に対して、第1時刻における第1信号値と、前記第1時刻に対して1/4周期シフトさせた第2時刻における第2信号値と、を求め、前記第1信号値と前記第2信号値との二乗和平方根を処理対象の信号の振幅とする処理であることを特徴とする変位検出装置。 - 請求項1に記載の変位検出装置であって、
前記処理装置は、
前記第1差動信号に対して振幅算出処理を行って振幅を算出し、
前記第2差動信号に対して振幅算出処理を行って振幅を算出し、
前記第1差動信号の振幅と、前記第2差動信号の振幅と、に基づいて、前記スケールの前記変位情報を出力することを特徴とする変位検出装置。 - 請求項1に記載の変位検出装置であって、
前記処理装置は、
前記コサイン関数の前記出力信号及び前記マイナスコサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方に対して振幅算出処理を行って第1振幅を算出し、
前記サイン関数の前記出力信号及び前記マイナスサイン関数の前記出力信号の少なくとも一方に対して前記振幅算出処理を行って第2振幅を算出し、
前記第1振幅と前記第1差動信号に基づいて前記第1時刻での前記第1差動信号の振幅を算出し、
前記第2振幅と前記第2差動信号に基づいて前記第1時刻での前記第2差動信号の振幅を算出することを特徴とする変位検出装置。 - 請求項1に記載の変位検出装置であって、
前記処理装置は、arctan演算により前記スケールの前記変位情報を算出することを特徴とする変位検出装置。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024075149A true JP2024075149A (ja) | 2024-06-03 |
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